JP7337209B2 - イリジウムの回収方法 - Google Patents

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本発明は、イリジウムの回収方法に係る。
銅乾式製錬では銅精鉱を熔解し、転炉、精製炉で99%以上の粗銅とした後に電解精製工程において例えば純度99.99%以上の電気銅を生産する。銅以外の有価物は電解精製時にスライムとして沈殿する。
このスライムには貴金族類、希少金属、銅精鉱に含まれているセレンやテルルも同時に濃縮される。銅製錬副産物としてこれらの元素は個別に分離・回収される。
このスライムの処理には湿式製錬法が適用される場合が多い。例えば特許文献1においてはスライムを塩酸-過酸化水素により銀を回収し、溶解した金は溶媒抽出により回収した後に、その他の有価物を二酸化硫黄で順次還元回収する方法が開示されている。特許文献2には同様の方法で金銀を回収した後、二酸化硫黄で有価物を還元して沈殿せしめ、セレンのみを蒸留して除去して貴金属類を濃縮する方法が開示されている。
貴金属を回収した後の溶液には希少金属イオン、テルル、セレンが含まれておりさらにこれら有価物を回収することが必要である。回収方法としては還元剤により生じた沈殿を回収する方法、溶液ごと銅精鉱に混合しドライヤーで乾燥させて製錬炉に繰り返す方法が知られている。
とりわけ特許文献1に示されている、二酸化硫黄により生じた沈殿を回収する方法は、コストや製造規模の面で利点が多い。加えて各元素が順次沈殿することから分離精製にも効果がある。
二酸化硫黄を用いて有価物を回収する方法では、溶解後に順次有価物を還元して回収することができる。初めに白金、パラジウムが沈殿する。次にセレンが還元を受ける。イリジウム、ルテニウム、ロジウムは酸化還元電位が比較的低いため還元を受け難く、最後まで溶液に残留する。なかでもイリジウムについては、特許文献3に記載されているように、溶媒抽出により分離、濃縮後に焼成して回収する方法が広く知られる。
特開2001-316735号公報 特開2016-160479号公報 特開2004-332041号公報
銅電解澱物溶解液中のイリジウム濃度は1~70mg/L程度である。イリジウムは高価な金属であるがこの程度の低濃度では溶媒抽出による製錬はコストに見合わない。他の金属との分離効率やストリップの効率も高くない。
また、イリジウムの回収において、亜鉛等の卑金属でセメンテーションする方法は強酸条件下では爆発性の水素が短時間に集中的に発生する問題がある。また他のセメンテーションを受ける元素も混在するので効率が低い。さらに銅精錬由来のイリジウム含有液にはヒ素も含まれており卑金属を添加するとヒ素も沈殿する。さらに発生期の水素により有毒ガスが発生する恐れも皆無ではない。
イリジウムはその水酸化物がアルカリ領域で沈殿することが知られている。しかしながら、イリジウム含有液が強酸性である場合、強酸を中和するためにアルカリ試薬の添加量が増大し、コストが大きくなる。また、ナトリウムイオンやアルカリ土類金属イオンは酸性条件下でも水に難溶性の硫酸塩を沈殿するが、過量のアルカリで中和した時にはこの難溶性硫酸塩が製造設備の配管内に沈着して閉塞を起こすことが予想される。
また、従来、安価に効率よく低濃度のイリジウムを沈殿回収する方法は知られていない。特に他元素が共存する条件では選択性も要求されるが、イリジウムを選択的に分離、濃縮する方法は知られていない。
本発明はこのような従来の事情を鑑み、イリジウムを含む塩酸酸性液からイリジウムを効率的に沈殿回収する方法を提供する。特に銅製錬における電解精製工程で発生する電解澱物を酸化溶解して得られた塩酸酸性液は、本発明のイリジウムを含む塩酸酸性液として好対象である。
上記課題は以下に特定される発明によって解決することができる。
(1)イリジウムを含む塩酸酸性液を40℃以上に加温し、チオ硫酸ナトリウム塩もしくはチオ硫酸イオン含有溶液を、前記塩酸酸性液におけるイリジウムに対し、チオ硫酸ナトリウム5水和物に換算して100質量倍以上になるよう前記塩酸酸性液に添加する、イリジウムの回収方法。
(2)前記チオ硫酸ナトリウム塩もしくはチオ硫酸イオン含有溶液を、チオ硫酸ナトリウム5水和物に換算して10g/L以上になるように前記イリジウムを含む塩酸酸性液に、添加する、(1)に記載のイリジウムの回収方法。
(3)前記イリジウムを含む塩酸酸性液が、セレン及びテルルのうちの少なくとも一種を含む場合、前記イリジウムを含む塩酸酸性液に、予め二酸化硫黄または二酸化硫黄の水溶液を添加してセレン及びテルルの合計濃度を100mg/L以下に調整する工程と、
前記チオ硫酸ナトリウム塩もしくはチオ硫酸イオン含有溶液を、前記セレン及びテルルの合計濃度を調整した前記イリジウムを含む塩酸酸性液に添加する、(1)または(2)に記載のイリジウムの回収方法。
(4)前記イリジウムを含む塩酸酸性液を60℃以上に加温する、(1)~(3)のいずれかに記載のイリジウムの回収方法。
(5)前記イリジウムを含む塩酸酸性液がヒ素を含む、(1)~(4)のいずれかに記載のイリジウムの回収方法。
本発明の実施形態によれば、イリジウムを含む塩酸酸性液からイリジウムを効率的に沈殿回収する方法を提供することができる。
実験例1と実験例3に係るチオ硫酸Na添加量(g/L)-Ir沈殿率(%)のグラフである。
以下、本発明のイリジウムの回収方法の実施形態について説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
<イリジウムの回収方法>
本発明の実施形態に係るイリジウムの回収方法は、イリジウムを含む塩酸酸性液を40℃以上に加温し、チオ硫酸ナトリウム塩もしくはチオ硫酸イオン含有溶液を、塩酸酸性液におけるイリジウムに対し、チオ硫酸ナトリウム5水和物に換算して100質量倍以上になるよう塩酸酸性液に添加する工程を含む。
本発明の実施形態に係るイリジウムの回収方法において、処理対象となるイリジウムを含む塩酸酸性液は、どのような処理を経て得られたものであってもよいが、特に、銅製錬における電解精製工程で発生する電解澱物を酸化溶解して得られた塩酸酸性液は、本発明のイリジウムを含む塩酸酸性液として好対象である。また、非鉄金属製錬、とりわけ銅製錬の電解精製工程で生じる電解澱物は白金族元素がその他希少元素と共に濃縮される。希少元素は単独で製錬されることはなく、他金属の副産物として回収されるか廃触媒等のリサイクル原料から分離される。したがって、本発明の実施形態に係るイリジウムの回収方法は、廃棄物からのリサイクルにも適用することができる。すなわち、当該廃棄物の処理工程で生じた、イリジウムを含む塩酸酸性液を対象とすることができる。
化学便覧によると、イリジウム回収方法において公知である難水溶性のヘキサクロロイリジウム(IV)カリウムの溶解度は12.4g/L、ヘキサクロロイリジウム(IV)アンモニウムの溶解度は10.8g/Lであり、いずれもイリジウム濃度で4g/Lである。他のイリジウム含有物に対してもこの濃度より低いイリジウムを沈殿物として回収するのは過量の試薬を要する。このことから、本発明の実施形態に係るイリジウムの回収方法は、塩酸酸性液中のイリジウム濃度は特に限定されないが、イリジウム濃度が4g/L以下である塩酸酸性液を取り扱う場合に適している。
本発明の実施形態に係るイリジウムの回収方法において、処理対象となるイリジウムを含む塩酸酸性液は、所定の工程を経て得られた塩酸酸性液である場合、イリジウム(Ir)以外に種々の金属元素を含んでいる。
イリジウムを含む塩酸酸性液は、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等を含んでもよい。これらは、後述のチオ硫酸イオンと反応しないことから、特段の処理が不要である。また、イリジウムを含む塩酸酸性液において、ヒ素(As)は、チオ硫酸イオンと比較的反応し難いものであるから、含んでもよい。
セレン(Se)、テルル(Te)、銅(Cu)等は、イリジウムを含む塩酸酸性液に含まれていてもよいが、チオ硫酸イオンで還元されるため、詳しくは後述するが、選択的にIrを回収する必要がある場合は、事前にこれら金属の濃度を下げておく必要がある。
鉄(Fe)は、2価であればチオ硫酸イオンと反応しないため、イリジウムを含む塩酸酸性液に含まれていてもよい。一方、3価であれば、チオ硫酸イオンと反応してしまうため、含まれていてもよいが、選択的にIrを回収する必要がある場合は、事前に2価に還元しておく必要がある。
一例として、銅製錬の銅電解精製工程由来の電解澱物からの、イリジウムを含む塩酸酸性液の作製方法を示す。まず、銅製錬の銅電解精製工程由来の電解澱物から硫酸により銅を溶解して除く。次に、濃塩酸と過酸化水素水を添加して溶解し、固液分離して浸出貴液(PLS)を得る。塩化物浴である浸出貴液(PLS)には白金族元素、希少金属元素、カルコゲン元素、ヒ素、アンチモン等が分配する。
浸出貴液(PLS)を一度冷却し、鉛やアンチモンといった卑金属類の塩化物を沈殿分離する。その後に溶媒抽出により金を有機相に分離する。金の抽出剤はジブチルカルビトール(DBC)が広く使用されている。抽出液には、二酸化硫黄を吹き込むことで、貴金属とセレン、テルルを還元除去し、続いて固液分離することで、イリジウムを含む塩酸酸性液を作製することができる。
本発明の実施形態に係るイリジウムの回収方法では、イリジウムを含む塩酸酸性液を40℃以上に加温して、チオ硫酸ナトリウム塩もしくはチオ硫酸イオン含有溶液を添加する。イリジウムは塩酸酸性液中に塩化物錯イオンとして残留しているため、当該塩酸酸性液からイリジウムを効率的に沈殿させるために、塩酸酸性液を40℃以上に加温してチオ硫酸イオンを添加して沈殿させる。
代表的なチオ硫酸イオン源としては、市販のチオ硫酸ナトリウム5水和物が挙げられる。チオ硫酸ナトリウム塩の固体で添加してもよいし、チオ硫酸イオン含有溶液で添加してもよい。チオ硫酸イオン源は、これら以外にも、亜硫酸と元素硫黄をアルカリ溶液中で加熱すれば得ることができるが、コストや取り扱い易さの面から、特に固体塩が有利である。特に、チオ硫酸ナトリウム5水和物は毒性も低く、チオ硫酸イオン源として最も好適である。
イリジウムは塩酸酸性液中では塩化物錯体となっている。銅の殿物処理工程では二酸化硫黄で還元処理されているのでイリジウムの価数は3価以下であると想定される。チオ硫酸イオンは硫黄-硫黄結合が単結合であるとされており、硫黄元素上に負電荷が局在している。硫黄は軟らかい元素であり、上述のように、価数が3価以下のイリジウムも軟らかいイオンであるため、互いに親和性が高い。
塩酸酸性液は、40℃以上に加温し、チオ硫酸イオンを添加して沈殿させる。塩酸酸性液を40℃以上に加温した状態でチオ硫酸イオンを添加すると、沈殿反応が進み、イリジウムを効率的に沈殿させることができる。塩酸酸性液の加温温度が40℃未満であると、沈殿反応の速度が鈍化するおそれがある。塩酸酸性液の加温温度は、好ましくは50℃以上であり、より好ましくは60℃以上であり、更により好ましくは70℃以上である。塩酸酸性液の加温温度の上限は特に限定されないが、100℃以下であってもよい。
チオ硫酸ナトリウム塩もしくはチオ硫酸イオン含有溶液は、塩酸酸性液におけるイリジウムに対し、チオ硫酸ナトリウム5水和物に換算して100質量倍以上になるよう塩酸酸性液に添加する。当該質量比は塩酸酸性液の酸濃度によって好ましい数値が変わるが、このように、イリジウム量に対してチオ硫酸イオンを過剰に添加しないと、有効に機能するチオ硫酸イオン濃度を下回り、沈殿反応が良好に進まないおそれがある。チオ硫酸ナトリウム塩もしくはチオ硫酸イオン含有溶液は、塩酸酸性液におけるイリジウムに対し、チオ硫酸ナトリウム5水和物に換算して500質量倍以上になるよう塩酸酸性液に添加するのがより好ましく、700質量倍以上になるよう塩酸酸性液に添加するのが更により好ましい。チオ硫酸ナトリウム塩もしくはチオ硫酸イオン含有溶液の添加量の上限は、特に限定されないが、チオ硫酸ナトリウム5水和物に換算して1000質量倍以下であってもよい。
チオ硫酸ナトリウム塩もしくはチオ硫酸イオン含有溶液は、チオ硫酸ナトリウム5水和物に換算して10g/L以上になるように、イリジウムを含む塩酸酸性液に添加することが好ましい。チオ硫酸ナトリウム塩もしくはチオ硫酸イオン含有溶液を、チオ硫酸ナトリウム5水和物に換算して10g/L以上になるように添加することで、チオ硫酸イオンがより有効に機能し、沈殿反応がより良好に進む。チオ硫酸ナトリウム塩もしくはチオ硫酸イオン含有溶液は、チオ硫酸ナトリウム5水和物に換算して15g/L以上になるように、イリジウムを含む塩酸酸性液に添加することがより好ましく、20g/L以上になるように、イリジウムを含む塩酸酸性液に添加することがより好ましい。また、チオ硫酸ナトリウム塩もしくはチオ硫酸イオン含有溶液は、多すぎると酸分解時に生じる硫黄が混入するおそれがあるため、チオ硫酸ナトリウム5水和物に換算して30g/L以下になるように、イリジウムを含む塩酸酸性液に添加することが好ましい。
チオ硫酸イオンは酸性条件下では硫黄と亜硫酸イオンに分解する傾向がある。さらには酸化性物質があればこれと反応するし、銅等の一部の遷移金属イオンは硫化物を作って沈殿する。そのため、予め二酸化硫黄によりその他の夾雑元素を沈殿させておくことが好ましい。その他の夾雑元素とは、例えばセレン及びテルルである。このような観点から、イリジウムを含む塩酸酸性液が、セレン及びテルルのうちの少なくとも一種を含む場合、イリジウムを含む塩酸酸性液に、予め二酸化硫黄または二酸化硫黄の水溶液を添加して、セレン及びテルルの合計濃度を100mg/L以下に調整しておくことが好ましい。そして、チオ硫酸ナトリウム塩もしくはチオ硫酸イオン含有溶液を、セレン及びテルルの合計濃度を調整したイリジウムを含む塩酸酸性液に添加することが好ましい。当該セレン及びテルルの合計濃度を予め50mg/L以下に調整しておくことがより好ましく、10mg/L以下に調整しておくことが更により好ましい。
沈殿したイリジウム含有物は、固液分離後に公知の方法でイリジウムとその他夾雑物を分離する。例えば、酸化溶解後にイリジウムを溶媒抽出で分離回収する方法が挙げられる。この酸化溶解液では、イリジウムは十分濃縮されており、公知の溶媒抽出での回収が可能である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実験例1)
銅製錬の銅電解精製工程由来の電解澱物から硫酸により銅を溶解して除いた。濃塩酸と60%過酸化水素水を添加して溶解し、固液分離して浸出貴液(PLS)を得た。PLSを6℃まで冷却して卑金属分を沈殿除去した。酸濃度を2N以上に調整しDBC(ジブチルカルビトール)とPLSを混合して金を抽出した。金抽出後のPLSを70℃に加温し、二酸化硫黄を吹き込んで貴金属とセレン、テルルを還元除去した。これを固液分離し、イリジウムを含む塩酸酸性液を得た。
イリジウムを含む塩酸酸性液のイリジウム濃度は26mg/Lであった。イリジウム含有液はその他の元素としてヒ素を1.5g/L、セレンを6mg/L、テルルを18mg/L含有していた。当該イリジウムを含む塩酸酸性液を200mL分取し、60℃もしくは80℃に加熱して、表1に示す量(g)のチオ硫酸ナトリウム5水和物を添加して撹拌した。撹拌しつつ、30分で一度サンプリングを行った。撹拌開始から2時間後に反応を停止し、生じた沈殿を固液分離した。分離後(ろ過後)の溶液のイリジウム濃度を定量した。
試薬はすべて和光純薬工業社製の特級グレードとした。溶液中の元素濃度は、溶液2mlを分取して50mlに規正後、ICP-OES(セイコー社製SPS3100)により濃度を定量した。評価結果を表1に示す。
表1の結果からチオ硫酸ナトリウムを添加して還元すると液中のイリジウムの濃度が大きく低下することが分かる。添加量は2g以上であるのでチオ硫酸ナトリウム5水和物として10g/L以上添加すると高い効果が得られることが分かる。またイリジウムを含む塩酸酸性液の液温は60℃以上で非常に良好であり、80℃ではさらに効果が高い。
またチオ硫酸ナトリウムの添加量が増えるとヒ素も沈殿して液中の濃度が低下する傾向があるため、添加量はチオ硫酸ナトリウム5水和物として30g/L以下が好ましい。
(実験例2)
実験例1と同じイリジウムを含む塩酸酸性液を200ml分取した。これを表2に示す温度に加熱した。次に、銅粉を1g添加して、セレンとテルルをセメンテーションにより除いた。次に、チオ硫酸ナトリウム5水和物を4g添加して反応を開始し、反応開始から30分、60分でサンプルを分取し反応を停止した。比較として二酸化硫黄と空気の混合気(二酸化硫黄15%)で80~85℃で還元した時の経時変化も示す。
以後の操作は実験例1に準じる。イリジウムの濃度の経時変化を表2に示す。
表2の結果からイリジウムを含む塩酸酸性液の加温温度が40℃で効果は見られ、60℃以上でイリジウムの濃度がはっきり減少した。温度効果は70℃以上で顕著になることが分かる。いずれの温度においても比較の二酸化硫黄よりは明確に効果が示された。但し二酸化硫黄による還元では蒸発量が多く最終液量は150mLまで濃縮したため、時間の経過と共に見かけ濃度の増加が生じた。
(実験例3)
上記実験例1のNo.1~4のチオ硫酸ナトリウムの添加量を「g/L」の単位に換算し、これとイリジウムの沈殿率との関係をグラフにプロットした。また、当該グラフにおいて、別途、チオ硫酸ナトリウムを2g/Lの添加量として、実験例1と同様にイリジウムの沈殿率を測定し、同じグラフにプロットした。これらの結果が図1のチオ硫酸ナトリウム添加量(g)-Ir沈殿率(%)のグラフである。
当該グラフから明らかなように、チオ硫酸ナトリウムの添加量が10g/Lを起点として、それ以上の添加量では、Ir沈殿率の上昇率が大きく向上した。

Claims (5)

  1. イリジウムを含む塩酸酸性液を40℃以上に加温し、チオ硫酸ナトリウム塩もしくはチオ硫酸イオン含有溶液を、前記塩酸酸性液におけるイリジウムに対し、チオ硫酸ナトリウム5水和物に換算して100質量倍以上になるよう前記塩酸酸性液に添加する、イリジウムの回収方法。
  2. 前記チオ硫酸ナトリウム塩もしくはチオ硫酸イオン含有溶液を、チオ硫酸ナトリウム5水和物に換算して10g/L以上になるように前記イリジウムを含む塩酸酸性液に、添加する、請求項1に記載のイリジウムの回収方法。
  3. 前記イリジウムを含む塩酸酸性液が、セレン及びテルルのうちの少なくとも一種を含む場合、前記イリジウムを含む塩酸酸性液に、予め二酸化硫黄または二酸化硫黄の水溶液を添加してセレン及びテルルの合計濃度を100mg/L以下に調整する工程と、
    前記チオ硫酸ナトリウム塩もしくはチオ硫酸イオン含有溶液を、前記セレン及びテルルの合計濃度を調整した前記イリジウムを含む塩酸酸性液に添加する、請求項1または2に記載のイリジウムの回収方法。
  4. 前記イリジウムを含む塩酸酸性液を60℃以上に加温する、請求項1~3のいずれか一項に記載のイリジウムの回収方法。
  5. 前記イリジウムを含む塩酸酸性液がヒ素を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のイリジウムの回収方法。
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