JP3268827B2 - エンジンのバルブタイミング制御装置 - Google Patents

エンジンのバルブタイミング制御装置

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JP3268827B2
JP3268827B2 JP17712792A JP17712792A JP3268827B2 JP 3268827 B2 JP3268827 B2 JP 3268827B2 JP 17712792 A JP17712792 A JP 17712792A JP 17712792 A JP17712792 A JP 17712792A JP 3268827 B2 JP3268827 B2 JP 3268827B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンの運転状態に
応じて吸気用バルブ或いは排気用バルブの開閉タイミン
グを変化させるエンジンのバルブタイミング制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】上記のようなエンジンのバルブタイミン
グ制御装置としては、特開昭55−137306号公報
に示されるように、エンジンの回転に同期して回転する
駆動用カムと、該駆動用カムの回転に伴って揺動する揺
動レバーと、該揺動レバーの揺動に伴って吸排気用のバ
ルブと摺接した状態で揺動し、揺動に伴ってエンジンの
該バルブをリフトさせる揺動カムとを備えたものが知ら
れている。
【0003】このエンジンのバルブタイミング制御装置
における揺動カムのカム面には、吸排気用のバルブに摺
接しても該バルブをリフトさせない基本円弧部と、該基
本円弧部に隣接して設けられ吸排気用のバルブに摺接す
ると該バルブをリフトさせるリフト円弧部とが形成され
ており、揺動レバーの揺動中心を移動させることによ
り、レバー比を変化させ、これにより吸排気用のバルブ
のリフト量ひいては該バルブの開閉時間を変化させるも
のである。すなわち、揺動レバーの揺動中心が揺動カム
の方に移動した状態ではレバー比が大きくなると共に駆
動用カムにおける揺動レバーと摺接する部分の長さがノ
ーズ部の近傍部にまで拡大するので吸排気用のバルブの
リフト量が大きくなり該バルブの開時間が長くなる。一
方、揺動レバーの揺動中心が駆動用カムの方に移動した
状態ではレバー比が小さくなると共に駆動用カムにおけ
る揺動レバーと摺接する部分の長さがノーズ部に限られ
るので吸排気用のバルブのリフト量が小さくなり該バル
ブの開時間が短くなるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のエン
ジンのバルブタイミング制御装置においては、揺動レバ
ーによって揺動カムを押し上げることにより揺動カムを
揺動させる機構であるため、揺動レバーが或る角度以上
に傾斜した後においては、揺動カムは揺動レバーの揺動
量に応じて揺動することはない。このため十分な吸排気
用のバルブのリフト量を得ることができないという問題
がある。
【0005】また、上記エンジンのバルブタイミング制
御装置においては、揺動カムを揺動させるためには、駆
動用カムと揺動レバーとを摺接させると共に、揺動レバ
ーと揺動カムとを摺接させなければならないため、摺接
箇所が多いので、機械抵抗が大きいと共に摺接箇所のク
リアランスの管理が困難である。
【0006】また、摺接箇所が多いので力の伝達系にお
ける剛性が低下するので、エンジンの回転限界が低下す
るという問題がある。
【0007】本発明は上記の問題点を一挙に解決するも
のであって、満足できる吸排気用のバルブのリフト量が
得られるようにすると共に力の伝達系の剛性を向上させ
ることにより、エンジンの回転限界を向上させ、また、
揺動カムを揺動させるために必要な摺接箇所を低減させ
ることにより、機械抵抗を減少させると共に摺接箇所の
クリアランスの管理を容易にするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1の発明は、カムシャフトに追従して回転す
るクランク機構によって揺動カムを揺動させることによ
り、バルブのリフト量を稼ぐと共に揺動カムを揺動させ
るために必要な摺接箇所を低減させ、また、揺動カムと
クランク機構との位置関係を変化させることにより吸気
用バルブもしくは排気用バルブの開閉タイミングを変化
させるものである。
【0009】具体的に請求項1の発明が講じた解決手段
は、エンジンのバルブタイミング制御装置を、エンジン
の吸気用バルブもしくは排気用バルブと直接又は間接に
摺接する状態で揺動し揺動に伴って上記吸気用バルブも
しくは排気用バルブをリフトさせる揺動カムと、カムシ
