JP4408938B2 - セルアレイ回路 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばデジタル−アナログ変換器(DAC)などに使用されるセル・アレイ回路(cell array circuit)に関する。
図1は、いわゆる「電流ステアリング(current-steering)」型の従来のデジタル−アナログ変換器(DAC)の部分を示す図である。DAC1は、mビットのデジタル入力ワード(m-bit digital input word)(D1からDm)を対応するアナログ出力信号に変換するように設計されている。
DAC1は、複数(n個)の同一の電流源2から2を有する。ここで、nは2−1である。各電流源2は、実質的に一定の電流Iを通す。DAC1は、更にn個の電流源2から2にそれぞれ対応する複数の差動スイッチ回路4から4を有する。各差動スイッチ回路4は、対応する電流源2に接続され、電流源により生成された電流Iを、変換器の第1の接続線Aに接続される第1の端子又は変換器の第2の接続線Bに接続される第2の端子のいずれかに切り換える。
各差動スイッチ回路4は、以下に説明される理由で「温度計コード化信号(thermometer-coded signals) 」と呼ばれる複数の制御信号T1からTnの1つを受け、関係する信号の値に従ってその第1の端子又は第2の端子のいずれかを選択する。DAC1の第1の出力電流Iは、差動スイッチ回路の第1の端子に配給される各電流の和であり、DAC1の第2の出力電流Iは、差動スイッチ回路の第2の端子に配給される各電流の和である。
アナログ出力信号は、DAC1の第1の出力電流Iを抵抗Rで減衰させることにより生成される電圧Vと、変換器の第2の出力電流Iを他の抵抗Rで減衰させることにより生成される電圧Vとの差電圧V−Vである。
図1のDACにおいて、温度計コード化信号T1からTnは、2値温度計デコーダ6によって2値入力ワードD1からDmから導出される。デコーダ6は次のように動作する。
2値入力ワードD1からDmが最小値を有する時、温度計コード化信号T1からTnは、各差動スイッチ回路4−4がその第2の端子を選択して、すべての電流源2−2が第2の接続線に接続されるような信号である。この状態では、V=0で、V=nIRである。アナログ出力信号V−V=−nIRである。
2値入力ワードD1からDmの値が漸進的に増加する時、デコーダ6により生成される温度計コード化信号T1からTnは、既に選択されたいかなる差動スイッチ回路もその第1の端子が第2の端子に戻されることなしに、(差動スイッチ回路4から始まる)多くの差動スイッチ回路がそれぞれの第1の端子を選択するような信号である。2値入力ワードD1からDmが値iを有する時、最初のi個の差動スイッチ回路4−4はそれぞれの第1の端子を選択し、残りのn−i個の差動スイッチ回路4i+1−4はそれぞれの第2の端子を選択する。アナログ出力信号V−Vは(2i−n)IRに等しい。
図2に示すように、2値温度計デコーダ6によって発生される温度計コード化信号T1からTnは、r番目の信号Trが活性化される(“1”にセットされる)時にそれより下の順序の信号T1からTr−1も活性化されることが知られているいわゆる温度計コードに従う。
温度計コード化は電流ステアリング型のDACでは一般的であるが、それは2値入力ワードが増加した時に、既に線Aに切り換えられているいかなる電流源も他の線Bに切り換えられることなしに、より多くの電流源が第1の接続線Aに切り換えられるためである。従って、DACの入力/出力特性は単調であり、入力ワードにおける“1”の変化の結果起きるサージ衝撃(インパルス)が小さい。
図1の構成における電流源2と対応する差動スイッチ回路4の個数は非常に大きく、特にmが6以上の時には大きくなる。例えば、m=6の時には、n=63であり、63個の電流源と63個の差動スイッチ回路が必要である。このような多数の電流源を扱い、温度計信号を異なる差動スイッチ回路に効率よく配給するのを可能にするため、電流源と差動スイッチ回路を2次元のセルアレイとして配列し、各セルが1個の電流源と関係する差動スイッチ回路を有するようにすることが提案されている。この配列を図3に示す。
図3において、64個のセルCLijは、8個の行(ロウ)と8個の列(コラム)を有する8×8の正方形アレイに配置されている。図3において、各セルに付されているサフィックスの最初の数字は、そのセルの位置する行を表し、サフィックスの2番目の数字は、そのセルの位置する列を表す。従って、セルCL18は1行目の8列目にあるセルである。
各セルCLijは、それ固有の電流源2と固有の差動スイッチ回路4とを有する。図1のDACでは、図示のように、アレイのセルのそれぞれの第1の端子は、DACの第1の接続線Aに同時に接続され、アレイのセルのそれぞれの第2の端子は、DACの第1の接続線Bに同時に接続される。
アレイのすべてのセルにそれぞれ異なる温度計コード化信号を発生及び供給しなくてもよいようにするために、2段ステージのデコードプロセスが使用され、2値の入力ワードD1−D6が、異なるセルで必要な各温度計コード化制御信号Tに入力される。この2段ステージのデコードプロセスの第1のステージは、各行と列のデコーダ12と14により実行され、第2ステージは各セルに設けられたローカルデコーダ16により実行される。
2値入力ワードの下位3ビットD1−D3は列デコーダ14に印加され、列デコーダ14は図2に従って7個の温度計コード化列選択信号を導出する。行デコーダ12は、入力ワードの上位3ビットD4−D6を受け、同様に図2に従って7個の温度計コード化行選択信号を導出する。行と列の選択信号はアレイのセルに分配される。
各セルにおいては、ローカルデコーダ16が、行と列の選択信号を合わせて、関係するセルの差動スイッチ回路4用の必要なローカル制御信号Tを導出する。実際には、各セルのローカルデコーダ16が7個すべての行と列の選択信号を使用して必要なローカル制御信号Tを発生させる必要はない。これは、いかなるデジタル入力ワードに対しても、マトリクスの行は異なる3つの状態の1つ、すなわち(1)行のすべてのセルのそれぞれの差動スイッチ回路が第2の端子を選択する行、(2)行のすべてのセルのそれぞれの差動スイッチ回路が第1の端子を選択する行、(3)行の1個以上のセルの差動スイッチ回路は第2の端子を選択するが、行の1個以上の他のセルの差動スイッチ回路は第1の端子を選択する行である。これらの限定された可能性の観点から、各ローカルデコーダが、行選択信号rとrn+1の2つと列選択信号cn を単に合わせるだけでそのローカル制御信号Tを導出することが可能である。
