JP3913329B2 - (±)−クロマンカルボン酸の光学分割法 - Google Patents
(±)−クロマンカルボン酸の光学分割法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3913329B2 JP3913329B2 JP24670197A JP24670197A JP3913329B2 JP 3913329 B2 JP3913329 B2 JP 3913329B2 JP 24670197 A JP24670197 A JP 24670197A JP 24670197 A JP24670197 A JP 24670197A JP 3913329 B2 JP3913329 B2 JP 3913329B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hydroxy
- tetramethylchroman
- carboxylic acid
- acid
- phenylethylamine
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Pyrane Compounds (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の光学分割法に関する。本発明により製造される光学活性な6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸は、光学活性なビタミンE誘導体の合成中間体として有用である[例えば、Helvetica Chimica Acta、64巻、1158ペ−ジ(1981年)参照]。
【0002】
【従来の技術】
従来、光学活性な6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の合成方法としては、▲1▼(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルを酵素を用いて不斉加水分解する方法(米国特許第5348973号明細書参照)、▲2▼光学活性なアシルプロリン誘導体をハロラクトン化する方法[Chemistry Letters、465ページ(1989年参照]、▲3▼有機チタン化合物と光学活性なピルビン酸エステルを反応させる方法(特開昭61−60628号公報参照)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼の方法は、不斉加水分解後の目的物の単離・精製操作および酵素の分離除去操作が煩雑であるという問題点を有しており、また、上記▲2▼および▲3▼の方法では、使用する出発物質を容易に入手もしくは合成することが困難である。したがって、いずれの方法も、光学活性な6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の工業的に有利な製造方法とは言い難い。一方、(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を光学分割する方法として、光学活性なα−フェニルエチルアミンを使用する例が知られている(特公昭60−26975号公報参照)。しかしながら、後述の比較例から明らかなように、光学活性なα−フェニルエチルアミンを使用した場合の分割効率は低く、さらに再結晶が複数回必要となるという問題点を有している。
しかして、本発明の目的は、(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を効率よく分割し、光学活性な6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を得る方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(以下、単に(±)−クロマンカルボン酸という)に、光学活性なN−ベンジル−α−フェニルエチルアミンを作用させることを特徴とする(±)−クロマンカルボン酸の光学分割法を提供することによって達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の光学分割法においては、分割剤として光学活性なN−ベンジル−α−フェニルエチルアミンが使用される。光学活性なN−ベンジル−α−フェニルエチルアミンの使用量は、特に限定されないが、(±)−クロマンカルボン酸に対して0.5〜1.0当量の範囲で使用するのが、効率よく、かつ高純度で分割するために好ましい。
【0006】
本発明の反応は、一般に溶媒の存在下で行われる。使用される溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール;ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、第3級ブチルメチルエーテルなどのエーテル;酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素などが挙げられる。これらは必要に応じて2種以上の混合物として用いることもできる。中でも、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、第3級ブチルメチルエーテル、またはこれらの混合溶媒が、高純度の光学活性な6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を得ることができるので好ましい。
【0007】
溶媒の使用量は、溶媒の種類、溶解度、晶析温度などによっても異なるが、通常、(±)−クロマンカルボン酸に対して1〜100重量倍、好ましくは2〜50重量倍の範囲で用いられる。
【0008】
本発明は、例えば次のような方法で実施される。(±)−クロマンカルボン酸、光学活性なN−ベンジル−α−フェニルエチルアミンおよび溶媒を混合し、加熱溶解したのち冷却してジアステレオマー塩を過飽和となし、好ましくは(+)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(−)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩または(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩を少量接種して、同種の難溶性のジアステレオマー塩を析出させ、これを分離する。ジアステレオマー塩の分離方法としては、濾過、遠心分離などの方法が用いられる。
【0009】
晶析温度は、溶媒の使用量、溶媒の種類、溶解温度などによって適宜選択することができるが、経済的見地からは−10〜50℃の範囲が好ましい。
【0010】
得られたジアステレオマー塩は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトシキドなどの塩基で処理して(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミンまたは(−)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミンを回収し、さらに、塩酸、硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸などの酸を作用させて、(+)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸または(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を得る。なお、かかる操作は酸処理、次いで任意的な塩基処理の順に行ってもよい。
