JP4656426B2 - 2電源方式の車両用電源装置 - Google Patents

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Description

本発明は、互いに電圧が異なる複数バッテリを有する2電源方式の車両用電源装置し、好適にはパワー半導体素子実装電子回路装置やバッテリなどを含む車載電力装置を冷却風により冷却するための空冷構造に関する。
近年、電圧が異なる二つのバッテリを用いた2電源方式の車両用電源装置がハイブリッド車やエンジン車やハイブリッド車において種々提案されている。この2電源方式の車両用電源装置では、エンジン駆動の発電機と発電機側バッテリとをもつ高電圧の発電機側電源系と、車載電気負荷とそれに給電する負荷側バッテリとをもつ低電圧の負荷側電源系と、発電機側電源系から負荷側電源系へ電圧変換して送電する電力伝送装置を設けるのが通常である。この2電源方式の車両用電源装置によれば、車載電気負荷へ印加する電源電圧レベルの変動を抑止しつつ、走行動力発生、回生電力充電、トルクアシスト電力放電などのために発電機側バッテリの充電レベル(SOC)を大幅に変動させることが可能となる。また、エンジン車では、エンジン停止中における車載電気負荷への給電を発電機側バッテリから行うことにより、負荷側電源系の電圧変動を抑止することが可能となる。車載電気負荷の一例として、照明負荷やラジオや制御装置など電圧低下を嫌う負荷が挙げられる。この種の2電源方式の車両用電源装置の例として、たとえば本出願人の出願になる下記の特許文献1が知られている。
なお、発電機側バッテリの容量不足を補償するために負荷側バッテリから発電機側電源系への給電も提案されている。発電機側バッテリとしては充放電の繰り返しに対する耐久性に優れたリチウム二次電池、水素吸蔵合金二次電池、電気二重層コンデンサの採用が提案されており、負荷側バッテリとしては経済性に優れた鉛二次電池の採用が好適である。特に、リチウム二次電池は、重量当たりの蓄電エネルギーに優れ、車両軽量化による燃費低減を実現することができる利点をもつ。
また、エンジントルクにより走行するエンジン車、エンジントルクとモータトルクとを利用して走行するハイブリッド車、及び、モータトルクにより走行する電気自動車において、モータ制御用インバータやDC−DCコンバータなどの車載電力制御装置は大電流のスイッチングを行うため、内蔵のパワー半導体素子の良好な冷却が重要課題となっている。また、バッテリや電気二重層コンデンサなどの車載電力貯蔵装置も頻繁な充放電を行うと内部発熱が大きいためにその冷却が重要であることが知られている。以下、これら車載されて大電流が通電される電力制御装置や電力貯蔵装置を総称して車載電力装置と称するものとする。
この種の車載電力装置の冷却構造として、冷却媒体を車載電力装置の冷却基板に接触させて伝熱冷却する方式が一般的である。たとえば、特許文献2〜4は液冷方式の車載電力装置を提案し、特許文献5は液冷、空冷の両方式を採用する車載電力装置を提案し、特許文献6は、一体化されたバッテリと充電装置とファンとをからなり、ファンが形成した空気流によりバッテリ及び充電装置の両方を冷却する空冷式の充電装置付きバッテリ装置を提案している。
しかしながら、上述した液冷方式は、装置規模の増大と構成の複雑化により重量や必要設置スペースが増大するという問題を本質的に内包しており、小型軽量化が強く要求される車載用途での実用が容易ではなかった。更に説明すると、液冷方式においては、発熱体と熱媒体との間の伝熱面積は低減できるが、熱媒体の熱を大気に放散するための熱媒体と大気との間の間接熱交換器の伝熱面積の低減は容易ではない。このため、発熱体又はそれと良好に熱接触する冷却用金属体又はヒートパイプなどを冷却風に直接曝す空冷方式が小型軽量化の点で液冷方式よりも有利となり、構成の簡素化により信頼性も向上し、車載電力装置においては利点が大きい。
特開2002−345161号公報 特開平4−275492号公報 特開平6−303704号公報 特開2004−82940号公報 特開平9−126617号公報 特開2004−039641号公報
しかしながら、上記した2電源方式の車両用電源装置は、単一バッテリを用いた従来のエンジン車用電源装置に比較して、発電機側バッテリと電力伝送装置との追加が必要となる。このため、これらを車両前部の狭小なエンジンルームに収容する場合、エンジンルーム内の機器配置が難しくなった。また、これら発電機側バッテリと電力伝送装置とをエンジンルーム外たとえば車両後部のトランクルーム内などに配置することも考えられるが、トランクルームのラッゲジスペースが減少する点では同じである。また、発電機側バッテリと電力伝送装置との追加に伴って、配線が複雑化し、配線電力損失の増大、配線のための必要スペースの増大も生じた。
更に、発電機側バッテリとして、高エネルギー蓄電が可能又は充放電のサイクル寿命に優れたリチウム二次電池や水素吸蔵合金二次電池を発電機側バッテリとして用いることが好適であるが、これらのバッテリは、従来の鉛バッテリに比べて格段に高エネルギーを蓄積するため、車両衝突などによる破壊を防止するための耐衝撃性を向上させる必要があり、発電機側バッテリを車両衝突から保護するために更なる必要スペース又は重量の増大が生じるおそれがあった。特に、発電機側バッテリ及び電力伝送装置はそれぞれ発熱部材であるうえ厳しい最高温度制限をもつので、それらの冷却機構を含む装置の必要スペースや重量が増大し、部品点数や組み付け工数も増大するという問題もあった。
また、上記した特許文献6の空冷方式は、冷却ファン、それを駆動するモータ並びにこのモータを制御するモータコントローラからなる電動ファン装置を充電装置付きバッテリに付設する必要があり、その分だけ装置構成の複雑化と体格、重量の増加を招くという弱点を有していた。更に、その消費電力だけバッテリの消耗を招くという問題もあった。このことは特許文献6に記載されるように発熱体としての充電装置付きバッテリに冷却ファンを一体化乃至内蔵せずに冷却ファンを別置する場合においても同じである。したがって、上述したように小型軽量化要求や燃費向上要求が強い車載電力装置にこのような専用の電動ファン装置を追設することは、コスト及び燃費の犠牲を招くため、液冷方式よりはましであるがなお苦しい選択となっていた。
