JP4013604B2 - 透明ガスバリア性積層フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、医薬品、電子部品などの包装材料として用いられるガスバリア性積層フィルムに係わり、水蒸気ガスバリア性に優れる極めて高いガスバリア性を有し、特に、ボイル・レトルト適性に優れた透明ガスバリア性積層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品流通形態や食生活の変革によって食品の包装形態も大幅に変ってきており、包装用のフィルムに対する要求特性はますます厳しくなってきている。
【0003】
流通販売過程における温度変化や湿分、酸素、紫外線、更には細菌やカビ等の微生物の
影響による製品の品質低下は、販売上の損失のみならず食品衛生面からも大きな問題である。この様な品質低下を防止する方法として、従来は酸化防止剤や防腐剤等を直接食品に添加していたが、最近では、消費者保護の立場から食品添加物の規制が厳しくなり、添加量の減少もしくは無添加が求められている。こうした状況の下で、気体や水分の透過度が小さく、しかも冷凍加工、煮沸処理、レトルト処理等によっても食品としての品質低下を起こさない様な包装フィルムの要望が高まっている。
【0004】
すなわち、生鮮食品等の包装においては、蛋白質や油脂等の酸化や変質を抑制し、味や鮮度を保持することが重要であり、そのためには、ガスバリア性の良好な包装材を用いて空気の透過を遮断することが望まれる。しかも、ガスバリア性フィルムで包装すれば、内容物の香気が保持されると共に水分の透過も阻止されるので、乾燥物では吸湿劣化が抑制され、含水物の場合は水分の揮発による変質や固化が抑制され、包装時の新鮮な風味を長時間保持することが可能となる。
【0005】
こうした理由から、かまぼこ等の練り製品、チーズ等の乳製品、味噌、茶、コーヒー、ハム・ソーセージ類、インスタント食品等の包装フィルムに求められるガスバリア性や防湿性は極めて重要な特性とされている。これらの特性は、上記の様な食品包装用フィルムに限られるものではなく、無菌状態での取扱が必要とされる医療品や、防錆性を必要とする電子部品等の包装用フィルムにおいても極めて重要となる。
【0006】
近年、透明なガスバリア性フィルムとして、内容物保護の観点から、耐突刺性、耐屈曲性、耐摩耗性に優れるポリアミド系フィルムが広く使用されている。さらに、内容物の品質低下を防止するために高バリア性が要求されている。
【0007】
このようなガスバリア性フィルムは、ポリアミド系フィルム基材に、アルミニウム箔などの金属箔を積層したもの、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン・ビニルアルコ?ル共重合体(EVOH)、メタキシレンジアミン−6ナイロンなどを塗布または共押し出し等の方法によって積層したものが利用されている。
【0008】
しかしながら、アルミニウム箔などの金属箔を積層したものは、ガスバリア性に優れるが、不透明で内容物の透視、確認ができないとともに、金属探知器による内容物検査も不可能であり、マイクロ波を透過しないために電子レンジ調理用途の包装材料としては不適である。また、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)を積層したものは、安価で、適度のガスバリア性を有するが、焼却時に有毒ガスが発生するという問題があった。さらに、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、メタキシレンジアミン−6ナイロンを積層したガスバリア性積層フィルムのガスバリア性は環境依存性が高く、特に高温、高湿環境下では、ガスバリア性が大きく劣化するという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
近年、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の無機酸化物をポリアミド系フィルムに蒸着してなるガスバリア層を設けた透明なガスバリア性積層フィルムが開発されている。しかしながら、ガスバリア性として酸素ガスバリア性は十分優れているが、水蒸気ガスバリア性は十分満足するものではなく、水蒸気ガスバリア性にも優れた高ガスバリア性フィルムが要求されている。
【0010】
また、ポリアミド系フィルムに無機酸化物を蒸着した上記の透明ガスバリア性積層フィルムにヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるヒートシール層を積層した2層構成の積層フィルムでは、ボイルまたはレトルト殺菌処理時、ガスバリア性が大幅に劣化するという問題があった。
【0011】
本発明は、従来の透明なガスバリア性積層フィルムが有する上記問題点を解決するためになされたものであって、特に、水蒸気ガスバリア性に優れる極めて高いガスバリア性を示すとともに、レトルト処理や煮沸処理後においてもその優れたガスバリア性を損なうことがない、高ガスバリア性が要求される食品や電子部品、医薬品などの包装用途にも使用可能なレベルのガスバリア性を有する透明ガスバリア性積層フィルムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記の目的を達成するためのものであって、請求項1に係る発明は、厚さが15μmのフィルムを用いた場合の、180℃、30分の熱処理を施したときの最大収縮率が3.0%以下であるポリアミド系フィルムの片面に、アンカーコート層を介して、厚さが1〜400nmの範囲の無機酸化物蒸着層からなるガスバリア層(A層)、水溶性高分子を含む溶液を塗布、乾燥することにより形成された厚さが0.05〜50μmの範囲のガスバリア性被覆層、厚さが1〜400nmの範囲の無機酸化物蒸着層からなるガスバリア層(B層)を順次積層してなる積層フィルムであって、