【0011】
原料として使用する(±)−クロマンカルボン酸は、例えば特開平7−97380号公報に記載された方法により、容易にかつ安価に合成できる。
【0012】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0013】
実施例1
(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸506mg(2.02mmol)を酢酸エチル3.0mLに懸濁させ、その懸濁液に(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン427mg(2.02mmol)の第3級ブチルメチルエーテル4.0mL溶液を加え、加熱溶解させた。室温まで冷却後、(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩を少量接種し、室温で一夜放置した。析出した結晶を濾過することにより、476mg(1.03mmol)の(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩を得た。この(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩のうち320mgに1規定水酸化ナトリウム水溶液を加え、エーテルで抽出を行った。次に、水相に1規定塩酸を加え、析出した結晶を濾過することにより、(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸121mg(0.484mmol)を得た。[α]D =−56.7゜(c1.2、エタノール)。仕込み(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸中の(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸に対する収率は71%であった。また、得られた(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の光学純度は、旋光度分析で87%ee、液体クロマトグラフ分析では88%eeであった。
【0014】
実施例2
(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸53.4kg(水9kgを含む、純分換算177mol)、(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン37.5kg(177mol)、エタノール166kg、イソプロパノール26kgを混合し、70℃まで加熱し、溶解させた。次に、70℃で水114kgを加え、50℃まで冷却後、(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩を少量接種した。40℃で3時間撹拌した後、徐々に冷却しながら一夜放置した。析出した結晶を濾過することにより、湿重量43.0kg(純分換算63mol)の(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩を得た。この(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩に1規定水酸化ナトリウム水溶液100kgを加え、第3級ブチルメチルエーテル60Lで2回抽出を行った。水相に濃塩酸11.5kgを加え、酢酸エチル30Lで3回抽出を行った。溶媒を留去し、エタノール36L、水70Lから再結晶を行い、析出した結晶を濾過・乾燥することにより、(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸11.9kg(48mol)を得た。仕込み(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸中の(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸に対する収率は54%であった。また、得られた(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の光学純度は99%eeであった(液体クロマトグラフ分析による)。
【0015】
比較例
(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸500mg(2.00mol)、(−)−α−フェニルエチルアミン242mg(2.00mmol)、酢酸エチル10mLを混合し加熱溶解させた。室温まで冷却後、一夜放置した。析出した結晶を濾過することにより、278mg(0.75mol)の(+)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(−)−α−フェニルエチルアミン塩を得た。この(+)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(−)−α−フェニルエチルアミン塩に1規定水酸化ナトリウム水溶液を加え、エーテルで抽出を行った。次に、水相に1規定塩酸を加え、析出した結晶を濾過することにより、(+)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を得た。[α]D =+0.33゜(c1.2、エタノール)。得られた(+)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の光学純度は0.5%eeであった(旋光度分析による)。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、(±)−クロマンカルボン酸を効率よく光学分割して、光学純度の高い(+)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸または(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の光学分割法に関する。本発明により製造される光学活性な6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸は、光学活性なビタミンE誘導体の合成中間体として有用である[例えば、Helvetica Chimica Acta、64巻、1158ペ−ジ(1981年)参照]。
【0002】
【従来の技術】
従来、光学活性な6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の合成方法としては、▲1▼(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルを酵素を用いて不斉加水分解する方法(米国特許第5348973号明細書参照)、▲2▼光学活性なアシルプロリン誘導体をハロラクトン化する方法[Chemistry Letters、465ページ(1989年参照]、▲3▼有機チタン化合物と光学活性なピルビン酸エステルを反応させる方法(特開昭61−60628号公報参照)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼の方法は、不斉加水分解後の目的物の単離・精製操作および酵素の分離除去操作が煩雑であるという問題点を有しており、また、上記▲2▼および▲3▼の方法では、使用する出発物質を容易に入手もしくは合成することが困難である。したがって、いずれの方法も、光学活性な6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の工業的に有利な製造方法とは言い難い。一方、(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を光学分割する方法として、光学活性なα−フェニルエチルアミンを使用する例が知られている(特公昭60−26975号公報参照)。しかしながら、後述の比較例から明らかなように、光学活性なα−フェニルエチルアミンを使用した場合の分割効率は低く、さらに再結晶が複数回必要となるという問題点を有している。
しかして、本発明の目的は、(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を効率よく分割し、光学活性な6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を得る方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(以下、単に(±)−クロマンカルボン酸という)に、光学活性なN−ベンジル−α−フェニルエチルアミンを作用させることを特徴とする(±)−クロマンカルボン酸の光学分割法を提供することによって達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の光学分割法においては、分割剤として光学活性なN−ベンジル−α−フェニルエチルアミンが使用される。光学活性なN−ベンジル−α−フェニルエチルアミンの使用量は、特に限定されないが、(±)−クロマンカルボン酸に対して0.5〜1.0当量の範囲で使用するのが、効率よく、かつ高純度で分割するために好ましい。
【0006】
本発明の反応は、一般に溶媒の存在下で行われる。使用される溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール;ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、第3級ブチルメチルエーテルなどのエーテル;酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素などが挙げられる。これらは必要に応じて2種以上の混合物として用いることもできる。中でも、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、第3級ブチルメチルエーテル、またはこれらの混合溶媒が、高純度の光学活性な6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を得ることができるので好ましい。
【0007】
溶媒の使用量は、溶媒の種類、溶解度、晶析温度などによっても異なるが、通常、(±)−クロマンカルボン酸に対して1〜100重量倍、好ましくは2〜50重量倍の範囲で用いられる。
【0008】
本発明は、例えば次のような方法で実施される。(±)−クロマンカルボン酸、光学活性なN−ベンジル−α−フェニルエチルアミンおよび溶媒を混合し、加熱溶解したのち冷却してジアステレオマー塩を過飽和となし、好ましくは(+)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(−)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩または(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩を少量接種して、同種の難溶性のジアステレオマー塩を析出させ、これを分離する。ジアステレオマー塩の分離方法としては、濾過、遠心分離などの方法が用いられる。
【0009】
晶析温度は、溶媒の使用量、溶媒の種類、溶解温度などによって適宜選択することができるが、経済的見地からは−10〜50℃の範囲が好ましい。
【0010】
得られたジアステレオマー塩は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトシキドなどの塩基で処理して(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミンまたは(−)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミンを回収し、さらに、塩酸、硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸などの酸を作用させて、(+)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸または(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を得る。なお、かかる操作は酸処理、次いで任意的な塩基処理の順に行ってもよい。
【0011】
原料として使用する(±)−クロマンカルボン酸は、例えば特開平7−97380号公報に記載された方法により、容易にかつ安価に合成できる。
【0012】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0013】
実施例1
(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸506mg(2.02mmol)を酢酸エチル3.0mLに懸濁させ、その懸濁液に(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン427mg(2.02mmol)の第3級ブチルメチルエーテル4.0mL溶液を加え、加熱溶解させた。室温まで冷却後、(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩を少量接種し、室温で一夜放置した。析出した結晶を濾過することにより、476mg(1.03mmol)の(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩を得た。この(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩のうち320mgに1規定水酸化ナトリウム水溶液を加え、エーテルで抽出を行った。次に、水相に1規定塩酸を加え、析出した結晶を濾過することにより、(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸121mg(0.484mmol)を得た。[α]D =−56.7゜(c1.2、エタノール)。仕込み(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸中の(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸に対する収率は71%であった。また、得られた(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の光学純度は、旋光度分析で87%ee、液体クロマトグラフ分析では88%eeであった。
【0014】
実施例2
(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸53.4kg(水9kgを含む、純分換算177mol)、(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン37.5kg(177mol)、エタノール166kg、イソプロパノール26kgを混合し、70℃まで加熱し、溶解させた。次に、70℃で水114kgを加え、50℃まで冷却後、(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩を少量接種した。40℃で3時間撹拌した後、徐々に冷却しながら一夜放置した。析出した結晶を濾過することにより、湿重量43.0kg(純分換算63mol)の(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩を得た。この(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩に1規定水酸化ナトリウム水溶液100kgを加え、第3級ブチルメチルエーテル60Lで2回抽出を行った。水相に濃塩酸11.5kgを加え、酢酸エチル30Lで3回抽出を行った。溶媒を留去し、エタノール36L、水70Lから再結晶を行い、析出した結晶を濾過・乾燥することにより、(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸11.9kg(48mol)を得た。仕込み(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸中の(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸に対する収率は54%であった。また、得られた(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の光学純度は99%eeであった(液体クロマトグラフ分析による)。
【0015】
比較例
(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸500mg(2.00mol)、(−)−α−フェニルエチルアミン242mg(2.00mmol)、酢酸エチル10mLを混合し加熱溶解させた。室温まで冷却後、一夜放置した。析出した結晶を濾過することにより、278mg(0.75mol)の(+)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(−)−α−フェニルエチルアミン塩を得た。この(+)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸・(−)−α−フェニルエチルアミン塩に1規定水酸化ナトリウム水溶液を加え、エーテルで抽出を行った。次に、水相に1規定塩酸を加え、析出した結晶を濾過することにより、(+)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を得た。[α]D =+0.33゜(c1.2、エタノール)。得られた(+)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の光学純度は0.5%eeであった(旋光度分析による)。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、(±)−クロマンカルボン酸を効率よく光学分割して、光学純度の高い(+)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸または(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を得ることができる。
Claims (1)
- (±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸に、光学活性なN−ベンジル−α−フェニルエチルアミンを作用させることを特徴とする(±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の光学分割法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24670197A JP3913329B2 (ja) | 1997-09-11 | 1997-09-11 | (±)−クロマンカルボン酸の光学分割法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24670197A JP3913329B2 (ja) | 1997-09-11 | 1997-09-11 | (±)−クロマンカルボン酸の光学分割法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1180149A JPH1180149A (ja) | 1999-03-26 |
JP3913329B2 true JP3913329B2 (ja) | 2007-05-09 |
Family
ID=17152356
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24670197A Expired - Fee Related JP3913329B2 (ja) | 1997-09-11 | 1997-09-11 | (±)−クロマンカルボン酸の光学分割法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3913329B2 (ja) |
Families Citing this family (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10028443C1 (de) * | 2000-06-14 | 2002-05-29 | Sanol Arznei Schwarz Gmbh | Verfahren zur Herstellung von 3,3-Diarylpropylaminen, (R,S)- und (R)-4-Phenyl-2-chromanon-6-carbonsäure sowie (R)-4-Phenyl-2-chromanon-carbonsäure-cinchonidinsalz und deren Verwendung zur Herstellung eines rechtsdrehenden Hydroxybenzylalkohols und von pharmazeutischen Zusammensetzungen |
JP2004002206A (ja) * | 2000-07-26 | 2004-01-08 | Chugai Pharmaceut Co Ltd | 光学活性なチアゾリジノン誘導体の製造方法 |
WO2002012221A1 (fr) * | 2000-08-03 | 2002-02-14 | Kuraray Co., Ltd. | Procede de resolution optique de l'acide (±)-6-hydroxy-2,5,7,8,-tetramethyle de coumarone-2-carboxylique |
JP2002167381A (ja) * | 2000-08-03 | 2002-06-11 | Kuraray Co Ltd | (±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の光学分割法 |
JPWO2004108944A1 (ja) * | 2003-06-04 | 2006-07-20 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 光学活性クロマンカルボン酸エステルの製造方法 |
JP4826132B2 (ja) * | 2005-04-28 | 2011-11-30 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸及びその製造方法 |
JP4826133B2 (ja) * | 2005-04-28 | 2011-11-30 | 三菱瓦斯化学株式会社 | S−(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸及びその製造方法 |
ATE539071T1 (de) | 2006-10-26 | 2012-01-15 | Mitsubishi Gas Chemical Co | Verfahren zur herstellung von s-(-)-6-hydroxy-2,5,7,8-tetramethylchroman-2-ca bonsäure |
CA2704473C (en) | 2007-11-06 | 2016-10-04 | Edison Pharmaceuticals, Inc. | 4-(p-quinonyl)-2-hydroxybutanamide derivatives for treatment of mitochondrial diseases |
US20180002247A1 (en) * | 2014-12-16 | 2018-01-04 | Bioelectron Technology Corporation | Methods for chiral resolution of trolox |
SG10202003299PA (en) | 2014-12-16 | 2020-05-28 | Ptc Therapeutics Inc | Polymorphic and amorphous forms of (r)-2-hydroxy-2-methyl-4-(2,4,5-trimethyl-3,6-dioxocyclohexa-1,4-dienyl)butanamide |
-
1997
- 1997-09-11 JP JP24670197A patent/JP3913329B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1180149A (ja) | 1999-03-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3913329B2 (ja) | (±)−クロマンカルボン酸の光学分割法 | |
JP4338401B2 (ja) | 4−フェニル酪酸の合成 | |
CA2497066C (en) | Process for the preparation of 13-cis-retinoic acid | |
WO2002012221A1 (fr) | Procede de resolution optique de l'acide (±)-6-hydroxy-2,5,7,8,-tetramethyle de coumarone-2-carboxylique | |
JP4397990B2 (ja) | 3−アルキルフラバノノール誘導体の精製法 | |
JP2002167381A (ja) | (±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸の光学分割法 | |
JP2004520427A (ja) | ワルファリン酸からのワルファリンナトリウムの調製 | |
JP2001500114A (ja) | 3―ヒドロキシメチルセファロスポリンの溶媒抽出法 | |
JP2571279B2 (ja) | シコニンの製造方法 | |
EP0483754B1 (en) | Novel process for producing 6-(3-dimethylaminopropionyl)forskolin | |
RU2363694C2 (ru) | Усовершенствованный способ выделения и очистки индол-3-карбинола (i3c) | |
US4698432A (en) | Process for the resolution of (±) 2-[2'-(p-fluorophenyl)-5'-benzoxazolyl]-propionic acid | |
JP2010006752A (ja) | 4−アミノシクロヘキサン−1−カルボン酸のシス/トランス異性体混合物の分離方法 | |
JP4093608B2 (ja) | 光学活性2−フェノキシプロピオン酸の製造方法 | |
JP2571939B2 (ja) | シクロペンテノン誘導体及びその製造法 | |
JPWO2003057665A1 (ja) | ベンゼンスルホンアミド誘導体結晶の製造方法、およびその中間体の新規結晶とその製造方法 | |
JPS61172846A (ja) | (±)−2−クロロプロピオン酸の光学分割法 | |
JPH0798802B2 (ja) | 光学活性インドリン―2―カルボン酸の製造法 | |
CA2439488A1 (en) | Process for purification of warfarin acid, warfarin alkali metal salts and corresponding clathrates | |
JP4081619B2 (ja) | 光学活性な5−ヒドロキシ−2−デセン酸の製造方法および光学活性なマソイヤラクトンの製造方法 | |
JP2003146962A (ja) | N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンの回収方法 | |
JPH09241227A (ja) | 新規光学分割剤 | |
JPH0796534B2 (ja) | Dl及び光学活性フエニルアラニノ−ルの製造方法 | |
JPH10158235A (ja) | 4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンモノエーテル誘導体の精製法 | |
JPH06100490A (ja) | 光学活性α−メチルコハク酸の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20061228 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070109 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070131 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110209 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |