JP4956666B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特定の金属塩を含む受理溶液を付着させた記録媒体に、特定の顔料を含むインクジェットインクを用いて印刷を行うインクジェット記録方法に関する。
記録媒体に広く用いられている紙は、セルロースの水酸基が多数存在する親水性物質で、水になじみ易い性質があり、水を吸収して膨潤する。このため、記録媒体用紙に耐水性を付与する目的で、紙の製造段階でにじみ止めの疎水性物質(主として中性サイズ剤)が加えられる。また、記録媒体用紙には白色度と透明度を持たせるために白色無機顔料(クレーや炭酸カルシウム等)が加えられるが、その粒子径は繊維自体の凹凸より小さいので表面に繊維から形成される粗さが残っており、そのままで印刷すると印刷の精細度は制限される。このために、粒子径が0.1〜0.3μm程度のカオリンと炭酸カルシウムを主体とする顔料塗工が行われ、表面は平滑化されるが、この顔料を固定するために使用される合成ラテックス等のバインダーは、顔料粒子間の空隙を埋めて表面を疎水性にする。
コート紙、アート紙などの塗工紙、上質紙・中質紙などの非塗工紙に通常、重質炭酸カルシウム(天然の石灰石を粉砕分級したもの)が使われている。
記録媒体の印刷分野ではインクジェットによる印刷方式が発達し、広く実用化されている。
インクジェットプリンターを用いて印刷する際、プリントヘッドから吐出したインク滴は記録媒体に着弾した後、浸透、定着してドットを形成し、このドットが多数集まることによって画像が形成される。このドットの形成過程は鮮明な画像を形成する上で重要である。
記録媒体には、その表面の材質として非塗工紙、塗工紙、布帛などの吸収体、及びポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂等の非吸収体が使用されている。記録媒体に非塗工紙を使用する場合、インクジェットインクが水性インクであると紙繊維に水性インクが浸透しやすいために色材が紙表面に留まらず、にじみ(フェザリング)が起こりやすく、十分な濃度が得られず、にじみが大きくなると裏抜けするという問題がある。一方、塗工紙を使用すると、紙表面にコート層が存在するためにインクが浸透し難く、色材が定着し難いため、カラーブリードが起こりやすく、鮮明な画像が得られないという問題がある。
また、記録媒体に非吸収体を使用すると、インクが浸透し難く色材が定着し難いため、異なる色の境界領域での不均一な色混じりであるカラーブリードが起こりやすく、鮮明な画像が得られないという問題がある。
特許文献1には、記録媒体上において、印字のフェザリング、印字ムラを抑え、更に、カラーインクジェット記録方法において、カラーブリードを防止することを目的として、記録媒体に、多価金属塩を含む反応液と、顔料と樹脂エマルジョンとを含んでなるインク組成物とを用いて印刷を行うインクジェット記録方法が開示されている。
特許文献2には、記録媒体への定着性を向上し、耐擦過性と耐水性に優れた画像を得ることを目的として、記録媒体に、多価金属塩またはポリアリルアミンを含む反応液と、インク組成物とを用いて印刷を行うインクジェット記録方法が開示されている。該方法において、該インク組成物として、着色剤、エポキシ基を有するコア層およびカルボキシル基を有するシェル層からなるコア・シェル型の造膜性を有する自己架橋性ポリマー微粒子、無機酸化物コロイド、水溶性有機溶剤、水を含有させることが開示されている。
特許文献3には、画像記録後のブロンズが抑制されかつ耐擦過性に優れた高画質印刷が可能なインクジェット記録方法を提供することを目的として、支持体上のインク受容層表面層に多価金属化合物を含有するインクジェット記録媒体に、色材およびアルギン酸類を含有する水性インクを用いて記録することを特徴とするインクジェット記録方法が開示されている。
特許文献4には、インクジェット記録方法で普通紙に印刷を行う際のブリーディングを改善し、裏抜けを起こさず、定着性と発色性を両立させた良好な画像を形成することを可能とするインクジェット記録用反応液を提供すること目的として、〈1〉カルシウム塩またはマグネシウム塩、〈2〉硫酸または有機酸のアミン塩および〈3〉液媒体を少なくとも含み、反応液中のカルシウム塩またはマグネシウム塩のカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンとしての濃度が、0.2〜0.8モル/リットルであり、硫酸または有機酸のアミン塩のアンモニウムイオンとしての濃度が、0.3〜4.5モル/リットルであるインクジェット記録用反応液が開示されている。
一方、顔料の紙への定着性を向上させるために、顔料の表面に所定のカルシウム指数値を有する官能基が結合された変性顔料が提案されている(例えば特許文献5および特許文献6参照)。ここで、カルシウム指数値とは、溶解状態のカルシウムイオンと配位結合する、すなわち補足するべき官能基の能力の尺度を指す。カルシウム指数値が高ければ高いほど、その官能基は一層強くまたは効果的にカルシウムイオンと配位結合する。
上記特許文献5、6によれば、変性顔料を含有するインクジェットインクが印刷用紙に印刷されると、該変性顔料と、該コート紙等に使用され、紙中または紙表面に存在する炭酸カルシウムまたは他の二価金属塩とが相互作用または結合し、その結果、顔料が紙に定着しやすくなると記載されている。
特開平09−207424号公報 特開平11−034478号公報 特開2009−178912号公報 特開2010−005832号公報 特表2009−513802号公報 特表2009−515007号公報
特許文献1、2には、記録媒体に多価金属塩を含む反応液を付着させた場所に、顔料等を含んでなるインク組成物を用い印刷を行うインクジェット記録方法が開示されているが、特許文献1、2には、多価金属塩を含む反応液と併せて使用するインク組成物中の顔料としては特別な制限なしに無機顔料、有機顔料を使用することができることが記載されている。しかし、その顔料の選択と定着性の関係については開示されておらず、また顔料には種々のタイプの顔料等が存在するので、顔料によってはインク定着性の向上が発揮されない可能性がある。
特許文献3には、支持体上のインク受容層表面層に多価金属化合物を含有するインクジェット記録媒体に、色材およびアルギン酸類を含有する水性インクを用いて記録するインクジェット記録方法が開示されている。また、特許文献3には、色材としては種々の染料や顔料を用いることができることが記載されているが、これらの場合にも色材には種々のタイプの色材があり、その色材の選択と定着性の関係については開示されていない。また、一般的に、水性インクジェットインクは、非吸収体上に印刷してもインクが吸収されず、乾燥する前ににじんでしまうため、鮮明な画像を得ることが困難である。このため、特許文献3では、記録媒体上にシリカ微粒子および水溶性樹脂からなるインク吸収層を形成している。
特許文献4には、インクジェット記録用反応液として、(a)カルシウム塩またはマグネシウム塩、(b)硫酸または有機酸のアミン塩および(c)液媒体を含む反応液が開示されている。しかし、着色顔料インクとして、カーボンブラック、カラー顔料としては、イエローの顔料、マゼンタの顔料、シアンの顔料などが挙げられ、これらに限られるものではないことが記載されているが、顔料の種類によっては反応液が顔料定着性を向上しないものが存在することが想定される。
特許文献5、6に開示されたインクジェットインクは、紙剤に含まれる炭酸カルシウムを利用して定着性の向上を図るものであるがコート紙、アート紙などの塗工紙、上質紙・中質紙などの非塗工紙等に該インクジェットインクを用いて印刷する際に、更なる画像のフェザリングとカラーブリードの抑制を達成してより鮮明な画像を印刷することができることが好ましい。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、記録媒体に吸収体と非吸収体のいずれを用いても、フェザリングとカラーブリードを抑制して、鮮明な画像を得ることが可能であるインクジェットインク記録方法を提供することを目的とする。
本発明は上記従来技術の問題点を鑑み、記録媒体にカルシウム塩、マグネシウム塩等の特定の金属塩を含む受理溶液を付着させ、該付着部に、リン含有基を有する顔料、樹脂エマルションおよび界面活性剤を含有する水系溶媒からなるインクジェットインクを用いて印刷することにより、フェザリング、カラーブリードを顕著に抑制して鮮明な画像が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下の〈1〉〜〈16〉に記載する発明を要旨とする。
〈1〉2価以上のカルシウム塩、マグネシウム塩、ニッケル塩および亜鉛塩から選択される1種または2種以上の、水への溶解度が0.1モル/リットル以上である金属塩を水性溶媒に溶解した受理溶液を、
記録媒体の少なくともインクジェットインクを用いて印刷する面または全面に付着させ、
該金属塩付着部上に、少なくとも顔料、樹脂エマルションおよび界面活性剤を含有する水系溶媒からなるインクジェットインクで、該顔料表面に少なくとも1つのP−OまたはP=O結合を有するリン含有基が結合しているインクジェットインクを用いて
印刷することを特徴とするインクジェット記録方法。
〈2〉前記金属塩がカルシウム、マグネシウム、ニッケル、もしくは亜鉛の塩化物、酢酸塩または硝酸塩であることを特徴とする前記〈1〉に記載のインクジェット記録方法。
〈3〉前記金属塩が塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムであることを特徴とする前記〈1〉または〈2〉に記載のインクジェット記録方法。
〈4〉前記金属塩がカルシウム、マグネシウム、ニッケル、または亜鉛の有機酸塩であることを特徴とする前記〈1〉に記載のインクジェット記録方法。
〈5〉前記受理溶液の金属塩濃度が0.05〜2.0モル/リットルであることを特徴とする前記〈1〉から〈4〉のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
〈6〉前記受理溶液の記録媒体への付着量が金属塩として0.01〜2000μモル/cmであることを特徴とする前記〈1〉から〈5〉のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
〈7〉前記受理溶液の記録媒体への付着方法がスプレー法、コーター法、インクジェット法、グラビア法、およびフレキソ法から選択された1種または2種以上であることを特徴とする前記〈1〉から〈6〉のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
〈8〉前記記録媒体が塗工紙または非塗工紙であることを特徴とする前記〈1〉から〈7〉のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
〈9〉前記記録媒体が布帛であることを特徴とする前記〈1〉から〈7〉のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
〈10〉前記記録媒体が非吸収性基材から成ることを特徴とする前記〈1〉から〈7〉のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
〈11〉前記リン含有基がホスホン酸基、ホスフィン酸基、亜ホスフィン酸基、ホスファイト基、ホスフェート基、ジホスフェート基、トリホスフェート基およびピロホスフェート基並びにこれらの部分エステルおよび塩から選択された1種または2種以上であることを特徴とする前記〈1〉から〈10〉のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