前記ガスバリア性被覆層と、ガスバリア層(A、B)との厚さの比率が、1/0.005〜1/1の範囲を満たすことを特徴とする透明ガスバリア性積層フィルムである。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記アンカーコート層が、アクリルポリオールに、下記一般式(1)で表される
R’Si(OR) 3 ・・・・(1)
(但し、Rはアミノ基、イソシアネート基、スルホキシド基のいずれかの官能基、Rはアルキル基)3官能基のオルガノシランを処方した液を塗布、乾燥させて設けたアンカーコート層であることを特徴とする請求項1に記載の透明ガスバリア性積層フィルムである。
【0014】
請求項3に係る発明は、前記ガスバリア層(B層)面に、ヒートシール層を設けたことを特徴とする請求項1にまたは2に記載の透明ガスバリア性積層フィルムである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の透明ガスバリア性積層フィルムの好ましい一実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の透明ガスバリア性積層フィルムの断面図の一例を示したものである。図1に示すように、ガスバリア性積層フィルム1は、厚さが15μmのフィルムを用いた場合の、180℃、30分の熱処理を施したときの最大収縮率が3.0%以下であるポリアミド系フィルム2の片面に、アンカーコート層8を介して、厚さが1〜400nmの範囲の無機酸化物蒸着層からなるガスバリア層(A層)3、水溶性高分子を含む溶液を塗布、乾燥することにより形成された厚さが0.05〜50μmの範囲のガスバリア性被覆層4、厚さが1〜400nmの範囲の無機酸化物蒸着層からなるガスバリア層(B層)5を順次積層してなる積層フィルムであって、
前記ガスバリア性被覆層と、ガスバリア層(A、B)との厚さの比率が、1/0.005〜1/1の範囲を満たすことを特徴とする透明ガスバリア性積層フィルムに、さらに、ヒートシール層7を設けた構成である。
【0016】
本発明において使用される透明なポリアミド系フィルム基材2として、ポリアミド系フィルムの素材は特に限定されず、ホモポリアミド、コポリアミドあるいはこれらの混合物、もしくはこれらの架橋体のいずれも使用できるが、ポリアミド系フィルムの各方向の収縮率が、厚さが15μmのフィルムを用いて180℃、30分の熱処理を施したとき、いずれも3.0%以下であることが好ましい。
【0017】
好ましいホモポリアミドの具体例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−9−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリ
ウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリヘキサメチレンジアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10,6)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン10,10)、ポリドデカメチレンドデカミド(ナイロン12,12)、メタキシレンジアミン?6ナイロン(MXD6)等を挙げることができる。
【0018】
また、コポリアミドの例としては、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、ラウリンラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体、エチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体等を挙げることができる。ガスバリア性積層フィルムの使用環境、被包装物の種類、加工性および経済性などを考慮して適宜選択される。
【0019】
これらポリアミド系樹脂には、柔軟性を付与するため芳香族スルホンアミド類、p?ヒドロキシ安息香酸、エステル類等の可塑剤を配合したり、低弾性率のエラストマー成分やラクタム類等を配合することも可能である。該エラストマー成分としては、アイオノマー樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、ポリエステルブロックアミド、ポリエーテルエステルアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、変性スチレン系熱可塑性エラストマー、変性アクリルゴム、変性エチレンプロピレンゴム等が挙げられる。
【0020】
このような基材の厚みは、1〜80μm程度のものが用いられる。好ましくは10〜50μmのものが用いられる。また、このようなポリアミド系フィルム基材の表面に、コロナ処理、火炎処理、低温プラズマ処理、グロー放電処理、等を施し、無機質蒸着層との密着性を更に高めることも有効である。無機酸化物酸化物層との密着性を更に良くするために、アンカーコート層を設けることも有効である。
【0021】
