JP3729240B2 - 光モジュールの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ並びに光モジュール及びその製造方法並びに光伝達装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
近年、情報通信が高速化・大容量化の傾向にあり、光通信の開発が進んでいる。一般に、光通信では、電気信号を光信号に変換し、光信号を光ファイバで送信し、受信した光信号を電気信号に変換する。電気信号と光信号との変換は光素子によって行われる。
【0003】
例えば、特開平10−339824号公報には、V溝が形成されたプラットフォームに光ファイバを位置決めして固定して、光モジュールを構成することが記載されている。
【0004】
しかしながら、V溝を利用して光ファイバの位置合わせをするのは手間がかかるため、光モジュールの製造に時間がかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、この問題点を解決するものであり、その目的は、光モジュールを簡単に製造することができる光ファイバ並びに光モジュール及びその製造方法並びに光伝達装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明に係る光ファイバは、少なくとも一方の端部に支持部材が設けられた光ファイバであって、
前記支持部材は、前記光ファイバの端面を露出させて設けられ、
前記光ファイバの前記端面とほぼ平行な面が前記支持部材に形成されてなる。
【0007】
本発明によれば、光素子を搭載するための支持部材が、光ファイバの端部に設けられている。支持部材は、溶融樹脂を硬化させて形成すれば、光ファイバに密着するので位置精度が高くなる。
【0008】
(2)この光ファイバにおいて、
前記支持部材の、前記光ファイバの前記端面とほぼ平行になった面に、導電層が形成されていてもよい。
【0009】
導電層は、光素子と他の部品とを電気的に接続するために使用することができる。
【0010】
(3)この光ファイバにおいて、
前記支持部材の前記表面と、前記光ファイバの前記端面とは面一であってもよい。
【0011】
(4)この光ファイバにおいて、
前記導電層の表面と、前記光ファイバの前記端面とは面一であってもよい。
【0012】
(5)本発明に係る光モジュールは、光ファイバと、
前記光ファイバの少なくとも一方の端部に設けられた支持部材と、
少なくとも前記支持部材の一部に形成された導電層と、
前記光ファイバの前記端面に光学的部分を向けて前記支持部材に搭載され、前記導電層に電気的に接続された光素子と、
を含む。
【0013】
本発明によれば、光素子が搭載される支持部材が、光ファイバの端部に設けられている。支持部材は、溶融樹脂を硬化させて形成すれば、光ファイバに密着するので位置精度も高い。また、光素子が電気的に接続される導電層を介して、他の部品と光素子とを電気的に接続することもできる。
【0014】
(6)この光モジュールにおいて、
前記支持部材が取り付けられる基板と、
前記光素子を駆動するための半導体チップと、
を有し、
前記支持部材の前記導電層と前記半導体チップとが電気的に接続されていてもよい。
【0015】
(7)この光モジュールにおいて、
前記光素子と、前記支持部材と、前記半導体チップと、の少なくとも電気的な接続部を封止する封止部をさらに有してもよい。
【0016】
(8)この光モジュールにおいて、
前記封止部は、前記光素子と前記支持部材との電気的な接続部を封止する第1の樹脂部と、前記第1の樹脂部と前記半導体チップとを封止する第2の樹脂部と、を含んでもよい。
【0017】
(9)この光モジュールにおいて、
前記第1の樹脂部は、前記第2の樹脂部よりも柔軟性が高くてもよい。
【0018】
これによれば、光素子とプラットフォームとの電気的な接続部に対して大きな応力が加えられないので接続部が保護される。
【0019】
(10)本発明に係る光伝達装置は、光ファイバと、
前記光ファイバの両端部に端面を露出させて設けられ、導電層が形成された一対の支持部材と、
発光部を前記光ファイバの端面に向けて一方の支持部材に搭載され、前記導電層に電気的に接続された発光素子と、