〈12〉前記リン含有基が1,2,3−ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有していることを特徴とする前記〈1〉から〈11〉のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
〈13〉前記樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が300μS/cm以下であることを特徴とする前記〈1〉から〈12〉のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
〈14〉前記樹脂エマルションの平均粒子径が500nm以下であることを特徴とする前記〈1〉から〈13〉のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
〈15〉前記インクジェットインク中に樹脂エマルションが固形分として0.05〜20質量%含有されていることを特徴とする前記〈1〉から〈14〉のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
〈16〉前記インクジェットインクに、顔料が0.05〜20質量%、樹脂エマルションが固形分として0.05〜20質量%かつ顔料と樹脂エマルションの固形分が併せて0.1〜30質量%含有されていることを特徴とする前記〈1〉から〈15〉のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
(a)上記〈1〉に記載のインクジェット記録方法において、記録媒体にインクジェットインクで印刷する部分または記録媒体全面に予め本発明の受理溶液に含まれる金属塩を付着させておくことにより、該インク中の顔料表面に結合しているリン含有基が、受理溶液に含まれていた金属塩に作用して記録媒体への定着性が著しく向上し、フェザリングとカラーブリードを顕著に抑制して鮮明な画像を得ることができる。
〈b〉上記〈2〉に記載のインクジェット記録方法において、前記金属塩がカルシウム、マグネシウム、ニッケル、もしくは亜鉛の塩化物、酢酸塩、または硝酸塩であると定着性がより向上して鮮明な画像を得ることができる。
(c)上記〈3〉に記載のインクジェット記録方法において、前記金属塩が塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムであると定着性が一層向上して鮮明な画像を得ることができる。
〈d〉上記〈4〉に記載のインクジェット記録方法において、前記金属塩が有機酸塩であると定着性が一層向上して、鮮明な画像を得ることができる。
(e)上記〈5〉に記載のインクジェット記録方法において、受理溶液中の金属塩濃度が0.05〜2.0モル/リットルの濃度であると、記録媒体への金属塩を容易に付着できるので、顔料の記録媒体への定着性がより向上する。
(f)上記〈6〉に記載のインクジェット記録方法において、前記受理溶液の記録媒体への付着量が金属塩として0.01〜2000μモル/cmであると金属塩が記録媒体に適度な量付着されるので、顔料の記録媒体への定着性がより向上する。
(g)上記〈7〉に記載のインクジェット記録方法において、受理溶液の記録媒体への付着方法がスプレー法、コーター法、インクジェット法、グラビア法、およびフレキソ法から選択された1種または2種以上を採用することにより、記録媒体上の顔料を印刷する部分に予め受理溶液を付着させることが容易になる。
(h)上記〈8〉に記載のインクジェット記録方法において、記録媒体として上質紙、再生紙等の非塗工紙を使用した場合、フェザリングを顕著に抑制することができ、コート紙、アート紙等の塗工紙を使用した場合、カラーブリードを顕著に抑制することができる。
(i)上記〈9〉に記載のインクジェット記録方法において、記録媒体として布帛を使用した場合、フェザリングとカラーブリードを顕著に抑制することができる。
(j)上記〈10〉に記載のインクジェット記録方法において、記録媒体として非吸収性基材を使用した場合、フェザリングとカラーブリードを顕著に抑制することができる。
(k)上記〈11〉に記載のインクジェット記録方法において、前記リン含有基がホスホン酸基、ホスフィン酸基、亜ホスフィン酸基、ホスファイト基、ホスフェート基、ジホスフェート基、トリホスフェート基およびピロホスフェート基、並びにこれらの部分エステルおよび塩から選択された1種または2種以上であることにより、該リン含有基と前記金属塩との反応性が向上して記録媒体上への顔料の定着性を向上して鮮明な画像を得ることができる。
(l)上記〈12〉に記載のインクジェット記録方法において、前記顔料がその表面に1,2,3−ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基が結合されていると、顔料のフェザリングとカラーブリードが一層抑制されて記録媒体への定着性が良好となり、より鮮明な画像を得ることができる。
(m)上記〈13〉に記載のインクジェット記録方法は、樹脂エマルションに含まれるイオン性基およびその対イオン、あるいはイオン性不純物がインクジェットインク中で顔料分散体の分散性に影響を及ぼすのを低減し、優れた保存安定性を実現することが可能となり、その結果、より鮮明な画像を得ることができる。
(n)上記〈14〉に記載のインクジェット記録方法は、該インク中の樹脂の平均粒子径が500nm以下であると画像の耐擦過性が向上する。
(o)上記〈15〉に記載のインクジェット記録方法は、インクジェットインク中に改質された樹脂エマルションが固形分として0.05〜20質量%含有されていると、顔料の記録媒体への定着性が良好になる。
(p)上記〈16〉に記載のインクジェット記録方法は、インクジェットインクに、顔料が固形分として0.05〜20質量%、樹脂エマルションが固形分として0.05〜20質量%、かつ顔料と樹脂エマルションの固形分が併せて0.1〜30質量%含有されていると、高解像度で、インクフェザリングと、カラーブリードの少ない印刷物を得ることができる。
実施例1におけるフェザリング評価を説明するための写真である。 実施例2におけるフェザリング評価を説明するための写真である。 比較例1におけるフェザリング評価を説明するための写真である。 比較例2におけるフェザリング評価を説明するための写真である。 比較例3におけるフェザリング評価を説明するための写真である。 比較例4におけるフェザリング評価を説明するための写真である。 参考例1のオフセット印刷におけるフェザリング評価を説明するための写真である。 実施例11におけるカラーブリード評価を説明するための写真である。 実施例12におけるカラーブリード評価を説明するための写真である。 実施例13におけるカラーブリード評価を説明するための写真である。 実施例14におけるカラーブリード評価を説明するための写真である。 比較例6におけるカラーブリード評価を説明するための写真である。 比較例7におけるカラーブリード評価を説明するための写真である。 比較例8におけるカラーブリード評価を説明するための写真である。 実施例3におけるフェザリング評価を説明するための写真である。 実施例10におけるフェザリング評価を説明するための写真である。 比較例5におけるフェザリング評価を説明するための写真である。 実施例18におけるにじみと色むらの評価を説明するための写真である。 比較例10におけるにじみと色むらの評価を説明するための写真である。
以下、本発明のインクジェットインクおよび印刷物について詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、2価以上のカルシウム塩、マグネシウム塩、ニッケル塩および亜鉛塩から選択される1種または2種以上の、水への溶解度が0.1モル/リットル以上である金属塩を水性溶媒に溶解した受理溶液を、記録媒体の少なくともインクジェットインクを用いて印刷する面または全面に付着させ、該金属塩付着部上に、少なくとも顔料、樹脂エマルションおよび界面活性剤を含有する水系溶媒からなるインクジェットインクで、該顔料表面に少なくとも1つのP−OまたはP=O結合を有するリン含有基が結合しているインクジェットインクを用いて印刷することを特徴とする。
以下、〔1〕記録媒体、〔2〕受理溶液およびその付着方法、並びに〔3〕インクジェットインクおよびその印刷方法について説明する。
〔1〕記録媒体
本発明のインクジェット記録方法において、インクジェットインクを用いて印刷される記録媒体は特に制限されるものではなく、塗工紙、非塗工紙、布帛等の吸収体、非吸収体のいずれも使用することができる。吸収体としては、更紙、中質紙、上質紙などの非塗工紙、コート紙、アート紙などの塗工紙、綿、化繊織物、絹、麻、布帛、不織布、皮革等が例示でき、また非吸収体である非吸収性基材としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系合成紙、塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、金属、金属箔コート紙、ガラス、合成ゴム、天然ゴム等が例示できるがこれらに限定されるものはない。
フェザリング、カラーブリードの抑制効果を顕著に発揮させるためには上質紙、再生紙等の非塗工紙、コート紙、アート紙等の塗工紙を使用することが好ましい。記録媒体として上質紙、再生紙等の非塗工紙を使用するとフェザリングを顕著に抑制することができ、コート紙、アート紙等の塗工紙、及び非吸収体を使用するとカラーブリードを顕著に抑制することができる。
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体上にインクジェットインクを用いて印刷し、画像を形成することを特徴とするが、本発明によれば、予め金属塩を含む受理溶液の付着部に、前記インクジェットインクを用いて印刷するので、記録媒体の種類によらず、フェザリング、カラーブリードを抑制して、鮮明な画像を得ることができる。
〔2〕受理溶液およびその付着方法
本発明の受理溶液は、2価以上のカルシウム塩、マグネシウム塩、ニッケル塩および亜鉛塩から選択される1種または2種以上の、水への溶解度が0.1モル/リットル以上である金属塩を水性溶媒に溶解した溶液である。
(1)金属塩
使用可能な金属塩としては、2価以上の多価金属イオンとこれら多価金属イオンに結合する陰イオンから構成される。2価以上の多価金属イオンとしては、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、鉄(II)イオン、鉄(III)イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン等が挙げられる。
中でも、水への溶解度が0.1モル/リットル以上のカルシウム塩、マグネシウム塩、ニッケル塩および亜鉛塩から選択される1種または2種以上であるものが好ましい。
水への溶解度が0.1モル/リットル未満の金属塩では、金属イオンの、水性インクへの溶出が少なく顔料に結合しているリン含有基との反応性が不十分となり、顔料の定着性の向上が不十分になる場合がある。金属塩としては以下に記載する無機塩と有機酸塩のいずれも使用することができる。
〈1〉無機塩
前記無機塩のうちカルシウム塩、マグネシウム塩としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウムなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの無機塩の中でも、一般に水への溶解度の高い塩化物、酢酸塩、または硝酸塩がより好ましい。更に、これらの無機塩の中でも、水への溶解度およびリン含有基との反応性の点から塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムがより好ましく、塩化カルシウムが特に好ましい。
〈2〉有機酸塩
