JP4491729B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図4および図5に示すように構成されている。図4に示すように、ケーシング50の内側には入力軸(中心軸)1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面)2a,2aと出力ディスク3,3の内側面(凹面)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図5参照)が回転自在に挟持されている。
図4中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図4の右面)がローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1bとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する。
図5は、図4のA−A線に沿う断面図である。図5に示すように、ケーシング50の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図5においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、その本体部である支持板部16の長手方向(図5の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部(第1の軸部)23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部(第2の軸部)23bの周囲には、各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図5の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A,23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの幅方向(図5の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は球状凹面として、球面ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持するシリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図5で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉26,26と、これら各玉26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図5の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、駆動軸22の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2および入力軸1に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図5の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
ところで、このようなトロイダル型無段変速機において、パワーローラ11と入出力側ディスク2,3との動力伝達は、これらの部材表面の損傷を防止するべく、油膜を介したトラクション力により非接触で行なわれる(油膜によって形成されるパワーローラ11と入出力側ディスク2,3との間の界面をトラクション面という)。そのため、パワーローラ11と入出力側ディスク2,3との間に形成されるトラクション面には、トルクを非接触で伝達するための油膜を形成できる十分な量の潤滑油(トラクション油)を供給する必要がある。
また、このようなトロイダル型無段変速機においては、変位軸23の加工が難しく、部品コストが高くなるとともに、支持剛性を確保するためにトラニオン15が大型化、重量化するという問題がある。そこで、例えば、特許文献1ないし特許文献3には、パワーローラ11をトラニオン15に対して揺動軸線O’(枢軸14の中心軸)と直交する方向に平行移動可能に支持することにより、パワーローラ11の両ディスク2,3に対する位置を調整する直動式の支持機構が開示されている。
これは、図6に示すように、トラニオン15のパワーローラ11を収納するポケットP側の面(すなわち、内側面)に、トラニオン15の長手方向において互いに傾斜が逆向きとなる一対の斜面215a,215aを形成し、一方、パワーローラ11を回転自在に支持する外輪28の背面にも、これらの斜面215a,215aと平行な一対の斜面215b,215bを形成し、これらの対向する斜面間に転動体(ころ)217を配置して(すなわち、トラニオンの折れ曲がり壁部20と外輪28との間に転動体217を配置して)、一対の直動軸受218を構成している。これにより、パワーローラ11はトラニオン15の幅方向(紙面に直交する方向)に移動自在となり、トラニオン15の傾転に伴う構成部品の相対変位や部品の弾性変形に伴うパワーローラ11と両ディスク2,4間の位置ずれが調整される。また、互いに逆向きに傾斜した一対の直動軸受218により、入力側および出力側ディスク2,3からパワーローラ11に負荷されるスラスト方向(図において上下方向)およびトラニオン15の長手方向(図において左右方向)に作用する力の両方を受けることができる。
特開2001−12574号公報 特開2003−294099号公報 特開2004−138249号公報
