JP3494304B2 - 薄膜半導体装置の製造方法 - Google Patents

薄膜半導体装置の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜半導体装置の製造
方法に係り、特に、薄膜半導体装置におけるゲ−ト絶縁
膜の界面特性の改良を図った薄膜半導体装置の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の薄膜半導体装置として
は、例えば薄膜トラジスタと称されるものがある。図6
にはかかる薄膜トランジスタの一例が示されおり、以
下、同図を参照しつつこの薄膜トランジスタの製造プロ
セスについて概略的に説明する。この薄膜トランジスタ
は、ガラス基板20上にpoly−Siからなる半導体
活性層21を形成し、その後、ゲ−ト絶縁膜22を堆積
し、さらにpoly−Siからなるゲ−ト電極23を形
成する。そして、ゲ−ト電極23形成後、イオン注入に
より、リン又はボロンをゲ−ト電極23に注入すると共
に、半導体活性層21のチャンネル方向(図6において
紙面左右方向)の両側にイオン注入することによりソ−
ス領域24aとドレイン領域24bとを形成する。この
後、アニ−ル処理によりド−パントの活性化を行う。そ
して、層間絶縁膜25を堆積後、コンタクト孔26a,
26bを層間絶縁膜25及びゲ−ト絶縁膜22に穿設し
て電極27a,27bを設けることによって薄膜トラン
ジスタが完成される。
【0003】ところで、いわゆるLSIの製造技術にお
いて、Siを約1000℃前後の酸素雰囲気中で酸化さ
せることにより、良好な界面特性を有するシリコン酸化
膜を形成できることは、公知、周知のことである。一
方、上述のような薄膜トランジスタは、近年液晶ディス
プレイ装置に用いるられることが多いが、この場合、装
置を安価なものとするために絶縁特性が良好で且つ安価
なガラス基板を用いることが前提となる。ところが、ガ
ラス基板は1000℃もの高温には耐え得ないことから
上述したようなLSIにおけるゲ−ト絶縁膜の製造方法
を用いることはできない。そのため、これに代わる技術
として例えば、常圧CVD法、減圧CVD法、プラズマ
CVD法、スパッタリング法等が提案されているが、こ
れらの方法により得られるゲ−ト絶縁膜は、先の100
0℃前後の酸素雰囲気中でSiを酸化させることにより
得られるゲ−ト絶縁膜に比して、未だ十分満足できるも
のではない。
【0004】そこで、これら常圧CVD法等により形成
されるゲ−ト絶縁膜に比してさらに良好な界面特性のゲ
−ト絶縁膜を得る技術として、ECR(Electron Cyclo
tronResonance) プラズマCVD装置を用いてゲ−ト絶
縁膜を堆積させる方法が提案されている(例えば、T.W.
Little et al., Extended Abstracts of the 23rd and
Materials, 1991,pp.644〜646 参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このE
CRプラズマCVD装置を用いた技術にしても、先の常
圧CVD法等に比して相対的に界面特性が良好なゲ−ト
絶縁膜が得られるというに過ぎず、薄膜半導体装置に求
められる特性を満足するに十分なゲ−ト絶縁膜を得るに
至っていないという問題があった。
【0006】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
で、優れた界面特性を有するゲ−ト絶縁膜を形成するこ
とのできる薄膜半導体装置の製造方法を提供するもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る半導体装置
の製造方法は、ソ−ス及びドレイン領域が一部に形成さ
れた半導体活性層をガラス基板上に配設し、この半導体
活性層を覆うようにゲ−ト絶縁膜を設け、このゲ−ト絶
縁膜上にゲ−ト電極を設け、さらに前記ゲート電極及び
前記ゲ−ト絶縁膜を覆う層間絶縁膜を形成してなる薄膜
半導体装置の製造方法において、前記ゲ−ト絶縁膜の形
成工程は、ガラス基板を100℃以下に保持しつつシリ
コンを含む絶縁部材を前記半導体活性層を含む前記ガラ
ス基板上に堆積させる第1の工程と、前記堆積された絶
縁部材に対し界面準位の減少させるため、窒素、酸素及
