JP7027808B2 - 回転電機制御装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置 - Google Patents

回転電機制御装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Description

本発明は、回転電機制御装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置に関する。
従来、モータの駆動力にて操舵を補助する電動パワーステアリング装置が知られている。例えば特許文献1では、2つのマイコンにて、それぞれ独立に基本アシスト制御量を演算している。
特開2011-195089号公報
しかしながら特許文献1のように、各系統で独立にアシスト制御量を演算し、独立に電流制御を行う場合、系統間にて不整合が生じる虞がある。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の系統を協調させて回転電機の駆動を制御する回転電機制御装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明の第1態様では、回転電機制御装置は、複数の巻線組(81、82)を備える回転電機(80)の駆動を制御するものであって、複数の駆動回路(120、220)と、複数の制御部(131~136、231~236)を備える。制御部は、対応して設けられる駆動回路に制御信号を出力する信号出力部(165、265)を有し、相互に通信可能である。制御部には、全ての制御部における制御信号の生成に係る指令値を演算し、他の制御部に指令値を送信する1つのマスター制御部(131~136)、および、マスター制御部から送信される指令値に基づく制御信号を出力する少なくとも1つのスレーブ制御部(231~236)が含まれる。マスター制御部からスレーブ制御部に送信される指令値は、トルク指令値、電流指令値、電圧指令値、または、制御信号である
制御部は、自系統の異常および通信異常を監視する異常監視部(190、290)を備える。制御部は、自系統の異常に係る自系統異常情報および他系統の異常に係る他系統異常情報を共有し、自系統異常情報および他系統異常情報に基づき、マスター制御部とスレーブ制御部とを協調させて駆動する通常制御モードと、片系統駆動制御モードおよび独立駆動制御モードを含む異常時制御モードとを切り替え可能である。スレーブ制御部は、自系統に係る制御信号の生成に用いられるスレーブ指令値を演算可能である。片系統駆動制御モードでは、一部の系統の駆動を停止し、残りの系統を用いて回転電機の制御を継続する。独立駆動制御モードは、マスター制御部とスレーブ制御部とを協調させず、系統毎に独立して回転電機の制御を継続する。
1つのマスター制御部にて演算される指令値をスレーブ制御部に送信することで、複数の系統を適切に協調させることができ、系統間の不整合や調停の複雑さを低減することができる。
本発明の第2態様では、回転電機制御装置は、複数の巻線組(81、82)を備える回転電機(80)の駆動を制御するものであって、複数の駆動回路(120、220)と、複数の制御部(131~136、231~236)と、を備える。制御部は、対応して設けられる駆動回路に制御信号を出力する信号出力部(165、265)を有し、相互に通信可能である。制御部には、1つのマスター制御部(131~136)、および、少なくとも1つのスレーブ制御部(231~236)が含まれる。制御部は、協調駆動モードと、独立駆動モードと、片系統駆動モードと、を切り替える。協調駆動モードは、マスター制御部が制御信号の生成に係る指令値を演算し、当該指令値に基づく制御信号を出力するとともに、スレーブ制御部がマスター制御部にて演算された指令値に基づく制御信号を出力する。独立駆動モードは、マスター制御部が自系統の制御信号の生成に係る指令値を演算し、その演算した指令値に基づく制御信号を出力するとともに、スレーブ制御部が自系統の制御信号の生成に係る指令値を演算し、その演算した指令値に基づく制御信号を出力する。片系統駆動モードは、マスター制御部およびスレーブ制御部のうちの一部が制御信号の出力を停止し、他の制御部が自系統の制御信号の生成に係る指令値を演算し、その指令値に基づく制御信号を出力する。
第1実施形態によるステアリングシステムの概略構成図である。 第1実施形態によるモータ巻線を示す模式図である。 第1実施形態による通電位相差を説明するタイムチャートである。 第1実施形態において、位相差通電によるトルク向上を説明する説明図である。 第1実施形態よるトルクリプルを説明する説明図である。 第1実施形態による駆動装置の断面図である。 図6のVII-VII線断面図である。 第1実施形態によるモータ制御装置を示すブロック図である。 第1実施形態による第1制御部および第2制御部を示すブロック図である。 第1実施形態による電流フィードバック制御を説明するブロック図である。 第1実施形態による演算処理を説明するタイムチャートである。 第2実施形態による第1制御部および第2制御部を示すブロック図である。 第2実施形態による演算処理を説明するタイムチャートである。 第3実施形態による第1制御部および第2制御部を示すブロック図である。 第3実施形態による電流フィードバック制御を説明するブロック図である。 第3実施形態による演算処理を説明するタイムチャートである。 第4実施形態による第1制御部および第2制御部を示すブロック図である。 第4実施形態による演算処理を説明するタイムチャートである。 第5実施形態による第1制御部および第2制御部を示すブロック図である。 第5実施形態による演算処理を説明するタイムチャートである。 第6実施形態による演算処理を説明するタイムチャートである。 第7実施形態による第1制御部および第2制御部を示すブロック図である。 第7実施形態によるマイコン間通信の通信フレームを説明する説明図である。 第7実施形態による通信異常監視処理を説明するフローチャートである。 第7実施形態による途絶判定処理を説明するフローチャートである。 第7実施形態による整合性判定処理を説明するフローチャートである。 第7実施形態による独立駆動制御を説明するブロック図である。 第8実施形態によるマイコン間通信の通信フレームを説明する説明図である。 第8実施形態による制御モード切替処理を説明するフローチャートである。 第8実施形態による制御モード切替処理を説明するフローチャートである。 第8実施形態による指令乖離判定処理を説明するフローチャートである。 第8実施形態による代替制御からの復帰処理を説明するフローチャートである。 第8実施形態によるマイコン間通信異常による独立駆動制御制御からの復帰処理を説明するフローチャートである。 第8実施形態による指令乖離異常による独立駆動制御制御からの復帰処理を説明するフローチャートである。 第8実施形態による指令乖離異常による独立駆動制御制御からの復帰処理を説明するフローチャートである。 第8実施形態による片系統駆動からの復帰処理を説明するフローチャートである。 第8実施形態による片系統駆動からの復帰処理を説明するフローチャートである。 第8実施形態によるモード遷移を説明する遷移図である。
以下、本発明による回転電機制御装置、および、電動パワーステアリング装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態を図1~図11に示す。図1に示すように、本実施形態の回転電機制御装置としてのECU10は、回転電機としてのモータ80とともに、例えば車両のステアリング操作を補助するための電動パワーステアリング装置8に適用される。図1は、電動パワーステアリング装置8を備えるステアリングシステム90の全体構成を示すものである。
図1は、電動パワーステアリング装置8を備えるステアリングシステム90の構成を示す。ステアリングシステム90は、操舵部材であるステアリングホイール91、ステアリングシャフト92、ピニオンギア96、ラック軸97、車輪98、および、電動パワーステアリング装置8等を備える。
ステアリングホイール91は、ステアリングシャフト92と接続される。ステアリングシャフト92には、操舵トルクTsを検出するトルクセンサ94が設けられる。ステアリングシャフト92の先端には、ピニオンギア96が設けられる。ピニオンギア96は、ラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が連結される。
運転者がステアリングホイール91を回転させると、ステアリングホイール91に接続されたステアリングシャフト92が回転する。ステアリングシャフト92の回転運動は、ピニオンギア96によってラック軸97の直線運動に変換される。一対の車輪98は、ラック軸97の変位量に応じた角度に操舵される。
電動パワーステアリング装置8は、モータ80およびECU10を有する駆動装置40、ならびに、モータ80の回転を減速してステアリングシャフト92に伝える動力伝達部としての減速ギア89等を備える。本実施形態の電動パワーステアリング装置8は、所謂「コラムアシストタイプ」であるが、モータ80の回転をラック軸97に伝える所謂「ラックアシストタイプ」等としてもよい。本実施形態では、ステアリングシャフト92が「駆動対象」に対応する。
モータ80は、運転者によるステアリングホイール91の操舵を補助する補助トルクを出力するものであって、電源であるバッテリ191、291(図8参照)から電力が供給されることにより駆動され、減速ギア89を正逆回転させる。モータ80は、3相ブラシレスモータであって、ロータ860およびステータ840を有する(図6参照)。
図2に示すように、モータ80は、巻線組としての第1モータ巻線180および第2モータ巻線280を有する。図2に示すように、第1モータ巻線180は、U1コイル181、V1コイル182およびW1コイル183を有する。第2モータ巻線280は、U2コイル281、V2コイル282およびW2コイル283を有する。図中、第1モータ巻線180を「モータ巻線1」、第2モータ巻線280を「モータ巻線2」とする。後述の他の構成についても、図中適宜、「第1」を添え字の「1」、「第2」を添え字の「2」として記載する。
第1モータ巻線180および第2モータ巻線280は、電気的特性が同等であり、例えば特許第5672278号公報の図3に参照されるように、共通のステータ840に互いに電気角30[deg]ずらして、キャンセル巻きされる。これに応じて、モータ巻線180、280には、位相φが30[deg]ずれた相電流が通電されるように制御される(図3参照)。図3では、第1系統のU相電圧Vu1および第2系統のU相電圧Vu2を例示した。図4に示すように、通電位相差を最適化することで、位相差通電を行わない場合と比較し、出力トルクが向上する。また、図5に示すように、通電位相差を電気角30[deg]とすることで、6次のトルクリプルを低減することができる(式(i)参照)。
sin6(ωt)+sin6(ωt+30)=0 ・・・(i)
さらにまた、位相差通電により、電流が平均化されるため、騒音、振動のキャンセルメリットを最大化することができる。また、発熱についても平均化されるため、各センサの検出値やトルク等、温度依存の系統間誤差を低減可能であるとともに、通電可能な電流量を平均化できる。
以下、第1モータ巻線180の駆動制御に係る第1インバータ回路120および第1制御部131等の組み合わせを第1系統L1、第2モータ巻線280の駆動制御に係る第2インバータ回路220および第2制御部231等の組み合わせを第2系統L2とする。本実施形態では、第1系統L1が「マスター系統」、第2系統L2が「スレーブ系統」に対応する。また、第1系統L1に係る構成を100番台で符番し、第2系統L2に係る構成を200番台で符番する。また、第1系統L1および第2系統L2において、同様の構成には、下2桁が同じとなるように符番する。
駆動装置40の構成を図6および図7に基づいて説明する。本実施形態の駆動装置40は、モータ80の軸方向の一方側にECU10が一体的に設けられており、いわゆる「機電一体型」である。ECU10は、モータ80の出力軸とは反対側において、シャフト870の軸Axに対して同軸に配置されている。ECU10は、モータ80の出力軸側に設けられていてもよい。機電一体型とすることで、搭載スペースに制約のある車両において、ECU10とモータ80とを効率的に配置することができる。
モータ80は、ステータ840、ロータ860、および、これらを収容するハウジング830等を備える。ステータ840は、ハウジング830に固定されており、モータ巻線180、280が巻回される。ロータ860は、ステータ840の径方向内側に設けられ、ステータ840に対して相対回転可能に設けられる。
シャフト870は、ロータ860に嵌入され、ロータ860と一体に回転する。シャフト870は、軸受835、836により、ハウジング830に回転可能に支持される。シャフト870のECU10側の端部は、ハウジング830からECU10側に突出する。シャフト870のECU10側の端部には、マグネット875が設けられる。
ハウジング830は、リアフレームエンド837を含む有底筒状のケース834、および、ケース834の開口側に設けられるフロントフレームエンド838を有する。ケース834とフロントフレームエンド838とは、ボルト等により互いに締結されている。リアフレームエンド837には、リード線挿通孔839が形成される。リード線挿通孔839には、モータ巻線180、280の各相と接続されるリード線185、285が挿通される。リード線185、285は、リード線挿通孔839からECU10側に取り出され、基板470に接続される。
ECU10は、カバー460、カバー460に固定されているヒートシンク465、ヒートシンク465に固定されている基板470、および、基板470に実装される各種の電子部品等を備える。
カバー460は、外部の衝撃から電子部品を保護したり、ECU10の内部への埃や水等の浸入を防止したりする。カバー460は、カバー本体461、および、コネクタ部462が一体に形成される。なお、コネクタ部462は、カバー本体461と別体であってもよい。コネクタ部462の端子463は、図示しない配線等を経由して基板470と接続される。コネクタ数および端子数は、信号数等に応じて適宜変更可能である。コネクタ部462は、駆動装置40の軸方向の端部に設けられ、モータ80と反対側に開口する。コネクタ部462は、後述する各コネクタ111~113、211~231を含む。
基板470は、例えばプリント基板であり、リアフレームエンド837と対向して設けられる。基板470には、2系統分の電子部品が系統ごとに独立して実装されており、完全冗長構成をなしている。本実施形態では、1枚の基板470に電子部品が実装されているが、複数枚の基板に電子部品を実装するようにしてもよい。
