JP2004101576A - 演奏独習装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】押鍵指示の表示形式を任意に切り替えることにより、楽譜を読めない演奏者も次第に楽譜による押鍵指示で練習できるようにする。
【解決手段】押鍵指示表示部6〜8はそれぞれ異なるモードで演奏指示を表示する。楽譜に押鍵タイミングを表示するモードと、楽音長さを表すマークを鍵盤図形に対応させて表示するモードと、これらのモードを重ねて表示するスーパーインポーズモードである。切り替え部5は演奏開始時、または演奏途中のいずれにおいても操作できる。演奏データはレッスン開始指示または正しい押鍵がなされたときに押鍵指示表示部6〜8に読み出される。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、演奏独習装置に関し、特に、演奏の習熟度に応じて演奏曲中の練習箇所を指定して効率的な練習を行わせることができる演奏独習装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記憶媒体に記憶された演奏データをパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」という)で再生して画面上に順次譜面を表示して演奏指示する装置が知られる。例えば、特開平9−305171号公報には、オルゴール式で演奏指示をする装置が開示されている。この装置では、鍵盤の図形を画面に表示すると共に、表示された鍵盤の各鍵に対応して演奏すべき押鍵から離鍵までの範囲をスクロールバーで表示し、このスクロールバーを自動演奏データの再生に従って鍵盤図形に近付けていく。
【0003】
また、特開2001−195063号公報には、演奏データに基づいて生成された譜面を演奏の進行に対応させてディスプレイに表示させる演奏支援装置が開示されている。
【0004】
前者の装置によれば、前記スクロールバー表示によって、押鍵時間を直感的に認識できるし、現在押鍵している演奏データのあとに続く演奏データを予知できる。したがって、楽譜を表示する後者のものと違い、楽譜を読めない人もスムーズな演奏が期待できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記オルゴール式で演奏指示を表示する装置では、不具合もある。楽譜を読めない人がオルゴール式で演奏指示を表示する装置によってある曲を演奏できるようになったとしても、楽譜が読めるようになったわけではないので、別の曲を演奏する場合に応用がきかない。すなわち、同じオルゴール式の演奏指示がなければ演奏をすることが困難である。
【0006】
そこで、オルゴール式で表示される演奏指示に従って練習しつつ、適宜楽譜による練習も採用して、特定の曲を演奏できるだけでなく、最終的には読譜しながらの演奏を可能にさせる装置が望まれる。
【0007】
本発明は、上記要望に応え、演奏指示に従って演奏するうち、徐々に楽譜を読めるようになることを目指した演奏独習装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決し、目的を達成するための本発明は、演奏データに基づいて作成された演奏指示情報を表示して演奏者に演奏指示を行うとともに、演奏指示されたとおりの音高で弾かれたときに演奏指示を進行させる演奏独習装置において、五線譜上に配置された音符情報に演奏タイミング情報を付加した演奏指示情報を表示する楽譜ビューモード表示手段と、楽音の長さに対応する長さのマークを鍵盤図形に対応付け、該マークおよび鍵盤図形間の距離で演奏タイミングを表示するピアノロールビューモード表示手段と、前記楽譜ビューモード表示手段およびピアノロールビューモード表示手段のいずれかを任意に選択するための切り替え手段とを具備した点に第1の特徴がある。
【0009】
また、本発明は、前記楽譜ビューモード表示手段が、鍵盤図形をさらに表示し、現在弾かれているべき鍵を指示する情報を該鍵盤図形上に表示するように構成されている点に第2の特徴がある。
【0010】
また、本発明は、前記楽譜ビューモード表示手段で表示される情報と前記ピアノロールビューモード表示手段で表示される情報とを同時に表示させるスーパーインポーズモード表示手段をさらに具備した点に第3の特徴がある。
【0011】
また、本発明は、演奏指示に対する演奏楽音の一致の程度によって演奏を評価する手段を具備し、前記楽譜ビューモード表示手段、ピアノロールビューモード表示手段、およびスーパーインポーズモード表示手段が、前記評価を併せて表示するように構成された点に第4の特徴がある。
【0012】
