JP6081005B2 - 研削・研磨装置及び研削・研磨方法 - Google Patents

研削・研磨装置及び研削・研磨方法 Download PDF

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Description

本発明は、ウェハの内部にレーザ改質領域を有するウェハを研削・研磨する研削・研磨装置及び研削・研磨方法に関するものである。
特許文献1には、裏面を上向きにして載置された半導体基板にレーザーを照射して基板内部に改質領域を形成し、半導体基板の裏面にエキスパンドテープを装着し、エキスパンドテープの上からナイフエッジを当てて改質領域を基点として基板を割ることで、半導体基板をチップに切断することが記載されている。
また、特許文献1には、裏面を上向きにして載置された半導体基板にレーザーを照射して基板内部に改質領域を形成した後で基板を研削して薄くし、半導体基板の裏面にエキスパンドテープを装着し、エキスパンドテープを伸張させることで改質領域を基点として基板を割ることが記載されている。
特許文献2には、裏面を上向きにして載置された半導体基板にレーザーを照射して基板内部に改質領域を形成することで半導体基板の厚さ方向に割れを発生させ、基板の裏面を研削及びケミカルエッチングすることで割れを裏面に露出させることで、半導体基板をチップに切断することが記載されている。そして、特許文献2には、自然に或いは比較的小さな力、例えば人為的な力や基板に温度差を与えることにより熱応力を発生させたりすることにより、改質領域から厚さ方向に割れが発生することが記載されている。
特許3624909号公報 特許3762409号公報
特許文献1に記載の発明では、ナイフエッジにより局所的に外力を印加することで基板を割るが、この局所的に外力を印加するために曲げ応力やせん断応力を基板に付与させることになる。しかし、曲げ応力やせん断応力は基板全面に一様に分布させることは難しい。例えば、曲げ応力やせん断応力を基板にかける場合、どこか弱い点に応力が集中することになり、効率的に所望の部分に対して必要最低限の応力を一様に付与できない。
したがって、基板の割れにばらつきが生じ、割れが緩やかに進行しなかった場合には基板がチップ内においても破壊するという問題がある。また、基板を切断する部分に対して、局所的に順番に応力を与えて切断していく場合、例えば一枚の基板から多数のチップを収集する場合などでは、多数の切断ラインが存在するため、生産性が非常に低下するという問題がある。
また、外力を印加して基盤を割る場合に、基板を薄く加工していない場合には、ウェハを割る際に非常に大きい応力を必要とするという問題がある。
特にレーザー加工の改質深さ幅に対して、基板厚みが充分厚い場合は、外力を印加しても、急激な外力の影響によって、基板に対してきれいに垂直に割断できるとは限らない。そのため、いくつかレーザーパルスを基板の厚み方向に多段に照射するなどが必要な場合がある。
また、特許文献1、2に記載の発明では、レーザーの照射により基板内部に形成された改質領域は、最終的にチップ断面に残ることとなる。そのため、チップ断面の改質領域の部分から発塵する場合がある。また、チップ断面部分が局所的に破砕した結果、その破砕した断面がきっかけとなって、チップが破断する場合もある。その結果、チップの抗折強度は小さくなるという問題点がある。
特許文献2に記載の発明では、自然に改質領域から厚さ方向に割れが発生すると記載されているが、他方自然に割れる場合は必ずしも自然に割れない場合も存在する。割るという安定した効果を必然的に得るためには、時として恣意的な手段をとる必要があり、自然に割れる場合は恣意的な手段に該当しない。
また、比較的小さな力として、温度差を与えることにより熱応力を発生させて、改質領域から厚さ方向に割れを発生させることも考えられる。この場合においては、基板の面内に一様な熱勾配をどのように与えるかという点が非常に難しいという問題がある。すなわち、人為的に熱勾配を与えたとしても熱伝導によって、一部熱勾配を緩和するように基板内に熱が分散していく。したがって、一定の基板を切断する程度の安定した熱勾配(安定した温度差)をどのように絶えずに形成するか、という点で極めて難しい問題がある。
また、特許文献2に記載の発明では、半導体基板を研削後、裏面にケミカルエッチングするが、研削した後には、研削後の表面は固定砥粒による研削条痕が残り、付随して微小なクラックが形成され、加工変質層が残存している。その表面をケミカルエッチングした場合には、微小クラックなどの格子歪が大きい部分が選択的にエッチングされることになる。そのため、微小クラックはかえって助長され大きいクラックになる。そのため、切断起点領域だけではなく、時として、研削とエッチングによって形成された微小クラックから破断する場合もあり、安定した切断加工が難しいという問題がある。
また、エッチングにより基板表面の凹凸が助長されるため、基板表面は鏡面化されていない。そのため、分割されたチップにも凹凸が残るため、凹凸の大きい部分、すなわち微小クラックから破壊することが十分に考えられ、チップの抗折強度は低くなるという問題がある。
また、さらに、レーザー加工し、改質した部分にエッチング液が作用した場合、改質した部分は一度溶融して再結晶化して固まっているため、大きな粒界が形成されている。
こうした粒界部分にエッチング液が作用すると、粒界からシリコン粒が剥げ落ちるようにエッチングが進行するため、さらに凹凸が助長されるようにエッチングされることになる。
研磨工程としては、具体的には引用文献p.12_1行目において、研削工程と裏面にケミカルエッチングを施すことであると記載されている。ケミカルエッチングの場合、そのまま放置していても、クラック内にケミカルエッチング液が浸透し、クラック部分を溶かす作用がある。
特に、クラックが基板の表面上にまで先走っている場合、エッチング液がチップとチップを接着しているフィルムの間に浸透し、チップをフィルムから剥離するという問題が発生する。
また、クラックが基板の表面上にまで走っていなくても、クラックに沿ってエッチングは進行する。特に研削後に、薄くなった状態でエッチングを行う場合、クラックにエッチング液が毛細管現象によって浸透し、クラック先端を溶かしながら微小クラックをさらに深くするとともに、さらにそこへ新たなエッチング液が入り込むといった形となる。この場合、デバイス面の近傍にエッチング液が作用すると、デバイス面付近を溶かしてしまい、素子内部にまでエッチングが進行する場合がある。また、そのときに問題なくても、ウェハの壁面に残されたエッチング液がデバイス内部に入り込み、その後不良を起こすこともある。よって、ウェハ表面の加工歪を除去する一方で、それ以上にクラックを助長し、それに伴う副次的な問題を誘発することになりかねない。
また、こうした場合、結果的にクラックが表面上にまで先走って、一部チップとフィルムの間にエッチング液が入り込み、処理中にチップが剥がれる問題が発生することもある。特に、研削後が進行して基板が薄くなった場合、少しの外力でクラックが進行しやすく、クラックが表面に達することでチップ剥離が発生するため、基板が薄くなった場合には、クラックをそれ以上進行させないように処理をしなければならない。
特許文献2には、基板の裏面を研削することにより改質領域から割れが発生することが記載されているが、特許文献2には基板を研削する時の基板の固定方法が記載されていない。図17に示すように基板をリテーナ等に嵌め込むことで基板の外周を支持する場合や、図18に示すように基板の一部のみを吸着する場合には、基板が全面的に一様に拘束されないため、このような場合には基板の裏面を研削したとしても改質領域から割れが発生しない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、安定した品質のチップを効率よく得ることができる研削・研磨装置及び研削・研磨方法を提供することを目的とする。
本発明の目的を達成するための研削・研磨装置は、ウェハの内部にレーザ改質領域を有するウェハを研削・研磨してレーザ改質領域から伸びる微小亀裂を進展させる研削・研磨装置において、ウェハを真空吸着するウェハチャックを有する回転テーブルを備え、回転テーブルを回転させて、ウェハチャックを、ウェハの表面を真空吸着する位置と、ウェハの裏面を一様に研削処理しレーザ改質領域から伸びる微小亀裂を進展させる位置と、微小亀裂の進展後、ウェハの裏面を研磨処理する位置と、に順に移動させ、研削処理と、研磨処理を含む一連の処理を一つのウェハチャックに吸着した状態で行う。