この不具合を回避するために、車両走行風を利用して車載電力装置を自然通風冷却すると言う車両走行風冷却方式も考えられるが、ほとんどの車載電力装置は停車時も運転され、かつ、車両走行風は車両各部において良好に利用され得るものではないため、冷却機能の低下は免れなかった。また、別案として、既設の車載ファン、たとえばラジエータや車両空調用冷凍サイクル装置のコンデンサとしての間接熱交換器の強制冷却のための電動ファンの下流に車載電力装置を配置し、この既設車載ファンが形成する強制冷却風を利用すると言う考えも生じる。しかしながら、車載ファンの下流に車載電力装置を配置する方式では、車載電力装置の配置が限定され、その上、車載電力装置がその下流に配置された部分の下流部分に配置されて車載ファンにより本来、冷却されるべき発熱体の冷却性が低下してしまうという問題があった。特に、車載ファン下流にこの車載ファンの強制冷却風により例隠されるエンジンのごとき発熱体が存在する場合、車載ファンとエンジンとの間に車載電力装置を介設することは、車載電力装置がエンジンにより加熱されるため簡単ではない。また、上記車載電力装置の介設は、良好な冷却のために車載ファンの下流側にできるだけ近接配置されるべきエンジンと車載ファンとが離れることを意味するため、エンジンにとっても得策ではない。また、別案として、既設の車載ファンからその下流側に吹き出される強制冷却風の一部をバイパスダクトにより別置の車載電力装置に導引するという案も考えられる。しかしながら、車載ファンから吹き出された強制冷却風を良好にバイパスダクトに流入させるには、バイパスダクトは、車載ファンの下流面に対面する大きな開口を吸入口としてもつ必要があり、このバイパスダクトの開口は、その下流部分に強制冷却風が流れない領域を生じさせるため、車載ファンが形成する強制冷却風が流れる通路の有効断面積が減少するという不具合を生じさせた。また、車載ファンが形成した強制冷却風のうち、バイパスダクトに流入する部分は、車載ファンが本来冷却するべき発熱体の冷却に利用できないという不具合も生じた。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、設置が容易なうえ車重及び配線電力損失の増大の抑止と安全性の向上とが可能な2電源方式の車両用電源装置を提供することを目的としている。また、本発明は、必要スペースと重量との増加が少ないうえ構成が簡素であり、かつ、総合的に優れた冷却効果を有する空冷式車載電力装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するためになされた発明は、エンジン駆動の発電機と、前記発電機により充電される発電機側バッテリとを含む発電機側電源系と、車載の電気負荷と、前記電気負荷に給電する負荷側バッテリとを含む負荷側電源系と、前記発電機側電源系から前記負荷側電源系に送電する電力伝送装置と、前記電力伝送装置を制御して前記送電を調節する送電制御回路とを備える2電源方式の車両用電源装置において、前記発電機側バッテリと前記電力伝送装置との間に配置されるとともに車両走行風又は強制冷却風により冷却されて前記発電機側バッテリ及び前記電力伝送装置の両方を冷却する冷却用金属体を兼ねると共に、前記発電機側バッテリの端子と前記電力伝送装置の発電機側端子とを接続するバスバーを有し、前記電力伝送装置は前記冷却用金属体を介して前記発電機側バッテリに隣接した状態にて前記冷却用金属体及び前記発電機側バッテリと一体に結合されていることを特徴とする2電源方式の車両用電源装置。
このように構成したこの発明の車両用電源装置によれば、電力伝送装置を発電機側バッテリと冷却用金属体を介して一体に固定した構造を採用したために、従来の2電源方式の車両用電源装置を実車に搭載する上の問題点であった設置の困難性、車重増加及び配線電力損失増大といった問題点を解決することができ、小型車への2電源方式の車両用電源装置の実装が容易となる。なお、2電源方式の車両用電源装置自体の種々の効果自体についての説明は既述したので省略する。
また、電力伝送装置と発電機側バッテリとを冷却するための送風経路を共用化することができるため、送風機構の簡素化を実現することができる。
更に、発電機側バッテリの端子と電力伝送装置の発電機側端子とを接続するバスバーは冷却風通路に露出する。これにより車両走行風又は強制冷却風によりバスバーを良好に冷却することができる。更に説明すると、バスバーは、電力伝送装置の半導体スイッチング素子や発電機側バッテリ内部の電極体に熱的に良好に結合しているために、バスバーの冷却はそれらの冷却に大きな効果がある。そのうえ、高温の半導体スイッチング素子から発電機側バッテリへの熱伝導を車両走行風又は強制冷却風によるバスバー冷却により良好に阻止して発電機側バッテリの温度上昇阻止も実現することができる。好適な態様において、このバスバーは、一体に形成されるか又は後で装着された冷却フィンをもつことができ、実質的に上記した冷却用金属体を兼ねることができる。このようにすれば、発電機側バッテリや電力伝送装置の一層の冷却が可能となる。
本発明では、電力伝送装置を冷却用金属体を介して発電機側バッテリに隣接した状態でそれらを一体化した構造を採用しているため、衝突時などにおいて電力伝送装置や冷却用金属体側から発電機側バッテリに機械的衝撃が作用する場合でも、この機械的衝撃はまず電力伝送装置や冷却用金属体により吸収されてから発電機側バッテリに作用することになり、発電機側バッテリの耐破壊性を向上することができる。なお、電力伝送装置や冷却用金属体は、何らかの機械的支持手段を通じて発電機側バッテリに機械的衝撃が掛かるのを軽減しつつ車体に支持されることが好適である。既述したように本発明の発電機側バッテリには大きなSOC変動の繰り返しが要求されるためそれに対する耐久性に優れたリチウム二次電池などが採用されるが、このような高エネルギー蓄積型のバッテリが機械的衝撃により破壊されると、大きなエネルギーが放出されて火災などの要因となる。本発明はこの問題に対する安全性を向上することができる。
なお、上記した発電機側バッテリとしては、充放電の繰り返しに対する耐久性に優れたリチウム二次電池、水素吸蔵合金二次電池、電気二重層コンデンサなどが好適である。また、電力伝送装置としては、インバータ型やチョッパ型のDC−DCコンバータやシリーズレギュレータを採用することができる。更に、電力伝送装置は、必要時に発電機側バッテリを発電機側電源系から遮断するスイッチをもつこともできる。このスイッチは発電機及び電力伝送装置と発電機側バッテリとの間や、発電機側バッテリの低位電極端子と接地ラインとの間に配置されることができる。冷却用金属体は、発電機側バッテリ又は電力伝送装置のヒートシンク又は冷却フィンとしての機能をもつ。これにより、発電機側バッテリ又は電力伝送装置の温度上昇を良好に行うことができる。
