JP4379708B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
自動車用変速機として、図3および図4に略示するようなトロイダル型無段変速機を使用することが一部で実施されている。このトロイダル型無段変速機は、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、入力軸1と同心に配置された出力軸3の端部に、出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシングの内側には、入力軸1並びに出力軸3に対し捻れの位置にある枢軸(傾転軸)5,5を中心として揺動するトラニオン6,6が設けられている。各トラニオン6,6には、パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、入力側および出力側の両ディスク2,4の間に挟持(転接)されている。
入力側および出力側の両ディスク2,4の互いに対向する内側面2a,4aの断面はそれぞれ、枢軸5を中心とする円弧或いはこのような円弧に近い曲線を回転させて得られる凹面を成している。そして、球状の凸面に形成された各パワーローラ11,11の周面11a,11aが各内側面2a,4aに当接されている。
入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の押圧装置12が設けられている。この押圧装置12は、入力側ディスク2を出力側ディスク4に向けて弾性的に押圧している。また、押圧装置12は、入力軸1と共に回転するカム板13と、保持器14により保持された複数個(例えば4個)のローラ15とから構成されている。また、カム板13の片側面(図3および図4の左側面)には、周方向に亙って凹凸面であるカム面16が形成され、入力側ディスク2の外側面(図3および図4の右側面)にも同様のカム面17が形成されている。そして、複数個のローラ15は、入力軸1に対して放射方向に延びる軸を中心に回転できるように、支持されている。
このような構成のトロイダル型無段変速機においては、入力軸1を回転させると、その回転に伴ってカム板13が回転し、カム面16によって複数個のローラ15,15が、入力側ディスク2の外側面に設けられたカム面17に押圧される。この結果、入力側ディスク2が複数のパワーローラ11,11に押圧されると同時に、1対のカム面16,17と複数個のローラ15,15の転動面との押し付け合いに基づいて、入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、各パワーローラ11,11を介して、出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定された出力軸3が回転する。
入力軸1と出力軸3との回転速度を変える場合であって、入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、枢軸5,5を中心として各トラニオン6,6を揺動させ、各パワーローラ11,11の周面11a,11aが、図3に示すように、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接するように、各変位軸9,9を傾斜させる。
反対に、増速を行なう場合には、各トラニオン6,6を揺動させ、各パワーローラ11,11の周面11a,11aが、図4に示すように、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とにそれぞれ当接するように、各変位軸9,9を傾斜させる。各変位軸9,9の傾斜角度を図3と図4との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比が得られる。
図5および図6は、より具体化されたダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の一例を示している。なお、図3および図4と共通する構成部材に関しては、以下、同一符号を付して、その詳細な説明または図示を省略する。
図5に示すように、ケーシング101の内側には、入力軸1が回転自在に支持されている。入力軸1の外周には、円管状の伝達軸103が支持されている。この場合、伝達軸103は、入力軸1と同心的に配設されており、入力軸1に対して回転できる。
伝達軸103の両端寄り部分には、入力軸1の軸線(第1の軸線)周りに第1および第2の入力側ディスク2,2がそれぞれ、ボールスプライン96を介して支持されている。この場合、第1および第2の入力側ディスク2,2は、その内側面2a,2a同士を互いに対向させた状態で同心的に配置されるとともに、ケーシング101の内側で互いに同期して回転できる。
伝達軸103の中間部の周囲には、第1および第2の出力側ディスク4,4がスリーブ109を介して支持されている。スリーブ109の中間部の外周面には、出力歯車110が一体に設けられている。この出力歯車110は、伝達軸103と同心的に配置されるとともに、伝達軸103の外径よりも大きな内径を有している。また、出力歯車110は、一対の転がり軸受112を介して、ケーシング101内に設けられた支持壁111に回転自在に支持されている。
