JP4640635B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図4および図5に示すように構成されている。図4に示すように、ケーシング50の内側には入力軸(中心軸)1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面)2a,2aと出力ディスク3,3の内側面(凹面)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図5参照)が回転自在に挟持されている。
図4中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図4の右面)がローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1bとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する。
図4のA−A線に沿う断面図である図5に示すように、ケーシング50の内側であって、出力側ディスク3,3の側方位置には、両ディスク3,3を両側から挟む状態でヨーク23A,23Bが支持されている。
これらのヨーク23A,23Bは、ケーシング50の内面の互いに対向する部分に形成された支持(球面)ポスト64,68により、僅かに変位できるように支持されている。また、これらの支持ポスト64,68はそれぞれ、入力側ディスク2の内側面2aと出力側ディスク3の内側面3aとの間にある第1キャビティ221および第2キャビティ222にそれぞれ対向する状態で設けられている。
第1および第2のキャビティ221,222は同一構造であるため、以下、第1キャビティ221のみについて説明する。
図5に示すように、ケーシング50の内側において、第1キャビティ221には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図5においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、その本体部である支持板部16の長手方向(図5の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部(第1の軸部)23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部(第2の軸部)23bの周囲には、各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、前述した一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図5の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。ヨーク23A,23Bは、例えば図6に示すように、鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの両端には円形の支持孔18が設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの長手方向(図5の左右方向)の中央部には、係止孔19が設けられており、この係止孔19には支持ポスト64,68が内嵌されている。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている支持ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、支持ポスト68およびこれを支持するシリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,4,4の回転方向に対して同方向(図5で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉26,26と、これら各玉26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図5の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(枢軸14から延びる軸部)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、駆動軸22の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2および入力軸1に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位(オフセット)する。例えば、図5の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
ところで、上記構成のトロイダル型無段変速機において、同一キャビティに配置された一対のトラニオン15,15同士を結合する前記ヨーク23A,23Bは、前述したように、対応する1つの支持ポスト64,68だけによって支持されている。そのため、従来から、支持ポスト64,68の中心軸周りでヨーク23A,23Bが回転しないように様々な工夫がなされている。例えば、特許文献1では、図6に示すように、支持ポスト64,68の球面部と平面部とを有する支持部64a,68aが係合するヨーク23A,23Bの係止孔19を矩形状に形成することにより、ポスト64,68の中心軸周りでのヨーク23A,23Bの回転を規制している。すなわち、この状態において、ヨーク23A,23Bは、図6に円弧状の矢印(×)で示すように、ポスト64,68の中心軸周りで回転(揺動)することはできないが、図7に円弧状の矢印(○)で示すように、一対のトラニオン15,15の枢軸14を含む平面内では回転(揺動)することができる(したがって、前述した変速に伴うトラニオンのオフセット動作が可能になる)。
特開平11−63136号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているように、ヨーク23A,23Bの係止孔19を矩形状に形成すると、前述した変速動作に伴ってトラニオン15がオフセットする際に、矩形状の係止孔19の平面部19bと支持部64a,68aの平面部との間で滑り摩擦が発生する。特に、シングルキャビティ式のトロイダル型無段変速機の場合には、大きな滑り摩擦が発生する。したがって、駆動ピストン33は、この摩擦力に打ち勝つための余分な力を発生させる必要があり、その結果、ポンプロスが増大し、作動効率の低下を招く虞がある。
また、支持ポスト64,68の中心軸周りにおけるヨーク23A,23Bの位置は、係止孔19の平面部19bおよび支持部64a,68aの平面部によって規定されるため、係止孔19の平面部19bおよび支持部64a,68aの平面部の加工精度は、そのまま、トラニオン15の枢軸14の位置精度に影響を及ぼす。特に、支持ポスト64,68の中心軸から枢軸14までの距離は一般に長いため、係止孔19の平面部19bおよび支持部64a,68aの平面部の僅かな加工誤差が拡大されて、枢軸14の位置に影響を及ぼす。したがって、係止孔19の平面部19bおよび支持部64a,68aの平面部の加工には高い精度が要求され、その結果、製造コストが嵩むといった問題もある。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、ヨークの支持部材の中心軸周りの揺動(回転)を規制しつつ、変速時のトラニオンのオフセットに伴うヨークの揺動を滑らかに行なうことができるとともに、比較的簡単な加工により高い寸法精度を得ることができるトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機は、ケーシングと、このケーシングの内側で互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスク間に挟持される複数のパワーローラと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸に対して捻れの位置にあり且つ互いに同心的に設けられた一対の枢軸を中心に揺動するとともに、前記各パワーローラを回転自在に支持する複数のトラニオンと、前記各トラニオンを前記枢軸の軸方向に変位させる駆動装置と、一対の前記トラニオンの前記枢軸をそれぞれ揺動自在且つ軸方向に変位自在に支持するとともに、前記トラニオンの変位により揺動するヨークとを備えるトロイダル型無段変速機であって、前記ヨークは、このヨークの長手方向の中央部にこのヨークの長手方向に略直交する方向に沿って並んで形成されまたはこのヨークの長手方向の中央部にこのヨークの長手方向に沿って並んで形成され、その内周面が円筒面または球面の複数の係止孔がそれぞれ、前記一対のトラニオンの前記枢軸同士の間に配置された対応する複数の支持部材の外周面が球面または円筒面の支持部と係合することにより、前記一対のトラニオンの両方の枢軸を含む平面内での揺動が許容されるとともに、前記支持部材の中心軸周りでの揺動が規制されることを特徴とする。
本発明において、ヨークの係止孔の内周面と支持部材の支持部の外周面との組み合わせには、例えば、内周面が円筒面で外周面が凸の球面の場合、内周面が凸の球面で外周面が円筒面の場合、内周面が凸の球面で外周面がこの内周面の凸の球面に嵌合する凹の球面の場合、または内周面が凹の球面で外周面がこの内周面の凹の球面に嵌合する凸の球面の場合などがある。
