JP5104039B2 - 光基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気配線及び光配線を有する光基板の製造方法に関する。
光信号を利用することで、高速の伝送速度で情報を送受信することが可能な光基板が注目されている。このような光基板は、貫通孔を有する電気回路基板と、電気回路基板の一面に、貫通孔の位置で搭載された受発光素子と、電気回路基板の他面に設けられ、光入出力面が貫通孔の位置で光信号を入出力可能に配設された光配線とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この光基板では、光配線から入出力される光信号は、貫通孔を介して電気回路の他面から一面へ通過して、一面上の受発光素子に入出力される。
また、エッチングによって凹部と凸状のテラスとが形成されたSi基板と、Si基板の凹部に搭載された光配線と、Si基板のテラス上に搭載された受発光素子とを備える光基板が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この光基板では、Si基板の凹部及びテラスの形状がエッチングによって調整されていることで、凹部に光配線を、テラスに受発光素子を、それぞれ搭載する際に、高さ方向の位置合わせが無調整で済むとされている。
また、このような光基板に用いられる電気回路用パッケージは、通常特許文献3に示すように、ICチップとリード部とを有する複数の中間体に対して、一括して樹脂モールドを行い、リードフレーム及びICチップを封止することによって形成される。このように、一度に形成された複数のパッケージが1個ずつに断裁されることによって、電気回路用パッケージの量産が行われている。
特開2002−189137号公報 特許第3204355号公報 特開昭63−033855号公報
しかしながら、特許文献1による光基板では、受発光素子の受発光面と光配線の光入出力面とは、少なくとも電気回路基板の厚さ分だけ離隔した位置に配置される。このため、光配線の光入出力面から入出力される光信号は、受発光素子の受発光面に出入力されるまでの間で拡散してしまい、光接続の効率が低下してしまう問題があった。また、貫通孔にレンズを設けて光信号を集束させる技術も開示されているが、貫通孔内部にレンズを精度良く配置させることは困難であり、効果的に光信号を集束させて入出力させるまでには至らず、また、レンズ配置によって製造コストが増大してしまう問題があった。
また、特許文献2による光基板では、Si基板は高価であること、また、Si基板を精度良くエッチングするには加工コストもかかってしまい、全体として製造コストが増大してしまう問題があった。
さらに、特許文献3における電気回路用パッケージの量産プロセスにおいては、複数の中間体が隣接した状態で樹脂モールドが行われるため、このプロセス中に光配線を配置することは困難である。また、樹脂モールド工程においては高熱が加えられるので、光配線の材質に耐熱性が求められるため、材質の選択肢が限定される。従って、上述のような光基板は、量産及び製造効率の向上が困難であるという問題がある。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、光配線と受発光素子との光接続を効率的に行うことができる光基板を、容易かつ低コストで製造できる光基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の光基板の製造方法は、第1面に電気配線がパターニングされた絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の前記第1面上に設けられ、受発光面を、前記絶縁樹脂層の前記第1面に対向する側に向けて前記絶縁樹脂層の縁端から突出させた受発光素子と、前記受発光素子に光信号を入出力する光入出力面が、少なくとも一部で前記受発光素子の前記受発光面と接触するようにして、前記受発光面と対向配置された光配線とを有する光基板の製造方法であって、第1面に銅箔が配置された前記絶縁樹脂層をパターニングする工程と、前記絶縁樹脂層