JP4001291B2 - カーボンナノファイバの処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、濡れ性改善を目的としたカーボンナノファイバの処理法に関するものである。
ガラス繊維強化プラスチック(FRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、繊維強化セラミックス(FRC)、炭素繊維強化金属(CFRM)と呼ばれる繊維強化材料が種々提案されてきた。
近年、カーボンナノファイバと称する特殊な炭素繊維が強化材料として注目を浴び、その活用方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−102343公報(請求項3)
特許文献1は、樹脂系材料にカーボンナノファイバを混在させることで、全体的な強度向上を図ることを特徴とする。樹脂系材料とカーボンナノファイバとはリジンと称する含浸剤で結合することができるので、一体化に困難さはない。
一方、アルミニウムなどの金属の補強材料にカーボンナノファイバを採用しようとすると経験したことのない問題が発生した。カーボンナノファイバの詳細とその問題を次に順に説明する。
図5はカーボンナノファイバのモデル図であり、カーボンナノファイバ110は、六角網目状に配列した炭素原子のシートを筒状に巻いた形態のものであり、直径Dが1.0nm(ナノメートル)〜50nmであり、ナノレベルであるため、カーボンナノファイバ、カーボンナノ材料又はカーボンナノチューブと呼ばれる。なお、長さLは数μm〜100μmである。
炭素原子が立方格子状に並んだものがダイヤモンドであって、ダイヤモンドは極めて硬い物質である。カーボンナノファイバ110は、ダイヤモンドと同様に規則的な結晶構造を有するために機械的強度は大きい。
図6はカーボンナノファイバの問題点を説明する図である。
(a)にて、容器111に媒体112を満たし、この媒体112にカーボンナノファイバ113を入れる。
(b)にて、攪拌機114で充分に撹拌する。この撹拌は振動式攪拌機で行ってもよい。
(c)は、一定時間放置した後の状態を示し、カーボンナノファイバ113が容器111の底に沈殿していることが分かる。
なお、媒体112の比重が大きければ、カーボンナノファイバ113の上に溜まる。
媒体112が溶融金属である場合、カーボンナノファイバ113が溶融金属の上に溜まるようでは、カーボンナノファイバ113を金属に均等に分散させることはできない。
カーボンナノファイバ113が溶融金属に対して、濡れ性が悪いことがその原因である。
本発明は、カーボンナノファイバを金属の補強材料にすることのできる処理方法を確立することを課題とする。
請求項1に係る発明は、カーボンナノファイバを金属系めっき液に非イオン系の界面活性剤とともに混合するめっき液調整工程と、調整後のめっき液を用いて電気めっきを実施するめっき工程と、電極に付着した付着物を採取する採取工程とからなるカーボンナノファイバの処理方法であって、
前記電極には、アルミニウム、ステンレス、チタンから選ばれる難めっき材を用い、
前記めっき工程では、複合めっき物が板状に成長する前の段階で終了することで、金属原子の塊の表面にカーボンナノファイバが析出している塊状になるようにし、
前記採取工程では、電極に付着した付着物を、超音波振動法により電極から分離し採取することで、金属原子の塊の表面にカーボンナノファイバが析出している塊状複合めっき物を得ることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、めっき工程により金属とカーボンナノファイバとの複合物を電極に堆積させることができる。電極に堆積した付着物を採取すれば、それを母材との相性のよい強化材料として利用することができる。
前記複合めっき物中において、カーボンナノファイバ表面にめっきされた金属が母材となる溶融金属との界面での濡れ性を発揮するため、結果的にカーボンナノファイバを溶融金属に均等に分散させることができる。
さらに請求項1に係る発明は、電気めっきの電極に難めっき材を用いることを特徴とする。電極に難めっき材を用い、好ましくは難めっき材としてアルミニウム、ステンレス、チタンを採用することで、めっき被膜と、電極との接着力を抑えることができ、電極からの剥離を容易することができる。