本発明のトロイダル型無段変速機においては、ヨークが複数の支持部材と係合しているため、支持部材の中心軸周りでのヨークの揺動が規制される一方、一対のトラニオンの両方の枢軸を含む平面内でのヨークの揺動は許容されているため、変速に伴うトラニオンのオフセット動作が可能となる。しかも、ヨークは、その内周面が円筒面または球面の係止孔が支持部材の外周面が球面または円筒面の支持部と係合しており、ヨークと支持部材との接触が球面同士または球面と円筒面との接触になるため、これらの間で大きな滑り摩擦が発生することがなく、変速時におけるヨークの揺動を滑らかに行なうことができる。また、支持部材の中心軸周りにおけるヨークの位置、したがって、トラニオンの枢軸の位置は、ヨークの係止孔の位置関係によって規定されるが、係止孔の内周面および係止部の外周面はそれぞれ、円筒面または球面であるため、孔開け加工等の比較的簡単な加工により高い寸法精度を得ることができ、そのため、比較的安価な製造コストで、トラニオンの枢軸の位置決めを精度良く行なうことができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、ヨークの支持形態にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図4〜図7と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。また、以下の各実施の形態では、本発明をシングルキャビティ式のトロイダル型無段変速機に適用した場合について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態を示している。図示のように、キャビティ内に配置された一対のトラニオン15,15同士を結合する一対のヨーク23A,23Bのうち、一方のヨーク(本実施形態では、図中下側のヨーク23B)は、トラニオン15の枢軸14が揺動自在に支持される両端の支持孔18,18の間、具体的には、その長手方向の中央部に、2つの係止孔19A,19Bを有している。この場合、これら2つの係止孔19A,19Bは、ヨーク23Bの長手方向と略直交する方向に沿って並んで形成されている。各係止孔19A,19Bの内周面は、円筒面に形成されている。また、これらの係止孔19A,19Bには、一対のトラニオン15,15の枢軸14,14同士の間に配置された対応する2つの支持ポスト(支持部材)68A,68Bの各支持部が係合されている。支持部の外周面は、凸の球面に形成されている。
したがって、このような構成において、ヨーク23Bは、図1の(c)に円弧状の矢印(○)で示すように一対のトラニオン15,15の両方の枢軸14,14を含む平面内での揺動が許容されるとともに、支持ポスト68A,68Bの中心軸周りでの揺動が規制される。すなわち、本実施形態においては、ヨーク23Bが2つの支持ポスト68A,68Bと係合しているので、支持ポスト68A,68Bの中心軸周りでのヨーク23Bの揺動が規制されるとともに、一対のトラニオン15,15の両方の枢軸14,14を含む平面内でのヨークの揺動は許容されているため、変速に伴うトラニオン15のオフセット動作が可能となる。また、ヨーク23Bは、内周面が円筒面の係止孔19A,19Bが支持ポスト68A,68Bの外周面が凸の球面支持部と係合しているので、係止孔19A,19Bと支持部との接触が円筒面と球面との点接触になるため、係止孔19A,19Bと支持部との間で大きな滑り摩擦が発生することがなく、変速時におけるヨーク23Bの揺動を滑らかに行なうことができる。さらに、支持ポスト68A,68Bの中心軸周りにおけるヨーク23Bの位置、したがって、トラニオン15の枢軸14の位置は、ヨーク23Bの係止孔19A,19Bの位置関係によって規定されるが、係止孔19A,19Bの内周面および支持ポスト68A,68Bの係止部の外周面はそれぞれ、円筒面および球面であるため、孔開け加工等の比較的簡単な加工により高い寸法精度を得ることができ、そのため、比較的安価な製造コストで、トラニオン15の枢軸14の位置決めを精度良く行なうことができる。
図2は本発明の第2の実施形態を示している。図示のように、キャビティ内に配置された一対のトラニオン15,15同士を結合する一対のヨーク23A,23Bは、共に、トラニオン15の枢軸14が揺動自在に支持される両端の支持孔18,18の間、具体的には、その長手方向の中央部に、2つの係止孔19A,19Bを有している。この場合、これら2つの係止孔19A,19Bは、ヨーク23Bの長手方向と略直交する方向に沿って並んで形成されている。また、図中上側のヨーク23Aの係止孔19A,19Bには、一対のトラニオン15,15の枢軸14,14同士の間に配置された対応する2つの支持ポスト(支持部材)64A,64Bの各支持部が係合されている。支持ポスト64A,64Bの各支持部の外周面は、凸の球面に形成されている。また、図中下側のヨーク23Bの係止孔19A,19Bにも、一対のトラニオン15,15の枢軸14,14同士の間に配置された対応する2つの支持ポスト(支持部材)68A,68Bの各支持部が係合されている。したがって、本実施形態においては、両方のヨーク23A,23Bにおいて、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