第1および第2の出力側ディスク4,4は、スリーブ109の両端部にスプライン係合されている。この場合、出力側ディスク4,4は、それぞれの内側面4a,4aを互いに反対方向に向けた状態で配置されている。したがって、入力側ディスク2と出力側ディスク4は、その内側面2a,4a同士が互いに対向している。
図6に示すように、ケーシング101の内側であって、出力側ディスク4,4の側方位置には、両ディスク4,4を両側から挟む状態で一対のヨーク113a,113bが支持されている。これら一対のヨーク113a,113bは、鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。そして、後述するトラニオン6の両端部に設けられた枢軸5を揺動自在に支持するため、ヨーク113a,113bの四隅には、円形の支持孔118が設けられるとともに、ヨーク113a,113bの幅方向の中央部には、円形の係止孔119が設けられている。
一対のヨーク113a,113bは、ケーシング101の内面の互いに対向する部分に形成された支持ポスト20a,20bにより、僅かに変位できるように支持されている。これらの支持ポスト20a,20bはそれぞれ、入力側ディスク2の内側面2aと出力側ディスク4の内側面4aとの間にある第1キャビティ21および第2キャビティ22にそれぞれ対向する状態で設けられている。なお、ポスト20aには、トラニオン6の傾転量を規制する傾転ストッパ150が設けられている。
したがって、ヨーク113a,113bは、各支持ポスト20a,20bに支持された状態で、その一端部が第1キャビティ21の外周部分に対向するとともに、その他端部が第2キャビティ22の外周部分に対向している。
第1および第2のキャビティ21,22は同一構造であるため、以下、第1キャビティ21のみについて説明する。
第1キャビティ21には、一対のトラニオン6が設けられている。トラニオン6は、前記第1の軸線に対して捩れの位置にある第2の軸線と略平行に延びる本体部224と、この本体部224の両端部(図1において左右方向端部)から第2の軸線に対して傾斜して延びる折れ曲がり壁部226と、これらの折れ曲がり壁部226から第2の軸線に沿って外方に延びる枢軸5とを備えている。これらの各枢軸5は一対のヨーク113a,113bの一端部に揺動且つ軸方向に変位自在に支持されている。すなわち、枢軸5は、ヨーク113a,113bの一端部に形成された支持孔118の内側に、ラジアルニードル軸受26によって支持されている。ラジアルニードル軸受26は、その外周面が球状凸面で且つその内周面が円筒面である外輪27と、複数本のニードル28とから構成されている。
トラニオン6の中間部にはそれぞれ、円孔30が設けられている。また、各円孔30には変位軸31が支持されている。変位軸31はそれぞれ、互いに平行で且つ偏心した支持軸部33と枢支軸部34とを有している。このうち、支持軸部33は、円孔30の内側に、ラジアルニードル軸受35を介して支持されている。また、枢支軸部34の周囲には、別のラジアルニードル軸受38を介して、パワーローラ11が支持されている。
なお、第1および第2キャビティ21,22毎に一対ずつ設けられた変位軸31は、第1および第2キャビティ21,22毎に、入力軸1および伝達軸103に対して180度反対側に位置して設けられている。また、変位軸31の各枢支軸部34が各支持軸部33に対して偏心している方向は、入力ディスク2,2と出力ディスク4,4の回転方向に関して同方向となっている。また、偏心方向は入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、パワーローラ11は、入力軸1および伝達軸103の長手方向に沿って僅かに変位できるように支持されている。その結果、トロイダル型無段変速機により伝達されるトルクの変動に基づく構成部材の弾性変形量の変動等に起因して、パワーローラ11が入力軸1および伝達軸103の軸方向に変位する傾向となった場合でも、構成部材に無理な力が加わることがなく、その変位を吸収することができる。
また、パワーローラ11の外周面とトラニオン6の中間部内周面との間には、パワーローラ11の外側面から順に、スラスト玉軸受39と、滑り軸受あるいはニードル軸受等のスラスト軸受40とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受39は、パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11の回転を許容する。また、スラスト軸受40は、パワーローラ11からスラスト玉軸受39の外輪41に加わるスラスト荷重を支承しつつ、枢支軸部34および外輪41が支持軸部33を中心に揺動することを許容する。
トラニオン6の一端部にはそれぞれ、駆動ロッド42が結合されている。また、これらの駆動ロッド42の中間部外周面には、駆動ピストン43が固着されている。この駆動ピストン43は、駆動シリンダ44内に油密に嵌装されている。そして、駆動ピストン43がトラニオン5を軸方向に変位させるためのアクチュエータを構成している。