受光部を前記光ファイバの端面に向けて他方の支持部材に搭載され、前記導電層に電気的に接続された受光素子と、
を含む。
【0020】
(11)この光伝達装置において、
前記発光素子に接続されるプラグと、
前記受光素子に接続されるプラグと、
をさらに含んでもよい。
【0021】
これによれば、プラグを電子機器に接続して、複数の電子機器を接続することができる。
【0022】
(12)本発明に係る光モジュールの製造方法は、光ファイバに溶融樹脂を設ける第1工程と、
前記溶融樹脂を硬化させて、前記光ファイバの少なくとも一方の端部に、支持部材を形成する第2工程と、
前記支持部材の前記表面に光素子を搭載する第3工程と、
を含む。
【0023】
本発明によれば、光素子を搭載するための支持部材を、光ファイバの端部に設ける。支持部材は、溶融樹脂を硬化させることで簡単に設けることができる。こうして形成された支持部材は、光ファイバに密着するので位置精度も高い。そして、支持部材に光素子を搭載して、光モジュールを得ることができる。
【0024】
(13)この光モジュールの製造方法において、
前記第1工程で、前記溶融樹脂を、前記光ファイバの端部の周面及び前記端面を覆って設け、
前記第2工程で、前記溶融樹脂のうち前記光ファイバの前記端面を覆う部分を除去して前記端面を露出させるとともに、前記支持部材の前記表面を前記端面と面一に形成してもよい。
【0025】
これによれば、第2工程で硬化した溶融樹脂の一部を除去するので、第1工程で溶融樹脂を設けるときに、高い位置精度が要求されない。
【0026】
(14)この光モジュールの製造方法において、
前記第1工程で、複数の光ファイバを屈曲させて配置し、前記溶融樹脂によって、前記複数の光ファイバの両端部を一体的に連結し、
前記第2工程で、前記溶融樹脂を、硬化後に切断して、それぞれの光ファイバの両端部に前記支持部材を形成してもよい。
【0027】
これによれば、複数の光ファイバの両端部に簡単に支持部材を形成することができる。
【0028】
(15)この光モジュールの製造方法において、
前記第2工程で、前記溶融樹脂とともに前記光ファイバを同時に切断して、前記光ファイバの端面を露出させてもよい。
【0029】
これによれば、硬化した溶融樹脂とともに光ファイバを切断することで、支持部材の表面を光ファイバの端面に平行にすることができる。
【0030】
(16)この光モジュールの製造方法において、
前記第1工程で、前記溶融樹脂を、前記複数の光ファイバの両端部と少なくとも一つの中間部とに設け、
前記第2工程は、それぞれの光ファイバの前記中間部で前記溶融樹脂とともに前記光ファイバを切断する工程を含んでもよい。
【0031】
これによれば、光ファイバをその中間部で切断するので、整数倍の本数の光ファイバが得られ、切断された溶融樹脂がそれぞれの光ファイバの端部に設けられた支持部材となる。
【0032】
(17)この光モジュールの製造方法において、
前記第2工程後に、前記支持部材の前記表面を含む面に、導電層を形成する工程を含んでもよい。
【0033】
導電層を介して、光素子と他の部品とを電気的に接続することができる。
【0034】
(18)この光モジュールの製造方法において、
前記第2工程で、前記支持部材の前記表面を、前記光ファイバの端面よりもくぼんだ位置に形成し、
前記第3工程前に、前記光ファイバの前記端面及び前記支持部材の前記表面に導電材料を設け、その後、前記導電材料の一部を除去して前記光ファイバの端面を露出させ、かつ、前記導電材料の残りの部分を前記支持部材の前記表面に残して導電層を形成する工程を含んでもよい。
【0035】
これによれば、導電材料を設けてからその一部を除去するので、導電材料を設けるときに高い位置精度が要求されない。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
【0037】
(第1の実施の形態)
図1(A)〜図2(B)は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る光モジュールの製造方法を示す図である。
【0038】
(第1工程)
