JP4072849B2 - 演奏独習装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、演奏独習装置に関し、特に、演奏曲中の練習箇所を指定して効率的な練習を行わせることができる演奏独習装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記憶媒体に記憶された演奏データをパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」という)で再生して画面上に順次譜面を表示して演奏指示をする装置が知られる。例えば、特開平9−305171号公報には、鍵盤の図形を画面に表示すると共に、表示された鍵盤の各鍵に対応して押鍵から離鍵までの範囲をスクロールバーで表示し、このスクロールバーを自動演奏データの再生に従って鍵盤図形に近付けていくようにスクロールさせる演奏指示装置が開示されている。
【0003】
この演奏指示装置によれば、前記スクロールバー表示によって、押鍵時間を直感的に認識できるし、現在押鍵している演奏データのあとに続く演奏データを予知できるので、スムーズな演奏が期待できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の演奏指示装置で演奏者が知り得るのは、譜面に記載された音符や音部記号等から読みとれる情報や演奏タイミングを示す情報のみである。しかし、指使い等、より高度な演奏テクニックは譜面からは理解できない。また、初心者は、譜面に表された記号の意味を理解できないこともある。以下の説明では、初心者が理解できない譜面上の記号の解説や、譜面には現れていないテクニック等を「アドバイス情報」という。
【0005】
このように、実際に上手に演奏するためには、譜面で表される情報以外にも知らなければならない事項があるが、従来の演奏指示装置では、これらの情報を伝え切れない。そこで、これら譜面に記載されていない情報を、演奏者が必要に応じて検索できる手段が望まれる。
【0006】
本発明は、上記要望に応え、練習中に必要に応じて譜面に記載されている情報以外の情報を検索できる演奏独習装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決し、目的を達成するための本発明は、演奏データに基づいて作成された楽譜情報を表示して演奏指示を行う演奏独習装置において、前記楽譜情報とともに演奏のためのアドバイス情報の存在を知らせるアドバイスアイコンを表示する手段と、前記アドバイスアイコンの操作に応答して該アドバイスアイコンが表示された位置にある楽譜情報に関連するアドバイス情報を検索して表示する手段とを具備した点に第1の特徴がある。
【0008】
また、本発明は、前記アドバイス情報がインターネットを通じて検索される点に第2の特徴がある。
【0009】
上記特徴によれば、演奏者は表示された楽譜情報を見ながら演奏しているときに、アドバイスアイコンを見つけたならばそのアイコンを操作できる。したがって、演奏中に表示されている譜面による演奏で知りたいことがあれば、アイコンを操作して演奏テクニック等のアドバイス情報を検索することができる。
【0010】
特に第2の特徴によれば、インターネットを通じてアドバイス情報を入手して表示できるので、数多くのアドバイス情報を予め当該演奏独習装置の記憶装置に準備しておく必要がない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る演奏独習装置の構成を示すブロック図である。同図において、パソコン1は、パソコン本体11と、入力装置としてのキーボード12およびマウス13と、出力装置としてのディスプレイ14とを備える。パソコン本体11は、ハードディスクやROM・RAM等を備えた周知の構成を有する。MIDI信号を入出力できるインタフェースを備えるのが好ましい。
【0012】
鍵盤楽器2は鍵盤21とサウンドシステム22とを備える。鍵盤楽器2は鍵盤21の押鍵および離鍵を検出する検出回路23と、押鍵および離鍵の検出情報に応じて楽音を生成する音源装置24とを備える。検出回路23で鍵盤21の押鍵・離鍵が検出されると、押鍵位置(ノートナンバ)、押鍵長さ、および押鍵速度(ベロシティ)等に基づいて音源装置24で楽音が生成され、サウンドシステム22を通じて出力(発音)される。鍵盤楽器2にもMIDIインタフェースを備えるのがよい。鍵盤楽器2の全体動作は、図示しないマイクロコンピュータで制御される。
【0013】
パソコン本体11と鍵盤楽器2は、互いに信号を送受信することができるように、図示しないインタフェース(例えば、MIDIインタフェース)を介して接続される。
【0014】
上記演奏独習装置において、練習曲は外部から供給することもできるし、予めハードディスク等に格納しておくことができる。練習曲はキーナンバ、押鍵・離鍵データ(キーオンタイム、キーオフタイム)、ベロシティ、テンポデータ等の演奏データとして準備される。演奏データには上記データ以外のものも含められる。
【0015】
