JP3777270B2 - 車両用扉のクロージャー装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、扉の周縁部または扉開口の周縁部の一方にストライカが配される一方、他方の周縁部に前記ストライカに係脱するロック装置が配されており、前記ストライカまたは前記ロック装置の一方の従動部材を駆動モータにより強制的に作動させて、半閉扉状態の扉を完全に閉扉するようにした車両用扉のクロージャー装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用扉のクロージャー装置としては、例えば、特開平10−184144号公報に開示されたものがある。
【0003】
すなわち、同公報の技術は、ドアの締め込み駆動モータに連結しているドア締め込み機構の要部である主動部材が、ドアを締め込み開始する初期位置(待機位置)となったことを検出するための中立スイッチが設けられているものであり、また、中立スイッチを設けずに、例えば、初期位置において、主動部材をストッパに当接させて移動不能にして、さらに回転し続ける駆動モータの駆動状態(負荷電流や回転状況)に基づき、初期位置を検出するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の技術では、初期位置(待機位置)を検出するための中立スイッチを装置内に設けると、部品点数が増加し、装置が大型化し、コストが嵩む要因になる。また、駆動モータの駆動状態に基づいて主動部材の初期位置を検出するものでは、初期位置において、主動部材がストッパ部材を押した状態で停止しており、主動部材とストッパとに相互に荷重がかかっている状態および、駆動モータの負荷が過大になっている状態にあり、主動部材、ストッパおよび、駆動モータの耐久性を向上するに際して支障になるという問題点があった。
そこで、本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、部品点数を減少し、装置を小型にし、コストを低減することができ、また、待機位置において、主動部材がストッパ部材を押した状態で停止しないで、駆動モータの負荷が緩和され、主動部材、ストッパ部材および、駆動モータの耐久性を向上することができる車両用扉のクロージャー装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の項の発明に存する。
[1]扉(10)の周縁部または扉(10)開口の周縁部の一方にストライカ(15)が配される一方、他方の周縁部に前記ストライカ(15)に係脱するロック装置(20)が配されており、前記ストライカ(15)または前記ロック装置(20)の一方の従動部材(22)を駆動モータ(33)の動力により強制的に作動させて、半閉扉状態の扉(10)を完全に閉扉するようにした車両用扉のクロージャー装置であり、主動部材(36)、ストッパ部材(81)、位置検出部、制御部(70)および、動力伝達手段(41,42)を有するものにおいて、
前記主動部材(36)は、前記従動部材(22)の作動に備えて待機する待機位置と、該待機位置を間にして、一方側にあって、前記従動部材(22)を作動する作動位置と、他方側にある被検知位置とに移動可能に配されており、
前記ストッパ部材(81)は、前記駆動モータ(33)の正方向または逆方向の一方への回転によって前記被検知位置に移動した前記主動部材(36)が当接して、該主動部材(36)の前記他方側への移動を制限し、
前記位置検出部は、前記主動部材(36)が前記ストッパ部材(81)に当接した際の前記駆動モータ(33)の電気値の変化に基づいて、前記主動部材(36)の前記被検知位置への移動を検出する電気値検出手段(75)を有し、
前記制御部(70)は、前記主動部材(36)が前記被検知位置に移動した場合に、前記駆動モータ(33)を正方向または逆方向の他方へ回転させて、前記駆動モータ(33)の電気値が許容範囲内の値になるかまたは、所定時間経過した際に駆動モータ(33)を回転停止して、前記主動部材(36)を前記被検知位置から前記待機位置に戻すモータ制御手段(72)を有し、
前記動力伝達手段(41,42)は、動力が伝達される伝達経路上の前記主動部材(36)側に設けられる第1伝達部材(41)および、前記伝達経路の前記従動部材(22)側に設けられる第2伝達部材(42)を有し、
前記第1伝達部材(41)は、動力が伝達されると、揺動する揺動端部(412)に係合溝(413)または該係合溝(413)に係合するピン部材(423)の一方を有し、