まず、図1(A)に示すように、光ファイバ10と樹脂20とを用意する。光ファイバ10は、コアとこれを同心円状に囲むクラッドとを含むもので、コアとクラッドとの境界で光が反射されて、コア内に光が閉じこめられて伝搬するものである。樹脂20は、溶融された状態あるいは軟化した状態で用意する。樹脂20は、常温又は所定の温度以下で固体になるとともに所定の温度を超えると溶融されるものに限らない。例えば、樹脂20は、常温で軟化した状態であり、熱を加えたり光又は放射線を照射して硬化するものであってもよい。樹脂20は、120℃程度以上の耐熱性を有することが好ましく、液晶ポリマーやエポキシ樹脂などが例に挙げられる。
【0039】
図1(A)に示すように、光ファイバ10に、溶融された又は軟化した樹脂20を設ける。詳しくは、光ファイバ10の先端部に樹脂20を設ける。本実施の形態では、光ファイバ10の端面12及び周面14を覆って樹脂20を設ける。ここで、光ファイバ10の端面12は、少なくともコアの端面である。なお、樹脂20は、光ファイバ10の少なくとも一方の端部に設けられ、光ファイバ10の両方の端部に設けてもよい。
【0040】
(第2工程)
次に、溶融されたあるいは軟化した状態の樹脂20を硬化させる。樹脂20を硬化させる方法は、冷却に限らず、逆に加熱したり、光又は放射線を照射してもよい。そして、硬化した樹脂20の一部を除去して、図1(B)に示すように支持部材22を形成する。例えば、樹脂20における光ファイバ10の端面12を覆う部分を研磨して、端面12を露出させる。支持部材22は、光ファイバ10の端面12とほぼ平行な表面24を有する。本実施の形態では、支持部材22の一つの表面24と、光ファイバ10の端面12とは面一になっている。
【0041】
ここまでの工程を経た光ファイバ10には、少なくとも一方の先端部に支持部材22が設けられる。支持部材22には、後述するように、光素子30が搭載される。支持部材22は、溶融された又は軟化した樹脂20から形成されるので、光ファイバ10に密着して固定されている。しかも、支持部材22を設ける工程では、光ファイバ10を穴に挿入したり位置合わせをしなくてもよい。
【0042】
支持部材22には、導電層26を形成してもよい。導電層26は、光素子30と他の部品とを電気的に接続するときに利用することができる。導電層26は、支持部材22における光ファイバ10の端面12と平行な表面24上に形成される。また、導電層26は、支持部材22の周面に至るまで形成してもよいが、導電層26は、光ファイバ10の端面12上を避けることが好ましい。導電層26は、光ファイバ10の端面12の外周端から隙間をあけて離れた位置まで形成し、端面12の外周端に接触しないようにしてもよい。
【0043】
この工程を経た光ファイバ10には、支持部材26における光ファイバ10の端面12と平行な表面24に導電層26が形成されている。なお、支持部材26を構成する樹脂20が絶縁性を有していれば導電層26を形成してもショートすることはないが、樹脂20が導電性を有する場合には、その上に絶縁膜を形成してから導電層26を形成する。導電層26は、光素子30と電気的に接続されるので、必要に応じて、配線パターンになっていてもよい。
【0044】
(第3工程)
図2(A)に示すように、支持部材22に光素子30を搭載する。詳しくは、光素子30を、支持部材22における光ファイバ10の端面12と平行な表面24上に搭載する。なお、表面24上に導電層26が形成されるときには、導電層26を介して表面24上に光素子30を搭載する。
【0045】
光素子30は、発光素子であっても受光素子であってもよい。発光素子の一例として面発光素子、特に面発光レーザを適用することができる。面発光レーザなどの面発光素子は、基板に対して垂直方向に光を発する。光素子30は、光学的部分32を有する。光素子30が発光素子であるときは、光学的部分32は発光部であり、光素子30が受光素子であるときは、光学的部分32は受光部である。光素子30は、光学的部分32を光ファイバ10のコアに向けて、支持部材22に搭載される。
【0046】
光素子30は、少なくとも1つ(一般的には2つ)の電極を有する。例えば、光学的部分32が形成された面に、第1の電極34が設けられていてもよい。なお、第1の電極34が形成された面にダミー電極35を設けてもよい。ダミー電極35は、第1の電極34と同じ材料で形成してもよいが、光素子30の内部には電気的に接続されていないものである。例えば、光素子30における光学的部分32が形成された面に、1つの第1の電極34と、複数(少なくとも2つ)のダミー電極35とを設けることが好ましい。詳しくは、全てを直線で結んで三角形以上の多角形を描く位置に、第1の電極34及び複数のダミー電極35を設ける。こうすることで、光素子30を安定して支持することができる。
