JP5924033B2 - 車体下部構造 - Google Patents
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Description
このような要件を満足する手段としては、フロアトンネルに補強部材を設けることが知られている(特許文献1,2参照)。
特許文献2に開示された従来構造は、側突対応構造として、トンネル部の裏面側に、リインフォース上部とリインフォース下部とから成る上下複数分割構造のトンネルリインフォース(トンネル補強部材)を配設した構造である。
本発明者等は、NVH特性の向上を図るため、そのメカニズムを検討した。
その結果、車両走行時にトンネル補強部材の上角部に応力が集中して、該トンネル補強部材の上面が変形することにより、フロアトンネルに横倒れモード(車幅方向への振動)が生じることを見出した。
すなわち、フロアトンネルは横倒れする共振周波数をもっており、この共振周波数の入力がフロアトンネルに入ると、横倒れモードが励起され、フロアトンネルが横倒れする(トンネルのマッチボックス変形で、トンネルが平行四辺形のように変形する)。
フロアパネル上の車室内には空気が存在し、この空気自体の固有の振動数(約160HZ)と、フロアトンネルの横倒れの固有振動数が略同等の共振周波数にあると、2つの共振周波数が重なって、より大きな音となる。
つまり、フロアトンネルの横倒れで増幅された振動が、フロアパネルに伝わり、フロアパネルから車室内の空気に伝わった振動が、さらに空気の振動モードで増幅され、乗員に不快な音(100〜200HZのこもり音)として伝わることが分かった。
したがって、車両走行時のフロアトンネルの横倒れモード(詳しくは、トンネル補強部材の上面の変形)を如何にして抑制するかという点が課題となる。
上記側面部と上記側方延設部とをつなぐ第3屈曲部と、を有し、上記両側の第1屈曲部間の距離をW1、上記両側の第3屈曲部間の距離をW2、上記両側の第3屈曲部間を結ぶ直線と上記第2屈曲部との距離をH1、上記両側の第3屈曲部間を結ぶ直線と上記第1屈曲部との距離をH2とした時、(W1/W2)×(H1/H2)が0.12以下であり、上記補強部材の上記フロアトンネルの車体下方側の面と離間して対向する面の車幅方向断面における上記第1屈曲部での上記上面部と上記傾斜部とのなす角度と、上記第2屈曲部での上記傾斜部と上記側面部とのなす角度が略等しく設定されたものである。
詳しくは、乗員の耳を圧迫するような不快な音(周波数100〜200HZのこもり音)の発生を抑制することができる。
上記構成によれば、フロアトンネルの横倒れモードによりフロアパネルの上下振動が励起されやすい位置、つまり、フロアパネルがクロスメンバで拘束されていない位置に上記補強部材を配設したので、フロアパネルの上下振動抑制をより一層効果的に高めることができる。
詳しくは、乗員の耳を圧迫するような不快な音(周波数100〜200H Z のこもり音)の発生を抑制することができる。
上記構成によれば、フロアトンネルの横倒れモードによりフロアパネルの上下振動が最も励起されやすい位置、つまり、車体とクロスメンバとによる拘束部位の間に、上記補強部材を配設したので、フロアパネルの上下振動抑制を、さらに効果的に高めることができる。
上記構成によれば、フロアトンネルの横倒れモードの腹となる部位、つまり、振動周波数の振幅が最大となる箇所に、上記補強部材を設けたので、トンネル横倒れモード抑制効果をより一層高めることができる。
上記構成によれば、ダッシュロアパネルとフロアトンネルとが接合されて元々車体剛性が高くなっている部位に上記補強部材を重ね合せ接合したので、補強部材それ自体の剛性がさらに高くなり、該補強部材の上面部の変形を抑制することができる。
よって、車両走行時のフロアトンネルの横倒れモードをさらに抑制することができて、NVH性能のさらなる向上を図ることができる。
図面は車体下部構造を示し、図1はその平面図、図2は車体下部構造を示す底面図、図3は車幅方向中央で縦断した状態で示す側面図である。