び水素からなる群から選ばれた雰囲気下で400〜60
0℃の熱処理を施す第2の工程と、を具備するものであ
る。特に、第1の工程における絶縁部材の堆積は、EC
RプラズマCVD法により行うのが好適である。また、
第2の工程において、熱処理は窒素、酸素及び水素から
なる群から選ばれた2以上の気体の混合気中で行うよう
にしても好適である。
【0008】
【作用】ゲ−ト絶縁膜は、100℃以下の基板温度の下
でECR−CVD法により堆積され、その後、400乃
至600℃の熱処理を施すことによってゲ−ト絶縁膜の
界面準位が低下し界面特性の向上したものとなる。その
ため、薄膜半導体装置においては、キャリアの移動度、
しきい値の向上に寄与することとなり信頼性の高い薄膜
半導体装置が提供されることとなる。
【0009】
【実施例】以下、図1乃至図4を参照しつつ本発明に係
る薄膜半導体装置の製造方法について説明する。ここ
で、図1は本発明に係る薄膜半導体装置の製造方法によ
り製造された薄膜半導体装置の一例を示す縦断面図、図
2及び図3は本発明に係る薄膜半導体装置の製造方法を
説明するための主要な工程における縦断面図、図4は本
発明に係る薄膜半導体装置の製造方法によって形成され
るゲ−ト絶縁膜の特性を従来との比較において説明する
ための特性線図、図5は本発明に係る薄膜半導体装置に
より形成されるゲ−ト絶縁膜の界面特性を評価するため
の特性評価試験の概略を説明するための試験回路の概略
図である。
【0010】先ず、本発明に係る薄膜半導体装置の製造
方法により製造された薄膜半導体装置について図1を参
照しつつ説明すれば、この薄膜半導体装置の基本的な構
成は、この種の従来の薄膜半導体装置と同じである。し
たがって、以下の構造の説明は概略に止めることとす
る。この薄膜半導体装置は、poly−Siからなる半
導体活性層2、ソ−ス領域3a及びドレイン領域3bが
ガラス基板1上の略同一平内に形成され、これら半導体
活性層2、ソ−ス領域3a、ドレイン領域3b及びガラ
ス基板1の一部を覆うようにゲ−ト絶縁膜4が形成され
ている。そして、ゲ−ト絶縁膜4の上にはゲ−ト電極5
が設けられると共に、このゲ−ト電極5及びゲ−ト絶縁
膜4を覆うように層間絶縁膜6が形成されている。さら
に、層間絶縁膜6及びゲ−ト絶縁膜4を貫通するように
電極層7a,7bが形成されてなるものである。
【0011】次に、上記構成の薄膜半導体装置の製造プ
ロセスについて図2及び図3を参照しつつ説明する。先
ず、ガラス基板1上にa−Siを約1000オングスト
ロ−ム程度着膜させ、次にエキシマレ−ザを用いたアニ
−ルを行うことにより結晶化を施してpoly−Si膜
を得、さらに、このpoly−Si膜をフォトリソグラ
フィ法により島状にパタ−ニングすることにより半導体
活性層2を得る(図2(a)参照)。尚、このpoly
−Si膜のパタ−ニングの際、パタ−ニングの結果得ら
れる半導体活性層2の端部(図2において紙面左右方向
の両端部)の傾斜が30度以下となるようにする。
【0012】次に、ECRプラズマCVD法を用いてシ
リコン酸化膜を堆積させる。すなわち、基板温度23
℃、マイクロ波パワ−400W、ガス流量SiH4 :O
2 =3:9sccm、ガス圧力1mTorr の諸条件の下でシ
リコン酸化膜を約1000オングストロ−ム程度堆積す
る。そして、500℃の窒素雰囲気中で1時間の熱処理
を行う(図2(b)参照)。熱処理完了後、Ta(タン
タル)を約1500オングストロ−ム程度堆積させ、例
えばフォトリソグラフィ法によりパタ−ニングしてゲ−
ト電極5を形成する(図3(a)参照)。続いて、シャ
ワ−ド−プ法により、リンを注入し自己整合的にソ−ス
領域3a及びドレイン領域3bを形成する。ここで、本
実施例におけるリンの注入条件は、5%PH3 /H2
用いて110Kev、4×1015リン原子/cm2であ
る。
【0013】さらに、ド−パントの活性化として500
℃の窒素雰囲気中で2乃至5時間の熱処理を行う。この
後、シリコン酸化膜を約7000オングストロ−ム程度
堆積して層間絶縁膜6を形成し、コンタクト孔8a,8
bを層間絶縁膜6及びゲ−ト絶縁膜4に穿設する(図1
参照)。そして、このコンタクト孔8a,8bにAl−
Cuを堆積させ、パタ−ニングすることにより電極層7
a,7bを形成し(図1参照)、薄膜半導体装置が完成
する。
【0014】次に、本実施例によるゲ−ト絶縁膜4の界