この研削装置によれば、研削によって生じた研削熱により、研削しているウェハ表面と共に半径方向に熱膨張して広がろうとする。しかし、一方でウェハは熱容量の大きいウェハ真空チャックによって、その膨張による広がりを阻止しようとする。
その結果、ウェハ面は熱膨張で拡大する一方、チャックされているウェハ面は真空チャックにより膨張せず、そのままの状態を維持しようとする。その結果、ウェハ内部に形成された改質領域は、そのウェハ表面と裏面の膨張の違いに応じて、改質領域がさらに拡大するように作用し、さらに亀裂が進展するようになる。改質領域は、レーザー光が照射され、一度溶融状態になって再結晶した部分もあるため、結晶粒が大きくもろい。こうした改質領域が将来的なチップの側面に現れた場合、チップ側面から発塵するほか、チップ側面から大きな結晶粒が欠けたりすることもある。しかし、改質領域から進展した微小亀裂部分は、純粋な結晶面であるため、将来的なチップ側面にこの面が現れたとしても、チップ側面から発塵したり、大きな結晶粒となって欠けたりということは無い。
こうして、研削工程によってウェハを削りながら除去するとともに、微小空孔をウェハの厚み方向に進展させ改質領域を除去する。次に、研削により形成された加工変質層と、進展した微小空孔とを、際立たせるために、ウェハ全面に対して化学機械研磨を施して(後に詳細記載)、加工変質層を完全に除去する。その結果、微小空孔のみが表面に残り、その残りの領域は加工歪も残らない完全な鏡面となる。
その後、まだ割れていないウェハに対して、ウェハを割断する機構に載せて、ウェハに曲げ応力を加えてウェハを割断して、その後、エキスパンドフィルムを引っ張ってチップ同士を離間する。これにより、チップの断面にレーザー光により形成された改質領域が残らないようにすることができる。そのため、チップが割れたり、チップ断面から発塵したりとするという不具合を防ぎ、安定した品質のチップを効率よく得ることができる。
また、研削されたウェハの裏面を化学機械研磨してからウェハを分割するので、チップの抗折強度を高くすることができる。ここで、化学機械研磨においては、引用文献2に示す研磨工程におけるエッチング処理とは大きく区別される。
まず、本願における化学液は、引用文献2のエッチング液は異なる。引用文献2におけるエッチング液は、基板表面に液が作用することで基板を自然に溶かす、すなわちエッチングする作用を有する。それにより、クラックが発生した部分においても、エッチング液が浸透して周囲を自然とエッチングするため、レーザーによって形成された改質層をさらに大きくするという作用がある。また、従来のエッチング液の場合、先にも述べた通り、エッチング液がクラック内を浸透しすぎてクラックを進展させ、最終的にチップとフィルムの間の部分にまで浸透する。それにより、チップ表面までエッチング液が回り込み、チップ表面がエッチング液により浸食されて、それぞれのチップデバイスが機能しなくなる場合もある。
これに対して本願の化学機械研磨において使用する研磨剤(スラリー)は、静的な状況下ではエッチング作用は無い。すなわち、ウェハに対して研磨剤のみを供給したとしても、全くエッチングが進行せず、単にウェハ表面を改質するだけである。そのため、たとえ、研磨剤がウェハの切断予定ラインにあるクラック内に入り込んだとしても、周りのシリコンを溶かすことは無いため、それ以上クラックが進展することは無い。
結果的に、引用文献2における研磨工程すなわちエッチング工程ではクラックが進展するかもしれないが、本願の研磨工程では、研磨剤を入れて放置しても全くウェハはエッチングされないため、クラックはほとんど進展しない。その結果、研磨剤が浸透して勝手にチップをフィルムから剥離するようなことやチップ表面の方に研磨剤が回り込んでチップを侵食し、チップデバイスが機能しなくなるという従来の問題が起こることは無い。
ここで、化学機械研磨のメカニズムは次に示す通りである。すなわち、研磨において、まず研磨剤がウェハに供給されるが、これによりウェハ表面は化学的に改質されるだけである。次に改質された表面は柔らかくなっているため、この状態でスラリーの中に含まれる砥粒がウェハ表面に作用することで、ごく小さい応力であってもウェハ表面を効率的に除去できるのである。
例えば、シリコンを除去するプロセスの場合、シリカ系のスラリーを使用する。シリカ系のスラリーを使用する場合、ウェハ表面で次の反応が起こる。
すなわち、通常研磨直後のウェハ表面はSi原子がある。このSi原子は水中における表面では水和されており、Si原子表面には-OHが存在することになる。このSi基板表面に付着したOH基と、液中に存在するシリカゾルのSiOHやシリカ粒子表面に存在するSiOHが結びつく。
しかし、これだけでは、エッチングが進行しない。結果的に、この状態でシリカ粒子を多量に含んだ研磨パッドを基板に対して相対的に運動させて、ある一定の運動量の下でシリカ粒子を基板表面に作用することによって、ある一定の温度環境と圧力環境の下で、化学反応が進行しながら、機械的に除去されるのである。
このとき、クラックに浸透したシリカゾルやシリカ粒子によって、クラックをさらに進展させる効果は働かない。クラック内へは研磨パッドが入り込むこともないため機械的な作用が働かず、結果的に化学的な除去作用も発生しないからである。
こうしたことにより、研削時に発生した基板表面の加工変質層は、シリカゾルとシリカ粒子を有する化学性をもつスラリーが供給されるとともに、研磨パッドが基板に接触することで機械的な摩擦作用が働くこととあいまって、基板表面のみが化学機械的に研磨が進行して、除去される(土肥俊郎編著:詳説半導体CMP技術(工業調査会)(2001)p.40〜42)。
その結果、ウェハ表面の加工変質層はほとんどが除去される。また、形成されたウェハ表面は鏡面になる。この鏡面になる原理は、引用文献2にある化学エッチングと比較すると次の通りである。
化学エッチングの場合は、先にも述べた通り、シリコンなどの結晶において格子歪や結晶欠陥部分が選択的にエッチングされる。そのため、エッチピットが形成されたり、結晶粒界に沿って大きくえぐれたりということが起こり、こうしたことは原理的に免れることはできない。
それに対して、化学機械的な研磨の場合、先にも述べた通り、機械的な作用が働かない限り、化学的な除去作用が働かない。機械的な作用、ここではすなわち研磨パッドによってウェハ表面を擦ることであるが、この機械的な作用は、基板表面の結晶状態とは全く関係無く、すべての基板表面において等確率に起こるものである。そのため、結晶状態に関係無くすべての表面が一様に除去される中で、化学的に作用が働くため、表面は一様な表面で結晶欠陥も無く、鏡面になるのである。ここで、鏡面といっても相対的な観点から曖昧であるため、本願では、化学機械研磨によって得られた鏡面というように定義する。
このような化学機械研磨を行うことによって、引用文献2とは大きく異なり、理想的な鏡面状態を得ることができるとともに、チップとフィルム間にエッチング液が浸透することによる侵食を防ぐことができる。
尚、化学機械研磨を行った後において、チップはまだ完全に割れてはいない。一部化学機械研磨後における表面部分に改質層から進展した微小空孔を残すだけである。尚、改質層は前の研削加工処理で既に除去されている。
この改質層から進展した微小空孔を残した状態が、例えば引用文献2に示すような研削とエッチングを施した表面状態に形成されていた場合、改質層から進展した微小空孔と、研削後のエッチング処理により助長された凹凸とを明確に区別することはできなくなる。よって、チップを割断する際に、必ずしも微小空孔から破断するのではなく、場合によっては、研削した研削条痕をエッチングにてさらに助長した凹凸部分から破断する場合も考えられる。
本願のように、表面に化学機械研磨を施した場合、処理後のウェハ表面には凹凸はほとんどなく、唯一改質層から進展した微小空孔だけが残されることになる。よって、この状態で割断処理する場合、微小空孔からさらに亀裂が進展して割断することになる。
また、本発明の目的を達成するための研削・研磨方法は、ウェハの内部にレーザ改質領域を有するウェハを研削・研磨してレーザ改質領域から伸びる微小亀裂を進展させる研削・研磨方法において、ウェハを真空吸着するウェハチャックを有する回転テーブルを回転させて、ウェハチャックを、ウェハの表面を真空吸着する位置と、ウェハの裏面を一様に研削処理しレーザ改質領域から伸びる微小亀裂を進展させる位置と、微小亀裂の進展後、ウェハの裏面を研磨処理する位置と、に順に移動させ、研削処理と、研磨処理を含む一連の処理を一つのウェハチャックに吸着した状態で行う。
本発明によれば、安定した品質のチップを効率よく得ることができる。