上述のダッシュロアパネル4は、エンジンルームと車室とを前後方向に仕切るパネル部材であって、このダッシュロアパネル4の車幅方向中央には上方に膨出したトンネル部5が一体形成されている。このトンネル部5は後述するフロアパネル13のトンネル部14と一体化されるものである。
また上述のダッシュロアパネル4の上下方向中間位置における前面部には、断面略ハット形状のダッシュクロスメンバ6を接合固定して、このダッシュクロスメンバ6とダッシュロアパネル4との間には、車幅方向に延びるダッシュクロス閉断面7を形成して、ダッシュパネル1の剛性向上を図っている。
上述のヒンジピラー2は、図1に示すように、ヒンジピラーインナ2aとヒンジピラーアウタ2bとを接合固定して、上下方向に延びるヒンジピラー閉断面2cを形成した車体剛性部材であり、このヒンジピラー2には、図示しないフロントドアが開閉可能に取付けられる。
上述のフロアパネル13は車室の底面(床面)を構成するもので、図1,図2に示すように、該フロアパネル13の左右両側で車体前後方向に沿って延びるサイドシル15,15を設けている。このサイドシル15は、サイドシルインナ15aとサイドシルアウタ15bとの接合フランジ部を接合固定して、車体前後方向に延びるサイドシル閉断面を備えた車体強度部材である。
これら左右のクロスメンバ16,16(No.2クロスメンバ)は、トンネル部14を隔てて車幅方向に一直線状に配置されており、クロスメンバ16とフロアパネル13との間には、車幅方向に延びる閉断面が形成されている。
これら左右のクロスメンバ17,17(No.2.5クロスメンバ)もNo.2クロスメンバと同様に、トンネル部14を隔てて車幅方向に一直線状に配置されており、該クロスメンバ17とフロアパネル13との間にも、車幅方向に延びる閉断面が形成されている。
上述のセンタピラー18は、センタピラーインナ18aとセンタピラーアウタ18bとを接合固定して、車体上下方向に延びるセンタピラー閉断面18cを備えた車体強度部材である。
このリヤクロスメンバ19は左右のリヤサイドフレーム20,20の前端部相互間に架設された閉断面構造の車体強度部材であり、また、上述の左右一対のリヤサイドフレーム20,20は図示しないリヤフロアの下面に接合されると共に、リヤサイドフレーム20の前端部側面は、左右のサイドシル15,15におけるサイドシルインナ15a,15aの後端部に連結されている。
さらに、図2に示すように、前側のクロスメンバ16,16(No.2クロスメンバ)の配設位置と対応して、トンネル部14の車外側面、つまり、車体下方側の面には、側突対応の補強メンバ21を接合固定し、側突耐力の向上を図っている。
なお、図2において、27はサスペンションタワー部、28はエプロンレインフォースメントであり、また図中、矢印Fは車両の前方を示す。
詳しくは、図3に示すように、車体前後方向で上述のダッシュアッパパネル3とクロスメンバ16との間に上述のトンネルガセット30が配設されており、さらに詳しくは、車体前後方向でダッシュアッパパネル3とクロスメンバ16との間の車体前後方向の略中央にトンネルガセット30が配設されている。つまり、トンネルガセット30はフロアパネル13が強度部材で拘束されていない箇所で、該フロアパネル13の上下振動が励起されやすい箇所に設けられたものである。
すなわち、上述の接合フランジ部31は、図4に示すように、ダッシュロアパネル4とトンネル部14との間にサンドイッチ状の挟持結合されたものである。
また、トンネルガセット30の後側の接合フランジ部32は、トンネル部14の車体下方側の面に接合されており、上述の閉断面29はトンネル部14とガセット本体33との間に形成される。
(W1/W2)×(H1/H2)を0.12以下に設定している。
また、図7に示すように、トンネルガセット30におけるトンネル部14の車体下方側の面と離間して対向する面、つまり、ガセット本体33の車幅方向断面において第1屈曲部K1での上面部33Aと傾斜部33Dとのなす角度θ1と、第2屈曲部K2での傾斜部33Dと側面部33Bとのなす角度θ2が略等しく設定されたものである。
このため、両角度θ1,θ2が略等しく、P,K1,K2で囲繞された三角形が二等辺三角形に形成されることが好ましい。
そして、簡易モデルMの第3屈曲部K3の前後4点R1,R2,R3,R4を拘束し、この簡易モデルMに対して図8に矢印で示す横方向から振動を加え、第1屈曲部K1の前後方向中間を加振・応答点として共振周波数の変化を求めた。
つまり、(W1/W2)×(H1/H2)が0.12以下の時、共振周波数が高くなり、空気の固有振動数とトンネルの横倒れ固有振動数とが大きく離れることで、上面部33Aの変形がなくなることが認められた。
詳しくは、乗員の耳を圧迫するような不快な音(周波数100〜200HZのこもり音)の発生を抑制することができる。
また、上記補強部材(トンネルガセット30)の上記トンネル部14の車体下方側の面と離間して対向する面(ガセット本体33参照)の車幅方向断面における上記第1屈曲部K1での上記上面部33Aと上記傾斜部33Dとのなす角度θ1と、上記第2屈曲部K2での上記傾斜部33Dと上記側面部33Bとのなす角度θ2が略等しく設定されたものである(図7参照)。
さらに、上記フロアパネル13の両側で車体前後方向に沿って延びるサイドシル15と、上記フロアパネル13に接合され上記トンネル部14と上記サイドシル15との間に車幅方向に延びるクロスメンバ16とを備え、上記クロスメンバ16と車体前後方向で重ならない位置に上記補強部材(トンネルガセット30参照)が配設されたものである(図2参照)。
加えて、上記ダッシュパネル1が、両端部が車体(ヒンジピラー2参照)に接合されたダッシュアッパパネル3と、該ダッシュアッパパネル3の下部に接合されたダッシュロアパネル4とを備え、車体前後方向で上記ダッシュアッパパネル3と上記クロスメンバ16との間に上記補強部材(トンネルガセット30参照)が配設されたものである(図3参照)。
また、車体前後方向で上記ダッシュアッパパネル3と上記クロスメンバ16との間の略中央に上記補強部材(トンネルガセット30参照)が配設されたものである(図3参照)。
さらに、上記補強部材(トンネルガセット30参照)は車体前後方向断面が略ハット形状に形成され、該略ハット形状の車体前後方向の前端部(前側の接合フランジ部31参照)が、上記ダッシュロアパネル4と上記トンネル部14と共に重ね合せ接合されたものである(図4参照)。
よって、車両走行時のトンネル部14の横倒れモードをさらに抑制することができて、NVH性能のさらなる向上を図ることができる。
この発明のフロアトンネルは、上述の実施例のトンネル部14に対応し、
以下同様に、
補強部材は、トンネルガセット30に対応し、
閉断面部は、閉断面29に対応し、
車体は、ヒンジピラー2に対応するも、
この発明は上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
2…ヒンジピラー(車体)
3…ダッシュアッパパネル
4…ダッシュロアパネル
13…フロアパネル
14…トンネル部(フロアトンネル)
15…サイドシル
16…クロスメンバ
23…トンネルメンバ
29…閉断面(閉断面部)
30…トンネルガセット(補強部材)
33A…上面部
33B…側面部
33C…側方延設部
33D…傾斜部
K1…第1屈曲部
K2…第2屈曲部
K3…第3屈曲部
Claims (6)
- 車両前部で車幅方向に配設されたダッシュパネルと、
該ダッシュパネルの後部から後方に延設されたフロアパネルと、
該フロアパネルの中央部で上方に膨出したフロアトンネルと、
上記フロアトンネルの車幅方向両側に沿って車体の前後方向に延びるトンネルメンバとを備えた車体下部構造であって、
上記フロアトンネルの車体下方側の面に沿って一方のトンネルメンバから他方のトンネルメンバにわたって上記フロアトンネルの車体下方側の面と共に閉断面部を形成する補強部材を備え、