面特性の良否を図4を参照しつつ説明する。先ず、本実
施例の製造プロセスによって形成されたゲ−ト絶縁膜4
の特性を評価する方法としては、この種の特性評価方法
としてよく知られている水銀プロ−ブ法が好適である。
図5には、水銀プロ−ブ法を模式的に表した説明図が示
されており、同図を参照しつつ概略的にこの方法を説明
すれば、この方法は、評価しようとする絶縁膜10をシ
リコンウエファ11上に形成し、このシリコンウエファ
11を接地する一方、絶縁膜10には水銀からなる電極
12を介して交流電圧を印加し、その印加電圧を変化さ
せることによっていわゆるC−V特性線を得て、このC
−V特性線によって絶縁膜の特性評価を行うものであ
る。尚、図5において可変コンデンサ13は印加電圧を
調整するためのものである。
【0015】図4には上述の水銀プロ−ブ法により得ら
れたいわゆるC−V特性が示されている。尚、図4
(a),(b)において、横軸は酸化膜に印加されるバ
イアス電圧であり、縦軸は正規化した酸化膜容量であ
る。また、図4(a),(b)において、Coxは負のバ
イアス電圧を印加した際の酸化膜容量の飽和値である。
先ず、図4(a)には、基板温度23℃(室温)の下で
ECRプラズマCVD法を用いてシリコン酸化膜を堆積
させた直後におけるC−V特性線(同図において実線で
表された特性線イ)と、従来のように比較的高温の基板
温度、すなわち基板温度400℃の下で堆積されたシリ
コン酸化膜のC−V特性線(同図において点線で表され
た特性線ロ)とが、それぞれ表されている。
【0016】この図4(a)において、結論的にはシリ
コン酸化膜を堆積した直後においては、本実施例のよう
に室温で堆積した場合に比して従来のように比較的高温
で堆積させた場合の方がC−V特性は良好であると言え
る。すなわち、このような酸化膜のC−V特性の評価基
準としては、C/Coxの上側の飽和値Caから、この飽
和値Caと下側の飽和値Cbとの差の約1/3程下がっ
た点ハ(特性線イの点)及び点ニ(特性線ロの点)にお
けるバイアス電圧が0v又はその近傍となり且つ飽和値
Caと飽和値Cbとの間における特性線の傾きが大であ
る程よく、理想的には横軸(バイアス電圧側)に対して
垂直であることが望まれる(この様なC−V特性線の理
想的な形を以下「理想特性線」と言う。)。図4
(a),(b)において特性線イと特性線ロとを上述の
観点から比較して見ると明らかに特性線ロが特性線イに
優っていると言うことができる。換言すれば、既述した
ように、比較的高い温度で堆積されたシリコン酸化膜の
ほうが、室温或いは比較的低い温度で堆積されたシリコ
ン酸化膜よりも、堆積直後におけるC−V特性で比較す
る限りにおいて良好であるということが言える。
【0017】次に、堆積されたシリコン酸化膜に熱処理
を施した後のC−V特性を本実施例のものと従来例とで
比較した特性線図が図4(b)であり、以下、同図を参
照しつつその内容について説明する。同図において実線
で表された特性線ホは、本実施例のシリコン酸化膜の熱
処理後のC−V特性である。すなわち、室温で堆積され
たシリコン酸化膜を500℃の窒素雰囲気中で1時間熱
処理を施した後におけるC−V特性を示したものであ
る。一方、点線で表された特性線ヘは、従来の方法によ
り堆積されたシリコン酸化膜、すなわち、400℃の基
板温度の下で堆積されたシリコン酸化膜を500℃の窒
素雰囲気中で1時間熱処理を施した後におけるC−V特
性を示したものである。
【0018】この二つの特性線ホ、ヘを比較して見る
と、特性線ホの方が特性線ヘに比して明らかに図4
(a)の説明で述べたような理想特性線に近似している
と言える。すなわち、基板温度を室温にしてシリコン酸
化膜を堆積させた後に500℃の窒素雰囲気中で1時間
熱処理を施して形成された本実施例のゲ−ト絶縁膜4の
方が、400℃の基板温度の下で堆積されたシリコン酸
化膜を500℃の窒素雰囲気中で1時間熱処理を施した
シリコン酸化膜よりも、良好な界面特性を有するものに
なるということが言える。具体的に界面準位密度Nss
比較すると、上述した方法により形成されたシリコン酸
化膜では、Nss=5×1011cm-2eV-1程度であるの
に対し、本実施例の方法で形成されたシリコン酸化膜に
おいては、Nss=5×1010〜1×1011cm-2eV-1
となり確実に界面特性の向上が得られている。
【0019】尚、本実施例においては、シリコン酸化膜
を堆積させる際の基板温度を23℃としたが、基板温度
はこの温度に限定されるものではなく、室温以上で約1
00℃以下であれば本実施例と略同一の効果を得ること
ができる。また、本実施例においては基板温度を室温と
してシリコン酸化膜を堆積し、その後500℃の窒素雰
囲気に於いて熱処理を施したが、熱処理の温度としては
400〜600℃の間であればよく、本実施例の500
℃に限定されるものではない。さらに、熱処理を行う雰
囲気も窒素雰囲気に限られる必要はなく、外に酸素又は
水素のいずれかであればよい。またさらに、本実施例に
おいては、ゲ−ト絶縁膜4を形成するものとしてシリコ
ン酸化膜を例に説明したが、これに限らずシリコン窒化
膜(SiNx)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy)或
いはこれらを2種以上組み合わせたものであってもよ
い。
【0020】
【発明の効果】以上、述べたように、本発明によれば、
ゲ−ト絶縁膜を基板温度100℃以下でECR−CVD
法によって堆積させた後、400乃至600℃の熱処理
を施すようにすることによって、従来に比してゲ−ト絶
縁膜の界面準位を下げることができ、界面特性の優れた
ゲ−ト絶縁膜を得ることができる。また、かかるゲ−ト
絶縁膜の界面特性を向上させることにより、薄膜半導体
装置の諸特性の向上に寄与できるという効果を奏するも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る薄膜半導体装置の製造方法によ
り製造された薄膜半導体装置の一例を示す縦断面図であ
る。
【図2】 本発明に係る薄膜半導体装置の製造方法を説
明するための主要な工程における縦断面図である。
【図3】 本発明に係る薄膜半導体装置の製造工程を説
明するための製造工程の主要部における縦断面図であ
る。
【図4】 本発明に係る薄膜半導体装置の製造方法によ
って形成されるゲ−ト絶縁膜及び従来のゲ−ト絶縁膜の
C−V特性を示す特性線図である。
【図5】 図4の特性線を得るための水銀プロ−ブ法の
概略を模式的に表した模式図である。
【図6】 従来の薄膜半導体装置の構成を示す縦断面図
である。
【符号の説明】
1…ガラス基板、 2…半導体活性層、 3a…ソ−ス
領域、 3b…ドレイン領域、 4…ゲ−ト絶縁膜、
5…ゲ−ト電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 高幸 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼ ロックス株式会社内

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ソ−ス及びドレイン領域が一部に形成さ
    れた半導体活性層をガラス基板上に配設し、この半導体
    活性層を覆うようにゲ−ト絶縁膜を設け、このゲ−ト絶
    縁膜上にゲ−ト電極を設け、さらに前記ゲート電極及び
    前記ゲ−ト絶縁膜を覆う層間絶縁膜を形成してなる薄膜
    半導体装置の製造方法において、前記 ゲ−ト絶縁膜の形成工程は、ガラス基板を100℃
    以下に保持しつつシリコンを含む絶縁部材を前記半導体
    活性層を含む前記ガラス基板上に堆積させる第1の工程
    と、前記堆積された絶縁部材に対し界面準位の減少させ
    るため、窒素、酸素及び水素からなる群から選ばれた雰
    囲気下で400〜600℃の熱処理を施す第2の工程
    と、を具備することを特徴とする薄膜半導体装置の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 第1の工程における絶縁部材の堆積は、
    ECRプラズマCVD法により行うことを特徴とする請
    求項1記載の薄膜半導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】第2の工程において、熱処理は窒素、酸素
    及び水素からなる群から選ばれた2以上の気体の混合気
    中で行うことを特徴とする請求項1記載の薄膜半導体装
    置の製造方法。
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