また、電力伝送装置(特にその内部で最も冷却が必要な半導体スイッチング素子)に比べて格段に温度上昇制限が厳しい発電機側バッテリを、この冷却用金属体により電力伝送装置から良好に隔離することができるため、電力伝送装置の発生熱が発電機側バッテリを加熱することにより、発電機側バッテリが過熱するのを良好に防止することができる。なお、発電機側バッテリは電機絶縁性の必要から樹脂製のバッテリケースに収容されるのが通常であり、このバッテリケースの許容耐熱温度限界は半導体スイッチング素子の許容温度限界により格段に低い。
好適な態様において、前記冷却用金属体は、前記発電機側バッテリと前記電力伝送装置とを結ぶ線に対して略直角の方向へ前記冷却用金属体の表面に沿いつつ前記車両走行風又は強制冷却風を通過させる冷却風通路を有する。これにより、車両走行風又は強制冷却風により少ない圧損で良好に冷却用金属体を冷却することができる。なお、この冷却風通路は、冷却用金属体の他に電力伝送装置や発電機側バッテリなどにより区画されることができる。
好適な態様において、前記冷却用金属体の冷却風通路に車両走行風又は強制冷却風を案内する冷却風案内ダクトを有する。このようにすれば、車両走行風又は強制冷却風を良好に冷却用金属体に案内することができ、冷却性能を向上することができる。
好適な態様において、前記冷却用金属体は、前記発電機側バッテリと前記電力伝送装置との間にて前記発電機側バッテリ側に配置されるとともに車両走行風又は強制冷却風により冷却されて前記発電機側バッテリを冷却する第1の冷却用金属体と、前記第1の冷却用金属体と前記前記電力伝送装置との間にて前記電力伝送装置側に配置されるとともに車両走行風又は強制冷却風により冷却されて前記電力伝送装置を冷却する第2の冷却用金属体とを有する。このようにすれば、既述した理由により高温化が可能な電力伝送装置用の第2の冷却用金属体と、更なる低温化が必要な発電機側バッテリの第1の冷却用金属体とを温度を変更することができ、第2の冷却用金属体の小型化と、第1の冷却用金属体の低温化とを実現することができる。なお、この態様において、冷却風通路において、第1の冷却用金属体と第2の冷却用金属体とを直列に配置することにより、第1の冷却用金属体を冷却した車両走行風又は強制冷却風により第2の冷却用金属体を冷却するようにすることができ、この場合には車両走行風又は強制冷却風の全量を発電機側バッテリ及び電力伝送装置の冷却に用いることができるうえ、発電機側バッテリを低温化する冷却系を簡素に構成することができる。
好適な態様において、前記発電機側バッテリは、リチウム二次電池又は水素吸蔵合金二次電池又は電気二重層コンデンサのいずれかを含む。これにより、発電機側バッテリの頻繁な充放電の繰り返しが可能となる。
本発明好適な実施態様を図面を参照して以下に説明する。なお、この発明は下記の実施例に限定解釈されるものではなく、本発明の技術思想を他の公知技術又はそれと同等の技術を組み合わせて実現してもよいことはもちろんである。
(第1実施形態)
第1実施形態の車両用電源装置の回路構成を図1に示すブロック回路図を参照して説明する。
1は図示しないエンジンにより駆動される発電機であり、整流器を内蔵している。発電機1は発電機側バッテリ2に電源ライン3を通じて給電している。発電機側バッテリ2は定格電圧が14.8Vのリチウム二次電池により構成されており、4セルを直列接続して構成されている。リチウムに二次電池は温度や過充電や過放電に対する保護が重要であり、実際には種々の保護回路を有するが、それについては説明を省略する。発電機1、発電機側バッテリ2及び電源ライン3は本発明で言う発電機側電源系を構成している。
4は負荷側バッテリであり、複数の電気負荷5に負荷給電ライン6を通じて給電している。負荷側バッテリ4は定格電圧が12.7Vの鉛バッテリであり、車両用バッテリとして広く市販されているものが称されている。負荷側バッテリ4、電気負荷5及び負荷給電ライン6は本発明で言う負荷側電源系を構成している。
7は、負荷側電源系が必要とする電力を電源ライン3から負荷給電ライン6に送電する電力伝送装置であり、チョッパ型など種々の回路形式のDC−DCコンバータの他、両電源系間の電圧差に等しい電圧降下を発生するシリーズレギュレータなどを用いて構成されている。その他、電力伝送装置7は、発電機側バッテリ2の正極端子と電源ライン3との間又は発電機側バッテリ2の負極端子と接地との間にMOSトランジスタなどのスイッチを有してもよい。このスイッチの開放により必要に応じて発電機側バッテリ2を発電機側電源系から分離することができる。
8は、電力伝送装置7などを制御するマイコン内蔵のコントローラ(制御回路)8であり、電力伝送装置7とコントローラ8とは系間送電回路を構成している。コントローラ8は、読み込んだ負荷側バッテリ4の電圧Vpbと所定の目標電圧値Vthとの偏差ΔVが0となるように電力伝送装置7に制御電圧を出力して、いわゆるネガティブフィードバック制御を行う。これにより、通常状態においては、負荷給電ライン6の電圧は負荷側バッテリ4の所定の電位レベルに安定に保持されるとともに、発電機側電源系から負荷側電源系への給電停止時などにおいて、負荷側バッテリ4は電気負荷5に給電する。なお、発電機側電源系に電気負荷を接続することも可能であり、電力伝送装置7の逆方向送電動作により負荷側バッテリ4から発電機側電源系に逆送電することも可能である。また、コントローラ8は、車両減速時に発電機1の発電量を増大させる。増加した発電電流は発電機側バッテリ2のSOCが許容する範囲にて発電機側バッテリ2を充電する。コントローラ8は、発電電流が発電電流を増大すれば、過剰な発電電力は発電機側バッテリ2の充電に消費される。コントローラ8は、この回生制動が終了した後、発電機側バッテリ2に蓄電された回生蓄電電力量を電力伝送装置7を通じて負荷側電源系側に放電し、所定のSOCレベルに復帰する。所定のSOCレベルとしてはたとえば50乃至60%の採用が好適である。その他、発電機側バッテリ2の蓄電電力量は、エンジン始動時やトルクアシスト時やアイドルストップ時における電気負荷5への給電に使用される。上記説明したように、発電機側バッテリ2には頻繁な充放電が要求されるため充放電サイクルの繰り返しに対する劣化が少ないリチウム二次電池が採用され、負荷側バッテリ4には電気負荷5の電源電圧変動を抑止する機能をもてばよいため鉛二次電池が採用される。