の前記第1面の反対側に位置する第2面において、前記絶縁樹脂層の所定の部位を覆うようにキャリアフィルムを貼りつける工程と、前記銅箔に前記電気配線をパターニングする工程と、前記銅箔及び絶縁樹脂が除去された前記所定の部位に位置する前記キャリアフィルム上にダミーフィルムを配置する工程と、前記第1面に前記受発光素子を実装する工程と、前記第1面上をモールド樹脂によって封止する工程と、前記封止する工程の後に、前記キャリアフィルム前記キャリアフィルム及び前記ダミーフィルムを剥離して除去する剥離工程と、前記ダミーフィルムが配置されていた部位に前記光配線を実装する光配線実装工程とを備えることを特徴とする。
本発明の光基板の製造方法においては、銅箔及び絶縁樹脂が除去された絶縁樹脂層の所定の部位にダミーフィルムが配置されるので、後の工程において光配線を実装するためのスペースが確保される。
本発明の光基板の製造方法は、ソルダーレジストを前記第1面上に印刷する工程と、ニッケル及び金を前記第1面上にメッキする工程とをさらに備えてもよい。この場合、半田リフローによる電気配線の汚れを防止することができる。また、半田の濡れ性及び接続信頼性を向上させることができる。
また、本発明の光基板の製造方法は、前記受発光素子のコントロールICを実装する工程をさらに備え、前記光配線実装工程において、前記光配線は、前記第2面側から実装されてもよい。この場合、絶縁樹脂層等が一括してモールドされるような量産態様で生産されていても、後工程において問題なく光配線を実装することが出来る。
前記光配線実装工程において、前記光配線は、前記光配線と同等の屈折率を有する透明光学樹脂からなる接着剤を用いて実装されてもよい。この場合、受発光素子と光配線との接続特性を向上させることができる。
本発明の光基板の製造方法によれば、ダミーフィルムを配置することによって光配線の実装スペースが確保され、後の工程においてダミーフィルムを除去して光配線を実装することができる。従って、量産を可能にすることができ、容易かつ低コストに光基板を製造することができる。
図1から図13は、この発明に係る一実施形態を示している。図1は本実施形態の光基板の製造方法によって製造された光基板1の平面図、図2は図1のA−A線における断面図である。
図1及び図2に示すように、光基板1は、第1面2aに電気配線3がパターニングされた絶縁樹脂層2と、絶縁樹脂層2の第1面2a上に実装された受発光素子4及びコントロールIC5と、受発光素子4と光信号を入出力する光導波路フィルム(光配線)6と、絶縁樹脂層2の第1面2a側を覆うモールド樹脂7とを備えている。
電気配線3は、絶縁樹脂層2の第1面2a上に成膜された銅箔をパターニングすることで形成されている。絶縁樹脂層2の外縁部2bには、第1面2aから第1面2aの反対側に位置する第2面2cまで貫通し、光導波路フィルム6が配置される切欠き部8が形成されている。切欠き部8の幅は、光導波路フィルム6において後述する接続部14の幅と略等しく設定されていて、光導波路フィルム6の接続部14は切欠き部8に嵌合配置されている。また、絶縁樹脂層2には、第1面2aから第2面2cまで貫通するバイアホール2dが形成されていて、バイアホール2dにBGA、LGA、PGA、小型電気コネクタ等のコネクタを形成することによって、絶縁樹脂層2の第2面2c側からバイアホール2dを経由して電気配線3と導通することが可能となっている。
絶縁樹脂層2を形成する材料としては、様々な有機材料及び無機材料を選択可能である。具体的には、アクリル材料、シリコーン材料、シリコンウエハ、金属材料、硝子材料、プリプレグ、各種材料を積層したものなどが選択され、さらに、感光性絶縁樹脂を選択することができる。感光性絶縁樹脂としては、紫外線硬化型アクリル樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂、あるいは、これらを重合させた紫外線硬化型エポキシアクリレートなどを選択することができる。なお、本実施形態では、絶縁樹脂層2が感光性絶縁樹脂で形成されている場合について説明する。