図3においてセルCLijに割り当てられる数はシーケンスを示し、そのシーケンスでは、セルが活性化(又は制御)されて、それらのそれぞれの第2の端子の選択からそれらのそれぞれの第1の端子の選択に変化する。活性化シーケンスは、アレイ中のセルの物理的な順番に従い、行1から開始してその行のセルを列の順に順番に活性化し、次に行2を行うという具合にアレイの連続した各行に対して同様に行う。図3の配置で生じる1つの問題は、アレイの異なるセルのそれぞれの電流源2の出力電流は一様であるべきであるが、実際にはセルの実出力電流はいろいろな原因による非一様性の問題がある。
例えば、電源供給線に沿った電圧降下は、図4の(A)に示すように、行又は列に沿った階段状の誤差を生じる。この場合、関係する行又は列の第1の4個のセルにおける電流源は負の誤差を有し、その誤差により出力電流の平均の低下を生じる。これらの負の誤差は関係する行又は列の中心に向かって減少する。関係する行又は列の残りのセル5から8における電流源は、それぞれ正の誤差を有し、それらはそれぞれ出力電流の平均を上げる。これらの正の誤差は行又は列の中心から端に向かって増加する。
アレイを含むチップの内部の温度分布は、図4の(B)に示すように、行又は列内の対称な誤差を生じるようにできる。この場合、行又は列の端のセル1、2、7及び8での電流源は負の誤差を有するが、行又は列の中心のセル3から6の電流源は正の誤差を有する。
更に、ランダム誤差のような他のタイプの誤差があり得る。セルアレイの最終的な誤差分布は、異なる誤差要因をすべて重ね合わせて生成される。
図4の(A)と(B)に示した階段状で対称な誤差は、累積して大きな集積線型誤差(INL; Integral linearrity error)になる傾向にある。例えば、図4の(A)に示すように、階段状の誤差分布が、図3に示すセルアレイの第1の行内に存在すると仮定する。この場合、セル1から4が段々に活性化された(それぞれの第1の端子の選択から第1の端子の選択へ変化した)時、負の誤差が累積し、デジタル入力コードが4の時に、全体の負の誤差が大きくなる。セル5から8が順番に活性化される時だけ、これらのセルによる正の誤差が、セル1から4による大きな負の誤差を相殺し始める。
もちろん、その状態は列1から8のそれぞれに沿って図4の(A)に対応する階段状の誤差がある時には更に悪くなる。この場合、セル1から8が階段状に活性化される時、大きな負の誤差(図4の(A)の位置1における誤差)が行1の9個のセルのぞれぞれで生じる。同様に、行2において、図4の(A)の位置2に対応する負の誤差が8回累積する。このように、入力コードが32まで増加する時(行1から4のすべてのセルが活性化されるまでに対応する時)までには、累積された負の誤差は非常に大きくなる。
同様の問題が、図4の(B)に示した種類の対称な誤差の累積についても生じる。
これまで、セルアレイの行又は列内の階段状及び対称な誤差の累積の問題を解決しようとする各種の提案がなされてきた。例えば、IEEE Journal of Solid-State Circuits, Volume 26 No.4, April 1991, pp.637-642は、単一の行又は列内の階段状及び対称な誤差を相殺する「階層的な対称スイッチング」として言及された技術を開示している。しかしながら、そのような技術はセルアレイの異なる行と列内での階段状及び対称な誤差の累積の問題、すなわち2次元相殺(キャンセル)を取り扱う十分に満足な方法を提供しない。
本発明の第1の態様によれば、行と列に配列された相互に対応する複数のセルで作られたセルアレイと、所定の選択シーケンスでアレイのセルをそれぞれの順番位置に割り当て、それぞれの割り当てられた順番位置に従ってセルを選択し、割り当てられた順番位置はアレイの異なる行のシーケンス位置の合計を等しくする傾向にあるか及び/又はアレイの異なる列のシーケンス位置の合計を等しくする傾向にあり、行又は列に対するシーケンス位置の合計は関係する行と列におけるセルのそれぞれの順番位置の合計により決定される選択手段と、選択されたセルにより生成されるか又は関係する各アナログ量を累積する累積手段とを備えるセルアレイ回路が提供される。
このようなセルアレイ回路においては、セルアレイ内での階段状及び対称な誤差の影響が低減される。
セルは、異なるセルにより生成されるか又はそれに関係する各アナログ量の間のマッチング(一致)が必要な適当な形式のなんらかのアナログ回路を有する。例えば、各セルは、累積手段が選択されたセルの電流源により供給される各電流又はシンク回路の場合には選択されたセルのシンク回路によりシンク(抜き取られる)電流を累積する電流源又は電流シンク回路を有する。又は、各セルは容量要素を有し、その場合には累積手段は選択されたセルの容量要素により蓄積された各電荷を累積するように動作する。又は、各セルは抵抗要素を有し、その場合には累積手段は選択されたセルの抵抗要素の各抵抗を累積するように動作する。
選択手段は、例えば、割り当てられた順番位置が所定値より小さなアレイの各セルを同時に選択するように動作する。例えば、所定値がiの時には、割り当てられた順番位置が1、2、…、i−1のセルが選択される。この場合、所定値は選択手段に印加される選択信号(デジタル入力ワード)により決定されることが適当である。
しかし、選択手段がこのような方法でセルを選択することがかならずしも必要ではない。例えば、選択手段は、第1のグループのセルの個数が第2のグループのセルの個数の2倍である少なくとも第1と第2の2値重み付けグループ内のアレイのセルを選択するように動作するようにしてもよい。この形の選択は、2値重み付け容量が必要な「電荷分配(charge distribution) 」ADCで使用するのに適している。これらの2値重み付け容量は、セルアレイから容量セルの2の累乗数(すなわち、1、2、4、8、…)を選択し、相互に並列な選択されたセルを接続することにより形成できる。
好ましくは、少なくとも第1のグループにおいては、グループ内のセルは連続して割り当てられた順番位置を有する。これにより2個以上のセルを含む各グループ内で誤差が相殺されることを保証する助けになる。
もし割り当てられた順番位置が、アレイの丁度いくつかの行での各シーケンス位置の合計が等しくなる傾向にあるか、及び/又はアレイの丁度いくつかの列での各シーケンス位置の合計が等しくなる傾向にあれば有用である。しかし、各行が同一のシーケンス位置の合計を有するか又は各列が同一のシーケンス位置の合計を有するかということは必須のことではない。