前記第2伝達部材(42)は、動力が伝達されると、同じく揺動する揺動端部(412)に前記係合溝(413)または前記ピン部材(423)の他方を有し、
前記係合溝(413)は、前記主動部材(36)が前記作動位置に移動して前記第1伝達部材(41)が揺動した際に、前記第2伝達部材(42)を揺動可能にすべく前記ピン部材(423)が相対移動する、前記第1伝達部材(41)の揺動中心を略中心にして径方向に延びる作動時用長溝(414)および、前記主動部材(36)が前記待機位置に移動して前記第1伝達部材(41)が揺動した際に、前記第2伝達部材(42)を揺動不能にすべく前記ピン部材(423)が相対移動する、前記第1伝達部材(41)の揺動中心を略中心にする円周方向に延びる待機時用長溝(415)を有することを特徴とする車両用扉のクロージャー装置。
【0009】
次に、本発明の作用について説明する。
本発明によれば、主動部材(36)の被検知位置への移動を駆動モータ(33)の電気値の変化に基づいて検出すると、駆動モータ(33)を例えば正方向へ所定時間だけ回転させて、主動部材(36)を待機位置に戻すようにしたものである。
【0010】
すなわち、主動部材(36)を例えば、作動位置から待機位置に戻すには、駆動モータ(33)を例えば逆方向へ回転させて、主動部材(36)を他方側に移動する。それにより、主動部材(36)は、待機位置を通り越して、被検知位置に移動する。
【0011】
主動部材(36)が被検知位置に移動すると、ストッパ部材(81)が主動部材(36)に当接して、さらに回転し続ける駆動モータ(33)の負荷が過大になって電気値が変化する。制御部(70)のモータ制御手段(72)は、電気値の変化が検出されると、駆動モータ(33)を例えば正方向へ回転させる。それにより、主動部材(36)はストッパ部材(81)から離れて、すなわち、被検知位置から待機位置へ向かって移動し、例えば、駆動モータ(33)を所定時間だけ正方向へ回転した際に停止すると、主動部材(36)が待機位置に移動して止まる。
【0012】
駆動モータ(33)の電気値(例えば負荷電流)が許容範囲内の値になった場合に、駆動モータ(33)の正方向の回転を停止してもよく、駆動モータ(33)の回転速度が許容範囲内の速度になった場合に、駆動モータ(33)の正方向の回転を停止してもよい。
【0013】
主動部材(36)が待機位置にあるとき、主動部材(36)はストッパ部材(81)から離れていて、主動部材(36)とストッパ部材(81)とが互いに押し合っていない状態であり、ストッパ部材(81)が主動部材(36)に当接した際に過大になっていた駆動モータ(33)の負荷が緩和されている。
【0014】
それにより、主動部材(36)、ストッパ部材(81)および、駆動モータ(33)の耐久性が向上する。また、主動部材(36)が待機位置にあることを検出するための位置検出用のスイッチを設ける必要がなく、部品点数を削減し、装置を小型にすることができる。
【0015】
駆動モータ(33)を例えば正方向に回転して、扉(10)を半閉扉状態から完全に閉扉した後に、駆動モータ(33)を逆方向に回転させて、主動部材(36)を被検知位置側へ移動するようにしたものである。
【0016】
主動部材(36)が被検知位置に移動した際に、駆動モータ(33)の負荷が過大になることによる電気値の変化に基づき、駆動モータ(33)を正方向に例えば所定時間だけ回転して、主動部材(36)を待機位置に戻すことは前述した通りである。
【0017】
すなわち、主動部材(36)を作動位置に移動して、扉(10)を半閉扉状態から完全に閉扉した後に、主動部材(36)を被検知位置に一旦移動し、その後、待機位置に確実に戻すことができる。
【0018】
クロージャー装置の駆動開始時に、駆動モータ(33)を例えば逆方向に回転させて、主動部材(36)を被検知位置側へ移動するようにしてある。
【0019】
すなわち、主動部材(36)がどの位置にあるかに関係なく、クロージャー装置の駆動が開始されると、駆動モータ(33)を逆方向に回転させて、一旦、主動部材(36)を被検知位置側へ移動し、その後、駆動モータ(33)を正方向に例えば所定時間だけ回転させて、待機位置に確実に戻すことができるものである。
【0020】
また、主動部材(36)が待機位置にあるときに、ピン部材(423)が待機時用長溝(415)に係合していることにより、第2伝達部材(42)を単独では揺動不能に拘束するようにしてある。