さらに、本発明は、前記楽譜ビューモード表示手段、ピアノロールビューモード表示手段、およびスーパーインポーズモード表示手段が、演奏指示通りに弾けなかった楽音の音符情報またはマークにチェックを付加し、その注釈を併せて表示するように構成されている点に第5の特徴がある。
【0013】
第1および第2の特徴によれば、楽譜ビューモードまたはピアノロールビューモードのいずれか任意のモードで演奏指示を表示することができるので、演奏者の望む表示形式で演奏指示を表示できる。特に第2の特徴によれば、楽譜ビューモードで楽譜と鍵盤との対比が明確になる。
【0014】
第3の特徴によれば、さらに両方のビューモードによる演奏指示を同時に表示させて、楽譜の音符が意味する具体的な演奏態様を表示できる。
【0015】
第4の特徴によれば、演奏の結果を評価して、その評価を演奏指示と併せて表示できる。第5の特徴によれば、指示通りに演奏できなかった楽音が明確になるとともに、その注釈によってどの点で指示と異なっていたかをより具体的に表示することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る演奏独習装置の構成を示すブロック図である。同図において、パソコン1は、パソコン本体11と、入力装置としてのキーボード12およびマウス13と、出力装置としてのディスプレイ14とを備える。パソコン本体11は、ハードディスクやROM・RAM等を有する周知の構成を有する。MIDI信号を入出力できるインタフェースを備えるのが好ましい。
【0017】
鍵盤楽器2は鍵盤21とサウンドシステム22とを備える。鍵盤楽器2は鍵盤21の押鍵および離鍵を検出する検出回路23と、押鍵および離鍵の検出情報に応じて楽音を生成する音源装置24とを備える。検出回路23で鍵盤21の押鍵・離鍵が検出されると、押鍵位置(キーナンバ)、押鍵長さ、および押鍵速度(ベロシティ)等に基づいて音源装置24で楽音が生成され、サウンドシステム22を通じて出力(発音)される。鍵盤楽器2にもMIDIインタフェースを備えるのがよい。鍵盤楽器2の全体動作は、図示しないマイクロコンピュータで制御される。
【0018】
パソコン本体11と鍵盤楽器2は、互いに信号を送受信することができるように、図示しないインタフェース(例えば、MIDIインタフェース)を介して接続される。
【0019】
上記演奏独習装置において、練習曲は外部から供給することもできるし、予めハードディスク等に格納しておくことができる。練習曲はノートナンバ、押鍵・離鍵データ(キーオンタイム、キーオフタイム)、ベロシティ等のノートイベントデータが演奏データとして準備される。図12は演奏データの要部構成例を示す図である。演奏データには上記楽音情報以外のものも含めることができる。
【0020】
演奏指示つまり押鍵指示情報が演奏データに基づいて作成され、ディスプレイ14上に表示される。押鍵指示は3種類の形態つまりモードで表示される。後述のピアノロールビューモード、楽譜ビューモード、およびスーパーインポーズモードである。
【0021】
次に、フローチャートを参照して演奏独習装置の処理を説明する。図3は、メインフローチャートである。ステップS1では、ディスプレイ14に画像を表示するためのVRAMやタイマのクリア等を含むパソコン1の初期化を行う。ステップS2では、練習曲を選択する。例えば、ディスプレイ14に練習曲のリストを表示し、演奏者はキーボード12やマウス13を使って曲を選択する。選択された曲の演奏データは外部の記憶装置からパソコン本体11のRAMに読み込まれる。演奏データには、楽音情報のほか上記押鍵指示の表示モードを指定するデータが含まれる。前記表示モードは練習曲毎に指定されている。
【0022】
曲が選択されたならば、ステップS3に進んでディスプレイ14にレッスンメニューを表示する。レッスンメニューは練習曲の部分(ユニット)を指定できるように設定された画面であり、演奏者はレッスンメニューで指定したユニットを集中的に練習できる。そして、練習の進み具合に応じて前記指定するユニットを段階的に拡張し、最終的には曲全体を通しで練習できるようにする。レッスンメニューには、前記ユニット毎の成績も表示できる。レッスンメニューの例は図 4に関して後述する。
【0023】
レッスンメニューとともに表示モード切替スイッチが表示され、このスイッチを操作することによって、設定されている表示モードを変更することができる。ステップS4では表示モード切替スイッチによる切り替え操作があったか否かが判断される。切り替え操作があったならば、ステップS5に進んで押鍵指示の表示モードを切り替える。表示モードは、前記切替スイッチを操作する毎に、例えば、ピアノロールビューモード、楽譜ビューモード、スーパーインポーズモードの順で切り替えられる。
【0024】
ステップS6では、レッスン開始の指示の有無を判断する。レッスン開始の指示はディスプレイ14の画面上から入力するのでも良いし、キーボード12から開始指示を入力するのでもよい。レッスン開始の指示があれば、ステップS7に進む。レッスン開始の指示があるまではステップS3に進むので表示モードの切り替えが可能である。表示モードの切り替えがなければステップS5はスキップされる。
【0025】
ステップS7では、レッスン開始処理がなされる。ステップS8では、演奏データに従って生成された押鍵指示が前記表示モードでディスプレイ14上に表示される。ステップS9では演奏データに含まれる楽音、つまり伴奏音やメトロノーム音を再生する。再生音は鍵盤楽器2の音源装置24やサウンドシステム22を用いて発音することができる。ステップS10では、演奏者の演奏結果をパソコン1に入力する。演奏の成績評価と押鍵指示用のポインタを更新するためである。ステップS8〜S10はタイマ割り込み処理で行うのがよい。
【0026】
ステップS11およびステップS12は、前記ステップS4およびステップS5と同様、表示モード切替スイッチによる表示モードの切り替えに関する処理が行われる。
【0027】
ステップS13では、予定されたレッスンが終了したか否か、つまり選択された練習曲の演奏データの再生が終了したか否かが判断される。予定の演奏データに従って演奏がすべて行われるとステップS13は肯定となり、ステップS14に進む。
【0028】
ステップS14では、演奏結果の成績が判定される。成績の判定は演奏データの楽音情報に対する演奏結果の一致の程度により判断される。判断対象は音高、音の長さ、ベロシティ、および押鍵タイミング等である。
【0029】
ステップS15では、ディスプレイ14上に成績を表示する。成績の表示例は図8,図9に関して後述する。この成績表示中にも、表示モードを切り替えることができる。すなわち、ステップS16およびステップS17では、前記ステップS4およびステップS5と同様、表示モード切替スイッチによる表示モードの切り替えに関する処理が行われる。
【0030】
ステップS18では、レッスンメニューを表示させるか否かの判断がなされる。レッスンメニュー表示スイッチは成績表示とともにディスプレイ14に表示される。練習するユニットを指定したり各ユニットの成績を確認したりする場合、レッスンメニュー表示スイッチを操作する。レッスンメニュー表示スイッチが操作された場合、ステップS18は肯定となり、ステップS3に進む。レッスンメニュー表示スイッチが操作されなかった場合は、ステップS19に進んでレッスンを終了するか否かを判断する。レッスン終了の指示は成績表示とともにディスプレイ14に表示することができる。レッスンを終了する指示があればこのフローチャートの処理は終了する。
【0031】
このように、演奏データに含まれている押鍵指示の表示モード指定は、レッスン開始時、レッスン中、成績表示時のいずれのときにおいても切り替え可能である。
【0032】
押鍵指示表示モードを切り替えた場合、演奏データ中に設定されている押鍵指示表示モードは切り替えられた押鍵指示表示モードで更新される。したがって、今回選択された練習曲を次に選択した場合の押鍵指示は、ここで更新された押鍵指示表示モードに従って表示される。
【0033】
図4は、レッスンメニューを楽譜ビューモードで表示した例を示す図である。画面上左側に現在の音部記号、調号、拍子記号が配置され、それらの右側に表示されている楽譜が右から左へスクロールされる。画面をスクロールして曲の他の部分を表示させることができるが、画面のスクロールに代えて、表示幅の拡大や縮小により、任意に曲の部分もしくは全体を表示させるようにしてもよい。例えば、画面左下の「+」,「−」のボタンを操作して画面の拡大縮小をすることができる。ディスプレイ14上に表示された12小節分の楽譜について、グレード(▲1▼〜▲5▼)毎に異なるサイズのユニットが設定されている。
【0034】
演奏の習熟度が高い方から順にグレード▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼とし、各グレードに応じてサイズを変えたユニットを設定している。例えば、最も低いグレード▲5▼では2小節で1ユニットを構成し、その次に高いグレード▲4▼では4小節で1ユニットを構成している。このように、グレードが高くなるにつれて1ユニットを構成する小節数を多くしている。
【0035】
レッスンメニューは、次に練習すべきユニットの表示であると同時に、演奏結果に基づく成績を一目で見ることができる成績表でもある。すなわち、指定されたユニットの演奏が終了すると、演奏結果が演奏データと比較されて成績が決定される。そして、その成績はランクを表す文字でレッスンメニューに表示されるとともに、合格基準に達していないユニットは再度指定される。
【0036】
図4の例では、グレード▲5▼の第1小節および第2小節からなるユニットU1の練習が終わり、第3小節および第4小節からなるユニットU2が次に練習すべきユニットとして表示されている。演奏が終わったユニットには成績が表示される。成績は、ランク順にS,A,B,C,Dの文字で表示される。合格基準に達したユニットU1,U3にはランク「S」と合格を示す帯が表示される。但し、このランク付けは一例であり、ランクの区分けは任意に設定できるし、合格基準をグレードが上がるにつれて高くすることもできる。合格基準に達しなかった場合は、ユニットの指定は更新されないで、同じユニットが再び指定される。
【0037】
ユニットを自動的に指定するモードでは、合格点に達していないユニットのうち、同じグレード中で早い時期に演奏されるユニットが指定される。
【0038】
また、同一の楽音情報を有するユニットは一括して成績管理されるので、例えば、図においてユニットU1が合格点に達することにより、このユニットU1と同じ楽音情報を有する第9小節および第10小節からなるユニットU3も練習済み、つまり成績の表示に変わる。したがって、習熟したユニットの重複練習が回避される。
【0039】
指定されたユニットの演奏データが再生されて、この演奏データに基づいて後述のような押鍵指示がディスプレイ14に表示される。演奏者はその押鍵指示の表示に従い、ユニット毎に演奏の習熟度が高まるまで、つまり所定の合格判定がなされるまで繰り返し練習することができる。
【0040】
現在練習中のグレードについて全ユニットが合格判定された場合は、その上のグレードでよりサイズの大きいユニットが指定され、その演奏データが再生される。例えば、グレード▲5▼が合格した場合、グレード▲4▼に進んでユニットU4が指定されて演奏データが再生される。グレード▲4▼ではグレード▲5▼の倍の数の小節を一気に練習するようになる。グレードが上がる程、難易度つまりテンポや合格基準を上げるようにしておくことで、習熟度に応じた、より高度な練習が可能になる。
【0041】
一方、手動モードで練習する場合は、任意のユニットを指定して演奏データを再生できるので、繰り返し、納得いくまで練習できる。但し、手動モードにおいても、全く任意にユニットを指定できるようにすると練習の成果が上がりにくいので、例えば、成績が合格点に達するまではグレードが上げられないようにするのがよい。つまりグレード中の全てのユニットが合格点に達するまでは、現グレード中のユニットだけを指定でき、上位のグレードのユニットは指定できないようにする。
【0042】
図5は、レッスンメニューを別の表示形式(ピアノロールビューモード)で表示した例を示す図である。図5では鍵盤図形と鍵盤図形に対応させたマークとで楽譜を代表させたレッスンメニューの例を示す。鍵盤図形を画面下部に配置し、その上に上下に時間軸を取って楽音の長さに対応する長さのマークMを表示する。そして、このマークMの右側にグレード毎のユニットを表示する。
【0043】
図5では、グレード▲5▼の第1〜第4小節を含むユニットが合格し、第5〜第8小節を含むユニットが不合格(ランクD)であって再度第5および第6小節からなるユニットが指定されている。
【0044】
上記2種類のレッスンメニューの表示モードのいずれを使用するかは、押鍵指示の表示モードと同様、演奏データ中に予め設定されている。但し、スーパーインポーズモードはレッスンメニューでは採用しない。
【0045】
図6は、押鍵指示を楽譜ビューモードで表示した例を示す図である。画面の下部に鍵盤図形Kが表示されている。押鍵指示が鍵盤のどの鍵に対応するかを見やすくするために鍵盤図形Kを画面の上下に表示してもよい。鍵盤図形Kの上方には、楽譜が示され、線L1によって押鍵タイミングが示されている。楽譜は右から左にスクロールし、線L1と重なった楽音が現在押鍵されているべき楽音である。そして、この楽音に対応する鍵の位置がマークP1で示されている。
【0046】
楽譜は指示通りの鍵が弾かれたときに1楽音分スクロールさせるのであっても良いし、1小節の演奏が終了するまでは線L1を右に移動させ、1小節の演奏が指示通りの音高で行われたところで画面を1小節分スクロールさせてもよい。このスクロールに合わせて線L1も移動される。
【0047】