しかし、割り当てられた順番位置は、アレイのすべての行での各シーケンス位置の合計が等しくなる傾向にあるか、及び/又はアレイのすべての列での各シーケンス位置の合計が等しくなる傾向にあることが望ましい。これは、異なるセルに関係する誤差を克服する上での効果を増加させる。
セルアレイが正方形(すなわち行数と列数が等しい)である時には、割り当てられた順番位置は、アレイのすべての行及びすべての列での各シーケンス位置の合計が等しくなる傾向にあることが望ましい。これが、例えば、割り当てられた順番位置がアレイの行数又は列数に等しい階数(order) の魔方陣における整数の分配に一致するように、割り当てられた順番位置をアレイ内で分配することにより実現される。
いくつかの実施例では、魔方陣は「全対角(pandiagonal) 」及び/又は「結合的(associative) 」である。これにより、セルの選択モードに依存する付加的な誤差相殺効果が得られる。
セルアレイが長方形(すなわち、行数と列数が異なる)である時には、行のシーケンス位置の合計が列のシーケンス位置の合計と同一である必要はない。その代わり、割り当てられた順番位置は、すべての行での各シーケンス位置の合計が等しくなる傾向にあり、且つすべての列での各シーケンス位置の合計が等しくなる傾向にあることが望ましい。
本発明の第2の態様によれば、第1及び第2のセルアレイであって、それぞれが行と列に配列された相互に対応する複数のセルで作られ、第2のセルアレイは第1のセルアレイに対して所定の位置関係に配置されている第1及び第2のセルアレイと、各セル組は第1のセルアレイからの第1セル及び第2のセルアレイからの個別に対応する第2セルを含み、第2セルアレイ内の第2セルの物理的な配置は第1セルアレイ内の対応する各第1セルの物理的な配置の所定の変形に対応する組内のアレイのセルを選択するセル組選択手段と、選択されたセル組の前記第1及び第2セルにより生成されるか又は関係する各アナログ量を累積する累積手段とを有するセルアレイ回路が提供される。
このようなセルアレイ回路においては、階段状及び/又は対称な誤差の影響が、最初のセルアレイ(第1のセルアレイ)と最初のセルアレイから導出される少なくとも1つの「変形」セルアレイ(第2のセルアレイ)の所定の配列における配置により低減できる。
2組の誤差(例えば、一方向の対称な誤差とそれに垂直な方向の階段状な誤差、又は2つの相互に垂直な方向のそれぞれにおける対称な誤差)を相殺するのに適している1つの実施例では、第1及び第2のセルアレイは第1の方向に離れており、第2のセルアレイの中心を通って第1の方向に伸びる第2のセルアレイの中心線は、第1のセルアレイの中心を通って第1の方向に伸びる第1のセルアレイの中心線と一直線である。この場合、所定の変形は、例えば、第1のセルアレイの中心線に対する反射(折り返し)、又は第1のセルアレイの180°の回転を含む。
他の2つの相互に垂直な方向のそれぞれにおける階段状な誤差の相殺に適しており、各セルアレイはその中心線の一方の側に第1の半分を、中心線の他方の側に第2の半分を有し、所定の変形は第1のセルアレイの第1の半分の第2のセルアレイの第2の半分への複写と、第1のセルアレイの第2の半分の第2のセルアレイの第1の半分への複写とを含む。
上記のように、2個のセルアレイを使用する実施例は2組の誤差を克服するのに効果的であるが、相互に垂直な1つ又は両方の方向における階段状及び対称な誤差の他の組合せの相殺を容易にするために、より多くのアレイを一緒に配置することも可能である。
例えば、セルアレイ回路は、それぞれが行と列に配列された相互に対応する複数のセルで作られ、第1のセルアレイに対して所定の位置関係に配置されている第3及び第4のセルアレイを更に有してもよい。この場合、セル組選択手段により選択された各セル組は、関係するセル組の第1セルに個別に対応する第3のセルアレイの第3セルと、関係するセル組の第1セルに個別に対応する第4のセルアレイの第4セルとを更に有する。そして、第3のセルアレイ内の第3セルの物理的な配置は第1セルアレイ内の対応する各第1セルの物理的な配置の所定の変形に対応し、第4のセルアレイ内の第4セルの物理的な配置は第1セルアレイ内の対応する各第1セルの物理的な配置の所定の変形に対応する。この場合、累積手段は、選択されたセル組の第1、第2、第3及び第4セルにより生成又は関係する各アナログ量を累積するように動作する。
例えば、4個のセルアレイを含む領域は、領域の原点で交わる第1及び第2の相互に垂直である軸により4個の象限に分割され、第1、第2、第3及び第4のセルアレイは4個の象限にそれぞれ配置されると考えられる。これらの第2、第3及び第4のセルアレイは、第1のセルアレイの単なる複写で、両方の軸に対称な誤差を相殺することを可能にする。
しかし、1つの好適な実施例では、第1及び第2の象限は第2の軸の同じ側にあり、第1及び第3の象限は第1の軸の同じ側にあり、第1のセルアレイは前記第1象限に配置され、第2のセルアレイは第1のセルアレイの第2の軸に対する反射であって第2象限内に位置する反射に対応し、第3のセルアレイは第1のセルアレイの第1の軸に対する反射であって前記第3象限内に位置する反射に対応し、第4のセルアレイは第1のセルアレイの180°の回転であって第4象限内に位置する回転に対応する。
このような形での第1、第2、第3及び第3のセルアレイの配置の結果、各セル組の対応するセルは原点に共通の重心を有する。この場合、両方の軸に並行な階段状及び対称な両方の誤差は相殺され、高い所望の効果が得られる。
セル組選択手段は、所定の選択シーケンスで各セルアレイの各順番位置のセルを割り当て、割り当てられた各順番位置に従ってセルを選択し、累積手段は選択されたセル組のセルにより生成されるか又は関係する各アナログ量を累積するように動作する。
各セルアレイに対して、割り当てられた順番位置は、関係するセルアレイにおけるセルの物理的な順番に適合する。又は、割り当てられた順番位置は、前述の本発明の第1の態様を組み込んだセルアレイ回路におけるそれらと適合する。この場合、第1の態様と関連させて説明した好ましい特徴のすべては、本発明の第2の態様の実施例においても任意に利点として含まれる。