ャフトに該カムシャフトに追従して回転するように設け
られたクランク、並びに該クランク及び上記揺動カムを
連結するクランクアームからなるクランク機構と、上記
吸気用バルブもしくは排気用バルブの開閉タイミングが
変化するように上記揺動カム及び上記クランク機構の
置関係を変化させる位置関係可変手段とを備えている
【0010】そして、上記クランクアームのクランク側
端部はクランクに対し該クランクの突出方向に沿って移
動可能に連結されており、上記位置関係可変手段は、上
記クランクの側方で上記カムシャフトに回転自在に設け
られ、かつクランクに沿って延びる突出部がクランクに
相対回動可能に連結された筒状部材と、上記クランクア
ームのクランク側端部及び筒状部材の突出部を連結する
リンク部材とを備えていて、上記筒状部材の回転により
リンク部材を介してクランクアームのクランク側端部を
移動させて、クランクとクランクアームとの連結部の回
転半径の大きさを変化させるように構成されているもの
である。
【0011】請求項2の発明は、上記請求項1の構成と
同様に、エンジンの吸気用バルブもしくは排気用バルブ
と直接又は間接に摺接する状態で揺動し揺動に伴って上
記バルブをリフトさせる揺動カムと、カムシャフトに該
カムシャフトに追従して回転するように設けられたクラ
ンク、並びに該クランク及び上記揺動カムを連結するク
ランクアームからなるクランク機構と、上記バルブの開
閉タイミングが変化するように上記揺動カム及びクラン
ク機構の位置関係を変化させる位置関係可変手段とを備
えている。
【0012】そして、上記位置関係可変手段は、上記カ
ムシャフトに回転自在に設けられた第1歯車部材と、上
記クランクに回転自在に設けられ、上記第1歯車部材に
噛合するとともに、回転中心と偏心した位置に上記クラ
ンクアームが回転自在に連結された第2歯車部材とを備
えていて、第1歯車部材の回転により第2歯車部材を回
転させて、上記クランクとクランクアームとの連結部の
回転半径の大きさを変 化させるように構成されている
のである。
【0013】請求項3の発明は、上記請求項1の構成と
同様に、エンジンの吸気用バルブもしくは排気用バルブ
と直接又は間接に摺接する状態で揺動し揺動に伴って上
記バルブをリフトさせる揺動カムと、カムシャフトに該
カムシャフトに追従して回転するように設けられたクラ
ンク、並びに該クランク及び上記揺動カムを連結するク
ランクアームからなるクランク機構と、上記バルブの開
閉タイミングが変化するように上記揺動カム及びクラン
ク機構の位置関係を変化させる位置関係可変手段とを備
えている。
【0014】そして、上記クランクアームは、一端部が
上記クランクに回転自在に連結された第1クランクアー
ムと、一端部が上記第1クランクアームに連結部材を介
して回転自在に連結される一方、他端部が上記揺動カム
に回転自在に連結された第2クランクアームとからな
り、上記位置関係可変手段は、上記クランクアームが直
線状及び屈曲状の間で変化するように上記連結部材を移
動させる移動部材を備えていて、この移動部材による連
結部材の移動により、クランク及びクランクアームの連
結部とクランクアーム及び揺動カムの連結部との距離を
変化させるように構成されているものである。
【0015】請求項4の発明は、エンジンの吸気用バル
ブもしくは排気用バルブと直接又は間接に摺接する状態
で揺動用カムシャフト回りに揺動し揺動に伴って上記吸
気用バルブもしくは排気用バルブをリフトさせる揺動カ
ムと、カムシャフトに該カムシャフトに追従して回転す
るように設けられたクランク、一端部が該クランクに回
転自在に連結されるクランクアーム、及び一端部がクラ
ンクアームの他端部に回転自在に連結される一方、他端
部が上記揺動カムに回転一体に連結された揺動アームか
らなるクランク機構と、上記吸気用バルブもしくは排気
用バルブの開閉タイミングが変化するように上記揺動カ
ムと上記クランク機構との位置関係を変化させる位置関
係可変手段とを備えている。
【0016】そして、上記位置関係可変手段は、上記揺
動用カムシャフトと同軸にかつ別体に設けられた駆動シ
ャフトと、この駆動シャフトからカムシャフトに動力を
伝達する伝動機構と、上記カムシャフトを上記揺動用カ
ムシャフト回りに回動させる移動部材とを備えていて、
この移動部材によるカムシャフトの揺動用カムシャフト
回りの回動により、上記クランクの回転中心を移動させ
るように構成されているものである。
【0017】請求項5の発明は、請求項1の構成と同様
に、エンジンの吸気用バルブもしくは排気用バルブと直
接又は間接に摺接する状態で揺動し揺動に伴って上記バ
ルブをリフトさせる揺動カムと、カムシャフトに該カム
シャフトに追従して回転するように設けられたクラン
ク、並びに該クランク及び上記揺動カムを連結するクラ