図7は、押鍵指示をピアノロールビューモードで表示した例を示す図である。画面下部に表示された鍵盤図形Kの上方に、楽音に対応した長さの押鍵指示マークMを該押鍵指示マークに従って演奏すべき鍵に対応づけて表示する。この例では2小節が1画面に同時に表示されているが、同時に表示する画面の大きさは予め設定することができる。マークMは楽音の長さに応じた長さと鍵盤図形Kの鍵の幅とを持つ。一つの押鍵指示マークMが一つの楽音つまり楽譜情報に対応する。画面は上下が時間軸であり、押鍵指示マークは下部の鍵盤図形Kに近いほど、早い時期に弾くべき楽音であることを示す。マークMは下方にスクロールされる。現在押鍵されているべき鍵はマークP2で示されている。線BLは小節線である。
【0048】
押鍵指示マークMのスクロールは、演奏者が指示通りの鍵を弾いたときに実施される。スクロールは離鍵のタイミングで行ってもよい。押鍵指示の表示については、本出願人の出願に係る特願2001−352206号明細書に記載のものを適用することができる。押鍵指示の表示はスクロールするものに限らず、曲全体を同時に指示するものであってもよいし、画面の切り替えをして表示を変えてもよい。また、押鍵指示をスクロールする場合、その速度は任意であり、曲のテンポに従ってもよい。
【0049】
図8は、楽譜ビューモードで成績を表示した例を示す図であり、図6と同符号は同一または同等部分である。評価が良くなかった楽音にチェックCHが書き込まれている。鍵盤図形Kの上には、評価が良くなかった押鍵に対する注釈が記述されている。この注釈により、ミスタッチがあったことを理解できる。
【0050】
さらに、演奏者の演奏結果を分かりやすくするため、複数の要素についての評価をグラフGで示す。評価の判断要素は、ミスタッチ、リズム感、テンポの速さ、押鍵(オン)タイミング、離鍵(オフ)タイミング、および強弱表現である。
【0051】
図9は、ピアノロールビューモードで成績を表示した例を示す図であり、図7と同符号は同一または同等部分である。また、図8と同じ成績の評価が記述されている。
【0052】
図10は、楽譜ビューモードの表示の上にピアノロールビューモードの表示を重ね書きしたスーパーインポーズモードの表示例を示す図である。楽譜ビューモードで表示された楽音の長さをピアノロールビューモードで感覚的に理解できる。双方の表示を対比することで、楽譜を読めない初心者でも、楽譜上の記号がどのような弾き方になるのかを理解できる。
【0053】
図11は、スーパーインポーズモードの別の例を示す図である。この表示形式では、鍵盤図形Kを上方に配置し、その鍵盤図形Kと対応させて五線譜STを記述する。そして、その五線譜ST上に楽音および押鍵指示マークMが記述される。このように、五線譜を縦に表示して鍵盤と対応させることにより、鍵位置と五線譜との関係を理解できるので、弾くべき楽音と鍵の関係がよく理解できる。
【0054】
なお、鍵盤図形は、実際に演奏する姿勢に合わせて横長に表示しているが、周知の五線譜の配置を優先させて、縦長配置としてもよい。また、スーパーインポーズモードにおいても、演奏の評価を併せて表示するようにしてもよい。
【0055】
図1は、押鍵指示表示モードの切り替えを行うための要部機能を示すブロック図である。演奏データ読出指示部3はレッスン開始指示または正しい音高で押鍵されたときに演奏データ記憶部4に読出指令を出力する。読出指令に応答して演奏データ記憶部4からイベントデータとタイミングデータが一つ出力される。なお、演奏データは先頭から順に読み出される。演奏データは演奏者が入力する指示に従って切り替わる切替部5の状態に応じて、第1押鍵指示表示部(楽譜ビューモード表示部)6、第2押鍵指示表示部(ピアノロールモード表示部)7、および第3押鍵指示表示部(スーパーインポーズモード表示部)8のいずれか入力される。さらにイベントデータのうちノートデータつまり音高を示すデータが押鍵検出部9にも入力される。
【0056】
押鍵検出部9は検出回路23で検出された押鍵情報とノートデータとを比較して、正しい鍵が弾かれたことを検出したときに検出信号を出力する。第1ゲート(OR)10aはレッスン開始指示が入力されたとき、または前記検出信号が入力されたときに第2ゲート(AND)10bに検出信号を入力し、それに応答して読出指令が演奏データ記憶部4に入力される。
【0057】
第1〜第3押鍵指示表示部6〜8には押鍵検出部9で正しい鍵が弾かれるたびに次の演奏データが読み出され、入力された演奏データに基づいて、予め定められたそれぞれのモードで押鍵指示が表示される。
【0058】