基板470の2つの主面のうち、モータ80側の面をモータ面471、モータ80と反対側の面をカバー面472とする。図7に示すように、モータ面471には、インバータ回路120を構成するスイッチング素子121、インバータ回路220を構成するスイッチング素子221、回転角センサ126、226、カスタムIC159、259等が実装される。回転角センサ126、226は、マグネット875の回転に伴う磁界の変化を検出可能なように、マグネット875と対向する箇所に実装される。
カバー面472には、コンデンサ128、228、インダクタ129、229、および、制御部131、231を構成するマイコン等が実装される。図7では、制御部131、231を構成するマイコンについて、それぞれ「131」、「231」を付番した。コンデンサ128、228は、バッテリ191、291(図8参照)から入力された電力を平滑化する。また、コンデンサ128、228は、電荷を蓄えることで、モータ80への電力供給を補助する。コンデンサ128、228、および、インダクタ129、229は、フィルタ回路を構成し、バッテリ191、291を共用する他の装置から伝わるノイズを低減するとともに、駆動装置40からバッテリ191、291を共用する他の装置に伝わるノイズを低減する。なお、図7中には図示を省略しているが、電源回路116、216、モータリレー、および、電流センサ125、225等についても、モータ面471またはカバー面472に実装される。
図8に示すように、ECU10は、駆動回路としてのインバータ回路120、220、および、制御部131、231等を備える。ECU10には、第1電源コネクタ111、第1車両通信コネクタ112、第1トルクコネクタ113、第2電源コネクタ211、第2車両通信コネクタ212、および、第2トルクコネクタ213が設けられる。
第1電源コネクタ111は、第1バッテリ191に接続され、第2電源コネクタ211は、第2バッテリ291に接続される。コネクタ111、211は、同一のバッテリに接続されていてもよい。第1電源コネクタ111は、第1電源回路116を経由して、第1インバータ回路120と接続される。第2電源コネクタ211は、第2電源回路216を経由して、第2インバータ回路220と接続される。電源回路116、216は、例えば電源リレーである。
第1車両通信コネクタ112は第1車両通信網195に接続され、第2車両通信コネクタ212は第2車両通信網295に接続される。図8では、車両通信網195、295として、CAN(Controller Area Network)を例示しているが、CAN-FD(CAN with Flexible Data rate)やFlexRay等、どのような規格のものでもよい。
第1車両通信コネクタ112は、第1車両通信回路117を経由して、第1制御部131と接続される。第1制御部131は、車両通信コネクタ112および車両通信回路117を経由して、車両通信網と情報を授受可能である。第2車両通信コネクタ212は、第2車両通信回路217を経由して、第2制御部231と接続される。第2制御部231は、車両通信コネクタ212および車両通信回路217を経由して、車両通信網と情報を授受可能である。
トルクコネクタ113、213は、トルクセンサ94と接続される。詳細には、第1トルクコネクタ113は、トルクセンサ94の第1センサ部194と接続される。第2トルクコネクタ213は、トルクセンサ94に第2センサ部294と接続される。図8では、第1センサ部194を「トルクセンサ1」、第2センサ部294を「トルクセンサ2」と記載した。
第1制御部131は、トルクコネクタ113およびトルクセンサ入力回路118を経由して、トルクセンサ94の第1センサ部194から操舵トルクTsに係るトルク信号を取得可能である。第2制御部231は、トルクコネクタ213およびトルクセンサ入力回路218を経由して、トルクセンサ94の第2センサ部294から操舵トルクTsに係るトルク信号を取得可能である。これにより、制御部131、231は、トルク信号に基づき、操舵トルクTsを演算可能である。
第1インバータ回路120は、スイッチング素子121を有する3相インバータであって、第1モータ巻線180へ供給される電力を変換する。スイッチング素子121は、第1制御部131から出力される第1PWM信号PWM_u1*、PWM_v1*、PWM_w1*に基づいてオンオフ作動が制御される。
第2インバータ回路220は、スイッチング素子221を有する3相インバータであって、第2モータ巻線280へ供給される電力を変換する。スイッチング素子221は、第2制御部231から出力される第2PWM信号PWM_u2*、PWM_v2*、PWM_w2*に基づいてオンオフ作動が制御される。本実施形態では、PWM信号PWM_u1*、PWM_v1*、PWM_w1*、PWM_u2*、PWM_v2*、PWM_w2*が「制御信号」に対応する。
第1電流センサ125は、第1モータ巻線180の各相に通電される第1U相電流Iu1、第1V相電流Iv1、および、第1W相電流Iw1を検出し、検出値を第1制御部131に出力する。第2電流センサ225は、第2モータ巻線280の各相に通電される第2U相電流Iu2、第2V相電流Iv2、および、第2W相電流Iw2を検出し、検出値を第2制御部231に出力する。以下、U相電流、V相電流およびW相電流を、適宜まとめて「相電流」または「3相電流」とする。また、d軸電流およびq軸電流を、適宜まとめて「dq軸電流」とする。電圧についても同様とする。
第1回転角センサ126は、モータ80の回転角を検出し、第1制御部131に出力する。第2回転角センサ226は、モータ80の回転角を検出し、第2制御部231に出力する。本実施形態では、第1回転角センサ126の検出値に基づく電気角を第1電気角EleAng1、第2回転角センサ226の検出値に基づく電気角を第2電気角EleAng2とする。
第1温度センサ127は、例えば第1インバータ回路120が設けられる領域に配置され、第1系統L1に係る温度を検出する。第2温度センサ227は、例えば第2インバータ回路220が設けられる領域に配置され、第2系統L2に係る温度を検出する。温度センサ127、227は、ヒートシンク465の温度を検出するものであってもよいし、基板470の温度を検出するものであってもよいし、インバータ回路120、220の素子温度を検出するものであってもよいし、モータ巻線180、280の温度を検出するものであってもよい。
第1制御部131には、第1電源コネクタ111および図示しないレギュレータ等を経由して給電される。第2制御部231には、第2電源コネクタ211および図示しないレギュレータ等を経由して給電される。第1制御部131および第2制御部231は、制御部間にて相互に通信可能に設けられる。以下適宜、制御部131、231間の通信を、「マイコン間通信」という。制御部131、231間の通信方法は、SPIやSENT等のシリアル通信や、CAN通信、FlexRay通信等、どのような方法を用いてもよい。
制御部131、231の詳細を図9に示す。制御部131、231は、マイコン等を主体として構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部131、231における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
マスター制御部である第1制御部131は、dq軸電流演算部140、アシストトルク指令演算部141、q軸電流指令演算部142、d軸電流指令演算部143、第1電流フィードバック演算部150、第1の3相電圧指令演算部161、第1PWM演算部163、第1信号出力部165、および、第1通信部170を有する。以下適宜、フィードバックを「FB」と記載する。
第1dq軸電流演算部140は、第1電流センサ125から取得される相電流Iu1、Iv1、Iw1を、第1電気角EleAng1を用いてdq軸変換し、第1d軸電流検出値Id1および第1q軸電流検出値Iq1を演算する。
アシストトルク指令演算部141は、トルクセンサ入力回路118を経由してトルクセンサ94から取得されるトルク信号、および、車両通信回路117を経由して車両通信網195から取得される車速等に基づき、トルク指令値としてのアシストトルク指令値Trq*を演算する。アシストトルク指令値Trq*は、電流指令演算部142に出力される。また、アシストトルク指令値Trq*は、車両通信回路117を経由して、電動パワーステアリング装置8以外の装置に提供される。
q軸電流指令演算部142は、アシストトルク指令値Trq*に基づき、q軸電流指令値Iq*を演算する。本実施形態のq軸電流指令値Iq*は、アシストトルク指令値Trq*のトルクの出力に要する2系統合計のq軸電流値とする。当該q軸電流値は、アシストトルク指令値Trq*にモータトルク定数を乗じることで求められる。
d軸電流指令演算部143は、d軸電流指令値Id*を演算する。本実施形態では、q軸電流指令値Iq*、および、d軸電流指令値Id*が、「電流和指令値」に対応する。
第1電流フィードバック演算部150は、dq軸電流指令値Id*、Iq*、および、dq軸電流検出値Id1、Iq1、Id2、Iq2に基づく電流フィードバック演算を行い、第1d軸電圧指令値Vd1*、および、第1q軸電圧指令値Vq1*を演算する。電流フィードバック演算の詳細は後述する。本実施形態では、dq軸電流指令値Id*、Iq*を電流和指令値とする「和と差の制御」により、第1dq軸電圧指令値Vd1*、Vq1*を演算する。和と差の制御を行うことで、相互インダクタンスの影響を打ち消すことができる。
第1の3相電圧指令演算部161は、第1dq軸電圧指令値Vd1*、Vq1*を、第1電気角EleAng1を用いて逆dq変換し、第1U相電圧指令値Vu1*、第1V相電圧指令値Vv1*、および、第1W相電圧指令値Vw1*を演算する。
第1PWM演算部163は、3相電圧指令値Vu1*、Vv1*、Vw1*に基づき、第1PWM信号PWM_u1*、PWM_v1*、PWM_w1*を演算する。
第1信号出力部165は、第1PWM信号PWM_u1*、PWM_v1*、PWM_w1*を第1インバータ回路120に出力する。
第1通信部170は、第1送信部171および第1受信部172を有し、第2通信部270と通信を行う。第1送信部171は、第1制御部131にて演算された値を、第2制御部231に送信する。本実施形態では、第1送信部171は、d軸電流指令値Id*、q軸電流指令値Iq*、第1d軸電流検出値Id1および第1q軸電流検出値Iq1を第2制御部231に送信する。第1受信部172は、第2制御部231から送信される値を受信する。本実施形態では、第1受信部172は、第2d軸電流検出値Id2および第2q軸電流検出値Iq2を受信する。
制御部131、231間で送受信される電流指令値および電流検出値は、dq軸の値に替えて3相の値であってもよいが、dq軸の値を送受信した方が、データ量を抑えることができる。また、d軸電流検出値Id1、Id2の送受信は行わなくてもよい。
スレーブ制御部である第2制御部231は、第2dq軸電流演算部240、第2電流フィードバック演算部250、第2の3相電圧指令値演算部261、第2PWM演算部263、第2信号出力部265、および、第2通信部270を有する。
第2dq軸電流演算部240は、第2電流センサ225から取得される相電流Iu2、Iv2、Iw2を、第2電気角EleAng2を用いてdq軸変換し、第2d軸電流検出値Id2および第2q軸電流検出値Iq2を演算する。
第2電流フィードバック演算部250は、dq軸電流指令値Id*、Iq*、および、dq軸電流検出値Id1、Iq1、Id2、Iq2に基づく電流フィードバック演算を行い、第2d軸電圧指令値Vd2*、および、第2q軸電圧指令値Vq2*を演算する。本実施形態では、dq軸電流指令値Id*、Iq*を電流和指令値とする「和と差の制御」により、第2dq軸電圧指令値Vd2*、Vq2*を演算する。
第2電流フィードバック演算部250は、第1制御部131から送信されたdq軸電流指令値Id*、Iq*を用いて電流フィードバック演算を行う。換言すると、第1制御部131および第2制御部231は、同一の電流指令値Id*、Iq*を用いて電流フィードバック演算を行っている、ということである。
第2の3相電圧指令演算部261は、第2dq軸電圧指令値Vd2*、Vq2*を、第2電気角EleAng2を用いて逆dq変換し、第2U相電圧指令値Vu2*、第2V相電圧指令値Vv2*、および、第2W相電圧指令値Vw2*を演算する。電圧指令演算部161、261は、通電位相差が電気角30[deg]となるように、電圧指令値Vu1*、Vv1*、Vw1*、Vu2*、Vv2*、Vw2*を演算する。
第2PWM演算部263は、3相電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*に基づき、第2PWM信号PWM_u2*、PWM_v2*、PWM_w2*を演算する。第2信号出力部265は、第2PWM信号PWM_u2*、PWM_v2*、PWM_w2*を第2インバータ回路220に出力する。
第2通信部270は、第2送信部271および第2受信部272を有する。第2送信部271は、第2制御部231にて演算された値を、第1制御部131に送信する。本実施形態では、第2送信部271は、第2d軸電流検出値Id2および第2q軸電流検出値Iq2を送信する。第2受信部272は、第1制御部131から送信される値を受信する。本実施形態では、第2受信部272は、d軸電流指令値Id*、q軸電流指令値Iq*、第1d軸電流検出値Id1および第1q軸電流検出値Iq1を受信する。
電流フィードバック演算部150、250の詳細を図10に基づいて説明する。図10では、便宜上、送信部171、271のブロックを分けて記載した。また、第2の3相電圧指令演算部261および第2PWM演算部263を1つのブロックにまとめて記載し、信号出力部165、265およびインバータ回路120、220等を省略した。図10では、q軸に係る電流フィードバック演算を中心に説明する。d軸に係る電流フィードバック演算は、q軸と同様であるので説明を省略する。後述の図15および図27についても同様である。
第1電流フィードバック演算部150は、加算器151、減算器152~154、制御器155、156、および、加算器157を有する。加算器151は、第1q軸電流検出値Iq1と第2q軸電流検出値Iq2とを加算し、第1q軸電流和Iq_a1を演算する。減算器152は、第1q軸電流検出値Iq1から第2q軸電流検出値Iq2を減算し、第1q軸電流差Iq_d1を演算する。
