JP5656534B2 - インドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物及びこれを有する有機発光素子 - Google Patents

インドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物及びこれを有する有機発光素子 Download PDF

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Description

本発明はインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物及びこれを有する有機発光素子に関する。
有機発光素子は陽極と陰極と、それら両電極間に配置される有機化合物層とを有する素子である。有機発光素子は、前記各電極から注入させる正孔(ホール)及び電子が有機化合物層内で再結合することで励起子が生成し、励起子が基底状態に戻る際に光が放出される。有機発光素子の最近の進歩は著しく、駆動電圧が低く、多様な発光波長、高速応答性、薄型、軽量の発光デバイス化が可能である。
燐光発光素子は前記有機化合物層中に燐光発光材料を有し、その三重項励起子由来の発光が得られる有機発光素子である。燐光発光素子の発光効率には更なる改善の余地がある。
燐光発光素子の発光層に使用される材料として、例えば以下に示す化合物が特許文献1に記載されている。
Figure 0005656534
特開2010−87496号公報
特許文献1には、有機電界発光素子に用いる化合物が記載されている。その中の2つを上記に示し、ここではFH−01およびFH−02と呼ぶ。
特許文献1に記載される化合物は、分子の平面性が高いので、結晶性が高く、膜性が低いという課題があった。
そこで、本発明では、膜性が高く、かつT1エネルギーが高く、且つHOMO準位が深い新規なインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物を提供することを目的とする。さらにそれを有する発光効率が高くかつ駆動電圧の低い有機発光素子を提供することを目的とする。
よって本発明は、下記一般式[1]で示されることを特徴とするインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物を提供する。
Figure 0005656534
〔式[1]において、Arは式[2]中に示す置換基の群から選ばれる。〕
Figure 0005656534
〔式[2]において*は式[1]中のビフェニル基との結合位置を表す。〕
本発明によれば、膜性が良好で、T1エネルギーが高く、且つHOMO準位が深いインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物を提供することができる。そしてそれを有する発光効率が高く、かつ駆動電圧の低い有機発光素子を提供することができる。
有機発光素子とこの有機発光素子に接続するスイッチング素子とを示す断面模式図である。
本発明は、下記一般式[1]で示されることを特徴とするインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物である。
Figure 0005656534
式[1]のArは式[2]中に示す置換基の群から選ばれる。
Figure 0005656534
式[2]において*は式[1]中のビフェニル基との結合位置を表す。
本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物は、式[1]に示すようにインドロ[3,2,1−jk]カルバゾリル基、ビフェニル基、Arで示される部分の3つの部分で構成されている。
その中でもビフェニル基は、化合物の結晶性を抑制する役割を担う置換基である。
本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物が有するインドロ[3,2,1−jk]カルバゾリル基は分子の平面性がとても高いため、この置換基を化合物中に複数有する場合、化合物の結晶性が高い。
本発明に係る化合物は、インドロ[3,2,1−jk]カルバゾリル基一つに対してビフェニル基を1つとする。そして、ビフェニル基を中心に非対称な構成とし、化合物の結晶化を抑制する。ビフェニル基がインドロ[3,2,1−jk]カルバゾリル基とArで示される部分とをメタ位で連結することで、結晶化を抑制することで、高い膜性を有する。ここで、膜性とは、結晶化せずにアモルファス状態を維持することである。
結晶性を抑制するために、インドロ[3,2,1−jk]カルバゾリル基に置換基としてsp炭素や珪素を設けない。これは、sp性の炭素や珪素を置換基として有した場合、高いTgを維持できないからである。さらに、sp炭素や珪素を置換基として有した場合、酸化されやすくなり、かつ共役が切れて分子軌道が広がり、さらにはキャリアの伝導性が低くなるので好ましくない。
キャリア伝導性の低い材料を有機発光素子に用いた場合、素子の駆動電圧が著しく高くなる場合があるので好ましくない。
インドロ[3,2,1−jk]カルバゾリル基は最低励起三重項励起状態のエネルギー(T1)と最低励起一重項励起状態のエネルギー(S1)の差が小さい。
そのため、この置換基を有する本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物もT1とS1との差が小さい化合物である。燐光発光素子に用いた場合に低い駆動電圧が期待できる。
本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物が有するインドロ[3,2,1−jk]カルバゾリル基は含窒素複素環の中でもHOMO準位が深い。