図3は本発明の第3の実施形態を示している。図示のように、キャビティ内に配置された一対のトラニオン15,15同士を結合する一対のヨーク23A,23Bのうち、一方のヨーク(本実施形態では、図中下側のヨーク23B)は、トラニオン15の枢軸14が揺動自在に支持される両端の支持孔18,18の間、具体的には、その長手方向の中央部に、2つの係止孔19A’,19B’を有している。この場合、これら2つの係止孔19A’,19B’は、ヨーク23Bの長手方向に沿って並んで形成されている。各係止孔19A’,19B’の内周面は、円筒面に形成されている。また、これらの係止孔19A’,19B’には、一対のトラニオン15,15の枢軸14,14同士の間に配置された対応する2つの支持ポスト(支持部材)68A,68Bの各支持部が係合されている。支持部の外周面300は、凸の球面に形成されている。この場合、2つの支持ポスト68A,68Bの各支持部の凸の球面からなる外周面300,300は、その断面において、協働して1つの円Cを形成するように形状および位置が設定されている。
このように、2つの係止孔19A’,19B’がヨーク23Bの長手方向に沿って並んで形成されている場合であっても、これらと係合する支持ポスト68A,68Bの形状および位置を工夫すれば(すなわち、2つの支持ポスト68A,68Bの支持部の外周面300,300および設置位置を同一円周上に合わせる)、支持ポスト68A,68Bの中心軸周りでのヨーク23Bの揺動を規制しつつ、一対のトラニオン15,15の両方の枢軸14,14を含む平面内でのヨーク23Bの揺動を許容することができる。
なお、前述の各実施の形態では、ヨーク23A、23Bの係止孔19A,19B、係止孔19A’,19B’の内周面を円筒面に形成し、支持ポスト(支持部材)68A,68Bの支持部および支持ポスト(支持部材)64A,64Bの支持部の外周面をそれぞれ、凸状の球面(外方に突出する球面)に形成したが、これに代えて、係止孔の内周面を凸の球面とする一方、支持部の外周面を円筒面としたり、係止孔の内周面を凸の球面(係止孔の中心軸に向かって突出する球面)にする一方、係止部の外周面をこの内周面の凸の球面に嵌合する凹の球面(係止部の中心軸に向かって突出する球面)にしたり、あるいは係止孔の内周面を凹の球面にする一方、係止部の外周面をこの内周面の凹の球面に嵌合する凸の球面にするなどしてもよい。
本発明は、シングルキャビティ式の他、ダブルキャビティ式などの様々なハーフトロイダル型無段変速機に適用することができる。
本発明の第1の実施形態を示し、(a)はキャビティにおける要部断面図、(b)はヨークの平面図、(c)はヨークの側面図である。 本発明の第2の実施形態を示し、(a)はキャビティにおける要部断面図、(b)はヨークの平面図である。 本発明の第3の実施形態を示し、(a)はキャビティにおける要部断面図、(b)はヨークの平面図、(c)はヨークの側面図である。 従来から知られているトロイダル型無段変速機の具体的構造の一例を示す断面図である。 図4のA−A線に沿う断面図である。 従来のヨークおよび支持ポストの一例を示す斜視図である。 従来のヨークおよび支持ポストの一例を示す側面図である。
符号の説明
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
14 枢軸
15 トラニオン
19A,19B,19A’,19B’ 係止孔
23A,23B ヨーク
32 駆動装置
50 ケーシング
64A,64B,68A,68B 支持ポスト(支持部材)

Claims (1)

  1. ケーシングと、このケーシングの内側で互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスク間に挟持される複数のパワーローラと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸に対して捻れの位置にあり且つ互いに同心的に設けられた一対の枢軸を中心に揺動するとともに、前記各パワーローラを回転自在に支持する複数のトラニオンと、前記各トラニオンを前記枢軸の軸方向に変位させる駆動装置と、一対の前記トラニオンの前記枢軸をそれぞれ揺動自在且つ軸方向に変位自在に支持するとともに、前記トラニオンの変位により揺動するヨークとを備えるトロイダル型無段変速機において、
    前記ヨークは、このヨークの長手方向の中央部にこのヨークの長手方向に略直交する方向に沿って並んで形成されまたはこのヨークの長手方向の中央部にこのヨークの長手方向に沿って並んで形成され、その内周面が円筒面または球面の複数の係止孔がそれぞれ、前記一対のトラニオンの前記枢軸同士の間に配置された対応する複数の支持部材の外周面が球面または円筒面の支持部と係合することにより、前記一対のトラニオンの両方の枢軸を含む平面内での揺動が許容されるとともに、前記支持部材の中心軸周りでの揺動が規制されることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
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