前記有機酸塩の具体例としては、パントテン酸、パントイン酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、酢酸および乳酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、ニッケル塩および亜鉛塩が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの有機酸塩の中でも、フェザリングとカラーブリードの抑制の点からパントテン酸、プロピオン酸、および酢酸のカルシウム塩がより好ましい。
(2)溶媒
受理溶液に使用する溶媒は水性溶媒であり、前記金属塩を溶解して、受理溶液を形成後、記録媒体上に付着させる際に、記録媒体中に浸透していくと共に金属塩をなるべく記録媒体表面上に付着させた状態を形成することが可能な溶媒が好ましい。
本発明における水溶性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類や、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−n−ブタノール等の1価のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレンまたはオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等のトリオール類;メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等の4価アルコール類;エチレングリコールモノメチル(またはエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)エーテル、プロピレングリコールモノメチル(またはエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)エーテル等のモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールのジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素複素環化合物;γブチロラクトン、スルホラン等の環状化合物;等が挙げられる。これらの水及び水溶性有機溶媒は、単独でもまたは混合物としても使用することができる。
尚、受理溶液をインクジェット方式を用いて付着させる場合にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールトリエタノールアミンなどの高沸点有機溶媒を使用することができる。記録媒体として紙基材を用いたとき、水と水溶性有機溶剤を併用することでカール、コックリングを抑えることができる。
(3)受理溶液
受理溶液中における前記金属塩の濃度は、顔料表面のリン含有基との反応性、印刷品質、塗布方式等により適当な濃度範囲となるように適宜決定することができるが、好ましくは0.05〜2.0モル/リットル、より好ましくは0.1〜0.5モル/リットル程度である。金属塩の濃度が前記0.05モル/リットル以上でフェザリングとカラーブリードの抑制効果が発現し易く、一方、金属塩濃度を上記範囲より高くしたとしても、特別な効果の向上は見られず、析出物の発生や粘度が高くなるなどの問題が新たに発生する。
受理溶液の記録媒体への付着量は本発明の効果を発現するために金属塩として0.01〜2000μモル/cm程度が好ましい。金属塩の付着量が前記0.01μモル/cm以上で本発明の顔料のフェザリングとカラーブリードの抑制効果が顕著に発現する。
また、
(4)受理溶液の記録媒体への付着方法
前記受理溶液の記録媒体への付着方法は特に限定されないが、実用上、スプレー法、コーター法、インクジェット法、グラビア法およびフレキソ法から選択された1種または2種以上であることが好ましい。受理溶液の記録媒体への付着方法として上記方法を採用することにより、記録媒体上の顔料を印刷する箇所に予め受理溶液を付着させることが可能になる。
尚、金属塩の記録媒体への付着時期はインクジェットインクを用いて印刷する前であれば特に限定されるものではなく、予め受理溶液を記録媒体に塗布して前記金属塩が付着された記録媒体を入手して、本発明のインクジェットインクを用いて印刷してもよく、また、記録媒体に受理溶液を付着後直ちにインクジェットインクを用いて印刷してもよいが、付着後直ちに印刷を行なうことでより高い効果が現れる。
〔3〕インクジェットインクおよびその印刷方法
本発明のインクジェットインクは、少なくとも顔料、樹脂エマルションおよび界面活性剤を含有する水系溶媒からなるインクジェットインクで、該顔料表面に少なくとも1つのP−OまたはP=O結合を有するリン含有基が結合しているインクジェットインクである。
尚、顔料は、通常分散媒に分散させた顔料分散体として、樹脂エマルション、界面活性剤等と共にインクジェットインク用の水系溶媒に添加される。
(1)顔料分散体
インクジェットインクを使用される色材から分類すると、染料インクと顔料インクに分けられるが、顔料インクは、染料インクと比較して耐光性、耐水性、耐ガス性などの画像保存性に優れるためにインクジェット記録への利用が進められてきており、本発明では顔料インクを使用する。
顔料はインク中で粒子として存在しかつ基本的に結晶構造を通して発色している。
顔料を添加してインクジェットインクを得る際、通常、顔料を分散媒に分散させた顔料分散体として添加される。
顔料をインクジェットインク中に分散させる方法として、樹脂分散型と自己分散型の2種類があり、樹脂分散型は、顔料を高分子分散剤(界面活性剤)で分散する方法で、高分子分散剤は、低分子量の界面活性剤と比較すると、電荷による粒子間の静電反発の他に立体的な反発効果が働くため,より安定に顔料を分散することができる。自己分散型は、顔料表面に直接、親水性基を修飾させて分散するタイプであり、親水性基としてカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基等の少なくとも一種の官能基またはその塩が結合するような表面修飾が挙げられるが、本発明においては少なくとも少なくとも1つのP−OまたはP=O結合を有するリン含有基で修飾されている必要があり、更に他の親水性基で修飾されていてもよい。
顔料の平均一次粒子径(D50)は、例えば5nm〜200nmの範囲内とすることができ、中でも30nm〜150nmの範囲内が好ましい。顔料粒子径を特定の粒子径にすることで、印刷部の顔料粒子の乱反射を防ぎ、かつ濃度均一な印刷物を得ることができる。一方、顔料の平均一次粒子径が200nmを超えると、印刷部の顔料粒子が乱反射を起こし、画像彩度の低下かつ濃度不均一となる。尚、本発明における顔料の平均一次粒子径は、23℃、55%RHの環境において、粒度分析計(日機装(株)製、型式:マイクロトラックUPA)で測定した値を示す。顔料としては、有機顔料を用いることができ、また、無機顔料としてカーボンブラックを用いることもできる。顔料の色としては、青色、黒色、茶色、シアン色、緑色、白色、バイオレット色、マゼンタ色、赤色、橙色、黄色等のいずれであってもよい。異なる色の顔料の混合物も用いることができる。
顔料の表面に少なくとも1つのP−OまたはP=O結合を有するリン含有基が結合された顔料の製造方法については、例えば、米国特許第5,554,739号明細書、第5,707,432号明細書、第5,837,045号明細書等に記載されている特許文献5に記載された方法を採用することができる。顔料の形態としては、粉末またはペーストのような固体形態または分散液形態のいずれであってもよい。例えば、顔料は、分散液の形態で生成され、噴霧乾燥によって分散液から固体の形態で単離され得る。顔料の形態は、分散液の形態であることが好ましい。この場合、それが顔料分散体となる。
顔料分散体は、未反応原料、副生成物塩および他の反応不純物を除去するために、例えば、濾過、遠心分離またはこれらの二つの方法の組み合わせなどの洗浄により精製することができる。生成物は、例えば、蒸発により単離することができ、あるいは、濾過および乾燥により回収することができる。
顔料分散体の顔料の含有量としては、十分な画像濃度を実現できれば特に限定されるものではないが、インクジェットインク全体として0.05〜20質量%の範囲内であることが好ましい。この場合、分散媒として水または水溶性有機溶剤を使用することができる。
(2)リン含有基
記録媒体に含まれる金属イオンとの反応性を利用して顔料の定着性を向上するために、顔料表面に、少なくとも1つのP−OまたはP=O結合を有するリン含有基が1つまたは2つ以上結合している必要がある。リン含有基としては、例えば、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、亜ホスフィン酸基、ホスファイト基、ホスフェート基、ジホスフェート基、トリホスフェート基およびピロホスフェート基、並びにそれらの部分エステルおよびそれらの塩などから選択される1種または2種以上が挙げられる。これらの中でも、リン含有基は、少なくとも1つのホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩であることが好ましく、特に、少なくとも2つのホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩を含むことが好ましい。なお、「その部分エステル」とは、ホスホン酸基が、式−PORHを有する部分ホスホン酸エステル基またはその塩であることを意味する。ここで、Rはアリール、アルカリール、アラルキルまたはアルキル基である。
(2−1)リン含有基の種類
少なくとも1つのP−OまたはP=O結合を有するリン含有基としては、以下の〈1〉〜〈9〉に記載するリン含有基が例示できるが、本発明のリン含有基はこれらの例示されたものに限定されない。
〈1〉リン含有基が少なくとも2つのホスホン酸基またはその塩を含む場合、これらのホスホン酸基の一方または両方は部分ホスホン酸エステル基であってもよい。また、これらのホスホン酸基の一方が式−POを有するホスホン酸エステルであり、他方が部分ホスホン酸エステル基、ホスホン酸基またはその塩のいずれかであってもよい。中でも、これらのホスホン酸基の少なくとも一つは、ホスホン酸、その部分エステルまたはその塩であることが好ましい。なお、「その塩」とは、ホスホン酸基が、カチオン対イオンを有し、部分的にまたは完全にイオン化されていることを意味する。
官能基が少なくとも2つのホスホン酸基を含む場合、これらのホスホン酸基の一方または両方は、部分イオン化形態または完全イオン化形態のいずれかであってもよい。中でも、官能基は少なくとも2つのホスホン酸基を含み、これらのホスホン酸基の一方または両方は式−PO、−PO(一塩基塩)または−PO −2+2(二塩基塩)を有することが好ましい。ここで、Mは、Na、K、Li、またはNR などのカチオンである。Rは、同じであっても異なっていてもよく、水素または有機基(置換されたまたは置換されていないアリールおよび/またはアルキル基など)を表す。
〈2〉リン含有基が少なくとも2つのホスホン酸基を含む場合、官能基としては、少なくとも1つのジェミナルビスホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩を含む基を挙げることができる。すなわち、官能基としては、同じ炭素原子に直接的に結合されている少なくとも2つのホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩を含む基が挙げられる。このような基は、1,1−ジホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩と称される場合がある。
このようなリン含有基としては、例えば、式−CQ(POを有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基が挙げられる。Qは、ジェミナル位に結合されており、H、R、OR、SRまたはNR(ここで、Rは同じであっても異なっていてもよく、H、C1〜C18(C1〜C18は炭素原子数が1〜18であることを意味する。以下同様に表示する。)の飽和もしくは不飽和の分枝状もしくは非分枝状アルキル基、C1〜C18の飽和もしくは不飽和の分枝状もしくは非分枝状アシル基、アラルキル基、アルカリール基またはアリール基である。)である。Qは、例えば、H、R、OR、SRまたはNR(ここで、Rは同じであっても異なっていてもよく、H、C1〜C6アルキル基またはアリール基である。)であり、H、OHまたはNHであることが好ましい。さらに、上記官能基としては、式−(CH)n−CQ(POを有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基が挙げられる。ここで、Qは上述したとおりである。
nは0〜9であり、0〜3であることが好ましく、0または1であることがより好ましい。
〈3〉上記官能基としては、式−X−(CH−CQ(POを有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基が挙げられる。ここで、Qおよびnは上述したとおりである。Xは、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキレン基、ビニリデン基、アルカリーレン基、アラルキレン基、環式または複素環式基である。Xは、フェニレン基、ナフタレン基またはビフェニレン基などのアリーレン基(1つまたはそれ以上のアルキル基またはアリール基などの任意の基でさらに置換されていてもよい。)であることが好ましい。Xがアルキレン基である場合、Xとしては、置換または非置換アルキレン基(分枝状であっても非分枝状であってもよく、1つまたはそれ以上の基(芳香族基など)で置換されていてもよい。)が例示される。また、Xとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基などのC1〜C12基が例示される。Xは、顔料に直接的に結合されていることが好ましい。これは、顔料とXとの間に他の原子または基がないことを意味する。
Xは、1つまたはそれ以上の有機基でさらに置換されていてもよい。このような有機基としては、例えば、R′、OR′、COR′、COOR′、OCOR′、カルボン酸塩、ハロゲン、CN、NR′、SOH、スルホネート、サルフェート、NR′(COR′)、CONR′、イミド、NO、ホスフェート、ホスホネート、N=NR′、SOR′、NR′SOR′およびSONR′が挙げられる。ここで、R′は、同じであっても異なっていてもよく、独立に水素、分枝状または非分枝状C1〜C20の置換もしくは非置換の飽和または不飽和炭化水素(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アルカリールまたは置換もしくは非置換アラルキル)である。
〈4〉上記官能基としては、式−X−Sp−(CH)n−CQ(POを有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基が挙げられる。ここで、X、Qおよびnは上述したとおりである。Spは、スペーサー基(二つの基間の連結体である。)である。Spとしては、結合または連結基が挙げられる。連結基としては、例えば、−CO−、−OC−、−CO−、−OSO−、−SO−、−SO−、−SOO−、−SOS−、−SONR″−、−O−、−S−、−NR″−、−NR″CO−、−CONR″−、NR″CO−、−OCNR″−、−NR″CONR″、−N(COR″)CO−、−CON(COR″)−、−NR″COCH(CHCOR″)−およびその環式イミド、−NR″COCHCH(COR″)−およびその環式イミド、−CH(CHCOR″)CONR″−およびそれの環式イミド、−CH(COR″)CHCONR″−およびそれの環式イミド(フタルイミドおよびマレイミドを含む。)、スルホンアミド基(−SONR″−および−NR″SO−基を含む。)、アリーレン基、アルキレン基が挙げられる。R″は、同じであっても異なっていてもよく、水素または有機基(置換されたまたは置換されていないアリール基またはアルキル基など)を表す。上記式の構造に示すように、少なくとも2つのホスホン酸基またはその塩を含む基は、スペーサー基Spを通じてXに結合される。Spは、−CO−、−OC−、−O−、−NR″−、−NR″CO−または−CONR″−、−SONR″−、−SOCHCHNR″−、−SOCHCHO−または−SOCHCHS−(ここで、R″はHまたはC1〜C6アルキル基である。)であることが好ましい。
〈5〉また、官能基が少なくとも2つのホスホン酸基を含む場合、官能基としては、少なくとも1つの式−N−[(CH(PO)]を有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基を挙げることができる。ここで、mは同じであっても異なっていてもよく、1〜9であり、1〜3であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。さらに、官能基が少なくとも2つのホスホン酸基を含む場合、官能基としては、少なくとも1つの式−(CH)n−N−[(CH(PO)]を有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基を挙げることができる。ここで、nは0〜9(例えば1〜9)であり、0〜3(例えば1〜3)であることが好ましい。mは上述したとおりである。また、官能基が少なくとも2つのホスホン酸基を含む場合、官能基としては、少なくとも1つの式−X−(CH)n−N−[(CH(PO)]を有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基を挙げることができる。ここで、X、mおよびnは上述したとおりである。Xはアリーレン基であることが好ましい。さらに、官能基が少なくとも2つのホスホン酸基を含む場合、官能基としては、少なくとも1つの式−X−Sp−(CH)n−N−[(CH)m(PO)]を有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基を挙げることができる。ここで、X、m、nおよびSpは上述したとおりである。
〈6〉官能基が少なくとも2つのホスホン酸基を含む場合、官能基としては、少なくとも1つの式−CR=C(POを有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基を挙げることができる。Rは、H、C1〜C18の飽和もしくは不飽和の分枝状もしくは非分枝状アルキル基、C1〜C18の飽和もしくは不飽和の分枝状もしくは非分枝状アシル基、アラルキル基、アルカリール基またはアリール基である。Rは、H、C1〜C6アルキル基またはアリール基であることが好ましい。
〈7〉さらに、官能基が少なくとも2つのホスホン酸基を含む場合、官能基としては、2つより多いホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩を含む基であってもよい。このような官能基としては、例えば、式−X−[CQ(PO]pを有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基が挙げられる。XおよびQは上述したとおりである。Xはアリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキレン基、アルカリーレン基またはアラルキレン基であることが好ましい。pは1〜4であり、好ましくは2である。
〈8〉また、官能基が少なくとも2つのホスホン酸基を含む場合、官能基としては、少なくとも1つのビシナルビスホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩を含む基であってもよい。この場合、これらの基が互いに隣接していることを意味する。このような官能基は、例えば、隣接炭素原子に結合された2つのホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩を含む基が挙げられる。このような基は、1,2−ジホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩と称される。2つのホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩を含む基としては、芳香族基またはアルキル基が挙げられる。ビシナルビスホスホン酸基としては、ビシナルアルキル基もしくはビシナルアリールジホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩が挙げられる。具体的に、官能基としては、式−C−(POを有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基が挙げられる。ここで、それらの酸、エステルまたは塩基は互いにオルトの位置にある。
〈9〉その他のリン含有基
リン含有基を有するモノマーとしてリンを有する反応性界面活性剤を使用することができる。
P=O結合を有するリン酸エステル型反応性界面活性剤として、(株)アデカ製のアデカリアソープPP−70、SDX−334、SDX−731等、又第一工業製薬(株)製のH−3330PL等が市販されている。
尚、アデカリアソープPP−70の分子式は[CH2=CHCH2O(CH2C(CH3)HO)m]LP(=O)-(OH)3-)3-L(L:1または2)である。
また、少なくとも1つのP−OまたはP=O結合を有するリン含有基と重合性二重結合を有するモノマーとして、CH=CH−φ−P(O)(OH)、CH=CH−φ−OP(O)(OR)、CH=CH−φ−OP(S)(OR)、CH=CH−φ−OP(O)ClR(前記式中、φはベンゼン環を示し、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基である)等が例示でき、更に、特開2000−178478号公報、特開2000−314030号公報および特開平3−095209号公報に開示されているモノマーを使用することが可能である。
(2−2)リン含有基のカルシウム指数値
前述の通り、顔料表面に少なくとも1つのP−OまたはP=O結合を有するリン含有基が1つまたは2つ以上結合されていると、顔料の記録媒体用紙への浸透を抑制してにじみを抑制する効果が発揮される。この場合、該リン含有基は、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有するものであることが好ましい。ここで、カルシウム指数値とは、溶解状態のカルシウムイオンと配位結合する、すなわち補足するべき官能基の能力の尺度を指す。カルシウム指数値が高ければ高いほど、その官能基は一層強くまたは効果的にカルシウムイオンと配位結合する。
特許文献5によれば、上記のようなリン含有基が結合した顔料成分を含有するインクジェットインクが印刷用紙に印刷されると、該リン含有基と、印刷用紙中またはその紙面に存在するカルシウム塩もしくは他の二価金属塩とが相互作用または結合し、その結果、顔料が紙に定着しやすくなると記載されている。
特許文献5に記載されている通り、カルシウム指数値の測定方法としては、例えば、可溶性カルシウムイオンおよび呈色指示薬を含有する標準溶液中の化合物により配位結合されたカルシウムの量を紫外−可視分光法を用いて測定する方法を採用することができる。また、濃い色を有する化合物については、カルシウム指数値は、NMR法を用いて測定することができる。以下、各方法について説明する。
〈1〉紫外−可視分光法
紫外−可視分光法の一例について説明する。
まず、0.087mMのコンゴーレッド指示薬、5mMの塩化セシウム、1質量%の分子量(MW)350のポリエチレングリコールメチルエーテルおよび0〜7mM(0.2、0.5、1、2、3、4、4.5、5、6、7mM)の範囲の濃度の塩化カルシウムを含有する一連の溶液をpH9にて調製する。これらの溶液の紫外−可視スペクトルをそれらの調製の1時間以内に、紫外−可視吸光光度計((株)島津製作所製、型式:UV−2501PC)を用いて記録する。これらのスペクトルを用いて520nmにおける吸光度とカルシウム濃度との関係を示す検量線を作成する。
次に、樹脂の表面に結合された特定の官能基に対応する化合物を選択する。例えば、樹脂の表面に3,4,5−トリカルボキシフェニル基またはその塩が結合されている表面処理樹脂については、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸を選択する。次いで、0.087mMのコンゴーレッド指示薬、1質量%のMW350のポリエチレングリコールメチルエーテル、5mMの塩化カルシウムおよびpH9におけるイオン濃度が5mMであるような関係化合物のセシウム塩を含有する検査溶液を、pH9にて調製する。非錯化カルシウムの濃度を、検量線との比較により決定する。続いて、カルシウム指数値をlog10((0.005−非錯化カルシウム)/((非錯化カルシウム)))として算出する。測定を二度反復にて行い、平均する。
上記の紫外−可視分光法を用いて表面処理樹脂における官能基に関する種々の化合物のカルシウム指数値を決定する。下記の表1に具体例を示す。
表1におけるデータが示しているように、2−ヒドロキシピリジンN−オキシド(1−ヒドロキシピリドン)、8−ヒドロキシキノリンおよびメチレンジホスホン酸は、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値より大きいカルシウム指数値を有する。これらの官能基または同様な官能基(他のビスホスホネート、または少なくとも2つのホスホン酸基、その部分エステルもしくはその塩を有する基など)を含む化合物もまた、同様に高いカルシウム指数値を有することが予想される。
〈2〉NMR法
濃い色を有するために上記の紫外−可視分光法を適用するのが困難である化合物については、NMR法を用いることができる。NMR法の一例について説明する。
まず、43CaClについて0.01M、NaClについて0.01M、10%のDOであり、かつpH8または9にある水溶液を、43CaCO、HCl/DO、NaOH/DO、DOおよび水から調製する。pHは、調査対象の化合物をイオン化するように、かつその化合物を溶解するように選択される。約0.65gの重さのその溶液の一部を5mmφのNMR管に添加し、0.001gまで計量する。NMRスペクトロメーター(ブルカー社(Bruker)製、型式:アヴァンスII)を用いて、400.13MHzにおけるプロトン共鳴周波数で、非結合43Caの化学シフトを測定する。調査対象の化合物(配位子)の0.2〜1.0M溶液を連続的増分にて添加する。各添加後、43Caの化学シフトを測定し、サンプルの化学シフトと非結合カルシウムの化学シフトとの間の差であるδを算出する。連続的増分は、L/Ca比率(ここで、Lは配位子からの錯化された、プロトン化されたおよび遊離のアニオンの総濃度であり、Caは存在するすべての化学種中のカルシウムの総濃度である。)が0.25、0.5、1、2、3、4、6、8になるようにする。カルシウム結合指数(NMR)をlog10(X)として算出し、下記の方程式中のパラメーターXおよびδmをデータとその方程式からの予測化学シフトの間のRMS差が最小になるように適合させることによりXを決定する。
ここで、
δは、サンプルの43Caの化学シフト対遊離水性43Ca2+の化学シフトについての差であり、
δmは、無限L/Caにおける43Caの化学シフト対遊離43Ca2+の化学シフトについての算出された差であり、
は、配位子からの錯化された、プロトン化されたおよび遊離のアニオンの総濃度であり、
Caは、存在するすべての化学種中のカルシウムの総濃度であり、
Xは、適合させるパラメーターであり、
Kaは、配位子LHについてのプロトン解離定数である。
上記のNMR法を用いて、表面処理樹脂における官能基に関する種々の化合物のカルシウム指数値を決定する。下記の表2に具体例を示す。
NMR法によるカルシウム指数値は、紫外−可視分光法によるカルシウム指数値とは異なっており、紫外−可視分光法によるカルシウム指数値と直接的に比較されることはできない。
本発明において、カルシウム指数値の対照は1,2,3−ベンゼントリカルボン酸である。樹脂の表面に結合された官能基は、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値より大きいカルシウム指数値を有する。官能基のカルシウム指数値は、紫外−可視分光法を用いて測定する場合には、2.8より大きいことが好ましく、中でも3.0より大きいことが好ましく、特に3.2より大きいことが好ましい。
(3)樹脂エマルション
本発明において樹脂エマルションとは、連続相が水であり、分散粒子が樹脂微粒子である水性分散液を意味する。上記樹脂エマルションは、一般に連続相である水が蒸発や浸透などにより減少すると、増粘・凝集する性質を持ち、顔料の印刷用紙への浸透を抑制して該用紙への定着を促進する効果を有する。
樹脂エマルションは、例えば、水と、モノマーと、乳化剤と、重合開始剤とを混合して乳化重合反応させ、反応後に中和させて製造することができる。乳化剤としては、通常の高分子型界面活性剤を用いても良く、不飽和結合を有する反応性乳化剤を用いても良い。また、樹脂エマルションは、乳化重合反応させることなく、樹脂微粒子を、界面活性剤と共に、水と混合することによっても得ることができる。例えば、(メタ)アクリル酸エステルまたはスチレンと(メタ)アクリル酸エステルからなる樹脂微粒子と、界面活性剤とを水中に添加して混合することにより得ることができる。この場合、樹脂成分と界面活性剤との混合割合(重量比)は、通常10:1〜5:1程度が好ましく、界面活性剤の使用量が該範囲より少ないとエマルションが形成しづらくなり、一方、前記範囲以外では、インクの耐水性や浸透性が低下するおそれがあり好ましくない。
樹脂エマルションを構成する樹脂成分の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリルアミド樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル酸のような酸基を含有する樹脂、あるいはこれらの混合形であることが好ましい。特に、樹脂微粒子に(メタ)アクリル樹脂を含むことが好ましい。これら樹脂は、共重合の形態が特に限定されるものではなく、例えばブロックコポリマー、ランダムコポリマーなどとすることができる。
これらの樹脂成分としては、親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体が好ましく、また、その平均粒子径はエマルションを形成できれば特に限定されないが、500nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。樹脂エマルションを構成する樹脂成分の粒子径が500nmより大きく、顔料粒子径との差が大きくなると、インクジェットインクから吐出されてドットを形成する際に樹脂エマルション粒子から形成される樹脂粒子同士が接触してその隙間に顔料粒子が存在するようになり、海島構造を形成し、顔料の定着性が阻害されるおそれがある。
〈1〉乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤
前記乳化重合の際に使用する乳化剤および重合開始剤について説明する。
乳化剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤を用いることができる。また、反応性界面活性剤を用いることもできる。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸水素、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロキシパーオキシド、パラメンタンヒドロキシパーオキシドなどを用いることができる。
重合のための連鎖移動剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、キサントゲン類であるジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソブチルキサントゲンジスルフィド、ジペンテン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン、ジヒドロフラン、キサンテン等を用いることができる。
〈2〉モノマー成分
〈2−1〉モノマー
前記乳化重合の際に使用するモノマーは、好ましくは、不飽和ビニルモノマーを用いる。不飽和ビニルモノマーの具体例としては、一般的に乳化重合で使用されるアクリル酸エステルモノマー類、メタクリル酸エステルモノマー類、芳香族ビニルモノマー類、ビニルエステルモノマー類、ビニルシアン化合物モノマー類、ハロゲン化モノマー類、オレフィンモノマー類、ジエンモノマー類が挙げられる。
その具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、等のアクリル酸エステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、等のメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル、等のハロゲン化モノマー類;スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等の芳香族ビニルモノマー類;エチレン、プロピレン、イソプロピレン、等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニルモノマー類が挙げられる。カルボキシル基を有さないモノマーには、カルボキシル基を有する不飽和ビニルモノマーの利用が必須となるが、好ましいその例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸が挙げられ、メタクリル酸の利用が好ましい。
〈2−2〉架橋性モノマー
また、樹脂エマルションを形成している樹脂微粒子を、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性モノマーによって架橋された構造とすることができる。重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性モノマーの例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート等のジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート等のジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物;ジビニルベンゼンが挙げられる。
さらに、上記モノマーに加えて、アクリルアミド類または水酸基含有モノマーを添加することによって、さらに安定性を向上させることが出来る。アクリルアミド類の具体例としてはアクリルアミドおよびN,N−ジメチルアクリルアミドが挙げられる。また、水酸基含有モノマーの具体例としては2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられ、これらを一種または二種以上の混合物として使用することができる。
〈3〉中和剤