前記直動軸受218は、パワーローラ11に生じるスラスト力のみならず、トラクション力も支持する。そのため、前記トラクション力によって、パワーローラ11が傾転軸(枢軸14)方向に変位して中心軸からずれるといった特有の問題が生じる。また、パワーローラ11が中心軸からずれると、サイドスリップが発生し、設定した変速比がずれてしまうという問題も生じる(これを一般にトルクシフトという。)。これにより、変速制御が難しくなるだけでなく、操縦性にも悪影響が及ぶ。
また、直動軸受218を有するタイプのパワーローラユニットでは、図7に示すように、外輪28とトラニオン15の支持板部16との間に隙間Sがあると、トラクション力によってモーメントMが発生して、パワーローラ11が倒れてしまい、パワーローラ11が中心軸からずれて、トルクシフトが発生してしまう。なお、このような倒れを直動軸受218の配置角度によって調整することも考えられるが、直動軸受218の配置角度によっては、スラスト荷重を支える能力(スラスト負荷能力)が著しく低下し、剥離・圧痕を生じる虞がある。
そのため、図8に示すように、外輪28の背面(外輪28と支持板部16との間)に1組以上の別個の直動軸受218A,218Aを更に設け、それによって、外輪28とトラニオン15の支持板部16との間の隙間Sを埋めると共に、これらの別個の直動軸受218A,218Aによって主にスララスト荷重を支持することにより、スラスト負荷能力を向上させることが提案されている。
しかしながら、図8に示すような構成では、折れ曲がり壁部20に配置されている直動軸受218が組立時においてトラニオン15および外輪28に対して接触していると、トラニオン15がパワーローラ11からスラスト荷重を受けた際(負荷を受けた際)に、その負荷が小さい場合であっても、図9に示すようにトラニオン15が変形し、外輪28とトラニオン15の支持板部16との間の距離Lが容易に広がって隙間を生じる。そのため、図7に示すようなパワーローラ11の倒れ現象が生じ易くなる。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、パワーローラの倒れを防止してトルクシフトを低減できるトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機は、第1の軸線に同軸に且つ該第1の軸線方向に対向して配置された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスクの間に挟持された複数のパワーローラと、前記両ディスクの間において前記第1の軸線に対して捩れの位置にある第2の軸線を中心に揺動自在に設けられたトラニオンと、該トラニオンの前記第2の軸線方向中央部に設けられたポケット部に収容されるとともに、前記パワーローラを回転自在に支持する外輪とを備えたトロイダル型無段変速機において、前記トラニオンは、前記第2の軸線と略平行に延びる本体部と、この本体部の両端部から第2の軸線に対して傾斜して延びる折れ曲がり壁部と、これらの折れ曲がり壁部から前記第2の軸線に沿って外方に延びる枢軸とから成り、前記トラニオンの前記本体部と前記外輪との間には、前記外輪を前記第2の軸線と直交する方向に移動自在に支持可能な第1の直動軸受が設けられ、前記トラニオンの前記折れ曲がり壁部と前記外輪との間には、前記外輪を前記第2の軸線と直交する方向に移動自在に支持する第2の直動軸受が設けられ、組立状態においては、前記第1の直動軸受が前記トラニオンおよび前記外輪と接触し且つ前記第2の直動軸受が前記トラニオンまたは前記外輪との間に隙間を形成し、前記第2の直動軸受は、前記隙間を消失させる所定以上の負荷が作用した時点でその負荷を支えることができることを特徴とする。
本発明のトロイダル型無段変速機においては、組立状態において第2の直動軸受がトラニオンまたは外輪との間に隙間を形成しているため、トラニオンがパワーローラからスラスト荷重を受けた際(負荷を受けた際)には、その負荷が比較的小さい場合、図9に示すようにトラニオンが変形して外輪とトラニオンの本体部との間に隙間が生じることが防止される。そのため、図7に示すようなパワーローラの倒れ現象を防止できる。このような作用効果は、特にトラニオンの剛性が比較的低い小型のトロイダル型無段変速機において有益である。
また、上記構成においては、前記隙間を消失させる所定以上の負荷が作用した時点で第2の直動軸受もその負荷を支えることができる。したがって、それ以降は、第1および第2の直動軸受で負荷を支持するようになる。
また、上記構成では、第2の直動軸受と外輪およびトラニオンとの間に隙間が生じないように高精度に加工する必要がなくなるため、コストを低減することもできる。
なお、通常、トロイダル型無段変速機では、皿ばね等によって予圧が付与されるようになっている。上記構成においても、このような皿ばねの予圧を利用して第2の直動軸受と外輪およびトラニオンとが接触するような隙間設定にしても良い。また、高負荷時には、図9に示すようにトラニオンが変形して外輪とトラニオンの本体部との間に隙間が生じることも考えられるが、変速比ずれが最も生じ易い時点は、トルクがプラスとマイナスとの間で切り換わる時点であるため、この時点、すなわち、低負荷時においてこの負荷を第1および第2の直動軸受で支持できれば良い。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、直動軸受の配置形態にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図4〜図9と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