加えて、請求項1に係る発明では、めっき工程では、複合めっき物が板状に成長する前の段階で終了し、採取工程では、超音波振動法により電極から分離した付着物を採取することを特徴とする。超音波振動法により電極から付着物を分離し採取することで、水洗いにより採取したものに比べカーボンナノファイバの割合は下がるが、効率良く分離でき、生産性の高い採取量を確保することができる。当然のことながら、超音波振動により電極から複合めっき物を全て分離するためには、析出した金属が基板を抱き込まないようにめっき工程を短くする必要がある。この場合における複合めっき物の形態は図2の混合物となる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係るカーボンナノファイバ処理のための電気めっき設備の原理図であり、電気めっき設備10は、めっき槽11に正極として亜鉛板12を下げるとともに負極として鉄板13(アルミ板13A)を下げ、両板12、13に電源14を連結し、めっき層11に次に述べるめっき液15を満たした設備である。めっき液15を撹拌し循環させる撹拌手段、循環手段は必須であるが周知の手段が採用できるので説明は省略する。
めっき液15は、後述する試験1〜3、試験4〜6共に(水+塩化亜鉛+塩化アンモニウム+界面活性剤+カーボンナノファイバ)とした。混合比は後述する。
試験1〜3では、めっき液15中の亜鉛イオンが陰極である鉄板13に到達し、膜を形成する。消費された亜鉛イオンは、亜鉛板12から補充される。従って、試験1〜3では亜鉛とカーボンナノファイバとが複合した形態の被膜を鉄板13に形成することができる。
一方、試験4〜6では、亜鉛イオンとともにカーボンナノファイバが、アルミ板13Aに到達する。従って、試験4〜6では亜鉛とカーボンナノファイバとが複合した形態の被膜をアルミ板13Aに形成することができる。
(実験例)
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
○電気めっきにおける共通条件:
陽極:亜鉛板
めっき液温:25℃
電流密度:5A/dm
めっき厚さ:5〜50μm
めっき時間:10秒〜30分
試験1〜3での電気めっきにおける条件
陰極:鉄板
めっき液の組成:
水:1.0m
塩化亜鉛:70kg/m
塩化アンモニウム:180kg/m
非イオン系界面活性剤:2000cm/m
カーボンナノファイバ:2kg/m
試験4〜6での電気めっきにおける条件
陰極:アルミ板
めっき液の組成:
水:1.0m
塩化亜鉛:70kg/m
塩化アンモニウム:180kg/m
非イオン系界面活性剤:2000cm/m
カーボンナノファイバ:2kg/m
試験1〜3及び試験4〜6では、めっき液に前記の界面活性剤を加え、さらに超音波振動を付与しながら、カーボンナノファイバを混入した。これで、カーボンナノファイバの分散を促すことができた。
表1は、試験1〜3と試験4〜6を用いて実施した試験1〜6をまとめた表である。
Figure 0004001291
実験方法としては、試験1〜3、試験4〜6の各々に電流密度5A/dmの条件で電解めっき処理を行った。また、その際にめっき処理時間(10秒、5分、30分)と、複合めっき物の分離条件(水洗、超音波洗浄、外力による剥離)を変化させ比較実験を行った。
試験1では、陰極を鉄にして、めっき処理を10秒間行い、生成された複合めっき物を分離させた。結果としては、粒子状の複合めっき物が形成され、板状の被膜になるには至らなかった。電極からの分離に関しては、水洗いによる分離はほとんどできず、超音波洗浄によりほぼ全てを採取することができた。
試験1の条件のようにめっき時間が10秒程度の短時間である場合、電極に対する析出金属の接着力が小さいため、従来鉄板のような亜鉛めっきの接着の強い素材であっても、前記の超音波振動を加えることにより、電極表面からほぼ全ての複合めっき物を採取することができた。そのため、試験1の場合には外力による剥離(外力を加えて電極を変形させることで剥離させること。以下同じ。)は、必要なかった。
したがって、試験1では評価は、水洗いが「×」、超音波が「全採取」、外力剥離が「不要」となる。
しかしながら、めっき処理時間が長くなり、複合めっき物が膜状に成長してしまうと電極からの分離が非常に困難になる。そのため、陰極に鉄板を用いた場合には採取できる複合めっき物量が少なく、採取効率も悪かった。尚、試験1で採取された複合めっき物は、図2(図2の詳細は後述する。)の様な形態をしていた。
試験2では、陰極を鉄にして、めっき処理を5分間行い、生成されためっき物を分離させた。結果としては、電極に板状のめっき膜が形成され、表面には凹凸ができ、凸部にカーボンナノファイバが集中して析出していた。分離に関しては、水洗いにより、極表面層の複合めっき物を微量ではあるが採取できた。超音波洗浄では、水洗いでは採取できなかった表面層の複合めっき物を少量採取することができた。外力による剥離では、めっき膜と電極との結合力が強く、ほとんどはがすことができなかった。