本発明において使用されるアンカーコート層8を形成する樹脂として、ウレタン?ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン変性アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂などにイソシアネート樹脂および/または下記一般式(1)で表される
R’Si(OR)3・・・・(1)
(但し、R’はアミノ基、イソシアネート基、スルホキシド基等の官能基、Rはアルキル基)3官能基のオルガノシランを主成分とするものが好適に用いられる。
【0022】
上記アンカーコート層の形成法としては、ポリアミド系フィルムの製造時に塗布するインライン方式、ポリアミド系フィルムの製造とは別工程で塗布するオフライン方式のいずれも採用することができる。また、塗布には、例えばロールコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、グラビアコート法、カーテンコート法等、公知の方法を任意に選択して採用することができる。
【0023】
本発明において使用される無機酸化物からなるガスバリア層(A層)3は、高いバリア性を発現させるための層であって、このA層を構成する無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムもしくはこれらの混合物を挙げることができる。ガスバリア層の形成には、電子線加熱や誘導加熱、抵抗加熱を蒸発手段とした真空蒸着法の他、スパッタリング法、CVD法およびイオンプレーティング法などを用いることができるが、生産性の点から巻取りフィルム上に真空蒸着法を用いて層を形成する方法が好ましい。ガスバリア層(A層)を形成する蒸着層の厚さは、1〜400nmの範囲が好ましい。1nmよりも薄い厚さでは均一な膜が形成できず、十分なバリア性が得られない。一方、400nmよりも厚い厚さではクラックが発生しやすく、また経済的な面で好ましくない。
【0024】
本発明において用いられるガスバリア性被覆層4は、ガスバリア層(A層)を保護するとともに、ガスバリア層(A層)との相乗効果により高いガスバリア性を発現するために設けられる。ガスバリア性被覆層は、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドおよびその加水分解物または、(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜層である。
【0025】
例えば、水溶性高分子と塩化錫を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、或いはこれに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を調整し溶液とする。この溶液を無機化酸化物からなる蒸着薄膜層(A層)にコーティング後、加熱乾燥し形成される。コーティング剤に含まれる各成分について更に詳細に説明する。
【0026】
本発明でコーティング剤に用いられる水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)を本発明のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるものである。PVAとして例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等を含み、特に限定されない。
【0027】
また、コーティング剤に使用される塩化錫は、塩化第一錫(SnCl2)、塩化第二錫(SnCl4)、あるいはそれらの混合物であってもよい。また、これらの塩化錫は、無水物でも水和物でもあってもよい。
【0028】
さらに、金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH3,C2H5等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的にはテトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)4〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C3H7)3〕などがあげられ、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
【0029】
コーティング剤のガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて加えることができる。
【0030】
例えば、コーティング剤に加えられるイソシアネート化合物としては、その分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものが好ましい。例えばトリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートなどのモノマー類と、これらの重合体、誘導体が挙げられる。
【0031】
コーティング剤の塗布方法には、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の手段を用いることができる。被膜の厚さは、コーティング剤の種類や加工機や加工条件によって異なる。乾
燥後の厚さが、0.01μm以下の場合は、均一が塗膜が得られなく十分なガスバリア性を得られない場合があるので好ましくない。また厚さが50μmを超える場合は膜にクラックが生じ易くなるため問題がある。このことから、厚さは0.01〜50μmの範囲にあることが好ましい。
【0032】