ンクアームからなるクランク機構と、上記バルブの開閉
タイミングが変化するように上記揺動カム及びクランク
機構の位置関係を変化させる位置関係可変手段とを備え
ている。
【0018】そして、上記位置関係可変手段は、上記揺
動カムに移動自在に設けられかつ上記クランクアームが
回転自在に連結された移動部材を備えていて、該移動部
材の移動により、上記クランクアーム及び揺動カムの連
結部と上記揺動カムの揺動中心との距離を変化させるよ
うに構成されているものである
【0019】
【作用】請求項1の構成により、カムシャフトに追従し
て回転するように設けられたクランクと該クランク及び
揺動カムを連結するクランクアームとからなるクランク
機構と、吸気用バルブもしくは排気用バルブのバルブの
開閉タイミングが変化するように揺動カムとクランク機
構との位置関係を変化させる位置関係可変手段とを備え
ており、クランクアームによって揺動カムを揺動させる
ので、揺動カムはクランクの回転に応じて揺動する。
【0020】そして、位置関係可変手段を作動させ、筒
状部材の回転によりリンク部材を介 してクランクアーム
のクランク側端部を移動させて、クランクとクランクア
ームとの連結部の回転半径の大きさを変化させると、ク
ランクの回転中心とクランク及びクランクアームの連結
部との偏心量が変化して、揺動カムの振幅量が変化する
ので、揺動カムのカム面におけるバルブと摺接する領域
の長さが変化し、これに伴って揺動カムとクランク機構
との位置関係を変化させ、これにより吸気用バルブもし
くは排気用バルブの開閉タイミングを変化させることが
できる。
【0021】また、揺動カムはクランク機構によって駆
動されるため、揺動レバーは不要になり、摺接箇所が減
少する。
【0022】請求項2の構成により、位置関係可変手段
の作動により、カムシャフトに回転自在に設けられた第
1歯車部材を回転させると、この第1歯車部材に噛合す
る第2歯車部材が回転して、この第2歯車部材の回転中
心と偏心した位置に回転自在に連結されたクランクアー
ムと上記クランクとの連結部の回転半径の大きさが変化
する。このため、クランクの回転中心と、クランク及び
クランクアームの連結部との偏心量が変化して、揺動カ
ムの振幅量が変化し、揺動カムのカム面におけるバルブ
と摺接する領域の長さが変化してバルブタイミングが変
化する。
【0023】請求項3の構成により、位置関係可変手段
の作動に伴い、第1及び第2クランクアームを連結して
いる連結部材を移動部材が移動させ、全体のクランクア
ームが直線状及び屈曲状の間で変化する。このことで、
クランク及びクランクアームの連結部と、クランクアー
ム及び揺動カムの連結部との距離が変化して、揺動カム
のカム面におけるバルブと直接又は間接に摺接する領域
が変化し、つまりバルブと摺接しても該バルブをリフト
させないカム面の基本円弧部におけるバルブと摺接する
領域の長さと、バルブと摺接すると該バルブをリフトさ
せるカム面のリフト円弧部におけるバルブと摺接する領
域の長さとの割合が変化し、これに伴ってバルブタイミ
ングが変化する。
【0024】請求項4の構成により、位置関係可変手段
の作動に伴い、移動部材がカムシャ フトを揺動用カムシ
ャフト回りに回動させ、この移動部材によるカムシャフ
トの揺動用カムシャフト回りの回動によりクランクの回
転中心が移動し、このクランクの回転中心の移動に伴っ
て揺動カムのカム面におけるバルブと摺接する領域が変
化するので、これに伴ってバルブタイミングが変化す
る。
【0025】請求項5の構成により、位置関係可変手段
の作動により、揺動カムに移動自在に設けられかつクラ
ンクアームが回転自在に連結された移動部材が移動し、
この移動部材の移動により、クランクアーム及び揺動カ
ムの連結部と揺動カムの揺動中心との距離が変化し、こ
距離の変化に伴って揺動カムのカム面におけるバルブ
と摺接する領域が変化するので、これに伴ってバルブタ
イミングが変化する
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
するが、その前提として本発明の原理を図1〜図4に基
づいて説明する。
【0027】図1及び図3において、10はエンジンの
吸気用又は排気用のバルブ、11はバルブ10を開閉運
動させるラッシュアジャスタ、12はラッシュアジャス
タ11と摺接した状態で揺動し、揺動に伴ってラッシュ
アジャスタ11を介してバルブ10をリフトさせる揺動
カムである。揺動カム12は、図示しないカムシャフト
に追従して回転するように設けられた図示しないクラン
クと、該クランクと揺動カム12とを連結する図示しな
いクランクアームとからなるクランク機構により揺動さ
れるタイプであって、同図において、Cはクランクの回