レーザーダイシング装置1の概観構成を示す図。 レーザーダイシング装置1の駆動手段の構成を表わす概念構成図。 レーザーダイシング装置1の駆動手段の構成を表わす平面図。 研削装置2の概観構成を示す図。 研削装置2の部分拡大図。 研削装置2の部分拡大図。 研削装置2の研磨ステージの概略図。 研削装置2のチャックの詳細を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は部分拡大図。 半導体基板の切断方法の処理の流れを示すフローチャート。 レーザー改質工程を説明する図。 切断ラインを説明する図。 研削除去工程を説明する図。 研削除去工程における亀裂進展を説明する図であり、(a)は研削時の概略図、(b)はウェハW裏面の状態、(c)はウェハW表面の状態、(d)はウェハWの断面図。 研削除去工程後のウェハW裏面の表面状態を説明する図 分割・離間工程を説明する図 分割・離間工程を説明する図 従来の基板研削時の固定状態を示す図 従来の基板研削時の固定状態を示す図 亀裂進展評価の条件について示した図 亀裂進展評価の評価結果を示した図 分割装置300の概略を示す図 チャック撓ませ手段の他の実施形態を示す説明図
以下、添付図面に従って本発明に係る半導体基板の切断方法及び半導体基板の切断装置の好ましい実施の形態について詳説する。
本発明は、レーザーダイシング装置1と、研削装置2と、レーザーダイシング装置1により加工されたウェハを研削装置2へ搬送する搬送装置(図示せず)と、研削装置2により研削されたウェハをチップへ分割する分割装置とで構成された切断装置により行われる。
<装置構成について>
(1)レーザーダイシング装置1について
図1は、レーザーダイシング装置1の概観構成を示す図である。同図に示すように、本実施の形態のレーザーダイシング装置1は、主として、ウェハ移動部11、レーザー光学部20と観察光学部30とからなるレーザーヘッド40、制御部50等から構成されている。
ウェハ移動部11は、ウェハWを吸着保持する吸着ステージ13と、レーザーダイシング装置1の本体ベース16に設けられ、吸着ステージ13をXYZθ方向に精密に移動させるXYZθテーブル12等からなる。このウェハ移動部11によって、ウェハWが図のXYZθ方向に精密に移動される。
ウェハWは、表面の一方の面に粘着材を有するBGテープBが貼付され、裏面が上向きとなるように吸着ステージ13に載置される。
なお、ウェハWは、一方の面に粘着材を有するダイシングシートが貼付され、このダイシングシートを介してフレームと一体化された状態で吸着ステージ13に載置されるようにしてもよい。この場合には、表面が上向きとなるように吸着ステージ13に載置される。
レーザー光学部20は、レーザー発振器21、コリメートレンズ22、ハーフミラー23、コンデンスレンズ(集光レンズ)24、レーザー光をウェハWに対して平行に微小移動させる駆動手段25等で構成されている。レーザー発振器21から発振されたレーザー光は、コリメートレンズ22、ハーフミラー23、コンデンスレンズ24等の光学系を経てウェハWの内部に集光される。集光点のZ方向位置は、後出のZ微動手段27によるコンデンスレンズ24のZ方向微動によって調整される。
なお、レーザー光の条件は、光源が半導体レーザー励起Nd:YAGレーザー、波長が1064nm、レーザー光スポット断面積が3.14×10−8cm、発振形態がQスイッチパルス、繰り返し周波数が100kHz、パルス幅が30ns、出力が20μJ/パルス、レーザー光品質がTEM00、偏光特性が直線偏光である。また、コンデンスレンズ24の条件は、倍率が50倍、N.A.が0.55、レーザー光波長に対する透過率が60パーセントである。
観察光学部30は、観察用光源31、コリメートレンズ32、ハーフミラー33、コンデンスレンズ34、観察手段としてのCCDカメラ35、画像処理部38、テレビモニタ36等で構成されている。
観察光学部30では、観察用光源31から出射された照明光がコリメートレンズ32、ハーフミラー33、コンデンスレンズ24等の光学系を経てウェハWの表面を照射する。ウェハWの表面からの反射光はコンデンスレンズ24、ハーフミラー23及び33、コンデンスレンズ34を経由して観察手段としてのCCDカメラ35に入射し、ウェハWの表面画像が撮像される。
この撮像データは画像処理部38に入力され、ウェハWのアライメントに用いられるとともに、制御部50を経てテレビモニタ36に写し出される。
制御部50は、CPU、メモリ、入出力回路部等からなり、レーザーダイシング装置1の各部の動作を制御する。
なお、レーザーダイシング装置1は、図示しないウェハカセットエレベータ、ウェハ搬送手段、操作板、及び表示灯等から構成されている。
ウェハカセットエレベータは、ウェハが格納されたカセットを上下移動して搬送位置に位置決めする。搬送手段はカセットと吸着ステージ13との間でウェハを搬送する。
操作板には、ダイシング装置10の各部を操作するスイッチ類や表示装置が取付けられている。表示灯は、ダイシング装置10の加工中、加工終了、非常停止等の稼動状況を表示する。
図2は、駆動手段25の細部を説明する概念図である。駆動手段25は、コンデンスレンズ24を保持するレンズフレーム26、レンズフレーム26の上面に取り付けられレンズフレーム26を図のZ方向に微小移動させるZ微動手段27、Z微動手段27を保持する保持フレーム28、保持フレーム28をウェハWと平行に微小移動させるリニア微動手段であるPZ1、PZ2等から構成される。
Z微動手段27には電圧印加によって伸縮する圧電素子が用いられている。この圧電素子の伸縮によってコンデンスレンズ24がZ方向に微小送りされて、レーザー光の集光点のZ方向位置が精密に位置決めされるようになっている。
保持フレーム28は、図示しない4本のピアノ線からなる2対の平行バネで支持され、XY方向には移動自在で、Z方向の移動が拘束されている。なお、保持フレーム28の支持方法はこれに限らず、例えば複数のボールで上下に挟み込み、Z方向の移動を拘束するとともにXY方向に移動自在に支持してもよい。
リニア微動手段PZ1、PZ2には、Z微動手段27と同じく圧電素子が用いられており、一端がレーザーヘッド40のケース本体に固定され、他端が保持フレーム28の側面に当接している。
図3は、駆動手段25の平面図である。図3に示すように、リニア微動手段PZ1、PZ2はX方向に2個配置されており、夫々一端がレーザーヘッド40のケース本体に固定され、他端が保持フレーム28の側面に当接している。したがって、印加電圧を制御することによってコンデンスレンズ24をX方向に往復微動送りすることができ、レーザー光をX方向に往復微動送りさせたり振動させたりすることができる。
なお、リニア微動手段PZ1、PZ2のうちどちらか一方に圧電素子を用い、他方をバネ材等の弾性部材にしてもよい。また、リニア微動手段を円周上に3個配置するようにしてもよい。
レーザー発振器21からレーザー光Lが出射され、レーザー光Lはコリメートレンズ22、ハーフミラー23、コンデンスレンズ24等の光学系を経由してウェハWの内部に照射される。照射されるレーザー光Lの集光点のZ方向位置は、XYZθテーブル12によるウェハWのZ方向位置調整、及びZ微動手段27によるコンデンスレンズ24の位置制御によって、ウェハ内部の所定位置に正確に設定される。
この状態でXYZθテーブル12がダイシング方向であるX方向に加工送りされるとともに、レーザーヘッド40に設けられたリニア微動手段PZ1、PZ2によってコンデンスレンズ24が往復微小移動され、レーザー光LがウェハWと平行にX方向、又は任意のXY方向に振動され、レーザー光Lの集光点がウェハ内部で微小振動しながら改質領域Pを形成してゆく。これにより、ウェハWの切断ラインに沿って、ウェハW内部に多光子吸収による改質領域Pが1ライン形成される。
なお、必要に応じ、Z微動手段27によるZ方向の振動を加えてもよい。また、レーザー光Lを加工方向であるX方向にゆっくり往復微動送りさせながらウェハWをX方向に送ることにより、レーザー光Lをミシン目のように行きつ戻りつの状態で繰返し照射するようにしてもよい。
切断ラインに沿って改質領域が1ライン形成されると、XYZθテーブル12がY方向に1ピッチ割り出し送りされ、次のラインも同様に改質領域が形成される。
全てのX方向と平行な切断ラインに沿って改質領域が形成されると、XYZθテーブル12が90°回転され、先程のラインと直交するラインも同様にして全て改質領域が形成される。
(2)研削装置2について
図4は、研削装置2の概観構成を示す斜視図である。研削装置2の本体112には、アライメントステージ116、粗研削ステージ118、精研削ステージ120、研磨ステージ122、研磨布洗浄ステージ123、研磨布ドレッシングステージ127、及びウェハ洗浄ステージ124が設けられている。