ここで、HOMOが深いとは、HOMOが真空準位からより離れていることを示し、HOMOが浅いとは真空準位により近いことを示す。
しかし、この置換基を化合物中に複数有した場合、この置換基が1つの場合と比べてHOMO準位は浅い。このため、本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物のように、インドロ[3,2,1−jk]カルバゾリル基を一つだけ有することでHOMOが6.0eVよりも深い化合物となる。そのため、本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物はHOMOが深いので、酸化に対して安定である。
また、インドロ[3,2,1−jk]カルバゾリル基を有すると、HOMOが深いだけでなく、ホールから影響を受けることが原因の劣化に強い材料となる。このため、本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物をホールブロック層に用いた場合、発光層からホールが漏れても、ホールブロック層は劣化しにくい。
本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物は、一般式[1]中のArをT1エネルギーの高いアリール基から選択することで緑色燐光発光材料のT1エネルギーよりも高いT1エネルギーを有する。具体的には490nm以上のエネルギーを有する。緑色の領域とは、500nm以上530nm以下の領域である。
そのため、本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物は緑色の燐光を発光する有機発光素子に用いる場合、発光層のホスト材料に用いることができる。
また、本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物はHOMO準位が深いので、ホールブロッキング層に用いることができる。
ここで、ホスト材料とは発光層を構成する化合物の中で、最も重量比が大きい化合物である。ゲスト材料とは、発光層を構成する化合物の中で、重量比がホスト材料よりも小さい化合物であり、かつ主たる発光をする化合物である。アシスト材料とは、発光層を構成する化合物の中で重量比がホスト材料よりも小さく、かつゲスト材料の発光を助ける化合物である。
ホールブロッキング層とは、有機発光素子の発光層の陰極側に隣接する有機化合物層である。
(本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物の例示)
以下に本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物の具体的な構造式を例示する。
Figure 0005656534
Figure 0005656534
A群に示す化合物は、一般式[1]におけるArがピリジル基である。これら化合物が水素原子とsp炭素及び窒素のみから構成される。
従って、これらA群の化合物は化学的安定性が高く、それらを発光層ホスト材料に用いた有機発光素子では長寿命化を期待できる。また、一般式[1]におけるArとしてピリジル基を設けることで、分子の電子伝導性を高められるので、分子全体としてバイポーラ性を有する化合物になる。その結果、素子の低電圧駆動も期待できる。
さらには速い電子伝導性により、発光層において電子移動度を高めたい場合に用いることが可能となる。また、発光層への電子注入量を増やしたい場合にホールブロック層に用いることも可能となる。電子注入がホールブロック層に阻害されないためである。
B群に示す化合物は、一般式[1]におけるArがフェニル基、フェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、ジメチルフルオレニル基、トリフェニレニル基である化合物である。これら化合物は主に水素原子とsp炭素から構成される。
従って、これらB群の化合物は化学的安定性が高いので、それらを発光層のホスト材料に用いた有機発光素子では長寿命化を期待できる。
C群に示す化合物は、一般式[1]におけるArがジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基である。これら化合物は水素原子とsp炭素及び硫黄または酸素のみから構成される。従ってこれらC群の化合物は化学的安定性が高く、それらを発光層のホスト材料に用いた有機発光素子では長寿命化を期待できる。また、一般式[1]におけるArとしてジベンゾチエニル基を選択することで、分子のホール移動度を高め、かつ電子移動度を低くできる。そのため、発光層においてホール移動度を高める場合に用いることが可能となる。また、ジベンゾチエニル基を導入しても分子全体のHOMO準位は深く、かつ電子移動度が低いため発光層への電子注入量を抑制できるので、ホールブロック層に用いることができる。
さらに、ジベンゾチエニル基やジベンゾフラニル基は4位と6位とが反応活性なため、4位でビフェニル基と結合した場合に、6位がフェニル基等のアリール基で置換された方が化合物の安定性が向上する。
(本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物の合成方法)
次に、本実施の形態に係る式[1]で示されるインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物の合成方法について説明する。
本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物は、下記式[3]のように、まずArを有するボロン酸化合物と、ビフェニルの3,3’−ジハロゲン体をPd触媒によってカップリングした後、次いでインドロ[3,2,1−jk]カルバゾールのビスピナコールボロン酸エステル化合物とPd触媒によってカップリングすることで合成することができる。ただし、ビフェニルの3,3’−ジハロゲン体と最初にカップリングするのはインドロ[3,2,1−jk]カルバゾールのビスピナコールボロン酸エステル化合物でもよい。