【0021】
すなわち、主動部材(36)が作動位置に移動して第1伝達部材(41)が揺動すると、ピン部材(423)が係合溝(413)の作動時用長溝(414)内を相対移動する。作動時用長溝(414)は、第1伝達部材(41)の揺動中心を略中心にして径方向に延びているので、ピン部材(423)および作動時用長溝(414)が相互に押し合い、第2伝達部材(42)を揺動可能にする。
【0022】
主動部材(36)が待機位置に移動して第1伝達部材(41)が揺動すると、ピン部材(423)が係合溝(413)の待機時用長溝(415)内を相対移動する。待機時用長溝(415)は、第1伝達部材(41)の揺動中心を略中心にする円周方向に延びているので、ピン部材(423)および待機時用長溝(415)が相互に押し合わず、第2伝達部材(42)は揺動しない。
【0023】
また、主動部材(36)が待機位置にあるとき、第1伝達部材(41)は、主動部材(36)側に連結されていることにより、単独では揺動不能な状態にある。一方、第2伝達部材(42)は、ピン部材(423)が待機時用長溝(415)の両側縁に当たって、第2伝達部材(42)は単独では、揺動不能に拘束された状態にある。それにより、第1伝達部材(41)および第2伝達部材(42)は、走行中の振動等によってはガタつくことはない。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の各種実施の形態について説明する。
図1〜図13は本発明の一実施の形態を示している。
図2に示すように、本実施の形態にかかるスライドドアは、自動車用のスライドドアであって、スライドローラおよびガイドレール等に案内されることにより、開閉時の初期には、車体の側面に対し斜後方に引出され、その後車体と平行にスライド可能に扉10が取付けられて成る。
【0025】
図2〜図4に示すように、扉10は、一体に連続する周面と側面とを備えたインナパネル13とアウタパネル14とから成り、扉10の内部には、ロック装置20と、ロック装置20を駆動するクロージャー30と、アウトサイドハンドルおよびインサイドハンドルの操作によりロック装置20を遠隔操作するリモートコントロール部80が配置されている。扉開口の後側縁部には、ロック装置20に対応してストライカ15が固設されている。
【0026】
ロック装置20は、主に垂直面部から構成されている本体であるベースプレート21に枢軸23が立設され、枢軸23によりラッチ部材22が、ストライカ15と完全に離脱するオープン位置と、半閉扉時にストライカ15と僅かに係合するハーフラッチ位置と、ドアの完全閉扉時にストライカ15と完全に係合するフルラッチ位置とに回動可能に支持されている。
【0027】
図2〜図4および図9に示すように、ラッチ部材22には、ラッチレバー221が一体的に固着され、ラッチレバー221には被押動突起222が形成されている。ラッチ部材22を回動不能にフルラッチ位置に拘束するポール223が備えられている。
【0028】
ロック装置20の作動状態を検出するためのフルラッチスイッチ27、ハーフラッチスイッチ28が設けられている。すなわち、オープン状態にあるとき、ハーフラッチスイッチ28およびフルラッチスイッチ27がオンの状態にあり(図9(a)参照)、ハーフラッチ状態にあるとき、ハーフラッチスイッチ28がオフで、フルラッチスイッチ27がオンの状態にある(図9(b)参照)。
【0029】
また、フルラッチ直前状態では、ハーフラッチスイッチ28およびフルラッチスイッチ27がオンの状態にあり(図9(c)参照)、同じく、フルラッチ直前状態では、ハーフラッチスイッチ28がオンで、フルラッチスイッチ27がオフの状態にあり(図9(d)参照)、フルラッチ時〜オーバーストローク時では、ハーフラッチスイッチ28およびフルラッチスイッチ27がオフの状態にある(図9(e)参照)。
【0030】
扉10の周面の前壁面には、ドア側給電コネクター16が取付けられている。扉開口の前側縁部である車体のセンターピラーには、車体側給電コネクター17が取付けられている。
【0031】
クロージャー30の本体であるベース31には、ベースプレート21との連結部34と扉10に固定する固定部32とが成形されており、ベースプレート21とベース31とは一体に構成されている。
【0032】
フルラッチスイッチ27,ハーフラッチスイッチ28,駆動モータ33,ハンドルスイッチ、その他のスイッチは、ハーネスを介して制御部70に結線されている。
【0033】
図1に示すように、制御部70は、フルラッチスイッチ27等の検出信号(フルラッチ検出信号等)および、駆動モータ33の負荷電流を検出する位置検出部である電気値検出手段75に基づき、駆動モータ33を制御するモータ制御手段72を有して成るものである。
【0034】
制御部70のモータ制御手段72は、ROMに記録された待機位置確認モードおよび、待機位置復帰モードを実行する際に、駆動モータ33を逆方向へ回転し、駆動モータ33の負荷電流が所定値を超えたことを電気値検出手段75が検出し、その被検知位置検出信号が制御部70の入力ポートに送られると、駆動モータ33の逆方向の回転を停止し、正方向へ所定時間(T秒間)回転し、主動部材36を待機位置に戻すものである。
【0035】
図5〜図12に示すように、クロージャー30の動力部は、駆動モータ33、減速機構35および出力ピニオン35aからなり、出力ピニオン35aには、セクタギアである主動部材36が噛合しており、主動部材36は、回転軸36aを中心にして待機位置(図10参照)と、待機位置を間にして一方側である作動位置(図11参照)と、他方側である被検知位置(図12参照)とにそれぞれ回動可能に支持されている。主動部材36のギア部が形成されている周縁部とは略反対側の周縁部には、被検知フランジ36bが形成されている。主動部材36の被検知フランジ36bを臨む位置には、被検知位置に回動した主動部材36の被検知フランジ36bに当接するストッパ部材81が配されている。
【0036】
主動部材36には、長リンク40の基端部が連結されている。長リンク40の先端部がロック装置20側へ延ばされ、短リンクである第1伝達部材41に連結されている。
【0037】
第1伝達部材41は、略く字形状の部材であり、中心部が枢軸411を中心にし揺動可能に枢支されている。第1伝達部材41の一端部には長リンク40の先端部が連結され、第1伝達部材41の他端部である揺動端部412には、係合溝413が形成されている。係合溝413は、枢軸411を中心とする径方向に延びる作動時用長溝414および、枢軸411を中心とする円周方向に延びる待機時用長溝415から成る。
【0038】
第1伝達部材41の揺動端部412には、第2伝達部材42が連結されている。第2伝達部材42は、同じく略く字形状の部材であり、中心部が枢軸421を中心にして揺動可能に枢支されている。第2伝達部材42の一端部である揺動端部422にはピン部材423が植設され、ピン部材423が係合溝413に係合している。ピン部材423と係合溝413との係合関係により、第2伝達部材42が第1伝達部材41に連動するようになっている。
【0039】
第2伝達部材42の他端部424側には、スプリングレバー43および、クローズレバー37が配設されている。スプリングレバー43は、枢軸431を中心にして揺動可能に枢支されている。スプリングレバー43は巻きばね432により図5において、時計方向に付勢されている。スプリングレバー43は、その被当接フランジ433に当接子434が当接することにより、時計方向への揺動が制限されている。
【0040】
スプリングレバー43の先端部には、被押動フランジ435が形成されている。また、スプリングレバー43の先端部には、連結軸436によりクローズレバー37の上端部371が連結されている。
【0041】
クローズレバー37の下端部372は、ラッチレバー221の被押動突起222の方へ延ばされており、クローズレバー37の下端部372が、ラッチレバー221の被押動突起222を押し込み、ラッチ部材22をハーフラッチ位置からフルラッチ位置に強制的に回動するものである。
【0042】
車体側給電コネクター17,ドア側給電コネクター16は、ラッチ部材22がストライカ15に係合する手前で電源を供給する端子と、ハーフラッチ時に通電して信号を出す端子によりそれぞれ構成されている。
【0043】
次に本クロージャー装置の動作を図13のフロー図に基づいて、説明する。
扉10を閉めていくと、ラッチ部材22がストライカ15に僅かに係合するハーフラッチ状態の手前で、車体側給電コネクター17の端子がドア側給電コネクター16の端子がつながり、制御部70に信号を出し、クロージャー30が駆動開始され(ステップS101)、位置確認モードが開始され、クロージャー30の駆動モータ33が逆方向に回転する(ステップS102)。
【0044】