絶縁樹脂層2の第1面2a上に実装された受発光素子4のコントロールIC5は、ボンディングワイヤ10により電気配線3と電気的に接続されている。なお、フリップチップ実装によって電気配線3と電気的に接続されてもよい。
受発光素子4は、フリップチップ実装により絶縁樹脂層2の第1面2a上に実装されていて、電気配線3と電気的に接続されている。なお、フリップチップ実装に代えて、ワイヤボンディングによって電気配線3と電気的に接続されてもよい。
受発光素子4は、絶縁樹脂層2の第1面2a上において、受発光面4aを絶縁樹脂層2側に向け、切欠き部8の縁端8aから突出させて実装されている。このような受発光素子4としては、単チャンネル及び複数チャンネルのいずれの光素子でも良い。より具体的には、端面発光型LD、面発光型LD、面受光型PDなどを使用することができる。
光導波路フィルム6は、コアと、コアの外周を覆うクラッドとを有して構成されている。光導波路フィルム6としては、単層、あるいは、複層いずれでも良く、また、マルチモードでもシングルモードでも良い。本実施形態では、単層のマルチモードとして説明する。
光導波路フィルム6の両端面6a、6bは、両面6c、6dに対して45度傾斜して形成されていて、金属膜が形成されてミラー12を構成している。これにより、コアを通過する光信号は、ミラー12によって反射されて上面6c側に入出力され、すなわち上面6cにおいてミラー12と対向する位置に光入出力面13が形成され、一端面6a側では受発光素子4と接続される接続部14が構成される。なお、他端面6b側においても受発光素子4が接続されてもよい。また、ミラー12としては、両端面6a、6bに金属膜が形成されていないものとしてもよい。
光導波路フィルム6の接続部14は、絶縁樹脂層2の切欠き部8に嵌合配置されていて、光導波路フィルム6の光入出力面13は、受発光素子4の受発光面4aと対向配置されている。光導波路フィルム6の光入出力面13は、受発光素子4の受発光面4aと、略同じ高さに位置していて、これにより互いに少なくとも一部が接触するようにして配置されている。
光導波路フィルム6の光入出力面13と受発光素子4の受発光面4aとが一部で接触し、その他の部分で僅かな間隙が生じている場合には、該間隙に透明樹脂からなる接着剤が充填されて実装されてもよい。透明樹脂の材料としては、一般に用いられている様々な高分子材料を選択することができる。
具体的には、カーボネート材料、エポキシ材料、アクリル材料、イミド材料、ウレタン材料、シリコーン材料、無機フィラー混入有機材料などを選択可能であるが、これらに限定されるものではない。なお、界面の屈折率差を無くすため、光導波路フィルム6と同等の屈折率を有する光学樹脂を選択することが望ましく、特にクラッド部分と同等の屈折率を有することが望ましい。
また、絶縁樹脂層2の厚さは、光導波路フィルム6の厚さよりも薄くすることが好ましい。特に、電気配線3を形成する銅箔の膜厚と略等しい分だけ薄くすることがより好ましく、これにより光導波路フィルム6の光入出力面13と受発光素子4の受発光面4aとを略同じ高さに配置しつつ、光導波路フィルム6の下面6dと、絶縁樹脂層2の第2面2cとが同一平面上に位置するように設定することができる。
具体例として、例えば、図2に示すように、半田バンプ16を用いて受発光素子4が実装されている場合、光導波路フィルム6の厚さは、マルチモードの場合100μm程度であり、電気配線3の厚さは12μm程度、半田バンプ16の厚さは30μm程度である場合、絶縁樹脂層2の厚さは58μm程度に設定される。
また、図3に示すように、ボンディングワイヤ10を用いて受発光素子4が実装されている場合、光導波路フィルム6の厚さは、マルチモードの場合100μm程度であり、電気配線3の厚さは12μm程度である場合、絶縁樹脂層2の厚さは88μm程度に設定される。
上記のように構成された光基板1の製造方法について、図4から図14を参照して説明する。図4は本実施形態の光基板の製造方法の流れを示すフローチャート、図5から図14の各図は、光基板1の製造工程を経時的に示した断面図である。
まず、図5に示すように、まだパターニングされていない絶縁樹脂層21の第1面21a上に銅箔22が成膜された絶縁樹脂基板20を用意する。
