JP3549389B2 - 動圧流体軸受装置及び電動機 - Google Patents
動圧流体軸受装置及び電動機 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3549389B2 JP3549389B2 JP08790998A JP8790998A JP3549389B2 JP 3549389 B2 JP3549389 B2 JP 3549389B2 JP 08790998 A JP08790998 A JP 08790998A JP 8790998 A JP8790998 A JP 8790998A JP 3549389 B2 JP3549389 B2 JP 3549389B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thrust
- gap
- proximal
- radial
- base
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C17/00—Sliding-contact bearings for exclusively rotary movement
- F16C17/10—Sliding-contact bearings for exclusively rotary movement for both radial and axial load
- F16C17/102—Sliding-contact bearings for exclusively rotary movement for both radial and axial load with grooves in the bearing surface to generate hydrodynamic pressure
- F16C17/107—Sliding-contact bearings for exclusively rotary movement for both radial and axial load with grooves in the bearing surface to generate hydrodynamic pressure with at least one surface for radial load and at least one surface for axial load
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Fluid Mechanics (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Magnetic Bearings And Hydrostatic Bearings (AREA)
- Connection Of Motors, Electrical Generators, Mechanical Devices, And The Like (AREA)
- Sliding-Contact Bearings (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸部から張り出したスラスト部を有してなる固定軸体に対し回転スリーブ体が潤滑液を介し回転自在に支持されてなる動圧流体軸受装置及びその動圧流体軸受装置を備えた電動機、特に、スラスト軸受部及びラジアル軸受部の一方のみについて潤滑液不足が生じて装置が短寿命化するという不都合の発生が防がれると共に、スラスト軸受部に保持された潤滑液がラジアル軸受部へ過剰に移動してスラスト軸受部を潤滑する潤滑液の量が過少になることが防がれる動圧流体軸受装置及びその動圧流体軸受装置を備えた電動機に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
図4は、軸部aから張り出したスラスト板部bを有する上下方向の固定軸体cに対しロータとしての回転スリーブ体dが潤滑油e(潤滑液)を介し回転自在に支持された動圧流体軸受装置を備えたハードディスク駆動用のスピンドルモータ(電動機)の従来例についての断面図である。
【0003】
固定軸体cは、下端部(基端部)が基盤fに固定されており、上端部(先端部)は、ハードディスク駆動装置の蓋体等に固定される。回転スリーブ体dのスリーブ部d1は、固定軸体cの軸部aのうちスラスト板部bよりも基端側の部分にスリーブ嵌合し、環状のスラスト溝部gは、径方向内方に開口し、スラスト板部bに外嵌している。
【0004】
このような従来の動圧流体軸受装置を備えたスピンドルモータにおいて、スラスト板部bとスラスト溝部gの間隙に形成されるスラスト軸受部kの潤滑油eと、スリーブ部d1と軸部aの間隙に形成されるラジアル軸受部iの潤滑油eとが連続している場合に、回転スリーブ体dの回転時に、公差、組立、熱変形等の要因により、ラジアル軸受部iの潤滑油eが下向き(基端向き)に移動すると、それに連続するスラスト軸受部kの潤滑油eも共に移動するので、移動量が大きくなればスラスト軸受部kの潤滑油eが不足することとなり、回転精度が低下したり、軸受装置、すなわちスピンドルモータが短寿命化するという不都合が発生する。
【0005】
一方、スラスト板部bの基端側の面とスラスト溝部gの基端側の面との間隙のうち内周部に環状の気体部分mを有し、スラスト軸受部kの潤滑油eとラジアル軸受部iの潤滑油eとが分離している場合、何れか一方の軸受部に蒸発や衝撃による脱落等により潤滑油eが減少すると、その一方のみの軸受部に生じた潤滑油不足により回転精度が低下したり、軸受装置全体、すなわちスピンドルモータ全体が短寿命化するという不都合が発生する。
【0006】
また、回転スリーブ体dの回転時に、公差、組立、熱変形等の要因により、ラジアル軸受部iの潤滑油eが上向き(先端向き)に移動し過ぎると、ラジアル軸受部iの潤滑油eが不足することが生じ得る。
【0007】
更に、回転スリーブ体dの回転時には、スラスト溝部gとスラスト板部bの間隙の外周部付近に気泡が溜まり易く、然もその気泡は外部へ解放され難い。このような気泡は、熱により膨張して潤滑油eを外部へ漏出させる原因ともなる。
【0008】
本発明は、従来技術に存した上記のような問題点に鑑み行われたものであって、その第1の目的は、スラスト軸受部及びラジアル軸受部の一方のみについて潤滑液不足が生じて装置が短寿命化するという不都合の発生が防がれると共に、スラスト軸受部に保持された潤滑液が回転スリーブ体の回転時にラジアル軸受部へ過剰に移動してスラスト軸受部を潤滑する潤滑液の量が過少になることが防がれる動圧流体軸受装置及び電動機を提供することにある。
【0009】
また第2の目的は、回転スリーブ体の回転時における先端向きの潤滑液移動圧力によるラジアル軸受部の潤滑液の先端側への移動量が抑えられ、ラジアル軸受部の潤滑液不足が防がれる動圧流体軸受装置及び電動機を提供することにある。
【0010】