乳化重合反応終了後に、使用する中和剤としては、塩生成基の種類に応じて酸または塩基を使用することができる。酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の有機酸が挙げられる。塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
中和度としては、特に限定されるものではない。中でも、樹脂エマルションのpHは7〜10であることが好ましいが、イオン性成分の濃度は、樹脂エマルションの導電率が高くならないように、調節する必要がある。
〈4〉樹脂エマルションの分子量
樹脂エマルションの分子量は、1000以上であることが好ましく、より好ましくは1,000〜200,000程度である。インクジェットインク中の樹脂エマルションの含有量としては、特に限定されるものではないが、樹脂エマルションの固形分の含有量が、インクジェットインク全量に対して、例えば0.05〜20質量%程度とすることができる。
〈5〉樹脂エマルションの導電率
本発明のインクジェットインク中に顔料として後述する表面処理顔料を使用する場合には、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が低いことで、樹脂エマルションと表面処理顔料との反応性を低くすることができると考えられる。なお、「樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液」とは、樹脂エマルションを固形分濃度が1質量%となるように水に溶解または分散させた液をいう。
樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率は、例えば、樹脂成分の種類、モノマー種、反応機構、乳化剤の種類、乳化剤の添加の有無、中和剤の種類などによって調整することができる。
樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が低いことは、樹脂エマルション自体が有するイオン性基およびそのイオン性基の対イオンのインク中の存在量がわずかであることを示すものと考えられる。また、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が低いことは、樹脂エマルションの製造に由来するイオン性物質などの不純物のインク中の存在量がわずかであることを示すものと考えられる。
表面処理顔料におけるカルシウム指数値が大きい官能基は、樹脂エマルションに含まれるイオン性基、そのイオン性基の対イオン、イオン性不純物と相互作用しやすいと推量される。この官能基は表面処理顔料の分散安定性に寄与しているため、イオン性基、対イオン、イオン性不純物がインク中に多量に存在すると、上記相互作用によって分散機能が低下する。したがって、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が高いと、樹脂エマルションと表面処理顔料を含有する顔料分散体とを混合してインクを調製した際には表面処理顔料の分散状態も悪くなると考えられる。
これに対し、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が低い樹脂エマルションを選択することで、樹脂エマルション中に存在するイオン性基、対イオン、イオン性不純物を少量に抑え、表面処理顔料におけるカルシウム指数値が大きい官能基と、樹脂エマルションにおけるイオン性基、対イオン、イオン性不純物との相互作用およびその相互作用による表面処理顔料の凝集を低減することができるものと推量される。したがって本発明においては、インクジェットインクの保存安定性を良好なものとすることができる。
また、樹脂エマルションにリン酸基を含むことでインクとカルシウムの反応性を高くすることが出来る。しかし、樹脂エマルションの導電率が高くなるため、導電率が300μS/cmを超えない程度に調節する必要がある。
樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率は、300μS/cm以下が好ましく、200μS/cm以下がより好ましく、150μS/cm以下が更に好ましい。上記導電率が高いと、樹脂エマルション中のイオン性基およびその対イオンあるいはイオン性不純物が表面処理顔料の分散安定性に影響を及ぼすおそれがある。このように、樹脂エマルション中のイオンを減らすことで表面処理顔料の分散性への影響を抑えることから、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率は低ければ低いほど好ましいが、下限値は20μS/cm程度である。上記導電率が低すぎるものは樹脂エマルションの分散性が劣ったり、安定した品質の樹脂エマルションを製造したりすることが困難である。
なお、上記導電率の測定方法としては、まず樹脂エマルションをイオン交換水で希釈して固形分1質量%に調整し、次いで導電率計(Eutech Instruments製、型式:EC Testr 11+)を使用し、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率を測定する方法を採用する。
(4)界面活性剤
本発明のインクジェットインクは、通常、界面活性剤を含む。界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤等が好ましく用いられる。具体例としては、サーフィノール104、82、465、485、またはTG(いずれも、アセチレングリコール系界面活性剤;エアープロダクツ社)、サーフロン(フッ素系界面活性剤;AGCセイミケミカル社製)、BYK302,307,331,348(いずれもシリコーン系界面活性剤;ビックケミー社製)などが挙げられる。界面活性剤の含有量は、水溶性有機溶媒や他の界面活性剤の含有量に応じて適宜調整される。界面活性剤の含有量は、インクジェットインク全量に対して、0.01〜3質量%程度とすることが好ましく、0.1〜1.5質量%の範囲内であることがより好ましい。
(5)添加剤
本発明のインクジェットインクは、上記成分に加えて他の任意成分を含んでいてもよい。本発明のインクジェットインクには、例えば、浸透剤、湿潤剤、防腐剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、脱酸素剤などを添加することができる。
〈1〉浸透剤
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は、浸透剤を含んでいることが好ましい。後述する水溶性有機溶媒のある種のものは浸透剤として機能しうるが、本発明にあっては、好ましい浸透剤の例としては、1,2−アルキルジオール、グリコールエーテル、アセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤が挙げられ、これらは一種または二種以上の混合物であってもよい。1,2−アルキルジオールの具体例としては、1,2−ヘキサンジオールまたは1,2−ペンタンジオールが挙げられる。グリコールエーテルの具体例としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、が挙げられる。1,2−アルキレングリコールまたはグリコールエーテルの添加量は、インク組成物の全重量に対して好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。
〈2〉湿潤剤
本発明の好ましい態様によれば、インクは、湿潤剤をさらに含んでいることが好ましい。湿潤剤は、180℃以上の沸点を有し、かつ吸水性と保水性を有する水溶性有機溶媒からなるものが好ましい。好ましい湿潤剤は、グリセリン、トリエチレングリコールである。湿潤剤の添加量はインクジェット記録用インク組成物の全重量に対して、好ましくは5〜30重量%の範囲であり、より好ましくは5〜20重量%の範囲である。本発明にあっては、湿潤剤として、三級アミンを利用することもできる。三級アミンの例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらは一種または二種以上混合して使用されてよい。これら三級アミンの添加量は、インク組成物全量に対して好ましくは0.3〜15重量%範囲程度であり、より好ましくは、0.5〜10重量%範囲程度である。
(6)溶媒
本発明のインクジェットインクは、水系溶媒として、水溶性有機溶媒、水およびこれらの混合溶媒が用いられる。水溶性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類や、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−n−ブタノール等の1価のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレンまたはオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等のトリオール類;メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等の4価アルコール類;エチレングリコールモノメチル(またはエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)エーテル、プロピレングリコールモノメチル(またはエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)エーテル等のモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールのジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素複素環化合物;γブチロラクトン、スルホラン等の環状化合物;等が挙げられる。これらの水及び水溶性有機溶媒は、単独でもまたは混合物としても使用することができる。
また、水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、脱イオン水を使用することが好ましい。インクジェットインクが水を含有する場合、水の含有量は、特に限定されるものではないが、インクジェットインク全量に対して、例えば20〜80質量%程度とすることができ、30〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
(7)インクジェットインクの組成
インクジェットインク中の顔料分散体の含有量としては、十分な画像濃度を実現できれば特に限定されるものではない。具体的には、顔料分散体の顔料の含有量が、インクジェットインク全量に対して、0.05〜20質量%の範囲内であることが好ましい。この際、顔料分散体の顔料および樹脂エマルションの固形分の含有量の和が、インクジェットインク全量に対して、0.1〜30質量%の範囲内であることが好ましい。
(8)インクジェットインクの印刷方法
本発明のインクジェットインクは、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式などのいずれのインクジェット記録装置にも適用することができるが、中でも、ピエゾ方式のインクジェット記録装置に用いられることが好ましい。ピエゾ方式の記録ヘッドは、圧力発生素子として圧電振動子を用い、圧電振動子の変形により圧力室内を加圧・減圧してインク滴を吐出させる。このような記録ヘッドでは、さらなる高画質化や記録速度の向上を図る試みとして、ノズル列の数を増やすことで記録可能な色の種類を増やしてさらなる高画質化を図る試みがなされ、また、1つのノズル列を構成するノズル開口部の数を増やすことで記録速度の向上を図る試みがなされている。