【0047】
第1の電極34が設けられた面とは別の面に、第2の電極36が設けられていてもよい。光素子30が面発光レーザなどの半導体レーザであるときは、第1の電極34が設けられた面とは反対側の面に第2の電極36が設けられてもよい。
【0048】
図2(A)では、光素子30の第1の電極34と、導電層26とが接合される。例えば、ハンダなどによる金属接合や導電性接着剤を使用して、第1の電極34と導電層26とが接合される。また、第1の電極34と同様に、ダミー電極35も導電層26に接合することが好ましい。
【0049】
以上の工程により製造された光モジュールは、光ファイバ10、支持部材22及び光素子30を含む。支持部材22は、光ファイバ10の端部に設けられたもので、溶融された又は軟化した樹脂が硬化してなる。また、支持部材22は、光ファイバ10の端面12とほぼ平行な表面24を有し、少なくとも表面24に導電層26が形成されている。光素子30は、光ファイバ1の端面12に光学的部分32を向けて支持部材22に搭載され、導電層26に電気的に接続されている。
【0050】
さらに、図2(B)に示すように、光素子30の第2の電極36と導電層26とを電気的に接続してもよい。例えば、ワイヤ38によって、第2の電極36と導電層16とを接続してもよい。この場合、導電層26が配線パターンとなっており、導電層26における第1の電極34と接続された部分と、導電層26における第2の電極36と接続された部分と、が切り離されていることが好ましい。
【0051】
ワイヤ38の代わりに、図3に示すように、銀ペーストなどの導電性ペースト39を、第2の電極36及び導電層26の間に設けてもよい。これによれば、ボンディングが不要であるため、簡単に電気的な接続を図ることができる。
【0052】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、次の述べるような実施の形態を採ることが可能である。
【0053】
(第2の実施の形態)
図4(A)〜図4(C)は、本発明を適用した第2の実施の形態に係る光モジュールの製造方法を示す図であり、図1(A)〜図1(C)に示す工程の代わりに適用できる工程を示す。
【0054】
(第1工程)
図4(A)に示すように、光ファイバ10に樹脂40を設ける。光ファイバ10は、第1の実施の形態で説明したものである。樹脂40は、第1の実施の形態で説明した樹脂20として使用できる材料から選択することができる。樹脂40も、溶融された状態あるいは軟化した状態で用意する。
【0055】
樹脂40は、光ファイバ10の端面12を覆ってもよいが、覆っていなくてもよい。樹脂40は、光ファイバ10の端部において少なくとも周面を覆うように設ける。また、樹脂40は、光ファイバ10の周囲において、その端面12よりもくぼんだ位置に表面44が形成されるように設けられる。表面44は、光ファイバ10の端面12とほぼ平行な面であり、支持部材42の面にもなる。金型を使用すれば、このように樹脂40を設けることは容易である。あるいは、光ファイバ10の端部に樹脂40を設けてからこれを加工してもよい。
【0056】
(第2工程)
次に、樹脂40を硬化させる。なお、硬化した樹脂40がそのまま支持部材42となってもよいし、硬化した樹脂40の一部を除去するなど加工して支持部材42を形成してもよい。図4(B)に示すように、硬化した樹脂40に導電材料46を設ける。導電材料46は、支持部材42の面となる表面44に設ける。このとき、光ファイバ10の端面12に導電材料46が設けられることになってもよい。光ファイバ10の端面12を避けずに導電材料46を樹脂40に設ければよいので、その工程が簡単なものになる。なお、樹脂40が光ファイバ10の端面12を覆っている場合は、端面12の上方であって樹脂40上に導電材料46を設ける。導電材料46は、樹脂40の周面に至るまで設けてもよい。
【0057】