図4に示すステップS1において、絶縁樹脂基板20の絶縁樹脂層21をパターニングする。すなわち、図6に示すように、フォトリソグラフィーによって所定のパターンで、例えば紫外線を照射することで、切欠き部8及びバイアホール2dが形成され、絶縁樹脂層2となる。ここで、絶縁樹脂層2を感光性絶縁樹脂としてフォトリソグラフィーによってパターニングすることで、切欠き部8の位置及び幅を、光導波路フィルム6の接続部14を設置する位置及び幅と略等しくするように、容易かつ高精度に形成することができる。
次に、ステップS2において、図7に示すように、パターニングされた絶縁樹脂層2の第2面2c上にキャリアフィルム23を貼り付ける。これにより、以下の工程をキャリアフィルム23の接合面23aを基準として行うことができる。
キャリアフィルム23としては、一般に用いられている様々な高分子材料を選択することができる。具体的には、カーボネート材料、エポキシ材料、アクリル材料、イミド材料、ウレタン材料、シリコーン材料、無機フィラー混入有機材料などが選択可能であるが、これらに限定されるものではない。また、キャリアフィルム23上に紫外線剥離型の粘着層を設けるものとしても良い。
次に、ステップS3において、図8に示すように、キャリアフィルム23上で銅箔22をパターニングして、電気配線3として配線パターンや実装用パッド等を形成する。なお、この際に、半田リフローによる電気配線の汚れを防止するために、必要に応じてソルダーレジストを印刷する工程を加えても良い。また、半田の濡れ性及び接続信頼性を向上させるために、必要に応じてNi及びAuメッキを行う工程を加えても良い。
次に、ステップS4において、図9に示すように、絶縁樹脂及び銅箔22が除去された絶縁樹脂層2の切欠き部8に、切欠き部8と略同一の大きさに加工した光導波路フィルム6と略同じ厚さのダミーフィルム24が配置される。
ダミーフィルム24の材質も、キャリアフィルム23と同様に、一般に用いられている様々な高分子材料を選択することができる。具体的には、カーボネート材料、エポキシ材料、アクリル材料、イミド材料、ウレタン材料、シリコーン材料、無機フィラー混入有機材料などが選択可能であるが、これらに限定されるものではない。
また、後述するように、ダミーフィルム24の配置後に受発光素子の実装や樹脂モールド等の工程を経るため、これらの工程における熱履歴に耐えうる、例えば絶縁樹脂基板20と同程度の環境耐性を有する材料を選択することが好ましい。
また、ダミーフィルム24上に硬化、離型する粘着層を設け、後述する剥離工程において紫外線照射等によって容易に剥離するようにダミーフィルム24を構成してもよい。さらに、ダミーフィルム24のキャリアフィルム23に対向する面に対して、プラズマ処理等の加工を行い、キャリアフィルム23との接着性を高めてもよい。
次に、ステップS5において、図10に示すように、絶縁樹脂層2の第1面2a上の所定位置に、ボンディングワイヤ10を用いてコントロールIC5が実装される。
続いて図11に示すように、絶縁樹脂層2の第1面2a上に受発光素子4が実装される。より詳しくは、受発光面4aを切欠き部8の縁端8aから突出させるようにして、半田バンプ16を用いてフリップチップ実装される。半田バンプ16に代えて、半田ボール等が用いられてもよい。これにより受発光素子4は、電気配線3と電気的に接続されるとともに、受発光面4aがダミーフィルム24と対向して少なくとも一部で接触した状態となる。
なお、コントロールIC5は、受発光素子4の実装後に実装されてもよいし、ダミーフィルム24の配置前に実装されてもよい。また、製造する光基板の仕様上必要でなければ実装されなくてもよい。
次に、ステップS6において、図12に示すように、モールド樹脂7を絶縁樹脂層2の第1面2a上からモールドする。モールド樹脂7によって、絶縁樹脂層2の第1面2a上の受発光素子4、コントロールIC5、及びボンディングワイヤ10、並びに、絶縁樹脂層2の切欠き部8に配置されたダミーフィルム24の上面が封止される。ここまでの手順で、光基板1の製造に用いられる電気回路パッケージ25が製造される。
電気回路パッケージ25は、平面視において略四角形に形成することができる。従って、絶縁樹脂基板20として、公知のロールツーロール方式の製造装置等に適用できる材質からなるものを選択すれば、電気回路パッケージの中間体を水平方向に連続して形成して一括に樹脂モールドし、単位パッケージごとに裁断することによって電気回路パッケージ25を大量に製造することができる。
次に、ステップS7において、図13に示すように、電気回路パッケージ25からキャリアフィルム23及びダミーフィルム24を剥離して取り外す(剥離工程)。
上述のように、キャリアフィルム23及び/又はダミーフィルム24上に、紫外線剥離型の粘着層を設けた場合には、紫外線照射によりキャリアフィルム23及び/又はダミーフィルム24を容易に剥離することができる。
また、上述のように、ダミーフィルム24のキャリアフィルム23に対向する面を加工してキャリアフィルム23との接着性を高めた場合は、キャリアフィルム23を剥離する際に、ダミーフィルム24もキャリアフィルム23に接着した状態でともに剥離されるので、剥離工程の効率を向上させることができる。
最後に、ステップS8において、図14に示すように、ダミーフィルム24を剥離した後の切欠き部8に、絶縁樹脂層2の第2面2c側から光導波路フィルム6を実装する(光配線実装工程)。より詳しくは、光入出力面13が受発光素子4の受発光面4aに対向する状態で接続部14を切欠き部8に嵌合することで、光入出力面13が切欠き部8の縁端8aに隣接するように配置する。このようにして光基板1が完成する。
上記のように、絶縁樹脂層2の切欠き部8は、フォトリソグラフィーによって高精度に位置及び幅が形成されている。このため、光導波路フィルム6は、切欠き部8に嵌合することで、切欠き部8を基準とする外形突き当て位置合わせにより、高精度に位置決めされた状態となる。そして、切欠き部8に嵌合された状態において、光導波路フィルム6の上面6cは、絶縁樹脂層2の第1面2aよりも高い位置に設定される。より詳しくは、上記のように、絶縁樹脂層2は、光導波路フィルム6よりも電気配線3の厚さ分(受発光素子4が半田バンプ等を介して実装されている場合は、該半田バンプ等の厚みを加えた分)だけ薄く設定されている。
このため、光導波路フィルム6は、下面6dが絶縁樹脂層2の第2面2cと略同一平面状に位置するように配置され、上面6cが絶縁樹脂層2の第1面2aよりも電気配線3の厚さ分だけ突出した状態となる。すなわち、光導波路フィルム6の光入出力面13と受発光素子4の受発光面4aとが略同じ高さに位置して少なくとも一部で接触した状態となる。光入出力面13と受発光面4aとの間で、その一部の範囲で接触せずに間隙が形成された場合は、上述のように必要に応じて該間隙に透明樹脂からなる接着剤15が充填されてもよい。
次に、以下に示す実施例1に基づいて、本実施形態の光基板の製造方法についてさらに説明する。
本実施例では、絶縁樹脂層2を形成する感光性絶縁材料として、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(リポキシVR−90:昭和高分子株式会社製)52重量部と、無水フタル酸15重量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒中で110℃30分攪拌してアルカリ現像型感光性絶縁樹脂ワニス原料を調製した。
更に、このアルカリ現像型感光性絶縁樹脂ワニス原料を50重量部、脂環式エポキシ類化合物(EHPE3150:ダイセル化学工業株式会社製)17重量部、光硬化型エポキシ樹脂(サイクロマーM100:ダイセル化学工業株式会社製)30重量部、及び、光開始剤(LucirinTPO:BASF社製)3重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤を加えて連続式横型サンドミルにて約3時間分散し、アルカリ現像型感光性絶縁樹脂ワニスを調製した。
次に銅箔上にこのアルカリ現像型感光性絶縁樹脂ワニスをスリットコーターにて塗布し、70℃20分乾燥して、約50μm厚の半硬化状態の感光性絶縁樹脂層を形成し、図4に示すような、感光性絶縁樹脂層21Aの一面21a側に銅箔22が形成された絶縁樹脂基板20を製造した。
次に、絶縁樹脂層21にフォトマスクを密着させ、超高圧水銀灯により500mJ/cm2で露光、紫外線硬化させた。その後約5%有機アミン系アルカリ水溶液にて現像、水洗し、90℃オーブンで十分乾燥させることで、図6に示すように、パターニングされた絶縁樹脂層2を得ることができた。
次に、図7に示すように、絶縁樹脂層2をキャリアフィルム23(PET:東洋インキ製造株式会社製)にラミネートした。
そして、図8に示すように、銅箔22上にエッチングレジストパターンを形成し、銅箔をエッチングすることで、パターニングされた電気配線3を得た。
続いて、図9に示すように、後工程において光導波路フィルム6が実装される切欠き部8に、ダミーフィルム24(ユーピレックスR:宇部興産株式会社製)を配置した。
次に、図10に示すように、絶縁樹脂層2上において、電気配線3にコントロールIC5(VCSELドライバーチップ:HELIX AG社製)を実装し、ワイヤボンディングにより電気接続を行った。
続いて、図11に示すように、絶縁樹脂層2上の電気配線3及びダミーフィルム24上に、受発光素子4として発光素子4A(4ch VCSEL:AVALON社製)を実装した。この際、光導波路フィルム6の光入出力面13と発光素子4Aの発光位置が合うようにアライメントを行った。また、受発光素子4は、半田バンプ16を用いて電気配線3と接続した。
次に、図12に示すように、絶縁樹脂層2の第1面2a側全体をモールド樹脂7によりモールドして電気回路パッケージ25Aを製造した。本実施例では、上述のように電気回路パッケージ25Aの中間体を水平方向に連続して形成し、一括して樹脂モールドを行い、単位パッケージごとに裁断して電気回路パッケージ25Aを製造した。
次に、図13に示すように、キャリアフィルム23及びダミーフィルム24を剥離した。
続いて、図14に示すように、ダミーフィルム24を剥離した後の切欠き部8に、光導波路フィルム6として光導波路フィルム6A(マルチモードエポキシ系光導波路フィルム:エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社製)を実装した。実装の際には、透明樹脂からなる光学接着剤15A(エポテックT7109:Epoxy Technology社製)を使用した。光導波路フィルム6の位置合わせは、絶縁樹脂層2の切欠き部8の外形を利用した突き当てにより行った。このようにして光基板1Aを製造した。
光基板1Aの光学特性評価を行った結果、各チャンネルで0.9から1.1mWの安定した光出力を確認することができた。
本実施形態の光基板の製造方法によれば、後工程において光導波路フィルム6が実装される部分にダミーフィルム24が仮配置される。そして、ダミーフィルム24の剥離後に、絶縁樹脂層2の、樹脂モールド等が行われない第2面2c側から光導波路フィルム6が実装される。従って、プリント配線板プロセス、素子実装プロセスおよび樹脂モールドプロセスを従来と同様の方法で行って電気回路パッケージ25を大量に製造することができるので、製造装置や製造手法の改変や改造が必要なく、製造歩留まりを安定させることができる。
また、上記製造手順の一部の工程は、酸やアルカリによる洗浄、高温加熱などの条件下で行われるが、これらの工程時にはダミーフィルム24が仮配置されており、これらの工程の終了後に、光導波路フィルム6が実装される。従って、上記工程時における光導波路フィルム6へのダメージを考慮する必要がなく、光導波路フィルム6として用いる部材の材質の選択の幅が広がる。例えば、耐熱性の低い材料からなる光導波路フィルムを使用することも可能となる。
さらに、光導波路フィルム6が上記の各工程の環境にさらされた場合、ミラー12の部分が汚染され、光学特性が劣化したり、モールド樹脂などの回りこみによってミラー特性が損なわれたりする問題があった。本発明の光基板の製造方法においては、製造プロセスの最後に光導波路フィルム6が実装されるので、光導波路フィルム6端面のミラー12を清浄に保つことができる。従って、光導波路フィルム6の光学特性を向上させることができる。
加えて、ダミーフィルム24及び光導波路フィルム6は、絶縁樹脂層2に形成された切欠き部8に配置、実装されるので、外形突き当てによって簡便に位置合わせを行うことができる。従って製造プロセスが簡略化され、コストを低減することができる。
そして、本実施形態の製造方法で製造される光基板1、1Aは、光導波路フィルム6の光入出力面13の少なくとも一部が受発光素子4の受発光面4aと接触しているので、光導波路フィルム6と受発光素子4との光接続を、損失を抑えて効率的に行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
本発明の一実施形態の光基板の製造方法に係る光基板を示す平面図である。 図1のA−A線における断面図である。 同実施形態の光基板の他の例の断面図である。 同実施形態の光基板の製造方法の流れを示すフローチャートである。 同製造方法の製造工程を示す概略断面図である。 同製造方法の製造工程を示す概略断面図である。 同製造方法の製造工程を示す概略断面図である。 同製造方法の製造工程を示す概略断面図である。 同製造方法の製造工程を示す概略断面図である。 同製造方法の製造工程を示す概略断面図である。 同製造方法の製造工程を示す概略断面図である。 同製造方法の製造工程を示す概略断面図である。 同製造方法の製造工程を示す概略断面図である。 同製造方法の製造工程を示す概略断面図である。
符号の説明
1、1A 光基板
2、21 絶縁樹脂層
2a、21a 第1面
2c 第2面
3 電気配線
4 受発光素子
4a 受発光面
5 コントロールIC
6 光導波路フィルム(光配線)
7 モールド樹脂
13 光入出力面
22 銅箔
23 キャリアフィルム
24 ダミーフィルム

Claims (4)

  1. 第1面に電気配線がパターニングされた絶縁樹脂層と、
    前記絶縁樹脂層の前記第1面上に設けられ、受発光面を、前記絶縁樹脂層の前記第1面に対向する側に向けて前記絶縁樹脂層の縁端から突出させた受発光素子と、
    前記受発光素子に光信号を入出力する光入出力面が、少なくとも一部で前記受発光素子の前記受発光面と接触するようにして、前記受発光面と対向配置された光配線とを有する光基板の製造方法であって、
    第1面に銅箔が配置された前記絶縁樹脂層をパターニングする工程と、
    前記絶縁樹脂層の前記第1面の反対側に位置する第2面において、前記絶縁樹脂層の所定の部位を覆うようにキャリアフィルムを貼りつける工程と、
    前記銅箔に前記電気配線をパターニングする工程と、
    前記銅箔及び絶縁樹脂が除去された前記所定の部位に位置する前記キャリアフィルム上にダミーフィルムを配置する工程と、
    前記第1面に前記受発光素子を実装する工程と、
    前記第1面上をモールド樹脂によって封止する工程と、
    前記封止する工程の後に、前記キャリアフィルム及び前記ダミーフィルムを剥離して除去する剥離工程と、
    前記ダミーフィルムが配置されていた部位に前記光配線を実装する光配線実装工程と、
    を備えることを特徴とする光基板の製造方法。
  2. ソルダーレジストを前記第1面上に印刷する工程と、
    ニッケル及び金を前記第1面上にメッキする工程と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の光基板の製造方法。
  3. 前記受発光素子のコントロールICを実装する工程をさらに備え、
    前記光配線実装工程において、前記光配線は、前記第2面側から実装されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光基板の製造方法。
  4. 前記光配線実装工程において、前記光配線は、前記光配線と同等の屈折率を有する透明光学樹脂からなる接着剤を用いて実装されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光基板の製造方法。
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