上述の実施形態では、3つの表示モードを切り替えて使用するようにしたが、本発明はこれに限定されず、少なくとも、楽譜ビューモードおよびピアノロールビューモードのいずれかを選択して使用できればよい。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1〜請求項7の発明によれば、演奏指示や演奏の評価を、複数の表示形式で表示することができる。特に楽譜ビューモードでは、譜面を読める演奏者に適した表示を行えるし、ピアノロールビューモードでは、譜面を読めない演奏者でも容易に演奏指示を理解できる表示を行える。そして、これらの表示モードを切り替えることによって、譜面を理解できない演奏者も興味に応じてマークと楽譜との対応を学習できる。スーパーインポーズモードでは、複数の表示モードを同時に表示させることでマークと楽譜との対応を直に学習することができる。
【0060】
併せて、請求項4〜請求項5の発明によれば、演奏の評価も理解しやすい好みの表示形態で表示させられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る演奏独習装置の要部機能を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る演奏独習装置のシステム構成図である。
【図3】演奏独習装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】レッスンメニューの一例を示す図である。
【図5】レッスンメニューの別の例を示す図である。
【図6】楽譜ビューモードによる押鍵指示の例を示す図である。
【図7】ピアノロールビューモードによる押鍵指示の例を示す図である。
【図8】成績表示を含む楽譜ビューモードによる押鍵指示の例を示す図である。
【図9】成績表示を含むピアノロールビューモードによる押鍵指示の例を示す図である。
【図10】スーパーインポーズモードでの押鍵指示の一例を示す図である。
【図11】スーパーインポーズモードでの別の押鍵指示の例を示す図である。
【図12】演奏データの要部構成例を示す図である。
【符号の説明】
1…パソコン、 2…鍵盤楽器、 3…演奏データ読出指示部、 9…押鍵検出部、 4…演奏データ記憶部、 5…切替部、 6…第1押鍵指示表示部、 7…第2押鍵指示表示部、 8…第3押鍵指示表示部、 12…キーボード、 14…ディスプレイ。

Claims (7)

  1. 演奏データに基づいて作成された演奏指示情報を表示して演奏者に演奏指示を行う演奏独習装置において、
    五線譜上に配置された音符情報に演奏タイミング情報を付加した演奏指示情報を表示する楽譜ビューモード表示手段と、
    楽音の長さに対応する長さのマークを鍵盤図形に対応付け、該マークおよび鍵盤図形間の距離で演奏タイミングを表示するピアノロールビューモード表示手段と、
    前記楽譜ビューモード表示手段およびピアノロールビューモード表示手段のいずれかを任意に選択するための切り替え手段とを具備したことを特徴とする演奏独習装置。
  2. 前記楽譜ビューモード表示手段が、鍵盤図形をさらに表示し、現在弾かれているべき鍵を指示する情報を該鍵盤図形上に表示するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の演奏独習装置。
  3. 前記楽譜ビューモード表示手段で表示される情報と前記ピアノロールビューモード表示手段で表示される情報とを同時に表示させるスーパーインポーズモード表示手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1または2記載の演奏独習装置。
  4. 演奏指示に対する演奏楽音の一致の程度によって演奏を評価する手段を具備し、
    前記楽譜ビューモード表示手段およびピアノロールビューモード表示手段が、前記評価を併せて表示するように構成されたことを特徴とする請求項1または2記載の演奏独習装置。
  5. 演奏指示に対する演奏楽音の一致の程度によって演奏を評価する手段を具備し、
    前記楽譜ビューモード表示手段、ピアノロールビューモード表示手段、およびスーパーインポーズモード表示手段が、前記評価を併せて表示するように構成されたことを特徴とする請求項3記載の演奏独習装置。
  6. 前記楽譜ビューモード表示手段およびピアノロールビューモード表示手段が、演奏指示通りに弾けなかった楽音の音符情報またはマークにチェックを付加し、その注釈を併せて表示するように構成されていることを特徴とする請求項4記載の演奏独習装置。
  7. 前記楽譜ビューモード表示手段、ピアノロールビューモード表示手段、およびスーパーインポーズモード表示手段が、演奏指示通りに弾けなかった楽音の音符情報またはマークにチェックを付加し、その注釈を併せて表示するように構成されていることを特徴とする請求項5記載の演奏独習装置。
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