Figure 0005656534
〔式[3]において、Arは一般式[2]中に示すアリール基群から選ばれる。Xは塩素、臭素またはヨウ素である。〕
上記反応のうちArを適宜選択することで、所望の本発明のインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物を合成することができる。
また本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物は、有機発光素子に用いられる場合には直前の精製として昇華精製が好ましい。なぜなら有機化合物の高純度化において昇華精製は精製効果が大きいからである。このような昇華精製においては、一般に有機化合物の分子量が大きいほど高温が必要とされ、この際高温による熱分解などを起こしやすい。従って有機発光素子に用いられる有機化合物は、過大な加熱なく昇華精製を行うことができるように、分子量が1000以下であることが好ましい。
(本実施形態に係る有機発光素子について)
本実施形態に係る有機発光素子は、一対の電極の一例である陽極と陰極とそれらの間に配置された有機化合物層とを少なくとも有する有機発光素子である。前記有機化合物層のうち発光材料を有する層が発光層である。そして本発明に係る有機発光素子は、前記有機化合物層が一般式[1]で示されるインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物を有する。
本発明に係る有機発光素子が有する有機化合物層は、単層であっても複数層であっても構わない。複数層とは、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、ホールブロック層、電子輸送層、電子注入層、エキシトンブロック層等から適宜選択される層である。もちろん、上記群の中から複数を選択し、かつそれらを組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係る有機発光素子の構成はこれらに限定されるものではない。例えば、電極と有機化合物層界面に絶縁性層を設ける、接着層あるいは干渉層を設ける、電子輸送層もしくはホール輸送層がイオン化ポテンシャルの異なる二層から構成されるなど多様な層構成をとることができる。
その場合の素子形態は、基板側の電極から光を取り出すいわゆるトップエミッション方式でも、基板と逆側から光を取り出すいわゆるボトムエミッション方式でも良く、両面取り出しの構成でも使用することができる。
本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物は、該発光素子の有機化合物層として何れの層構成でも使用することができるが、発光層のホスト材料、あるいはホールブロック層の材料として用いられることが好ましい。
発光層のホスト材料の濃度は、発光層の全体量に対して、50wt%以上99.9wt%以下であり、好ましくは80wt%以上99.9wt%以下である。濃度消光を防ぐためにゲスト材料の濃度は10wt%以下であることが望ましい。
またゲスト材料はホスト材料からなる層全体に均一に含まれてもよいし、濃度勾配を有して含まれてもよいし、特定の領域に部分的に含ませてゲスト材料を含まないホスト材料層の領域を設けてもよい。
本実施形態に係る有機発光素子の発光材料は、緑色を発する燐光発光材料であることが好ましい。あるいは最大発光ピーク波長が450nm以上470nm以下の範囲にある青色発光材料であってもよい。
燐光を発する有機発光素子では、ホスト材料のT1から非放射失活による発光効率の低下を抑制するために、ホスト材料のT1エネルギーはゲスト材料である燐光発光材料のT1エネルギーよりも高いことが好ましい。
本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物はHOMO準位が深く、かつ高いT1エネルギーを有しているので、ホールブロック材料としても用いられる。
緑色や青色の燐光発光素子においては、有機化合物層の各層のエネルギーギャップが大きいので、発光層のHOMOは深くなる傾向にある。このときホスト材料としては一般的に4,4’−ビスカルバゾリル−1,1’−ビフェニル(CBP)や3,3’−ビスカルバゾリル−1,1’−ビフェニル(mCBP)などが用いられるが、これらのホスト材料のHOMO準位は概ね5.8eVから5.9eV程度である。発光層とホールブロック層とのHOMO準位の差が0.1eV以上あればブロック層として機能すると考えられる。
そのため、燐光発光素子に用いるホールブロック材料は、できるだけ深いHOMO準位が深い化合物が好ましく、6.0eVより深い化合物がより好ましい。
これをホールブロック層の材料に用いると、長寿命の素子が期待できる。なぜなら、万が一キャリアのバランスが崩れて、発光層からホールがホールブロック層に漏れてきても、アミンを有するためにホールブロック層が劣化しにくいためである。
本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物が、発光層のホスト材料、あるいはホールブロック層の材料として用いられる場合、発光層のゲスト材料として用いられる燐光発光材料はイリジウム錯体、白金錯体、レニウム錯体、銅錯体、ユーロピウム錯体、ルテニウム錯体等の金属錯体である。なかでも燐光発光性の強いイリジウム錯体であるが好ましい。また、励起子やキャリアの伝達を補助することを目的として、発光層が複数の燐光発光材料を有していてもよい。