転中心、A,A1,A2はクランクとクランクアームと
の連結部、B,B1,B2はクランクアームと揺動アー
ムとの連結部である。また、同図において、R,R1,
R2はクランクとクランクアームとの連結部の回転半径
を示し、R1はA1に対応し、R2はA2に対応してい
る。さらに、L1,L2はクランクとクランクアームと
の連結部とクランクアームと揺動カム12との連結部と
の距離を示し、L1はB1に対応し、L2はB2に対応
している。
【0028】図1に示すように、クランクとクランクア
ームとの連結部の回転半径R1,R2の大きさを変化さ
せると、クランクの回転中心Cと、クランクとクランク
アームとの連結部A1,A2との間の偏心量が変化する
ため、揺動カム12の振幅量が変化する。このため、揺
動カム12のカム面12aにおけるバルブ10と摺接す
る領域の長さが変化するので、バルブ10の開閉タイミ
ングが変化するのである。
【0029】図2は、クランクとクランクアームとの連
結部の回転半径R1,R2の大きさが変化した場合のバ
ルブ10のリフト量の変化を示しており、P1は回転半
径がR1の場合と対応し、P2は回転半径がR2の場合
と対応している。尚、この場合においては、クランクと
クランクアームとの連結部と、クランクアームと揺動カ
ム12との連結部との間の距離Lは一定である。クラン
クとクランクアームとの連結部の回転半径が大きくなる
と、図2に示されるように、バルブ10のリフト量ひい
てはバルブ10がリフトしている時間が長くなり、逆に
クランクとクランクアームとの連結部の回転半径が小さ
くなるとバルブ10のリフト量ひいてはバルブ10がリ
フトしている時間が短くなる。尚、図2に示すP3は、
図1においては示していないが、クランクとクランクア
ームとの連結部の回転半径の大きさが極めて大きくなっ
た場合のバルブ10のリフト量を示している。
【0030】図4は、クランクとクランクアームとの連
結部と、クランクアームと揺動カム12との連結部との
間の距離L1,L2の大きさが変化した場合のバルブ1
0のリフト量の変化を示しており、Q1はL1と対応
し、Q2はL2と対応している。尚、この場合において
は、クランクとクランクアームとの連結部の回転半径R
の大きさは一定である。クランクとクランクアームとの
連結部と、クランクアームと揺動カム12との連結部と
の間の距離が大きくなると、揺動カム12が同じ量だけ
揺動したときには、揺動カム12のカム面12aにおけ
る基本円弧部12bがラッシュアジャスタ11の上面と
摺接する量が多くなる。これに伴って、カム面12aに
おけるリフト円弧部12cがラッシュアジャスタ11の
上面と摺接する量が少なくなり、バルブ10のリフト量
は少なくなる。逆に、クランクとクランクアームとの連
結部と、クランクアームと揺動カム12との連結部との
間の距離が小さくなると、揺動カム12のカム面12a
における基本円弧部12bがラッシュアジャスタ11の
上面と摺接する量が少なくなり、これに伴って、カム面
12aにおけるリフト円弧部12cがラッシュアジャス
タ11の上面と摺接する量が多くなって、バルブ10の
リフト量は多くなる。
【0031】また、クランクの回転中心を移動させた
場合、クランクアームと揺動カムとの連結部と揺動カ
ムの揺動中心との距離を変化させた場合、揺動カムの
揺動中心を通る基準線と、クランクアームと揺動カムと
の連結部と揺動カムの揺動中心とを結ぶ直線とが交わる
角度を変化させる場合、揺動カムの揺動中心を移動さ
せる場合にも、クランクとクランクアームとの連結部
と、クランクアームと揺動カムとの連結部との距離を変
化させる場合と同様に、揺動カム12が同じ量だけ揺動
したときには、揺動カム12のカム面12aにおける基
本円弧部12bがラッシュアジャスタ11の上面と摺接
する量が変化し、これに伴って、カム面12aにおける
リフト円弧部12cがラッシュアジャスタ11の上面と
摺接する量が変化し、バルブ10のリフト量が変化す
る。
【0032】図5及び図6は本発明の第1実施例に係る
エンジンのバルブタイミング制御装置を示している。
【0033】本第1実施例は、揺動用カムシャフト13
を介して揺動可能に設けられた1つの揺動カム12がク
ランク機構により揺動し、ラッシュアジャスタ11を介
して1つの吸気用又は排気用のバルブ10をリフトさせ
るタイプである。
【0034】本第1実施例においては、駆動用カムシャ
フト14に筒状部材15が回転自在に設けられていると
共に、駆動用カムシャフト14にクランク部材16が突
出するように設けられており、クランク部材16は駆動
用カムシャフト14に追従して回転する。クランク部材
16と揺動カム12とを連結するクランクアーム17の
上端部は、クランク部材16の一側面に形成され該クラ