なお、上記説明では、2電源方式の車両用電源装置をもつエンジン車を説明したが、2電源方式の車両用電源装置を有するハイブリッド車においても本質的に同じ構成、動作を採用することができる。
電力伝送装置7及びコントローラ8を実装した系間送電回路としての回路モジュール10の形状を図2を参照して説明する。この回路モジュール10は、ベースプレート71、パワーMOSトランジスタを内蔵する両面電極型のカードモジュール72、73、半導体モジュールにより構成されるコントローラ8、ヒートシンク74、75、樹脂モールド部76、絶縁シート77を有している。78はカードモジュール72、73の制御電極端子をなすリード電極であり、コントローラ8の電極端子と接続されている。79は後述する電池ガス案内するための金属製のガス案内部材であり、樹脂モールド部76の下面中央に固定されている。
ベースプレート71には絶縁シート77を挟んでカードモジュール72、73及びコントローラ8が実装、固定されている。カードモジュール72、73の下面720、730にはヒートシンク74、75が個別に固定され、樹脂モールド部76はこれらの部材を一体化するとともに、カードモジュール72、73及びコントローラ8間の電気絶縁を実現している。
カードモジュール72の両面720、721は内蔵のパワーMOSトランジスタの一対の主電極を構成し、カードモジュール73の両面730、731は内蔵のパワーMOSトランジスタの一対の主電極を構成している。この実施例では、カードモジュール72の下面720はヒートシンク74を通じて発電機側電源系の電源ライン3に接続され、カードモジュール73の下面730はヒートシンク75を通じて接地ラインに接続されている。また、カードモジュール72の上面は主電極721をなし、カードモジュール73の上面は主電極731をなす。カードモジュール72、73は、図示しない配線に接続されてDC−DCコンバータを構成している。ベースプレート71は、このDC−DCコンバータの高電位側の出力端子を構成している。
もちろん、電力伝送装置7をなすDC−DCコンバータとしては、種々の回路形式があり、図2はそのモジュール化の一例を示す。また、ヒートシンク74、75やベースプレート71は、電極端子を兼ねないようにしてもよい。電力伝送装置7としては、DC−DCコンバータの他、シリーズレギュレータを採用することができる。
この回路モジュール10を用いた系間送電回路と発電機側バッテリ2とにより構成した電池アセンブリ100、すなわち電力伝送装置付き発電機側バッテリの例を図3、図4に示す。図3は、電池アセンブリ100を車両前方から後方へみた正面図を示し、図4は電池アセンブリ100を車両側方からみた側面図を示す。この電池アセンブリ100は車両のエンジンルーム後部に配置されている。図3、図4において、電池アセンブリ100は車体に公知の種々の方法で固定された底板11上に固定されている。
電池アセンブリ100は、底板11上に固定された発電機側バッテリ2と、発電機側バッテリ2上に固定された回路モジュール10と、発電機側バッテリ2及び回路モジュール10を囲覆する樹脂製のバッテリカバー12とからなる。710はベースプレート71の複数の冷却フィンであり、上方へ突出している。各冷却フィン710は、互いに車両左右方向に所定間隔を隔ててそれぞれ車両前後方向に延設されている。隣接する冷却フィン710の間のスペースは冷却風が車両前後方向に流れる冷却風通路を構成している。741はヒートシンク74の複数の冷却フィンであり、下方へ突出している。各冷却フィン741は、互いに車両左右方向に所定間隔を隔ててそれぞれ車両前後方向に延設されている。隣接する冷却フィン741の間のスペースは冷却風が車両前後方向に流れる冷却風通路を構成している。751はヒートシンク75の複数の冷却フィンであり、下方へ突出している。各冷却フィン751は、互いに車両左右方向に所定間隔を隔ててそれぞれ車両前後方向に延設されている。隣接する冷却フィン751の間のスペースは冷却風が車両前後方向に流れる冷却風通路を構成している。
発電機側バッテリ2は、その上面にガス排出用安全弁20と、+電極端子21と−電極端子22とを有している。+電極端子21はヒートシンク74の冷却フィン741に電気伝導良好に密着あるいは固定されており、−電極端子22はヒートシンク75の冷却フィン751に電気伝導良好に密着あるいは固定されて、発電機側バッテリ2と回路モジュール10との電気接続がなされている。
ガス排出用安全弁20は、ガス案内部材79の直下に配置されており、発電機側バッテリ2の内部が高圧となってガス排出用安全弁20から上方へガスが噴出した場合でも、このガスの流れを前後方向へ偏向することにより、高温のガスが樹脂モールド部76に接触しないようにしている。
なお、回路モジュール10の天地を逆転すれば、ガス排出用安全弁20から噴出した高温ガスは、熱容量が大きいベースプレート71に衝突して冷却されるため、ガス案内部材79を省略することができる。ただし、この場合、発電機側バッテリ2の+電極端子21と回路モジュール10の電極端子を兼ねるヒートシンク74との電気接続のためのバスバー、並びに、発電機側バッテリ2の−電極端子22と回路モジュール10の電極端子を兼ねるヒートシンク75との電気接続のためのバスバーを追加する必要がある。なお、この実施例ではヒートシンク74、75は発電機側バッテリ2を冷却するための冷却用金属体を兼ねている。
もちろん、回路モジュール10とその下の発電機側バッテリ2との間の空間に回路モジュール10を冷却するための冷却フィン付きの冷却用金属体と、発電機側バッテリ2を冷却するための冷却フィン付きの冷却用金属体と別々に配置することもできる。これら両冷却フィン付きの冷却用金属体は電気的に同電位とできる他、必要に応じて分離などにより相互の電気絶縁を図っても良い。