上記補強部材の上記フロアトンネルの車体下方側の面と離間して対向する面は、
車体正面視でフロアトンネル上部と対向する上面部と、
フロアトンネル側部と対向する側面部と、
該側面部から車幅方向に延び上記トンネルメンバにつながる側方延設部と、
フロアトンネル上部両端と対向し上記上面部と上記側面部とを連結する傾斜部と、
上記上面部と上記傾斜部とをつなぐ第1屈曲部と、
上記傾斜部と上記側面部とをつなぐ第2屈曲部と、
上記側面部と上記側方延設部とをつなぐ第3屈曲部と、
を有し、
上記両側の第1屈曲部間の距離をW1、上記両側の第3屈曲部間の距離をW2、上記両側の第3屈曲部間を結ぶ直線と上記第2屈曲部との距離をH1、上記両側の第3屈曲部間を結ぶ直線と上記第1屈曲部との距離をH2とした時、
(W1/W2)×(H1/H2)が0.12以下であり、
上記補強部材の上記フロアトンネルの車体下方側の面と離間して対向する面の車幅方向断面における上記第1屈曲部での上記上面部と上記傾斜部とのなす角度と、
上記第2屈曲部での上記傾斜部と上記側面部とのなす角度が略等しく設定されたことを特徴とする
車体下部構造。 - 上記フロアパネルの両側で車体前後方向に沿って延びるサイドシルと、
上記フロアパネルに接合され上記フロアトンネルと上記サイドシルとの間に車幅方向に延びるクロスメンバとを備え、
上記クロスメンバと車体前後方向で重ならない位置に上記補強部材が配設された
請求項1に記載の車体下部構造。 - 車両前部で車幅方向に配設されたダッシュパネルと、
該ダッシュパネルの後部から後方に延設されたフロアパネルと、
該フロアパネルの中央部で上方に膨出したフロアトンネルと、
上記フロアトンネルの車幅方向両側に沿って車体の前後方向に延びるトンネルメンバとを備えた車体下部構造であって、
上記フロアトンネルの車体下方側の面に沿って一方のトンネルメンバから他方のトンネルメンバにわたって上記フロアトンネルの車体下方側の面と共に閉断面部を形成する補強部材を備え、
上記補強部材の上記フロアトンネルの車体下方側の面と離間して対向する面は、
車体正面視でフロアトンネル上部と対向する上面部と、
フロアトンネル側部と対向する側面部と、
該側面部から車幅方向に延び上記トンネルメンバにつながる側方延設部と、
フロアトンネル上部両端と対向し上記上面部と上記側面部とを連結する傾斜部と、
上記上面部と上記傾斜部とをつなぐ第1屈曲部と、
上記傾斜部と上記側面部とをつなぐ第2屈曲部と、
上記側面部と上記側方延設部とをつなぐ第3屈曲部と、
を有し、
上記両側の第1屈曲部間の距離をW1、上記両側の第3屈曲部間の距離をW2、上記両側の第3屈曲部間を結ぶ直線と上記第2屈曲部との距離をH1、上記両側の第3屈曲部間を結ぶ直線と上記第1屈曲部との距離をH2とした時、
(W1/W2)×(H1/H2)が0.12以下であり、
上記フロアパネルの両側で車体前後方向に沿って延びるサイドシルと、
上記フロアパネルに接合され上記フロアトンネルと上記サイドシルとの間に車幅方向に延びるクロスメンバとを備え、
上記クロスメンバと車体前後方向で重ならない位置に上記補強部材が配設されたことを特徴とする
車体下部構造。 - 上記ダッシュパネルが、両端部が車体に接合されたダッシュアッパパネルと、該ダッシュアッパパネルの下部に接合されたダッシュロアパネルとを備え、
車体前後方向で上記ダッシュアッパパネルと上記クロスメンバとの間に上記補強部材が配設された
請求項2または3に記載の車体下部構造。 - 車体前後方向で上記ダッシュアッパパネルと上記クロスメンバとの間の略中央に上記補強部材が配設された
請求項4に記載の車体下部構造。 - 上記補強部材は車体前後方向断面が略ハット形状に形成され、
該略ハット形状の車体前後方向の前端部が、上記ダッシュロアパネルと上記フロアトンネルと共に重ね合せ接合された
請求項4または5に記載の車体下部構造。
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