図5は、本発明を実現したセルアレイ回路の部分を示す図である。図5のセルアレイ20は、電流ステアリング型のデジタル−アナログ変換器で使用するのに適している。図5において、図3のDACを参照して既に説明した要素に対応した要素には、図3で使用したのと同じ参照番号が使用されている。
セルアレイ回路20は、4行4列に配置された16個の個別のセルで作られているセルアレイ22を備える。各セルは、図5で11の番号が付されたセルで示したように、電流源2を備える。各セルはセル内に図5で×で示される出力ノードを有する。
セルアレイ22の各セルは、個々に対応するスイッチ回路4から416を有する。この実施例では、スイッチ回路4は、セルの外にあり、各セルの出力ノードは個々に対応するスイッチ回路4の入力ノードに接続されている。
各スイッチ回路は、それぞれの第1と第2の端子を有し、第1の端子は第1の合計接続線Aに接続され、第2の端子は第2の合計接続線Bに接続されている。
スイッチ回路4から416は、DAC(図示せず)のデコード回路からそれぞれの温度計コード化選択信号S1からS16を受ける。このデコード回路は、選択信号S1からS16を、(図1に示すように)DACの2値入力ワードから(1つのステージで)直接導出するか、又はデコード化の第1のステージを実行するようにそれぞれの行と列のデコーダを使用し、(図3に示したように)デコード化の第2のステージを実行するようにセルにそれぞれ対応するローカルデコーダを使用する2つのステージで導出する。
各スイッチ回路は、それに印加される選択信号が低論理レベルLを有する時にはその第2の出力端子を選択し、それに印加される選択信号Sが高論理レベルHを有する時にはその第1の出力端子を選択する。図5自体に示すように、選択信号S1とS2は共にHであり、残りの選択信号S3からS16はLである。このように、スイッチ回路4と4はそれぞれの第1の端子を選択し、残りのスイッチ回路はそれぞれの第2の端子を選択する。
図5のセルアレイ22のセルは、図3を参照してすでに説明した従来の選択シーケンスとは異なるシーケンスで選択される。特に、この実施例の選択シーケンスは、セルアレイ22の各行、列及び対角方向に対して、セルのそれぞれの選択シーケンスの位置の合計は同一である(この場合は34)。従って、例えば、1つの例として行1をとると、それぞれの選択シーケンスは合計が34になる1、15、14、4の位置である。同様に、列1のセルのそれぞれの選択シーケンス位置1、12、8及び13の合計は34になる。左上から右下への対角に沿うと、セルのそれぞれの選択シーケンス位置は1、6、11及び16で、合計が34になる。
図5に示した特別なセルアレイのレイアウトの有利な効果を理解するため、図6に示した表を考える。図6において、階段状の誤差が行方向(x方向)と列方向(y方向)の両方に存在すると仮定する。各行又は列の位置1に対する誤差が−2(単位)であると仮定し、各行又は列の位置2に対する誤差が−1であると仮定し、各行又は列の位置3に対する誤差が+1であると仮定し、各行又は列の位置3に対する誤差が+2であると仮定する。
図6において、表はセルの選択シーケンスにおける各順番の位置でのx誤差とy誤差を示す。所定の入力コードに応じて同時に選択されたこれらのセルに対して、それぞれのx誤差は合計が全x誤差Σxを生成し、それぞれのy誤差は合計が全y誤差Σyを生成する。図6から明らかなように、全x誤差Σxは、−2から+2の小さな範囲で変化し、全y誤差Σyも同様である。(全x誤差Σxと全y誤差Σyの合計である)全誤差Eは、−4から+3の小さな範囲で変化する。
比較のために、図7の(A)はセルアレイにおける選択シーケンスが図7の(B)に示すような場合の誤差値と累積を示す。この場合、全x誤差Σx、全y誤差Σy及び全誤差Eは、それぞれ図6に示した全誤差より大きな範囲で変化する。特に、全y誤差Σyは一貫して負であり、最悪の場合−12になる。更に、全x誤差Σxは、全y誤差Σyに比べて相対的に小さいが、一貫して負であり、そのためにすべての入力コードに対して全誤差Eを増加させる影響を有する。
同様の利点が、図5のセルアレイのセルにおける対称及び他の誤差に対しても得られる。
図5に示したセルアレイ22におけるセルの選択シーケンスでの順番の位置が、いわゆる魔方陣(magic square)における整数の順番に対応することが、数学者により認められている。このような魔方陣は、繰り返しなしに1からn2 の整数を有し、各行(左から右)、各列(上から下)及び2つの対角が同じ合計値を有する。数nは陣の階数(オーダー:order)、ベース、モジュール又は根(ルート)と呼ばれる。魔方陣においてどのような数学的な法則が数の配置を支配しているかはまだ分かっていない。既知の解が試行錯誤により発見されているだけである。
階数2の魔方陣はない。階数3の魔方陣を図8に示す。
図9の(A)から(H)に示すように、図8に示した魔方陣を変形することにより、階数3の他の魔方陣を作れることが認められている。これらの図で、図9の(A)は、開始点としての図8の魔方陣を示す。図9の(B)は、図9の(A)でBの矢印で示すように、図9の(A)の魔方陣を反時計方向に90°回転した結果を示す。図9の(C)と(D)は、図9の(A)でCとDの矢印で示すようにそれぞれ180°と270°の反時計方向の回転に関係する。図9の(E)から(H)は、図9の(A)の魔方陣をEからHの各種の軸に対して反射させた結果を示す。更なる魔方陣が、図9の(B)から(H)に示した基本的な回転と反射の組合せを使用して得られる。
回転と反射が除かれた、階数3の1個のユニークな魔方陣が存在する。しかしながら、より高い階数では、(回転と反射を除いた)配置の個数が増加する。第4階数の魔方陣(すなわち4行4列)は、回転と反射を除いて、その16個の数の可能な配置を880種有する。第4階数の魔方陣の行、列及び対角のそれぞれの数は合計34になる。
より高い階数の陣(第5階数及びそれ以上の階数)に対しては、異なる可能な配置の個数が急激に増加する。例えば、第5階数の陣は、回転と反射を除いて、275305224種の異なる配置を有する。
階数4の陣の場合、図10と図11は、図5に示した配置からそれぞれ異なる2個の択一的な可能性を示す。図10に示す配置は、中央の陣の4つの合計が13+8+3+10=34であり、4つの角(コーナー)の合計(7+14+9+4=34)及び4つの対角でない陣(例えば、上左の陣は7+12+2+13=34)も同様であるので、「全対角(pandiagonal) 」魔方陣と呼ばれる。更に、図12の(A)と(B)に示すように、同一の合計34は、図12の(A)の4つの位置aの数、4つのbの位置の数、又は4つのcの位置の数を加えることで得られ、又は図12の(B)の4つの位置dの数、4つのeの位置の数、又は4つのfの位置の数を加えることで得られる。