本発明において用いられる無機酸化物からなるガスバリア層(B層)5は、上記のガスバリア層(A層)およびガスバリア性被覆層を保護するとともに、高い水蒸気バリア性、およびレトルトないしはボイル殺菌処理後の酸素ガスバリア性を維持するために設けられる。上記の無機酸化物からなるガスバリア層(A層)と同様、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムもしくはこれらの混合物を挙げることができる。ガスバリア層の形成には、電子線加熱や誘導加熱、抵抗加熱を蒸発手段とした真空蒸着法の他、スパッタリング法、CVD法およびイオンプレーティング法などを用いることができるが、生産性の点から巻取りフィルム上に真空蒸着法を用いて層を形成する方法が好ましい。ガスバリア層(A層)を形成する蒸着層の厚さは、1〜400nmの範囲が好ましい。1nmよりも薄い厚さでは均一な膜が形成できず、十分なバリア性が得られない。一方、400nmよりも厚い厚さではクラックが発生しやすく、また経済的な面で好ましくない。
【0033】
前記ガスバリア性被膜層4と無機酸化物からなるガスバリア層であるA層3またはB層5との厚さ比率が、1/0.005〜1/1の範囲を満たすことが好ましい。
【0034】
本発明で用いられるヒートシール層7を形成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状(直鎖状)低密度ポリエチレン、その他等の各種のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン系共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂(アイオノマー)を使用することができる。その厚さとしては、10〜200μm位、好ましくは、30〜150μmの範囲内のものを使用することが望ましい。
【0035】
上記のヒートシール性熱可塑性樹脂からなるヒートシール層を透明性バリア性積層フィルムに形成する方法としては、例えば、押し出しラミネート法、ドライラミネート法、無溶剤型ドライラミネーション法、その他等で行うことができる。本発明においては、上記のラミネートを行う際に、必要ならば、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他等のラミネート用接着剤等の公知のアンカーコート剤、接着剤等を使用することができる。
【0036】
ところで、本発明において、押し出しラミネートする際の接着剤層を構成する接着性押し出し樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポエイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−メタクリル酸共重合体、あるいはエチレン−アクリル酸共重合体等のエチレンと不飽和カルボン酸との共重合体、あるいはそれらを変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、その他等を使用することができる。また、本発明において、ドライラミネートする際の接着剤層を構成する接着剤としては、具体的には、ドライラミネート等において使用される2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤、その他等を使用することができる。
【0037】
以上のように、本発明の透明ガスバリア性積層フィルムは、上記に説明したような構成とすることで、特に、水蒸気ガスバリア性に優れる極めて高いガスバリア性を示すとともに、レトルト処理や煮沸処理後においてもその優れたガスバリア性を損なうことがなく、また、ラミネート強度、ヒートシール性等の強度物性に優れいるので、高いガスバリア性や内容物保護性が要求される、食品、医薬品、医療機器、電子部品等の包装体の包装材料として好適に使用されるものである。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げてさらに具体的に説明する。しかしながら、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
【0039】
<実施例1>
ポリアミド系フィルムとして、厚さが15μmで、180℃の温度で、30分加熱後の収縮率が最大2.5%(収縮率は0.5%)である片面にコロナ放電処理されたその処理面に下記のアンカーコート層の処方液をグラビアコート法により塗布し、温度80℃にて乾燥し、厚さ0.1μmのアンカーコート層を形成した。次いで、アンカーコート層の上に真空蒸着装置により、酸化アルミニウムを蒸着して厚さ250Åの透明蒸着層(A層)を形成した。さらに、下記ガスバリア性被覆層の処方液をグラビアコート法により塗布し、温度150℃にて乾燥し、厚さ0.5μmのガスバリア性被覆層を形成した。さらに、ガスバリア性被覆層の上に、上記透明蒸着層(A層)を形成したのと同様にして、透明蒸着層(B層)を形成したこの透明ガスバリア性積層フィルムの上記透明蒸着層(B層)の上に、ドライラミネート法により、接着剤A515/A50(三井タケダケミカル(株)製商品名)を用いて、塗布量3.5g/m2にて、厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた後、温度50℃にて5日間エージング処理を施し本発明の透明ガスバリア性積層フィルムを得た。
【0040】
(アンカーコート層の処方液)
アクリルポリオール6g(固形分50%)にイソシアナートプロピルトリメトキシシラン0.6gを混合攪拌して調整した溶液(固形分20%)7gに対して硬化剤としてイソシアネート樹脂(固形分50%)を1.5gと希釈溶媒を加えて30分攪拌し固形分を2%に調整してアンカーコート層の処方液を作成した。
【0041】
(ガスバリア性被覆層の処方液)
テトラエトキシシラン10.4gに0.1N塩酸89.6gを加え、30分攪拌し加水分解させた溶液(固形分4%)とポリビニルアルコールの水/イソプロピルアルコール溶液(重量比90/10、固形分3%)を重量比で60/40に混合してガスバリア性被覆層の処方液を作成した。
【0042】
<実施例2>
実施例1において、ポリアミド系フィルムとして、180℃の温度で、30分加熱後の収縮率が最大2.0%(収縮率は2.0%)のものを使用した以外は実施例1と同様にして本発明の透明ガスバリア性積層フィルムを得た。
【0043】
<実施例3>
実施例1において、透明蒸着層(B層)として、酸化ケイ素を蒸着して厚さ200Åの透明蒸着層(B層)を形成した以外は実施例1と同様にして本発明の透明ガスバリア性積層フィルムを得た。
【0044】
<比較例1>
実施例1において、透明蒸着層(B層)を設けなかった以外は実施例1と同様にして透明ガスバリア性積層フィルムを得た。
【0045】
<比較例2>
実施例1において、ポリアミド系フィルムとして、180℃の温度で、30分加熱後の収縮率が最大4.0%(収縮率は3.0%)のものを使用した以外は実施例1と同様にして透明ガスバリア性積層フィルムを得た。
【0046】
上記で得られた透明ガスバリア性積層フィルムについて、下記に示す測定法に基づいて酸素透過速度、水蒸気透過速度、密着強度をそれぞれ測定し、ガスバリア性能を評価した。その結果を表1に示した。
【0047】
(酸素透過速度)
酸素透過速度(OTR:Oxygen Transmission Rate)Modern Control(MOCON)社製のOXTRAN 10/50Aを用い、20℃、65%RHの条件で測定した。(単位:cc/m2・day・atm)
【0048】
(水蒸気透過速度)
水蒸気透過速度(WVTR:Water Vapor Transmission Rate)Modern Control(MOCON)社製のPERMATRAN W6を用い、40℃、90%RHの条件で測定した。(単位:g/m2・day)
【0049】
(ラミネート強度)
引張り試験器を用い、ポリアミドフィルムと無延伸ポリプロピレンフィルム間のラミネート強度を試験片15mm巾、引張りスピード300mm/min.の条件にて測定した。(単位:gf/15mm)
【0050】
【表1】
【0051】
表1から明らかに、実施例1〜3で得られた本発明の透明バリア性積層フィルムは、高い水蒸気バリア性を有し、レトルト後も良好な酸素透過度を示し、レトルト後の酸素バリア性の劣化が認められなかった。これに対して、比較例1、2で得られた透明バリア性積層フィルムは、水蒸気バリア性が低く、レトルト後の酸素バリア性の劣化が認められた。
【0052】
【発明の効果】
以上述べたように、ポリアミド系フィルムからなる基材を用いた本発明の透明バリア性積層フィルムの構成とすることで、特に水蒸気ガスバリア性に優れる極めて高いガスバリア性を示すとともに、レトルト処理や煮沸処理後においてもその優れたガスバリア性を損なうことがなく、また、ラミネート強度、ヒートシール性等の強度物性に優れいるので、食品、医薬品、医療機器、電子部品等の高いガスバリア性や内容物保護性が要求される包装体の包装材料として好適に使用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明ガスバリア性積層フィルムの一実施例としての形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・透明ガスバリア性積層フィルム
2・・・ポリアミド系フィルム層
3・・・ガスバリア層(A層)
4・・・ガスバリア性被覆層
5・・・ガスバリア層(B層)
7・・・ヒートシール層
8・・・アンカーコート層
Claims (3)
- 厚さが15μmのフィルムを用いた場合の、180℃、30分の熱処理を施したときの最大収縮率が3.0%以下であるポリアミド系フィルムの片面に、アンカーコート層を介して、厚さが1〜400nmの範囲の無機酸化物蒸着層からなるガスバリア層(A層)、水溶性高分子を含む溶液を塗布、乾燥することにより形成された厚さが0.05〜50μmの範囲のガスバリア性被覆層、厚さが1〜400nmの範囲の無機酸化物蒸着層からなるガスバリア層(B層)を順次積層してなる積層フィルムであって、
前記ガスバリア性被覆層と、ガスバリア層(A、B)との厚さの比率が、1/0.005〜1/1の範囲を満たすことを特徴とする透明ガスバリア性積層フィルム。 - 前記アンカーコート層が、アクリルポリオールに、下記一般式(1)で表される
R’Si(OR) 3 ・・・・(1)
(但し、Rはアミノ基、イソシアネート基、スルホキシド基のいずれかの官能基、Rはアルキル基)3官能基のオルガノシランを処方した液を塗布、乾燥させて設けたアンカーコート層であることを特徴とする請求項1に記載の透明ガスバリア性積層フィルム。 - 前記ガスバリア層(B層)面に、ヒートシール層を設けたことを特徴とする請求項1にまたは2に記載の透明ガスバリア性積層フィルム。
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Publications (2)
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