減算器153は、q軸電流指令値Iq*から第1q軸電流和Iq_a1を減算し、第1電流和偏差ΔIq_a1を演算する。減算器154は、電流差指令値から第1q軸電流差Iq_d1を減算し、第1電流差偏差ΔIq_d1を演算する。本実施形態では、電流差指令値を0とし、系統間の電流差をなくすように制御する。電流差指令値を0以外の値とし、所望の電流差が系統間で生じるように制御してもよい。減算器254に入力される電流差指令値についても同様である。
制御器155は、電流和偏差ΔIq_a1が0となるように、例えばPI演算等により、基本q軸電圧指令値Vq_b1*を演算する。制御器156は、電流差偏差ΔIq_d1が0となるように、例えばPI演算等により、q軸電圧差分指令値Vq_d1*を演算する。加算器157は、基本q軸電圧指令値Vq_b1*とq軸電圧差分指令値Vq_d1*とを加算し、第1q軸電圧指令値Vq1*を演算する。
第2電流フィードバック演算部250は、加算器251、減算器252~254、制御器255、256、および、減算器257を有する。加算器251は、第1q軸電流検出値Iq1と第2q軸電流検出値Iq2とを加算し、q軸電流和Iq_a2を演算する。減算器252は、第1q軸電流検出値Iq1から第2q軸電流検出値Iq2を減算し、q軸電流差Iq_d2を演算する。
本実施形態では、加算器151、251では、同一の値を用いるので、q軸電流和Iq_a1、Iq_a2は同一の値となる。また、後述の第6実施形態のように、異なる制御周期の値を用いる場合、q軸電流和Iq_a1、Iq_a2は異なる値となる。q軸電流差Iq_d1、Iq_d2も同様である。
減算器253は、q軸電流指令値Iq*から第2q軸電流和Iq_a2を減算し、第2電流和偏差ΔIq_a2を演算する。減算器254は、電流差指令値から第2q軸電流差Iq_d2を減算し、第2電流差偏差ΔIq_d2を演算する。減算器254に入力される電流差指令値は、第1制御部131から送信される値であってもよいし、第2制御部231にて内部的に設定される値であってもよい。
制御器255は、電流和偏差ΔIq_a2が0となるように、例えばPI演算等により、基本q軸電圧指令値Vq_b2*を演算する。制御器256は、電流差偏差ΔIq_d2が0となるように、例えばPI演算等により、q軸電圧差分指令値Vq_d2*を演算する。減算器257は、基本q軸電圧指令値Vq_b2*からq軸電圧差分指令値Vq_d2*を減算し、第2q軸電圧指令値Vq2*を演算する。
本実施形態の演算処理を図11のタイムチャートに基づいて説明する。図11は、共通時間軸を横軸として、上段から、第1制御部の電流取得タイミング、第1制御部における演算処理、マイコン間通信、第2制御部の電流取得タイミング、第2制御部における演算処理を示す。図10では、今回の制御周期をP(n)とし、開始タイミングに「P(n)」と記載した。また、次回の制御周期をP(n+1)とした。図11では、主に、マイコン間通信にて送受信される電流制御に係る値を中心に記載し、自系統内にて用いられる値等の記載は適宜省略した。後述の実施形態に係るタイムチャートも同様である。
図11に示すように、第1制御部131では、時刻x1から時刻x2において、アシストトルク指令演算部141がアシストトルク指令値Trq*を演算し、続く時刻x3から時刻x4にて、電流指令演算部142、143が電流指令値Id*、Iq*を演算する。
また、第1制御部131は、時刻x5から時刻x6にて、電流センサ125から相電流Iu1、Iv1、Iw1を取得し、時刻x7から時刻x8にてdq軸電流検出値Id1、Iq1を演算する。同様に、第2制御部231は、時刻x5から時刻x6にて、電流センサ125から相電流Iu2、Iv2、Iw2を取得し、時刻x7から時刻x8にて電流検出値Id2、Iq2を演算する。なお、ここでは、制御部131、231における電流取得およびdq変換タイミングが同時であるが、マイコン間通信が開始する時刻x9に間に合う範囲内でのずれは、許容される。また、マイコン間通信後の処理についても、制御周期内に収まる程度のずれは許容される。後述の実施形態についても同様である。
時刻x9から時刻x10において、制御部131、231間でマイコン間通信を行い、dq軸電流検出値Id1、Iq1、Id2、Iq2を相互に送受信する。また、第1制御部131から第2制御部231に、dq軸電流指令値Id*、Iq*を送信する。そして、各制御部131、231において、マイコン間通信終了後の時刻x11から、電流FB演算、3相電圧指令演算、および、PWM指令演算を行い、PWM指令演算後の時刻x15にて、PWM信号を各インバータ回路120、220に出力、反映する。
本実施形態では、電流フィードバック演算の開始前にマイコン間通信を行い、電流フィードバック演算に必要な情報を授受している。これにより、制御部131、231にて、同一の値を用いて電流フィードバック演算を行うことができる。
本実施形態では、第1制御部131にて演算されるアシストトルク指令値Trq*を共通に用いることで、電動パワーステアリング装置8以外の車載装置に提供される情報を統一することができる。また、両系統で統一のアシストトルク指令値Trq*を用いて制御信号を生成することで、各系統で異なるアシストトルク指令値が算出された場合の不整合に対する調停の複雑さをなくすことができる。
また、電流フィードバック演算部150、250は、2系統の電流和および電流差を制御している。電流和を制御することで、アシストトルク指令値Trq*と出力トルクとのずれを低減可能であり、所望のトルクをモータ80から出力することができる。また、系統間の電流差が0となるように制御しているので、各系統での発熱を均等にすることができる。また、電圧変動時や発熱により電流制限等の制限処理が行われる場合や、一方の系統に異常が発生し、他方の系統を用いて駆動するバックアップ制御時等における制御の複雑さを低減することができる。
以上説明したように、本実施形態のECU10は、複数の巻線組であるモータ巻線180、280を備えるモータ80の駆動を制御するものであって、複数のインバータ回路120、220と、複数の制御部131、231を備える。
制御部131、231は、対応して設けられるインバータ回路120、220に制御信号を出力する信号出力部165、265を有し、相互に通信可能である。詳細には、第1制御部131は、対応して設けられる第1インバータ回路120に制御信号である第1PWM信号PWM_u1*、PWM_v1*、PWM_w1*を出力する。第2制御部231は、対応して設けられる第2インバータ回路220に制御信号である第2PWM信号PWM_u2*、PWM_v2*、PWM_w2*を出力する。
1つのマスター制御部である第1制御部131は、全ての制御部131、231における制御信号の生成に係る指令値を演算し、他の制御部である第2制御部231に指令値を送信する。スレーブ制御部である第2制御部231は、第1制御部131から送信される指令値に基づく制御信号を出力する。
本実施形態では、1つのマスター制御部にて演算される指令値を、スレーブ制御部に送信することで、第1系統L1と第2系統L2とを適切に協調動作させることができる。ここで、「協調」とは、マスター制御部にて演算された「指令値」に基づき、マスター系統およびスレーブ系統の通電を制御することを意味する。特に、各系統の検出値を共通に用いて各系統の通電を制御することで、各系統を協調させることが望ましい。
第1制御部131は、指令値として、dq軸電流指令値Id*、Iq*を第2制御部231に送信する。こにれより、系統L1、L2を協調させて、適切に電流フィードバック制御を行うことができる。
第1制御部131は、第1系統L1の電流検出値である第1dq軸電流検出値Id1、Iq1を第2制御部231に送信する。第2制御部231は、第2系統L2の電流検出値である第2dq軸電流検出値Id2、Iq2を第1制御部131に送信する。本実施形態では、第1dq軸電流検出値Id1、Iq1が「マスター電流検出値」、第2dq軸電流検出値Id2、Iq2が「スレーブ電流検出値」に対応する。マスター電流検出値およびスレーブ電流検出値は、例えば3相電流検出値であってもよく、dq軸電流に限らない。
第1制御部131および第2制御部231は、それぞれにおいて、マスター系統である第1系統L1およびスレーブ系統である第2系統L2の電流和が電流指令値Id*、Iq*となり、電流差が電流差指令値となるように制御する。
電流和を制御することで、アシストトルク指令値Trq*通りにモータ80からアシストトルクを出力させることができる。また、電流差を制御することで、系統間の電流差を適切に制御することができる。特に、電流差指令値を0とすることで、系統間の電流差をなくすことができるので、各系統の発熱を均等にすることができる。また、電源電圧の変動や発熱により電流制限時、または、故障発生によるバックアップ制御や片系統駆動に移行する際の制御の複雑さを低減することができる。
第1制御部131および第2制御部231は、電流検出値Id1、Iq1、Id2、Iq2の演算後であって、電流フィードバック制御が開始するまでの期間に、電流フィードバック制御に必要な情報の送受信を行う。具体的には、第1dq軸電流検出値Id1、Iq1および第2dq軸電流検出値Id2、Iq2を相互に送受信し、dq軸電流指令値Id*、Iq*を第1制御部131から第2制御部231に送信する。
これにより、制御部131、231は、今回の制御周期における電流指令値Id*、Iq*および電流検出値Id1、Iq1、Id2、Iq2を用いて電流フィードバック制御を行うことができる。
本実施形態のECU10は、電動パワーステアリング装置8に適用される。電動パワーステアリング装置8は、ECU10と、モータ80と、減速ギア89と、を備える。モータ80は、運転者によるステアリングホイール91の操舵を補助するアシストトルクを出力する。減速ギア89は、モータ80の駆動力を、ステアリングシャフト92に伝達する。本実施形態では、マスター制御部である第1制御部131にて演算されるアシストトルク指令値Trq*に基づいて、2系統を協調動作させているので、アシストトルクを適切に出力することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態を図12および図13に示す。第2実施形態~第5実施形態、および、第7実施形態では、制御部が異なっているので、この点を中心に説明する。図12に示すように、マスター制御部である第1制御部132は、第1実施形態と同様、dq軸電流演算部140、アシストトルク指令演算部141、q軸電流指令演算部142、d軸電流指令演算部143、第1電流フィードバック演算部150、第1の3相電圧指令演算部161、第1PWM演算部163、第1信号出力部165、および、第1通信部170を有する。
スレーブ制御部である第2制御部232は、第2dq軸電流演算部240、第2電流フィードバック演算部250、第2の3相電圧指令値演算部261、第2PWM演算部263、第2信号出力部265、および、第2通信部270に加え、q軸電流指令演算部242およびd軸電流指令演算部243を有する。
第1実施形態では、「指令値」として電流指令値Id*、Iq*が第1制御部131から第2制御部231に送信される。本実施形態では、電流指令値Id*、Iq*に替えて、アシストトルク指令値Trq*が「指令値」として、第1制御部132から第2制御部232に送信される。すなわち本実施形態では、第1通信部170は、トルク指令値Trq*および電流検出値Id1、Iq1を第2通信部270に送信し、第2通信部270は、電流検出値Id2、Iq2を第1通信部170に送信する。
q軸電流指令演算部242は、第1制御部132から送信されたアシストトルク指令値Trq*に基づき、q軸電流指令値Iq*を演算する。d軸電流指令演算部243は、d軸電流指令値Id*を演算する。そして、第2電流フィードバック演算部250は、電流指令演算部242、243にて演算された電流指令値Id*、Iq*、および、電流検出値Id1、Iq1、Id2、Iq2に基づいて電流フィードバック演算を行い、第2d軸電圧指令値Vd2*、および、第2q軸電圧指令値Vq2*を演算する。
本実施形態の演算処理を図13のタイムチャートに基づいて説明する。時刻x1~x8までの処理は、図11と同様である。時刻x9から時刻x10において、制御部132、232間でマイコン間通信を行い、電流検出値Id1、Iq1、Id2、Iq2を相互に送受信する。また、第1制御部132から第2制御部232に、アシストトルク指令値Trq*を送信する。
マイコン間通信終了後の時刻x21から時刻x22において、第2制御部232では、第1制御部132から送信されたアシストトルク指令値Trq*に基づき、電流指令演算部242、243が電流指令値Id*、Iq*を演算する。そして、時刻x22以降において、図11の時刻x11以降と同様、電流フィードバック制御およびこれに続く各処理が行われ、時刻x25にて、PWM信号を各インバータ回路120、220に出力、反映する。
本実施形態では、第1制御部132で演算されたアシストトルク指令値Trq*を制御部132、232にて共用しているので、上記実施形態と同様の効果を奏する。また、電流指令値Id*、Iq*を送受信する場合と比較し、マイコン間通信におけるデータ量を低減することができる。
本実施形態では、第1制御部132は、指令値として、トルク指令値であるアシストトルク指令値Trq*を第2制御部232に送信する。このようにしても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第3実施形態)
第3実施形態を図14~図16に示す。
図14に示すように、マスター制御部である第1制御部133は、dq軸電流演算部140、アシストトルク指令演算部141、q軸電流指令演算部142、d軸電流指令演算部143、電流フィードバック演算部175、第1の3相電圧指令演算部161、第1PWM演算部163、第1信号出力部165、および、第1通信部170を有する。
電流フィードバック演算部175は、dq軸電流指令値Id*、Iq*、および、dq軸電流検出値Id1、Iq1、Id2、Iq2に基づく電流フィードバック演算を行い、dq軸電圧指令値Vd1*、Vq1*、Vd2*、Vq2*を演算する。
スレーブ制御部である第2制御部233は、dq軸電流演算部240、第2の3相電圧指令値演算部261、第2PWM演算部263、第2信号出力部265、および、第2通信部270を有する。
図15に示すように、第1制御部133の電流フィードバック演算部175は、第1電流フィードバック演算部150および第2電流フィードバック演算部350を有する。第1電流フィードバック演算部150における処理は、第1実施形態と同様であって、第1dq軸電圧指令値Vd1*、Vq1*を演算する。
第2電流フィードバック演算部350は、第2dq軸電圧指令値Vd2*、Vq2*を演算するものであって、加算器351、減算器352~354、制御器355、356、および、減算器357を有する。第2電流フィードバック演算部350は、上記実施形態の第2制御部231の第2電流フィードバック演算部250と同様であって、加算器351、減算器352~353、制御器355、356および減算器357における各処理は、下2桁が対応する加算器251、減算器252~254、制御器255、256、および、減算器257の処理と同様である。なお、本実施形態では、第2電流フィードバック演算部350が第1制御部133内に設けられているので、第1dq軸電流検出値Id1、Iq1は、内部的に取得された値が用いらる。また、第2dq軸電流検出値Id2、Iq2は、マイコン間通信にて第2制御部233から送信された値が用いられる。
第1制御部133の電流フィードバック演算部175にて演算された第2dq軸電圧指令値Vd2*、Vq2*は、送信部171から第2制御部233に送信される。すなわち本実施形態では、「指令値」として第2dq軸電圧指令値Vd2*、Vq2*、第1制御部133から第2制御部233に送信される。第2の3相電圧指令演算部261は、第1制御部133から送信された第2dq軸電圧指令値Vd2*、Vq2*を逆dq変換し、第2の3相電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*を演算する。
本実施形態では、第1通信部170は、第2dq軸電圧指令値Vd2*、Vq2*を第2制御部233に送信し、第2通信部270は、第2dq軸電流検出値Id2、Iq2を第1制御部133に送信する。
本実施形態では、電流FB演算が第1制御部133にて行われているので、第1制御部133から第2制御部233に対して、第1dq軸電流検出値Id1、Iq1を送信する必要がない。したがって、第1制御部133から第2制御部233への第1dq軸電流検出値Id1、Iq1の送信を省略可能である。後述の第4実施形態および第5実施形態も同様である。
本実施形態の演算処理を図16のタイムチャートに基づいて説明する。時刻x41~x48までの処理は、図11の時刻x1~x8までの処理と同様である。時刻x49~x50において、制御部133、233間で当該制御周期における1回目のマイコン間通信が行われる。本実施形態では、1回目のマイコン間通信にて、第2dq軸電流検出値Id2、Iq2が第2制御部233から第1制御部133に送信される。
1回目のマイコン間通信終了後の時刻x51から、第1制御部133にて、電流FB演算が行われる。また、電流FB演算終了後の時刻x52~x53にて、2回目のマイコン間通信が行われる。2回目のマイコン間通信では、第2dq軸電圧指令値Vd2*、Vq2*が、第1制御部133から第2制御部233に送信される。
2回目のマイコン間通信後のx54以降にて、制御部133、233は、3相電圧指令演算、および、PWM指令演算を行い、PWM指令演算後の時刻x55にて、PWM信号を各インバータ回路120、220に出力、反映する。
本実施形態では、第1制御部133は、第1系統L1に係る第1dq軸電圧指令値Vd1*、Vq2*、および、第2系統L2に係る第2dq軸電圧指令値Vd2*、Vq2*を演算する。第1制御部133は、第2dq軸電圧指令値Vd2*、Vq2*を指令値として第2制御部233に送信する。本実施形態では、第2dq軸電圧指令値Vd2*、Vq2*が「スレーブ電圧指令値」に対応する。これにより、第2制御部233における電流フィードバック演算を省略することができる。
第2制御部233は、スレーブ電流検出値である第2dq軸電流検出値Id2、Iq2を第1制御部133に送信する。第1制御部133は、マスター電流検出値である第1dq軸電流検出値Id1、Iq1、および、第2dq軸電流検出値Id2、Iq2に基づき、第1系統L1および第2系統L2の電流和が電流指令値Id*、Iq*となり、電流差が電流差指令値となるように、第1系統L1の電圧指令値である第1dq軸電圧指令値Vd1*、Vq1*、および、第2系統L2の電圧指令値である第2dq軸電圧指令値Vd2*、Vq2*を演算する。
電流和を制御することで、アシストトルク指令値Trq*通りにモータ80からアシストトルクを出力させることができる。また、系統間の電流差を所定値に制御することができる。特に、電流差指令値を0とすることで、系統間の電流差をなくすことができるので、各系統の発熱を均等にすることができる。また、電源電圧の変動や発熱により電流制限時、または、故障発生によるバックアップ制御や片系統駆動に移行する際の制御の複雑さを低減することができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第4実施形態)
第4実施形態を図17および図18に示す。図17に示すように、マスター制御部である第1制御部134は、dq軸電流演算部140、アシストトルク指令演算部141、q軸電流指令演算部142、d軸電流指令演算部143、電流フィードバック演算部175、3相電圧指令演算部162、第1PWM演算部163、第1信号出力部165、および、第1通信部170を有する。電流フィードバック演算部175にて演算されたdq軸電圧指令値Vd1*、Vq1*、Vd2*、Vq2*は、3相電圧指令演算部162に出力される。
3相電圧指令演算部162は、第1dq軸電圧指令値Vd1*、Vq1*を、第1電気角EleAng1を用いて逆dq変換し、第1U相電圧指令値Vu1*、第1V相電圧指令値Vv1*、および、第1W相電圧指令値Vw1*を演算する。第1の3相電圧指令値Vu1*、Vv1*、Vw1*は、第1PWM演算部163に出力され、第1PWM信号PWM_u1*、PWM_v1*、PWM_w1*の演算に用いられる。
また、3相電圧指令演算部162は、第2dq軸電圧指令値Vd2*、Vq2*を、第2電気角EleAng2を用いて逆dq変換し、第2U相電圧指令値Vu2*、第2V相電圧指令値Vv2*、および、第2W相電圧指令値Vw2*を演算する。本実施形態では、第2制御部234から送信される第2電気角EleAng2を逆dq変換に用いるが、第2電気角EleAng2を第2制御部234から取得せず、第1制御部134内部にて、第1電気角EleAng1から第2電気角EleAng2を求めて、逆dq変換に用いてもよい。第5実施形態についても同様である。
第2の3相電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*は、送信部171から第2制御部234に送信される。すなわち本実施形態では、「指令値」として、第2の3相電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*が第1制御部134から第2制御部234へ送信される。
スレーブ制御部である第2制御部234は、dq軸電流演算部240、第2PWM演算部263、第2信号出力部265、および、第2通信部270を有する。第2PWM演算部263は、第1制御部134から送信される3相電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*を用いて第2PWM信号PWM_u2*、PWM_v2*、PWM_w2*を演算する。
本実施形態では、第1通信部170は、第2の3相電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*を第2制御部234に送信し、第2通信部270は、第2dq軸電流検出値Id2、Iq2および第2電気角EleAng2を第1制御部134に送信する。
本実施形態の演算処理を図18のタイムチャートに基づいて説明する。本実施形態では、第3実施形態と同様、1回の制御周期において、2回のマイコン間通信が行われる。1回目のマイコン間通信までの処理は、第3実施形態と同様である。本実施形態では、1回目のマイコン間通信において、dq軸電流検出値Id2、Iq2、および、第2電気角EleAng2が、第2制御部234から第1制御部134に送信される。第5実施形態も同様である。
1回目のマイコン間通信終了後の時刻x61から、第1制御部134にて電流FB演算が行われ、続いて3相電圧指令演算が行われる。また、3相電圧指令演算終了後の時刻x62~x63にて、2回目のマイコン間通信が行われる。2回目のマイコン間通信では、第2の3相電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*が、第1制御部134から第2制御部234に送信される。
2回目のマイコン間通信後の時刻x64以降にて、制御部134、234は、PWM指令演算を行い、PWM指令演算後の時刻x65にて、PWM信号を各インバータ回路120、220に出力、反映する。
本実施形態では、dq軸電圧指令値Vd2*、Vq2*に替えて、3相電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*を第1制御部134から第2制御部234に送信する点を除き、概ね第3実施形態と同様である。本実施形態では、3相電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*が「スレーブ電圧指令値」に対応する。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第5実施形態)
第5実施形態を図19および図20に示す。
図19に示すように、マスター制御部である第1制御部135は、dq軸電流演算部140、アシストトルク指令演算部141、q軸電流指令演算部142、d軸電流指令演算部143、電流フィードバック演算部175、3相電圧指令演算部162、PWM演算部164、第1信号出力部165、および、第1通信部170を有する。
本実施形態では、電流フィードバック演算部175および3相電圧指令演算部162は、第4実施形態と同様である。3相電圧指令演算部162にて演算された3相電圧指令値Vu1*、Vv1*、Vw1*、Vu2*、Vv2*、Vw2*は、PWM演算部164に出力される。
PWM演算部164は、第1の3相電圧指令値Vu1*、Vv1*、Vw1*に基づき、第1PWM信号PWM_u1*、PWM_v1*、PWM_w1*を演算する。第1PWM信号PWM_u1*、PWM_v1*、PWM_w1*は、信号出力部165から第1インバータ回路120に出力される。また、PWM演算部164は、第2の3相電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*に基づき、第2PWM信号PWM_u2*、PWM_v2*、PWM_w2*を演算する。第2PWM信号PWM_u2*、PWM_v2*、PWM_w2*は、送信部171から第2制御部235に送信される。
スレーブ制御部である第2制御部235は、dq軸電流演算部240、第2信号出力部265、および、第2通信部270を有する。第2信号出力部265は、第1制御部135から送信される第2PWM信号PWM_u2*、PWM_v2*、PWM_w2*を、第2インバータ回路220に出力する。すなわち本実施形態では、「指令値」として、第2PWM信号PWM_u2*、PWM_v2*、PWM_w2*が、第1制御部135から第2制御部235に送信される。
本実施形態では、第1通信部170は、第2PWM信号PWM_u2*、PWM_v2*、PWM_w2*を第2制御部235に送信し、第2通信部270は、第2dq軸電流検出値Id2、Iq2および第2電気角EleAng2を第1制御部135に送信する。
本実施形態の演算処理を図20のタイムチャートに基づいて説明する。本実施形態では、第3実施形態および第4実施形態と同様、1回の制御周期において、2回のマイコン間通信が行われる。1回目のマイコン間通信までの処理は、第3実施形態および第4実施形態と同様である。
1回目のマイコン間通信終了後の時刻x71から、電流FB演算が行われ、続いて3相電圧指令演算およびPWM指令演算が行われる。PWM指令演算終了後の時刻x72~x73にて、2回目のマイコン間通信が行われる。2回目のマイコン間通信では、第2PWM信号PWM_u2*、PWM_v2*、PWM_w2*が、第1制御部135から第2制御部235に送信される。2回目のマイコン間通信後の時刻x75にて、PWM信号が各インバータ回路120、220に出力、反映される。
本実施形態では、第1制御部135は、第1系統L1に係る第1PWM信号PWM_u1*、PWM_v1*、PWM_w1*、および、第2系統L2に係る第2PWM信号PWM_u2*、PWM_v2*、PWM_w2*を演算する。また、第1制御部135は、第2PWM信号PWM_u2*、PWM_v2*、PWM_w2*を指令値として第2制御部235に送信する。本実施形態では、第2PWM信号PWM_u2*、PWM_v2*、PWM_w2*が「スレーブ制御信号」に対応する。これにより、第2制御部235における電圧指令値の演算を省略することができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第6実施形態)
第6実施形態を図21に示す。本実施形態では、第1実施形態と同様、指令値としてdq軸電流指令値Id*、Iq*を、第1制御部131から第2制御部231へ送信し、各制御部131、231にて電流FB演算を行う場合を例に説明する。以下適宜、前回の制御周期P(n-1)にて演算された値には添え字(n-1)を付し、今回の制御周期P(n)にて演算された値には添え字(n)を付す。なお、前回の制御周期P(n-1)の時刻x83~x86における処理は、今回の制御周期P(n)の時刻x93~x96における処理と同様であるので、説明を省略する。
今回の制御周期P(n)において、時刻x91から時刻x92にて、制御部131、231間でマイコン間通信を行い、前回の制御周期P(n-1)にて演算されたdq軸電流検出値Id1(n-1)、Iq1(n-1)、Id2(n-1)、Iq2(n-1)を相互に送受信する。また、第1制御部131から第2制御部231に、dq軸電流指令値Id* (n-1)、Iq* (n-1)を送信する。
時刻x93にて、第1制御部131は、アシストトルク指令値Trq*およびdq軸電流指令値Id*、Iq*を演算する。時刻x94、x95では、第1制御部131は、相電流Iu1、Iv1、Iw1を取得し、dq軸電流検出値Id1(n)、Iq1(n)を演算する。また、第2制御部231は、相電流Iu2、Iv2、Iw2を取得し、dq軸電流検出値Id2(n)、Iq2(n)を演算する。
時刻x96にて、電流FB演算からPWM信号の出力、反映に至る一連の演算を行う。
本実施形態では、第1制御部131は、電流FB演算において、今回制御周期P(n)のdq軸電流指令値Id* (n)、Iq* (n)および自系統のdq軸電流検出値Id1(n)、Iq1(n)、ならびに、前回制御周期P(n-1)の他系統のdq軸電流検出値Id2(n-1)、Iq2(n-1)を用いる。