したがって、試験2では評価は、水洗いが「微量」、超音波が「少量」、外力剥離が「×」となる。
全体としての複合めっき物の生産量は多かったが、採取効率としては、分離がほとんどできなかったため、悪かった。尚、試験2で採取された複合めっき物は、水洗いにより採取された複合めっき物は、図3(図3の詳細は後述する。)の形態をしており、超音波洗浄により採取された複合めっき物は、図2と図3とが混在した形態をしていた。
試験3では、陰極を鉄にして、めっき処理を30分間行い、生成された複合めっき物を分離させた。結果としては、電極に厚い板状のめっき膜が形成され、表面には凹凸ができ、凸部にカーボンナノファイバが集中して析出していた。
分離に関しては、水洗いにより極表面層の複合めっき物を少量ではあるが採取でき、超音波洗浄により水洗いでは採取できなかった表面層の複合めっき物を少量ではあるが採取することができた。外力による剥離は、複合めっき物と電極との結合力が強く、ほとんどはがすことができなかった。
したがって、試験3では評価は、水洗いが「少量」、超音波が「少量」、外力剥離が「×」となる。
試験2と同様採取効率としては悪いが、水洗いによる、採取量に関しては試験1〜3の中では最も多かった。
試験4では、陰極を難めっき材であるアルミにして、めっき処理を10秒間行い、生成された複合めっき物を分離させた。結果としては、電極に粒子状の複合めっき物が形成され、板状のめっき膜になるには至らなかった。
分離に関しては、水洗いによる採取により極表面層の複合めっき物を極微量ではあるが採取でき、超音波洗浄により、容易に全てを採取することができた。
したがって、試験4では評価は、水洗いが「超微量」、超音波が「全採取」、外力剥離が「不要」となる。
採取量としては少ないが、効率としては良好であった。尚、試験4で採取された複合めっき物の形態は、試験2及び試験3において水洗いおよび超音波洗浄により採取された複合めっき物の形態とそれぞれ同様であった
試験5では、陰極をアルミにして、めっき処理を5分間行い、生成された複合めっき物を分離させた。結果としては、電極に粒状の複合めっき物が形成され、表面には凹凸ができ、凸部にカーボンナノファイバが集中して析出していた。
分離に関しては、水洗いにより極表面層の複合めっき物を少量ではあるが採取でき、超音波洗浄により水洗いでは採取できなかった表面層の複合めっき物の全てを採取することができた。そのため外力による剥離は必要なかった。
したがって、試験5では評価は、水洗いが「少量」、超音波が「全採取」、外力剥離が「不要」となる。
試験5では陰極としてアルミを用いたことにより、複合めっき物と電極との結合力が弱く、複合めっき物を超音波洗浄により全て容易に分離することができた。
そのため、超音波洗浄による採取量は、全試験中一番多かった。尚、試験5で採取された複合めっき物についても、前記試験例と同様に水洗いにより採取された複合めっき物は、図3の形態をしており、超音波洗浄により採取された複合めっき物は、図2と図3の形態とが混在していた。
試験6では、陰極をアルミにして、めっき処理を30分間行い、生成された複合めっき物を分離させた。結果としては、電極に厚い板状のめっき膜が形成され、表面には凹凸ができ、凸部にカーボンナノファイバが集中して析出していた。
分離に関しては、水洗いにより極表面層の複合めっき物を少量ではあるが採取でき、超音波洗浄により水洗いでは採取できなかった表面層の複合めっき物を少量ではあるが採取することができた。外力による剥離では、試験6では陰極としてアルミを用いたことにより、複合めっき物と電極との結合力がさほど強くならないため、水洗や超音波洗浄後に残った板状のめっき被膜を比較的容易にはがすことができた。
したがって、試験6では評価は、水洗いが「少量」、超音波が「少量」、外力剥離が「全採取」となる。
水洗いにより採取された極表面層の複合めっき物の量は、試験3とほぼ同等であった。外力による剥離によって、板状の厚い複合めっき物が採取できた。
以上の実験結果から、陰極を難めっき材にて構成することで、電極から付着物を容易に採取することができた。また、各々の採取方法により得られる複合めっき物の形態については、電子顕微鏡で詳細に観察したところ、図2〜図4に示す模式図のように異なることが判明した。それぞれの形態の詳細については以下の項目に記述する。
次に、図2〜図4の詳細を説明する。なお、図2は本発明の実施例を説明し、図3及び図4は参考図である。
図2は実施例を説明する図(超音波洗浄により得られた複合めっき物の形を示す図であり、超音波洗浄により分離される複合めっき物は、粒子状の形態をしていた。