ンク部材16の突出方向へ延びる長孔16aに摺動自在
に嵌着されており、クランク部材16の突出方向へ移動
可能であると共にクランク部材16に対して回転可能で
ある。また、クランクアーム17の下端部は揺動カム1
2に回転自在に連結されており、クランク部材16の回
転に伴って揺動カム12は揺動する。
【0035】筒状部材15にはクランク部材16に沿っ
て突出する突出部15aが設けられており、突出部15
aの一側面とクランクアーム17の上端部の一側面とは
リンク部材18を介して連結されていると共に、突出部
15aの他側面に突設された突起部がクランク部材16
の一側面に筒状部材15と同心円状に形成された円弧状
の孔部16bに摺動自在に嵌着されている。
【0036】以上説明した筒状部材15と、クランク部
材16の長孔16a及び円弧状の孔部16bと、リンク
部材18とによって、クランク部材16とクランクアー
ム17との連結部の回転半径の大きさを変化させる位置
関係可変手段が構成されており、筒状部材15を回転す
ると、突出部15aとリンク部材18との連結部が円弧
状の孔部16bに沿って移動するので、クランクアーム
17の上端部が長孔16aに沿って移動する。このた
め、クランク部材16とクランクアーム17との連結部
の回転半径の大きさが変化し、バルブ10の開閉タイミ
ングが変化する。
【0037】図7は本発明の第2実施例に係るエンジン
のバルブタイミング制御装置を示している。
【0038】本第2実施例は、揺動用カムシャフト13
を介して揺動自在に設けられた1つの揺動カム12がク
ランク機構により揺動し、ラッシュアジャスタ11を介
して1つの吸気用又は排気用のバルブ10をリフトさせ
るタイプである。
【0039】本第2実施例においては、駆動用カムシャ
フト14に筒状部材15が回転自在に設けられていると
共に、駆動用カムシャフト14にクランク部材16が設
けられており、クランク部材16は駆動用カムシャフト
14に追従して回転する。
【0040】筒状部材15のクランク部材16側には第
1の平歯車19が固定されていると共に、クランク部材
16の一側面には上記第1の平歯車19と噛合する第2
の平歯車20がクランク部材16に対して回転自在に取
付けられており、クランク部材16と揺動カム12とを
連結するクランクアーム17の上端部は、第2の平歯車
20における該第2の平歯車20の回転中心と偏心する
部位に回転自在に連結されている。また、クランクアー
ム17の下端部は揺動カム12に回転自在に連結されて
おり、クランク部材16の回転に伴って揺動カム12は
揺動する。
【0041】以上説明した筒状部材15、第1の平歯車
19及び第2の平歯車20によって、クランク部材16
とクランクアーム17との連結部の回転半径の大きさを
変化させる位置関係可変手段が構成されており、筒状部
材15を回転すると、第1の平歯車19が回転し、これ
に伴って第2の平歯車20が回転するので、クランクア
ーム17と第2の平歯車20との連結部が第2の平歯車
20の中心を回転中心として回転し、クランクアーム1
7の上端部も平歯車20の中心を回転中心として回転す
る。このため、クランク部材16とクランクアーム17
との連結部の回転半径の大きさが変化し、バルブ10の
開閉タイミングが変化する。
【0042】図8は本発明の第3実施例に係るエンジン
のバルブタイミング制御装置を示している。
【0043】本第3実施例は、揺動用カムシャフト13
を介して揺動自在に設けられた1つの揺動カム12がク
ランク機構により揺動し、ラッシュアジャスタ11を介
して1つの吸気用又は排気用のバルブ10をリフトさせ
るタイプである。
【0044】本第3実施例においては、駆動用カムシャ
フト14に一対のクランク部材16,16が設けられて
おり、該一対のクランク部材16は駆動用カムシャフト
14に追従して回転する。
【0045】一対のクランク部材16と揺動カム12と
は、一端がクランク部材16に回転自在に連結された第
1のクランクアーム17aと、一端が第1のクランクア
ーム17aの他端に回転自在に連結されていると共に他
端が揺動カム12に回転自在に連結された第2のクラン
クアーム17bとからなるクランクアーム17によって
連結されている。第1のクランクアーム17aと第2の
クランクアーム17bとを連結する連結棒17cの両端
部はコの字状のフレーム21に回転自在に保持されてお
り、該フレーム21は図示しない油圧手段やウォームギ
ヤなどからなる駆動手段によって移動される。
【0046】以上説明した第1のクランクアーム17
a、第2のクランクアーム17b、連結棒17c及びフ
レーム21によって、クランク部材16とクランクアー
ム17との連結部と、クランクアーム17と揺動カム1
2との連結部との距離を変化させる位置関係可変手段が