第5、第6及び第8階数の魔方陣の例を図13の(A)、13の(B)及び13の(C)にそれぞれ示す。第5階数の魔方陣に対しては、行、列及び対角の合計が65であり、第6階数の魔方陣に対しては、行、列及び対角の合計が111であり、第8階数の魔方陣に対しては、行、列及び対角の合計が260である。
図13の(A)を参照すると、中心に対向するいかなる組の数(例えば、7と19、20と6、1と25)の合計がn+1(この場合はnは5である。)になることが分かる。このような魔方陣は、「結合的(associative) 」と呼ばれる。図8に示した第3階数の魔方陣もこの特性を有し、従って結合的である。第4階数の陣は、結合的か全対角であるがその両方ではない。結合的で且つ全対角である最小の陣は、第5階数である。回転及び反射を除いて、結合的で且つ全対角である第5階数の陣は16個ある。
本発明の実施例は、セルアレイ内の選択シーケンスが、陣が結合的及び/又は全対角であるにかかわらず、適当な階数のどのような適切な魔方陣にも適合するように作ることができる。
更に、行、列及び2つの対角のすべての合計が正確に同一の値になるという意味において絶対に完全な「魔方陣」でなければならないというわけではない。例えば、図14の(A)に示した階数3の非魔方陣を使用できる。これは、図8の魔方陣において、数7と5を並び替えることで形成できる。この場合、行1から3と列1の数の合計は(図8に示すように)15であるが、列2と3の合計と2つの対角の合計は「標準(normal)」値15から少し異なり、13と17である。しかしながら、このような魔方陣への近似は、異なる行、列及び2つの対角における合計がほとんど同じであるので、なお本発明に基づく十分な利点を提供する。行、列及び対角における合計の間の偏差を小さくできるいかなる配置も本発明の目的に対して利点がある。
更に、同様の原理を(正方形でない)長方形のアレイに適用することもできる。例えば、図14の(B)は、2行3列の長方形のアレイを示す。この場合、列1から3に対する合計は同一の値7を有するが、行1と2に対する合成はそれぞれ10と11で、できるだけ近くする。この場合、列は行より少ないセルであるため、行と列に対して合計を同じにはできない。代わりに、異なる行の間の偏差を最小にし(この場合は1)、異なる列の間の偏差を最小にする(この場合は0)ようにすれば十分である。
図5に示したセルアレイ22においては、各セルは電流源2で構成される。このような電流源の構成の例を、図15に示す。図15では、電流源2はPMOS電界効果トランジスタ(FET)32を備え、そのソースは正の電源供給源Vddに接続され、そのゲートは所定のバイアス電位Vbiasを受けるように接続され、そのドレインは電流源の出力ノードOUTに接続されている。所定のバイアス電位Vbiasは、例えば、正の電源供給電位Vddに対して一定の電位差を有する。従って、トランジスタ32は常時オンしており、実質的に一定の電流Iをその出力ノードOUTに供給する。
もちろん、図5の各セル2は、電流源回路2の代わりに電流シンク(sink)を備えることもできる。この場合、FETでの実現においては、図15に示したトランジスタ32は、NMOSFETに変えられ、そのトランジスタのソースがVssのような負の供給線電位に接続される。この場合、Vbiasは、例えば、Vssから一定の電位差を有するVss以上の所定の基準電位を有する。
いずれにしろ、電流源又は電流シンクは、バイポーラトランジスタを使用して実現することもできる。
回路の電流容量を増加するように、電流源又は電流シンクを並行して形成するいくつかのトランジスタを使用することができる。例えば、並行に接続された4個のトランジスタを使用することができる。
本発明を実現するセルアレイの回路におけるセルが電流源又は電流シンクを有することは必要ではない。
例えば、図16に示した本発明の他の実施例では、各容量要素Cは、セルアレイ42の異なるセル44内に含まれる。各セル44は、個々に対応するスイッチ回路46から4616を有する。各スイッチ回路46の入力ノードはその対応するセル44の(図16で×で示される)出力ノードに接続される。この出力ノードは、セルにおける容量要素Cの底板である。
この実施例では、各スイッチ回路は3個の端子を有し、それぞれの第1端子は入力電圧VINを受けるように共通に接続され、それぞれの第2端子は負の基準電圧Vssに共通に接続され、それぞれの第3端子は所定の基準電位VREFを受けるように共通に接続されている。各スイッチ回路46は、そこに印加される選択信号Sに応じて、その入力ノードをその第1、第2及び第3端子の1つに接続するように制御可能である。
異なるセルにおける容量要素Cの各上板は、比較器48の第1の入力に共通に接続されている。この第1の入力は、スイッチ要素50を介してVssにも接続されている。比較器48の第2の入力はVssに接続されている。デジタル出力信号Dは比較器48の出力に生成される。
図16に示すセルアレイ回路は、いわゆる「電荷再分配(charge redistribution) 」原理に従って動作する連続近似アナログ−デジタル変換器(successive-approximation analog-to-digital converter)(ADC)での使用に適している。このような連続近似ADCは、2値重み付け容量を有するデジタル−アナログ変換器(DAC)を使用する。更に、この型式の容量DACに関する情報は、例えば、IEEE Journal of Solid State Circuits, Vo. Sc-14,pp.920-926, December1979に記載されている。
図16の実施例では、5個のそのような2値重み付け容量CからCは、図16の右上側に示すように、異なるセルにおける容量要素Cとして設けられている。容量Cは、セル1の容量要素Cとして単独で設けられている。容量Cは、セル2の容量要素Cとして単独で設けられている。容量Cは、セル3と4の各容量要素Cとして並行に設けられている。容量Cは、セル5から8の各容量要素Cとして並行に設けられている。容量Cは、セル9から16の各容量要素Cとして並行に設けられている。容量CからCの容量値の比率は、1:1:2:4:8である。
図16のセルアレイ回路40は、次のように動作する。最初、回路のサンプリングモードでは、容量CからCのすべての上板がスイッチ要素50を使用してVssに接続され、スイッチ回路46から4616をそのすべてが各第1の端子を選択するように制御することによりすべての下板が入力電圧VINを受けるように接続される。
次に、スイッチ要素50がオフし、すべての下板がVssに接続され、上板電圧VTOPが、サンプルされた入力電圧VINの負、すなわちVTOP=−VINに等しくなる。
次に、アナログ−デジタル変換処理を説明する。この処理では、上板電圧VTOPが0になるには、容量CからCのどれがその底板をVssからVREF電位に変化させなければならかいかが特定される。この決定は、2値サーチアルゴリズムに従って行われる。
例えば、2値サーチアルゴリズムの第1のステップでは、デジタル出力ワードの最上位ビットを決定するのに使用され、Cの底板がVSSからVREFに切り換えられ、上板電圧VTOPが1/2VREFに等しい量だけ増加する。これが、容量Cを形成する各容量要素を有するセル9から16に対応するスイッチ回路46から4616を、その選択が(Vssに接続される)第2端子から(VREFに接続される)第3端子に並列して変化するように動作させることで実行される。容量48の出力Dは、上板電圧VTOPとVssの間の差の極性を示し、それが次にはデジタル出力ワードの最上位ビットの値を決定する。
デジタル出力ワードの残りのビットは、同様の方法を反復して決定される。
図17は、セルアレイ回路60がそれぞれが抵抗要素Rを含む個別のセル64を形成するセルアレイ62を含む本発明の更に別の実施例を示す。この実施例では、バス70が異なるセル64とセレクタ回路72の間の接続を形成するのに使用される。セレクタ回路72は、バス70の各バスライン70から7017に接続される入力IからI17を有する。最初と最後のバスライン70と7017は、それぞれセルアレイ回路のノードNとNに接続されている。各セル64の抵抗要素Rは、相互に隣接するバスラインの間に、接続線66と68を介して直列に接続されている。例えば、セル1の抵抗要素Rは、バスライン70と70の間に直列に接続されている。
セレクタ回路72は、そこに印加されるデジタル選択ワードSに応じて、その入力I1 からI17の1つとセルアレイ回路60の出力ノードOUTに接続される出力Oの間の接続を形成するように選択的に制御可能である。例えば、図17自体に示すように、セレクタ回路72がその入力Iをその出力Oに接続する時、回路の第1のノードNと回路の出力ノードOUTの間に直列に接続される抵抗要素の個数は(セル1と2の抵抗要素の)2であり、ノードNとOUTの間に接続される抵抗要素の個数は(セル3から16に含まれる抵抗要素の)14である。
図17の右側に示すように、本実施例のセルアレイ回路はデジタル的に制御可能なポテンショメータとして機能し、出力タップの位置はデジタル選択ワードSの値によって決定される。例えば、ノードNとNは、それぞれ第1の電源供給線Vddと第2の電源供給線Vssに接続される。もし望むなら、定電流発生器を、一方ではノードNとNの1つと、他方ではノードに接続される電源線の間に配置してもよい。
図11の各セルの抵抗要素Rは、例えば、図18に示したディプリーション型MOSFETにより形成される。もしより大きな電流容量が必要であれば、そのようなトランジスタをいくつか並列に接続する。
図5を参照して説明した第1の実施例では、セルが連続して選択される時に加算される量は電流である。図16を参照して説明する第2実施例では、加算される量は電荷である。図16を参照して説明する第3実施例では、加算される量は抵抗である。しかし、本発明はこのような3つの量の加算に限定されるものではない。適当なアナログ量であれば、本発明を適用したセルアレイ回路での加算に使用できる。このように、本発明は、名目上だけ一致したセルによって生成又は関係する各アナログ量がある方法で累積又は加算されなければならないいかなる状況でも有効に適用できる。
図5、16及び17を参照して説明した実施例では示さなかったが、もし望むなら、いかなるデコード回路の部分と同様にそれぞれに関係するスイッチ回路を一体化することもできる。しかし、個別のセルの大きさを最小にし、それにより(その動作状態を等しくするように)セルが互いに物理的に近接するようにするには、通常はスイッチ回路及びデコード回路がセルの外にあることが望ましい。
本発明の第4実施例を、図19を参照して説明する。この本発明の更なる態様に従った実施例では、4個の長方形(又は正方形)のセルアレイが所定の配置で配置され、やはりアナログ量の加算において発生する誤差の影響を最小にすることを目的とする。
まず図19を参照して、行と列に複数の個別のセルが配置されて作られている第1のセルアレイ100が第1象限に配置されている。アレイ100の2個のセルA1とB1が図19に示され、セルA1はx方向とy方向に近接したエッジからそれぞれ距離AxとAy離れており、セルB1はx方向とy方向に近接したエッジからそれぞれ距離BxとBy離れている。
次に、図20に示すように、第2のセルアレイ102が第2象限に配置される。第2のセルアレイ102におけるセルの配置は、第1のセルアレイ100をy軸に対して反射させ、次に反射したものを第2象限に移すことにより生成される。これにより、第1のセルアレイ100の表示したセルA1とB1にそれぞれ対応する第2のセルアレイ102の表示したセルA2とB2は、図20に示すように配置される。
次に、図21に示すように、第3のセルアレイ104が第3象限に配置される。第3のセルアレイ104におけるセルの配置は、第1のセルアレイ100をx軸に対して反射させ、次に反射したものを第3象限に移すことにより生成される。セルアレイ100の表示したセルA1とB1にそれぞれ対応するセルA3とB3は、図21に示される。
最終的に、図22に示すように、第4のセルアレイ106が第4象限に配置される。第4のセルアレイ106におけるセルの配置は、第1のセルアレイ100を原点の回りに180°回転させることにより生成される。第1のセルアレイ100の表示したセルA1とB1にそれぞれ対応するセルA4とB4は、図21に示される。
図22に示した構成で第1、第2、第3及び第4のセルアレイ100から106を配置した結果、4個のセルアレイの対応する表示したセルは原点に共通の重心を有する。例えば、4個の表示したセルA1からA4を考えると、A1とA4は両方ともy軸からその反対側に同一距離Axだけ離れており、セルA2とA3もy軸からその反対側に同一距離だけ離れている。同様に、A1とA4はx軸からその反対側に同一距離だけ離れており、セルA2とA3も同様である。