粗研削ステージ118、精研削ステージ120、研磨ステージ122は、図5に示すように仕切板125(図4では省略)によって仕切られ、各々のステージ118、120、122で使用する加工液が隣接するステージに飛散するのが防止されている。
仕切板125は、図5に示すように、インデックステーブル134に固定されるとともに、インデックステーブル134に設置された4台のチャック132、136、138、140を仕切るように十字形状に形成されている。
粗研削ステージ118は、粗研削を行うステージであり、図5に示すように、本体112の側面、天板128、及び仕切板125によって囲まれている。精研削ステージ120は、精研削を行うステージであり、粗研削ステージ118と同様に、本体112の側面、天板129、及び仕切板125によって囲まれている。仕切板125の上面及び側面にはブラシ(図示せず)が配設され、粗研削ステージ118、精研削ステージ120を外部から隔離している。また、天板128、129には、各ステージのヘッドが挿通される貫通孔128A、129Aが形成されている。
研磨ステージ122は、化学機械研磨を行うものであり、他のステージから隔離するために、図5に示すように、天板126Aを有するケーシング126によって覆われている。なお、天板126Aには、各ステージのヘッドが挿通される貫通孔126Cが形成されている。
ケーシング126の仕切板125が通過する側面には、図6に示すように、ブラシ126Bが取り付けられており、このブラシ126Bは、チャック140が加工位置に位置した時に、仕切板125の上面125A及び側面125Bに接触される。これにより、チャック140が加工位置に位置すると、ケーシング126、仕切板125、及びブラシ126Bによってが略気密状態に保持される。
研磨ステージ122は、化学機械研磨を行うものであるため、研磨加工液に化学研磨剤が含有されている。このような研磨加工液に研削加工液が混入すると、化学研磨剤の濃度が低下し、加工時間が長くなるという不具合が生じる。研磨ステージ122を略機密状態に保つことにより、精研削ステージ120で使用される研削加工液や加工屑が研磨ステージ122に浸入するのを防止でき、また、研磨ステージ122で使用される研磨加工液が研磨ステージ122から飛散するのを防止できる。したがって、双方の加工液が混入することに起因する加工不具合を防止できる。
図7は、研磨ステージ122の構造図である。研磨ステージ122では、研磨布516と、研磨布156から供給されるスラリーとによって研磨され、粗研磨、精研磨によりウェハWの裏面に生じている加工変質層が除去される。加工変質層とは、研削によって生じた条痕や加工歪(結晶が変質している)等の総称である。
研磨ステージ122の研磨布156は、モータ158の出力軸160に連結された研磨ヘッド161に取り付けられている。モータ158の側面には、直動ガイドを構成するガイドブロック162、162が設けられており、ガイドブロック162、162が、サポートプレート164の側面に設けられたガイドレール166に上下移動自在に係合されている。したがって、研磨布156はモータ158とともに、サポートプレート164に対して上下移動自在に取り付けられている。
サポートプレート164は、水平に配置されたアーム168の先端に設けられている。アーム168の基端部は、ケーシング170内に配置されたモータ172の出力軸174に接続されている。したがって、モータ172が駆動されると、アーム168は出力軸174を中心に回動することができる。これにより、研磨布56を研磨位置(図3の実線参照)と、研磨布洗浄ステージ123による研磨布洗浄位置(図3の2点鎖線参照)と、研磨布ドレッシングステージ127によるドレス位置との範囲内で移動させることができる。研磨布156は、研磨布洗浄位置に移動された際に、研磨布洗浄ステージ123によって、その表面が洗浄されて表面に付着している研磨屑等が除去される。なお、研磨布156としては、発泡ポリウレタン、研磨布等を例示することができ、研磨布洗浄ステージ123には、研磨屑を除去するブラシ等の除去部材が設けられている。この除去部材は、研磨布156の洗浄時に回転駆動され、研磨布156も同様にモータ158によって回転駆動される。研磨布ドレッシングステージ127には、研磨布156と同じ材料、例えば発泡ポリウレタンが採用されている。
ケーシング170の側面には、直動ガイドを構成するガイドブロック176、176が設けられ、このガイドブロック176、176が、ねじ送り装置用のハウジング178の側面に設けられたガイドレール180に上下移動自在に係合されている。また、ケーシング170の側面には、ナット部材179が突設されている。ナット部材179は、ハウジング178に形成された開口部(図示せず)を介してハウジング178内に配設されたねじ送り装置のねじ棒181に螺合されている。ねじ棒181の上端には、モータ182の出力軸184が連結されている。したがって、モータ82が駆動されて、ねじ棒181が回転されると、ねじ送り装置の送り作用と、ガイドブロック176とガイドレール180の直進作用とによって、ケーシング70が上下移動される。これによって、研磨布156が上下方向に大きく移動され、研磨ヘッド161とウェハWとの間隔が所定の間隔に設定される。
モータ158の上面には、エアシリンダ装置186のピストン188がアーム168の貫通孔169を介して連結されている。また、エアシリンダ装置186には、シリンダの内圧Pを制御するレギュレータ190が接続されている。したがって、このレギュレータ190によって内圧Pが制御されると、ウェハWに対する研磨布156の押圧力(圧接力)を制御することができる。
なお、本実施の形態では、研磨体として研磨布156を適用したが、これに限定されるものではなく、加工変質層の除去が可能であれば、例えば研磨砥石や砥粒の電気泳動等を適用してもよい。研磨砥石や砥粒の電気泳動等を適用した場合には、定量研磨を行うことが好ましい。
図4の説明に戻る。アライメントステージ116は、図示しない搬送装置によりレーザーダイシング装置1から搬送されたウェハWを所定の位置に位置合わせするステージである。このアライメントステージ116で位置合わせされたウェハWは、図示しない搬送用ロボットに吸着保持された後、空のチャック132に向けて搬送され、このチャック132の吸着面に吸着保持される。
チャック132は、インデックステーブル134に設置され、また、同機能を備えたチャック136、138、140が、インデックステーブル134の回転軸135を中心とする円周上に90度の間隔をもって設置されている。回転軸135には、モータ(図示せず)のスピンドル(図示せず)が連結されている。
チャック136は、図4においては粗研削ステージ118に位置されており、吸着したウェハWがここで粗研削される。チャック138は、図4においては精研削ステージ120に位置され、吸着したウェハWがここで仕上げ研削(精研削、スパークアウト)される。チャック140は、図4においては研磨ステージ122に位置され、吸着したウェハWがここで研磨され、研削で生じた加工変質層、及びウェハWの厚みのバラツキ分が除去される。
ここで、チャック132、136、138、140について説明する。チャック136、138、140はチャック132と同様の構成を有するため、チャック132について説明し、チャック136、138、140については説明を省略する。
図8は、チャック132の詳細を示す図であり、(a)はチャック132の平面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(b)におけるB部拡大図である。
チャック132は、緻密体で形成されたチャック本体132bに、多孔質材(例えば、ポーラスセラミックス)で形成された載置台132aが嵌めこまれることにより構成される。チャック本体132bの載置台132aが嵌めこまれる下側には、真空吸着のために吸着孔132cが形成されている。なお、チャック132は、熱伝導率の低い材質で形成されることが望ましい。
載置台132aには、図8(c)に示すように、ウェハWがBGテープBを介して載置される。載置台132aは、図8(c)に示すように、ウェハWを載置台132aに載置した時に、ウェハWの外周の一部が載置台132aからはみ出すよう形成されているが、その幅xは約1.5mm程度である。なお、本実施の形態で用いられるウェハWは、直径が約12インチ、厚さtは約775μmである。
吸着孔132cは、図2(a)、(b)に示すように、載置台132aの略全域を覆うように配置されている。吸着孔132cには、図示しない流体継手が連結され、この流体継手に連結された図示しないサクションポンプが空気を吸引する。したがって、ウェハWの略全面が載置台132aの表面にしっかりと真空吸着される。これにより、位置ずれを起こすことなく、ウェハWと載置台132aとを面で密着させることができる。