図1〜図3は本発明の実施形態を示している。図示のように、トラニオン15の支持板部(本体部)16と外輪28との間には、入力軸1の中心軸である第1の軸線Oに対して捩れの位置にある第2の軸線(枢軸14の軸線)O’と直交する方向(紙面に直交する方向)に外輪28を移動自在に支持可能な2つの第1の直動軸受218Aが設けられ、トラニオン15の折れ曲がり壁部20と外輪28との間には、外輪28を第2の軸線O’と直交する方向に移動自在に支持する2つの第2の直動軸受218が設けられている。この場合、図1に示す組立状態(無負荷状態)では、図2に拡大して示すように、第1の直動軸受218Aは、トラニオン15および外輪28と接触しており、一方、第2の直動軸受218は、トラニオン15または外輪28との間に隙間Sを形成している。また、第2の直動軸受218は、図3に示すように隙間Sを消失させる所定以上の負荷が作用した時点で、トラニオン15および外輪28と接触し、その負荷を支えることができるようになっている。すなわち、本実施形態では、組立時に、第2の直動軸受218とトラニオン15または外輪28との間に隙間Sを形成し、実質的に第1の直動軸受218Aのみが機能し、隙間Sを消失させる所定以上の負荷が作用した時点で第2の直動軸受218もその負荷を支えることができ、以降、第1および第2の直動軸受218A,218で負荷を支持するようになっている。
このように、本実施形態では、組立状態において第2の直動軸受218がトラニオン15または外輪28との間に隙間Sを形成しているため、トラニオン15がパワーローラ11からスラスト荷重を受けた際(負荷を受けた際)には、その負荷が比較的小さい場合、図9に示すようにトラニオン15が変形して外輪28とトラニオン15の支持板部16との間に隙間Sが生じることが防止される。そのため、図7に示すようなパワーローラ15の倒れ現象を防止できる。このような作用効果は、特にトラニオン15の剛性が比較的低い小型のトロイダル型無段変速機において有益である。また、上記構成では、第2の直動軸受218と外輪28およびトラニオン15との間に隙間Sが生じないように高精度に加工する必要がなくなるため、コストを低減することもできる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることは言うまでもない。例えば、前述した実施形態では、1つのトラニオン15に対して第1の直動軸受218Aが2つ設けられるとともに、第2の直動軸受218が2つ設けられているが、これらの直動軸受218,218Aの数は任意である。例えば、1つのトラニオン15に対して、第2の直動軸受218が2つ設けられ、第1の直動軸受218Aが1つ設けられていても良い。
本発明は、シングルキャビティ型やダブルキャビティ型などの様々なトロイダル型無段変速機に適用することができる。
本発明の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面図である。 組立時における第1および第2の直動軸受の取り付け状態を示す拡大断面図である。 所定の負荷が作用した場合における第1および第2の直動軸受とトラニオンおよび外輪との接触状態を示す拡大断面図である。 従来から知られているトロイダル型無段変速機の具体的構造の一例を示す断面図である。 図4のA−A線に沿う断面図である。 直動軸受を有するトロイダル型無段変速機の要部断面図であり、直動軸受の中心からの法線同士の交点が、パワーローラがトラクション力を受ける面から大きく離れている従来の構成を示す要部断面図である。 図6の構成においてトルクシフトが生じた状態を示す要部断面図である。 折れ曲がり壁部および支持板部の領域の両方に直動軸受を有するトロイダル型無段変速機の一例を示す断面図である。 トラニオンがパワーローラからスラスト荷重を受けて変形し、外輪とトラニオンの支持板部との間の距離が広がった状態(外輪は図示せず)を示す断面図である。
符号の説明
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
15 トラニオン
16 支持板部(本体部)
20 折れ曲がり壁部
28 外輪
218 第1の直動軸受
218A 第2の直動軸受
O 第1の軸線
O’ 第2の軸線
P ポケット部

Claims (1)

  1. 第1の軸線に同軸に且つ該第1の軸線方向に対向して配置された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスクの間に挟持された複数のパワーローラと、前記両ディスクの間において前記第1の軸線に対して捩れの位置にある第2の軸線を中心に揺動自在に設けられたトラニオンと、該トラニオンの前記第2の軸線方向中央部に設けられたポケット部に収容されるとともに、前記パワーローラを回転自在に支持する外輪とを備えたトロイダル型無段変速機において、
    前記トラニオンは、前記第2の軸線と略平行に延びる本体部と、この本体部の両端部から第2の軸線に対して傾斜して延びる折れ曲がり壁部と、これらの折れ曲がり壁部から前記第2の軸線に沿って外方に延びる枢軸とから成り、
    前記トラニオンの前記本体部と前記外輪との間には、前記外輪を前記第2の軸線と直交する方向に移動自在に支持可能な第1の直動軸受が設けられ、
    前記トラニオンの前記折れ曲がり壁部と前記外輪との間には、前記外輪を前記第2の軸線と直交する方向に移動自在に支持する第2の直動軸受が設けられ、
    組立状態においては、前記第1の直動軸受が前記トラニオンおよび前記外輪と接触し且つ前記第2の直動軸受が前記トラニオンまたは前記外輪との間に隙間を形成し、
    前記第2の直動軸受は、前記隙間を消失させる所定以上の負荷が作用した時点でその負荷を支えることができることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
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