ここで、本発明の化合物以外にも、必要に応じて従来公知の低分子系及び高分子系の化合物を使用することができる。より具体的にはホール注入性化合物あるいはホール輸送性化合物あるいはホスト材料あるいは発光性化合物あるいは電子注入性化合物あるいは電子輸送性化合物等を一緒に使用することができる。
以下にこれらの化合物例を挙げる。
ホール注入輸送性材料としては、陽極からのホールの注入が容易で、注入されたホールを発光層へと輸送することができるように、ホール移動度が高い材料が好ましい。ホール注入輸送性能を有する低分子及び高分子系材料としてはトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられる。
主に発光機能に関わる発光材料としては、前述の燐光発光ゲスト材料、もしくはその誘導体以外に、縮環化合物(例えばフルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、テトラセン誘導体、アントラセン誘導体、ルブレン等)、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、スチルベン誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体、及びポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体等の高分子誘導体が挙げられる。
電子注入輸送性材料としては、陰極からの電子の注入が容易で注入された電子を発光層へ輸送することができるものから任意に選ぶことができ、ホール注入輸送性材料のホール移動度とのバランス等を考慮して選択される。電子注入輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機アルミニウム錯体等が挙げられる。
陽極材料としては仕事関数がなるべく大きなものがよい。例えば金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン等の金属単体あるいはこれらを組み合わせた合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。またポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーも使用できる。これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
一方、陰極材料としては仕事関数の小さなものがよい。例えばリチウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロム等の金属単体が挙げられる。あるいはこれら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。ITO等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。
本実施形態係る有機発光素子が有する有機化合物層は、以下に示す方法により形成される。一般には真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマあるいは、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により薄膜を形成する。
ここで真空蒸着法や溶液塗布法等によって層を形成すると、結晶化等が起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で成膜する場合は、適当なバインダー樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
上記バインダー樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらバインダー樹脂は、ホモポリマー又は共重合体として一種単独で使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
(有機発光素子の用途)
本発明に係る有機発光素子は、表示装置や照明装置に用いることができる。他にも電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライトなどがある。
表示装置は本実施形態に係る有機発光素子を表示部に有する。この表示部は複数の画素を有する。この画素は本実施形態に係る有機発光素子と発光輝度を制御するためのスイッチング素子の一例としてTFT素子とを有し、この有機発光素子の陽極または陰極とTFT素子のドレイン電極またはソース電極とが接続されている。表示装置はPC等の画像表示装置として用いることができる。
表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの画像情報を入力する入力部を有し、入力された画像を表示部に出力する画像入力装置でもよい。また、撮像装置やインクジェットプリンタが有する表示部として、外部から入力された画像情報を表示する画像出力機能と操作パネルとして画像への加工情報を入力する入力機能との両方を有していてもよい。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
次に、本実施形態に係る有機発光素子を使用した表示装置について図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る有機発光素子と、有機発光素子に接続するスイッチング素子の一例であるTFT素子とを示した表示装置の断面模式図である。本図では有機発光素子とTFT素子との組が2組図示されている。構造の詳細を以下に説明する。
この表示装置は、ガラス等の基板1とその上部にTFT素子又は有機化合物層を保護するための防湿膜2が設けられている。また符号3は金属のゲート電極3である。符号4はゲート絶縁膜4であり、5は半導体層である。