更に第3の目的は、スラスト溝部とスラスト板部の間隙の外周部付近の気泡を外部へ解放することができる動圧流体軸受装置及び電動機を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の動圧流体軸受装置は、
軸部とその軸部から径方向外方へ張り出したスラスト部とを有してなる固定軸体に対し、前記軸部のうちスラスト部よりも基端側の部分にスリーブ嵌合したスリーブ部と、前記スラスト部の基端側の面に軸心方向基端側において相対する回転スラスト面とを有してなる回転スリーブ体が、前記固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液を介し、主に軸部とスリーブ部が相対するラジアル軸受部及び回転スラスト面とスラスト部が相対するスラスト軸受部において、回転自在に支持されてなる動圧流体軸受装置であって、
前記スラスト部の基端側の面と回転スラスト面が相対する部分に有する基端側スラスト軸受部の内周側に、スラスト部の基端側の面と回転スラスト面との軸心方向間隙が前記基端側スラスト軸受部よりも大きい基端側軸心方向間隙拡大部を有し、
その基端側軸心方向間隙拡大部の一部に、潤滑液が表面張力により保持され得る程度に軸心方向間隙が狭く、保持された潤滑液が、基端側スラスト軸受部に保持された潤滑液の内周部と、軸部とスリーブ部の間隙に保持された潤滑液の先端部との間に連続し得る連絡路を有し、
前記基端側軸心方向間隙拡大部の前記連絡路以外の部分のうち少なくとも内周部が気体部分であり、
その気体部分と外部とを連通する呼吸孔を固定軸体内に有し、
ラジアル軸受部に保持されて先端側が基端側軸心方向間隙拡大部に臨む潤滑液が基端向きに移動した場合に連絡路による潤滑液の連続が途切れることを特徴とする(請求項1)。
【0012】
固定軸体を構成する軸部とスラスト部は、一体に形成されたものであってもよく、別体の部品を結合してなるものであってもよい。
【0013】
スラスト軸受部及びラジアル軸受部には、それぞれ動圧発生用の溝部を有することが望ましい。
【0014】
ラジアル軸受部(先端側ラジアル軸受部と基端側ラジアル軸受部に別れている場合は先端側ラジアル軸受部)は、公差範囲程度でやや先端寄りに潤滑液の動圧が高くなるアンバランスを生じするよう設計することができる。
【0015】
潤滑液としては、例えばスピンドル油等の各種潤滑油を用いることができる。
【0016】
基端側軸心方向間隙拡大部の少なくとも内周部は、潤滑液をスラスト部の基端側の面と回転スラスト面の軸心方向間隙が、両者間に潤滑液を表面張力により保持し得ない程度に大きいことが好ましい。
【0017】
連絡路は、例えば、基端側軸心方向間隙拡大部の一部に、スラスト部の基端側の面及び回転スラスト面の一方の面又は両方の面に、好ましくはスラスト部の基端側の面に、軸心方向に突起して両面の軸心方向間隙を基端側軸心方向間隙拡大部の他の部分よりも狭くする、ほぼ径方向に連続する突起部(例えばほぼ径方向の突条部)を形成することにより設けることができる。この突起部を前記一方の面に設けて他方の面との間を連絡路とすることができるほか、前記両方の面に軸心方向に相対する突起部を設けて両突起部の間を連結路とすることもできる。基端側スラスト軸受部から径方向内方に向かう連絡路は1つでもよく2以上でもよい。
【0018】
基端側スラスト軸受部に保持された潤滑液の内周部と、軸部とスリーブ部の間隙に保持された潤滑液の先端部との間が、連絡路に保持された潤滑液により連続する。基端側スラスト軸受部とラジアル軸受部の何れかにおいて蒸発や衝撃による脱落等により潤滑液が減少した場合、潤滑液が減少した軸受部に対し他方の軸受部から、連絡路を介して潤滑液が補給される。そのため、一方の軸受部のみについて潤滑液不足が生じて装置が短寿命化するという不都合の発生が防がれる。
【0019】
回転スリーブ体の回転時に、公差、組立、熱変形等の要因により、軸部とスリーブ部の間隙に保持されて先端側が基端側軸心方向間隙拡大部に臨む潤滑液に基端向きに移動する圧力が発生し、その潤滑液が基端向きに移動することがあり得る。その場合、基端向き移動圧力が限度を超えると、連絡路における潤滑液に対する遠心力や表面張力等とも作用し合って、基端側スラスト軸受部に保持された潤滑液の内周部と、軸部とスリーブ部の間隙に保持された潤滑液の先端部との間の、連絡路による潤滑液の連続が途切れることとなる。それにより、基端側スラスト軸受部に保持された潤滑液がラジアル軸受部へ過剰に移動して基端側スラスト軸受部を潤滑する潤滑液の量が過少になることが防がれる。また、このように潤滑液が途切れて先端側からラジアル軸受部に気体が導入されれば、それにより基端向きの潤滑液移動圧力が減少してバランスするようになるので、潤滑液の基端側への移動が抑えられる。
【0020】
前記のような軸部とスリーブ部の間隙に保持された潤滑液に対する基端向き移動圧力が回転中に又は回転停止により解消されれば、基端側スラスト軸受部に保持された潤滑液の内周部と、軸部とスリーブ部の間隙に保持された潤滑液の先端部との間の、連絡路による潤滑液の連続が回復し得る。
【0021】
基端側軸心方向間隙拡大部の気体部分の拡大又は縮小に伴い、呼吸孔を通じて気体の移動が生じる。
【0022】
呼吸孔は、潤滑液がその呼吸孔の内部を閉塞した状態で呼吸孔内に表面張力(毛細管現象)により保持されることが防がれる程度に大きい横断面サイズであるものとすることが好ましい。この場合、呼吸孔の内部を閉塞した状態で潤滑液が表面張力により呼吸孔内に保持されることが防がれるので、呼吸孔を通じた気体の移動が確実性高く行われ、また潤滑液に混入した気泡等の呼吸孔を通ずる外部への解放が確実性高く行われ得る。
【0023】
なお、この動圧流体軸受装置は、軸部の外周面におけるスリーブ部の先端部に相対する位置の上記連絡路が存在しない周方向部分に、径方向外方開口の周方向の先端側円弧状溝部を有するものとすることができる。
【0024】
この先端側円弧状溝部とスリーブ部の内周面との間に形成される周方向の円弧状径方向間隙拡大部に、ラジアル軸受部に保持された潤滑液の先端側界面が表面張力により位置し、その周方向部分において、ラジアル軸受部に保持された潤滑液がスラスト部の基端側の面と回転スラスト面との間隙に流入することが防がれる。
【0025】
回転スリーブ体の回転時に、公差、組立、熱変形等の要因により、軸部とスリーブ部の間隙に保持されて先端側が基端側軸心方向間隙拡大部に臨む潤滑液に基端向きに移動する圧力が発生し、その基端向き移動圧力が限度を超えることにより連絡路による潤滑液の連続が途切れた場合に、前記の周方向の円弧状径方向間隙拡大部を通じて先端側からラジアル軸受部に気体が導入され易いので、潤滑液の基端側への移動がより確実に抑えられる。
【0026】