図5に示すように、入力軸1と一方の入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の押圧装置45が設けられている。この押圧装置45は、カム板46と複数のローラ48とを備えており、入力軸1の回転に基づいて一方の入力側ディスク2を他方の入力側ディスク2に向け押圧しつつ回転させる。この場合、カム板46は、入力軸1の中間部にスプライン係合されるとともに、軸方向に亘る変位を阻止された状態で支持されており、入力軸1と共に回転する。また、複数のローラ48は、保持器47に転動自在に保持されている。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の運転時、入力軸1の回転は、押圧装置45を介して、一方の入力側ディスク2に伝えられ、この入力側ディスク2と他方の入力側ディスク2とが互いに同期して回転する。入力側ディスク2,2の回転は、パワーローラ11を介して、出力側ディスク4,4に伝えられる。出力側ディスク4,4の回転は、出力歯車110により取り出される。
入力軸1と出力歯車110との間の回転速度比を変える場合には、制御弁(図示しない)の切換えに基づいて、第1および第2のキャビティ21,22に対応してそれぞれ一対ずつ設けられた駆動ピストン43を、各キャビティ21,22毎に互いに逆方向に同じ距離だけ変位させる。これらの駆動ピストン43の変位に伴って、一対ずつ合計4個のトラニオン6がそれぞれ逆方向に変位し、一方のパワーローラ11が下側に、他方のパワーローラ11が上側にそれぞれ変位する。その結果、各パワーローラ11の周面11a,11aと、入力側ディスク2,2の内側面2a,2a、出力側ディスク4,4の内側面4a,4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化する。そして、その力の向きの変化に伴って、トラニオン6がヨーク113a,113bに枢支された枢軸5を中心として逆方向に揺動する。この結果、パワーローラ11の周面11a,11aと、入力側ディスク2,2、出力側ディスク4,4との当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車110との間の回転速度比が変化する。
ところで、このようなトロイダル型無段変速機において、パワーローラ11と入出力側ディスク2,4との動力伝達は、これらの部材表面の損傷を防止するべく、油膜を介したトラクション力により非接触で行なわれる(油膜によって形成されるパワーローラ11と入出力側ディスク2,4との間の界面をトラクション面という)。そのため、パワーローラ11と入出力側ディスク2,4との間に形成されるトラクション面には、トルクを非接触で伝達するための油膜を形成できる十分な量の潤滑油(トラクション油)を供給する必要がある。
また、このようなトロイダル型無段変速機においては、変位軸31の加工が難しく、部品コストが高くなるとともに、支持剛性を確保するためにトラニオン6が大型化、重量化するという問題がある。そこで、例えば、特許文献1には、パワーローラ11をトラニオン6に対して揺動軸線Oと直交する方向に平行移動可能に支持することにより、パワーローラ11の両ディスク2,4に対する位置を調整する直動式の支持機構が開示されている。
これは、図7に示すように、トラニオン6のパワーローラ11を収納するポケットP側の面に、トラニオン6の長手方向において互いに傾斜が逆向きとなる一対の斜面215a,215aを形成し、一方、パワーローラ11を回転自在に支持する外輪41の背面にも、これらの斜面215a,215aと平行な一対の斜面215b,215bを形成し、これらの対向する斜面間に転動体(ころ)217を配置して(すなわち、トラニオンの折れ曲がり壁部226と外輪41との間に転動体217を配置して)、一対の直動軸受218を構成している。これにより、パワーローラ11はトラニオン6の幅方向(紙面に直交する方向)に移動自在となり、トラニオン6の傾転に伴う構成部品の相対変位や部品の弾性変形に伴うパワーローラ11と両ディスク2,4間の位置ずれが調整される。また、互いに逆向きに傾斜した一対の直動軸受218により、入力側および出力側ディスク2,4からパワーローラ11に負荷されるスラスト方向(図において上下方向)およびトラニオン6の長手方向(図において左右方向)に作用する力の両方を受けることができる。
特開2001−12574号公報
前記直動軸受218は、パワーローラ11に生じるスラスト力のみならず、トラクション力も保持する。このトラクション力は、パワーローラ11を傾転軸(枢軸5)方向にずらすように作用し、このずれにより、パワーローラ11が中心軸からずれ、サイドスリップが発生し、設定した変速比がずれてしまうという問題が生じる(これを一般にトルクシフトという)。これにより、変速制御が難しくなるだけでなく、操縦性にも悪影響が及ぶ。
したがって、直動軸受218を設けたものは、従来からあるピボットシャフト型に対してそれを支持する軸受の隙間がないため、トルクシフトに対して有利である。しかしながら、図7に示すように、外輪41の背面にある一対の傾斜面215a,215bの両軸受218の中心からの法線L同士の交点Rが、パワーローラ11がトラクション力を受ける作用点Qを含む面Xから大きく離れていると(図では、交点Rの高さが面Xよりも下側に大きく離れている)、図8に示すように、トラクション力によってモーメントMが発生して、回転方向のずれが発生し易くなり、トルクシフトが発生する。