チャック132、136、138、140は、図7に示すように、その下面にスピンドル194とモータ192が各々連結され、これらのモータ192の駆動力によって回転される。モータ192は、支持部材193を介してインデックステーブル134に支持されている。これにより、チャック132、136、138、140をモータ137で移動させる毎に、スピンドル194をチャック132、136、138、140から切り離したり、次の移動位置に設置されたスピンドル194にチャック132、136、138、140を連結したりする手間を省くことができる。
モータ192の下部には、シリンダ装置117のピストン119が連結されている。このピストン119が伸長されると、チャック132、136、138、140の下部に形成された凹部(図示せず)に嵌入されて連結される。そして、チャック132、136、138、140は、ピストン119の継続する伸長動作によって、インデックステーブル134から上昇移動され、カップ型砥石146、154による研削位置に位置される。
制御部100は、CPU、メモリ、入出力回路部等からなり、研削装置2の各部の動作を制御する。
チャック132に吸着保持されたウェハWは、制御部100に接続された一対の測定ゲージ(図示せず)によってその厚みが測定される。これらの測定ゲージは、それぞれ接触子を有し、接触子はウェハWの上面(裏面)に、他の接触子はチャック132の上面に接触されている。これらの測定ゲージは、チャック132の上面を基準点としてウェハWの厚みをインプロセスゲージ読取値の差として検出することができる。なお、測定ゲージによる厚み測定はインラインで実施してもよい。また、ウェハWの厚み測定の方法はこれに限られない。
制御部100によりインデックステーブル134が図4の矢印R方向に90度回転されることで、厚みが測定されたウェハWが粗研削ステージ118に位置され、粗研削ステージ118のカップ型砥石146によってウェハWの裏面が粗研削される。このカップ型砥石146は、図4に示すように、モータ148の図示しない出力軸に連結され、また、モータ148のサポート用ケーシング150を介して砥石送り装置152に取り付けられている。砥石送り装置152は、カップ型砥石146をモータ148とともに昇降移動させるもので、この下降移動によりカップ型砥石146がウェハWの裏面に押し付けられる。これにより、ウェハWの裏面の粗研削が行われる。制御部100は、カップ型砥石146の下降移動量を設定し、モータ148を制御する。なお、カップ型砥石46の下降移動量、即ちカップ型砥石146による研削量は、予め登録されているカップ型砥石146の基準位置と、測定ゲージで検出されたウェハWの厚みとに基づいて設定される。また、制御部100は、モータ148の回転数を制御することで、カップ型砥石146の回転数を制御する。
粗研削ステージ118で裏面が粗研削されたウェハWは、ウェハWからカップ型砥石146が退避移動した後、制御部100に接続された測定ゲージ(図示せず)によってその厚みが測定される。制御部100によりインデックステーブル134が図4の矢印R方向に90度回転されることで、厚みが測定されたウェハWが精研削ステージ120に位置され、精研削ステージ120のカップ型砥石154によって精研削、スパークアウトされる。この精研削ステージ120の構造は、粗研削ステージ118の構造と同一なので、ここではその説明を省略する。また、カップ型砥石154による研削量は制御部100により設定され、カップ型砥石154の加工移動量及び回転数は制御部100により制御される。
精研削ステージ120で裏面が精研削されたウェハWは、ウェハWからカップ型砥石154が退避移動した後、制御部100に接続された測定ゲージ(図示せず)によってその厚みが測定される。制御部100によりインデックステーブル134が図4の矢印R方向に90度回転されると、厚みが測定されたウェハWが研磨ステージ122に位置され、研磨ステージ122の研磨布156によって化学機械研磨が行われ、ウェハWの裏面が鏡面加工される。研磨布156の上下移動距離は、制御部100により設定され、制御部100によりモータ182が制御されることで研磨布156の位置が制御される。また、制御部100によりモータ158の回転数、すなわち研磨布156の回転数が制御される。
研磨ステージ122で研磨されたウェハWは、制御部100によりアーム168が回動され、研磨布156がウェハWの上方位置から退避移動した後に、ロボット(図示せず)のハンド(図示せず)で吸着保持されてウェハ洗浄ステージ124に搬送される。ウェハ洗浄ステージ124としては、リンス洗浄機能、及びスピン乾燥機能を有するステージが適用されている。研磨終了したウェハWは、加工変質層が除去されているので、容易に破損することはなく、よって、ロボットによる搬送時、及びウェハ洗浄ステージ124における洗浄時において破損しない。
ウェハ洗浄ステージ124で洗浄乾燥終了したウェハWは、ロボット(図示せず)のハンド(図示せず)に吸着保持されて、カセット(図示せず)の所定の棚に収納される。
(3)分割装置について
次に分割装置(不図示)について説明する。分割装置は、従来の通常の分割装置を使用することができる。例えば、再表2004−100240に開示されている、以下のような構成の分割装置を使用することができる。
即ち、ダイシングテープの周縁部は枠状のフレームに固定されている。ダイシングテープ周縁部の内側部分の下面にはリング部材が当接している。このリング部材の上面外周縁部は滑らかにR面取りがされている。ダイシングテープの下方には、UV光源(UV光照射手段)が配されている。
UV光源よりUV光をダイシングテープに向けて照射するとともに、フレームを下の方向に押し下げる。UV光の照射により、ダイシングテープの粘着剤を硬化させたり、テープの粘着力を変化させたりできる。
同時に、フレームに下方向に力が付与され、下方に押し下げられる。これによりダイシングテープはエキスパンドされ、チップ同士の間隔が広げられる。この時、リング部材の上面外周縁部が滑らかにR面取りされているので、ダイシングテープSはスムーズにエキスパンドされる。
フレームFを押し下げるための機構としては、公知の各種直動装置が採用できる。たとえば、シリンダ部材(油圧、空圧等による)、モータとねじ(シャフトとしての雄ねじと軸受としての雌ねじとの組み合わせ)よりなる直動装置が採用できる。
UV光の照射強度(電力)、波長領域、照射時間等の照射条件は、ダイシングテープSの粘着剤の材質、ウェハのサイズ、割断後のチップのサイズ等に応じて適宜の値が選択できる。
ここでUV光源については、必ずしも有する必要はなくダイシングテープの粘着力を調整することにより、適切にチップを割断することが可能である。
(4)分割装置の他の実施形態について
図21は、分割装置300の概略を示す図である。図21において、(A)は、分割装置300の平面図であり、(B)は、分割装置300の側面図である。分割装置300は、ウェハ302を吸着固定するためのウェハチャック304と、ウェハチャック304を撓ませるための撓ませ手段306と、真空ポンプ308とを主に含んで構成される。
ウェハチャック304は、独立吸着孔を有する独立吸着チャック310と、前記独立吸着孔に連通する螺旋溝を有する連通溝チャック312と、を主に含んで構成され、独立吸着チャック310と、連通溝チャック312とは重ね合わさっている。
連通溝チャック312と、独立吸着チャック310の厚みは、それぞれ約1mmであり、二つ重なることによって約2mm程度になる。それぞれアクリル等の樹脂素材を部材として作製されることが好ましい。しかしながら、樹脂素材に限定するものではなく、セラミック等その他の素材でも良く、ウエアを真空吸着した後に、ウェハチャックを撓ませることができるものならば、どんな素材を選択しても良い。また、ウェハチャック304の素材そのものが必ずしも撓む必要はなく、ウェハチャック304全体として撓む構成、構造であればよい。
撓ませ手段306は、先端が丸まった棒状体であり、ウェハチャック304裏面の中心部を下方から上方に突き上げることによりウェハチャック304を半球状に撓ませることができる。
ウェハ302は、外周を例えば金属などのフレームで固定されたエキスパンドフィルム314上に貼り付けられたままでウェハチャック304に載せられて、真空吸着される。エキスパンドフィルム314は、多少通気性がある方が好ましく、通気性があることにより、ウェハ302自身が真空力により直接ウェハチャック304に吸着される。