また、この動圧流体軸受装置は、スラスト部(例えば環状のスラスト板部)に外嵌する径方向内方開口の環状のスラスト溝部を回転スリーブ体が有し、スラスト溝部の基端側の面及び先端側の面をそれぞれ回転スラスト面とし、スラスト部の先端側の面と先端側の回転スラスト面が相対する部分と、スラスト部の基端側の面と基端側の回転スラスト面が相対する部分の両方にスラスト軸受部を有するものとすることができる。その場合、先端側スラスト軸受部と基端側スラスト軸受部の潤滑液は、スラスト部の外周とスラスト溝部の外周の間の潤滑液を介して連続するものとすることができる。また、先端側スラスト軸受部の径方向内方に、潤滑液の先端界面を有し、この先端界面が径方向内方を向き、ラジアル軸受部の基端側に、潤滑液の基端界面を有し、この基端界面が基端側に向くものとすることができ、このときは、固定軸体の両端部を固定し得るものとすることができる。
【0027】
本発明の動圧流体軸受装置は、電動機の他、種々の機械器具に利用することができる。
(1-1)(1)の動圧流体軸受装置は、
連絡路を除く基端側軸心方向間隙拡大部が、径方向内方に向かって軸心方向間隙が漸次拡大するものであり、この基端側軸心方向間隙拡大部に、基端側スラスト軸受部に保持された潤滑液の径方向内方の界面が位置するものとすることができる(請求項2)。
【0028】
この場合、基端側軸心方向間隙拡大部に位置する潤滑液が表面張力により径方向外方すなわち基端側スラスト軸受部側へ確実性高く引き寄せられ、基端側軸心方向間隙拡大部において潤滑液が基端側スラスト軸受部と内周側とに分離することが防がれる。
(2) (1) 又は(1−1) の動圧流体軸受装置は、
上記連絡路が、スラスト部の基端側の面に設けられて基端向きに突起する、ほぼ径方向に連続する突起部と、回転スラスト面の間に形成され、
その突起部の径方向内端部に、周方向両方及び軸心方向基端向きに開口し、潤滑液を表面張力により保持し得るスリット部を有するものとすることが好ましい(請求項3)。
【0029】
スリット部は、例えば径方向間隙が基端開口に向かって漸次拡大する楔形状とすることができる。
【0030】
回転スリーブ体の回転時に、公差、組立、熱変形等の要因により、軸部とスリーブ部の間隙に保持されて先端側が基端側軸心方向間隙拡大部に臨む潤滑液に基端向きに移動する圧力が発生し、その潤滑液が基端向きに移動する場合に、基端側スラスト軸受部に保持された潤滑液の内周部と、軸部とスリーブ部の間隙に保持された潤滑液の先端部との間の、連絡路による潤滑液の連続の途切れが、スリット部において開始し易い。そのため、基端側スラスト軸受部に保持された潤滑液がラジアル軸受部へ過剰に移動して基端側スラスト軸受部を潤滑する潤滑液の量が過少になることがより確実に防がれる。
(3) (1) 、(1−1) 又は(2) の動圧流体軸受装置は、
ラジアル軸受部として、先端側がスラスト部の基端側の面と回転スラスト面との間隙に近接した先端側ラジアル軸受部と、その先端側ラジアル軸受部よりも基端側に位置する基端側ラジアル軸受部を有し、
前記先端側ラジアル軸受部と基端側ラジアル軸受部の間に、軸部の外周面とスリーブ部の内周面との径方向間隙が両ラジアル軸受部よりも大きい中間径方向間隙拡大部を有し、
その中間径方向間隙拡大部は、前記先端側ラジアル軸受部から基端側に向かって漸次径方向間隙が拡大する第1間隙拡大部と、前記基端側ラジアル軸受部から先端側に向かって漸次径方向間隙が拡大する第2間隙拡大部を有し、
先端側ラジアル軸受部に保持された潤滑液の基端側の界面を前記第1間隙拡大部に有すると共に、基端側ラジアル軸受部に保持された潤滑液の先端側の界面を前記第2間隙拡大部に有し、
中間径方向間隙拡大部における第1間隙拡大部と第2間隙拡大部の中間部付近と外部とを、少なくとも回転スリーブ体の回転時に連通する通気孔を前記固定軸体内に備えるものとすることができる。
【0031】
中間径方向間隙拡大部における第1間隙拡大部と第2間隙拡大部は、必ずしも隣接していることを要しない。例えば第1間隙拡大部と第2間隙拡大部の間に径方向間隙が一定である部分を有していてもよい。
【0032】
中間径方向間隙拡大部における第1間隙拡大部及び第2間隙拡大部は、それぞれ軸部の外周面が基端側及び先端側に向かって漸次縮径することにより漸次径方向間隙が拡大するものとすることが好ましい。
【0033】
第1間隙拡大部及び第2間隙拡大部には潤滑液が貯留される。先端側ラジアル軸受部若しくはスラスト軸受部において、又は基端側ラジアル軸受部において、蒸発や衝撃による脱落等により潤滑液が減少した場合に、第1間隙拡大部に貯留された潤滑液は先端側ラジアル軸受部に、第2間隙拡大部に貯留された潤滑液は基端側ラジアル軸受部に、それぞれ補給される。潤滑液の補給に伴い、通気孔を通じて中間径方向間隙拡大部に気体が導入される。
【0034】
また、潤滑液に混入した余分な気泡や、温度上昇や気圧低下等による気泡の膨張分等は、通気孔を通じ外部に解放され得る。
【0035】
この通気孔は、潤滑液がその通気孔の内部を閉塞した状態で通気孔内に表面張力(毛細管現象)により保持されることが防がれる横断面サイズであるものとすることが好ましい。この場合、通気孔の内部を閉塞した状態で潤滑液が表面張力により通気孔内に保持されることが防がれるので、気体の導入は確実性高く行われ、潤滑液に混入した気泡等は、通気孔を通じて確実性高く外部に解放され得る。
【0036】
通気孔の数又は中間径方向間隙拡大部若しくは外部への開口の数はそれぞれ1又は2 以上とすることができる。
(3−1) (3) の動圧流体軸受装置は、
基端側ラジアル軸受部の基端側に、軸部とスリーブ部の間の径方向間隙が基端側に向かって漸次拡大する基端径方向間隙拡大部を有し、
この基端径方向間隙拡大部に、基端側ラジアル軸受部に保持された潤滑液の非回転時の基端界面が位置するものとすることができ、
更に、この基端界面を回転スリーブ体の回転に伴い先端側へ引き込む界面引込機構を備え、
上記通気孔の外部開口が、基端側ラジアル軸受部と基端径方向間隙拡大部の境界部付近に位置して、非回転時には潤滑液中に開口し、回転スリーブ体の回転時には外気に通じるものとすることが好ましい。
【0037】
回転スリーブ体が回転すると、固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液に遠心力が作用する。そのため、非回転時においては基端径方向間隙拡大部に基端界面が位置するように表面張力により保持されていた潤滑液が、前記遠心力の作用によって更に基端側へ滲出若しくは漏出することにより、或いは衝撃により脱落することにより散逸し易い状態となる。ところが、界面引込機構によって、回転スリーブ体の回転に伴い、潤滑液の基端界面が非回転時の位置から先端側へ引き込まれるので、遠心力の作用による潤滑液の滲出又は漏出による散逸、或いは衝撃により脱落することによる散逸が生じ難くなる。
【0038】
上記界面引込機構は、基端側ラジアル軸受部に動圧発生溝部を設け、回転スリーブ体の回転に伴いその動圧発生溝部によって潤滑液に発生する動圧が、その基端側ラジアル軸受部における先端側寄りに偏って高くなるものとすることができる。そのためには、その動圧発生溝部を例えば基端側ラジアル軸受部における軸心方向先端寄りに偏心させた構造を採用し得る。なお、動圧発生溝部の動圧発生溝としては、例えばヘリングボーン溝等を用いることができる。また、動圧発生溝部は、軸部及びスリーブ部の何れか又は両方に設けることができる。