このような問題を解決するための1つの策としては、図9に示すように、トラニオン6の折れ曲がり壁部226の折れ曲がり角度を大きくすることにより、直動軸受218の配置角度を大きくすることも考えられる。このようにすれば、両軸受218の中心からの法線L同士の交点Rがトラクション力を受ける作用点Qを含む面Xに近づくため、回転方向のずれが抑えられる。しかしながら、この場合、スラスト荷重を支える能力(スラスト負荷能力)が著しく低下し、剥離・圧痕を生じる虞がある。
そのため、図10に示すように、外輪41の背面に1組以上の別個の直動軸受218A,218Aを更に設け、これらの直動軸受218A,218Aによって主にスラスト荷重を支持することにより、スラスト負荷能力を向上させることも考えられる。しかしながら、この場合、図11に示すように、組立時において全ての直動軸受218,218Aと外輪41およびトラニオン6との間に隙間が生じないようにすることが必要であり、そのような加工は高い精度が要求され、コストを上昇させる要因となる。仮に、図12に誇張して示すように、折れ曲がり壁部226に傾斜状態で配置された両側の直動軸受(ラジアル荷重を受け持つ直動軸受)に隙間Sが生じてしまっているような場合(図示の例では、外輪41と直動軸受218との間に隙間Sが形成されている)には、枢軸(傾転軸)5方向にガタが生じ、それにより、トルクシフトが発生する虞がある。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、パワーローラの回転方向のずれを小さくしてトルクシフトを低減できるトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機は、第1の軸線に同軸に且つ該第1の軸線方向に対向して配置された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスクの間に挟持された複数のパワーローラと、前記両ディスクの間において前記第1の軸線に対して捩れの位置にある第2の軸線を中心に揺動自在に設けられたトラニオンと、該トラニオンの前記第2の軸線方向中央部に設けられたポケット部に収容されるとともに、前記パワーローラを回転自在に支持する外輪とを備えたトロイダル型無段変速機であって、前記トラニオンは、前記第2の軸線と略平行に延びる本体部と、この本体部の両端部から第2の軸線に対して傾斜して延びる折れ曲がり壁部と、これらの折れ曲がり壁部から前記第2の軸線に沿って外方に延びる枢軸とから成り、前記トラニオンの前記本体部と前記外輪との間には、前記外輪を前記第2の軸線と直交する方向に移動自在に支持可能な第1の直動軸受が設けられ、前記トラニオンの前記折れ曲がり壁部と前記外輪との間には、前記外輪を前記第2の軸線と直交する方向に移動自在に支持する第2の直動軸受が設けられ、前記第1の直動軸受は、組立状態で、トラニオンまたは外輪との間に隙間を形成し、この隙間を消失させる所定以上の負荷が作用した時点でその負荷を支えることができることを特徴とする。
本発明のトロイダル型無段変速機においては、前記トラニオンの前記本体部と前記外輪との間に第1の直動軸受が設けられ、前記トラニオンの前記折れ曲がり壁部と前記外輪との間に第2の直動軸受が設けられ、前記第1の直動軸受は、組立状態で、トラニオンまたは外輪との間に隙間を形成し、この隙間を消失させる所定以上の負荷が作用した時点でその負荷を支えることができる。このように、組立時には、第1の直動軸受とトラニオンまたは外輪との間に隙間を形成し、実質的に第2の直動軸受のみが機能するようにすれば、第2の直動軸受によりパワーローラの回転方向のずれを小さくしてトルクシフトを低減できる一方で、第1の直動軸受と外輪およびトラニオンとの間に隙間が生じないように高精度に加工する必要がなくなるため、コストを低減することができる。
また、第1の直動軸受は、前記隙間を消失させる所定以上の負荷が作用した時点でその負荷(主にスラスト方向の力)を支えることができるため、トルクシフトを抑制するため(ラジアル方向の剛性を高めるため)にトラニオンの折れ曲がり壁部の折れ曲がり角度を大きくして第2の直動軸受の配置角度を大きくしても、スラスト荷重を支える能力(スラスト負荷能力)を低下させないで済む。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、直動軸受の配置形態にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図3〜図12と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
図1および図2は本発明の実施形態を示している。図示のように、トラニオン6の本体部224と外輪41との間には、外輪を第2の軸線(枢軸5の軸線)と直交する方向に移動自在に支持可能な2つの第1の直動軸受218Aが設けられ、トラニオン6の折れ曲がり壁部226と外輪41との間には、外輪41を第2の軸線と直交する方向に移動自在に支持する2つの第2の直動軸受218が設けられている。この場合、第1の直動軸受218Aは、図1に示される組立状態(無負荷状態)で、トラニオン6または外輪41との間に隙間Sを形成している。また、第1の直動軸受218Aは、図2に示されるように隙間Sを消失させる所定以上の負荷が作用した時点で、その負荷を支えることができるようになっている。すなわち、本実施形態では、組立時に、第1の直動軸受218Aとトラニオン6または外輪41との間に隙間Sを形成し、実質的に第2の直動軸受218のみが機能するようになっている。