構成されており、上記駆動手段を作動させてフレーム2
1を移動すると、クランクアーム17が直線状になった
り、くの字状に屈折したりするため、クランク部材16
とクランクアーム17との連結部と、クランクアーム1
7と揺動カム12との連結部との距離が変化するので、
バルブ10の開閉タイミングが変化する。
【0047】図9は本発明の第4実施例に係るエンジン
のバルブタイミング制御装置を示している。
【0048】本第4実施例は、揺動用カムシャフト13
を介して揺動自在に設けられた2つの揺動カム12がク
ランク機構により揺動し、2つの吸気用又は排気用のバ
ルブ10,10をリフトさせるタイプである。
【0049】本第4実施例においては、駆動用カムシャ
フト14に一対のクランク部材16,16が突出するよ
うに設けられており、該一対のクランク部材16は駆動
用カムシャフト14に追従して回転する。
【0050】また、一対の揺動カム12,12の間に揺
動用アーム23が揺動カム12と一体に設けられてお
り、クランク部材16と揺動用アーム23とはクランク
アーム17によって連結されている。
【0051】駆動用カムシャフト14及び揺動用カムシ
ャフト13は共に、エンジン本体に回転可能に保持され
たフレーム24に回転自在に支持されており、該フレー
ム24は、揺動用カムシャフト13と同軸に設けられ平
歯車よりなるアイドルギヤ25を有するアイドルギヤ用
シャフト26を回転自在に支持している。駆動用カムシ
ャフト14の一端には、アイドルギヤ25と噛合する平
歯車27が設けられており、図示しないエンジンのクラ
ンクシャフトの回転力はアイドルギヤ用シャフト26に
伝達された後、アイドルギヤ25及び平歯車27を介し
て駆動用カムシャフト14に伝達される。フレーム24
は図示しない油圧手段やウォームギヤなどからなる駆動
手段により揺動用カムシャフト13を回転中心として回
転可能である。
【0052】以上説明したフレーム24及び駆動手段に
よってクランク部材16の回転中心を移動させる位置関
係可変手段が構成されており、上記駆動手段を作動させ
てフレーム24を回転させると、フレーム24ひいては
クランク部材16の回転中心が移動し、バルブ10の開
閉タイミングが変化する。この場合、フレーム24が回
転しても、平歯車27はアイドルギヤ25に沿って回転
移動するので、アイドルギヤ用シャフト26に伝達され
た回転力は平歯車27を介して駆動用カムシャフト14
に伝達される。
【0053】図10は本発明の第5実施例に係るエンジ
ンのバルブタイミング制御装置を示している。
【0054】本第5実施例は、揺動用カムシャフト13
を介して揺動自在に設けられた1つの揺動カム12がク
ランク機構により揺動し、ラッシュアジャスタ11を介
して1つの吸気用又は排気用のバルブ10をリフトさせ
るタイプである。
【0055】本第5実施例においては、駆動用カムシャ
フト14に一対のクランク部材16,16が設けられて
おり、該一対のクランク部材16は駆動用カムシャフト
14に追従して回転する。
【0056】揺動カム12には、矩形状断面のカム凹部
12aが設けられており、該カム凹部12aには、矩形
状断面に形成され二股状の先端部22aを有する移動部
材22が摺動自在に設けられている。カム凹部12aの
内部には図示は省略しているが移動部材をカム凹部12
aの内部側に付勢するスプリングが設けられていると共
に、カム凹部12aの内部は揺動用カムシャフト13に
形成されたオイル通路13aと連通しており、オイル通
路13aを通じて供給されるオイルの圧力を調節するこ
とにより移動部材22はカム凹部12aに対して進退可
能である。一対のクランク部材16と移動部材22の先
端部22aとはクランクアーム17によって連結されて
いる。
【0057】以上説明したカム凹部12a、スプリン
グ、カム凹部12aに供給されるオイルの圧力によっ
て、クランクアーム17と揺動カム12との連結部と、
揺動カム12の揺動中心との距離を変化させる位置関係
可変手段が構成されており、移動部材22を揺動カム1
2に対して移動させることにより、クランクアーム17
と揺動カム12との連結部と、揺動カム12の揺動中心
との距離が変化し、バルブ10の開閉タイミングが変化
する
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1、2、
3、4又は5の発明に係るエンジンのバルブタイミング
制御装置によると、カムシャフトに追従して回転するよ
うに設けられたクランク、並びにこのクランク及び揺動
カムを連結するクランクアームからなるクランク機構
と、吸気用バルブもしくは排気用バルブの開閉タイミン
グが変化するように揺動カム及びクランク機構の位置関
係を変化させる位置関係可変手段とを備えており、クラ