これにより、A1とA4に起因するx方向におけるいかなる階段状の誤差も相互に相殺しあう。A2とA3に起因するx方向におけるいかなる階段状の誤差も相互に相殺しあう。同様のことがy方向の回想的な誤差についてもいえる。
しかし、y方向においては、A1は4個のセルアレイ100−106が占める領域の上側エッジから、A2がy方向に中心線から(すなわちx軸から)離れているのと同一の距離Ayだけ離れている。従って、A1とA2に起因するいかなる対称なy方向の誤差も相互に相殺しあう。同様のことが、y方向におけるA3とA4、x方向におけるA1とA3及びA2とA4に対してもいえる。
4個のアレイの対応するセルの他の各組についても同様のことがいえる。
第1のセルアレイ100内のセルの選択シーケンス(これが第1のセルアレイ100から導出される他のセルアレイ102、104及び106内の各選択されたシーケンスを順番に決定する。)は、重大なことではない。例えば、図3に示すように、従来の(すなわち、行1の列、それに続いて行2の列という具合の)選択シーケンスで、単にセルを選択することも可能である。しかし、好ましくは、第1のセルアレイ100内の選択シーケンスは、図5から14の(B)を参照してこれまで説明したように、上記の本発明の第1の態様の基礎をなす原理に従って、決定することが望ましい。この場合、個別の各セルアレイ内の階段状、対称な及び他の誤差は、4個のセルアレイで占められる領域に渡って存在する誤差と同様に全体として補償される。
図23は、セルの各組に属する4個の異なるセルを結合し選択できる方法の例を示す。図23に示すように、4個の対応するセルの各組は個別に対応するスイッチ回路4を有する。例えば、4個のセルA1からA4の組は、個別に対応するスイッチ回路4を有する。
この例で、セルは各定電流源2で構成され、組の4個のセルは対応するスイッチ回路の入力に接続される共通の接続線110に接続される。
図15を参照してすでに説明したように、各セルは単一のトランジスタ又は並列に接続した複数のトランジスタで構成できる。例えば、各セルは4個の並列に接続されたp型FETを備える。
図16及び図17を参照してすでに説明したように、図23の4個のセルアレイ内のセルは、定電流源を備える必要はない。それらは、代わりに定電流シンクを備えることができる。更に、それらは、図16に示したように容量要素C又は図17に示したように抵抗要素Rを備えることもできる。この場合、セルからスイッチ回路への接続は、図16及び図17に従って変形するのが適当できる。
本発明の第2の態様に基づく十分な利点は、2個のセルアレイによって占められる領域にある誤差の組合せに依存し、ちょうど2個のセルアレイを使用することで得られる。例えば、2個のセルアレイ100と102をアレイ104と106を使用せずに用いる。この場合、x方向の階段状の誤差は相殺され、y方向の対称な誤差が相殺される。同様に、図22の2個のセルアレイ100と104をアレイ102と106を使用せずに用いる。この場合、x方向の対称な誤差が相殺され、y方向の階段状の誤差が相殺される。
他の有用な実施例は、図22の2個のセルアレイ100と106だけを使用してそれらを第1及び第2象限にそれぞれ配置することで作られる。この場合、x方向とy方向の両方の階段状の誤差は相殺される。同様の効果はセルアレイ100と106だけを使用してそれぞれを第1及び第3象限に配置することで達成できる。
図24は、第1のセルアレイ100が第1及び第3象限を横切って等しく分けられる他の実施例を示す。象限1の部分は、それを回転および反射させることなしに象限4にコピー(複写)され、象限3の部分はそれを回転および反射させることなしに象限2にコピーされる。この結果、x方向とy方向の両方の対称な誤差が相殺される。
他の可能性は4個の同一のセルアレイ100をそれぞれ象限1から4に配置することである。これは、x方向とy方向の両方の対称な誤差を相殺する効果を有する。
本発明の第2の態様の実施例では、セルアレイが相互に直接隣接するように配置される必要はない。例えば、図22の実施例では、アレイ100と102は、DACの他のセルのような別の回路を配置するスペースを残すように、アレイ104と106からx方向に離すこともできる。
以上説明したように、本発明によれば、異なる行と列内での階段状及び対称な誤差の累積を2次元的に相殺する高精度のセルアレイ回路が提供される。
従来の電流テアリングDACの部分を示す図である。 どのようにして温度計コード化信号を図1のDACの2値入力ワードから導出するかを説明するのに使用される表である。 DACにおける使用をあらかじめ考慮したセルアレイ回路の部分を示す図である。 図3のセルアレイ回路での階段状及び対称な誤差の発生を説明するのに使用する概略図である。 本発明の第1実施例のセルアレイ回路を示す図である。 図5の実施例における階段状及び対称な誤差の影響を説明するのに使用する表である。 図6の表と比較するための、本発明を組み込んでいないセルアレイ回路における階段状及び対称な誤差の影響を示す表と、従来のセルアレイ回路の例を示す図である。 3×3の魔方陣の一例を示す図である。 図8の魔方陣を変形して別の魔方陣を作る方法を説明するのに使用される図と、それによって作られた各魔方陣を示す図である。 4×4の魔方陣の一例を示す図である。 4×4の魔方陣の一例を示す図である。 図10の魔方陣の特性を説明するのに使用される図である。 5×5、6×6及び8×8の魔方陣の例を示す図である。 別の3×3の魔方陣及び3×2の長方形の魔方陣の例を示す図である。 図5のセルアレイ回路のセルの1つの構成の一例を示す図である。 本発明の第2実施例のセルアレイ回路の部分を示す図である。 本発明の第3実施例のセルアレイ回路の部分を示す図である。 図17のセルアレイ回路のセルの1つの構成例を示す図である。 本発明の第2の態様を組み込んだセルアレイ回路の原理を説明するのに使用する図である。 本発明の第2の態様を組み込んだセルアレイ回路の原理を説明するのに使用する図である。 本発明の第2の態様を組み込んだセルアレイ回路の原理を説明するのに使用する図である。 本発明の第2の態様を組み込んだセルアレイ回路の原理を説明するのに使用する図である。 本発明の第4実施例のセルアレイ回路を示す図である。 本発明の第5実施例のセルアレイ回路を示す図である。
符号の説明
1 DAC
2、21 〜2n 電流源
4、41 〜4n スイッチ回路
6 温度計デコーダ
