JP4892818B2 - 多孔質膜とその製造法及びこれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
(1)ポリアミドイミド多孔質膜とポリオレフィン多孔質膜を単純に重ねる。
(2)ポリオレフィン多孔質膜を支持体にしてその片面又は両面にポリアミドイミド樹脂溶液を含浸又は塗布し、前記と同様な方法で凝固浴に投入して凝固させる。
(3)上記(1)と(2)を組み合わせる。
尚、実施例中の測定値は以下の方法で測定した。
空孔率=[1−(Bw/Bt)/(Aw/At)]×100(%)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管のついた4ツ口フラスコにトリメリット酸無水物(TMA)1モル、イソホロンジイソシアネート(IPDI)1モル、フッ化カリウム0.02モルを固形分濃度が50%となるようにγ−ブチロラクトンと共に仕込み、180℃で5時間攪拌した後、N−メチル−2−ピロリドンで固形分濃度が10%となるように希釈してポリアミドイミド樹脂を合成した。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は0.58dl/g、ガラス転移温度は290℃であった。
このポリアミドイミド樹脂溶液100部にポリエチレングリコール#400を10部配合した溶液を市販セパレーター(東燃化学製ポリオレフィン多孔質膜:25μm)に膜厚が1μmとなるように塗布し、水/N−メチル−2−ピロリドンが70/30の凝固浴に浸漬、水洗、乾燥した。得られた複合多孔質膜の厚さは26μmであり、透気度は380sec/100ccAirであった。この膜のシャットダウン温度は120℃、メルトダウン温度は200℃以上であった。この多孔質膜をセパレーターに用い、正極活物質としてコバルト酸リチウム、導電剤としてアセチレンブラック、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンを用いた正極及び黒鉛と非晶質炭素を混合した負極活物質とポリフッ化ビニリデンをバインダーにした負極、電解液としてソルライト(三菱化学製)を用いてコイン型電池を作成して電池特性を評価した。上記の市販セパレーターを用いた電池に比べて放電容量、サイクル特性ともほぼ同等の性能を示した。
実施例1の酸成分をTMA0.5モル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸0.5モル、イソホロンジイソシアネート1.02モル、フッ化カリウム0.02モルを固形分濃度が50%となるようにγ−ブチロラクトンと共に仕込み、120℃で1時間、更に180℃で3時間反応させた後、冷却しながらN−メチル−2−ピロリドンで固形分濃度が10%となるように希釈してポリアミドイミド樹脂を得た。このポリアミドイミド樹脂のガラス転移温度は260℃、対数粘度は0.61dl/gであった。
このポリアミドイミド樹脂溶液を用いて、実施例1と同じ方法で作成した全体の膜厚が26μmの複合多孔質膜の透気度は370sec/100ccAirでシャットダウン温度は120℃、メルトダウン温度は200℃以上であった。
実施例1と同じ装置を用い、TMA0.94モル、分子量2000のポリプロピレングリコール0.06モル、イソホロンジイソシアネート1.02モル、フッ化カリウム0.02モルを固形分濃度が50%となるようにγ−ブチロラクトンと共に仕込み180℃で5時間反応させた後、固形分濃度が10%となるようにN,N’−ジメチルアセトアミドで希釈してポリアミドイミド樹脂を合成した。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は0.63dl/g、ガラス転移温度は188℃であった。このポリアミドイミド樹脂溶液から実施例1と同じ方法で作成した複合多孔質膜の厚みは27μm、透気度は410sec/100ccAirでシャットダウン温度は124℃、メルトダウン温度は200℃以上であった。
実施例1と同じ装置を用い、TMA0.475モル、1,4−シクロヘキサンジクルボン酸0.475モル、ポリカプロラクトン(ダイセル化学製プラクセル220:分子量2000)0.05モル、IPDI0.5モル、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート0.5モル、フッ化カリウム0.02モルを固形分濃度が50%となるようにN−メチル−2−ピロリドンと共に仕込み、180℃で約5時間反応させた後固形分濃度が20%となるようにN−メチル−2−ピロリドンで希釈した。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は0.71dl/g、ガラス転移温度は185℃であった。このポリアミドイミド樹脂溶液を実施例1と同じ方法で作成した複合多孔質膜の膜厚は26μm、透気度は380sec/100ccAirで、シャットダウン温度は120℃、メルトダウン温度は200℃以上であった。
実施例1と同じ装置を用い、TMA0.25モル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸0.25モル、ダイマー酸0.5モル、IPDI0.5モル、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート0.5モルを固形分濃度が50%となるようにN−メチル−2−ピロリドンと共に仕込み、120℃で1.5時間、180℃で3時間反応させた後、固形分濃度が20%となるようにN−メチル−2−ピロリドンで希釈した。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は0.7dl/g、ガラス転移温度は153℃であった。このポリアミドイミド樹脂溶液から実施例1と同じ方法で作成した複合多孔質膜の厚みは27μm、透気度は410sec/100ccAirでシャットダウン温度は121℃、メルトダウン温度は186℃であった。
実施例4で合成したポリアミドイミド樹脂溶液100部にポリエチレングリコール#400を20部配合した溶液を100μmのポリエステルフィルムに塗布、水/N−メチル−2−ピロリドンが70/30の凝固浴に浸漬、水洗、乾燥して膜厚が25μmのポリアミドイミド多孔質膜を作成した。この多孔質膜の空孔率は71%、透気度は6.8sec/100ccAirでシャットダウン温度は185℃、メルトダウン温度は200℃以上であった。この多孔質膜をセパレーターとして用い、実施例1と同じ方法でコイン型電池を作成して電池特性を評価した結果、市販セパレーターであるポリオレフィン多孔質膜とほぼ同等の放電容量、サイクル耐久性を示した。
実施例5で合成したポリアミドイミド樹脂溶液を用い、実施例6と同じ方法で膜厚が28μmの該ポリアミドイミド多孔質膜を作成した。この多孔質膜の空孔率は68%、透気度は8.3sec/100ccAirでシャットダウン温度は155℃、メルトダウン温度は200℃以上であった。
実施例1のポリアミドイミド樹脂溶液に東燃化学製ポリオレフィン多孔質膜(25μm)を浸漬させた後、ポリオレフィン多孔質膜の両面に乾燥膜厚が各々1μmになるように絞りロールで掻き取り、水/ポリエチレングリコール(分子量400)比が70/30の凝固浴に投入して凝固させ、洗滌、乾燥して厚さ27μmの3層の複合多孔質膜を得た。この複合多孔質膜のシャットダウン温度は120℃、メルトダウン温度は200℃以上であった。この複合多孔質膜をセパレーターにして実施例1と同じ構成で作成したコイン電池の放電容量、サイクル耐久性などの電池性能はポリオレフィン多孔質膜単独セパレーターと同様な特性を示した。
実施例1で作成したポリアミドイミド複合多孔質膜のポリアミドイミド多孔質膜側にポリオレフィン多孔質膜を重ねた複合膜を用いて、実施例1と同じ条件で作成したコイン型電池の放電容量、サイクル耐久性等の電池性能はポリオレフィン多孔質膜単独セパレーターとほぼ同等の特性を示した。
実施例1でTMAを1.02モル、IPDIを1モルとした以外は実施例1と同じ条件でポリアミドイミド樹脂を合成した。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は0.31dl/g、ガラス転移温度は285℃であった。このポリアミドイミド樹脂を用いた多孔質膜は分子量が低いため脆く、セパレーターとしては不適であった。
実施例1と同じ装置を用い、TMA0.15モル、ダイマー酸0.85モル、IPDI1.02モルを固形分濃度が50%となるようにN−メチル−2−ピロリドンと共に仕込み、180℃で5時間反応させた。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は0.63dl/g、ガラス転移温度は53℃であった。このポリアミドイミド樹脂から実施例6と同じ方法で多孔質膜を作成した。この多孔質膜の膜厚は23μm、空孔率は67%、透気度は3.4sec/100ccAirと良好であったが、シャットダウン温度が58℃、メルトダウン温度が118℃と低くセパレーターとしての安全性が不十分であった。
Claims (7)
- リチウムイオン二次電池のセパレーターとして使用する、全体の膜厚が5〜100μmの多孔質膜において、ガラス転移温度が70℃以上400℃未満、対数粘度が0.5dl/g以上2.0dl/g未満であり、かつ全アミン成分の10〜100モル%の割合でイソホロン構造を含有したポリアミドイミド樹脂層を含むことを特徴とする多孔質膜。
- ポリアミドイミド樹脂の酸成分の一部がシクロヘキサンジカルボン酸であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質膜。
- ポリアミドイミド樹脂の酸成分の一部が、ダイマー酸、ポリアルキレングリコール、ポリエステル並びに末端にカルボキシル基、水酸基及びアミノ基のいずれかを含有するブタジエン系ゴムからなる群のうち少なくとも1種で置き換えられた共重合ポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質膜。
- ポリアミドイミド樹脂層にポリオレフィン系多孔質膜を積層したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質膜。
- 透気度が1〜2000sec/100ccAirであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質膜。
- ポリアミドイミド樹脂の溶液を基材に塗布又は浸漬した後、凝固溶液中に投入して凝固させること、及び凝固溶液がポリアミドイミド樹脂の溶液の溶剤と混和しかつポリアミドイミド樹脂に対して貧溶剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
- ポリオレフィン系多孔質膜の片面又は両面にポリアミドイミド樹脂の溶液を塗布又は浸漬した後、凝固溶液中に投入して凝固させること、及び凝固溶液がポリアミドイミド樹脂の溶液の溶剤と混和しかつポリアミドイミド樹脂に対して貧溶剤であることを特徴とする請求項4に記載の多孔質膜の製造方法。
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