このように、本実施形態では、所定以上の負荷(例えば高負荷)が作用しない組立時から例えば低負荷時においては、第1の直動軸受218Aとトラニオン6または外輪41との間に隙間Sを生じさせ、実質的に第2の直動軸受218のみが機能するようにしているため、第2の直動軸受218によりパワーローラ11の回転方向のずれを小さくしてトルクシフトを低減できる一方、第1の直動軸受218Aと外輪41およびトラニオン6との間に隙間Sが生じないように高精度に加工する必要がなくなるため、コストを低減することができる。
また、本実施形態において、第1の直動軸受218Aは、隙間Sを消失させる所定以上の負荷(例えば高負荷)が作用した時点でその負荷(主にスラスト方向の力)を支えることができるため、トルクシフトを抑制するため(ラジアル方向の剛性を高めるため)にトラニオン6の折れ曲がり壁部226の折れ曲がり角度を大きくして第2の直動軸受218の配置角度を大きくしても、スラスト荷重を支える能力(スラスト負荷能力)を低下させないで済む。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることは言うまでもない。例えば、前述した実施形態では、1つのトラニオン6に対して第1の直動軸受218Aが2つ設けられるとともに、第2の直動軸受218が2つ設けられているが、これらの直動軸受218,218Aの数は任意である。例えば、1つのトラニオン6に対して、第2の直動軸受218が2つ設けられ、第1の直動軸受218Aが1つ設けられていても良い。
本発明は、シングルキャビティ型やダブルキャビティ型などの様々なトロイダル型無段変速機に適用することができる。
本発明の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面図(組立時から低負荷時)である。 本発明の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面図(高負荷時)である。 従来から知られているトロイダル型無段変速機の基本的構成を最大減速時の状態で示す側面図である。 従来から知られているトロイダル型無段変速機の基本的構成を最大増速時の状態で示す側面図である。 従来の具体的構造の一例を示す断面図である。 図6のA−A線に沿う断面図である。 直動軸受を有するトロイダル型無段変速機の要部断面図であり、直動軸受の中心からの法線同士の交点が、パワーローラがトラクション力を受ける面から大きく離れている従来の構成を示す要部断面図である。 図7の構成においてトルクシフトが生じた状態を示す要部断面図である。 直動軸受の配置形態の変形例を示す要部断面図である。 直動軸受の配置形態の他の変形例を示す要部断面図である。 図10の構成において各直動軸受がトラニオンと外輪との間に隙間無く配置された状態を示す要部拡大断面図である。 図10の構成において所定の直動軸受とトラニオンまたは外輪との間に隙間が生じている状態を示す要部拡大断面図である。
符号の説明
2 入力側ディスク
4 出力側ディスク
6 トラニオン
11 パワーローラ
41 外輪
218 第1の直動軸受
218A 第2の直動軸受
224 本体部
226 折れ曲がり壁部

Claims (1)

  1. 第1の軸線に同軸に且つ該第1の軸線方向に対向して配置された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスクの間に挟持された複数のパワーローラと、前記両ディスクの間において前記第1の軸線に対して捩れの位置にある第2の軸線を中心に揺動自在に設けられたトラニオンと、該トラニオンの前記第2の軸線方向中央部に設けられたポケット部に収容されるとともに、前記パワーローラを回転自在に支持する外輪とを備えたトロイダル型無段変速機において、
    前記トラニオンは、前記第2の軸線と略平行に延びる本体部と、この本体部の両端部から第2の軸線に対して傾斜して延びる折れ曲がり壁部と、これらの折れ曲がり壁部から前記第2の軸線に沿って外方に延びる枢軸とから成り、
    前記トラニオンの前記本体部と前記外輪との間には、前記外輪を前記第2の軸線と直交する方向に移動自在に支持可能な第1の直動軸受が設けられ、
    前記トラニオンの前記折れ曲がり壁部と前記外輪との間には、前記外輪を前記第2の軸線と直交する方向に移動自在に支持する第2の直動軸受が設けられ、
    前記第1の直動軸受は、組立状態で、トラニオンまたは外輪との間に隙間を形成し、この隙間を消失させる所定以上の負荷が作用した時点でその負荷を支えることができることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
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