【0039】
一方の開口が中間径方向間隙拡大部における第1間隙拡大部と第2間隙拡大部の中間部付近に位置する通気孔の外部開口は、基端側ラジアル軸受部と基端径方向間隙拡大部の境界部付近に位置し、回転スリーブ体の回転時には、界面引込機構により基端界面が基端側ラジアル軸受部の側に引き込まれ、前記外部開口は外気に開口する。
【0040】
先端側ラジアル軸受部又は基端側ラジアル軸受部に保持された潤滑液が、通気孔内面を経て通気孔の外部開口へ滲み出ようとすることがあった場合、回転スリーブ体の回転時には界面引込機構により基端側ラジアル軸受部の側に引き込まれ、非回転時には、通気孔の外部開口が潤滑液中に開口するので、何れにせよ潤滑液が更に外部へ滲出することが防がれる。
(3−2) (3) 又は(3−1) の動圧流体軸受装置は、
軸部の外周面における先端側ラジアル軸受部の基端側と第1間隙拡大部との境界部付近に、径方向外方開口の周方向の基端側円弧状溝部を有し、
その基端側円弧状溝部と外部とを、少なくとも回転スリーブ体の回転時に連通する通気孔を、前記固定軸体内に備えるものとすることが好ましい(請求項4)。
【0041】
この通気孔は(3) の通気孔と共用部分を有するものであってよい。通気孔の好ましい横断面サイズは(3) に記された通りである。
【0042】
軸部の外周面における先端側ラジアル軸受部の基端側と第1間隙拡大部との境界部付近に有する周方向の基端側円弧状溝部と外部とが、少なくとも回転スリーブ体の回転時に通気孔により連通する。そのため、回転スリーブ体の回転時に、先端側ラジアル軸受部において、公差、組立、熱変形等の要因により、先端向きに潤滑液が移動する圧力が発生し、その潤滑液が先端向きに移動する場合に、通気孔及び基端側円弧状溝部を通じて先端側ラジアル軸受部内に基端側から気体が導入される。この気体は、潤滑液の移動量が比較的に小さい段階で先端側ラジアル軸受部内部に導入され、それにより先端向きの潤滑液移動圧力が減少してバランスするようになるので、潤滑液の先端側への移動量が比較的に小さく抑えられる。
(4) (1) 、(1−1) 、(2) 、(3) 又は(3−1) の動圧流体軸受装置は、
スラスト部に外嵌する径方向内方開口の環状のスラスト溝部を回転スリーブ体が有し、そのスラスト溝部の基端側の面及び先端側の面をそれぞれ回転スラスト面とし、スラスト部の先端側の面と先端側の回転スラスト面が相対する部分と、スラスト部の基端側の面と基端側の回転スラスト面が相対する部分の両方にスラスト軸受部を有し、
先端側スラスト軸受部と基端側スラスト軸受部の潤滑液は、スラスト部の外周端面とスラスト溝部の外周部の間の部分を介して連続し、
先端側及び基端側の各スラスト軸受部に、各スラスト軸受部における潤滑液が回転スリーブ体の回転に伴い内周側から外周側へ移動する圧力分布を生じさせる動圧発生機構を有し、
先端側スラスト軸受部の径方向内方に潤滑液の先端界面を有し、
スラスト部の外周端面、並びにスラスト部の先端側の面及び基端側の面のうち先端側及び基端側のスラスト軸受部の内周側の部分において、それぞれスラスト溝部とスラスト部の間隙に充填された潤滑液内に開口する潤滑液循環路をスラスト部内に有するものとすることができる(請求項5)。
【0043】
上記動圧発生機構は、先端側及び基端側のスラスト軸受部にそれぞれ動圧発生溝部を設け、回転スリーブ体の回転に伴いその動圧発生溝部によって潤滑液に発生する動圧が、その先端側及び基端側のスラスト軸受部における外周側に偏って高くなるものとすることができる。そのためには、例えば動圧発生溝部の動圧発生溝としてヘリングボーン溝を用いた場合、その動圧発生溝部の中心をスラスト軸受部における外周側に偏心させた構造を採用し得る。また動圧発生溝部は、スラスト部及びスラスト溝部の何れか又は両方に設けることができる。
【0044】
回転スリーブ体が回転すると、各スラスト軸受部における潤滑液は、内周側から外周側へ移動し、次いで、スラスト部の外周端面からスラスト部内の潤滑液循環路を経て、スラスト部の先端側の面及び基端側の面のうち先端側及び基端側のスラスト軸受部の内周側の部分に流れて循環する。このように潤滑液が循環することにより、スラスト溝部とスラスト部の間隙に充填された潤滑液内の気泡、特にスラスト軸受部の外周側の気泡が、先端側スラスト軸受部の径方向内方に位置する潤滑液の界面から外気に解放される。
【0045】
潤滑液循環路は、1又は2以上とすることができる。
【0046】
スラスト部の外周端面には、径方向外方開口の周方向の導入溝部を有し、潤滑液循環路の開口部がその導入溝部内に位置するものとすることが好ましい。潤滑液が気泡を伴って潤滑液循環路の開口部に導入されやすくするためである。導入溝部は、全周にわたるものとすることができるが、周方向に部分的に有するものであってもよい。
(5) 本発明の電動機は、
上記(1) 、(2) 、(3) 、(3−1) 又は(4) の動圧流体軸受装置を備え、回転スリーブ体がロータとして回転するものである(請求項6)。
【0047】
この電動機は、電動機は、ハードディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD等の光ディスクを始めとする記録媒体、特に円盤状記録媒体を駆動するためのスピンドルモータの他、種々の電動機として用いることができる。
【0048】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1乃至図3を参照しつつ説明する。
【0049】
図1は、本発明の実施の形態の一例としての、動圧流体軸受装置を備えたハードディスク駆動用のスピンドルモータ(電動機)の断面図、図2は、そのスピンドルモータの動圧流体軸受装置における回転スラスト板の下方斜視図、図3は、図1における回転スラスト板の右側部付近の拡大図である。但し、図1における回転スラスト板及びその周辺部は、図2におけるI−O−I線に対応する。
【0050】
スピンドルモータの基盤10の嵌合孔に固定軸体12の下端部(基端部)が嵌合固定されることにより、固定軸体12が立設固定されている。基盤10の上側における固定軸体12の外周側には、ステータコイル14が巻回されたステータコア16を保持する保持体13が固定されている。
【0051】
固定軸体12は、上下方向の固定軸部材12a(軸部)と、その固定軸部材12aの上部に同軸状に外嵌固定された環状板状の固定スラスト板12b(スラスト板部)とを有してなる。固定軸体12には、ロータハブ18aと回転スラスト板18bからなる回転スリーブ体18が外嵌されている。
【0052】