TFT素子8は半導体層5とドレイン電極6とソース電極7とを有している。TFT素子8の上部には絶縁膜9が設けられている。コンタクトホール10を介して有機発光素子の陽極11とソース電極7とが接続されている。表示装置はこの構成に限られず、陽極または陰極のうちいずれか一方とTFT素子ソース電極またはドレイン電極のいずれか一方とが接続されていればよい。
有機化合物層12は本図では多層の有機化合物層を1つの層の如く図示をしている。陰極13の上には有機発光素子の劣化を抑制するための第一の保護層14や第二の保護層15が設けられている。
本実施形態に係る表示装置においてスイッチング素子に特に制限はなく、単結晶シリコン基板やMIM素子、a−Si型の素子等を用いてもよい。
<実施例1>(例示化合物C−1の合成)
(1)中間体PCz−PBの合成
Figure 0005656534
以下に示す試薬、溶媒を反応器に投入した。
9H−カルバゾール:120g(0.718mol)
2−フルオロニトロベンゼン:106g(0.754mol)
炭酸セシウム:152g(1.077mol)
脱水ジメチルスルホキシド:1.8L
この反応溶液を、窒素下、室温で3日間攪拌した。反応終了後、反応溶液を3Lの氷水に注ぎ入れ、析出してきた黄色の固体を、室温で30分攪拌した後にろ取した。ろ取した固体を3Lのクロロホルムに溶解させ、水洗し、硫酸マグネシウムにて脱水した後、濃縮して黄色固体の9−(2−ニトロフェニル)−9H−カルバゾールを229g得た。
続いて以下に示す試薬、溶媒を反応器に投入した。
9−(2−ニトロフェニル)−9H−カルバゾール:229g(0.794mol)
SnCl・2HO:567g(2.51mol)
エタノール:5L
この反応溶液を、窒素下、内温70℃で8時間加熱攪拌した。反応終了後、反応液を放冷し、濃縮し、残渣に5Lの1規定の水酸化ナトリウム水溶液を加えた。懸濁液を室温で1時間攪拌し、ろ過した。ろ取した固体を8Lのトルエンに溶解させ、7Lの1規定の水酸化ナトリウム水溶液を加えた。分液後、水層を抽出し、有機層を水洗した。硫酸マグネシウムにて脱水した後、一度濃縮した後、イソプロピルエーテルで加熱懸濁洗浄し、薄黄色固体の2−(9H−カルバゾール−9−イル)アニリンを124g得た(収率61%)。
続いて以下に示す試薬、溶媒を反応器に投入した。
2−(9H−カルバゾール−9−イル)アニリン:124g(0.480mol)
酢酸:1.2L
濃硫酸:124ml
この反応溶液を、氷水浴に浸して内温10℃に冷却した。670mlの蒸留水に溶解した33.8gの亜硝酸ナトリウムを15分かけて滴下した。滴下後10分攪拌した後、外温130℃で20分加熱攪拌した。反応終了後、反応液を放冷し、反応液に1Lの蒸留水を加えて、析出した固体をろ取した。この黄褐色固体を2Lのメタノールで懸濁洗浄し、茶色の固体を得た。この固体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)にて精製した後、クロロホルムとエタノールの混合溶媒で再結晶することにより、橙白色固体のインドロ[3,2,1−jk]カルバゾールを83.3g得た(収率72%)。
続いて以下に示す試薬、溶媒を遮光しながら反応器に投入した。
インドロ[3,2,1−jk]カルバゾール:83.3g(0.345mol)
N−ブロモスクシンイミド:67.6g
脱水塩化メチレン:3.3L
この反応溶液を、遮光したまま室温で1時間攪拌した。250gのシリカゲルを加えて室温で13時間攪拌した。反応終了後、シリカゲルを取り出した。取り出したシリカゲルを1Lのクロロホルムで3回に分けて洗浄した後、クロロホルムを集めて水洗し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。濃縮して得られた固体をトルエンで再結晶し、酢酸で加熱洗浄して、白色固体の2−ブロモインドロ[3,2,1−jk]カルバゾールを62.2g得た(収率57%)。
またH−NMR分析により得られた化合物の同定を行った。
H−NMR(300MHz、CDCl)]
δ 8.12(s,2H),8.06−8.03(d,2H),7.87−7.84(d,2H),7.59−7.53(t,2H),7.38−7.32(t,2H).
続いて以下に示す試薬、溶媒を遮光しながら反応器に投入した。
2−ブロモインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール:55.0g(0.172mol)
ビス(ピナコラート)ジボロン:52.4g(0.206mol)
[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物:2.11g(2.58mmol)
1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン:1.43g(2.58mmol)
酢酸カリウム:42.2g(0.430mol)
脱水1,4−ジオキサン:550ml
脱水トルエン:550ml
この反応溶液を、脱気した後、アルゴン下で外温120℃で17時間加熱攪拌した。反応終了後、放冷し、反応液を濃縮した。濃縮して得られた固体をトルエンで加熱懸濁洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)にて精製し、白色固体を得た。この固体をヘキサンとイソプロピルエーテルで洗浄し、白色固体のPCz−PBを48g得た(収率76%)。
またH−NMR分析により得られた化合物の同定を行った。
H−NMR(300MHz、CDCl)]
δ 8.57(s,2H),8.15−8.13(d,2H),7.93−7.90(d,2H),7.59−7.53(t,2H),7.39−7.34(t,2H),1.45(s,12H).
