JP3788215B2 - 気化式加湿機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気化式加湿機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の気化式加湿機においては、気化エレメントを水で濡らして、そこに送風ファンで発生した風を当てて加湿を行う方式がとられており、その気化エレメントに雑菌やカビなどが繁殖してしまう不具合が生じることがあった。
このため、気化エレメントについては、定期的に熱水を掛けるなどして除菌処理を行う必要がある。
【0003】
そこで、従来は図4に示すような気化式加湿機が提案されている。
図4において、1は加湿機の本体、2はこの本体1内下部に設けられた水槽、3はこの水槽2内の水に下部が浸るように配設された吸水性を有する気化エレメント、4は水槽2内の水を加熱するヒータ、5は水タンク、6は送風ファン、7は吸入口、8は吐出口である。
【0004】
図4に示した従来の気化式加湿機では、水槽2内に水があるのを確認した後、運転スイッチ(図示せず)をオンすることにより、送風ファン6が回転し、吸入口7から外気が吸込まれ、気化エレメント3を通過して吐出口8より外部に放出される。このとき、前記気化エレメント3はその吸水性により水槽2内の水を吸い上げて水で濡れているので気化エレメント3を通過した空気は湿気を帯び、室内の加湿を行う。
また、気化エレメント3の除菌時には、ヒータ4に通電して水槽2内の水を加熱することによって気化エレメント3の除菌を行っていた。
【0005】
また、他の従来例として、特開昭55−53650号公報に示すものがある。図5は特開昭55−53650号公報に示された気化式加湿機の構成図であり、このものは、気化エレメント3を水槽2の水面よりも高い位置に設け、モータにより回転されるポンプ10で水槽2内の水を吸い上げて気化エレメント3に供給するように構成したものである。このように構成することで、機器の運転中はポンプ10で吸い上げられた水が気化エレメント3に供給され、気化エレメント3は常に湿った状態にあるが、夜間などのように、機器の停止時においては、気化エレメント3は自然乾燥となり、かびや細菌の繁殖が停止され、悪臭の発生を防止できるというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の気化式加湿機の場合、前者においては、単に熱水に気化エレメント3の下部を浸しておき、熱水を吸い上げて除菌するように構成したものであるから、熱水が気化エレメント3の上部に達するまでに時間がかかり、熱水の温度が除菌可能な温度よりも低くなったり、あるいは熱水が最上部まで達しなかったりして、気化エレメント3全体を除菌することは困難であった。また、後者においては、かびや細菌の繁殖を抑制し、悪臭の発生を防止できるという効果は期待できるものの、気化エレメントを機器の停止中に自然乾燥させているだけであるから、かびや細菌の繁殖を抑制できるという消極的な効果が得られるだけであり、積極的な除菌作用はないという不具合があった。
【0007】
また、熱水にて除菌を行う場合、気化エレメントに所定温度(例えば80℃)の熱水を供給する必要があると同時に、気化エレメントを冷却しないようにするため送風ファンを停止する必要が生じる。このため機体内に結露が生じ、送風ファンにも水滴が付着し、その水滴が熱除菌後の送風により外部に放出されるといった不具合があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、気化エレメントの熱除菌時の除菌温度の維持と機体内結露による水滴の外部放出を防止することができる気化式加湿機を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の気化式加湿機は、水槽と、吸水性を有する気化エレメントと、前記気化エレメントを通して送風を外部に放出するシロッコファンからなる送風ファンと、前記水槽内の水を加熱するヒータとを備え、前記ヒータで水槽内の水を加熱して熱水にし、この熱水を気化エレメントに供給して気化エレメントの熱除菌を行うようにするとともに、気化エレメントの熱除菌を行った際に送風ファンに結露した水滴を、送風ファンを通常の加湿運転時とは逆方向に回転させることにより、送風ファンから分離するようにしたものである。
【0010】
また、前記送風ファンから分離した水滴が、吐出口から直接外部に放出されるのを防止する水滴捕獲板をファンケーシングの空気吹出口付近に設けたものである。
【0011】
さらに、前記送風ファンから分離した水滴が、ファンケーシング内に溜るのを防止する水抜き孔をファンケーシングの底部に設けたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態1を示す気化式加湿機の要部断面図、図2は本発明の実施の形態1を示す気化式加湿機の全体構成図である。
図1及び図2において、1は加湿機の本体、2はこの本体1内下部に設けられた水槽、3はこの水槽2内の水面に触れることなく、その上方に配置された吸水性を有する気化エレメント、4は水槽2内の水を加熱するヒータ、5は水タンク、6はシロッコファンで構成された送風ファン、7は吸入口、8は吐出口である。9は前記吸入口7に対向して配設したプレフィルター、10は水槽2内の水を汲み上げるポンプ、11はポンプで汲み上げた水槽2内の水を気化エレメント3の上方に導く水管、12は水管11の先端に設けたシャワー口であり、前記気化エレメント3の上端部の幅とほぼ同等の幅を有して対向設置される。13は水槽2とタンク受部14とを連通させるための水路、15はファンケーシング、16はファンケーシング15の空気吹出口、17はファンケーシング15の底部に設けた水抜き孔、18は送風ファン6を回転させる電動機、19はファンケーシング15の水抜き孔17に対向させて本体1内に設けた水滴受皿、20は水滴受皿19と水路13を接続するドレンパイプである。
【0013】
さらに詳しく説明すると、電動機18は正逆回転が可能なコンデンサモータなどから構成されており、通常の加湿運転時(正回転時)には、図1中の実線矢印Aで示す方向に回転方向が制御部(図示せず)によって制御されるように構成されている。
【0014】
次に、上記の構成からなる実施の形態1の動作について説明する。
まず、通常の加湿運転時は、ヒータ4に通電せず、送風ファン6とポンプ10のみに通電する。これにより、水槽2内の常温の水はポンプ10によって汲み上げられ、水管11を通ってシャワー口12に導かれる。そして、シャワー口12に導かれた水は分散されて気化エレメント3の上部に万遍なく供給され、気化エレメント3の上部に供給された水は、気化エレメント3の上部から下部に向かって浸透しながら流下し、気化エレメント3全体に浸透し、余分に供給された水は気化エレメント3の下部から滴下して水槽2内に戻る。
【0015】
この状態で、送風ファン6の運転により吸入口7から室内の乾燥した空気が吸い込まれ、この乾燥した空気が吸水した前記気化エレメント3を通過することにより湿気を帯び、吐出口8から外部に放出されることによって、加湿が行われる。この時、送風ファン6は正回転であり、図1中の実線矢印Aで示す方向に回転しており、送風の向きは、空気吹出口16及び吐出口8に向かってほぼ直進するように送風される。
【0016】
一方、除菌運転時には、送風ファン6に通電せず、ヒータ4とポンプ10のみを通電する。これにより、ヒータ4は水槽2内の水を加熱してあらかじめ設定された所定温度(例えば80℃)の熱水となり、この熱水がポンプ10によって汲み上げられ、水管11を通ってシャワー口12に導かれる。そして、シャワー口12に導かれた熱水はシャワー口12で分散されて気化エレメント3の上部に万遍なく供給され、気化エレメント3の上部に供給された熱水は、気化エレメント3の上部から下部に向かって浸透しながら流下し、気化エレメント3全体に浸透した後、余分に供給された熱水は気化エレメント3の下部から滴下して水槽2内に戻り、水槽2内に戻った熱水は再び所定温度に昇温されてポンプ10で汲み上げられ、水管11、シャワー口12、気化エレメント3へと供給される。そして、除菌動作が終了するまで、この動作をくり返えす。この際、送風ファン6は停止しているため、送風で熱水が冷却されることはなく、熱除菌に必要な温度が維持されるが、機体内では熱水による蒸気で結露が生じ、送風ファン6やファンケーシング15の内面においても結露して水滴が付着する。
【0017】
そこで、この実施の形態1では、熱除菌が終了した後、通常加湿に移る前に、図1中、破線矢印Bで示すように、電動機18を電気的に制御して送風ファン6の回転方向を通常送風時とは逆方向に所定時間回転させることにより、送風ファン6に付着した水滴を分離するようにしている。このとき、送風ファン6はシロッコファンからなり、かつ逆方向に回転しているために、送風の向きが空気吹出口16及び吐出口8に向かって直進することなく、所定の角度を有して送風され、送風量も通常送風時よりは少なくなる。このため、回転による遠心力とともに送風ファン6から分離された水滴はファンケーシング15の空気吹出口16付近の内壁面に当たり、その大部分がファンケーシング15内に滴下する。そして、ファンケーシング15の底部には水抜き孔17が設置されているので、ファンケーシング15内に水は溜まることなく、水抜き孔17から水滴受皿19及びドレンパイプ20を経て水路13に回収され、水槽2に戻される。
従って、結露により送風ファン6に付着した水滴が加湿運転時に吐出口8から機外に放出されることがなく、また、除菌中は送風ファン6を停止しているので、熱水の温度を送風ファン6からの送風で下げてしまうという不具合もなくなる。
【0018】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
図3は本発明の実施の形態2を示す気化式加湿機の要部断面図であり、図1に示した実施の形態1と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
図3において、21はファンケーシング15の空気吹出口16付近に設けた水滴捕獲板で、その面を送風ファン6の正回転時には送風が面に当たらず、送風ファン6の逆回転時には送風ファン6からの送風がその面に当るように設置されている。
【0019】
次に、上記の構成からなる実施の形態2の動作について説明する。
通常の加湿運転時及び除菌運転時の基本的動作は実施の形態1の場合と同様なので、説明は省略し、除菌運転によって送風ファン6に結露して付着した水滴の分離動作についてのみ説明する。
【0020】
この実施の形態2でも、熱除菌が終了した後、通常加湿に移る前に、実施の形態1と同様に図3中、破線矢印Bで示すように、電動機18を電気的に制御して送風ファン6の回転方向を通常の加湿運転時とは逆方向に回転させることで、送風ファン6に付着した水滴を分離する。
このとき、この実施の形態2では、送風ファン6から分離された水滴のうち、大部分はファンケーシング15の空気吹出口16付近の内壁面に当たり、ファンケーシング15内に滴下するが、送風ファン6から分離された水滴のうち、やや上向きの方向に分離された少量の水滴は、空気吹出口16付近に設けられた水滴捕獲板21に当たり、ファンケーシング15内に滴下する。そして、いずれの水滴もファンケーシング15の底部に設けられた水抜き孔17から水滴受皿19及びドレンパイプ20を経て水路13に回収され、水槽2に戻される。
【0021】
従って、この実施の形態2の構成によれば、実施の形態1で述べた効果のほかに、送風ファン6から分離された水滴のうち、やや上向きの方向に分離された少量の水滴についても、空気吹出口16付近に設けた水滴捕獲板21によってファンケーシング15内に滴下させることができ、送風ファン6に付着した水滴の少量の外部放出も防止できるという効果が得られる。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、本発明の請求項1によれば、熱水の温度を送風ファンからの送風で下げてしまうという不具合もなく、また、結露により送風ファンに付着した水滴が加湿運転時に機体外に放出されることがないので、気化エレメントの熱除菌温度の維持と機体内結露による水滴の外部放出防止とを両立させることができるという効果が得られる。
【0023】
また、本発明の請求項2によれば、ファンケーシングの空気吹出口付近には水滴捕獲板を備えているので、逆回転時に送風ファンから分離したやや上向きの少量の水滴についても、外部放出を確実に防止することができる。
【0024】
さらに、本発明の請求項3によれば、ファンケーシングの底部には水抜き孔を備えているので、送風ファンから分離した水滴が、ファンケーシング内に溜まるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1を示す気化式加湿機の要部断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態1を示す気化式加湿機の全体構成図である。
【図3】 本発明の実施の形態2を示す気化式加湿機の要部断面図である。
【図4】 従来の気化式加湿機の構成図である。
【図5】 従来の他の気化式加湿機の構成図である。
【符号の説明】
1 加湿機の本体、2 水槽、3 気化エレメント、4 ヒータ、5 水タンク、6 送風ファン、7 吸込口、8 吐出口、9 プレフィルター、10 ポンプ、13 水路、15 ファンケーシング、16 空気吹出口、17 水抜き孔、18 電動機、19 水滴受皿、20 ドレンパイプ、21 水滴捕獲板。

Claims (3)

  1. 水槽と、吸水性を有する気化エレメントと、前記気化エレメントを通して送風を外部に放出するシロッコファンからなる送風ファンと、前記水槽内の水を加熱するヒータとを備え、前記ヒータで水槽内の水を加熱して熱水にし、この熱水を気化エレメントに供給して気化エレメントの熱除菌を行うようにするとともに、気化エレメントの熱除菌を行った際に送風ファンに結露した水滴を、送風ファンを通常の加湿運転時とは逆方向に回転させることにより、送風ファンから分離するようにしたことを特徴とした気化式加湿機。
  2. 前記送風ファンから分離された水滴が、吐出口から直接外部に放出されるのを防止する水滴捕獲板をファンケーシングの空気吹出口付近に設けたことを特徴とする請求項1項記載の気化式加湿機。
  3. 前記送風ファンから分離された水滴が、ファンケーシング内に溜るのを防止する水抜き孔をファンケーシングの底部に設けたことを特徴とする請求項1項記載の気化式加湿機。
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