ロータハブ18aの円筒面状の外周部にハードディスクが外嵌保持される。ロータハブ18aのほぼ下半部は、内周側のスリーブ部18a1と外周側のロータマグネット保持部18a2の二重管状をなす。スリーブ部18a1は、固定軸部材12aのうち固定スラスト板12bと基盤10との間の部分にスリーブ嵌合している。スリーブ部18a1の上方の内径は、上方(先端側)に向かって、中内径部18a3及び大内径部18a4へと順次拡径されている。この大内径部18a4の下端部に回転スラスト板18bが内嵌固定されることにより、中内径部18a3の内周側に径方向内方開口の環状のスラスト溝部20が形成され、このスラスト溝部20が固定スラスト板12bに外嵌している。大内径部18a4における回転スラスト板18bの上側には、環状板状のシール部材22が内嵌固定されている。
【0053】
固定軸体12は、下端部を基盤10に、固定軸部材12aの上端部をハードディスク駆動装置の蓋体(図示せず)等に固定することができるので、回転スリーブ体18の安定的な回転を実現することができる。
【0054】
ロータハブ18aのロータマグネット保持部18a2には、強磁性材料製の円筒状ロータヨーク24が内嵌固定され、その円筒状ロータヨーク24に円筒状のロータマグネット26が内嵌固定され、ステータコア16と径方向空隙を隔てて相対している。ロータは、回転スリーブ体18と円筒状ロータヨーク24とロータマグネット26からなる。
【0055】
固定軸部材12aの外周部のうちスリーブ部18a1の下端部に相対する部分は、下方に向かってテーパ状に縮径し、これにより、スリーブ部18a1の内周面との間の間隙が下方に向かって漸次拡大する下端(基端)径方向間隙拡大部28が形成されている。スリーブ部18a1の内周面の下端部には撥油剤の塗布等の撥油処理が施されている。
【0056】
スラスト溝部20の上側面の下側内周側部は、内方に向かって上向きに傾斜し、固定スラスト板12bの上面との間に、漸次間隙が拡大する上側(先端側)軸心方向間隙拡大部29が形成されている。上側軸心方向間隙拡大部29の内周側には、固定軸部材12aの外周面及びそれに相対する回転スラスト板18bの内周面の環状凹部によって更に軸心方向及び径方向に間隙が拡大された環状空間部31が形成されている。その環状空間部31の上方において回転スラスト板18bの内周面及びそれと径方向の比較的狭い空隙を隔てて相対する固定軸部材12aの外周面には、撥油剤の塗布等の撥油処理が施されている。
【0057】
また、シール部材22と回転スラスト板18bの間に径方向内方開口の環状の潤滑油捕捉溝30が形成され、シール部材22の内周面及びそれと径方向の比較的狭い空隙(例えば50μm)を隔てて相対する固定軸部材12aの外周面には、撥油剤の塗布等の撥油処理が施されている。
【0058】
固定スラスト板12bの下側内周側部12b1は、後述する連絡突条部34を除き、内方に向かって上向きに傾斜し、スラスト溝部20の下側面との間に、漸次間隙が拡大する下側(基端側)軸心方向間隙拡大部32が形成されている。
【0059】
固定スラスト板12bの下側内周側部12b1における180度中心角を隔てた2箇所に、それぞれ径方向の連絡突条部34を有する。連絡突条部34の下面は、固定スラスト板12bの下側外周側部12b2と平行であり、周方向の両側面は上方に向かってやや拡開する。連絡突条部34の内端面は、下側内周側部12b1の内周縁から下方に向かって径方向外方に傾斜することにより、固定軸部材12aの外周面との間に、径方向間隙が下方に向かって漸次拡大して楔形状をなすスリット部36を有する。連絡突条部34とスラスト溝部20の下側面との間に、径方向の連絡路37が形成されている。
【0060】
固定スラスト板12bの上面及び下面に、それぞれ動圧発生用のへリングボーン溝部38(へリングボーン溝以外の動圧発生用溝を用いることもできる。)が設けられ、それぞれスラスト溝部20の上側面(回転スラスト板18bの下面)及びスラスト溝部20の下側面との間に上(先端側)スラスト軸受部40及び下(基端側)スラスト軸受部42が構成されている。
【0061】
固定軸体12と回転スリーブ体18との間隙の必要箇所に潤滑油44が充填されている。スラスト溝部20と固定スラスト板12bの間隙に充填された潤滑油44の上側界面及び下側界面は、それぞれ上側軸心方向間隙拡大部29及び下側軸心方向間隙拡大部32において径方向内方を向く。下側軸心方向間隙拡大部32は、内方に向かって漸次間隙が拡大するので、下側軸心方向間隙拡大部32に位置する潤滑油44が表面張力により径方向外方すなわち下スラスト軸受部42側へ確実性高く引き寄せられ、下側軸心方向間隙拡大部32において潤滑油44が下スラスト軸受部42と内周側とに分離することが防がれる。
【0062】
下側軸心方向間隙拡大部32の内周部のうち連絡路37以外の部分は気体部分46である。連絡路37、すなわち連絡突条部34とスラスト溝部20の下側面との間には、潤滑油44が表面張力により保持され、これによって、固定軸部材12aとスリーブ部18a1との間隙に保持された潤滑油44の上端部と、下スラスト軸受部42に保持された潤滑油44の内周部が連続する。
【0063】
へリングボーン溝部38は、その動圧の中心が上スラスト軸受部40及び下スラスト軸受部42における外周側に偏心するように設けられ、上下スラスト軸受部40・42における潤滑油44が回転スリーブ体18の回転に伴い内周側から外周側へ移動する圧力分布を生じる。
【0064】
固定スラスト板12bの内周面における連絡突条部34と90度中心角を隔てた2箇所に、固定軸部材12aの外周面との間に呼吸孔48を形成する軸心方向溝48aを有する。呼吸孔48は、気体部分46と外部とを、環状空間部31並びに固定軸部材12aの外周面と回転スラスト板18bの内周面及びシール部材22の内周面との間隙を介して連通する。
【0065】
固定スラスト板12bの外周端面、並びに固定スラスト板12bの上側の面及び下側の面のうち上下スラスト軸受部40・42の内周側の部分において、それぞれスラスト溝部20と固定スラスト板12bの間隙に充填された潤滑油44内に開口する潤滑油循環路50を固定スラスト板12b内に有する。固定スラスト板12bの外周端面には、全周にわたる径方向外方開口の断面弓形状の導入溝部52を有し、潤滑油循環路50の開口部がその導入溝部52内に位置する。
【0066】
回転スリーブ体18が回転すると、上下スラスト軸受部40・42における潤滑油44は、内周側から外周側へ移動し、次いで、固定スラスト板12bの外周端面から固定スラスト板12b内の潤滑油循環路50を経て、固定スラスト板12bの上側の面及び下側の面のうち上下スラスト軸受部40・42の内周側の部分に流れて循環する。このように潤滑油44が循環することにより、スラスト溝部20と固定スラスト板12bの間隙に充填された潤滑油44内の気泡、特に上下スラスト軸受部40・42の外周側の気泡が、上スラスト軸受部40の径方向内方に位置する潤滑油44の界面から外気に解放される。
【0067】
スリーブ部18a1の内周面の上部及び下部には、それぞれ動圧発生用のへリングボーン溝部54・55(へリングボーン溝以外の動圧発生用溝を用いることもできる。)が設けられ、固定軸部材12aの外周面との間でそれぞれ上ラジアル軸受部56及び下ラジアル軸受部58が構成されている。そのうち下ラジアル軸受部58の動圧発生用のへリングボーン溝部55は、下端径方向間隙拡大部28の上部に達しており、回転スリーブ体18の回転に伴いそのへリングボーン溝部55により潤滑油44に発生する動圧の軸心方向における中心が、その下ラジアル軸受部58の軸心方向における中心よりも上寄りになるよう設けられている。スリーブ部18a1の内周面と固定軸部材12aの外周面との間隙は、上下ラジアル軸受部56・58において通常数μmである。
【0068】
固定軸部材12aにおけるスリーブ部18a1に相対する部分の上端部のうち、呼吸孔48を中心とした周方向の4分の1円周部分(連絡路37が存在しない周方向部分)に、断面略V字形状に径方向外方に開口する周方向の上側円弧状溝部59を有する。上側円弧状溝部59は、環状凹部60の深さよりも浅く形成されている。
【0069】
固定軸部材12aは、その外周面における上下ラジアル軸受部56・58の間に、径方向外方開口の断面弓形状の環状凹部60を有する。その環状凹部60と固定軸部材12aの外周面との間に、中間径方向間隙拡大部62が形成される。中間径方向間隙拡大部62は、上ラジアル軸受部56から下方に向かって漸次径方向間隙が拡大する上間隙拡大部(第1間隙拡大部)がその上半部を構成し、下ラジアル軸受部58から上方に向かって漸次径方向間隙が拡大する下間隙拡大部(第2間隙拡大部)が下半部を構成する。
【0070】
この上間隙拡大部に、上ラジアル軸受部56に保持された潤滑油44の下端側の界面を有し、下間隙拡大部に、下ラジアル軸受部58に保持された潤滑油44の上端側の界面を有する。
【0071】
上側円弧状溝部59とスリーブ部18a1の内周面との間に形成される周方向の円弧状径方向間隙拡大部に、上ラジアル軸受部56に保持された潤滑油44のうち上側円弧状溝部59に対応する周方向部分の上端側界面が、表面張力により位置し、その周方向部分において、上ラジアル軸受部56に保持された潤滑油44が下側軸心方向間隙拡大部32に流入することが防がれる。
【0072】
また、下ラジアル軸受部58に保持された潤滑油44の下端側界面は、下端径方向間隙拡大部28に位置する。
【0073】
固定軸部材12aの外周面における上ラジアル軸受部56の下端側と中間径方向間隙拡大部62の上間隙拡大部との境界部付近に、断面略V字形状に径方向外方に開口する4分の1円周にわたる周方向の下側円弧状溝部63を有する。下側円弧状溝部63は、環状凹部60の深さよりも浅く形成されている。
【0074】
固定軸部材12a内に、外部開口64aが下ラジアル軸受部58と下端径方向間隙拡大部28の境界部付近に位置する通気孔64を有する。通気孔64の第1内部開口64bは、中間径方向間隙拡大部62における上間隙拡大部と下間隙拡大部の中間部付近に開口する。通気孔64の第2内部開口64cは、下側円弧状溝部63に開口する。
【0075】
回転スリーブ体18の回転時には、下ラジアル軸受部58に保持された潤滑油44の下端側界面は、下ラジアル軸受部58のへリングボーン溝部55により、下端径方向間隙拡大部28の上部又は更に上方に引き込まれ、通気孔64の外部開口64aは外気に開口する。
【0076】
中間径方向間隙拡大部62における上間隙拡大部及び下間隙拡大部には潤滑油44が貯留される。上ラジアル軸受部56又は下ラジアル軸受部58において、蒸発や衝撃による脱落等により潤滑油44が減少した場合に、中間径方向間隙拡大部62の上間隙拡大部に貯留された潤滑油44は先端側ラジアル軸受部に、中間径方向間隙拡大部62の下間隙拡大部に貯留された潤滑油44は基端側ラジアル軸受部に、それぞれ補給される。潤滑油44の補給に伴い、通気孔64を通じて中間径方向間隙拡大部62に外気が導入される。
【0077】
下スラスト軸受部42に保持された潤滑油44の内周部と、固定軸部材12aとスリーブ部18a1の間隙に保持された潤滑油44の先端部との間が、連絡路37に保持された潤滑油44により連続する。下スラスト軸受部42と上ラジアル軸受部56の何れかにおいて蒸発や衝撃による脱落等により潤滑油44が減少した場合、潤滑油44が減少した軸受部に対し他方の軸受部から、連絡路37を介して潤滑油44が補給される。そのため、一方の軸受部のみについて潤滑油不足が生じて装置が短寿命化するという不都合の発生が防がれる。
【0078】
上ラジアル軸受部56は、公差範囲程度でやや上方寄りに潤滑油44の動圧が高くなるアンバランスを生じするよう設計されている。
【0079】
回転スリーブ体18の回転時に、公差、組立、熱変形等の要因により、上ラジアル軸受部56に保持されて上端側が下側軸心方向間隙拡大部32に臨む潤滑油44に下向きに移動する圧力が発生し、その潤滑油44が下向きに移動することがあり得る。その場合、下向き移動圧力が限度を超えると、連絡路37における潤滑油44に対する遠心力や表面張力等とも作用し合って、下スラスト軸受部42に保持された潤滑油44の内周部と、固定軸部材12aとスリーブ部18a1の間隙に保持された潤滑油44の先端部との間の、連絡路37による潤滑油44の連続が途切れることとなる。スリット部36は、このような潤滑油44の連続の途切れを開始し易くするものである。
【0080】
連絡路37による潤滑油44の連続が途切れることにより、下スラスト軸受部42に保持された潤滑油44が上ラジアル軸受部56へ過剰に移動して下スラスト軸受部42を潤滑する潤滑油44の量が過少になることが確実性高く防がれる。また、このように潤滑油44が途切れて上端側から上ラジアル軸受部56に空気等の気体が導入されれば、それにより下向きの潤滑油移動圧力が減少してバランスするようになるので、潤滑油44の下側への移動が抑えられる。この際、上側円弧状溝部59を通じて上端側から上ラジアル軸受部56に気体が導入され易いので、潤滑油44の下方への移動がより確実に抑えられる。
【0081】
前記のような固定軸部材12aとスリーブ部18a1の間隙に保持された潤滑油44に対する下向き移動圧力が回転中に又は回転停止により解消されれば、下スラスト軸受部42に保持された潤滑油44の内周部と、固定軸部材12aとスリーブ部18a1の間隙に保持された潤滑油44の先端部との間の、連絡路37による潤滑油44の連続が回復し得る。
【0082】
なお、下側軸心方向間隙拡大部32の気体部分の拡大又は縮小に伴い、呼吸孔48を通じて空気等の気体の移動が生じる。
【0083】
また、回転スリーブ体18の回転時に、上ラジアル軸受部56において、公差、組立、熱変形等の要因により、上向きに潤滑油44が移動する圧力が発生し、その潤滑油44が上向きに移動する場合に、通気孔64及び下側円弧状溝部63を通じて上ラジアル軸受部56内に下端側から気体が導入される。この気体は、潤滑油44の上方移動量が比較的に小さい段階で上ラジアル軸受部56内部に導入され、それにより上向きの潤滑油移動圧力が減少してバランスするようになるので、潤滑油44の上方への移動量が比較的に小さく抑えられる。
【0084】
更に、回転スリーブ体18が回転すると、固定軸体12と回転スリーブ体18の間隙に充填された潤滑油44に遠心力が作用する。そのため、非回転時においては下端径方向間隙拡大部28に下端界面が位置するように表面張力により保持されていた潤滑油44が、遠心力の作用によって更に下方へ滲出若しくは漏出することにより、或いは衝撃により脱落することにより散逸し易い状態となるが、下ラジアル軸受部58に保持された潤滑油44の下端側界面は、下ラジアル軸受部58のへリングボーン溝部55により、下端径方向間隙拡大部28の上部又は更に上方に引き込まれるので、遠心力の作用による潤滑油44の滲出又は漏出による散逸、或いは衝撃により脱落することによる散逸が生じ難くなる。
【0085】
なお、以上の実施の形態についての記述における上下位置関係は、単に図に基づいた説明の便宜のためのものであって、実際の使用状態等を限定するものではない。
【0086】
【発明の効果】
本発明の動圧流体軸受装置及び電動機によれば、基端側スラスト軸受部及びラジアル軸受部の一方のみについて潤滑液不足が生じて装置が短寿命化するという不都合の発生が防がれると共に、基端側スラスト軸受部に保持された潤滑液がラジアル軸受部へ過剰に移動して基端側スラスト軸受部を潤滑する潤滑液の量が過少になることが防がれる。
【0087】
請求項4の動圧流体軸受装置及びそれを備えた電動機によれば、先端側ラジアル軸受部の潤滑液の先端側への移動量が比較的に小さく抑えられる。
【0088】
請求項5の動圧流体軸受装置及びそれを備えた電動機によれば、スラスト溝部とスラスト部の間隙に充填された潤滑液内の気泡が外気に解放される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハードディスク駆動用のスピンドルモータについての断面図である。
【図2】回転スラスト板の下方斜視図である。
【図3】図1における回転スラスト板の右側部付近の拡大図である。
【図4】ハードディスク駆動用のスピンドルモータの従来例についての断面図である。
【符号の説明】
12a 固定軸部材
12b 固定スラスト板
12b1 下側内周側部
18a1 スリーブ部
20 スラスト溝部
34 連絡突条部
36 スリット部
37 連絡路
42 下スラスト軸受部
44 潤滑油
Claims (6)
- 軸部とその軸部から径方向外方へ張り出したスラスト部とを有してなる固定軸体に対し、前記軸部のうちスラスト部よりも基端側の部分にスリーブ嵌合したスリーブ部と、前記スラスト部の基端側の面に軸心方向基端側において相対する回転スラスト面とを有してなる回転スリーブ体が、前記固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液を介し、主に軸部とスリーブ部が相対するラジアル軸受部及び回転スラスト面とスラスト部が相対するスラスト軸受部において、回転自在に支持されてなる動圧流体軸受装置であって、
前記スラスト部の基端側の面と回転スラスト面が相対する部分に有する基端側スラスト軸受部の内周側に、スラスト部の基端側の面と回転スラスト面との軸心方向間隙が前記基端側スラスト軸受部よりも大きい基端側軸心方向間隙拡大部を有し、
その基端側軸心方向間隙拡大部の一部に、潤滑液が表面張力により保持され得る程度に軸心方向間隙が狭く、保持された潤滑液が、基端側スラスト軸受部に保持された潤滑液の内周部と、軸部とスリーブ部の間隙に保持された潤滑液の先端部との間に連続し得る連絡路を有し、
前記基端側軸心方向間隙拡大部の前記連絡路以外の部分のうち少なくとも内周部が気体部分であり、
その気体部分と外部とを連通する呼吸孔を固定軸体内に有し、
ラジアル軸受部に保持されて先端側が基端側軸心方向間隙拡大部に臨む潤滑液が基端向きに移動した場合に連絡路による潤滑液の連続が途切れることを特徴とする動圧流体軸受装置。 - 連絡路を除く基端側軸心方向間隙拡大部が、径方向内方に向かって軸心方向間隙が漸次拡大するものであり、この基端側軸心方向間隙拡大部に、基端側スラスト軸受部に保持された潤滑液の径方向内方の界面が位置する請求項1記載の動圧流体軸受装置。
- 上記連絡路が、スラスト部の基端側の面に設けられて基端向きに突起する、ほぼ径方向に連続する突起部と、回転スラスト面の間に形成され、
その突起部の径方向内端部に、周方向両方及び軸心方向基端向きに開口し、潤滑液を表面張力により保持し得るスリット部を有する請求項1又は2記載の動圧流体軸受装置。 - ラジアル軸受部として、先端側がスラスト部の基端側の面と回転スラスト面との間隙に近接した先端側ラジアル軸受部と、その先端側ラジアル軸受部よりも基端側に位置する基端側ラジアル軸受部を有し、
前記先端側ラジアル軸受部と基端側ラジアル軸受部の間に、軸部の外周面とスリーブ部の内周面との径方向間隙が両ラジアル軸受部よりも大きい中間径方向間隙拡大部を有し、
その中間径方向間隙拡大部は、前記先端側ラジアル軸受部から基端側に向かって漸次径方向間隙が拡大する第1間隙拡大部と、前記基端側ラジアル軸受部から先端側に向かって漸次径方向間隙が拡大する第2間隙拡大部を有し、
先端側ラジアル軸受部に保持された潤滑液の基端側の界面を前記第1間隙拡大部に有すると共に、基端側ラジアル軸受部に保持された潤滑液の先端側の界面を前記第2間隙拡大部に有し、
中間径方向間隙拡大部における第1間隙拡大部と第2間隙拡大部の中間部付近と外部とを、少なくとも回転スリーブ体の回転時に連通する通気孔を前記固定軸体内に備え、
軸部の外周面における先端側ラジアル軸受部の基端側と第1間隙拡大部との境界部付近に、径方向外方開口の周方向の基端側円弧状溝部を有し、
その基端側円弧状溝部と外部とを、少なくとも回転スリーブ体の回転時に連通する通気孔を、前記固定軸体内に備える請求項1、2又は3記載の動圧流体軸受装置。 - スラスト部に外嵌する径方向内方開口の環状のスラスト溝部を回転スリーブ体が有し、そのスラスト溝部の基端側の面及び先端側の面をそれぞれ回転スラスト面とし、スラスト部の先端側の面と先端側の回転スラスト面が相対する部分と、スラスト部の基端側の面と基端側の回転スラスト面が相対する部分の両方にスラスト軸受部を有し、
先端側スラスト軸受部と基端側スラスト軸受部の潤滑液は、スラスト部の外周端面とスラスト溝部の外周部の間の部分を介して連続し、
先端側及び基端側の各スラスト軸受部に、各スラスト軸受部における潤滑液が回転スリーブ体の回転に伴い内周側から外周側へ移動する圧力分布を生じさせる動圧発生機構を有し、
先端側スラスト軸受部の径方向内方に潤滑液の先端界面を有し、
スラスト部の外周端面、並びにスラスト部の先端側の面及び基端側の面のうち先端側及び基端側のスラスト軸受部の内周側の部分において、それぞれスラスト溝部とスラスト部の間隙に充填された潤滑液内に開口する潤滑液循環路をスラスト部内に有する請求項1、2、3又は4記載の動圧流体軸受装置。 - 請求項1、2、3、4又は5記載の動圧流体軸受装置を備え、回転スリーブ体がロータとして回転する電動機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08790998A JP3549389B2 (ja) | 1998-03-16 | 1998-03-16 | 動圧流体軸受装置及び電動機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08790998A JP3549389B2 (ja) | 1998-03-16 | 1998-03-16 | 動圧流体軸受装置及び電動機 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11264409A JPH11264409A (ja) | 1999-09-28 |