ウェハチャック304は、ウェハ302を吸着したまま撓ませ手段により、半球状に撓ませられる。これにより、ウェハ302は、切断ラインに沿って分割される。
次に、チャック撓ませ手段の他の実施形態について図22を参照して説明する。図22は、チャック撓ませ手段の他の実施形態を示す説明図である。この図において、チャック撓ませ手段320以外は、図21と同じなので説明を省略する。
図22に示すように、チャック撓ませ手段320は、かまぼこ形状を成している。また、この分割装置300は、チャック撓ませ手段320をウェハ302に対して相対的に回転させる手段(図示せず)も備えている。
ウェハ302に形成されている分割ラインは、ウェハ表面内で違いに垂直であるX軸、Y軸を考えたとき、このX軸方向、Y軸方向にある場合が多い。そこで、次のようにしてウェハ302を分割する。即ち、チャック撓ませ手段320の一側面が、X軸に平行になるようにチャック撓ませ手段320の位置を合わせる。次に、分割ラインがX軸に平行になるようにウェハ302を位置合わせウェハチャック304に載せて真空吸着させる。
チャック撓ませ手段320をウェハチャック304の下面に押しつけることによってウェハチャック304と共にウェハ302を撓ませてX方向に分割する。次に、チャック撓ませ手段320をウェハチャック304から離して、90度回転させ、前記一側面がY軸に平行になるようにして、再度ウェハチャック304の下面に押しつけることにより、ウェハ302をY方向に分割する。これにより、ウェハ302は、X方向、Y方向ともに分割ラインに沿って割ることができる。
ここで、ウェハ302を真空吸着せず、弾性フィルムであるダイシングフィルムを介してチャック撓ませ手段320に押せてウェハ302を撓ませた場合は、ある一部でウェハが先に割れると、その割れた部分でウェハが急峻に曲がり、そこでチャック撓ませ手段320の曲率が吸収されるため、部分的にウェハが曲がらず、分割されないままでチャック撓ませ手段320に倣うことがある。
そこで、ウェハ302をまずウェハチャック304に真空吸着させて、ウェハチャック304でウェハ302を平面に矯正した後、そのウェハチャック304ごと撓ませると、ウェハ302内の各部分は、ウェハチャック304の撓みに対応して、ウェハ302は吸着されたまま倣うので、ウェハ302の面内に、一様に一定の曲げ応力が印加されるため、分割残りがなく、ウェハ302を分割することができる。
<半導体基板の切断方法>
次に、半導体基板の切断方法について説明する。図9は、半導体基板の切断方法の処理の流れを示すフローチャートである。
(1)レーザー改質工程(ステップS10)
表面にBGテープBが貼付されたウェハWが、裏面が上向きとなるようにレーザーダイシング装置1の吸着ステージ13に載置される。以下の処理はレーザーダイシング装置1で行われ、制御部50により制御される。
レーザー発振器21からレーザー光Lが出射されると、レーザー光Lはコリメートレンズ22、ハーフミラー23、コンデンスレンズ24等の光学系を経由してウェハWの内部に照射され、ウェハWの内部に改質領域Pが形成される。
本実施の形態では、最終的に生成されるチップの厚さが略50μmであるため、図10に示すように、ウェハWの表面から略60μm〜略80μmの深さにレーザー光を照射する。ウェハWの表面(デバイス面)を効率的に破断するためには、ウェハW表面からチップTの厚み分だけ裏面側に位置する面である基準面に近い比較的深い位置にレーザ改質領域を形成する必要があるからである。
制御部50は、パルス状の加工用のレーザー光LをウェハWの表面に平行に走査して、ウェハW内部に複数の不連続な改質領域P、P、…を並べて形成する。改質領域Pの内部には、微小空孔(以下、クラックという)Kが形成される。以下、複数の不連続な改質領域P、P、…が並べて形成された領域を改質層という。
図11に示す切断ラインLのすべてに沿って改質層が形成されたら、ステップS10の処理を終了する。
(2)研削除去工程(ステップS12)
レーザー改質工程(ステップS10)により切断ラインLに沿って改質領域が形成されたら、搬送装置(図示せず)によりウェハWをレーザーダイシング装置1から研削装置2へ搬送する。以下の処理は研削装置2で行われ、制御部100により制御される。
搬送されたウェハWの裏面を上側、すなわちウェハWの表面に貼付されたBGテープBを下側にしてチャック132(例示、チャック136、148、140でも可)に載置させ、ウェハWの略全面をチャック132に真空吸着させる。
インデックステーブル134を回転軸135を中心に回転させてチャック132を粗研削ステージ118に搬入し、ウェハWを粗研削する。
粗研削は、チャック132を回転させるとともにカップ型砥石146を回転させることにより行う。本実施の形態では、カップ型砥石146として例えば、東京精密製ビトリファイド♯325を用い、カップ型砥石146の回転数は略3000rpmである。
粗研削後、インデックステーブル134を回転軸135を中心に回転させてチャック132を精研削ステージ120に搬入し、チャック132を回転させるとともにカップ型砥石154を回転させてウェハWを精研削する。本実施の形態では、カップ型砥石154として例えば、東京精密製レジン♯2000を用い、カップ型砥石154の回転数は略2400rpmである。
本実施の形態では、図12に示すように、粗研削と精研削とをあわせて目標面まで、すなわちウェハWの表面から略50μmの深さまで研削を行う。本実施の形態では、粗研削で略700μmの研削を行い、精研削で略30〜40μmの研削を行うが、厳密に決まっているわけではなく、粗研削と精研削との時間が略同一となるように研削量を決定してもよい。
したがって、図12に示すように、改質層は研削工程で除去され、最終的な製品であるチップT断面にはレーザー光による改質領域Pは残らない。そのため、チップ断面から改質層が破砕し、破砕した部分からチップTが割れたり、また破砕した部分から発塵したりということをなくすことができる。
また、本実施の形態においては、この研削除去工程において、改質層内のクラックをウェハWの厚み方向に進展させる亀裂進展工程が含まれる。図13は、クラックが進展する仕組みを説明する図であり、(a)は研削時の概略図、(b)はウェハW裏面の様子、(c)はウェハW表面の様子、(d)は研削時のウェハWの断面図である。
研削によって、図13(a)に示す研削面、すなわちウェハW裏面は、図13(b)に示すように研削熱によって膨張する。それに対し、研削面の反対側の面、すなわちウェハW表面は、図13(c)に示すように真空チャックにより略全面が減圧吸着されており、熱膨張による位置ずれが生じないように横方向への変位に対して物理的に拘束されている。
すなわち、図13(d)に示すように、ウェハWの裏面(研削面)は熱膨張によって円盤状の場合外周方向に広がろうとする(熱膨張による変位)のに対し、ウェハWの表面(吸着面)はその広がろうとするウェハ面内の各点各点を物理的に位置ずれしないように拘束されている。そのため、ウェハ内部に歪が生じ、この内部歪によりクラックがウェハWの厚み方向に進展する。この内部歪は、熱膨張により膨張する部分と、物理拘束されるウェハ面内各点との間に均等に働く。内部歪による亀裂進展は、最も研削量が大きく、摩擦力も大きくなる、すなわち摩擦熱も大きくできる研削初期、すなわち粗研削時が最も効率良い。
レーザ改質領域は、チップの厚みに近い比較的深い位置に形成される。したがって、研削初期では研削表面からレーザ改質層までの距離は比較的遠くなるが、改質層から目標面は、亀裂進展させる程度に比較的近い位置にある。そのため、亀裂進展のためには、粗研削の初期に研削熱によってウェハWの熱膨張を促すとよい。
ウェハWを熱膨張させる条件、すなわち摩擦熱をよい多く発生させるための条件(例えば、研削液を少なくする等)で研削を行ったとしても、研削のせん断応力がすぐに改質層におよぼされるものでもない。本実施の形態では、研削によるせん断応力によって亀裂が進展するのではなく、研削熱による熱膨張が亀裂進展の支配的要素である。
内部歪によりクラックを進展させる場合には、ウェハW面内の剛性ばらつきなどに起因することなく、どのようなウェハWであってもウェハW面内各点一様にクラックを進展させることができる。したがって、人為的な応力を付与する場合のように、ウェハW面内の欠陥の存在などに起因する剛性の弱い部分に応力が集中する事を防ぐことができる。