ンクアームにより揺動カムを揺動させるものであるか
ら、揺動カムはクランクの回転に応じて揺動するため十
分な吸気用バルブもしくは排気用バルブのリフト量を得
ることができると共に揺動レバーが不要になり摺接箇所
が減少して力の伝達系の剛性が向上するので、エンジン
の回転限界が向上する。
【0059】また、上述のように摺接箇所が減少するの
で、機械抵抗が低減すると共に摺接箇所のクリアランス
の管理が容易になる。
【0060】このため、これら請求項の発明によると、
確実な作動とエンジンの回転限界の向上を確保した状態
でエンジンのバルブタイミングを制御することができ
しかも確実且つ容易にバルブタイミングを変化させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明する説明図である。
【図2】クランクとクランクアームとの連結部の回転半
径の大きさが変化した場合の吸気用バルブもしくは排気
用バルブのリフト量の変化を示す説明図である。
【図3】本発明の原理を説明する説明図である。
【図4】クランクとクランクアームとの連結部と、クラ
ンクアームと揺動カムとの連結部との間の距離が変化し
た場合の吸気用バルブもしくは排気用バルブのリフト量
の変化を示す説明図である。
【図5】本発明の第1実施例に係るエンジンのバルブタ
イミング制御装置を示す一部切截斜視図である。
【図6】上記第1実施例に係るエンジンのバルブタイミ
ング制御装置を示す断面図である。
【図7】本発明の第2実施例に係るエンジンのバルブタ
イミング制御装置を示す切截斜視図である。
【図8】本発明の第3実施例に係るエンジンのバルブタ
イミング制御装置を示す一部切截斜視図である。
【図9】本発明の第4実施例に係るエンジンのバルブタ
イミング制御装置を示す一部切截斜視図である。
【図10】本発明の第5実施例に係るエンジンのバルブ
タイミング制御装置を示す一部切截斜視図である
【符号の説明】
10 吸気用又は排気用のバルブ 11 ラッシュアジャスタ 12 揺動カム 13 揺動用カムシャフト 13a オイル通路 14 駆動用カムシャフト 15 筒状部材 16 クランク部材 16a 長孔 16b 円弧状の孔部 17 クランクアーム 17a 第1のクランクアーム 17b 第2のクランクアーム 17c 連結棒 18 リンク部材 19 第1の平歯車 20 第2の平歯車 21 フレーム 22 移動部材 23 揺動用アーム 24 フレーム 25 アイドルギ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭47−31502(JP,A) 実開 昭56−144854(JP,U) 実開 昭62−169206(JP,U) 米国特許2097883(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01L 13/00 301 F01L 1/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの吸気用バルブもしくは排気用
    バルブと直接又は間接に摺接する状態で揺動し揺動に伴
    って上記吸気用バルブもしくは排気用バルブをリフトさ
    せる揺動カムと、 カムシャフトに該カムシャフトに追従して回転するよう
    に設けられたクランクと、該クランク及び上記揺動カ
    連結するクランクアームとからなるクランク機構と、 上記吸気用バルブもしくは排気用バルブの開閉タイミン
    グが変化するように上記揺動カムと上記クランク機構と
    の位置関係を変化させる位置関係可変手段とを備え 上記クランクアームのクランク側端部はクランクに対し
    該クランクの突出方向に沿って移動可能に連結されてお
    り、 上記位置関係可変手段は、 上記クランクの側方で上記カムシャフトに回転自在に設
    けられ、かつクランクに沿って延びる突出部がクランク
    に相対回動可能に連結された筒状部材と、 上記クランクアームのクランク側端部と筒状部材の突出
    部とを連結するリンク部材とを備えていて、上記筒状部
    材の回転によりリンク部材を介してクランクアームのク
    ランク側端部を移動させて、クランクとクランクアーム
    との連結部の回転半径の大きさを変化させるように構成
    されている ことを特徴とするエンジンのバルブタイミン
    グ制御装置
  2. 【請求項2】 エンジンの吸気用バルブもしくは排気用
    バルブと直接又は間接に摺接する状態で揺動し揺動に伴
    って上記吸気用バルブもしくは排気用バルブをリフトさ
    せる揺動カムと、 カムシャフトに該カムシャフトに追従して回転するよう
    に設けられたクランクと、該クランク及び上記揺動カム