JP3549389B2 true JP3549389B2 (ja) | 2004-08-04 |
Family
ID=13928055
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08790998A Expired - Fee Related JP3549389B2 (ja) | 1998-03-16 | 1998-03-16 | 動圧流体軸受装置及び電動機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3549389B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103578505A (zh) * | 2012-08-06 | 2014-02-12 | 三星电机株式会社 | 主轴电机及包含该主轴电机的硬盘驱动器 |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4047494B2 (ja) * | 1999-07-05 | 2008-02-13 | 株式会社ジェイテクト | 動圧軸受 |
WO2005078295A1 (ja) * | 2004-02-18 | 2005-08-25 | Seiko Instruments Inc. | 流体動圧軸受、モータおよび記録媒体駆動装置 |
DE102009035124A1 (de) * | 2009-07-29 | 2011-02-03 | Minebea Co., Ltd. | Fluiddynamisches Lagersystem |
JP2011208701A (ja) | 2010-03-29 | 2011-10-20 | Nippon Densan Corp | スピンドルモータおよびディスク駆動装置 |
-
1998
- 1998-03-16 JP JP08790998A patent/JP3549389B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103578505A (zh) * | 2012-08-06 | 2014-02-12 | 三星电机株式会社 | 主轴电机及包含该主轴电机的硬盘驱动器 |
KR101388772B1 (ko) * | 2012-08-06 | 2014-04-23 | 삼성전기주식회사 | 스핀들 모터 및 이를 포함하는 하드 디스크 드라이브 |
US8908320B2 (en) | 2012-08-06 | 2014-12-09 | Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. | Spindle motor having lower thrust member with fitting protrusion and hard disk drive including the same |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11264409A (ja) | 1999-09-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3462982B2 (ja) | 動圧流体軸受装置及び電動機 | |
US5707154A (en) | Hydrodynamic fluid pressure bearings | |
US7568839B2 (en) | Fluid dynamic pressure bearing, motor, and recording medium driving device | |
JP3652875B2 (ja) | モータ | |
JP3942482B2 (ja) | 動圧軸受装置及びこれを備えたモータ | |
US20030091250A1 (en) | Dynamic pressure bearing device | |
US20070201779A1 (en) | Hydrodynamic bearing motor | |
JP2006194400A (ja) | スピンドルモータおよび回転装置 | |
JP3549389B2 (ja) | 動圧流体軸受装置及び電動機 | |
KR100616615B1 (ko) | 유체동압베어링 스핀들모터 | |
JP3996436B2 (ja) | 動圧軸受モータ | |
JP3549380B2 (ja) | 動圧流体軸受装置及び電動機 | |
JP3462967B2 (ja) | 動圧流体軸受装置及び電動機 | |
US20060104555A1 (en) | Fluid dynamic bearing arrangement | |
JP3799176B2 (ja) | 動圧型焼結含油軸受ユニット | |
JP2007024267A (ja) | 流体軸受装置およびこれを備えたモータ | |
JP3549367B2 (ja) | 動圧流体軸受装置及び電動機 | |
JP2004036892A (ja) | 動圧軸受、スピンドルモータならびにハードディスクドライブ装置 | |
JP2641035B2 (ja) | 動圧流体軸受を備えたモータ | |
JP3554485B2 (ja) | 流体動圧軸受モータ | |
JP3597947B2 (ja) | 動圧軸受を使用したモータ | |
JP2002054628A (ja) | 動圧流体軸受装置及びスピンドルモータ | |
JPH11153130A (ja) | 動圧軸受装置 | |
JPH09191599A (ja) | 動圧流体軸受を備えたモータ | |
JP3681018B2 (ja) | 動圧軸受 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040330 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040420 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090430 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090430 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100430 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |