JP5029343B2 - 光基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気配線および光配線を有する光基板およびその製造方法に関する。
近年の高度情報化の進展に伴い、情報通信に用いられるルータやサーバ等の情報処理装置の高性能化はめざましく進んでおり、これら機器においては、通信信号の更なる高速化が求められている。この高速化においては、電子回路や電気回路における電気配線の通信品質が性能向上の障害となるために、通信速度を高速化する上でこの障害が無視できなくなってきている。そのため、処理信号の高速化や電気ノイズの低減を始めとして、高速通信の障害となる課題解決に向けた有望な技術として、光信号を利用することで、高速の伝送速度で情報を送受信することが可能な光配線を用いた技術が注目を集めている。特に、光配線を用いた大容量光インターコネクションを実現するために、光配線の高密度化や低損失接続が重要であり、高性能かつ価格低減に向けての様々な技術検討が行われている。
光基板は、電気信号及び光信号の変換のために、電気配線、受発光素子、光導波路等の光配線が組み合わされて構成される。このような光基板の例として、貫通孔を有する電気回路基板と、電気回路基板の一面に、貫通孔の位置で搭載された受発光素子と、電気回路基板の他面に設けられ、光入出力面が貫通孔の位置で光信号を入出力可能に配設された光配線とを備えるものが提案されている(特許文献1参照)。
光信号は、受発光素子や光配線から出力されると拡散される。このため、光信号の接続部品はできるだけ近い間隔で接続する必要がある。また、光接続はその接続位置がずれると光信号が漏洩損失するため、正確に位置をあわせて接続する必要がある。従って、光基板においては、受発光素子及び光配線の接続部分における位置合わせの正確性が要求される。
上記課題に対して、例えばシリコンベンチをエッチングし、高さを低くしたテラス上に光導波路を配置し、同時にV溝をエッチング加工して光ファイバを設置した構造が提案されている(特許文献2、特許文献3)。テラスの高さを合わせることで光導波路と受発光素子が直接接続され、エッチング加工精度を向上させることで光導波路と光ファイバが位置精度良く実装することができる。しかし、同構造のシリコンベンチは高価であり、製造コストが高いという問題がある。
また他の例として、電気配線基板上に光ファイバを固定する治具を形成し、光ファイバを位置精度良く実装した構造が報告されている(特許文献4、特許文献5)。しかし、固定部品の環境信頼性が劣る問題や、固定部品の形成プロセスにより製造コストが増す問題がある。
特開2002−189137号公報 特開2006−38058号公報 特開2007−156378号公報 特許第3348713号 特開2006−133811号公報
本発明はかかる従来技術の問題点を鑑みてなされたもので、受発光素子と光導波路および光ファイバが位置精度良くかつ容易に光学的に接続することが可能な構造を安価な材料かつ簡便なプロセスで提供することを課題とする。また、これにより低コストかつ接続特性のよい光基板とその製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を達成するためになされた第1の発明は、第1面に電気配線がパターニングされた絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の前記第1面上に設けられ、受発光面を、前記絶縁樹脂層の前記第1面に対向する側に向けて配置した受発光素子と、前記受発光素子に光信号を入出力する光入出力面が、少なくとも一部で前記受発光素子の前記受発光面と接触するようにして、前記受発光面と対向配置された光導波路と、前記光導波路と光学的に接続された光ファイバと、を有する光基板であって、前記光導波路及び前記光ファイバからなる光配線の配置部では前記絶縁樹脂層が除去され、前記光導波路及び前記光ファイバが前記配置部に配置されていることを特徴とする光基板である。
光導波路実装部分の絶縁樹脂層を無くし、光導波路の光入出力面と、受発光素子の受発光面の高さを合わせ、直接接続する事を特徴とする。また絶縁樹脂層が光導波路及び光ファイバからなる光配線の配置に合わせてパターニングされていることで、光導波路および光ファイバの実装部分を正確に位置合わせすることを特徴とする。
また第2の発明は、上記光基板の発明において、前記絶縁樹脂層が感光性樹脂からなることを特徴とする光基板である。