複合めっき物を構成する粒子21は、電極の一部に集中して析出した亜鉛原子が成長して50μm程度の塊となった亜鉛塊22、およびこの亜鉛塊22の成長の際における金属イオンの析出と共に巻き込まれたカーボンナノファイバ23とからなることが確認できた。表面に析出したカーボンナノファイバの表面には、亜鉛がコーティングされていることも確認された。
分析の結果、粒子21の組成は、亜鉛が50〜80体積%で、カーボンナノファイバが20〜50体積%であった。
尚、複合めっき物が前記のような粒子状の形態となる理由としては、以下の様なことが考えられる。つまり、基本的なめっき膜成長の原理として金属イオンの析出は形成されためっき膜の表面全体で均一に起こるのではなく相対的に凸となった部分に集中する。そのような凸部に金属の析出が集中すると凹となった部分ではほとんど析出が起こらずめっき膜の成長が乏しくなる。従って金属の析出初期に凹凸が形成されるとめっき処理時間の延長と共に益々助長し凹凸が激しい表面となる。
なお、今回の実験例の場合では、析出のかなり初期段階(試験4)において金属の析出が一部に集中していることが確認された。つまり、めっきの成長としては、金属は点で析出し始め、その後、各々が粒状に成長し(試験5)、それぞれが結合して面(膜)へと成長する(試験6)現象を示した。
図3は参考図(水洗いにより採取された複合めっき物の形態を示す模式図であり、(b)は(a)の断面図である。
水洗いにより分離された複合めっき物について電子顕微鏡観察を行った結果、カーボンナノファイバの表面に亜鉛被膜が薄くコーティングされている状態が確認できた。
このように、水洗いで採取された複合めっき物については、図3に示すような金属の割合の非常に少ない形態であるため、めっき処理時に析出金属に完全に取り込まれていない状態で複合めっき物の極表層に存在していたものであると考えられる。
したがって,図3に示す複合めっき物の形態については、前記のように電極に析出した複合めっき物本体に十分に取り込まれていない状態のものが水洗いによって分離したものであると考えるのが妥当である。
分析の結果、組成は、亜鉛が30〜50体積%で、カーボンナノファイバが50〜70体積%であった。
本形態のものは、金属の析出の際に巻き込まれたカーボンナノファイバが、強固に被膜される前の状態であると推測される。本形態を含める3形態(図2、図3、図4)の中において、採取された複合めっき物中の金属の占める割合が最も少ない形態であると考えられる。
図4は参考図(外力による剥離により採取された複合めっき物の形態を示す図であり、(b)は(a)の断面図である。
外力による剥離により分離され、採取された複合めっき物は、表面に粒子状の凹凸が形成されていることが確認できた。
分析の結果、組成は、亜鉛が80〜95体積%で、カーボンナノファイバが5〜20体積%であった。
本形態のものは、前記した理由により凸部には金属イオンが集中して析出するためカーボンナノファイバも集中して析出し、逆に凹部では、金属イオンがほとんど析出しないためカーボンナノファイバの析出も比較的少ない。また、めっき処理時間を長くすればするほど、採取される複合めっき物中における金属の割合が増加するため、本形態を含めた3形態(図2、図3、図4)の中では、カーボンナノファイバの含有比率が一番少ない形態である。
前記で分離され、採取された複合めっき物における、金属とカーボンナノファイバの割合は、種々の条件により制御でき、同条件においてめっき液中のカーボンナノファイバの添加量を増加させていくことにより複合めっき物におけるカーボンナノの割合を増やすことも可能である。
また、前記したようにめっき処理時間を制御することにより、目的とする形状の採取物を効率良く得ることができる。
具体的には、めっき処理時間を少なくすれば、超音波洗浄により粒子状の採取物を効率良く得られ、めっき処理時間を長くし、極表面層に付着した複合めっき物を水洗いにより採取することで、カーボンナノファイバに金属が薄くコーティングされた複合めっき物が得られる。
また、めっき処理時間を長くして板状に成長した複合めっき物に外力による剥離を施すことにより、板状の複合めっき物を分離して採取することができる。
すなわち、単純に生産量を確保するにはめっき処理時間を延ばし、剥離性を確保するにはめっき処理時間を短くする必要がある。
しかしながら、目的となる形態によってそれぞれ最適な条件が存在するため、めっき処理時間については目的とする複合めっき物の形態によっても最適な条件を考慮する必要がある。
具体的に本実施例の場合では、図2の形態の場合には複合めっき物が板状に成長する前の段階で処理を終了しなければならない。したがって、処理時間は数秒から数分程度とする必要がある。