また、人為的に外力を与えた場合においては、材料の弱い部分に応力が集中するため、クラックを一様に緩やかに進展させるという制御は困難であり、完全にウェハが割断される。それに対し、本実施の形態における内部歪によるクラックの進展の場合、熱膨張の度合いよる内部歪であることから、クラックを微妙に進展させることが可能となる。すなわち、目標面とウェハWの表面との間にまでクラックを進展させることができる。したがって、後に説明する分割・離間工程(ステップS18)で効率よく分割することが可能となる。
なお、ウェハWの熱膨張による内部歪は、温度差に起因するいわゆる熱応力とは区別される。熱応力は温度勾配に比例して発生するが、本実施の形態では発生した熱はチャック132、136、138、140へ逃げていくため、熱応力は発生しない。
(3)化学機械研磨工程(ステップS14)
この工程は研削装置2で行われ、制御部100により制御される。
精研削後、インデックステーブル134を回転軸135を中心に回転させてチャック132を研磨ステージ122に搬入し、研磨ステージ122の研磨布156によって化学機械研磨が行われ、研削除去工程(ステップS12)においてウェハWの裏面に形成された加工変質層が除去され、ウェハW裏面が鏡面加工される。
本実施の形態では、研磨布156としてポリウレタン含浸不繊布(例えば、東京精密製TS200L)を用い、スラリーとしてコロイダルシリカを用い、研磨布156の回転数は略300rpmである。
研削除去工程(ステップS12)により、ウェハWの裏面は、図14に示すような凹凸が多数形成されている。化学エッチングにより研磨を行う場合には、表面形状がそのまま保たれるため、凹部から割れが発生する恐れがあるし、表面が鏡面化されない。それに対し、本実施の形態では、化学機械研磨であるため、加工により生じた加工歪を除去され、表面の凹凸が除去されて鏡面化される。
すなわち、最終製品であるチップTの品質向上のためには、砥石を用いた研削除去工程と、研磨布を使用した化学液を含んだ遊離砥粒による化学機械研磨工程の二つが必要不可欠となる。
(4)エキスパンドテープ貼付工程(ステップS16)
化学機械研磨工程(ステップS14)が行われたウェハWの裏面にエキスパンドテープFを貼り付ける。エキスパンドテープは弾性テープの一種であり、伸縮自在である。
本実施の形態では、化学機械研磨工程(ステップS14)においてウェハWの裏面が鏡面化されているため、エキスパンドテープFとウェハとの密着性も格段に向上する。また、最終的に生成されるチップTの抗折強度をあげることもできる。
(5)分割・離間工程(ステップS18)
エキスパンドテープ貼付工程(ステップS16)でエキスパンドテープFが裏面に貼付されたウェハWを、図15に示すように分割装置にウェハWの表面を上に載置する。研削除去工程(ステップS12)においてクラックが目標面より表面側へ進展しているため、図15に示すように、ウェハWのエキスパンドテープFが貼付されている側には進展したクラックが形成されている。
その後、図16に示すように、エキスパンドテープFを外側へ拡張する(エキスパンド)と、進展したクラックをもとにウェハWが破断される。すなわち、ウェハWが切断ラインで破断され、複数のチップTに分割される。その後、エキスパンドテープFをさらに拡張すると個々のチップTが離間する。
本実施の形態では、研削除去工程(ステップS12)において、クラックを目標面より下側に進展させることによって、この分割・離間工程においてエキスパンドテープFを引っ張るだけで、効率よくウェハWをチップTに分割することが可能となる。また、クラックを進展させるときに完全にウェハを割断しないため、作業効率がよい。
また、本実施の形態では、化学機械研磨工程(ステップS14)でウェハW裏面が鏡面加工されているため、エキスパンドする際にエキスパンドテープFとチップTとがずれを起こして部分的に剥離することがない。
<<研削による亀裂進展評価>>
次に、上記研削除去工程(ステップS12)における研削による亀裂進展評価について図19、図20を参照して説明する。研削方法、分割離間方法、それらの条件等は基本的に上記ステップS10からS18の通りである。図19は、亀裂進展評価の条件について示した図であり、図20は、亀裂進展評価の評価結果を示した図である。
図19の(A)、(B)、(C)において、横軸は共通し、各位置が互いに対応しており、研削時間(s)を示す。図19の(A)の縦軸は、切り込み速度(研削速度)(μm/s)を示し、(B)の縦軸は、研磨中の砥石への給水のON、OFFを示し、(C)の縦軸は、研削中のウェハW裏面の温度(℃)を示す。
図19の(A)に示すように、研削速度を変えながら粗研削を合計710μm行い、その後、精研削を13μm(図示せず)行い、さらに化学機械研磨(図示せず)を2μm行った。ウェハの際、図19の(B)に示すように、粗研削の途中に砥石又はウェハへの給水の中断期間を設けた。研削開始後t1秒経過後に給水を中止し、研削開始後t2秒経過後に給水を再開した。給水は、10L/minの流量で行った。その後、上記ステップS16、S18工程を行って、ウェハを割断し、その割断状態を観察して評価した。チップが割れたり、発塵したりせず良好に割れた場合を○とし、チップが割れたり発塵したものは×として、図20に結果をまとめた。
図19の(C)に示すように、ウェハWの裏面温度は、給水が中止された研削開始後t1秒経過後に急に上昇を初め、給水が再開された研削開始後t2秒経過直後に下降し始めた。
図20に示すように、研削によりウェハWの裏面温度が70℃以上になった場合、良好にウェハの割断が行われた。これは、研削の熱によりレーザーによって形成されたクラックが進展したためと考えられる。
よって、本発明に係る研削装置は、ウェハの温度測定する手段と、研削中に砥石又はウェハへの給水をON、OFFする手段と、研削開始から所定の時間経過後にウェハ温度が所定の値になるまでウェハへの給水をOFFするように制御する手段とを備えることができる。これにより、レーザーによって形成されたクラックを進展させ、ウェハの割断を良好に行うことができる。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、研削によりレーザー光により形成された改質領域内のクラックを進展させることができるため、チップTの断面にレーザー光により形成された改質領域が残らないようにすることができる。そのため、チップTが割れたり、チップT断面から発塵したりとするという不具合を防ぐことができる。したがって、安定した品質のチップを効率よく得ることができる。
(付記)
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
(付記1)本発明の第1態様に係る半導体基板の切断方法は、切断ラインに沿ってウェハの裏面からレーザー光を入射して前記ウェハの内部に改質領域を形成することで前記改質領域内に微小空孔を形成する改質領域形成工程と、前記改質領域形成工程で改質領域が形成されたウェハの表面の略全面を各領域独立して一様にテーブルに吸着させる吸着工程と、前記吸着工程で表面の略全面がテーブルに吸着されたウェハを裏面から研削して前記改質領域を除去するとともに、前記微小空孔を前記ウェハの厚み方向に進展させる研削工程と、前記研削工程で前記微小空孔が前記ウェハの厚み方向に進展されたウェハを化学機械的に研磨する工程と、前記基板内に残された微小空孔を基に、切断ラインに沿って割断する工程と、割断後複数のチップに分割する分割工程と、を含むことを特徴とする。
この第1態様に係る半導体基板の切断方法によれば、切断ラインに沿ってウェハの裏面からレーザー光を入射してウェハの内部に改質領域を形成することで改質領域内に微小空孔を形成し、改質領域が形成されたウェハの表面の略全面をテーブルに基板の各位値を独立して一様に吸着させた状態でウェハを裏面から研削して改質領域を除去する。
(付記2)本発明の第2態様に係る半導体基板の切断方法は、切断ラインに沿って、ウェハの裏面からレーザー光を入射して前記ウェハの内部に改質領域を形成することで、前記改質領域内に微小空孔を形成する改質領域形成工程と、前記改質領域形成工程で改質領域が形成されたウェハの表面の略全面を一様かつ各領域内で独立してテーブルに吸着させる工程と、前記ウェハを吸着した状態で、前記レーザー光を入射してウェハ内部に形成した改質領域より手前の部分まで研削除去し、該改質領域から延びる微小亀裂を基板の深さ方向に進展させる第1の研削工程と、前記ウェハ内部に形成した改質領域を研削除去する第2の研削工程と、ウェハ表面を改質する化学スラリーと研磨パッドを用いて化学機械研磨を行いながら、前記改質領域から延びる微小亀裂を残しながら、前記第1及び第2の研削工程で導入された加工変質層を除去して表面を鏡面化する工程とウェハ厚み方向に進展した微小亀裂を基に、ウェハに割断する工程と、割断した後に、割断されたチップを離間する工程と、を有することを特徴とする。
この第2態様に係る半導体基板の切断方法によれば、初期に改質領域をウェハ内部の深い位置に形成し、初期に第1の研削工程で研削熱を発生させながら除去加工していくことで、改質領域に形成された亀裂をウェハのさらに深い位置にまで進展させることが可能となる。
しかし、第1の研削工程で、改質していない領域と同じ容量で、レーザーで改質した領域も研削除去加工すると、改質領域は結晶粒界が大きいため、大きな結晶粒が欠け落ちたり、またこうした結晶粒に伴って、さらに致命的な亀裂が進展することもある。よって、第1の研削工程は、結晶性が一定である改質領域手前の部分まで研削を行うとよい。
第2の研削工程では、主としてレーザーで改質された領域を研削する。この際、研削砥石も番手が高い、すなわち第1の研削工程と比べて細かい粒度の研削砥石を使用し、第1の研削工程と比較して、改質領域から派生した致命的なクラックや欠陥を誘発することのないように、穏やかな研削加工を行う。第2の研削工程は改質領域だけであり、第1の研削工程と比較しても研削レートは小さい条件とし、細かく削り落とす。
そして、レーザー改質領域が除去された後に、最終的に化学機械研磨を行う。化学機械研磨では、ウェハを改質する化学液を供給しつつ、高分子や不織布などの研磨パッドをウェハに押しつけて、化学的かつ機械的に研磨を行う。
仮に、先ほどの改質領域に、化学機械研磨を行う場合、改質領域は大きい結晶粒が欠け落ちる場合がある。化学機械研磨では不織布や発泡ポリウレタンなどの研磨パッドを使用するため、こうしたパッド表面に欠け落ちた結晶粒が入り込むと研磨中絶えず欠け落ちた結晶粒によってスクラッチを発生させてしまう。このような場合、研削加工での加工変質層を除去しつつ、鏡面化するという目的を果たすまでもなく、研磨面をスクラッチだらけにしてしまうことになる。
そうしたことから、化学機械研磨工程に導入される状態では、先の第2の研削工程においてレーザーによって導入された改質層は完全に除去されていなければならない。
(付記3)本発明の第3態様に係る半導体基板の切断方法は、上記第2態様に係る半導体基板の切断方法において、前記改質領域形成工程は、前記ウェハの表面から略60μm〜略80μmの深さに前記改質領域を形成し、前記第1の研削工程は、前記微小空孔を前記ウェハの表面から略50μmの深さと前記ウェハの表面との間まで進展させることを特徴とする。
これにより、ウェハの表面から略60μm〜略80μmの深さに改質領域が形成され、微小空孔がウェハの表面から略50μmの深さとウェハの表面との間まで進展される。そのため、チップの断面にレーザー光により形成された改質領域が残らないようにワークを研削しても、微小空孔をワークに残すことができる。
(付記4)本発明の第4態様に係る半導体基板の切断方法は、上記第1態様に係る半導体基板の切断方法において、前記研削工程は、研削中のウェハの温度が70℃以上になるまで、研削中に砥石に水を供給することを中断する工程を含むことを特徴とする。
この第4態様に係る半導体基板の切断方法によれば、研削中のウェハの温度を制御することができる。これにより、微小空孔をウェハの厚み方向に進展させることができる。
(付記5)本発明の第5態様に係る半導体基板の切断方法は、上記第2態様又は第3態様に係る半導体基板の切断方法において、前記第1の研削工程は、研削中のウェハの温度が70℃以上になるまで、研削中に砥石に水を供給することを中断する工程を含むことを特徴とする。
この第5態様に係る半導体基板の切断方法によれば、研削中のウェハの温度を制御することができる。これにより、微小空孔をウェハの厚み方向に進展させることができる。
(付記6)本発明の第6態様に係る半導体基板の切断方法は、上記第1態様又は第4態様に係る半導体基板の切断方法において、前記分割工程は、前記ウェハの表面に弾性テープを貼付する工程と、前記弾性テープを拡張する工程と、を含むことを特徴とする。
この第6態様に係る半導体基板の切断方法によれば、ウェハの表面に弾性テープを貼付して拡張することで、ウェハを複数のチップに分割することができる。
(付記7)本発明の第7態様に係る半導体基板の切断装置は、切断ラインに沿ってウェハの裏面からレーザー光を入射して前記ウェハの内部に改質領域を形成するレーザーダイシング手段と、前記ウェハを裏面から研削して前記改質領域を除去する研削手段と、前記レーザーダイシング手段から前記研削手段へ前記ウェハを搬送する搬送手段と、前記ウェハを切断ラインに沿って分割する分割手段と、を備えた半導体基板の切断装置であって、前記レーザーダイシング手段は、前記ウェハの表面が下向きに載置されるテーブルと、前記ウェハに向けてレーザー光を照射して前記改質領域を形成する照射手段と、前記レーザー光が照射される位置が変わるように前記照射手段を制御する第1の制御手段と、を備え、前記研削手段は、前記ウェハの表面が下向きに載置され、前記ウェハの略全面を吸着する吸着テーブルと、前記ウェハを研削する砥石と、前記砥石の高さ及び回転数を制御する第2の制御手段と、を備えたことを特徴とする。
これにより、チップの断面にレーザー光により形成された改質領域が残らないようにすることができる。そのため、チップが割れたり、チップ断面から発塵したりとするという不具合を防き、安定した品質のチップを効率よく得ることができる。
(付記8)本発明の第8態様に係る半導体基板の切断装置は、上記第7態様に係る半導体基板の切断装置において、前記第1の制御手段は、前記ウェハの表面から略60μm〜略80μmの深さに前記改質領域を形成させるように前記照射手段を制御し、前記第2の制御手段は、前記ウェハの表面から略50μmの深さと前記ウェハの表面との間まで前記改質領域内の微小空孔を進展させるように前記砥石の高さ及び回転数を制御することを特徴とする。
これにより、チップの断面にレーザー光により形成された改質領域が残らないようにワークを研削しても、微小空孔をワークに残すことができる。
(付記9)本発明の第9態様に係る半導体基板の切断装置は、上記第7態様又は第8態様に係る半導体基板の切断装置において、研削中のウェハの温度測定する手段と、研削中に砥石又はウェハへの給水をON、OFFする手段と、研削開始から所定の時間経過後にウェハ温度が所定の値になるまでウェハへの給水をOFFするように制御する手段とをさらに備えたことを特徴とする。
これにより、微小空孔をウェハの厚み方向に進展させることができる。
1…レーザーダイシング装置,2…研削装置,W…ワーク,B…BGテープ,F…エキスパンドテープ,11…ウェハ移動部,13…吸着ステージ,20…レーザー光学部,30…観察光学部,40…レーザーヘッド,50…制御部,118…粗研削ステージ,120…精研削ステージ,122…研磨ステージ,132、136、138、140…チャック,146、154…カップ型砥石,156…研磨布,300…分割装置

Claims (2)

  1. ウェハの内部にレーザ改質領域を有するウェハを研削・研磨して前記レーザ改質領域から伸びる微小亀裂を進展させる研削・研磨装置において、
    前記ウェハを真空吸着するウェハチャックを有する回転テーブルを備え、
    前記回転テーブルを回転させて、前記ウェハチャックを、
    前記ウェハの表面を真空吸着する位置と、
    前記ウェハの裏面を一様に研削砥石を用いて研削処理して、前記レーザ改質領域を除去し、且つ前記レーザ改質領域から伸びる微小亀裂を前記ウェハの内部で進展させる位置と、
    前記微小亀裂の進展後、前記ウェハの裏面を研磨布を用いて加工変質層を除去する研磨処理を行う位置と、に順に移動させ、
    前記研削処理と、前記研磨処理を含む一連の処理を一つの前記ウェハチャックに前記ウェハの表面を真空吸着した状態で行う研削・研磨装置。
  2. ウェハの内部にレーザ改質領域を有するウェハを研削・研磨して前記レーザ改質領域から伸びる微小亀裂を進展させる研削・研磨方法において、
    前記ウェハを真空吸着するウェハチャックを有する回転テーブルを回転させて、前記ウェハチャックを、
    前記ウェハの表面を真空吸着する位置と、
    前記ウェハの裏面を一様に研削砥石を用いて研削処理して、前記レーザ改質領域を除去し、且つ前記レーザ改質領域から伸びる微小亀裂を前記ウェハの内部で進展させる位置と、
    前記微小亀裂の進展後、前記ウェハの裏面を、研磨布を用いて加工変質層を除去する研磨処理を行う位置と、に順に移動させ、
    前記研削処理と、前記研磨処理を含む一連の処理を一つの前記ウェハチャックに前記ウェハの表面を真空吸着した状態で行う研削・研磨方法。
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