    を連結するクランクアームとからなるクランク機構と、 上記吸気用バルブもしくは排気用バルブの開閉タイミン
    グが変化するように上 記揺動カムと上記クランク機構と
    の位置関係を変化させる位置関係可変手段とを備え、 上記位置関係可変手段は、上記カムシャフトに回転自在
    に設けられた第1歯車部材と、 上記クランクに回転自在に設けられ、上記第1歯車部材
    に噛合するとともに、回転中心と偏心した位置に上記ク
    ランクアームが回転自在に連結された第2歯車部材とを
    備えていて、第1歯車部材の回転により第2歯車部材を
    回転させて、上記クランクとクランクアームとの連結部
    の回転半径の大きさを変化させるように構成されている
    ことを特徴とするエンジン のバルブタイミング制御装
    置。
  3. 【請求項3】 エンジンの吸気用バルブもしくは排気用
    バルブと直接又は間接に摺接する状態で揺動し揺動に伴
    って上記吸気用バルブもしくは排気用バルブをリフトさ
    せる揺動カムと、 カムシャフトに該カムシャフトに追従して回転するよう
    に設けられたクランクと、該クランク及び上記揺動カム
    を連結するクランクアームとからなるクランク機構と、 上記吸気用バルブもしくは排気用バルブの開閉タイミン
    グが変化するように上記揺動カムと上記クランク機構と
    の位置関係を変化させる位置関係可変手段とを備え、 上記クランクアームは、一端部が上記クランクに回転自
    在に連結された第1クランクアームと、 一端部が上記第1クランクアームに連結部材を介して回
    転自在に連結される一方、他端部が上記揺動カムに回転
    自在に連結された第2クランクアームとからなり、 上記位置関係可変手段は、上記クランクアームが直線状
    及び屈曲状の間で変化するように上記連結部材を移動さ
    せる移動部材を備えていて、該移動部材による連結部材
    の移動により、クランク及びクランクアームの連結部と
    クランクアーム及び揺動カムの連結部との距離を変化さ
    せるように構成されていることを特徴とするエンジン
    バルブタイミング制御装置。
  4. 【請求項4】 エンジンの吸気用バルブもしくは排気用
    バルブと直接又は間接 に摺接する状態で揺動用カムシャ
    フト回りに揺動し揺動に伴って上記吸気用バルブもしく
    は排気用バルブをリフトさせる揺動カムと、 カムシャフトに該カムシャフトに追従して回転するよう
    に設けられたクランクと、一端部が該クランクに回転自
    在に連結されるクランクアームと、一端部がクランクア
    ームの他端部に回転自在に連結される一方、他端部が上
    記揺動カムに回転一体に連結された揺動アームとからな
    るクランク機構と、 上記吸気用バルブもしくは排気用バルブの開閉タイミン
    グが変化するように上記揺動カムと上記クランク機構と
    の位置関係を変化させる位置関係可変手段とを備え、 上記位置関係可変手段は、上記揺動用カムシャフトと同
    軸にかつ別体に設けられた駆動シャフトと、 上記駆動シャフトからカムシャフトに動力を伝達する伝
    動機構と、 上記カムシャフトを上記揺動用カムシャフト回りに回動
    させる移動部材とを備えていて、該移動部材によるカム
    シャフトの揺動用カムシャフト回りの回動により、上記
    クランクの回転中心を移動させるように構成されている
    ことを特徴とするエンジン のバルブタイミング制御装
    置。
  5. 【請求項5】 エンジンの吸気用バルブもしくは排気用
    バルブと直接又は間接に摺接する状態で揺動し揺動に伴
    って上記吸気用バルブもしくは排気用バルブをリフトさ
    せる揺動カムと、 カムシャフトに該カムシャフトに追従して回転するよう
    に設けられたクランクと、該クランク及び上記揺動カム
    を連結するクランクアームとからなるクランク機構と、 上記吸気用バルブもしくは排気用バルブの開閉タイミン
    グが変化するように上記揺動カムと上記クランク機構と
    の位置関係を変化させる位置関係可変手段とを備え、 上記位置関係可変手段は、上記揺動カムに移動自在に設
    けられかつ上記クランクアームが回転自在に連結された
    移動部材を備えていて、該移動部材の移動により、上記
    クランクアーム及び揺動カムの連結部と上記揺動カムの
    揺動中心との距離を変化させるように構成されているこ
    とを特徴とするエンジン のバルブタイミング制御装置
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