20 セルアレイ回路
22 セルアレイ

Claims (15)

  1. 第1、第2、第3及び第4のセルアレイであって、それぞれが行と列に配列された相互に対応する複数のセルで作られ、前記第2、第3及び第4のセルアレイのそれぞれは前記第1のセルアレイに対して所定の位置関係に配置され、各セルはそれぞれのアナログ量を規定する回路を含む第1、第2、第3及び第4のセルアレイと、
    組内の前記アレイの前記セルを選択するセル組選択手段であって、各セル組は、前記第1のセルアレイからの第1セル、関係するセル組の前記第1セルに個別に対応する前記第2のセルアレイからの第2セル、関係するセル組の前記第1セルに個別に対応する前記第3のセルアレイからの第3セル、及び関係するセル組の前記第1セルに個別に対応する前記第4のセルアレイからの第4セルを含むセル組選択手段と、
    選択されたセル組の前記第1、第2、第3及び第4セルにより規定される各アナログ量を累積する累積手段と、を備え、
    前記第2のセルアレイ内の第2のセルの物理的な配置は、前記第1セルアレイ内の対応する各第1セルの物理的な配置の所定の変形に対応し、前記第3のセルアレイ内の第3のセルの物理的な配置は、前記第1セルアレイ内の対応する各第1セルの物理的な配置の所定の変形に対応し、そして前記第4のセルアレイ内の第4のセルの物理的な配置は、前記第1セルアレイ内の対応する各第1セルの物理的な配置の所定の変形に対応し、
    前記4個のセルアレイを含む領域は、該領域の原点で交わる第1及び第2の相互に垂直である軸により、4個の象限に分割され、前記第1、第2、第3及び第4のセルアレイは、前記4個の象限にそれぞれ配置され、
    前記第1及び第2の象限は前記第2の軸の同じ側にあり、前記第1及び第3の象限は前記第1の軸の同じ側にあり、
    前記第1のセルアレイは前記第1象限に配置され、
    前記第2のセルアレイは、前記第1のセルアレイの前記第2の軸に対する反射であって前記第2象限内に位置する反射に対応し、
    前記第3のセルアレイは、前記第1のセルアレイの前記第1の軸に対する反射であって前記第3象限内に位置する反射に対応し、
    前記第4のセルアレイは、前記第1のセルアレイの180°の回転であって前記第4象限内に位置する回転に対応することを特徴とするセルアレイ回路。
  2. 請求項に記載のセルアレイ回路であって、
    前記セル組選択手段は、所定の選択シーケンスで各セルアレイの各順番位置の前記セルを割り当て、割り当てられた各順番位置に従って前記セルを選択するように動作し、前記累積手段は前記選択されたセル組の前記セルにより生成されるか又は関係する各アナログ量を累積するように動作するセルアレイ回路。
  3. 請求項に記載のセルアレイ回路であって、
    各セルアレイに対して、前記割り当てられた順番位置は、関係する前記セルアレイにおける前記セルの物理的な順番に適合するセルアレイ回路。
  4. 請求項に記載のセルアレイ回路であって、
    各セルアレイに対して、前記割り当てられた順番位置は、関係する前記アレイの異なる行に対するそれぞれのシーケンス位置の合計を等しくする傾向又は関係する前記アレイの異なる列に対するそれぞれのシーケンス位置の合計を等しくする傾向にあり、行又は列に対する前記シーケンス位置の合計は関係する前記行又は列における前記セルの各順番位置を合計することにより決定されるセルアレイ回路。
  5. 請求項に記載のセルアレイ回路であって、
    前記割り当てられた順番位置は、前記アレイのすべての行に対するそれぞれのシーケンス位置の合計を等しくする傾向又は前記アレイのすべての列に対するそれぞれのシーケンス位置の合計を等しくする傾向にあるセルアレイ回路。
  6. 請求項に記載のセルアレイ回路であって、
    前記セルアレイは、同じ行数と列数を有し、前記割り当てられた順番位置は前記アレイのすべての行及び列に対するそれぞれのシーケンス位置の合計を等しくする傾向にあるセルアレイ回路。
  7. 請求項に記載のセルアレイ回路であって、
    前記アレイ内の前記割り当てられた順番位置の配置は、前記アレイの行又は列の個数に等しい階数の魔方陣内の整数の配置に適合するセルアレイ回路。
  8. 請求項に記載のセルアレイ回路であって、
    前記セルアレイの行数と列数は異なり、前記割り当てられた順番位置は、すべての行に対するそれぞれのシーケンス位置の合計を等しくする傾向にあり、且つすべての列に対するそれぞれのシーケンス位置の合計を等しくする傾向にあるセルアレイ回路。
  9. 請求項1からのいずれか1項に記載のセルアレイ回路であって、
    各セルは電流源又は電流シンク回路を有し、前記累積手段は前記選択されたセルの前記電流源又はシンク回路により供給又は抜き取られる各電流を累積するように動作するセルアレイ回路。
  10. 請求項1からのいずれか1項に記載のセルアレイ回路であって、
    各セルは容量要素を有し、前記累積手段は前記選択されたセルの前記容量要素に蓄積された各電荷を累積するように動作するセルアレイ回路。
  11. 請求項1からのいずれか1項に記載のセルアレイ回路であって、
    各セルは抵抗要素を有し、前記累積手段は前記選択されたセルの前記抵抗要素の各抵抗を累積するように動作するセルアレイ回路。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載のセルアレイ回路であって、
    各セルアレイにおいて、前記セル組選択手段は、前記割り当てられた順番位置が所定値より小さい前記アレイの各セルを同時に選択するように動作するセルアレイ回路。
  13. 請求項12に記載のセルアレイ回路であって、
    前記所定値は、前記セル組選択手段に印加される選択信号により決定されるセルアレイ回路。
  14. 請求項1から11のいずれか1項に記載のセルアレイ回路であって、
    前記セル組選択手段は、少なくとも第1及び第2の2値重み付けグループにおける各セルアレイの前記セルを選択するように動作し、前記第1グループにおけるセルの個数は前記第2グループにおけるセルの個数の2倍であるセルアレイ回路。
  15. 請求項14に記載のセルアレイ回路であって、
    少なくとも前記第1のグループにおいては、そのグループにおける前記セルが連続して割り当てられた順番位置を有するセルアレイ回路。
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