しかしながら、ヘッドのノズルが微細化されると、付着・残留したインクにより、飛行曲がりやノズル詰まりが引き起こされやすくなる。また、長期間の使用においてインク成分中に凝集物が発生すると、インク滴の飛翔の障害となり、飛行曲がりやノズル詰まりといったトラブルが発生する。そのため、インクジェットヘッドでの目詰まりが発生せず、安定した吐出が可能なインクジェットインクの開発が急務となっている。したがって、サーマルジェット等のように加熱による凝集物を発生しやすい方式に比べ、その駆動方式から凝集物を発生し難く、さらにその凝集物の発生を抑制できる本発明のインクジェットインクはピエゾ方式のインクジェット記録装置に好適である。
以下、本発明について実施例、比較例を用いて具体的に説明する。
先ず、本実施例、比較例で使用した、記録媒体、受理溶液の調製、インクジェットインクの調製、および評価方法について記載する。
(1)記録媒体
インクジェットインクを用いて印刷される吸収体として以下の上質紙、コート紙、及び綿布、並びに非吸収体である非吸収性基材として以下のポリプロピレンなどを使用した。
〈1〉上質紙
非塗工紙である上質紙として、王子製紙(株)製、上質紙(商品名:OKプリンス)を使用した。
〈2〉コート紙
塗工紙であるコート紙として、王子製紙(株)製、コート紙(商品名:OKトップコート+)を使用した。
〈3〉綿布
試験用添付白布綿(JIS L0803準拠)かなきん3号
〈4〉ポリプロピレン
リンテック(株)製、ポリプロピレン(商品名:PET50(K2411))
〈5〉アルミ蒸着ポリエステル
リンテック(株)製、アルミ蒸着ポリエステル(商品名:FNSツヤ)
〈6〉白色ポリエステル
リンテック(株)製、白色ポリエステル(商品名:PETWH50(A))
〈7〉透明ポリエステル
東洋紡績(株)製、透明ポリエステル(商品名:A4300)
(2)受理溶液の調製
各種金属塩をエタノールに溶解した。尚、金属塩としてNaCl、(+)―パントテン酸カルシウムを使用した場合にのみ、エタノール/水(等質量混合物)混合溶液に溶解させて、表4、5に示す受理溶液を調製した。
(3)インクジェットインクの調製
(3−1)顔料分散体の調製
本実施例、比較例で使用した顔料分散体1、4、5、6(リン含有基を有する)、顔料分散体2、7、8、9(カルボキシル基を有する)および顔料分散体3(リン含有基を有しない)の調製法を以下に記載する。
〈1〉顔料分散体1(リン含有基を有する)の調製方法
Kieczykowski等,J.Org.Chem.,1995,Vol.60,P.8310-8312、および米国特許第4,922,007号明細書に示された手順と同様の手順を用いて、[2−(4−アミノフェニル)−1−ヒドロキシエタン−1,1−ジイル]ビスホスホン酸−ナトリウム塩を製造した。まず、500mL三つ口フラスコに、凝縮器の頂部にガス出口を備えた凝縮器、温度計および乾燥窒素入口、および100mL均圧添加漏斗を取り付けた。このフラスコに、最初に、32gの亜リン酸(380mmol)および160mLのメタンスルホン酸(溶媒)を添加した。この撹拌混合物に、57.4gのアミノフェニル酢酸(380mmol)を少しずつ添加した。この撹拌混合物を65℃に1〜2時間加熱して、固体分を完全に溶解させた。この系全体を乾燥窒素でフラッシュし、固体分のすべてが溶解した後に、温度を40℃に減じた。この加熱溶液に、添加漏斗を通じて70mLのPCl(800mmol)をゆっくり添加した。HClガスが反応から発生し、このガスはガス出口を通じて乾燥管中に、次いで漏斗を通じてビーカー中の濃NaOH溶液中に流れた。添加が完了した後、反応混合物を2時間撹拌かつ40℃にて加熱した。この時間後、温度を65〜70℃に上げ、この混合物を一晩撹拌した。生じた清澄な茶色溶液を室温に冷却し、600gの氷/水混合物中への添加により急冷した。
この水性混合物を1Lビーカー中に入れ、90〜95℃に4時間加熱した(ビーカーの頂部をガラス板で覆った)。次いで、この混合物を室温に冷却し、この混合物のpHを50%NaOH溶液で4〜5に調整した(急冷の結果として温度が上昇するので、該NaOH溶液はゆっくり添加した)。この混合物を氷浴で5℃に2時間冷却し、次いで生じた固体分を吸引濾過により集め、1Lの冷脱イオン水で洗浄し、60℃にて一晩乾燥して、白色またはオフホワイト色の固体生成物(収量は48g,39%であった。)を得た。この化合物についてのH−NMRデータ(DO/NaOH)は、次のとおりであった。すなわち、7.3(2H,d)、6.76(2H,d)、3.2(2H,t)。この化合物についての13C−NMRデータ(DO/NaOH)は、それぞれ、141、130、128、112、73であった。
上記化合物について、次の一般手順に従い顔料修飾を行なった。カーボンブラックに関してはBlack Pearls(登録商標)700カーボンブラック(Cabot社製)を用いた。
20gの顔料、20mmolの上記において製造された物質、20mmolの硝酸および200mLの脱イオン水を、室温にてシルヴァーソン(Silverson)混合機(6000rpm)で混合した。30分後、この混合物中に少量の水中の亜硝酸ナトリウム(20mmol)をゆっくり添加した。温度は混合によって60℃に達し、これを1時間進行させた。これにより、表面処理顔料が生成された。pHをNaOH溶液で8〜9に調整した。30分後、表面処理顔料(少なくとも2つのホスホン酸基またはその塩が結合されている顔料を含む。)の生じた分散液を、20容量部の脱イオン水を用いてスペクトラム(Spectrum)メンブランでダイアフィルトレーションし、固体分15質量%に濃縮した。
〈2〉顔料分散体2(カルボキシル基を有する)
[2−(4−アミノフェニル)−1−ヒドロキシエタン−1,1−ジイル]ビスホスホン酸−ナトリウム塩を、p−アミノ安息香酸−ナトリウム塩に変更した以外は、上記顔料分散体1の記載と同様にして顔料分散体2を得た。
〈3〉顔料分散体3(リン含有基を有しない)
黒色顔料分散体(東海カーボン(株)製、商品名:AquaBlack001)を使用した。
〈4〉顔料分散体4
顔料分散体1におけるカーボンブラックの代わりに紅色顔料であるPR122を使用した以外は顔料分散体1に記載したと同様の方法により顔料分散体4を調製した。
〈5〉顔料分散体5
顔料分散体1におけるカーボンブラックの代わりに藍色顔料であるPB15:4を使用した以外は顔料分散体1に記載したと同様の方法により顔料分散体5を調製した。
〈6〉顔料分散体6
顔料分散体1におけるカーボンブラックの代わりに黄色顔料であるPY74を使用した以外は顔料分散体1に記載したと同様の方法により顔料分散体6を調製した。
〈7〉顔料分散体7
顔料分散体2におけるカーボンブラックの代わりに紅色顔料であるPR122を使用した以外は顔料分散体2に記載したと同様の方法により顔料分散体7を調製した。
〈8〉顔料分散体8
顔料分散体2におけるカーボンブラックの代わりに藍色顔料であるPB15:4を使用した以外は顔料分散体2に記載したと同様の方法により顔料分散体8を調製した。
〈9〉顔料分散体9
顔料分散体2におけるカーボンブラックの代わりに黄色顔料であるPY74を使用した以外は顔料分散体2に記載したと同様の方法により顔料分散体9を調製した。
前記顔料分散体1〜9をまとめて表3に示す。
(3−2)樹脂エマルション
下記方法により、樹脂エマルションを調製した。尚、得られた樹脂エマルションの平均粒子径は濃厚系粒径アナライザー(大塚電子(株)製、型式:FPAR−1000)を用いて測定した。
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管および滴下ロートを備えたフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、反応性界面活性剤(花王(株)製、商品名:ラテムルPD−104)0.75g、過硫酸カリウム0.04g、アクリル酸3gと純水150gを仕込み、25℃にて攪拌し混合した。これに、スチレン22.5g、メタクリル酸メチル60g、メタクリル酸エチル30g、アクリル酸2−エチルヘキシル34.5gの混合物を滴下してプレエマルションを調製した。また、機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管および滴下ロートを備えたフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、反応性界面活性剤(花王(株)製、商品名:ラテムルPD−104)3g、過硫酸カリウム0.01gと純水200gを70℃にて攪拌し混合した。その後、調製した前記プレエマルションを3時間かけてフラスコ内に滴下した。70℃でさらに3時間加熱熟成した後冷却し、アンモニア水溶液でpHを8となるよう調整し、#150メッシュ(日本織物製)にて濾過し、500gの樹脂エマルション(固形分30質量%)を得た。得られた樹脂エマルションの平均粒子径は90nmであった。
また、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率は69.2μS/cmであった。
(3−3)界面活性剤
表面張力を調整するために界面活性剤(エアープロダクツ社製、商品名:サーフィノール465)を使用した。
(3−4)インクジェットインク組成
インクジェットインクの組成は下記の通りである。
顔料分散体 :33.3(質量%)(*顔料成分として5質量%)
樹脂エマルション :16.7(質量%)(*樹脂エマルション中の樹脂として5質量%)
グリセリン :20 (質量%)
ジエチレングリコール :20 (質量%)
界面活性剤 :0.5 (質量%)
水 :balance
インクジェットインクの組成の一部を表4、5に示す。
(4)各種評価方法
〈1〉フェザリング(実施例1〜10、比較例1〜5、参考例1)
記録媒体にインクジェット記録装置(FUJIFILM Dimatix社製、型式:DMP−2831)で印刷後、5分間室温で放置した後、印刷物の状態を下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:フェザリングが認められない
△:フェザリングがわずかに認められる
×:フェザリングが著しい
〈2〉(ロ)カラーブリード(実施例11〜21、比較例6〜13)
記録媒体にインクジェット記録装置(セイコーエプソン社製、型式:PX−101)で印刷後、5分間室温で放置した後、印刷物の状態を下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:ブリードが観察されない
○:ブリードがごくわずかに観察される
△:ブリードが多少観察される
×:ブリードが著しく観察される
〈3〉上質紙、綿布上の画像の耐水性(実施例1〜10、比較例1〜5)
記録媒体にインクジェット記録装置(FUJIFILM Dimatix社製、型式:DMP−2831)で印刷後、一昼夜室温で放置した後、水に浸した1×1cmのウエスを8枚重ね、200g荷重にて1往復し、印刷物の状態を下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:インクがほとんど取れない
△:ややインクが取れる
×:著しくインクが取れる
〈4〉コート紙上の画像の耐水性(実施例11〜17、比較例6〜9)
記録媒体であるコート紙(王子製紙(株)製、商品名:OKトップコート+)にインクジェット記録装置(セイコーエプソン社製 PX−101)で印刷後、一昼夜室温で放置した後、水に浸した1×1cmのウエスを8枚重ね、200g荷重にて1往復し、印刷物の状態を下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:インクがほとんど取れない
△:ややインクが取れる
×:著しくインクが取れる
〈5〉色むら(実施例18〜21、比較例10〜13)
記録媒体にインクジェット記録装置(セイコーエプソン社製、型式:PX−101)で印刷後、
5分間室温で放置した後、印刷物の状態を下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:インクの広がりや色にむらが観察されない