また、第2制御部231は、電流FB演算において、前回制御周期P(n-1)のdq軸電流指令値Id* (n-1)、Iq* (n-1)および他系統のdq軸電流検出値Id1(n-1)、Iq1(n-1)、ならびに、今回制御周期P(n)の自系統のdq軸電流検出値Id2(n)、Iq2(n)を用いる。
換言すると、本実施形態では、自系統にて演算される値については、今回制御周期P(n)の値を用い、他系統から取得する値については、前回制御周期P(n-1)の値を用いて、演算を行う。本実施形態のように、他系統から取得する値については、以前の制御周期に係る値を用いる場合についても、各系統に係る値を共通に用いて各系統の通電を制御する「協調動作」の概念に含まれるものとする。
これにより、dq軸電流検出値Id1、Iq1、Id2、Iq2の演算と、電流FB演算との間にマイコン間通信を行う必要がないので、dq軸電流検出値Id1、Iq1、Id2、Iq2の演算終了から電流FB演算開始までの期間を短くすることができる。したがって、電流FB演算の直前にマイコン間通信を行う場合と比較し、自系統に係る値については、より直近の電流検出値を電流FB演算に用いることができる。図21では、第1実施形態の制御部131、231を例に説明したが、第2実施形態~第5実施形態にて、他系統の電流検出値として、前回制御周期の値を用いるようにしてもよい。
本実施形態では、制御信号の演算に必要な情報のうち、他の制御部から取得するものは、前回の制御周期における値を用いる。本実施形態では、「制御信号の演算に必要な情報」は、dq軸電流検出値Id1、Iq1、Id2、Iq2、および、dq軸電流指令値Id*、Iq*である。他の制御部から取得する値として、前回の制御周期における値を用いることで、通信タイミングの自由度が高まる。本実施形態では、電流検出値Id1、Iq1、Id2、Iq2の演算後から電流フィードバック制御開始までの時間を短縮することができるので、自系統に係る値については、より直近の値を用いることができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第7実施形態)
第7実施形態を図22~図27に示す。図22に示すように、マスター制御部である第1制御部136は、第1実施形態の第1制御部131の各構成に加え、異常監視部190を有する。スレーブ制御部である第2制御部236は、第1実施形態の第2制御部231の各構成に加え、アシストトルク演算部241、q軸電流指令演算部242、d軸電流指令演算部243、および、異常監視部290を有する。図22では、各制御部136、236にて、d軸電流指令演算部およびq軸電流指令演算部を1つのブロックにまとめて記載した。
図22では、第1実施形態の制御部131、231に、異常監視部190、290等を設ける例を示しているが、第2実施形態~第5実施形態の各制御部132~135、232~235に、異常監視部190、290、および、PWM信号の演算に要する各ブロック等を設けるようにしてもよい。
第2制御部236のアシストトルク演算部241は、トルクセンサ入力回路218を経由してトルクセンサ94から取得されるトルク信号、および、車両通信回路217を経由して車両通信網から取得される車速等に基づき、トルク指令値としてのアシストトルク指令値Trq2*を演算する。q軸電流指令演算部242は、アシストトルク指令値Trq2*に基づき、q軸電流指令値Iq2*を演算する。d軸電流指令演算部243は、d軸電流指令値Id2*を演算する。
第2制御部236で演算される指令値Trq2*、Iq2*、Id2*は、マスター制御部である第1制御部136に異常が生じた場合や、通信異常が生じた場合等に用いられる。これにより、第1制御部136に異常が生じた場合や通信異常が生じた場合であっても、第2制御部236単独にて、制御を継続することができる。
第2制御部236は、第1制御部136からdq軸電流指令値Id*、Iq*を取得可能な場合、指令値Trq2*、Iq2*、Id2*の演算を行わなくてもよい。また、第2制御部236は、第1制御部136からdq軸電流指令値Id*、Iq*を取得可能な場合においても、各指令値Trq2*、Iq2*、Id2*の演算を行っていてもよい。これにより、第1制御部136から指令値を取得できなくなった場合、速やかに第2制御部236単独での制御に切り替えることができる。特に、フィルタ処理などの演算中間値によって制御出力が変わるロジックを含む場合であっても、演算開始遅れに伴う指令値の演算誤差を低減することができる。
異常監視部190、290は、自系統の異常、および、制御部136、236間におけるマイコン間通信の異常を監視する。自系統に係る異常情報は、マイコン間通信にて他系統の制御部に送信される。また、マイコン間通信にて、他系統に係る異常情報を取得する。これにより、異常状態が共有される。電流フィードバック演算部150、250では、異常監視部190、290の判定結果に応じた制御を行う。通信異常には、「制御部間通信異常」に対応するマイコン間通信異常の他、車両通信網195、295との通信異常がある。以下、単に「通信異常」という場合は、マイコン間通信異常を意味するものとする。
本実施形態では、上記実施形態と同様、第1制御部136にて演算された指令値を第2制御部236にマイコン間通信にて送信し、共通の指令値を用いてマスター系統およびスレーブ系統の通電を制御することで、各系統を協調動作させている。
ところで、制御部136、236間の通信線の断線や、ノイズ重畳による信号のビット化け等により、マイコン間通信に異常が生じる虞がある。そこで本実施形態では、異常監視部190、290にて、マイコン間通信の異常を監視するとともに、異常検出時にはバックアップ処置を行う。
ここで、マイコン間通信の通信フレーム詳細を図23に示す。図23(a)は、第1制御部136から第2制御部236に送信される信号の通信フレームを示している。第1制御部131から第2制御部231にd軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*を送信する場合、通信フレームには、q軸電流指令値Iq*を示す信号、d軸電流指令値Id*を示す信号、q軸電流検出値Iq1を示す信号、d軸電流検出値Id1を示す信号、ランカウンタ信号およびCRC(Cyclic Redundancy Check)信号が含まれる。
図23(b)は、第2制御部236から第1制御部136に送信される信号を示しており、通信フレームには、q軸電流検出値Iq2、d軸電流検出値Id2、ランカウンタ信号およびCRC信号が含まれる。第2制御部231~235から第1制御部131~135に送信される信号も同様である。
図23(c)は、第2実施形態の第1制御部132から送信される信号を示している。第2実施形態のように、第1制御部132から第2制御部232にアシストトルク指令値Trq*を送信する場合、通信フレームには、アシストトルク指令値Trq*を示す信号、q軸電流検出値Iq1を示す信号、d軸電流検出値Id1を示す信号、ランカウンタ信号およびCRC信号が含まれる。
図23(d)は、第3実施形態の第1制御部133から送信される信号を示している。第3実施形態のように、第1制御部133から第2制御部233にdq軸電圧指令値Vd2*、Vq2*を送信する場合、通信フレームには、q軸電圧指令値Vq2*を示す信号、d軸電圧指令値Vd2*を示す信号、ランカウンタ信号およびCRC信号が含まれる。
図23(e)は、第4実施形態の第1制御部134から送信される信号を示している。第4実施形態のように、第1制御部134から第2制御部234に3相電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*を送信する場合、通信フレームには、U相電圧指令値Vu2*を示す信号、V相電圧指令値Vv2*を示す信号、ランカウンタ信号およびCRC信号が含まれる。
図23(f)は、第5実施形態の第1制御部135から第2制御部235に送信される信号を示している。第5実施形態のように、第1制御部135から第2制御部235にPWM信号PWM_u2*、PWM_v2*、PWM_w2*を送信する場合、通信フレームには、PWM信号PWM_u2*、PWM_v2*、、PWM_w2*を示す信号、ランカウンタ信号およびCRC信号が含まれる。
q軸電流指令値、d軸電流指令値、q軸電流検出値およびd軸電流検出値に係る信号は、それぞれの物理量を所望の精度で表現可能なビット数であれば、いくつであってもよい。トルク指令値、電圧指令値およびPWM信号についても同様である。
また、ランカウンタ信号は、通信途絶を検出可能なビット数であればよく、例えば2ビットであればカウンタ数が0~3となり、4ビットであればカウンタ数が0~15となる、といった具合である。さらにまた、誤り検出信号であるCRC信号は、通信の信頼性を確保できるCRC多項式およびビット数であればよい。また、誤り検出信号は、通信の信頼性を検出できるのであれば、例えばチェックサム等、CRC以外の信号であってもよい。また、信号順を入れ替えたり、他の信号を追加したりしてもよい。第8実施形態についても同様である。
本実施形態の通信異常監視処理を図24のフローチャートに基づいて説明する。
ここでは、スレーブ側である第2制御部236での処理について説明する。この処理は、第2制御部236にて所定の周期で行われる。以下、ステップS101の「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記す。他のステップも同様である。
最初のS101では、第2制御部236は、第1制御部136から通信フレームを受信する。S102では、異常監視部290は、途絶判定処理を行う。S103では、異常監視部290は、整合性判定処理を行う。途絶判定処理および整合性判定処理は、処理順を入れ替えてもよいし、本処理とは別途に行われ、判定結果を取得するようにしてもよい。
途絶判定処理を説明するフローチャートを図25に示す。S121では、異常監視部290は、取得した通信フレーム中のランカウンタ信号から、カウント値RCを取得する。カウント値RCの今回値をRC(n)とする。
S122では、異常監視部290は、今回カウント値RC(n)と、前回のカウント値RCである前回カウント値RC(n-1)に1を加算した値とが一致するか否かを判断する。すなわち、式(ii)が成立するか否かを判断する。式(ii)が成立しないと判断された場合(S122:NO)、S123へ移行する。式(ii)が成立すると判断された場合(S122:YES)、S124へ移行する。
RC(n)=RC(n-1)+1 ・・・(ii)
S123では、異常監視部290は、通信途絶が生じていると判定し、通信途絶フラグをセットする。図中、各フラグがセットされている状態を「1」、セットされていない状態を「0」とする。
S124では、異常監視部290は、通信途絶が生じていないと判定し、通信途絶フラグをリセットする。また、今回カウント値RC(n)を図示しないメモリ等に記憶しておく。記憶された今回のカウント値は、次回の演算にて前回値として用いられる。ここでは、少なくとも最新のカウント値RCが保持されていればよい。
整合性判定処理を説明するフローチャートを図26に示す。S131では、異常監視部290は、通信フレームから、CRC信号に基づく値を取得する。ここで取得されたCRC値は、他系統である第1制御部136でCRC演算された値であり、以下、他系統CRC値とする。
S132では、異常監視部290は、通信フレームに基づき、誤り検出演算であるCRC演算によりCRC値を演算する。ここで演算される値は、第2制御部236にて内部的に演算された値であり、以下、自系統CRC値とする。
S133では、異常監視部290は、自系統CRC値と他系統CRC値とが一致するか否かを判断する。自系統CRC値と他系統CRC値とが一致しないと判断された場合(S133:NO)、S134へ移行する。自系統CRC値と他系統CRC値とが一致すると判断された場合(S133:YES)、S135へ移行する。
S134では、異常監視部290は、ビット化け等の通信整合性異常が生じていると判定し、通信整合性異常フラグをセットする。S135では、異常監視部290は、ビット化け等の通信整合性異常が生じていないと判定し、通信整合性異常フラグをリセットする。
図24に戻り、途絶判定処理および整合性判定処理に続いて移行するS104では、異常監視部290は、通信途絶フラグまたは通信整合性異常フラグがセットされているか否かを判断する。通信途絶フラグおよび通信整合性異常フラグがセットされていないと判断された場合(S104:NO)、S109へ移行する。通信途絶フラグまたは通信整合性異常フラグがセットされていると判断された場合(S104:YES)、S105へ移行する。
S105では、異常監視部290は、通信異常検出フラグをセットする。S106では、異常監視部290は、異常検出カウンタおよび計時カウンタをインクリメントする。異常検出カウンタは、異常検出回数をカウントするためのカウンタであり、計時カウンタは、異常が検出されてからの時間を計時するためのカウンタである。
S107では、異常監視部290は、異常検出カウンタのカウント値が確定判定閾値THfより大きいか否かを判断する。異常確定カウンタのカウント値が確定判定閾値THf以下であると判断された場合(S107:NO)、S113へ移行する。異常確定カウンタのカウント値が確定判定閾値THfより大きいと判断された場合(S107:YES)、S108へ移行する。
S108では、異常監視部290は、通信異常確定フラグをセットする。また、第2制御部236では、異常確定時処置に移行する。本実施形態の異常確定時処置は、他系統である第1系統L1から取得された値を使わない独立駆動制御である。
独立駆動制御を図27に基づいて説明する。ここでは、系統L1、L2はそれぞれ正常であって、マイコン間通信が異常であるものとする。また、マイコン間通信が正常である場合の制御は、図10にて説明した通りである。図27では、処理を停止する制御器156、256等のブロックを破線で記載した。
マイコン間通信の異常が確定された場合、第1制御部136は、第2制御部236から取得される値を用いずに電流フィードバック制御を行う。詳細には、第2系統L2に係る電流検出値Id2、Iq2を0にするとともに、差のPI演算を停止する。
第2制御部236は、第1制御部136から取得される値を用いずに電流フィードバック制御を行う。第2制御部236は、正常時、第1制御部136から取得されたdq軸電流指令値Id*、Iq*を用いて電流制御を行っている。一方、マイコン間通信の異常が確定された場合、第2制御部236は、第1制御部136から取得されるdq軸電流指令値Id*、Iq*に替えて、第2制御部236内部のdq軸電流指令演算部242、243にて演算されたdq軸電流指令値Id2*、Iq2*を用いて電流フィードバック演算を行う。また、第1系統L1に係る電流検出値Id1、Iq1を0にするとともに、差のPI演算を停止する。