次に、導電材料46及び樹脂40のうち少なくとも導電材料46の一部を除去して、光ファイバ10の端面12を露出させる。すなわち、光ファイバ10の端面12を覆っているものを研磨などで除去する。あるいは、光ファイバ10の先端部の一部も除去して、その端面12を後退させてもよい。例えば、図4(B)に一点鎖線で示す位置まで、導電材料46の一部、樹脂40の一部及び光ファイバ10の先端部の一部を研磨などにより除去してもよい。
【0058】
導電材料46の一部が除去されて、図4(C)に示すように、導電層48が形成される。また、硬化した樹脂40の一部が除去されて、支持部材42が形成される。
【0059】
上記工程を経た光ファイバ10には、支持部材42が設けられている。支持部材42には、光ファイバ10の端面12とほぼ平行な表面44が形成されている。この表面44には、導電層48が形成されている。導電層48の表面と、光ファイバ10の端面12とは面一になっている。
【0060】
その後、第1の実施の形態で説明した第3工程を行うことで、光モジュールを製造することができる。
【0061】
(第3の実施の形態)
図5(A)及び図5(B)は、本発明を適用した第3の実施の形態に係る光モジュールの製造方法を示す図であり、図1(A)及び図1(B)に示す工程の代わりに適用できる工程を示す。
【0062】
(第1工程)
図5(A)に示すように、複数の光ファイバ10と樹脂50とを用意する。光ファイバ10は、第1の実施の形態で説明したものである。樹脂50は、第1の実施の形態で説明した樹脂20として使用できる材料から選択することができる。樹脂50も、溶融された状態あるいは軟化した状態で用意する。
【0063】
複数の光ファイバ10の両端部に樹脂50を設ける。このとき、全ての光ファイバ10の両端部を樹脂50で連結することが好ましい。例えば、図5(A)に示すように、光ファイバ10を屈曲させておき、長尺状に樹脂50を設けて光ファイバ10の両端部を連結する。
【0064】
光ファイバ10を小さく屈曲させることが好ましくないときには、図5(A)に示すように、屈曲した一つの光ファイバ10の両端部の間に、他の一つの光ファイバ10の一方の端部を配置してもよい。一つの光ファイバ10の両端部の間に、複数の光ファイバ10の一方の端部を配置してもよい。これらの場合、いずれかの屈曲した光ファイバ10の両端部と、この両端部間に配置される他の光ファイバ10の端部とは、反対方向を向けてもよい。
【0065】
また、図5(A)には光ファイバ10の端面を避けて樹脂50が設けられる例が示されているが、光ファイバ10の端面を樹脂50が覆ってもよい。
【0066】
(第2工程)
樹脂50を硬化後に切断して、図5(B)に示すように、支持部材52を形成する。詳しくは、それぞれの光ファイバ10のそれぞれの端部に支持部材52を形成する。例えば、図5に一点鎖線で示すように、光ファイバ10の端部の側面に平行な位置で樹脂50を切断する。また、光ファイバ10の端部の側面に直角な位置で、光ファイバ10とともに樹脂50を切断してよい。これによれば、光ファイバ10の切断面が端面となり、この端面と面一な表面を有する支持部材52が得られる。
【0067】
本実施の形態によれば、複数の光ファイバ10に支持部材52を形成することができる。その後、図1(C)以降の工程を行って、光モジュールを得ることができる。
【0068】
(第4の実施の形態)
図6は、本発明を適用した第4の実施の形態に係る光モジュールの製造方法を示す図であり、図1(A)及び図1(B)に示す工程の代わりに適用できる工程を示す。
【0069】
(第1工程)
図6に示すように、複数の光ファイバ10と樹脂60とを用意する。光ファイバ10は、第1の実施の形態で説明したものである。樹脂50は、第1の実施の形態で説明した樹脂20として使用できる材料から選択することができる。樹脂50も、溶融された状態あるいは軟化した状態で用意する。
【0070】
複数の光ファイバ10の複数箇所に樹脂60を設ける。例えば、複数の光ファイバ10を並列させて配置し、中間部と少なくとも一方(好ましくは両方)の端部に樹脂60を設ける。樹脂60は、複数の光ファイバ10を、中間部と少なくとも一方(好ましくは両方)の端部で連結してもよい。
【0071】
(第2工程)
光ファイバ10の中間部に設けた樹脂60を、図6の一点鎖線で示すように、光ファイバ10とともに切断する。こうすることで、支持部材の形成工程の一部が、光ファイバ10の切断工程を兼ねることになり、工程の簡略化が図られる。また、光ファイバ10の端部の側面に平行な位置で、図6の一点鎖線で示すように、それぞれの樹脂60を切断する。
【0072】
以上の工程を経た光ファイバ10は、上述した実施の形態と同様に支持部材が設けられているので、その後、図1(C)以降の工程を行って光モジュールを得ることができる。
【0073】
(第5の実施の形態)
図7は、本発明を適用した第5の実施の形態に係る光モジュールを示す図である。図7に示す光モジュールは、光ファイバ10と、支持部材22と、光素子30と、基板70と、半導体チップ80と、を含む。この光モジュールは、例えば、図2(B)に示す光モジュールに基板70及び半導体チップ80が付加されたものであってもよい。
【0074】
基板70は、有機系又は無機系のいずれの材料から形成されたものであってもよく、これらの複合構造からなるものであってもよい。基板70には、配線パターン72が形成されている。また、基板70には、複数の外部端子74が設けられている。外部端子74は、配線パターン72に電気的に接続されている。例えば、基板70の一方の面に配線パターン72が形成され、他方の面に外部端子74が設けられ、基板70に形成されたスルーホールを介して、配線パターン72に外部端子74が電気的に接続されていてもよい。外部端子74として、ハンダボールを使用してもよい。
【0075】
基板70には、半導体チップ80が搭載されている。半導体チップ80は、光素子30を駆動するための回路を内蔵している。図7には、半導体チップ80をフェースアップボンディングした例が示してある。この場合、例えば、基板70上で、配線パターン72を避けて半導体チップ80を接着剤82で接着してもよい。あるいは、配線パターン72の上に、絶縁性の接着剤で、半導体チップ80を接着してもよい。半導体チップ80をフェースダウンボンディングする場合には、配線パターン72上に、異方性導電膜などの異方性導電材料を使用したり、ハンダなどの金属接合によって、半導体チップ80を基板70に固定する。
【0076】
半導体チップ80と光素子30とは電気的に接続されている。例えば、半導体チップ80の電極84と、支持部材22の導電層26と、をワイヤ86で接続してもよい。この場合、光素子30の電極(図7では第2の電極36)と、導電層26とが電気的に接続されていれば、導電層26を介して、半導体チップ80と光素子30とが電気的に接続される。なお、支持部材22における光素子30が搭載された面と、これ以外の面(例えば側面)に、導電層26が連続して形成されているときには、光素子30が搭載された面以外の面で、導電層26と半導体チップ80とを電気的に接続することが好ましい。これによれば、光素子30を避けているので、導電層26と半導体チップ80との電気的接続手段(例えばワイヤ86)が光素子30と接触することを防止できる。また、光素子30の搭載領域を避けているので、導電層26の広い面積を、半導体チップ80との電気的接続に利用することができる。
【0077】
半導体チップ80は、配線パターン72と電気的に接続されていてもよい。例えば、半導体チップ80の図示しない電極と配線パターン72とを、図示しないワイヤで接続してもよい。
【0078】
光素子30も、配線パターン72と電気的に接続されていてもよい。例えば、支持部材22に形成された導電層26と配線パターン72とが接合されていてもよい。具体的には、導電性の接着剤を使用したり、金属接合によって、導電層26と配線パターン72とを接合することができる。詳しくは、光素子30の電極(図7では第1の電極34)と、導電層26とが接合されている。支持部材22には、光素子30が搭載される面と、これ以外の面(例えば側面)に連続的に導電層26が形成されている。導電層26のうち、光素子30搭載される面以外の面に形成された部分と、配線パターン72を接合することができる。
【0079】
以上の構成によって、光素子30、配線パターン72及び半導体チップ80が、電気的に接続される。配線パターン72には外部端子74が電気的に接続されているので、外部端子74と、光素子30及び半導体チップ80と、が電気的に接続される。
【0080】
本実施の形態では、封止部88が設けられている。封止部88は、支持部材22と光素子30と半導体チップ80との少なくとも電気的な接続部を封止している。封止部88は、第1の樹脂部87と、第2の樹脂部89と、で構成される。
【0081】
第1の樹脂部87は、支持部材22と光素子30との電気的な接続部を封止する。例えば、光素子20の電極(図7では第2の電極36)とワイヤ38との電気的な接続部や、ワイヤ38と支持部材22に形成された導電層26との電気的な接続部や、光素子30の電極(図7では第1の電極34)と支持部材22に形成された導電層26との電気的な接続部が、第1の樹脂部87で封止されている。また、第1の樹脂部87は、支持部材22と他の部品との電気的な接続部や、光素子30と他の部品との電気的な接続部を封止してもよい。例えば、第1の樹脂部87は、基板70に形成された配線パターン72と、支持部材22に形成された導電層26との電気的な接続部を封止してもよい。また、第1の樹脂部87は、半導体チップ80に接続されるワイヤ86と、支持部材22に形成された導電層26との電気的な接続部を封止してもよい。さらに、第1の樹脂部87は、支持部材22及び光素子30の少なくとも一方、好ましくは両方を封止してもよい。
【0082】
第2の樹脂部89は、第1の樹脂部87と半導体チップ80とを封止する。特に、第2の樹脂部89は、半導体チップ80と他の部品との電気的な接続部を封止する。例えば、第2の樹脂部89は、半導体チップ80の電極84とワイヤ86との電気的な接続部を封止する。さらに、第2の樹脂部89は、光ファイバ10の一部を封止して、支持部材22からの抜け止めを図ることが好ましい。
【0083】
第1の樹脂部87は、第2の樹脂部89よりも柔軟性が高いことが好ましい。例えば、第1の樹脂部87が第2の樹脂部89よりも、収縮又は膨張したときに生じる応力が低いことが好ましい。あるいは、第1の樹脂部87が第2の樹脂部89よりも、外部から加えられた応力を吸収しやすいことが好ましい。柔軟性が高い第1の樹脂部87によって、支持部材22と光素子30との電気的な接続部分を保護することができる。一方、第2の樹脂部89は、第1の樹脂部87ほど柔軟性の高さが要求されないので、材料選択の幅が拡がる。
【0084】
図7に示す光モジュールの製造方法は、光ファイバ10に設けられた支持部材22を基板70に実装する工程を含む。基板70には、予め光素子30を駆動するための半導体チップ80を実装しておいてもよい。あるいは、支持部材22を基板70に実装してから、半導体チップ80を基板70に実装してもよい。
【0085】
支持部材22を基板70に実装したら、封止部88を設けてもよい。例えば、まず、第1の樹脂によって、光素子30と支持部材22との電気的な接続部を封止して第1の樹脂部87を形成する。その後、第2の樹脂によって、第1の樹脂部87と半導体チップ80とを封止して第2の樹脂部89を形成する。ここで、第1の樹脂部87が第2の樹脂部89よりも柔軟性が高くなるように、第1及び第2の樹脂を選択する。
【0086】
図8は、本発明を適用した実施の形態に係る光伝達装置を示す図である。光伝送装置90は、コンピュータ、ディスプレイ、記憶装置、プリンタ等の電子機器92を相互に接続するものである。電子機器92は、情報通信機器であってもよい。光伝送装置90は、ケーブル94の両端にプラグ96が設けられたものであってもよい。ケーブル94は、1つ又は複数(少なくとも一つ)の光ファイバ10(図7参照)を含む。光ファイバ10の両端部には、図7に示すように支持部材22が設けられている。光ファイバ10と支持部材22との取り付け状態は、上述した通りである。プラグ96は、支持部材22を内蔵し、支持部材22は基板70に取り付けられてもよく、基板70には半導体チップ80が搭載されていてもよい。
【0087】
光ファイバ10に接続される一方の支持部材22に搭載される光素子30は、発光素子である。一方の電子機器92から出力された電気信号は、発光素子である光素子30によって光信号に変換される。光信号は光ファイバを伝わり、他方の支持部材22に搭載される光素子30に入力される。この光素子30は、受光素子であり、入力された光信号が電気信号に変換される。電気信号は、他方の電子機器92に入力される。こうして、本実施の形態に係る光伝達装置90によれば、光信号によって、電子機器92の情報伝達を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)〜図1(C)は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る光モジュールの製造方法を示す図である。
【図2】図2(A)及び図2(B)は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る光モジュールの製造方法を示す図である。
【図3】図3は、本発明を適用した変形例に係る光モジュールを示す図である。
【図4】図4(A)〜図4(C)は、本発明を適用した第2の実施の形態に係る光モジュールの製造方法を示す図である。
【図5】図5(A)及び図5(B)は、本発明を適用した第3の実施の形態に係る光モジュールの製造方法を示す図である。
【図6】図6は、本発明を適用した第4の実施の形態に係る光モジュールの製造方法を示す図である。
【図7】図7は、本発明を適用した第5の実施の形態に係る光モジュールの製造方法を示す図である。
【図8】図8は、本発明を適用した実施の形態に係る光伝達装置を示す図である。
【符号の説明】
10 光ファイバ
12 端面
20 樹脂
22 支持部材
24 表面
26 導電層
30 光素子
32 光学的部分
40 樹脂
42 支持部材
46 導電材料
50 樹脂
52 支持部材
60 樹脂

Claims (6)

  1. 光ファイバに溶融樹脂を設ける第1工程と、
    前記溶融樹脂を硬化させて、前記光ファイバの少なくとも一方の端部に支持部材を形成する第2工程と、
    前記支持部材の前記表面に光素子を搭載する第3工程と、
    を含み、
    前記第2工程後に、前記支持部材の前記表面を含む面に、導電層を形成する工程を含む光モジュールの製造方法。
  2. 光ファイバに溶融樹脂を設ける第1工程と、
    前記溶融樹脂を硬化させて、前記光ファイバの少なくとも一方の端部に支持部材を形成する第2工程と、
    前記支持部材の前記表面に光素子を搭載する第3工程と、
    を含み、
    前記第1工程で、複数の光ファイバを屈曲させて配置し、前記溶融樹脂によって、前記複数の光ファイバの両端部を一体的に連結し、
    前記第2工程で、前記溶融樹脂を、硬化後に切断して、それぞれの光ファイバの両端部に前記支持部材を形成する光モジュールの製造方法。
  3. 請求項2記載の光モジュールの製造方法において、
    前記第2工程で、前記溶融樹脂とともに前記光ファイバを同時に切断して、前記光ファイバの端面を露出させる光モジュールの製造方法。
  4. 光ファイバに溶融樹脂を設ける第1工程と、
    前記溶融樹脂を硬化させて、前記光ファイバの少なくとも一方の端部に支持部材を形成する第2工程と、
    前記支持部材の前記表面に光素子を搭載する第3工程と、
    を含み、
    前記第1工程で、前記溶融樹脂を、前記複数の光ファイバの両端部と少なくとも一つの中間部とに設け、
    前記第2工程は、それぞれの光ファイバの前記中間部で前記溶融樹脂とともに前記光ファイバを切断する工程を含む光モジュールの製造方法。
  5. 請求項2から請求項4のいずれかに記載の光モジュールの製造方法において、
    前記第2工程後に、前記支持部材の前記表面を含む面に、導電層を形成する工程を含む光モジュールの製造方法。
  6. 光ファイバに溶融樹脂を設ける第1工程と、
    前記溶融樹脂を硬化させて、前記光ファイバの少なくとも一方の端部に支持部材を形成する第2工程と、
    前記支持部材の前記表面に光素子を搭載する第3工程と、
    を含み、
    前記第2工程で、前記支持部材の前記表面を、前記光ファイバの端面よりもくぼんだ位置に形成し、
    前記第3工程前に、前記光ファイバの前記端面及び前記支持部材の前記表面に導電材料を設け、その後、前記導電材料の一部を除去して前記光ファイバの端面を露出させ、かつ、前記導電材料の残りの部分を前記支持部材の前記表面に残して導電層を形成する工程を含む光モジュールの製造方法。
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