バッテリカバー12は、車両左右方向において、図3に示すように発電機側バッテリ2の左右側面に略接触しており、図4に示すように発電機側バッテリ2の前端面と後端面との間に所定隙間を維持して対面している。これらの隙間は、バッテリカバー12内に車両走行風又は強制冷却風を流すための冷却風通路(矢印にて図示)を構成している。バッテリカバー12の前端面下部には冷却風案内ダクト13の下流端に連結された冷却風吸入口121が設けられ、バッテリカバー12の後端面下部には冷却風をエンジンルーム内に排出するための冷却風吐出口122が形成されている。
冷却風の流れを説明すると、冷却風案内ダクト13の上流端は車両前部のエンジンルームの前部に開口しており、車両走行風を取り込む。冷却風案内ダクト13の途中部分には冷却ファン機構200が介設されている。冷却ファン機構200を図5を参照して説明する。
131は冷却風案内ダクト13の上流部、132は冷却風案内ダクト13の下流部であり、14は遠心ファンでいる。上流部131の下流端は遠心ファン14の吸入口に連結され、下流部132の上流端は遠心ファン14の吹き出し口に連結されている。Mは遠心ファン14を駆動するモータである。15は、冷却風案内ダクト13の上流部131と下流部132とを連結するバイパスダクトであり、遠心ファン14をバイパスしている。16はバイパスダクト15の入り口部分に樹脂ヒンジにより回動自在に設けられた逆止ダンパである。逆止ダンパ16は、冷却風案内ダクト13の上流部131が下流部132よりも正圧となる場合に差圧により開き、冷却風案内ダクト13の上流部131が下流部132よりも負圧となる場合に差圧により閉じる。遠心ファン14を駆動する場合には強制冷却風がバッテリカバー12に導入され、遠心ファン14を駆動せず、車両走行風が強い場合には車両走行風がバッテリカバー12に導入される。遠心ファン14は発電機側バッテリ2又は回路モジュール10の温度が所定のしきい値レベルを超える場合に駆動される。このようにすれば、非常に簡素な構成により、車両走行風及び強制冷却風をバッテリカバー12内に必要に応じて導入して発電機側バッテリ2や回路モジュール10を冷却することができる。なお、上記した樹脂ヒンジの代わりに金属回転軸を用いて逆止ダンパ16をバイパスダクト15に固定してもよく、冷却ファン機構200として図5以外の機構を採用しても良い。また、この冷却ファン機構200が吹き出す冷却風を他の機器の冷却に用いても良い。
バッテリカバー12の冷却風吸入口121からバッテリカバー12内に流入した冷却風は、発電機側バッテリ2の前壁面を冷却しつつベースプレート71やヒートシンク74、75を冷却し、その後、発電機側バッテリ2の後壁面を冷却しつつ冷却風吐出口122から排出される。発電機側バッテリ2の冷却性を向上するために、その前壁面や後壁面に冷却フィンを追設してもよい。
(変形態様)
上記実施例では、回路モジュール10は発電機側バッテリ2の上部に搭載、固定されたが、回路モジュール10をなんらかの支持部材を通じて底板11に固定しても良い。
その他の変形態様を図6、図7を参照して説明する。図6は電池アセンブリ100を車両前方から後方へみた正面図を示し、図7はバッテリカバー12を破断した電池アセンブリ100の平面図を示す。この変形態様では回路モジュール10は、発電機側バッテリ2の上に密着固定されており、回路モジュール10はガス排出用安全弁20の周囲を囲む孔29が設けられている。バッテリカバー12は金属板により形成されているが、バッテリカバー12は図示しない絶縁シートを介してヒートシンク74、75の冷却フィン741、751から電気絶縁されつつヒートシンク74、75に密着している。このようにすれば、バッテリカバー12はガス排出用安全弁20から上方へのガス排出を阻止するとともに、ヒートシンク74、75とともに本発明で言う冷却用金属体を構成することができる。また、この変形態様では、回路モジュール10は発電機側バッテリ2よりも左右及び前後に幅広に形成されているので、車両衝突に対する衝撃を発電 機側バッテリ2に先んじて負担することができる。
その他の変形態様を説明する。バッテリカバー(共通カバー)12を金属板製とする場合、このバッテリカバー12は、発電機側バッテリ2又は回路モジュール10の接地電極端子に接続される接地用バスバーを兼ねるようにしてもよい。この時、回路モジュール10から素子冷却のために突出するヒートシンク74、75やベースプレート71を素子の電極端子にそれに対して電気導通可能に接続するか、熱伝導性が良好な絶縁シートを用いて電気絶縁可能に接触させるかは適宜選択できる事項にすぎない。
その他の変形態様を図8を参照して説明する。この変形態様は、バッテリカバー12が、バッテリ2の上面のみを覆う形状としたものである。400は発電機側バッテリ2の電極端子に固定される冷却フィンであり、この冷却フィン400の上に回路モジュール10が搭載されている。回路モジュール10はその上面から突出する冷却フィン500を有し、冷却フィン500は回路モジュール10の内部の素子を冷却する。冷却風案内ダクト13からバッテリカバー12内に導入された車両走行風又は強制冷却風はまず冷却フィン400を冷却した後、上方に反転して冷却フィン500を冷却する。バッテリカバー12は、内部に冷却風通路を形成するとともに回路モジュール10を保護し、更に、回路モジュール10及びバッテリカバー12は上方からの機械的衝撃に対して発電機側バッテリ2を保護するとともに、発電機側バッテリ2の上面のガス排出用安全弁からガスが上方へ噴出するのを防止する。なお、この変形態様においても回路モジュール10又はバッテリカバー12を発電機側バッテリ2よりも前後方向又は左右方向へ突出させて水平方向の機械的衝撃が発電機側バッテリ2に加えられるのを邪魔するようにしてもよい。
その他の変形態様を図9、図10を参照して説明する。この変形態様は、実施例1の回路モジュール10を発電機側バッテリ2の前端面に隣接形状としたものである。図9は、電池アセンブリ100を下方から上方へ見上げた断面平面図を示し、図10は電池アセンブリ100を車両側方からみた断面側面図を示す。ただし、図9、図10において、発電機側バッテリ2は断面図示されていない。電池アセンブリ100は車両のエンジンルーム後部に配置されている。図9、図10において、電池アセンブリ100は車体に公知の種々の方法で固定された底板11上に固定されている。
電池アセンブリ100は、図10に示す底板11上に固定された発電機側バッテリ2と、発電機側バッテリ2の前端面に固定された回路モジュール10と、発電機側バッテリ2及び回路モジュール10を囲覆する樹脂製のバッテリカバー12とからなる。710はベースプレート71の複数の冷却フィンであり、回路モジュール10から前方へ突出している。各冷却フィン710は、互いに車両左右方向に所定間隔を隔ててそれぞれ上下方向に延設されている。隣接する冷却フィン710の間のスペースは冷却風が上下方向に流れる冷却風通路を構成している。741はヒートシンク74の複数の冷却フィンであり、後方へ突出している。各冷却フィン741は、互いに車両左右方向に所定間隔を隔ててそれぞれ上下方向に延設されている。隣接する冷却フィン741の間のスペースは冷却風が上下方向に流れる冷却風通路を構成している。751はヒートシンク75の複数の冷却フィンであり、後方へ突出している。各冷却フィン751は、互いに車両左右方向に所定間隔を隔ててそれぞれ上下方向に延設されている。隣接する冷却フィン751の間のスペースは冷却風が上下方向に流れる冷却風通路を構成している。
発電機側バッテリ2は、図10に示すようにその上面にガス排出用安全弁20と、+電極端子21と−電極端子22とを有している。+電極端子21とガス排出用安全弁20と−電極端子22とは車両左右方向に一列に並んでいるため、図10においてガス排出用安全弁20は破線で示され、−電極端子22を示す線は明示されていない。+電極端子21と−電極端子22は、ヒートシンク74、75と同様の冷却フィン付きのヒートシンク構造を有している。+電極端子21はヒートシンク74の冷却フィン741に図示しないバスバーにより接続されており、−電極端子22もヒートシンク74の冷却フィン741にバスバー1000により接続されている。これにより、発電機側バッテリ2と回路モジュール10との電気接続がなされている。
なお、電極端子21のヒートシンク部分とヒートシンク74とをL字上に一体化し、電極端子22のヒートシンク部分とヒートシンク75とをL字上に一体化すればバスバー1000を省略することができる。その他、電極端子22とヒートシンク75とを接地できる場合には、それらを後述するバッテリカバー12を金属製とし、バッテリカバー12を通じて車体に接地することもできる。樹脂製のバッテリカバー12の下面には、図10に示すように、金属板製のガス案内部材79が固定されている。このガス案内部材79は発電機側バッテリ2から高温のガスが噴出する場合に、このガスによりバッテリカバー12が悪影響を受けるのを防止するために設けられたものである。
ガス排出用安全弁20は、図10に示すように発電機側バッテリ2の上部においてガス案内部材79の直下に配置されており、発電機側バッテリ2の内部が高圧となってガス排出用安全弁20から上方へガスが噴出した場合でも、このガスの流れを前後方向へ偏向することにより、高温のガスが上方へ噴出しないようにしている。
バッテリカバー12は、樹脂製であって、発電機側バッテリ2の前端面に隣接する回路モジュール10と発電機側バッテリ2の上面とを覆っており、ベースプレート71の冷却フィン710の隙間やヒートシンク74、75の冷却フィン741、751の隙間や電極端子21の冷却フィンの隙間に車両走行風又は強制冷却風を送風する冷却風通路を区画形成している。
バッテリカバー12の前端面下部には冷却風案内ダクト13の下流端に連結された冷却風吸入口121が設けられ、バッテリカバー12の後端面下部には冷却風をエンジンルーム内に排出するための冷却風吐出口122が形成されている。
冷却風の流れを説明すると、冷却風案内ダクト13の上流端は車両前部のエンジンルームの前部に開口しており、車両走行風を取り込む。バッテリカバー12の冷却風吸入口121からバッテリカバー12内に流入した冷却風は、ベースプレート71やヒートシンク74、75を冷却し、その後、発電機側バッテリ2の電極端子21、22を冷却しつつ冷却風吐出口122から発電機側バッテリ2の後側面に沿いつつ下方に排出される。回路モジュール10を発電機側バッテリ2の前端面ではなく発電機側バッテリ2の側方外側に配置しても良い。このようにすれば、車両の側方衝突が生じた場合における発電機側バッテリ2の損傷を減らせる。
その他、冷却風案内ダクト13とバッテリカバー12とをベースプレート71やヒートシンク74、75に熱伝達良好に結合された金属板により形成してもよい。このようにすれば、発電機側バッテリ2や回路モジュール10の冷却効果を更に改善することができる。また、冷却風案内ダクト13の一部又は前部を車体をなす金属板により構成してもよい。具体的には、樋状の冷却風案内ダクト13を車体をなす金属板に被せてダクトとすればよい。この冷却風案内ダクト13内に回路モジュール10や発電機側バッテリ2と外部の発電機又は負荷側バッテリ4とを接続するためのケーブルや制御配線を延設してもよい。
(実施効果)
この実施例によれば、回路モジュール10を発電機側バッテリ2の上部に一体に固定した構造を採用したために、装置をコンパクトに構成できるとともに、両者間の配線距離を最小化することができ、車重増加及び配線電力損失増大を回避することができる。また、この電池アセンブリ100に上部から圧力が加えられても、回路モジュール10が緩衝効果をもつため発電機側バッテリ2の機械的安全性を改善することができる。更に、回路モジュール10によりガス排出用安全弁20から上方へのガスの噴出を防止することができ、対人被害の発生を防止することができる。
また、回路モジュール10のカードモジュール72、73と発電機側バッテリ2との間に冷却用金属体としてのヒートシンク74、75を配置したので、冷却風により冷却されるカードモジュール72、73の発熱が発電機側バッテリ2に伝達されるのを防止することができる。すなわち、ヒートシンク74、75はカードモジュール72、73と発電機側バッテリ2との両方を冷却することができる。したがって、回路モジュール10よりも温度上昇制限が厳しい発電機側バッテリ2を、冷却用金属体すなわちヒートシンク74、75により発熱体である回路モジュール10から熱的に隔離することができ、回路モジュール10の熱が発電機側バッテリ2に悪影響を与えるのを阻止することができる。
また、ヒートシンク74、75はバスバーを兼ねるため構成の簡素化と重量軽減を図ることができる。更に、バッテリカバー12は、冷却風通路の創成とともに回路モジュール10と発電機側バッテリ2との機械的、電気的保護の効果を生じさせるという利点をもつ。なお、バッテリカバー12は発電機側バッテリ2を介することなく車体に固定することができるのはもちろんである。
(第2実施形態)
第2実施形態の空冷式車載電力装置を図11を参照して説明する。ただし、この明細書では、符号体系を単純化するために第1実施形態の符号と第2実施形態の符号とは独立している。
図11において、1はエンジン、2はエンジン前方に配置されたラジエータファン、3はラジエータファンを駆動するモータ、4はエンジン冷却水を冷却する間接熱交換器であるラジエータ、5は車両用空調用冷凍サイクル装置の冷媒液化用間接熱交換器であるコンデンサ、6は車載電力装置、7は吸引式ダクトである。
ラジエータ4はラジエータファン2に近接してラジエータファン2の前方に位置して車両前後方向と直角向きに延設されている。コンデンサ5はラジエータ4の前方に位置してラジエータ4と平行に延設されている。なお、ラジエータファン2から離れて車載電力装置6が配置されている。車載電力装置6は、バッテリとこのバッテリの充電電流又は放電電流を制御する制御装置であるが、車載電力装置6としては大電流が流れて発熱する装置であれば他のものでもよい。車載電力装置6は内部に冷却風通路を有しており、この冷却風通路は、車載電力装置6の前端面から冷却用の空気流(冷却風とも言う)を取り入れ、それを車載電力装置6の後端面から排出する。車載電力装置6の内部において冷却風通路に面してバッテリ又はパワー半導体素子を冷却するための冷却フィンが設けられている。車載電力装置6の放熱構造自体は種々知られており、かつ、この発明の主旨でもないためこれ以上の説明は省略する。
吸引式ダクト7は、車載電力装置6の後端面に連結される上流側開口部71と、ラジエータファン2とラジエータ4との間に配置される下流側開口部72とを、上流側開口部71から下流側開口部72へ冷却風を導引するダクト部73とを有するダクトであり、金属板又は樹脂を成形して構成され、簡単にはエアホース形状を有することができる。吸引式ダクト7の下流側開口部72は、ラジエータ4とラジエータファン2との間に形成されて冷却風を車両前後方向に流す上流側の空気流通路8に位置して、上流側の空気流通路8の横向き又は後ろ向きに開口している。なお、ここで言う横向きとは車両左右方向又は車両上下方向を言う。つまり、吸引式ダクト7の下流側開口部72は、空気流の動圧を受けるのを避けるため車両前方向きには開口しない姿勢を有する。なお、車載電力装置6から流出する冷却風のすべてが吸引式ダクト7に導引される必要はなく、この冷却風の一部だけが吸引式ダクト7に導引されてもよい。
以下、この空冷構造の作用を説明する。
モータ3が停止している場合でも、車載電力装置6には車両走行風が導入されて車載電力装置6を冷却し、その後、吸引式ダクト7を通じて排出され、車載電力装置6の冷却が可能となる。モータ3によりラジエータファン2を駆動すると、ラジエータファン2とラジエータ4との間の上流側の空気流通路8には車両前方(上流)から車両方向への強い空気流が形成されて、上流側の空気流通路8の静圧は負圧となる。一方、吸引式ダクト7の上流側の空気流通路8は車両前方に向けて開口しており、車載電力装置6の内部の冷却風は車載電力装置6の内部にて流体損失を受けるものの吸引式ダクト7の上流側開口部71に流入する。したがって、吸引式ダクト7の下流側開口部72をラジエータ4とラジエータファン2との間に横又は後ろ向きに開口することにより、車載電力装置6を車両走行風又は強制冷却風により良好に冷却することができる。また、ラジエータファン2からでてエンジン1を冷却する空気流をバイパスすることもないため、エンジン1やその周辺の機器の冷却性能の低下も低減することができる。
(変形態様)
上記した第2実施形態では、吸引式ダクト7の下流側開口部72をラジエータファン2とラジエータ4との間の上流側の空気流通路8に開口したが、その代わりに、コンデンサ5の上流側に開口しても良い。
変形態様の空冷式車載電力装置を図12を参照して説明する。図12は、図11において、吸引式ダクト7の下流側開口部72をラジエータファン2に近接してその下流側の空気流通路9に配置した点に特徴がある。ラジエータファン2は、ラジエータファン2の下流側の空気流通路9においても、高速の空気流を形成するため、その静圧は負圧状態となっており、第2実施形態と同じく吸引冷却風により車載電力装置6を良好に冷却することができる。
変形態様の空冷式車載電力装置を図13を参照して説明する。図13は、図11において、吹き出し式ダクト10を更に増設した点をその特徴としている。この吹き出し式ダクト10は、ラジエータファン2に近接するラジエータファン2の下流側の空気流通路9に上流側開口部11を、車載電力装置6の後端面に下流側開口部12をもち、吸引式ダクト7の上流側開口部71は車載電力装置6の前端面に設けられている。
この吹き出し式ダクト10の上流側開口部11は、空気流通路9の空気流の動圧を受けるようにこの空気流の上流側に向けて開口している。このようにすれば、ラジエータファン2を駆動することにより、又は車両走行風により、吹き出し式ダクト10には冷却風が流れ込み、この冷却風が車載電力装置6を冷却して吸引式ダクト7からラジエータファン2の上流側の空気流通路8に吸引されるため、車載電力装置6を強力な冷却風により冷却することができる。なお、この変形態様では、ラジエータファン2の上流側に近接して吸引式ダクト7の下流側開口部72を設け、ラジエータファン2の下流側に近接して吹き出し式ダクト10の上流側開口部11を設けたが、それらの配置を逆としてもよい。
車載電力装置6を冷却するための強制冷却風を、ラジエータファン2の上流側の空気流通路8又は下流側の空気流通路9に下流側開口部72が開口する吸引式ダクト7により形成したが、ファンはラジエータファン2に限定されるものではなく、車載電力装置6以外の発熱体を冷却するための車載ファンであれば何でも良いことはもちろんである。たとえば、冷却ファンとしては、車両空調用ファンとし、吸引式ダクト7の上流側開口部71を車両空調用空気流通路に設けても良い。あるいは、車両用発電機の回転子に付設された冷却ファンを用い、その空気流通路に吸引式ダクト7の上流側開口部71を開口しても良い。これら冷却ファンの変更自体は容易に理解できる事項であるため、図示は省略する。
変形態様を以下に説明する。これは、図11に示す吸引式ダクト7の上流側開口部71の変形例について図14を参照して説明する。図14は、吸引式ダクト7の上流側開口部71をエゼクタ構造としたものである。図14において、吸引式ダクト7のダクト部73の終端730には吸引式ダクト7の下流側開口部72としてエゼクタ74が連結されている。このエゼクタ74は、外筒部741、ノズル部742、ディフユーザ部743、空気吹き出し孔744からなる。
外筒部741は、ラジエータファン2の上流側の空気流通路8内に位置して前後に両端開口する筒体からなる。ノズル部742は、外筒部741の前端開口7410に面して外筒部741の内部の前部側に固定されて後方に向けて先細となるコーン状筒体からなる。ディフユーザ部743は、外筒部741の後端開口7411に面して外筒部741の内部後部側に固定されて前方に向けて先細となるコーン状筒体からなる。空気吹き出し孔744は、ノズル部742とディフユーザ部743との間に開口してダクト部73の終端開口730から吸い出した空気を、ノズル部742の後方のディフユーザ部743内に吹き出すための孔である。
このように構成したこの実施例の吸引式ダクト7の下流側開口部72は、エゼクタ構造を有しており、ノズル部742により増速、減圧された空気流がノズル部742の下流側にて吸引式ダクト7の冷却風を強力に吸い出すため、車載電力装置6の冷却能力を向上することができる。更に、ノズル部742により増速、減圧された空気流の運動エネルギーはディフユーザ部743により圧力エネルギーとして回収されるため、空気流通路8の圧力損失すなわち流体損失を低減し、ラジエータファン2の動力を低減することができる。なお、このエゼクタ構造は、樹脂成形して構成することが好適であるが、金属板金加工により形成することができることは当然である。
図14に示すエゼクタ構造の変形例を図15〜図17を参照して説明する。この変形態様は、ラジエータファン2の上流側の空気流通路8内に、吸引式ダクト7の下流側開口部72を、ダクト部73からT字状に分岐する分岐筒部12により構成したものである。この分岐筒部12は、下流側開口部72の終端から上下に延設される筒部であって、その水平断面が図15に図示されている。分岐筒部12の後端には冷却風を吹き出すための長孔121が開口されている。分岐筒部12は空気流通路8を流れる空気流の流体損失を減らすために図14に示すように前部が半円形状の断面をもち、後方へ向けてディフユーザ効果を得るために徐々に絞られた形状を有している。このようにすれば、ラジエータファン2の上流側の空気流通路8内に吸引式ダクト7の下流側開口部72を挿入することによる空気流通路8内の空気流の流体損失増加を抑止しつつエゼクタ(流体吸い出し)効果を得るとともに、構造を簡素化することができる。
第1実施形態の車両用電源装置の回路構成を示すブロック回路図である。 電力伝送装置及びコントローラを実装した系間送電回路としての回路モジュールの形状を示す縦断面図である。 回路モジュールと発電機側バッテリ2とを一体化した電池アセンブリを車両前方から後方へみた正面図である。 図3の電池アセンブリを車両側方からみた側面図である。 冷却ファン機構を示す模式平面図である。 変形態様の電池アセンブリを車両前方から後方へみた正面図である。 図6の電池アセンブリの平面図である。 変形態様の電池アセンブリを車両側方からみた側面図である。 変形態様の電池アセンブリを下から上に見上げた状態を示す断面平面図である。 図9の電池アセンブリを車両側方からみた断面側面図である。 第2実施形態の空冷式車載電力装置を示す模式平面図である。 変形態様の空冷式車載電力装置を示す模式平面図である。 変形態様の空冷式車載電力装置を示す模式平面図である。 図11の吸引式ダクトの下流側開口部を拡大図示する模式平面図である。 変形態様を示す模式平面図である。 図15の吸引式ダクトの下流側開口部の配置を示す模式正面図である。 図15の吸引式ダクトの模式平面図である。
符号の説明
(第1実施形態(図1〜図10において)
1 発電機
2 発電機側バッテリ
3 電源ライン
4 負荷側バッテリ
5 電気負荷
6 負荷給電ライン
7 電力伝送装置
8 コントローラ
10 回路モジュール
11 底板
12 バッテリカバー
13 冷却風案内ダクト
14 遠心ファン
15 バイパスダクト
16 逆止ダンパ
20 ガス排出用安全弁
21 電極端子
22 電極端子
29 孔
71 ベースプレート
72 カードモジュール
73 カードモジュール
74 ヒートシンク
75 ヒートシンク
76 樹脂モールド部
78 制御端子
77 絶縁シート
79 ガス案内部材
100 電池アセンブリ
121 冷却風吸入口
122 冷却風吐出口
200 冷却ファン機構
710 冷却フィン
741 冷却フィン
751 冷却フィン
(第2実施形態(図11〜図17において)
1 エンジン
2 ラジエータファン
3 モータ
4 ラジエータ
5 コンデンサ
6 車載電力装置
7 吸引式ダクト
8 上流側の空気流通路
9 下流側の空気流通路
10 吹き出し式ダクト
11 上流側開口部
12 下流側開口部
13 分岐筒部
71 上流側開口部
72 下流側開口部
73 ダクト部
74 エゼクタ
121 長孔
730 終端
741 外筒部
7410 前端開口
7411 後端開口
742 ノズル部
743 ディフユーザ部
744 孔

Claims (1)

  1. エンジン駆動の発電機と、前記発電機により充電される発電機側バッテリとを含む発電機側電源系と、車載の電気負荷と、前記電気負荷に給電する負荷側バッテリとを含む負荷側電源系と、前記発電機側電源系から前記負荷側電源系に送電する電力伝送装置と、前記電力伝送装置を制御して前記送電を調節する送電制御回路とを備える2電源方式の車両用電源装置において、
    前記発電機側バッテリと前記電力伝送装置との間に配置されるとともに車両走行風又は強制冷却風により冷却されて前記発電機側バッテリ及び前記電力伝送装置の両方を冷却する冷却用金属体を兼ねると共に、前記発電機側バッテリの端子と前記電力伝送装置の発電機側端子とを接続するバスバーを有し、
    前記電力伝送装置は前記冷却用金属体を介して前記発電機側バッテリに隣接した状態にて前記冷却用金属体及び前記発電機側バッテリと一体に結合されていることを特徴とする2電源方式の車両用電源装置。
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