△:インクの広がりや色にむらが多少観察される
×:インクの広がりや色にむらが著しく観察される
[実施例1]
金属塩として、表4に示す、CaClを使用した受理溶液をコーター法の一種であるミヤバー(#10)にて上質紙表面の全面に均一に塗布後乾燥させた。
受理溶液の記録媒体への塗布量は金属塩として、200μモル/cmである。
ピエゾ駆動方式によるインクジェット記録装置(FUJIFILM Dimatix社製、型式:DMP−2831)を用いて、顔料分散体1を含むインクジェットインクをドットピッチ(ドット間隔)20μmに設定し、吐出速度は10m/sec、駆動周波数は5kHzとし常温(25℃)で、CaClが付着している上質紙表面に7pointの「鷹」の文字を印刷した。該印刷物を図1に示す。
得られた印刷物についてフェザリングと耐水性の評価を行った。
[実施例2]
CaClの代わりに表4に示すMgClを含む受理溶液を使用した以外は実施例1と同様にして、「鷹」の文字を印刷し、得られた印刷物についてフェザリングと耐水性の評価を行った。該印刷物を図2に示す。
[実施例3]
上質紙表面への受理溶液の塗布量を金属塩として0.01μモル/cmとした以外は表4に示す通り実施例1に記載したと同様に受理溶液を上質紙の表面全面に均一に塗布、乾燥後、CaClが付着している上質紙表面に実施例1と同様に「鷹」の文字を印刷した。該印刷物を図15に示す。
得られた印刷物についてフェザリングと耐水性の評価を行った。
[実施例4〜6]
実施例4〜6において、表4に示す無機塩を含む受理溶液と、顔料分散体1,4,5,6をそれぞれ使用した以外は実施例1に記載したと同様に受理溶液を記録媒体の表面全面に均一に塗布、乾燥後、実施例1と同様に「鷹」の文字を印刷した。得られた印刷物についてフェザリングと耐水性の評価を行った。
[実施例7、8]
実施例7、8において、表4に示す有機酸塩を含む受理溶液と、顔料分散体1,4,5,6をそれぞれ使用した以外は実施例1に記載したと同様に受理溶液を記録媒体の表面全面に均一に塗布、乾燥後、実施例1と同様に「鷹」の文字を印刷した。得られた印刷物についてフェザリングと耐水性の評価を行った。
[比較例1]
上質紙に受理溶液を塗布しなかった以外は実施例1と同様にして、「鷹」の文字を印刷し、得られた印刷物についてフェザリングと耐水性の評価を行った。該印刷物を図3に示す。
[比較例2]
顔料分散体1の代わりに顔料分散体2を使用した以外は実施例1と同様にして、「鷹」の文字を印刷し、得られた印刷物についてフェザリングと耐水性の評価を行った。該印刷物を図4に示す。
[比較例3]
顔料分散体1の代わりに顔料分散体2を使用した以外は実施例2と同様にして、「鷹」の文字を印刷し、得られた印刷物についてフェザリングと耐水性の評価を行った。該印刷物を図5に示す。
[比較例4]
顔料分散体1の代わりに顔料分散体3を使用した以外は実施例1と同様にして、「鷹」の文字を印刷し、得られた印刷物についてフェザリングと耐水性の評価を行った。該印刷物を図6に示す。
[参考例1]
実施例1、2でそれぞれ得られた「鷹」の文字をオフセット印刷の印刷物と対比するために、上質紙上にオフセット印刷で「鷹」の文字を印刷した。該印刷物を参考例1として図7に示す。
[実施例9、10]
記録媒体として、綿布を使用し、表4に示す無機塩、有機酸塩をそれぞれ含む受理溶液と、顔料分散体1,4,5,6をそれぞれ使用した以外は実施例1に記載したと同様に受理溶液を記録媒体の表面全面に均一に塗布、乾燥後、実施例1と同様に「鷹」の文字を印刷した。得られた印刷物についてフェザリングと耐水性の評価を行った。実施例10で得られた印刷物を図16に示す。
[比較例5]
綿布に受理溶液を塗布しなかった以外は実施例9、10と同様にして印刷し、得られた印刷物についてフェザリングと耐水性の評価を行った。得られた印刷物を図17に示す。
[実施例11]
表5に示すCaClを使用した受理溶液をミヤバー(#10)にてコート紙表面の全面に均一に塗布後乾燥させた。
ピエゾ駆動方式によるインクジェット記録装置(セイコーエプソン社製、型式:PX−101)を用いて、表3に示す顔料分散体1、4、5、6をそれぞれ含むインクジェットインクを用い、CaClが付着しているコート紙表面に異なる色が隣接する画像を印刷した。該印刷物を図8に示す。
得られた印刷物についてカラーブリードと耐水性を評価した。
[実施例12〜14]
実施例12、13、14において、金属塩としてCaClの代わりに、表5に示す無機塩であるMgCl、MgSO、ZnCIをそれぞれ含む受理溶液を使用した以外は実施例11と同様にして、コート紙表面に異なる色が隣接する画像を印刷した。該印刷物を図9、10、11にそれぞれ示す。
得られた印刷物についてカラーブリードと耐水性を評価した。
[実施例15、16]
実施例15、16において、金属塩としてCaClの代わりに、表5に示す有機酸塩である、プロピオン酸カルシウム、パントテン酸カルシウムをそれぞれ含む受理溶液を使用した以外は実施例11と同様にして、コート紙表面に異なる色が隣接する画像を印刷した。得られた印刷物についてカラーブリードと耐水性を評価した。
[実施例17]
実施例17において、受理溶液のCaCl濃度を0.05mol/Lにした以外は実施例11と同様にして、コート紙表面に異なる色が隣接する画像を印刷した。得られた印刷物についてカラーブリードと耐水性を評価した。
[比較例6]
コート紙に受理溶液を付着させなかった以外は表5に示す通り実施例11と同様にして、コート紙表面に異なる色が隣接する画像を印刷した。得られた印刷物を図12に示す。また、得られた印刷物についてカラーブリードと耐水性を評価した。
[比較例7、8]
比較例7、8において、金属塩としてCaClの代わりにNaCl、KSOをそれぞれ使用した以外は表5に示す通り実施例11と同様に、コート紙表面に異なる色が隣接する画像を印刷した。該印刷物を図13、14にそれぞれ示す。得られた印刷物についてカラーブリードと耐水性を評価した。
[比較例9]
表5に示す顔料分散体2、7、8、9を使用した以外は実施例11と同様にして、コート紙表面に異なる色が隣接する画像を印刷した。得られた印刷物についてカラーブリードと耐水性を評価した。
[実施例18〜20]
実施例18〜20において、記録媒体として表6に示す非吸収性基材をそれぞれ使用した以外は実施例16に記載したと同様に受理溶液を記録媒体の表面全面に均一に塗布、乾燥後、実施例11に記載したと同様に、記録媒体表面に異なる色が隣接する画像を印刷した。得られた印刷物についてカラーブリードおよび色むらの評価を行った。また、実施例18で得られた印刷物を図18に示す。
[比較例10〜13]
比較例10〜13において、記録媒体として、表6に示す非吸収性基材をそれぞれ使用し、受理溶液を使用しないで、顔料分散体1,4,5,6をそれぞれ使用して実施例11に記載したと同様に記録媒体表面に異なる色が隣接する画像を印刷した。得られた印刷物についてカラーブリードおよび色むらを評価した。また、比較例10で得られた印刷物を図19に示す。
実施例1〜20、比較例1〜13、及び参考例1の評価結果をまとめて表4,5,6に示す。
以上の結果より、本発明の特定の金属塩を含む受理溶液を付着させた記録媒体に、特定の顔料を含むインクジェットインクを用いて印刷を行うことにより、フェザリング、カラーブリードが抑制され、定着性が良好な印刷物を得られることが確認された。


Claims (16)

  1. 2価以上のカルシウム塩、マグネシウム塩、ニッケル塩および亜鉛塩から選択される1種または2種以上の、水への溶解度が0.1モル/リットル以上である金属塩を水性溶媒に溶解した受理溶液を、
    記録媒体の少なくともインクジェットインクを用いて印刷する面または全面に付着させ、
    該金属塩付着部上に、少なくとも顔料、樹脂エマルションおよび界面活性剤を含有する水系溶媒からなるインクジェットインクで、該顔料表面に少なくとも1つのP−OまたはP=O結合を有するリン含有基が結合しているインクジェットインクを用いて
    印刷することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記金属塩がカルシウム、マグネシウム、ニッケル、もしくは亜鉛の塩化物、酢酸塩または硝酸塩であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記金属塩が塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムであることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記金属塩がカルシウム、マグネシウム、ニッケル、または亜鉛の有機酸塩であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記受理溶液の金属塩濃度が0.05〜2.0モル/リットルであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記受理溶液の記録媒体への付着量が金属塩として0.01〜2000μモル/cmであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記受理溶液の記録媒体への付着方法がスプレー法、コーター法、インクジェット法、グラビア法、およびフレキソ法から選択された1種または2種以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記記録媒体が塗工紙または非塗工紙であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記記録媒体が布帛であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記記録媒体が非吸収性基材から成ることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記リン含有基がホスホン酸基、ホスフィン酸基、亜ホスフィン酸基、ホスファイト基、ホスフェート基、ジホスフェート基、トリホスフェート基およびピロホスフェート基並びにこれらの部分エステルおよび塩から選択された1種または2種以上であることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記リン含有基が1,2,3−ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有していることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  13. 前記樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が300μS/cm以下であることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  14. 前記樹脂エマルションの平均粒子径が500nm以下であることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  15. 前記インクジェットインク中に樹脂エマルションが固形分として0.05〜20質量%含有されていることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  16. 前記インクジェットインクに、顔料が0.05〜20質量%、樹脂エマルションが固形分として0.05〜20質量%かつ顔料と樹脂エマルションの固形分が併せて0.1〜30質量%含有されていることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
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