図24に戻り、通信途絶フラグおよび通信整合性異常フラグがセットされていないと判断された場合(S104:NO)に移行するS109では、異常監視部290は、通信異常検出フラグがセットされているか否かを判断する。通信異常検出フラグがセットされていないと判断された場合(S109:NO)、S110へ移行する。通信異常検出フラグがセットされていると判断された場合(S109:YES)、S111へ移行する。
S110では、第2制御部236は、マイコン間通信により取得された値を用いた通常制御を継続する。また、今回の通信にて取得された各値をホールド値として、図示しない記憶部等に保持しておく。ここでは、少なくとも最新の値が保持されていればよい。第2制御部236では、dq軸電流指令値Id*、Iq*およびdq軸電流検出値Id1、Iq1を保持する。
S111では、異常監視部290は、計時カウンタをインクリメントする。S112では、異常監視部290は、計時カウンタのカウント値が経過判定閾値THtより大きいか否かを判断する。計時カウンタのカウント値が経過判定閾値THt以下であると判断された場合(S112:NO)、S113へ移行する。計時カウンタのカウント値が経過判定閾値THtより大きいと判断された場合(S112:YES)、S114へ移行する。
異常検出カウンタのカウント値が確定判定閾値THf以下(S107:NO)、または、計時カウンタのカウント値が経過判定閾値THt以下(S112:NO)に移行するS113では、異常監視部290は、マイコン間通信異常を未確定とし、異常検出時処置を行う。異常検出時処置では、マイコン間通信の異常が検出されていないときに第1制御部136から取得され、内部的にホールドされているホールド値を用いて電流フィードバック制御を行う。また、異常検出時処置は、異常確定時処置と同様、他系統から取得した値を用いない独立駆動制御であってもよい。
計時カウンタのカウント値が経過判定閾値THtより大きいと判断された場合(S112:YES)に移行するS114では、異常監視部290は、通信異常検出フラグをリセットする。また、検出されたマイコン間通信異常は、一時的なものであったとみなし、第1制御部136からマイコン間通信にて取得される値を用いた通常制御に復帰する。
第1制御部136における異常監視処理では、S110にて、ホールドされる値が異なる。すなわち、第1制御部136では、第2制御部236からdq軸電流指令値Id2*、Iq2*を取得していないので、dq軸電流検出値Id1、Id2をホールド値として保持する。その他の点については、第2制御部236での異常監視処理と略同様である。
本実施形態では、第1制御部136は、自系統の異常および通信異常を監視する異常監視部190を有する。また、第2制御部236は、自系統の異常および通信異常を監視する異常監視部290を有する。これにより、EUU10の異常を適切に検出することができる。
制御部136、236の一方から他方に送信される出力信号には、ランカウンタ信号が含まれる。異常監視部190、290は、ランカウンタ信号が更新されていない場合、制御部間通信異常として通信途絶が生じていると判定する。これにより、通信途絶を適切に検出することができる。
制御部136、236の一方から他方に送信される出力信号には、誤り検出信号であるCRC信号が含まれる。異常監視部190、290は、出力信号に含まれるCRC信号に基づく値である他系統CRC値と、出力信号に基づく誤り検出演算にて自身で演算した値である自系統CRC値とに基づき、制御部間通信異常である通信整合性異常を監視する。これにより、ビット化け等の通信整合性異常を適切に検出することができる。
異常監視部190、290は、異常が検出されてから所定の異常継続条件を満たした場合、異常を確定する。本実施形態では、異常が検出されてから所定期間内に異常カウンタのカウント値が確定判定閾値THfより大きくなった場合、所定の異常継続条件を満たしたとみなし、異常を確定させる。これにより、例えばノイズ等による一時的な異常による異常の誤確定を防ぐことができる。
制御部136、236は、異常が検出されていないときに、他の制御部から通信にて取得される値をホールド値として保持しておく。また、異常が検出されてから確定されるまでの間、ホールド値を用いて制御する。これにより、誤った情報を用いた制御が行われるのを防ぐことができる。
第2制御部236は、自系統に係る制御信号の生成に用いられる電流指令値Id2*、Iq2*を演算可能である。本実施形態では、電流指令値Id2*、Iq2*が「スレーブ指令値」に対応する。制御部136、236は、異常が検出されてから確定されるまでの間、他の制御部から取得される値を用いず、自身にて演算された指令および自系統の検出値を用いて制御信号を生成する独立駆動制御モードを行うようにしてもよい。また、制御部136、236は、異常が確定された場合、独立駆動制御モードを行う。これにより、誤った情報を用いた制御が行われるのを防ぐことができる。
制御部136、236を協調させて駆動する通常制御モードにおいて、複数系統(本実施形態では2系統)の電流和および電流差を制御している場合制御部136、236は、独立駆動制御モードにおいて、他の制御部から取得される電流検出値を0に設定するとともに、電流差の制御を停止する。後述の片系統駆動モードのときも同様である。これにより、正常時に和と差の制御を行っている場合であっても、通信異常時に適切に独立駆動制御モードに移行することができる。なお、「異常時」とは、異常が検出されてから確定されるまでの間、および、異常が確定されたときのいずれもを含む概念とする。
制御部136、236は、異常が検出されてから所定期間内に異常が確定されなかった場合、通常制御モードに復帰する。これにより、異常が確定されなかった場合、異常時制御モードから通常制御モードに適切に復帰させることができる。
本実施形態では、ECU10は、電動パワーステアリング装置8に適用される。本実施形態では、マイコン間通信の異常が検出された場合、異常確定前に異常検出時処置に移行しており、異常が確定された場合、独立駆動制御モードに移行している。これにより、マイコン間通信に異常検出された場合であっても、適切な処置が行われるので、車両としての安全性を確保可能である。
(第8実施形態)
第8実施形態を図28~図37に示す。第7実施形態では、マイコン間通信異常が生じた際の処理について説明した。本実施形態では、制御部136、236の電流FB演算部150、250は、発生した異常の種類に応じて制御モードを切り替える。ここで、異常の種類を、(1)マイコン間通信異常、(2)モータ制御ができない状態となる異常、(3)間接的にモータ制御に影響する異常、(4)系統間の指令値乖離に分類する。以下適宜、(1)~(4)の異常を、「異常(1)~(4)」とする。
(1)マイコン間通信異常が生じた場合、および、(4)系統間の指令値が乖離した場合、独立駆動制御に移行する。マイコン間通信異常の詳細は、第7実施形態にて説明した通りである。
(2)一方の系統にてモータ80の駆動を制御できない状態となる制御不能異常が生じた場合、他方の系統を用いてモータ80を駆動する片系統駆動制御に移行する。制御不能異常とは、バッテリ191、291からインバータ回路120、220を経由してモータ巻線180、280に至る駆動系の異常、モータ制御に必要な指令値の生成に用いられるセンサ異常、制御部131、231の異常等である。本実施形態では、モータ制御に必要な指令値の生成に用いられるセンサには、トルクセンサ94、電流センサ125、225、および、回転角センサ126、226が含まれる。片系統駆動制御では、正常系統では、独立駆動制御(図27参照)と同様、他の制御部から取得される電流検出値を0に設定するとともに、電流差の制御を停止する。異常系統では、電流FB制御および制御信号の出力を停止する。片系統駆動制御において、正常系統からの出力トルクは、2系統駆動時と同等であってもよい。また、片系統駆動制御において、トルク不足を補うべく、2系統駆動時よりも、出力トルクを高めるようにしてもよい。
(3)間接的にモータ制御に影響する異常が生じた場合、代替制御を行う。間接的にモータ制御に影響する異常とは、モータ制御は可能であるが、ユーザの意図通り、もしくは、予め設定された条件によるモータ制御ができない状態とする。間接的にモータ制御に影響する異常には、車両通信網195、295との通信異常、および、温度センサ127、227の異常等が含まれる。代替制御とは、異常である信号を用いず、代わりとなる代替情報を用いた制御である。例えば、車両通信異常が生じ、車速に係る情報を取得できない場合、車速に係る代替情報として、所定時速(例えば100km/h)の固定値を用いる。また例えば、温度センサ127、227に異常が生じた場合、温度に係る代替情報として、所定温度の固定値を用いる。所定温度は、過熱保護を要する温度に応じて設定される。
ここで、マイコン間通信の通信フレーム詳細を図28に示す。図28(a)~図28(f)は、図23(a)~(f)に対応しており、それぞれ、ランカウンタ信号の前に、自系統に係るステータス信号が追加されている。マスター側ステータス信号は、異常監視部190における第1系統L1の異常監視結果に応じた信号である。スレーブ側ステータス信号は、異常監視部290における第2系統L2の異常監視結果に応じた信号である。マスター側ステータス信号およびスレーブ側ステータス信号のビット数は、いくつであってもよく、他の系統に通知する異常項目に応じ、各異常項目の状態を表現可能なビット数とすることが望ましい。本実施形態では、ステータス信号を用いて制御部136、236にて異常状態を共有しているが、ステータス信号に替えて、異常である信号そのものや、状態遷移コード等、どのような情報により異常状態を共有してもよい。
制御モード切替処理を図29および図30のフローチャートに基づいて説明する。図29の処理は、マスター側である第1制御部136にて、所定の周期でされる。図29および図30中では説明を省略しているが、上記実施形態と同様、異常が検出されると、異常カウンタがインクリメントされ、カウンタ値が確定判定閾値THfより大きくなった場合に異常確定される。確定判定閾値THfは、異常の種類ごとに異なっていてもよい。異常検出から異常確定までの間は、上記実施形態と同様、内部的にホールドされているホールド値を用いた制御を行うものとする。
S201では、異常監視部190は、マイコン間通信異常である異常(1)が生じているか否かを判断する。本実施形態では、第7実施形態と同様に通信異常判定を行うが、異常判定方法は異なっていてもよい。異常(1)が生じていると判断された場合(S201:YES)、S202へ移行し、制御モードを独立駆動制御とする。異常(1)が生じていないと判断された場合(S201:NO)、S203へ移行する。
S203では、異常監視部190は、自系統にてモータ80を制御できない異常である異常(2)が生じているか否かを判断する。異常(2)が生じていないと判断された場合(S203:NO)、S206へ移行する。異常(2)が生じていると判断された場合(S203:YES)、S204へ移行する。
S204では、第1制御部136は、異常(2)が生じている旨の情報を自系統のステータス信号に含め、第2制御部236へ送信する。なお、説明の都合上、当該ステップにて信号を送信するものとするが、所定の通信タイミングにて送信部171から信号送信を行ってもよい。他の信号送受信に係るステップについても同様である。
S205では、第1制御部136は、自系統の制御モードを駆動停止とする。この場合、他系統が正常であれば、他系統側での片系統駆動にてモータ80が駆動される。
S206では、異常監視部190は、間接的にモータ制御に影響する異常である異常(3)が生じているか否かを判断する。異常(3)が生じていないと判断された場合(S206:NO)、S209へ移行する。異常(3)が生じていると判断された場合(S206:YES)、S207へ移行する。
S207では、異常(3)が生じている旨の情報を自系統のステータス信号に含め、第2制御部236へ送信する。S208では、制御部136は、制御モードを代替制御とする。
S209では、異常監視部190は、他系統のステータス情報を取得する。S210では、異常監視部190は、他系統のステータス情報に基づき、他系統に異常(2)が生じているか否かを判断する。他系統に異常(2)が生じていないと判断された場合(S210:NO)、S212へ移行する。他系統に異常(2)が生じていると判断された場合(S210:YES)、S211へ移行し、制御モードを片系統駆動制御とする。
S212では、異常監視部190は、系統間の指令乖離である異常(4)が生じているか否かを判断する。本実施形態では、異常(4)はスレーブ側にて判定し、マスター側である異常監視部190では、スレーブ側である第2制御部236から取得されるステータス情報に基づいて判断する。異常(4)が生じていると判断された場合(S212:YES)、S213へ移行し、制御モードを独立駆動制御とする。異常(4)が生じていないと判断された場合(S212:NO)、すなわち、異常(1)~(4)がいずれも生じていない場合、S214へ移行し、制御モードを通常制御とする。本実施形態の通常制御は、マスター側の指令値を用いて、マスター系統およびスレーブ系統を制御する協調駆動制御である。協調駆動制御の詳細は、上記のいずれの実施形態のものであってもよい。
図30の処理は、スレーブ側である第2制御部236にて、所定の周期で実行される。S301~S310の処理は、S201~S210の処理と同様である。なお、図30の処理では、自系統が第2系統L2、他系統が第1系統L1であって、例えば異常監視部190を異常監視部290にする、といった具合に、対応する制御ブロックや値に適宜読み替えればよい。
S310にて否定判断された場合に移行するS312では、指令乖離判定処理を行う。指令乖離判定処理を図31に示す。S321では、異常監視部290は、マイコン間通信にて取得したマスター系統の指令値と、自系統にて演算した指令値との偏差である指令偏差を演算する。本実施形態では、第1系統の電流指令値I1*と第2系統の電流指令値I2*との偏差ΔIを演算する。電流指令値I1*、I2*は、dq軸電流に係る指令値、3相電流に係る指令値、または、3相電流に係る指令値の二乗和等、どのような値としてもよい。また、指令偏差は、電流指令値の偏差に限らず、トルク指令値や電圧指令値の偏差であってもよい。
S322では、異常監視部290は、指令偏差ΔIが指令偏差判定閾値THi1以上か否かを判断する。指令偏差判定閾値は、電流指令値I1*、I2*が一致しているとみなせる程度の値に設定される。指令偏差ΔI*が指令偏差判定閾値THi1より小さいと判断された場合(S322:NO)、指令乖離異常が生じていないと判定し、本ルーチンを終了し、図30中のS313へ移行する。指令偏差ΔI*が指令偏差判定閾値THi1以上であると判断された場合(S322:YES)、S323へ移行し、指令乖離カウンタをインクリメントする。
S324では、異常監視部290は、指令乖離カウンタのカウント値が乖離判定閾値THd以上か否かを判断する。指令乖離カウンタのカウント値が乖離判定閾値THdより小さいと判断された場合(S324:NO)、指令乖離異常を確定せず、本ルーチンを終了し、図30中のS313へ移行する。指令乖離カウンタのカウント値が乖離判定閾値THd以上であると判断された場合(S324:YES)、S325へ移行する。
S325では、第2制御部236は、異常(4)が生じている旨の情報を自系統のステータス信号に含め、第1制御部136へ送信する。
図30に戻り、S313では、第2制御部236は、異常(4)が生じているか否かを判断する。異常(4)が生じていると判断された場合(S313:YES)、S314へ移行し、制御モードを独立駆動制御とする。異常(4)が生じていないと判断された場合(S313:NO)、S315へ移行し、制御モードを通常制御とする。
図32は、制御モードが代替制御であるときの復帰処理を説明するフローチャートである。この処理は、制御部136、236にて、代替制御に移行した際に所定周期で実施される。代替制御からの復帰処理は、制御部136、236にて同様であるので、第1制御部136の処理を説明し、第2制御部236に係る説明を省略する。図33も同様である。
S401では、異常監視部190は、異常(3)が解消したか否かを判断する。異常(3)が解消していないと判断された場合(S401:NO)、S404へ移行し、代替制御を継続する。異常(3)が解消していると判断された場合(S401:YES)、S402へ移行する。
S402では、異常監視部190は、復帰カウンタをインクリメントする。S403では、異常監視部190は、復帰カウンタのカウント値が復帰判定閾値THr以上か否かを判断する。復帰判定閾値THrは、他の異常からの復帰処理における値と同じであってもよいし、異なっていてもよい。復帰カウンタのカウント値が復帰判定閾値THrより小さいと判断された場合(S403:NO)、S404へ移行し、代替制御を継続する。復帰カウンタのカウント値が復帰判定閾値THr以上であると判断された場合(S403:YES)、S405へ移行する。
S405では、第1制御部136は、異常(3)が正常である旨の情報を自系統のステータス信号に含め、第2制御部236へ送信する。S406では、異常監視部190は、他系統のステータス情報を取得する。
S407では、異常監視部190は、自系統および他系統が正常か否かを判断する。自系統および他系統が正常であると判断された場合(S407:YES)、S408へ移行し、制御モードを通常制御とする。自系統または他系統が正常ではないと判断された場合(S407:NO)、S409へ移行し、異常状態に応じた制御モードに移行する。詳細には、図29および図30にて説明した制御モード切替処理により、制御モードを決定する。
図33は、マイコン間通信異常により、制御モードが独立駆動制御であるときの復帰処理を説明するフローチャートである。この処理は、制御部136、236にて、通信異常により独立駆動制御に移行した際に所定周期で実施される。
S421では、異常監視部190は、異常(1)が解消したか否かを判断する。ここでは、CRC信号およびランカウンタが正常である場合、異常(1)が解消したと判定する。異常(1)が解消していないと判断された場合(S421:NO)、S424へ移行する。異常(1)が解消したと判断された場合(S421:YES)、S422へ移行する。
S422、S423の処理は、図32中のS402、S403の処理と同様である。S423にて、復帰カウンタのカウント値が復帰判定閾値THrより小さいと判断された場合(S423:NO)、S424へ移行する。復帰カウンタのカウント値が復帰判定閾値THr以上であると判断された場合(S423:YES)、S426へ移行する。
S424では、異常監視部190は、マイコン間通信以外、自系統が正常か否かを判断する。本ステップでは、マイコン間通信以外について、自系統が正常であれば、自系統正常と判定する。後述のS465およびS525についても同様である。自系統が正常ではないと判断された場合(S424:NO)、S430へ移行する。自系統が正常であると判断された場合(S242:YES)、S425へ移行し、独立駆動制御を継続する。
S426では、第1制御部136は、自系統の異常情報に係るステータス情報を含む信号を、第2制御部236へ送信する。S427では、第1制御部136は、他系統のステータス情報を取得する。S428~S430の処理は、図32中のS407~S409の処理と同様である。
図34および図35は、指令値乖離異常時の復帰処理を説明するフローチャートである。図34はスレーブ側である第2制御部236の処理であり、図35はマスター側である第1制御部136の処理である。
図34に示すように、S441では、異常監視部290は、マイコン間通信が正常か否かを判断する。マイコン間通信が正常ではないと判断された場合(S441:NO)、S446へ移行し、独立駆動制御を継続する。マイコン間通信が正常であると判断された場合(S441:YES)、S442へ移行し、指令偏差ΔI*を演算する。図31にて説明したように、指令偏差は電流偏差以外であってもよい。
S443では、異常監視部290は、指令偏差ΔI*が指令偏差判定閾値THi2以下か否かを判断する。指令偏差判定閾値THi2は、第1系統L1の電流指令値I1*、I2*が一致しているとみなせる程度の値に設定される。なお、ここで用いられる指令偏差判定閾値THi2は、S322にて用いられる指令偏差判定閾値THi1と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。指令偏差ΔI*が指令偏差判定閾値THi2より大きいと判断された場合(S443:NO)、S446へ移行し、独立駆動制御を継続する。指令偏差ΔId*、ΔIq*が指令偏差判定閾値THi2以下であると判断された場合(S443:YES)、S444へ移行する。
S444、S445の処理は、図32中のS402、S403の処理と同様である。S445にて、復帰カウンタのカウント値が復帰判定閾値THrより小さいと判断された場合(S445:NO)、S446へ移行し、独立駆動制御を継続する。復帰カウンタのカウント値が復帰判定閾値THr以上であると判断された場合(S445:YES)、S447へ移行する。
S447では、第2制御部236は、異常(4)が正常である旨の情報を自系統のステータス信号に含め、第1制御部136へ送信する。S448では、第2制御部236は、他系統のステータス情報を取得する。S449~S451の処理は、図32中のS407~S409の処理と同様である。
図35に示すように、S461では、異常監視部190は、マイコン間通信が正常か否かを判断する。マイコン間通信が正常ではないと判断された場合(S461:NO)、S465へ移行する。マイコン間通信が正常であると判断された場合(S461:YES)、S462へ移行する。
S462、S463の処理は、図33中のS426、S427の処理と同様である。S464では、異常監視部190は、スレーブ側から取得されるステータス情報に基づき、異常(4)が解消したか否かを判断する。異常(4)が解消したと判断された場合(S464:YES)、S467へ移行する。異常(4)が解消していないと判断された場合(S464:NO)、S465へ移行する。
S465、S466の処理は、図33中のS424、S425と同様であり、S467~S469の処理は、S428~S430の処理と同様である。
図36および図37は、片系統駆動からの復帰処理を説明するフローチャートである。図36は異常(2)により駆動を停止している異常系統の処理であり、図37は片系統駆動を継続している系統の処理である。ここでは、第1系統L1が異常系統であり、第2系統L2が片系統駆動を継続しているものとして説明する。
図36に示すように、S501では、異常監視部190は、異常(2)が解消したか否かを判断する。異常(2)が解消していないと判断された場合(S501:YES)、S505へ移行し、駆動停止状態を継続する。異常(2)が解消したと判断された場合(S501:YES)、S502へ移行する。
S502、S503の処理は、図32中のS402、S403の処理と同様である。S503にて、復帰カウンタのカウント値が復帰判定閾値THrより小さいと判断された場合(S503:NO)、S505へ移行し、駆動停止状態を継続する。復帰カウンタのカウント値が復帰判定閾値THr以上であると判断された場合(S503:YES)、S505へ移行する。
S504では、異常監視部190は、マイコン間通信が正常か否かを判断する。マイコン間通信が正常ではないと判断された場合(S504:NO)、S505へ移行し、駆動停止状態を継続する。マイコン間通信が正常であると判断された場合(S504:YES)、S506へ移行する。S506~S510の処理は、図33中のS426~S430の処理と同様である。
図37に示すように、S521では、異常監視部290は、マイコン間通信が正常か否かを判断する。マイコン間通信が正常ではないと判断された場合(S521:NO)、S525へ移行する。マイコン間通信が正常であると判断された場合(S521:YES)、S522へ移行する。S522、S523の処理は、S426、S427の処理と同様である。
S524では、異常監視部290は、駆動を停止していた第1系統L1における異常(2)が解消したか否かを取得したステータス信号に基づいて判断する。異常(2)が解消したと判断された場合(S524:YES)、S527へ移行する。異常(2)が解消していないと判断された場合(S524:NO)、S525へ移行する。
S525では、異常監視部290は、マイコン間通信以外、自系統が正常か否かを判断する。自系統が正常ではないと判断された場合(S525:NO)、S529へ移行する。自系統が正常であると判断された場合(S525:YES)、S526へ移行し、片系統駆動を継続する。S527~S529の処理は、図32中のS407~S409の処理と同様である。
本実施形態では、制御部136、236は、自系統の異常に係る自系統異常情報、および、他系統の異常に係る他系統異常情報を共有する。詳細には、制御部136、236は、自系統の異常情報である自系統異常情報を他系統の制御部236、136に送信し、他系統の異常情報である他系統異常情報を他系統の制御部236、136から取得する。本実施形態では、異常情報をステータス信号に含めて、マイコン間通信にて共有する。第1制御部136は、自系統異常情報を含むマスター側ステータス信号を第2制御部236に送信し、他系統異常情報を含むスレーブ側ステータス信号を第2制御部236から取得する。また、第2制御部236は、自系統異常情報を含むスレーブ側ステータス信号を第1制御部136に送信し、他系統異常情報を含むマスター側ステータス信号を第1制御部136から取得する。これにより、各系統の異常状態を、系統間にて適切に共有することができる。
制御部136、236は、自系統異常情報および他系統異常情報に基づき、制御モードとして、通常制御モードと異常時制御モードとを切り替え可能である。通常制御モードでは、制御部136、236を協調させて駆動する。異常時制御モードには、代替制御モード、片系統駆動制御モードおよび独立駆動制御モードの少なくとも1つを含む。また、制御部136、236は、代替制御モード、独立駆動制御モードまたは片系統駆動制御モード中に異常が解消された場合、通常制御モードに復帰する。
代替制御モードは、通常制御モードに用いられる信号のうち異常となった信号に替えて、代替情報を用いる。片系統駆動制御モードは、一部の系統の駆動を停止し、残りの系統を用いてモータ80の制御を継続する。独立駆動制御モードは、制御部136、236を協調させず、系統毎にモータ80の制御を継続する。これにより、異常状態に応じて、モータ80の制御を適切に継続することができる。
制御部136、236は、他系統異常情報を利用不能である制御部間通信異常が生じている場合、独立駆動制御モードに切り替える。これにより、誤った情報を用いた制御が行われるのを防ぐことができる。
制御部136、236は、自系統にて制御不能異常が生じた場合、制御不能異常が生じた旨の情報を他系統の制御部236、136に送信するとともに、自系統の駆動を停止し、他系統異常情報に制御不能異常が生じた旨の情報が含まれる場合、片系統駆動モードに切り替える。制御不能異常は、バッテリ191、291からインバータ回路120、220を経由してモータ巻線180、280に至る駆動系の異常、トルクセンサ94、電流センサ125、225または回転角センサ126、226の異常、もしくは、制御部136、236の異常である。制御不能異常時には、片系統駆動モードに切り替えることで、正常系系統を用いて適切にモータ80の駆動を継続することができる。
制御部136、236は、間接的にモータ80の駆動に影響を与える異常が生じた場合、代替制御モードに切り替える。本実施形態では、これにより、モータ80の駆動制御を適切に継続することができる。
制御部136、236は、第1制御部136にて演算される指令値I*と、第2制御部236にて演算される指令値I*とが乖離した場合、独立駆動制御モードに切り替える。これにより、乖離した指令が用いられることによる制御の不整合を防ぐことができる。なお、例えば、第1制御部136から送信される指令値に基づいて第2制御部236にて演算された演算値を指令乖離判定に用いたとしても、当該演算値は、「マスター制御部にて演算される値」とみなす。スレーブ制御部にて演算される値についても同様である。
図38に示すように、制御部136、236は、協調駆動モードと、独立駆動モードと、片系統駆動モードと、を有する。換言すると、協調駆動モード、独立駆動モード、および、片系統駆動モードを有するモータ制御装置は、本実施形態のECUに相当するとみなされる。本実施形態では、異常状態に応じて駆動モードを切り替えているが、異常状態以外の遷移条件にて駆動モードを切り替えてもよい。なお補足として、例えば独立駆動モードにおいて、一方の系統にて代替制御を行うといった具合に、代替制御モードを、他の制御モードと組み合わせてもよい。
協調駆動モードでは、マスター制御部である第1制御部136が制御信号の生成に係る指令値を演算し、当該指令値に基づく制御信号を出力するとともに、スレーブ制御部である第2制御部236が第1制御部136にて演算された指令値に基づく制御信号を出力する。
独立駆動モードでは、第1制御部136が自系統の制御信号の生成に係る指令値を演算し、その演算した指令値に基づく制御信号を出力するとともに、第2制御部236が自系統の制御信号の生成に係る指令値を演算し、その演算した指令値に基づく制御信号を出力する。
片系統駆動モードでは、マスター制御部およびスレーブ制御部のうちの一部が制御信号の出力を停止し、他の制御部が自系統の制御信号の生成に係る指令値を演算し、その指令値に基づく制御信号を出力する。これにより、複数系統からなるモータ80の駆動を適切に制御することができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
(他の実施形態)
上記実施形態では、制御部が2つであり、一方がマスター制御部であり、他方がスレーブ制御部である。他の実施形態では、制御部が3つ以上であってもよい。すなわち、系統数が3以上であってもよい。この場合、マスター制御部は1つであって、スレーブ制御部を複数とする。なお、3系統以上の場合、いずれか1つの系統の駆動を停止し、残りの複数系統にて駆動を継続する場合、および、複数の系統の駆動を停止し、残りの1系統にて駆動を継続する場合についても、「片系統駆動」の概念に含まれるものとする。また、例えば、マスター制御部に異常が生じた場合、スレーブ制御部のうちの1つをマスター制御部に切り替えて協調制御を継続する、といった具合に、マスター制御部を入れ替えてもよい。また、1つの制御部に対して、複数の駆動回路および巻線組を設けるようにしてもよい。
上記実施形態では、制御部は、電流フィードバック制御により、回転電機の駆動を制御する。他の実施形態では、電流フィードバック制御以外の方法にて、回転電機の駆動を制御してもよい。また、他の実施形態では、マスター制御部は、制御方法に応じ、トルク指令値、電流指令値、電圧指令値、または、PWM信号以外の値を指令値としてスレーブ制御部に送信するようにしてもよい。
上記実施形態では、回転電機は、3相のブラシレスモータである。他の実施形態では、回転電機は、ブラシレスモータに限らず、どのようなモータとしてもよい。また、回転電機は、モータに限らず、発電機であってもよいし、電動機と発電機の機能を併せ持つ、所謂モータジェネレータであってもよい。上記実施形態では、駆動装置は、ECUとモータとが一体に設けられる機電一体型である。他の実施形態では、ECUがモータとは別途に設けられる機電別体としてもよい。
上記実施形態では、回転電機制御装置は、電動パワーステアリング装置に適用される。他の実施形態では、回転電機制御装置を電動パワーステアリング装置以外の装置に適用してもよい。以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
10・・・ECU(回転電機制御装置)
80・・・モータ(回転電機) 180、280・・・モータ巻線(巻線組)
120、220・・・インバータ回路(駆動回路)
131~136・・・第1制御部(制御部、マスター制御部)
231~236・・・第2制御部(制御部、スレーブ制御部)
165、265・・・信号出力部
190、290・・・異常監視部

Claims (24)

  1. 複数の巻線組(81、82)を備える回転電機(80)の駆動を制御する回転電機制御装置であって、
    複数の駆動回路(120、220)と、
    対応して設けられる前記駆動回路に制御信号を出力する信号出力部(165、265)を有し、相互に通信可能である複数の制御部(131~136、231~236)と、
    を備え、
    前記制御部には、全ての前記制御部における前記制御信号の生成に係る指令値を演算し、他の前記制御部に前記指令値を送信する1つのマスター制御部(131~136)、および、前記マスター制御部から送信される前記指令値に基づく前記制御信号を出力する少なくとも1つのスレーブ制御部(231~236)が含まれ、
    前記マスター制御部から前記スレーブ制御部に送信される前記指令値は、トルク指令値、電流指令値、電圧指令値、または、前記制御信号であり、
    前記制御部は、
    自系統の異常および通信異常を監視する異常監視部(190、290)を備え、
    自系統の異常に係る自系統異常情報および他系統の異常に係る他系統異常情報を共有し、前記自系統異常情報および前記他系統異常情報に基づき、前記マスター制御部と前記スレーブ制御部とを協調させて駆動する通常制御モードと、片系統駆動制御モードおよび独立駆動制御モードを含む異常時制御モードとを切り替え可能であって、
    前記スレーブ制御部は、自系統に係る前記制御信号の生成に用いられるスレーブ指令値を演算可能であって、
    前記片系統駆動制御モードでは、一部の系統の駆動を停止し、残りの系統を用いて前記回転電機の制御を継続し、
    前記独立駆動制御モードは、前記マスター制御部と前記スレーブ制御部とを協調させず、系統毎に独立して前記回転電機の制御を継続する回転電機制御装置。
  2. 前記マスター制御部(131)は、前記指令値として前記電流指令値を前記スレーブ制御部(231)に送信し、
    前記マスター制御部および前記スレーブ制御部は、同一の前記電流指令値を用いて電流フィードバック制御を行う請求項1に記載の回転電機制御装置。
  3. 前記マスター制御部(132)は、前記指令値として、トルクセンサから取得されるトルク信号および車速に基づいて演算された前記トルク指令値を前記スレーブ制御部(232)に送信する請求項1に記載の回転電機制御装置。
  4. 前記マスター制御部、ならびに、前記マスター制御部に対応して設けられる前記駆動回路および前記巻線組の組み合わせをマスター系統、
    前記スレーブ制御部、ならびに、前記スレーブ制御部に対応して設けられる前記駆動回路および前記巻線組の組み合わせをスレーブ系統とすると、
    前記マスター制御部は、前記マスター系統の電流検出値であるマスター電流検出値を前記スレーブ制御部に送信し、
    前記スレーブ制御部は、前記スレーブ系統の電流検出値であるスレーブ電流検出値を前記マスター制御部に送信し、
    前記マスター制御部および前記スレーブ制御部は、それぞれにおいて、前記マスター系統および前記スレーブ系統の電流和が電流和指令値となり、電流差が電流差指令値となるように制御する請求項2または3に記載の回転電機制御装置。
  5. 前記マスター制御部、ならびに、前記マスター制御部に対応して設けられる前記駆動回路および前記巻線組の組み合わせをマスター系統、
    前記スレーブ制御部、ならびに、前記スレーブ制御部に対応して設けられる前記駆動回路および前記巻線組の組み合わせをスレーブ系統とすると、
    前記マスター制御部(133、134)は、前記マスター系統に係る電圧指令値、および、前記スレーブ系統に係る電圧指令値であるスレーブ電圧指令値を演算し、当該スレーブ電圧指令値を前記指令値として前記スレーブ制御部(233、234)に送信する請求項1に記載の回転電機制御装置。
  6. 前記マスター制御部、ならびに、前記マスター制御部に対応して設けられる前記駆動回路および前記巻線組の組み合わせをマスター系統、
    前記スレーブ制御部、ならびに、前記スレーブ制御部に対応して設けられる前記駆動回路および前記巻線組の組み合わせをスレーブ系統とすると、
    前記マスター制御部(135)は、前記マスター系統に係る前記制御信号、および、前記スレーブ系統に係る前記制御信号であるスレーブ制御信号を演算し、当該スレーブ制御信号を前記指令値として前記スレーブ制御部(235)に送信する請求項1に記載の回転電機制御装置。
  7. 前記スレーブ制御部は、前記スレーブ系統の電流検出値であるスレーブ電流検出値を前記マスター制御部に送信し、
    前記マスター制御部は、前記マスター系統の電流検出値であるマスター電流検出値、および、前記スレーブ電流検出値に基づき、前記マスター系統および前記スレーブ系統の電流和が電流和指令値となり、電流差が電流差指令値となるように、前記マスター系統および前記スレーブ系統の電圧指令値を演算する請求項5または6に記載の回転電機制御装置。
  8. 前記制御部は、電流検出値の演算後であって、電流フィードバック制御が開始するまでの期間に、前記電流フィードバック制御に必要な情報の送受信を行う請求項1~7のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。
  9. 前記制御部は、前記制御信号の演算に必要な情報のうち、他の前記制御部から取得するものは、前回の制御周期における値を用いる請求項1~7のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。
  10. 前記通常制御モードにおいて複数系統の電流和および電流差を制御している場合、
    前記制御部は、前記独立駆動制御モードおよび前記片系統駆動制御モードにおいて、他の前記制御部から取得される電流検出値を0に設定するとともに、電流差の制御を停止する請求項1~9のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。
  11. 前記異常監視部は、異常が検出されてから所定の異常継続条件を満たした場合、異常を確定し、前記通常制御モードから前記異常時制御モードに切り替える請求項1~10のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。
  12. 前記制御部は、
    異常が検出されていないときに他の前記制御部から通信にて取得される値をホールド値として保持しておき、
    異常が検出されてから確定されるまでの間、前記ホールド値を用いて前記制御信号を生成する請求項11に記載の回転電機制御装置。
  13. 前記制御部は、異常が検出されてから確定されるまでの間、他の前記制御部から取得される値を用いず、前記独立駆動制御モードとする請求項11に記載の回転電機制御装置。
  14. 前記制御部は、異常が検出されてから所定期間内に異常が確定されなかった場合、前記通常制御モードに復帰する請求項1113のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。
  15. 前記制御部は、前記他系統異常情報を利用不能である制御部間通信異常が生じている場合、前記独立駆動制御モードに切り替える請求項14のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。
  16. 1つの前記制御部から他の前記制御部に送信される信号には、ランカウンタ信号が含まれ、
    前記異常監視部は、前記ランカウンタ信号が更新されていない場合、前記制御部間通信異常として通信途絶が生じていると判定する請求項15に記載の回転電機制御装置。
  17. 1つの前記制御部から他の前記制御部に送信される出力信号には、誤り検出信号が含まれ、
    前記異常監視部は、前記出力信号に含まれる前記誤り検出信号に基づく値と、前記出力信号に基づく誤り検出演算にて自身で演算した値とに基づき、前記制御部間通信異常である通信整合性異常を監視する請求項15または16に記載の回転電機制御装置。
  18. 前記制御部は、
    自系統にて、電源(191、291)から前記駆動回路を経由して前記巻線組に至る駆動系の異常、トルクセンサ(94)、電流センサ(125、225)または回転角センサ(126、226)の異常、もしくは、前記制御部の異常である制御不能異常が生じた場合、前記制御不能異常が生じた旨の情報を他系統の前記制御部に送信するとともに、自系統の駆動を停止し、
    前記他系統異常情報に前記制御不能異常が生じた旨の情報が含まれる場合、前記片系統駆動制御モードに切り替える請求項17のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。
  19. 前記制御部は、前記マスター制御部にて演算される前記指令値と、前記スレーブ制御部にて演算される前記指令値とが乖離した場合、前記独立駆動制御モードに切り替える請求項18のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。
  20. 前記制御部は、前記独立駆動制御モードまたは前記片系統駆動制御モード中に異常が解消された場合、前記通常制御モードに復帰する請求項19のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。
  21. 前記制御部は、異常である信号を用いず、代わりとなる代替情報を用いた代替制御を行う請求項20のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。
  22. 前記制御部は、間接的に前記回転電機の駆動に影響を与える異常が生じた場合、前記代替制御を行う請求項21に記載の回転電機制御装置。
  23. 複数の巻線組(81、82)を備える回転電機(80)の駆動を制御する回転電機制御
    装置であって、
    複数の駆動回路(120、220)と、
    対応して設けられる前記駆動回路に制御信号を出力する信号出力部(165、265)
    を有し、相互に通信可能である複数の制御部(131~136、231~236)と、
    を備え、
    前記制御部には、1つのマスター制御部(131~136)、および、少なくとも1つのスレーブ制御部(231~236)が含まれ、
    前記制御部は、
    前記マスター制御部が前記制御信号の生成に係る指令値を演算し、当該指令値に基づく前記制御信号を出力するとともに、前記スレーブ制御部が前記マスター制御部にて演算された前記指令値に基づく前記制御信号を出力する協調駆動モードと、
    前記マスター制御部が自系統の前記制御信号の生成に係る指令値を演算し、その演算した指令値に基づく前記制御信号を出力するとともに、前記スレーブ制御部が自系統の前記制御信号の生成に係る指令値を演算し、その演算した指令値に基づく前記制御信号を出力する独立駆動モードと、
    前記マスター制御部および前記スレーブ制御部のうちの一部が前記制御信号の出力を停止し、他の前記制御部が自系統の前記制御信号の生成に係る指令値を演算し、その指令値に基づく前記制御信号を出力する片系統駆動モードと、
    を切り替える回転電機制御装置。
  24. 請求項1~23のいずれか一項に記載の回転電機制御装置(10)と、
    運転者による操舵部材(91)の操舵を補助するアシストトルクを出力する前記回転電機と、
    前記回転電機の駆動力を駆動対象(92)に伝達する動力伝達部(89)と、
    を備える電動パワーステアリング装置。
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