これに対し、図3の形態の場合には水洗いによって採取される複合めっき物についてはめっき処理時間にほぼ比例して増加するため、ある程度の長い時間めっき処理をすることが望ましい。また、この場合、水洗後に電極には板状に成長した複合めっき物が残っているはずであるが、これについては外力を加えて分離し、別の用途に用いればよい。
図4の形態については、複合めっき物が板状になるめっき処理時間だけ処理を行う必要がある。参考例では30分程度処理を行えば十分板状に成長した。
本発明では電極表面から複合めっき物を分離しているため、電極については、ある程度の再利用が可能である。再利用回数の目安としては、何度も処理を行って基板が痛んだ場合や、複合めっき物の分離が困難になってきたら交換すれば良い。
水洗いにより分離され、採取された複合めっき物の割合は種々の条件により上下するが、めっき金属の割合が30〜50体積%、カーボンナノファイバが50〜70体積%の範囲の物を得ることができる。
超音波洗浄により分離され、採取された複合めっき物の割合については、めっき金属の割合が50〜80体積%、カーボンナノファイバが20〜50体積%の範囲の物を得ることができる。
外力による剥離により分離される複合めっき物の割合については、めっき金属の割合が80〜95体積%、カーボンナノファイバが5〜20体積%の範囲の物を得ることができる。
尚、本実施例においては、電流密度を5A/dmとしたが、1〜10A/dmにおいて制御することが可能である。1A/dm にて制御した場合は表面に凹凸のない平滑な被膜を得ることができるが、カーボンナノファイバの析出比率は少なくなる。逆に10A/dmにて制御する場合には、被膜の形成速度は速いが水素等の発生により同様にカーボンナノファイバの析出が少ないことが確認された。従ってより好適に制御するに当たっては、2〜5A/dmで制御することが好ましい。
また、本実施例においては、アルミ板を電極として用いたが、ステンレス、チタン等の難めっき材であれば、好適に使用することができる。
本実施例において採取した複合めっき物は、以下の用途に好適に用いることができる。
水洗いにより得られた複合めっき物は、金属の比率が最も低いため、そのまま樹脂や金属の強化材として使用することもできるし、導電性材料としての使用にも好適であると考えられる。この形態の複合めっき物については、母材の組成への影響を最小限に抑えたい場合に用いれば良い。
超音波洗浄により得られた粒子状の複合めっき物は、亜鉛とカーボンナノファイバとの複合物であり、金属や樹脂に混ぜる補強材として使用できる。すなわち、カーボンナノファイバは各種母材に対して濡れ性が悪いが、亜鉛は濡れ性が良いため、亜鉛が母材金属との結合材としてはたらく。これにより、母材金属にカーボンナノファイバを均一に分散することができる。
また、本形態はカーボンナノファイバを含んだ粒状の形態であるため粉末冶金のような成形法によって成形することにより、容易にカーボンナノファイバを含んだ成形体を得ることも可能である。さらに、この場合に他の金属粉末を添加すれば容易にカーボンナノファイバ複合合金が成形できる。
また、本発明方法で処理したカーボンナノファイバは、金属用補強材、コンクリート用補強材、樹脂用補強材の何れに供してもよい。
本発明の処理方法は、溶融金属に補強材料として混入するカーボンナノファイバの処理方法に好適である。
本発明に係る電気めっきを施す電気めっき設備の原理図である。 実施例を説明する図(超音波洗浄により得られた複合めっき物の形を示す図である。 参考図(水洗いにより得られた採取物の形態を示す図である。 参考図(外力剥離により得られた採取物の形態を示す図である。 カーボンナノファイバのモデル図である。 複合めっき液の問題点を説明する図である。
符号の説明
15…めっき液、23…カーボンナノファイバ。

Claims (1)

  1. カーボンナノファイバを金属系めっき液に非イオン系の界面活性剤とともに混合するめっき液調整工程と、調整後のめっき液を用いて電気めっきを実施するめっき工程と、電極に付着した付着物を採取する採取工程とからなるカーボンナノファイバの処理方法であって、
    前記電極には、アルミニウム、ステンレス、チタンから選ばれる難めっき材を用い、
    前記めっき工程では、複合めっき物が板状に成長する前の段階で終了することで、金属原子の塊の表面にカーボンナノファイバが析出している塊状になるようにし、
    前記採取工程では、電極に付着した付着物を、超音波振動法により電極から分離し採取することで、金属原子の塊の表面にカーボンナノファイバが析出している塊状複合めっき物を得ることを特徴とするカーボンナノファイバの処理方法。
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