駆動モータ33が所定時間だけ逆方向に回転すると、出力ピニオン35aを介してセクタギアである主動部材36が図10において反時計方向に回動し、長リンク40が押し出されて、第1伝達部材41が図10において時計方向に揺動し、ピン部材423が第1伝達部材41の作動時用長溝414にあれば、作動時用長溝414から待機時用長溝415に移動し、待機時用長溝415内を相対的に移動する。ピン部材423が第1伝達部材41の待機時用長溝415にあれば、待機時用長溝415内を相対的に移動する。
【0045】
また、ステップS102において、駆動モータ33が所定時間だけ逆方向に回転すると、モータ制御手段72が駆動モータ33の負荷電流が所定値を超えるかを繰り返し判断する(ステップS103)。正常運転状態では、駆動モータ33が所定時間だけ逆方向に回転すると、図12に示すように、主動部材36が被検知位置に回動し、主動部材36の被検知フランジ36bがストッパ部材81に当接し、主動部材36の被検知フランジ36bがストッパ部材81に当接した状態で、駆動モータ33が回転し続けることにより、主動部材36の被検知フランジ36bは、ストッパ部材81を押し込んだ状態に維持され、主動部材36の被検知フランジ36bおよびストッパ部材81は互いに押し合っている状態にあり、駆動モータ33の負荷が過大になり、駆動モータ33の負荷電流(電気値)が大きくなり、電気値検出手段75が所定値を超えた駆動モータ33の負荷電流を検出し、その検出信号により、モータ制御手段72が駆動モータ33を正方向に回転する(ステップS104)。
【0046】
一方、異常運転状態であって、電気値検出手段75が所定値を超えた駆動モータ33の負荷電流を検出しないと(ステップS103:N)、ステップS120に移行する。
【0047】
ステップS104において、駆動モータ33が正方向へ回転すると、所定時間(T秒間)が経過したかを繰り返し判断し(ステップS105)。所定時間が経過すれば(ステップS105:Y)、駆動モータ33が回転停止し、待機位置確認モードが終了する(ステップS106)。このとき、図10に示すように、主動部材36は待機位置にあって、その被検知フランジ36bはストッパ部材81から離れ、主動部材36の被検知フランジ36bおよびストッパ部材81は相互に押し合わない状態になり、駆動モータ33の負荷も緩和され、駆動モータ33の負荷電流も許容範囲内の値になる。
【0048】
次に、ハーフラッチ状態になると(ステップS107:Y)、駆動モータ33が正方向に回転し(ステップS108)、出力ピニオン35aを介してセクタギアである主動部材36が図10において時計方向に回動し、長リンク40が引き込まれて、第1伝達部材41が図10において反時計方向に揺動し、第1伝達部材41の作動時用長溝414の側縁がピン部材423を押し込み、それにより、第2伝達部材42が図10において時計方向に揺動し、第2伝達部材42の他端部424が、巻きばね432の付勢力に抗してスプリングレバー43の被押動フランジ435を押し込み、スプリングレバー43とクローズレバー37とが連結軸436により連結されていることにより、クローズレバー37が押される。
【0049】
主動部材36が作動位置の開始位置(図11参照)から作動位置の終了位置に向かって回動していくと、クローズレバー37がさらに押されていき、図5および図6に示すように、クローズレバー37の下端部372がラッチレバー221の被押動突起222を押すようになり、それにより、図6において、ラッチ部材22が反時計方向に回動し、図6に示すハーフラッチ位置から図7に示すフルラッチ位置に回動すると、ポール223がラッチ部材22に係止してラッチ部材22を回動不能にフルラッチ位置に拘束する。前後して、フルラッチスイッチ27が作動して、フルラッチ状態になると(ステップS109:Y)、扉10は完全な閉扉状態になり、駆動モータ33が回転停止し、強制閉扉が終了する(ステップS110)。
【0050】
その後、待機位置復帰モードが開始され、駆動モータ33が逆方向に回転する(ステップS111)。それにより、主動部材36が作動位置の終了位置〜図11に示す作動位置の開始位置〜待機位置を通って回動し、駆動モータ33が所定時間だけ逆方向に回転すると、モータ制御手段72が駆動モータ33の負荷電流が所定値を超えるかを繰り返し判断する(ステップS112)。
【0051】
正常運転状態では、駆動モータ33が所定時間だけ逆方向に回転すると、主動部材36が被検知位置に回動して、その被検知フランジ36bがストッパ部材81に当接し、主動部材36の被検知フランジ36bがストッパ部材81に当接した状態で、駆動モータ33が回転し続けることにより、主動部材36の被検知フランジ36bは、ストッパ部材81を押し込んだ状態に維持され、主動部材36の被検知フランジ36bおよびストッパ部材81は互いに押し合っている状態にあり、駆動モータ33の負荷が過大になり、駆動モータ33の負荷電流(電気値)が大きくなり、所定値を超えた駆動モータ33の負荷電流を電気値検出手段75が検出し、その検出信号により、モータ制御手段72が駆動モータ33を正方向に回転する(ステップS113)。
【0052】
一方、異常運転状態であって、電気値検出手段75が所定値を超えた駆動モータ33の負荷電流を検出しないと(ステップS112:N)、ステップS120に移行する。
【0053】
ステップS113において、駆動モータ33が正方向へ回転すると、所定時間(T秒間)が経過したかを繰り返し判断し(ステップS114)。所定時間が経過すれば(ステップS114:Y)、駆動モータ33が回転停止し、待機位置復帰モードが終了する(ステップS115)。このとき、主動部材36は、待機位置に復帰し、その被検知フランジ36bはストッパ部材81から離れ、主動部材36の被検知フランジ36bおよびストッパ部材81は相互に押し合わない状態になり、駆動モータ33の負荷も緩和され、負荷電流も許容範囲内の値になる。
【0054】
主動部材36が待機位置にあるとき、ピン部材423が待機時用長溝415内にあって、待機時用長溝415の両側縁部に挟まれた状態にあり、第2伝達部材42は、単独では揺動不能な状態になっており、走行中の振動等によっては、第2伝達部材42がガタつくことがない。
【0055】
待機位置復帰モードが終了した後に、例えば5秒間の待機モードが開始され、各種スイッチ類の状態が確認される(ステップS116)。そして、待機モード終了条件が成立すると(ステップS117)、待機モードが終了し(ステップS118)、次に、スリープモードが開始され、省電モードとなる(ステップS119)。そして、スリープモード終了条件が成立すると(ステップS120)、スリープモードが終了する(ステップS121)。
【0056】
一方、扉10を勢いよく閉めることで、ラッチ部材22はストライカ15に完全に係合し、ポール223がラッチ部材22に係止してラッチ部材22を回動不能にフルラッチ位置に拘束し、それにより、扉10は完全な閉止状態になる。
【0057】
なお、前記実施の形態においては、駆動モータ33を正方向に所定時間(T秒間)だけ回転して、主動部材36を被検知位置から待機位置に戻すものを示したが、駆動モータ33を正方向に回動し、電気値検出手段75が駆動モータ33の負荷電流の低下(許容範囲)を検出した際に、駆動モータ33を回転停止するようにしてもよい。この場合に、駆動モータ33の負荷電流が過大になった際の電気値を高基準値とし、および、駆動モータ33の負荷電流が許容範囲内に低下した際の電気値を低基準値とし、電気値検出手段75が高基準値を検出した場合に、主動部材36が被検知位置にあることを検出し、低基準値を検出した場合に、主動部材36が待機位置にあることを検出するようになる。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば、扉を完全に閉扉した後に、あるいは、クロージャー装置の駆動開始時に、駆動モータを例えば逆方向へ回転させて、主動部材の被検知位置への移動を駆動モータの電気値の変化に基づいて検出すると、駆動モータを例えば正方向へ所定時間だけ回転させて、主動部材を待機位置に戻すようにしたので、待機位置では、主動部材がストッパ部材から離れていて、主動部材がストッパ部材を押していない状態であり、ストッパ部材が主動部材に当接していた際に過大になっていた駆動モータの負荷が緩和され、主動部材、ストッパ部材および、駆動モータの耐久性を向上することができる。
【0059】
また、主動部材が待機位置にあるとき、ピン部材を係合溝の待機時用長溝に係合させたので、走行中の振動等により、第1伝達部材および、第2伝達部材のガタつきを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す車両用扉のクロージャー装置の機能ブロック図である。
【図2】同じく、クロージャー装置の取付状態図である。
【図3】同じく、クロージャー装置およびロック装置の正面図である。
【図4】図3のIV矢視図である。
【図5】同じく、ロック装置がハーフラッチ状態にあり、主動部材が待機位置にある状態を示す図である。
【図6】同じく、ロック装置がハーフラッチ状態にあり、駆動モータが正方向に回転している状態を示す図である。
【図7】同じく、ロック装置がフルラッチ状態にあり、駆動モータが逆方向に回転開始した状態を示す図である。
【図8】同じく、ロック装置がフルラッチ状態にあり、主動部材が待機位置に復帰した状態を示す図である。
【図9】同じく、ロック装置の作動状態の説明図である。
【図10】同じく、主動部材が待機位置にある状態を示す図である。
【図11】同じく、主動部材が作動位置の開始位置にある状態を示す図である。
【図12】同じく、主動部材が被検知位置にある状態を示す図である。
【図13】同じく、クロージャー装置の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
10…扉
13…インナパネル
14…アウタパネル
16…ドア側給電コネクター
17…車体側給電コネクター
20…ロック装置
21…ベースプレート
22…ラッチ部材
23…枢軸
27…フルラッチスイッチ
28…ハーフラッチスイッチ
30…クロージャー
31…ベース
32…固定部
33…駆動モータ
34…連結部
35…減速機構
35a…出力ピニオン
36…主動部材
36a…回転軸
36b…被検知フランジ
37…クローズレバー
40…長リンク
41…第1伝達部材
42…第2伝達部材
43…スプリングレバー
70…制御部
72…モータ制御手段
75…電気値検出手段
81…ストッパ部材
221…ラッチレバー
222…被押動突起
223…ポール
371…上端部
372…下端部
411…枢軸
412…揺動端部
413…係合溝
414…作動時用長溝
415…待機時用長溝
421…枢軸
422…揺動端部
423…ピン部材
424…他端部
431…枢軸
432…巻きばね
433…被当接フランジ
434…当接子
435…被押動フランジ
436…連結軸
Claims (1)
- 扉の周縁部または扉開口の周縁部の一方にストライカが配される一方、他方の周縁部に前記ストライカに係脱するロック装置が配されており、前記ストライカまたは前記ロック装置の一方の従動部材を駆動モータの動力により強制的に作動させて、半閉扉状態の扉を完全に閉扉するようにした車両用扉のクロージャー装置であり、主動部材、ストッパ部材、位置検出部、制御部および、動力伝達手段を有するものにおいて、
前記主動部材は、前記従動部材の作動に備えて待機する待機位置と、該待機位置を間にして、一方側にあって、前記従動部材を作動する作動位置と、他方側にある被検知位置とに移動可能に配されており、
前記ストッパ部材は、前記駆動モータの正方向または逆方向の一方への回転によって前記被検知位置に移動した前記主動部材が当接して、該主動部材の前記他方側への移動を制限し、
前記位置検出部は、前記主動部材が前記ストッパ部材に当接した際の前記駆動モータの電気値の変化に基づいて、前記主動部材の前記被検知位置への移動を検出する電気値検出手段を有し、
前記制御部は、前記主動部材が前記被検知位置に移動した場合に、前記駆動モータを正方向または逆方向の他方へ回転させて、前記駆動モータの電気値が許容範囲内の値になるかまたは、所定時間経過した際に駆動モータを回転停止して、前記主動部材を前記被検知位置から前記待機位置に戻すモータ制御手段を有し、
前記動力伝達手段は、動力が伝達される伝達経路上の前記主動部材側に設けられる第1伝達部材および、前記伝達経路の前記従動部材側に設けられる第2伝達部材を有し、
前記第1伝達部材は、動力が伝達されると、揺動する揺動端部に係合溝または該係合溝に係合するピン部材の一方を有し、
前記第2伝達部材は、動力が伝達されると、同じく揺動する揺動端部に前記係合溝または前記ピン部材の他方を有し、
前記係合溝は、前記主動部材が前記作動位置に移動して前記第1伝達部材が揺動した際に、前記第2伝達部材を揺動可能にすべく前記ピン部材が相対移動する、前記第1伝達部材の揺動中心を略中心にして径方向に延びる作動時用長溝および、前記主動部材が前記待機位置に移動して前記第1伝達部材が揺動した際に、前記第2伝達部材を揺動不能にすべく前記ピン部材が相対移動する、前記第1伝達部材の揺動中心を略中心にする円周方向に延びる待機時用長溝を有することを特徴とする車両用扉のクロージャー装置。
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