絶縁樹脂層に感光性絶縁樹脂を用いる事で、紫外線照射によるフォトリソグラフィーで、絶縁樹脂をパターニングすることができる。これにより、光導波路設置部分および光ファイバ設置部分を高精度に造形することが可能となり、外形突き当て位置合わせにより光導波路および光ファイバを実装することができる。
第3の発明は、上記光基板の発明において、前記絶縁樹脂層の下面と前記光導波路の下面が同一平面上であり、かつ該光導波路の上面の高さと受発光素子の発光面の高さが略同一であることを特徴とする光基板である。
光導波路の厚さと、絶縁樹脂層、電気配線、半田バンプの厚さを合わせた高さを一致させることで、光導波路上面の高さと受発光素子下面の高さを合わせることができる。半田バンプの厚さは電気配線ピッチによっても定義されるため、絶縁樹脂層の厚さを任意に制御する事が望ましい。例えば、マルチモード光導波路の厚さは100μm程度であり、電気配線厚12μm、半田バンプ高さ38μmの場合、絶縁樹脂層厚は50μm程度となる。また光基板下面が平坦となることから、光基板下面へのLGA実装や電気コネクタ実装が容易となる効果もある。
第4の発明は、上記光基板の発明において、少なくとも光基板上の前記光配線及び受発光素子がモールド樹脂で覆われていることを特徴とする光基板である。
本発明の光基板では、受発光素子の近傍にコントロールICを実装し、光基板上をモールド樹脂でモールドすることもできる。これにより光基板の環境信頼性が向上する。
第5の発明は、上記光基板の発明において、前記受発光素子の前記受発光面と前記光導波路の前記光入出力面との間隙に、透明樹脂が充填されていることを特徴とする光基板である。
受発光素子と光導波路の間には空気の間隙ができるため、ここに透明樹脂を充填することもできる。これにより受発光素子と光導波路間の屈折率不整合を改善し、光接続特性を向上し、環境信頼性を改善することができる。
第6の発明は、上記光基板を製造する方法の発明であって、
金属層上の絶縁樹脂層をパターニングして、光導波路設置部分および光ファイバ設置部分にあたる絶縁樹脂を除去して除去領域を設ける絶縁樹脂層形成工程と、
キャリアフィルム上に、絶縁樹脂層面を該キャリアフィルムに対向させて貼り合せる絶縁樹脂基板設置工程と、
前記金属層をパターニングし、配線パターンを形成する電気配線形成工程と、
前記キャリアフィルム上にて、光導波路設置部分にあたる前記除去領域に光導波路を配置する光導波路設置工程と、
前記キャリアフィルム上にて、光ファイバ設置部分にあたる前記除去領域に前記光導波路と光学的に接続するように光ファイバを配置する光ファイバ配置工程と、
受発光素子の受発光面を前記絶縁樹脂層の縁端から突出させて、前記光導波路の光入出力面と対向して該光入出力面の少なくとも一部に接触させるように、前記絶縁樹脂層に前記受発光素子を実装する受発光素子実装工程と、
前記キャリアフィルムを除去するキャリアフィルム除去工程と、
を備える光基板の製造方法である。
また第7の発明は、この光基板の製造方法の発明において、
受発光素子実装工程後、キャリアフィルム除去工程の前に、前記光基板の少なくとも一部をモールド樹脂で覆うモールド樹脂形成工程を備えることを特徴とする。
キャリアフィルム上で製造する事で、光基板下面はキャリアフィルム面を基準として平坦となる。これにより光基板下面へのLGA実装や電気コネクタ実装が容易となる効果もある。また、光導波路及び光ファイバ配置部分では、絶縁樹脂層がパターニングされて除去されているため、キャリアフィルム上で除去領域に合わせてはめ込むことで、受発光素子と光導波路、光導波路と光ファイバの接合が容易にできる。
第8の発明は、
金属層上の絶縁樹脂層をパターニングして、光導波路設置部分および光ファイバ設置部分にあたる絶縁樹脂を除去して除去領域を設ける絶縁樹脂層形成工程と、
キャリアフィルム上に、絶縁樹脂層面を該キャリアフィルムに対向させて貼り合せる絶縁樹脂基板設置工程と、
前記金属層をパターニングし、配線パターンを形成する電気配線形成工程と、
前記キャリアフィルム上にて、光導波路設置部分にあたる前記除去領域に光導波路と同形状のダミーフィルムを配置する工程と、
前記キャリアフィルム上にて、光ファイバ設置部分にあたる前記除去領域に光ファイバと同形状のダミーフィルムを配置する工程と、
受発光素子の受発光面を前記絶縁樹脂層の縁端から突出させて、前記光導波路と同形状のダミーフィルムにおける光入出力面と対向して該光入出力面の少なくとも一部に接触させるように、前記絶縁樹脂層上に前記受発光素子を実装する受発光素子実装工程と、
前記キャリアフィルム上の少なくとも前記ダミーフィルムをモールド樹脂で覆うモールド樹脂形成工程と、
前記キャリアフィルム及び前記ダミーフィルムを除去するフィルム除去工程と、
前記ダミーフィルムが配置されていた部位に光導波路及び光ファイバを配置する光配線配置工程と、
備える光基板の製造方法である。
光基板上面をモールド樹脂で覆うことで、光基板の環境信頼性を向上させることができる。この場合、光導波路設置部分および光ファイバ設置部分にまずダミーフィルムを設置して、モールドを行うことで、モールド工程の高温プロセスによる光導波路の破損を防ぐ事ができる。また、光配線部分を除く電気回路パッケージの中間体をあらかじめ製造することにより、光基板を生産性良く製造することが可能となる。
第9の発明は、上記光基板を製造する方法の発明において、前記絶縁樹脂層形成工程において、絶縁樹脂層は感光性樹脂からなり、該感光性樹脂をフォトリソグラフィーによりパターニングすることを特徴とする光基板の製造方法である。
感光性絶縁樹脂を用いてフォトリソグラフィーで、絶縁樹脂をパターニングすることにより、光導波路設置部分および光ファイバ設置部分を高精度に造形することが可能となり、外形突き当て位置合わせにより光導波路および光ファイバを実装することができる。また絶縁樹脂層の膜厚の制御が容易となり、光導波路上面の高さと受発光素子下面の高さを合わせることができる。
第10の発明は、上記光基板を製造する方法の発明において、前記受発光素子の前記受発光面と、前記光導波路の前記光入出力面との間隙に透明樹脂を充填させる透明樹脂充填工程を備えることを特徴とする光基板の製造方法である。
これにより受発光素子と光導波路間の屈折率不整合を改善し、光接続特性を向上し、環境信頼性を改善することができる。また、透明樹脂を充填させることにより、モールド樹脂が受発光素子の受発光面と光導波路の光入出力面との間隙に入り込み、光学損失が大きくなることを防ぐことができる。
第11の発明は、上記光基板を備える事を特徴とする光部品である。
また第12の発明は、上記光基板を備える事を特徴とする電子機器である。
本発明の光基板を光部品あるいは電子機器に搭載することにより、情報量の大きな入出力に対応した効率的な信号の送受信が可能な製品が可能となる。
本発明は、次のような効果がある。
第一に、絶縁樹脂層の除去部分に絶縁樹脂層よりも厚い光配線を設置することで、光配線の光入出力位置と受発光素子の位置を合わせることが可能となる。これにより、光配線と受発光素子を直接接合する事ができるため、光接続損失が低減され、接続部分の環境信頼性も改善する効果がある。
第二に、感光性絶縁樹脂を用いる事で、絶縁樹脂を高精度にパターニングすることが可能となる。高精度にパターニングされた形状に光導波路と光ファイバを突き当て実装することで、簡易な手段で低コスト高精度な実装を行うことができる。これにより製造コストを低減する効果がある。
第三に、キャリアフィルム上で製造プロセスを行うことで、光基板下面を平坦とすることが可能となる。これにより光基板下面へのバンプ実装や高精度コネクタ実装が容易となり、光基板の電気的接続方法の選択枝が増える効果がある。
第四に、光導波路の設置位置と光ファイバの設置位置を同時にフォトリソグラフィー加工することで、両者を簡便に高精度実装することが可能となる。これにより光接続効率が向上し、製造コストも低減する。
<光基板>
本発明に係る光基板の断面図を図1(A)に、その平面図を図1(B)に示した。 本発明の光基板では、絶縁樹脂層11上に形成された電気配線に電気的に接続された受発光素子60が配置されている。受発光素子は、その端部で前記絶縁樹脂層の除去領域に配置された光導波路50と接触しており、受発光素子の受発光面と、光導波路の端部の光入出力面で光学的に接続されている。さらに、光導波路は、同様に絶縁樹脂層の除去領域に配置された光ファイバ55に光学的に接続されている。
絶縁樹脂層11は、図2に示すように光導波路、光ファイバ等に応じた領域が除去されてパターニングされている。複数の光ファイバを配置する場合、光ファイバ間の絶縁樹脂層部分は独立している場合があるが、これらはモールド樹脂70あるいはキャリアフィルムにより保持される。絶縁樹脂層は、任意の有機材料及び無機材料を選択することができる。具体的にはアクリル材料、シリコーン材料、シリコンウェハ、金属材料、硝子材料、プリプレグ、積層板材料などが使用できるが、特に感光性樹脂で形成されていることが望ましい。これは、後述のように感光性樹脂を用いて絶縁樹脂層を形成することで、精度良くパターニング可能であり、このため光導波路及び光ファイバが位置精度良く接続できるためである。感光性樹脂の例としては、感光性ポリイミド樹脂、感光性アクリル樹脂、感光性エポキシ樹脂、またこれらを重合させた感光性エポキシアクリレート樹脂などを用いることができる。
さらに絶縁樹脂層の膜厚についても、感光性樹脂であれば膜厚を薄くすることができ、作製時に容易に制御することが可能である。絶縁樹脂層の膜厚には特に制限はないが、光導波路の厚さと、絶縁樹脂層及び電気配線、半田バンプ90の受発光素子接合部分を足し合わせた厚さとを合わせることで、光導波路上面の高さと受発光素子下面の受発光面の高さを合わせることができ、接合が容易となる。従って、少なくとも光導波路以下の膜厚であることが望ましい。半田バンプの厚さは電気配線のピッチによっても変わるため、要求される電気配線基板によって異なる。そのため絶縁樹脂層の膜厚を制御することが好ましい。例えば、マルチモードの場合の光導波路の厚さは100μm程度であり、電気配線の膜厚を10μm程度であることから、半田バンプの高さが40μmの場合は、絶縁樹脂層の膜厚を50μmとする。
光導波路50には、コアと、コアの外周を覆うクラッドとで構成される一般的な光配線光導波路を用いる事ができる。材質として、カーボネート系、エポキシ系、アクリル系、イミド系、ウレタン系、ノルボルネン系などの高分子材料および石英などの無機材料を用いる事ができる。伝送モードとして、シングルモード、マルチモード、シングルマルチ混合配線などの構成をとることができる。図1の光基板では、光導波路の受発光素子側の端面が45度にカットされ、光信号を反射するミラー面が形成されている。あるいは端面に金属層を形成してミラーを構成しても良い。
光ファイバ55には、一般的な光ファイバを用いる事ができる。具体的には、石英系光ファイバ、ポリマー光ファイバなどを用いる事ができる。光接続損失を低減するため、光導波路50と膜厚(あるいは光ファイバ直径)をあわせる事が望ましい。また光導波路の膜厚と光ファイバの膜厚を一致させることにより、図1に示したように絶縁樹脂層の下面と、光導波路及び光ファイバの下面が同一平面で平坦となることから光基板下面に高精度にコネクタを設置することができる。具体的には、LGA、PGA、小型電気コネクタ等を設置することができる。
受発光素子60は、光導波路と光学的に接続するために、受発光面を絶縁樹脂層側に向けて配置され、また受発光面の少なくとも一部は絶縁樹脂層を除去した領域上に突出している。受発光素子には、単チャンネルもしくは複数チャンネルの光素子を用いる事ができる。具体的には、端面発光型LD、面発光型LD、面受光型PDなどを使用する事ができる。受発光素子60の実装は、図1に示したような半田バンプ90によるフリップチップ実装以外にも、ワイヤボンディングなどの方法を取る事ができる。
また必要に応じて、銅箔20上に、受発光素子60のコントロールチップ40を実装することができる。コントロールチップ40の実装は、ワイヤボンディング、フリップチップ実装などの方法を取る事ができる。
また必要に応じて受発光素子60の受発光面と光導波路50の光入出力面の間隙に透明樹脂80を充填する事ができる。透明樹脂80には一般に用いられている高分子材料を用いる事ができる。具体的には、カーボネート材料、エポキシ材料、アクリル材料、イミド材料、ウレタン材料、シリコーン材料、無機フィラー混入有機材料などが使用できるが、これに限定されるものではない。また、界面の屈折率差を無くすため、光導波路50と同等の屈折率を持った光学樹脂を用いる事が望ましい。これにより、受発光素子と光導波路の接続部分での光学損失を低減しつつ、接続部分の強度を向上させて環境信頼性の高い光基板とすることができる。
さらに基板上の任意の部分をモールド樹脂70によりモールドすることで、基板および実装部品の環境信頼性を高める事ができる。この場合、受発光素子60と光導波路50の界面にモールド樹脂が入る事を防ぐため、あらかじめ前記透明樹脂80を充填することが望ましい。
本発明の光基板は、多量の情報入出力を伴う電子機器、あるいは光部品に有効である。光基板を搭載した電子機器の具体例としては、ノートパソコンや業務用大型コンピュータを含む様々な電子計算機、家庭用ゲーム機、録画再生機、テレビ、あるいは、ルータなどの大きな情報の入出力を伴う情報・通信機器に用いることで、ノイズの影響を受けずに効率的に信号の送受信が可能となるために有効である。また、光基板1を搭載する光部品の具体例としては、光インターコネクション(光電気配線板)、光コネクタ、光カプラ、光結合器、光スイッチ、光スプリッタ、あるいは、光送受信機などの、光部品にも搭載することで、同様の効果を期待することができる。
<光基板の製造方法>
次に、本発明の光基板の製造方法について説明する。以下の説明では、特に絶縁樹脂層に感光性樹脂を用いた場合について説明する。
まず電気配線を形成する金属層(銅箔20)と、絶縁樹脂層10を張り合わせたフィルムを用いて、絶縁樹脂フィルムの絶縁樹脂層をパターニングし、バイアホールや光配線設置部分を除去する。絶縁樹脂層10に用いる感光性樹脂としては、感光性ポリイミド樹脂、感光性アクリル樹脂、感光性エポキシ樹脂、またこれらを重合させた感光性エポキシアクリレート樹脂などを用いることができる。フォトリソグラフィー工程として、図2のような感光性樹脂のパターンに対応するマスクを用いて露光し、現像を行って絶縁樹脂層を形成する(図3(b))。
このとき絶縁樹脂層10の厚さは、光導波路50の厚さより薄くし、絶縁樹脂10、銅箔20、実装用半田バンプ90の各膜厚の合計が、光導波路50の厚さと同じとする事が望ましい。これにより受発光素子と光導波路との高さが合致し、互いが直接接合する事ができる。
次に絶縁樹脂面をキャリアフィルム30上に張り合わせる(図3(c))。張り合わせには一般的なラミネート方法を用いることができる。キャリアフィルム30には、一般に用いられている高分子材料を用いることができる。具体的には、カーボネート材料、エポキシ材料、アクリル材料、イミド材料、ウレタン材料、シリコーン材料、無機フィラー混入有機材料などが使用できるが、これに限定されるものではない。また、キャリアフィルム30上に紫外線剥離型の粘着層を設けることもできる。
キャリアフィルム上で各プロセスを行う事で、光基板下面を平坦とすることができる。これにより、光基板下面に高精度にコネクタを設置することができる。具体的には、LGA、PGA、小型電気コネクタ等を設置することができる。また、キャリアフィルムにより絶縁樹脂層が保持固定されるため、絶縁樹脂層の膜厚が薄い場合でも安定して光基板を実装することができる。
次に銅箔20をパターニングし、配線パターンや実装用パットを形成する(図3(d))。銅箔のパターニング方法としては、公知の金属加工方法を用いることが可能である。具体的には、配線パターン、実装用パットに合わせてレジストパターンを形成し、エッチングにより配線パターンを形成する。また必要に応じてNi,Auメッキやソルダーレジスト印刷を行っても良い。
また前述のように、必要に応じて受発光素子のコントロールチップを実装しても良い(図4(e))。この場合はパターニングされた銅箔21上に、受発光素子60のコントロールチップ40を実装することができる。コントロールチップ40の実装は、ワイヤボンディング、フリップチップ実装などの方法を取る事ができる。
次に、絶縁樹脂層を除去した光導波路設置部分および光ファイバ設置部分に、光導波路及び光ファイバを実装する(図4(f))。このとき絶縁樹脂層11のパターンによって、光導波路及び光ファイバの位置合わせがなされるために、配置が容易である。また、光導波路の高さと光ファイバの高さが一致していれば、両コア領域の中心位置を合わせることができるため、光学的な接続が容易にできる。
次に光導波路の光入出力面に直接接合する形で受発光素子を実装する(図4(g))。受発光素子60と電気配線との実装は、図に示したような半田バンプ90によるフリップチップ実装以外にも、ワイヤボンディングなどの方法を取る事ができる。またこのとき必要に応じて、受発光素子の受発光面と光導波路の光入出力面の間に透明樹脂を充填してもよい。前述のように受発光素子と光導波路の接続部分での光学損失を低減することができる。次に基板全体もしくは任意の箇所をモールド樹脂でモールドすることができる(図4(h))。この場合にはモールド樹脂により最後にキャリアフィルムを剥離して、本発明の光基板101とすることができる(図4(i))。なお、キャリアフィルム30に紫外線剥離型の粘着層を設けた場合には、紫外線照射によりキャリアフィルムを剥離することができる。
また図4(f)〜(i)の代わりに、ダミーフィルムを用いて本発明の光基板を作製することができる。この場合には、配線パターンを形成した後、光導波路及び光ファイバの配置位置に、光導波路及び光ファイバとそれぞれ同じ高さのダミーフィルム53,58を配置する(図5(f))。各ダミーフィルムは別個のものでも一体となったものでも良い。ダミーフィルム53および58には、高分子フィルムを使用することができる。具体的には、カーボネート材料、エポキシ材料、アクリル材料、イミド材料、ウレタン材料、シリコーン材料、無機フィラー混入有機材料などが使用できるが、これに限定されるものではない。ダミーフィルムには、モールド時の加熱工程を通すため、同加熱工程に耐えうるフィルムを用いることが望ましい。またダミーフィルム上下面に耐熱粘着層を設けることで、モールド樹脂のしみ込みを防ぐこともできる。
次に、光基板をモールド樹脂でモールドする前に、図5(h)のように受発光素子60とダミーフィルム53の界面に透明樹脂を充填することが好ましい。前述のように、モールド樹脂が受発光素子と光導波路の間に入り込むことを防ぎ、受発光素子と光導波路の接続部分での光学損失を低減することができるからである。同様に、光導波路配置箇所に相当するダミーフィルムと、光ファイバ配置箇所に相当するダミーフィルムの界面でも透明樹脂を充填しても良い。
次に基板全体もしくは任意の箇所をモールド樹脂でモールドし(図5(i))、キャリアフィルム及び各ダミーフィルムを剥離する(図5(j))。少なくともダミーフィルムをモールド樹脂で覆うことにより、ダミーフィルムを剥離した箇所が、光配線の配置部分として形成される。キャリアフィルム30に紫外線剥離型の粘着層を設けた場合には、前述のように紫外線照射によりキャリアフィルムを剥離することができる。
以上の工程により、光導波路及び光ファイバの光配線以外の部分が実装された電気回路パッケージ100が製造される。電気回路パッケージは、平面視において略四角形に形成することができる。従って、絶縁樹脂基板20として、公知のロールツーロール方式の製造装置等に適用できる材質からなるものを選択すれば、電気回路パッケージの中間体を水平方向に連続して形成して一括に樹脂モールドし、単位パッケージごとに裁断することによって電気回路パッケージを大量に製造することができる。つまり、光導波路及び光ファイバからなる光配線部分を除いた電気回路パッケージを前段階として製造することにより、光基板を生産性良く製造することが可能となる。
最後に、ダミーフィルムを除去した箇所に光導波路及び光ファイバをそれぞれはめ込んで接合することで、本発明の光基板101を製造することができる(図5(k))。本製造方法では、絶縁樹脂層のパターン及びモールド樹脂によって、光導波路及び光ファイバの配置部分が溝状の開口部となっているので、光導波路と受発光素子との接続、光導波路と光ファイバとの接続が容易であり、精度良く実装することができる。また光導波路の実装より前にモールドするために、モールド工程の高温プロセスによる光導波路の破損を防ぐ事ができる。
以下に本発明の実施例をもって説明するが、本発明がそれらに限定解釈されるものではない。また、以下の記載では、光基板の光導波路を1層として説明するが、必ずしも1層である必要はない。また、以下の実施例では光導波路をマルチモードとして説明するが、必ずしもマルチモードである必要はない。
<実施例1>
まず感光性絶縁材料として、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(リポキシVR−90:昭和高分子)52重量部と無水フタル酸15重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒中で110℃30分攪拌してアルカリ現像型感光性絶縁樹脂ワニス原料を調製した。更に、前記アルカリ現像型感光性絶縁樹脂ワニス原料を50重量部、脂環式エポキシ類化合物(EHPE3150:ダイセル化学)17重量部、光硬化型エポキシ樹脂(サイクロマーM100:ダイセル化学)30重量部、光開始剤(LucirinTPO:BASF)3重量部に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤を加えて連続式横型サンドミルにて約3時間分散し、アルカリ現像型感光性絶縁樹脂ワニスを調製した。
次に銅箔上に前記アルカリ現像型感光性絶縁樹脂ワニスをスリットコーターにて塗布し、70℃20分乾燥して、約50μm厚の半硬化状態の感光性絶縁樹脂層を形成し、片側銅箔付き感光性絶縁樹脂を製造した(図3(a))。
次に感光性絶縁樹脂層10にフォトマスクを密着させ、超高圧水銀灯により500mJ/cmで露光、紫外線硬化させた。その後約5%有機アミン系アルカリ水溶液にて現像、水洗し、90℃オーブンで十分乾燥させることで、パターニングされた絶縁樹脂層11を得た(図3(b))。
次に、絶縁樹脂層11をキャリアフィルム30(PET:東洋インキ製)にラミネートした(図3(c))。
次に、銅箔20上にエッチングレジストパターン25を形成し、銅箔をエッチングすることで、パターニングされた銅箔21を得た(図3(d))。
次に、銅箔21上にコントロールチップ40(VCSELドライバーチップ:HELIX AG製)を実装し、ワイヤボンディングにより電気接続を行った(図4(e))。
次に、パターニングにより絶縁樹脂が除去されたキャリアフィルム上に光導波路フィルム51(マルチモードエポキシ系光導波路フィルム:NTT−AT製)を設置した(図4(f))。設置位置合わせは、絶縁樹脂層11の外形を利用した突き当て位置合わせを行った。
次に、パターニングにより絶縁樹脂が除去されたキャリアフィルム上に光ファイバ56(マルチモード石英系裸芯光ファイバ:フジクラ製)を設置した(図4(f))。
次に、銅箔21上および光導波路フィルム51上に発光素子61(4ch VCSEL:ULM製)を実装した(図4(g))。この際、光導波路フィルム51の光入力位置と発光素子61の光出力位置が合うようにアライメントを行った。また、光素子61と銅箔21の接続にはマイクロ半田バンプ90を使用した。
次に、キャリアフィルム30を剥離し、光基板100を製造した(図4(i))。
光学特性評価の結果、各チャンネルで0.9〜1.1mWの安定した光出力を確認することができた。
<実施例2>
まず実施例1と同様に、アルカリ現像型感光性絶縁樹脂ワニスを調製した。
次に実施例1と同様に、片側銅箔付き感光性絶縁樹脂を製造した(図3(a))。
次に、感光性絶縁樹脂層10にフォトマスクを密着させ、超高圧水銀灯により500mJ/cmで露光、紫外線硬化させた。その後約5%有機アミン系アルカリ水溶液にて現像、水洗し、90℃オーブンで十分乾燥させることで、パターニングされた絶縁樹脂層11を得た(図3(b))。
次に、絶縁樹脂層11をキャリアフィルム30(PET:東洋インキ製)にラミネートした(図3(c))。
次に、銅箔20上にエッチングレジストパターン25を形成し、銅箔をエッチングすることで、パターニングされた銅箔21を得た(図3(d))。
次に、銅箔21上にコントロールチップ40(VCSELドライバーチップ:HELIX AG製)を実装し、ワイヤボンディングにより電気接続を行った(図4(e))。
次に、パターニングにより絶縁樹脂が除去されたキャリアフィルム上に光導波路ダミーフィルム53(ポリイミドフィルム:デュポン製)を設置した(図5(f))。設置位置合わせは、絶縁樹脂層11の外形を利用した突き当て位置合わせを行った。
次に、パターニングにより絶縁樹脂が除去されたキャリアフィルム上に光ファイバダミーフィルム58(ポリイミドフィルム:デュポン製)を設置した(図5(f))。設置位置合わせは、絶縁樹脂層11の外形を利用した突き当て位置合わせを行った。
次に、銅箔21上および光導波路ダミーフィルム53上に発光素子61(4ch VCSEL:ULM製)を実装した(図4(g))。この際、光導波路ダミーフィルム53の光入力位置と発光素子61の光出力位置が合うようにアライメントを行った。また、光素子61と銅箔21の接続にはマイクロ半田バンプ90を使用した。
次に、光導波路ダミーフィルム53と発光素子61の界面および光導波路ダミーフィルム53と光ファイバダミーフィルム58の界面に、屈折率整合材料81(エポキシ系接着剤:NTT−AT製)を注入し、屈折率整合材料81周辺を500mJ/cmの紫外線露光により硬化した(図5(h))。
次に、全体をモールド樹脂70によりモールドした(図5(i))。
次に、キャリアフィルム30および光導波路ダミーフィルム53および光ファイバダミーフィルム58を剥離した(図4(j))。
次に、光導波路ダミーフィルムを剥離した場所に、光導波路フィルム52(マルチモードエポキシ系光導波路フィルム:NTT−AT製)を設置した(図4(k))。設置位置合わせは、絶縁樹脂層11の外形を利用した突き当て位置合わせを行った。
次に、光ファイバダミーフィルムを剥離した場所に、光ファイバ57(マルチモード石英系裸芯光ファイバ:フジクラ製)を設置した(図4(k))。設置位置合わせは、絶縁樹脂層11の外形を利用した突き当て位置合わせを行った。
光学特性評価の結果、各チャンネルで0.9〜1.1mWの安定した光出力を確認することができた。
本発明の光基板の説明図である(a;断面図,b;平面図)。 絶縁樹脂層パターンの説明図である。 本発明の光基板の製造方法の説明図である。 本発明の光基板の製造方法の説明図である。 本発明の光基板の製造方法の説明図である。
符号の説明
10 絶縁樹脂層
11 パターニングされた絶縁樹脂層
20 金属層(銅箔)
21 配線パターン(パターニングされた銅箔)
30 キャリアフィルム
40 コントロールチップ
50 光導波路
51 光導波路フィルム
52 光導波路フィルム
53 光導波路ダミーフィルム
55 光ファイバ
56 光ファイバ
57 光ファイバ
58 光ファイバダミーフィルム
60 受発光素子
61 VCSEL
70 モールド樹脂
80 透明樹脂
90 半田バンプ
100 電気回路パッケージ
101 光基板

Claims (5)

  1. 金属層上の絶縁樹脂層をパターニングして、光導波路設置部分および光ファイバ設置部分にあたる絶縁樹脂を除去して除去領域を設ける絶縁樹脂層形成工程と、
    キャリアフィルム上に、絶縁樹脂層面を該キャリアフィルムに対向させて貼り合せる絶縁樹脂基板設置工程と、
    前記金属層をパターニングし、配線パターンを形成する電気配線形成工程と、
    前記キャリアフィルム上にて、光導波路設置部分にあたる前記除去領域に光導波路を配置する光導波路設置工程と、
    前記キャリアフィルム上にて、光ファイバ設置部分にあたる前記除去領域に前記光導波路と光学的に接続するように光ファイバを配置する光ファイバ配置工程と、
    受発光素子の受発光面を前記絶縁樹脂層の縁端から突出させて、前記光導波路の光入出力面と対向して該光入出力面の少なくとも一部に接触させるように、前記絶縁樹脂層に前記受発光素子を実装する受発光素子実装工程と、
    前記キャリアフィルムを除去するキャリアフィルム除去工程と、
    を備える光基板の製造方法。
  2. 受発光素子実装工程後、キャリアフィルム除去工程の前に、前記光基板の少なくとも一部をモールド樹脂で覆うモールド樹脂形成工程を備えることを特徴とする請求項記載の光基板の製造方法。
  3. 金属層上の絶縁樹脂層をパターニングして、光導波路設置部分および光ファイバ設置部分にあたる絶縁樹脂を除去して除去領域を設ける絶縁樹脂層形成工程と、
    キャリアフィルム上に、絶縁樹脂層面を該キャリアフィルムに対向させて貼り合せる絶縁樹脂基板設置工程と、
    前記金属層をパターニングし、配線パターンを形成する電気配線形成工程と、
    前記キャリアフィルム上にて、光導波路設置部分にあたる前記除去領域に光導波路と同形状のダミーフィルムを配置する工程と、
    前記キャリアフィルム上にて、光ファイバ設置部分にあたる前記除去領域に光ファイバと同形状のダミーフィルムを配置する工程と、
    受発光素子の受発光面を前記絶縁樹脂層の縁端から突出させて、前記光導波路と同形状のダミーフィルムにおける光入出力面と対向して該光入出力面の少なくとも一部に接触させるように、前記絶縁樹脂層上に前記受発光素子を実装する受発光素子実装工程と、
    前記キャリアフィルム上の少なくとも前記ダミーフィルムをモールド樹脂で覆うモールド樹脂形成工程と、
    前記キャリアフィルム及び前記ダミーフィルムを除去するフィルム除去工程と、
    前記ダミーフィルムが配置されていた部位に光導波路及び光ファイバを配置する光配線配置工程と、
    備える光基板の製造方法。
  4. 前記絶縁樹脂層形成工程において、絶縁樹脂層は感光性樹脂からなり、該感光性樹脂をフォトリソグラフィーによりパターニングすることを特徴とする請求項乃至に記載の光基板の製造方法。
  5. 請求項乃至のいずれかに記載の光基板の製造方法において、
    前記受発光素子の前記受発光面と、前記光導波路の前記光入出力面との間隙に透明樹脂を充填させる透明樹脂充填工程を備えることを特徴とする光基板の製造方法。
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