(2)例示化合物C−1の合成
Figure 0005656534
以下に示す試薬、溶媒を反応器に投入した。
4−ジベンゾチオフェンボロン酸:1.88g(8.22mmol)
3−ブロモ−3’−クロロビフェニル:2.0g(7.48mmol)
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0):432mg(0.374mmol)
トルエン:120mL
エタノール:60mL
30wt%炭酸セシウム水溶液:60mL
この反応溶液を、脱気した後、窒素下で外温80℃で7時間加熱攪拌した。反応終了後、放冷し、反応溶液に200mlの水を加えた。分液後、水層を抽出し、有機層を水洗した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)にて精製し、白色固体を得た。白色固体のDBT−BPを2.28g得た(収率82%)。
続いて以下に示す試薬、溶媒を反応器に投入した。
PCz−PB:1.0g(2.72mmol)
DBT−BP:0.92g(2.48mmol)
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0):91mg(0.099mmol)
2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル:94mg(0.198mmol)
リン酸三カリウム:2.10g(9.90mmol)
トルエン:100ml
水:0.1ml
この反応溶液を、脱気した後、窒素下で外温135℃で7時間加熱攪拌した。反応終了後、放冷し、反応溶液に200mlの水を加えた。分液後、水層を抽出し、有機層を水洗した後、反応液を濃縮した。濃縮して得られた粗生成物をクロロベンゼンに加熱溶解後、シリカゲルで熱時ろ過し、再度濃縮した。濃縮して得られた固体をエタノールで加熱懸濁洗浄し、白色固体を得た。この白色固体をクロロベンゼンとエタノールの混合溶媒で3回再結晶を行い、白色固体のC−1を1.09g得た(収率76%)。次いで得られた結晶を130℃で真空乾燥後、10−4Pa、340℃の条件下で昇華精製を行い、高純度の例示化合物C−1を850mg得た。
得られた化合物の同定を行った結果を以下に示す。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=575.21 計算値:C4225NS=575.72
H−NMR(400MHz、CDCl)]
δ 8.31(s,2H),8.21−8.16(m,4H),8.12(s,1H),8.07(s,1H),7.93−7.91(d,2H),7.85−7.75(m,4H),7.73−7.70(d,1H),7.66−7.62(m,2H),7.60−7.55(m,4H),7.50−7.43(m,2H),7.39−7.35(t,2H).
また例示化合物C−1について、以下の方法でT1エネルギーの測定を行った。
例示化合物C−1のトルエン希薄溶液について、Ar雰囲気下、77K、励起波長350nmにおいて燐光スペクトルの測定を行った。得られた燐光スペクトルの第一発光ピークのピーク波長からT1エネルギーを求めると波長換算値で440nmであった。
次に、例示化合物C−1をガラス基板上に加熱蒸着し、膜厚20nmの蒸着薄膜を得た。この蒸着薄膜について、Ar雰囲気下、77K、励起波長350nmにおいて燐光スペクトルの測定を行った。得られた燐光スペクトルの第一発光ピークのピーク波長からT1エネルギーを求めると波長換算値で480nmであった。
次に例示化合物C−1について、以下の方法でイオン化ポテンシャルの測定を行った。
上記のエネルギーギャップの測定に用いた蒸着薄膜を用いて、光電子分光装置AC−3(理研計器株式会社製)によりイオン化ポテンシャルを測定した。測定の結果、例示化合物C−1のイオン化ポテンシャルは6.01eVであった。
次に例示化合物C−1について、以下の方法で化合物の溶解性の測定を行った。
10mgの例示化合物C−1を溶解させるのに必要なクロロベンゼンの量を測定した。その結果、10mgの例示化合物C−1を溶解させるのに必要なクロロベンゼンは1ml以下であった。
これにより、本発明に係る化合物は溶解性が高いことが示された。溶解性が高い化合物は、有機発光素子に用いた場合、結晶化が抑制される。
<実施例2>(例示化合物B−3の合成)
実施例1の(2)において、ジベンゾチオフェンボロン酸の代わりに、2−([1,1’:3’,1”−ターフェニル]―5’−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを用いた以外は実施例1と同様に合成を行い、白色固体の例示化合物B−3を790mg得た。
例示化合物B−3のトルエン希薄溶液について、Ar雰囲気下、77K、励起波長350nmにおいて燐光スペクトルの測定を行った。得られた燐光スペクトルの第一発光ピークのピーク波長からT1エネルギーを求めると波長換算値で440nmであった。
次に例示化合物B−3について、以下の方法でイオン化ポテンシャルの測定を行った。
上記のエネルギーギャップの測定に用いた蒸着薄膜を用いて、光電子分光装置AC−3(理研計器株式会社製)によりイオン化ポテンシャルを測定した。測定の結果、例示化合物C−1のイオン化ポテンシャルは6.03eVであった。
次に例示化合物B−3について、以下の方法で化合物の溶解性の測定を行った。
10mgの例示化合物B−3を溶解させるのに必要なクロロベンゼンの量を測定した。その結果、10mgの例示化合物B−3を溶解させるのに必要なクロロベンゼンは2mlであった。
<実施例3>(例示化合物A−2の合成)
実施例1の(2)において、ジベンゾチオフェンボロン酸の代わりに、3−ピリジルボロン酸を用いた以外は実施例1と同様に合成を行い、白色固体の例示化合物A−2を330mg得た。
例示化合物A−2のトルエン希薄溶液について、Ar雰囲気下、77K、励起波長350nmにおいて燐光スペクトルの測定を行った。得られた燐光スペクトルの第一発光ピークのピーク波長からT1エネルギーを求めると波長換算値で440nmであった。
次に例示化合物A−2について、以下の方法でイオン化ポテンシャルの測定を行った。
上記のエネルギーギャップの測定に用いた蒸着薄膜を用いて、光電子分光装置AC−3(理研計器株式会社製)によりイオン化ポテンシャルを測定した。測定の結果、例示化合物C−1のイオン化ポテンシャルは6.12eVであった。
次に例示化合物A−2について、以下の方法で化合物の溶解性の測定を行った。
10mgの例示化合物B−3を溶解させるのに必要なクロロベンゼンの量を測定した。その結果、10mgの例示化合物A−2を溶解させるのに必要なクロロベンゼンは1mlであった。
<比較例1>(イオン化ポテンシャル、溶解性の比較)
下記に示す比較化合物FH−01乃至FH−02について、実施例1と同様の方法でイオン化ポテンシャル及び溶解度の測定を行った。実施例1と合わせて、結果を表1及び表2に示す。
Figure 0005656534
Figure 0005656534
比較化合物FH−01乃至FH−02のように一つの化合物中にインドロ[3,2,1−jk]カルバゾリル基を複数個有すると、HOMO準位が0.2eV以上も浅くなることがわかる。
また、例示化合物C−1と比べて、比較化合物FH−01乃至FH−02は溶解性が10倍以上も低く、FH−01にいたっては50倍以上も低いことがわかる。このことから比較化合物FH−01乃至FH−02は結晶性が強いことがわかる。
また、ガラス基板上に加熱蒸着した比較化合物FH−01乃至FH−02は、室温で空気中に放置しておくと2時間程度で蒸着膜に薄く黄褐色に変色したが、例示化合物C−1は膜の色に変化は見られなかった。これはHOMOが浅すぎることにより酸化されたことが示唆された。
以上のように、本発明のインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物は、膜性が良好で、T1エネルギーが高く、且つHOMO準位が深いことがわかる。
<実施例4>
本実施例では、基板上に順次陽極/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/陰極が設けられた構成のボトムエミッション型の有機発光素子を以下に示す方法で作製した。
ガラス基板上に、陽極としてIZO(インジウム亜鉛酸化物)をスパッタ法にて膜厚120nmで製膜したものを透明導電性支持基板(IZO基板)として使用した。このIZO基板上に、以下に示す有機化合物層及び電極層を、10−5Paの真空チャンバー内で抵抗加熱による真空蒸着によって連続的に製膜した。このとき対向する電極面積は3mmになるように作製した。
ホール輸送層(40nm) HTL−1
発光層(30nm) ホスト材料:C−1、ゲスト材料:Ir−1(10wt%)
ホールブロック層(10nm) HBL−1
電子輸送層(30nm) ETL−1
金属電極層1(0.5nm) LiF
金属電極層2(100nm) Al
Figure 0005656534
次に、有機発光素子が水分の吸着によって素子劣化が起こらないように、乾燥空気雰囲気中で保護用ガラス板をかぶせアクリル樹脂系接着材で封止した。以上のようにして有機発光素子を得た。
得られた有機発光素子について、ITO電極を正極、Al電極を負極にして、6.5Vの印加電圧をかけたところ、発光効率が47cd/Aで、CIE色度座標が、(x,y)=(0.35,0.62)の緑色発光が観測された。さらに、窒素雰囲気下で電流密度を40mA/cmに保ち、電圧を印加したところ、初期輝度を1.0としたとき、100時間後の輝度は0.75であった。有機発光素子の特性は、電流電圧特性をケースレー社製・電流計2700で測定し、発光輝度は、トプコン社製BM7−fastで測定した。
実施例3に用いたHTL−1,Ir−1,HBL−1,ETL−1はそれぞれ、WO2009/139501パンフレット,Optical and electroluminescent properties of a new green emitting Ir(III) complex.(Rupasree R. Das他,Optical Materials,Vol.21,p.143(2002)),WO2004/093207パンフレット,WO2009/139501パンフレットを参考にして合成した。
<比較例2>
実施例3において、ホスト材料を例示化合物C−1の代わりに比較化合物FH−02を用いた以外は実施例3と同様に有機発光素子を作製した。
得られた有機発光素子について、実施例3と同様に評価したところ、7.4Vの印加電圧をかけたところ、発光効率が40cd/Aで緑色発光が観測された。さらに、窒素雰囲気下で電流密度を40mA/cmに保ち、電圧を印加したところ、初期輝度を1.0としたとき、50時間後の輝度は0.63であった。
<実施例5>
本実施例では、素子構成としてトップエミッション型有機発光素子を作製した。
透明基板としてのガラス基板上にAlをスパッタ法により成膜した。その上に、透明電極としてIZO(インジウム亜鉛酸化物)をスパッタ法により38nm成膜し、その後アクリルにより画素分離膜をパターニングして電極面積が3mmの基板を得た。そのIZO基板上に、以下の有機層を10−5Paの真空チャンバー内で抵抗加熱による真空蒸着で成膜し、透明電極層はスパッタリング法により成膜した。
その後、作製した素子を吸湿材付ガラスキャップを用いて不活性雰囲気中で封止した。
ホール輸送層(13nm);HTL−1
発光層(20nm) ホスト材料:U−1、ゲスト材料1:Ir−1(重量比10%)、ゲスト材料2:HBL−1(重量比20%)
ホールブロック層:C−1
電子輸送層(10nm);ETL−1
電子注入層(20nm);ETL−1と炭酸セシウム(3wt%)を共蒸着
透明電極層;(30nm);IZO
Figure 0005656534
得られた有機発光素子について、実施例2と同様にITO電極を正極、Al電極を負極にして、5.4Vの印加電圧をかけたところ、発光効率が54cd/Aで、CIE色度座標が、(x,y)=(0.24,0.71)の緑色発光が観測された。さらに、窒素雰囲気下で電流密度を40mA/cmに保ち、電圧を印加したところ、初期輝度を1.0としたとき、40時間後の輝度は0.90であった。
実施例5に用いたHTL−1,Ir−2,HBL−1,U−1、ETL−1はそれぞれ、WO2009/139501パンフレット,A New Synthetic Route to the Preparation of a Series of Strong Photoreducing Agents:fac Tris−Ortho−Metalated Complexes of Iridium(III) with Substituted 2−Phenylpyridines.(K.Dedeian他,Inorganic Chemistry,Vol.30,No.8,p.1685(1991)),WO2009/021126パンフレット,WO2004/093207パンフレット,WO2009/139501パンフレットを参考にして合成した。
以上のように本発明に係るインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物は、膜性が良好で、T1エネルギーが高く、且つHOMO準位が深い新規な化合物であり、有機発光素子に用いた場合、駆動電圧が低くて発光効率も高く、耐久性も良い発光素子を得ることができる。

Claims (12)

  1. 下記一般式[1]で示されることを特徴とするインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物。
    Figure 0005656534

    〔式[1]において、Arは式[2]中に示す置換基の群から選ばれる。〕
    Figure 0005656534

    〔式[2]において*は式[1]中のビフェニル基との結合位置を表す。〕
  2. 一対の電極と前記一対の電極の間に配置された有機化合物層とを有する有機発光素子であって、前記有機化合物層は請求項1に記載のインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物を有することを特徴とする有機発光素子。
  3. 前記有機化合物層が発光層であることを特徴とする請求項2に記載の有機発光素子。
  4. 前記発光層がホスト材料とゲスト材料とを有し、前記ホスト材料は前記インドロ[3,2,1−jk]カルバゾール化合物であり、前記ゲスト材料が燐光発光材料であることを特徴とする請求項3に記載の有機発光素子。
  5. 前記燐光発光材料がイリジウム錯体であることを特徴とする請求項4に記載の有機発光素子。
  6. 前記一対の電極は陽極と陰極とであり、
    前記有機化合物層はホールブロック層であり、
    前記ホールブロック層は発光層の前記陰極側に接する層であることを特徴とする請求項2に記載の有機発光素子。
  7. 前記発光層のHOMO準位と、前記ホールブロック層のHOMO準位との差が0.1eV以上であることを特徴とする請求項6に記載の有機発光素子。
  8. 複数の画素を有し、前記画素は請求項2乃至のいずれか一項に記載の有機発光素子と前記有機発光素子に接続するスイッチング素子とを有することを特徴とする表示装置。
  9. 画像を表示するための表示部と画像情報を入力するための入力部とを有し、前記表示部は複数の画素を有し、前記画素は請求項2乃至のいずれか一項に記載の有機発光素子と前記有機発光素子に接続するスイッチング素子とを有することを特徴とする画像入力装置。
  10. 請求項2乃至のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする照明装置。
  11. 露光光源を有する、電子写真方式の画像形成装置であって、
    前記露光光源は、請求項2乃至7のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする画像形成装置。
  12. 電子写真方式の画像形成装置に設けられる露光光源であって、
    前記露光光源は、請求項2乃至7のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする露光光源。
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