演奏指示情報つまり押鍵指示情報が演奏データに基づいて作成され、ディスプレイ14上に表示される。図3は、ディスプレイ14上に表示された押鍵指示の一例を示す図である。同図において、画面の下部に鍵盤図形Kが表示される。押鍵指示が鍵盤のどの鍵に対応するかを見やすくするため、画面の下部だけでなく上部にも鍵盤図形Kを表示することができる。鍵盤21のどの鍵を弾くかが鍵盤図形Kの上方に押鍵指示マークMで記述される。押鍵指示マークMは、例えば2小節分の音符について、音の長さが理解できる長さでノートナンバに対応した鍵の位置に表示される。例えば、4分音符は8分音符の2倍の長さで示され、白鍵を弾くマークMは黒鍵を弾くマークMより幅広く表示する。
【0016】
画面は上下が時間軸であり、押鍵指示マークMは演奏に伴って下方にスクロールされる。押鍵指示マークMは鍵盤図形Kに近いほど、早い時期に弾くべき楽音であることを示す。下端が鍵盤図形Kに達している押鍵指示マークMに対応する鍵が現在弾かれているべき鍵である。
【0017】
押鍵指示の表示手法については、本出願人の出願に係る特願2001−352206号明細書に詳細に記載されており、本実施形態にも適用できる。なお、時間軸上に並ぶ複数の押鍵指示マークをスクロールするものに限らず、例えば、押鍵毎に押鍵指示画面の切り換えを行っていくのでもよい。この画面のスクロールや画面の切り替えでは、画面に予定数(例えば2小節分)の譜面情報が収まるようにするのがよい。
【0018】
押鍵マークMに対し、必要に応じて感嘆符(以下、「アドバイス・アイコン」と呼ぶ)EMが表示される。このアドバイス・アイコンEMは、押鍵指示マークMでは表しきれない演奏上のテクニックや留意する事項(アドバイス情報)を検索するための指示手段である。演奏者は演奏中にこのアドバイス・アイコンEMをマウス13で指示することにより、指使い等、演奏上のテクニックを示す画面を呼び出すことができる。
【0019】
次に、フローチャートを参照して演奏独習装置の処理を説明する。図4は、メインフローチャートである。ステップS1では、ディスプレイ14に画像を表示するためのVRAMやタイマのクリア等を含むパソコン1の初期化を行う。ステップS2では、練習曲を選択する。例えば、ディスプレイ14に練習曲のリストを表示し、演奏者はキーボード12やマウス13を使って曲を選択する。選択された曲の演奏データはパソコン本体11のRAMに読み込まれる。曲が選択されたならば、ステップS3に進み、レッスンを開始する。レッスン開始は練習曲が選択されたら所定時間後に自動開始するのでも良いし、キーボード12等からレッスン開始指示を入力するのでもよい。
【0020】
ステップS4では、演奏データに従って生成された押鍵指示をディスプレイ14上に表示する。この押鍵指示に併せて、演奏データ中に記述されているアドバイス・アイコンEMも表示する。
【0021】
ステップS5では演奏データに含まれる楽音、つまり伴奏音やメトロノーム音を再生する。再生音は鍵盤楽器2の音源装置24やサウンドシステム22を用いて発音することができる。ステップS6では、演奏者の演奏結果を鍵盤楽器21からパソコン1に入力する。押鍵の評価と押鍵指示用のポインタを更新するためである。ステップS4〜S6はタイマ割り込みで処理される。
【0022】
ステップS7では、アドバイス閲覧指示が入力されたか、つまりアドバイス・アイコンEMが指示されたか否かが判断される。アドバイス閲覧指示があったと判断されれば、ステップS8に進み、指示されたアドバイス・アイコンEMに対応するアドバイス情報をディスプレイ14に表示する。アドバイス情報の閲覧ページは、パソコン本体11の記憶装置(ハードディスク・ROM等)に限らずインターネット上のウェブサイトにアクセスして入手するものでもよい。
【0023】
ステップS9では、アドバイス情報表示終了か否かが判別される。情報表示終了アイコンがアドバイス情報表示画面上に表示されるようにしておき、この情報表示終了アイコンが操作されると、ステップS9は肯定となる。
【0024】
ステップS10では、予定されたレッスンが終了したか否かを判断する。曲全体をレッスン対象としてもよいが、予め小節等、曲の部分を指定してそれをレッスン対象としてもよい。指定された演奏データについてすべて演奏された場合にステップS10は肯定となり、ステップS11に進む。レッスンが終了していない場合はステップS10からステップS4に進む。
【0025】
ステップS11では、前記ステップS6で読み込まれた演奏結果の評価が合格基準に達しているかどうかの判定がなされる。ステップS12では、練習を続行するか否かが判別される。所定の待ち時間内に練習続行の指示がなければこの処理を終え、練習続行の指示があればステップS3に進む。練習続行の指示はキーボード12から、もしくは画面上に表示することができる続行アイコンを指示することによって入力できる。
【0026】
図5は、アドバイス情報を検索するための情報の構造例であり、アドバイス・アイコンEMに対応づけられて演奏データ中に保持される。図中、「タイミング」は曲先頭からの時間であり、「記号ID」は表示された譜面上の楽音や記号、領域等を特定する識別コードである。アドバイス情報の閲覧ページは、パソコン本体11の記憶装置上だけでなく、インターネット上のサーバにも保持できるので、閲覧ページのリンクアドレスとして、ハードディスク上のファイル名やインターネット上のウェブサイトのURLが記述される。
【0027】
図6(a)は押鍵指示情報を楽譜上に示したものである。線L1で押鍵タイミングを示す。つまりこの線L1で現在演奏されるべき楽音が示される。そして、この楽音に対応する鍵盤図形K上の鍵を示すマークP1が付加されている。線L1は画面右に移動して演奏すべき楽音を指示する。このような押鍵指示情報の上にアドバイス・アイコンEMが示される。アドバイス・アイコンEMはペダルマークのそばに配置されていて、このペダルマークの解説がアドバイス情報として検索可能であることを示す。
【0028】
図6(b)には、図6(a)におけるアドバイス・アイコンEMの選択に応答して検索された解説の一例を示す。
【0029】
図7は、ディスプレイ14に表示されたアドバイス情報の別の例を示す図である。図7(a)は押鍵指示情報を楽譜上に示したものである。アドバイス・アイコンEMは音符の上に記載されており、演奏のテクニックがアドバイス情報として検索可能である。
【0030】
図7(b)は図7(a)におけるアドバイス・アイコンEMの解説を示す。ここでは、指使いのうち、「指くぐり」と呼ばれるテクニックの解説が示されている。
【0031】
図1は、実施形態に係る押鍵楽音データの処理を示す要部機能ブロック図である。閲覧指示判別部3はアドバイス・アイコンEMが操作されると、ファイル名記憶部4を検索して閲覧ページが存在するファイル名を判別する。判別されたファイル名は通信部5に通知され、通信部5はこのファイル名に基づいてパソコン本体11内の記憶装置であるハードディスク6またはインターネット7上のウェブサイトにアクセスしてアドバイス情報を取得する。取得されたアドバイス情報は閲覧ページ表示部8に設定されたソフトウェアを使用してディスプレイ14に表示される。
【0032】
アドバイス情報を表示する際には、現在表示されている押鍵指示情報に代えてアドバイス情報を表示しても良いが、押鍵指示情報はそのままにしてアドバイス情報をその上に重ねて表示させても良い。アドバイス情報は、文字情報のみでもよいし、例えば、指使いを解説するアニメーション画像や写真であってもよい。なお、アドバイス情報の存在を知らせるアドバイスアイコンは、図形に限らず文字ないし文字列を含む。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1または請求項2の発明によれば、演奏者は演奏中にアドバイスアイコンを見つけたときに必要に応じてアドバイス情報を得ることができる。したがって、奏法等の不明な点を逐次理解しながら練習を進めることができるので、早い上達が望める。初心者が理解できない譜面上の記号の解説や譜面には現れていないテクニック等をアドバイス情報とすることで、充実した演奏指示を実現することができる。
【0034】
特に、請求項2の発明によれば、インターネットを通じてアドバイス情報を得ることができるので、演奏独習装置に備えた記憶媒体に蓄積するデータ量を少なくすることができるし、広く情報を検索することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る演奏独習装置の要部機能を示すブロック図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る演奏独習装置のシステム構成図である。
【図3】 押鍵指示の表示例を示す図である。
【図4】 演奏独習装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】 アドバイス情報検索用データの例を示す図である。
【図6】 押鍵指示情報および検索されたアドバイス情報の表示例を示す図である。
【図7】 押鍵指示情報および検索されたアドバイス情報の別の表示例を示す図である。
【符号の説明】
1…パソコン、 2…鍵盤楽器、 3…閲覧表示判別部、 4…ファイル名記憶部、 5…通信部、 6…記憶装置、 8…閲覧ページ表示部、 12…キーボード、 14…ディスプレイ。

Claims (3)

  1. 演奏データに基づいて作成された楽譜情報を表示して演奏指示を行う演奏独習装置において、
    前記楽譜情報とともに演奏のためのアドバイス情報の存在を知らせるアドバイスアイコンを表示する手段と、
    前記アドバイスアイコンの操作に応答して該アドバイスアイコンが表示された位置にある楽譜情報に関連するアドバイス情報を、予め該アドバイス情報が蓄積されている記憶手段から検索して表示する手段とを具備したことを特徴とする演奏独習装置。
  2. 前記アドバイス情報がインターネットを通じてウェブサイトを検索して得られるものであることを特徴とする請求項1記載の演奏独習装置。
  3. 前記アドバイスアイコンが、必要に応じて表示/非表示の選択可能なものであることを特徴とする請求項1または2記載の演奏独習装置。
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