JP3958503B2 - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば吸気弁あるいは排気弁の特にバルブリフト量を機関運転状態に応じて可変にできる内燃機関の可変動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の可変動弁装置としては、本出願人が先に出願した特願平9−212831号などに記載されたものがある
類似構造を示す図11に基づいて概略を説明すれば、この可変動弁装置は、吸気弁側に適用されたもので、クランク軸の回転に同期して回転する駆動軸51の外周に、軸心Yが駆動軸51の軸心Xから偏心した駆動カム52が設けられていると共に、駆動カム52の回転力が多節リンク状の伝達機構を介して伝達されて、吸気弁53の上端部に有するバルブリフター54の上面をカム面55が摺接して吸気弁53を開閉作動させる揺動カム56を有している。
【0003】
前記伝達機構は、揺動カム56の上方に配置されて制御軸57に揺動自在に支持されたロッカアーム58と、円環状の基端部59aが駆動カム52の外周面52aに嵌合しかつ他端部59bがロッカアーム58の一端部58aにピン60を介して回転自在に連結されたリンクアーム59と、一端部61aがロッカアーム58の他端部58bにピン62を介して回転自在に連結され、他端部61bが前記揺動カム56の端部にピン63を介して回転自在に連結されたリンクロッド61とから構成されている。
【0004】
また、前記制御軸57の外周面には、軸心P1が制御軸57の軸心Pから所定量偏心した制御カム64が固定されている。この制御カム64は、ロッカアーム58のほぼ中央に穿設された支持孔58c内に回転自在に嵌入保持されて、その回転位置に応じてロッカアーム58の揺動支点を変化させて、揺動カム56のカム面55のバルブリフター54上面に対する転接位置を変換させて、吸気弁53のバルブリフトを可変制御するようになっている。
【0005】
すなわち、機関運転状態が例えば低回転低負荷域である場合は、図外の電動モータなどのアクチュエータによって制御軸57を例えば図中時計方向へ回転させて、制御カム64を同方向へ回転させることにより、ロッカアーム58の揺動支点位置を図示の位置から左側へ移動させる。これにより、ロッカアーム58とリンクアーム59及びリンクロッド61との各枢支点が左側に移動して揺動カム56のカムノーズ部56a側の端部を引き上げ、これによって揺動カム56のバルブリフター54上面上の当接位置がベース部55a側に移動する。したがって、吸気弁53は、そのバルブリフト特性が小リフトとなるように制御される。
【0006】
一方、高回転高負荷域に移行した場合は、アクチュエータが制御軸57を介して制御カム64を図示の位置に回転制御するため、ロッカアーム58の揺動支点が逆方向に移動する。これにより、揺動カム56は、リンクロッド61などによって端部56aが押し下げられて、バルブリフター54上面との当接位置がリフト頂面55d側に移動するため、吸気弁53のバルブリフトが大リフトとなるように制御される。
【0007】
したがって、機関運転状態に応じて燃費の改善や出力の向上など機関性能を十分に発揮させることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の可変動弁装置にあっては、制御カム64の回転位置に応じてロッカアーム58の揺動支点を変化させることによりバルブリフト特性を大小可変にすることができるものの、かかる制御カム64の回転制御、つまり制御軸57の回転中における制御軸57に作用する荷重については何ら考慮されていない。
【0009】
すなわち、吸気弁13の開作動中には、バルブスプリング53aのばね力がバルブリフター54を介して揺動カム56にFsとして作用し、それにより図12の矢印方向のモーメントM1が加わる。このM1によりリンクロッド61には、リンクロッド両端部61a,61bの両ピン62,63の軸心を結ぶ方向の反力f1がピン63を介して作用して、ロッカアーム58の他端部58bには、この反力f1がピン62を介して作用する。そして、ロッカアーム58は、この反力f1により、揺動支点中心に反時計回りのモーメントを受けるが、ロッカアーム58の一端部58aには反力f2がピン60を介して作用し、このモーメントと均り合うことになる。
【0010】
このため、前記ピン62及びピン60に作用する両反力f1,f2の合力が制御カム64に作用して該制御カム64の中心P1に大きな荷重Fが掛る。このため、この荷重Fと該荷重Fのベクトルに制御軸57の中心Pに降ろした垂線の長さtとの積がモーメントMcとして制御軸57に作用する。
【0011】
この結果、この制御軸57を回転させるアクチュエータの駆動負荷が大きくなって、回転駆動エネルギーの大きな損失が発生する。したがって、アクチュエータの大型化が余儀なくされると共に、該アクチュエータの駆動による電力消費や機関の燃費が悪化するおそれがある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記先願に係る可変動弁装置の実情に鑑みて案出されたもので、請求項1記載の発明は、機関のクランク軸に同期して回転し、外周に駆動カムが設けられた駆動軸と、揺動に伴って機関弁を開閉作動させる揺動カムと、一端部が第1の回動支点を介して偏心制御カムに揺動自在に設けられたロッカアームと、一端部が前記駆動カムに回転自在に連係され、他端部が第2の回動支点を介して前記ロッカアームに連係されたリンクアームと、一端部が第3の回動支点を介して前記ロッカアームの他端部に連係し、他端部が前記揺動カムに連係したリンクロッドと、前記偏心制御カムをアクチュエータによって回動制御する制御軸と、を備え、前記駆動カムの回転駆動力を、前記リンクアームとロッカアーム及びリンクロッドを介して揺動運動に変換して前記揺動カムに伝達すると共に、前記偏心制御カムの回動位置制御により前記ロッカアームの揺動支点を変化させて、前記揺動カムによる機関弁のバルブリフトを可変にする内燃機関の可変動弁装置において、前記リンクアームの他端部とリンクロッドの一端部とを、前記ロッカアームの他端部の同一位置に連結し、前記第2の回動支点と第3の回動支点を同軸上に配置したことを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記第2の回動支点と第3の回動支点を、前記ロッカアームの他端部に、同軸ピンを介して同軸上に配置したことを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記ロッカアームの他端部を二股状に形成すると共に、該二股部の間に、前記駆動カムが連係する第2の回動支点を配置し、かつ二股部の両外側に、一対の前記揺動カムがそれぞれ連係する第3の回動支点を配置したことを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記ロッカアームの二股部に、同軸ピンを貫通すると共に、該同軸ピンに前記駆動カムが連係する第2の回動支点と、左右一対の揺動カムの各第3の回動支点を配置したことを特徴としている。
【0016】
請求項5に記載の発明は、一端部が前記第3の回動支点を介して連係されたリンクロッドの他端部に、前記揺動カムのベースサークルの側端を連係したことを特徴としている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の可変動弁装置の実施形態を図面に基づいて詳述する。この実施形態の可変動弁装置は、1気筒あたり2つの吸気弁を備えかつ吸気弁のバルリフト量を機関運転状態に応じて可変にする可変機構を備えている。
図1は本発明の可変動弁装置の斜視図、図2〜図4は可変動弁装置の参考例を示し、図6及び図7は本発明の第1の実施の形態を示し、図8及び図9は第2の実施の形態を、図10は第3の実施の形態をそれぞれ示している。
【0019】
すなわち、この可変動弁装置は、図1に示すようにシリンダヘッド11に図外のバルブガイドを介して摺動自在に設けられた一対の吸気弁12,12と、シリンダヘッド11上部の軸受14に回転自在に支持された中空状の駆動軸13と、該駆動軸13に連結ピン40により固設された偏心回転カムである1つの駆動カム15と、駆動軸13の外周面に揺動自在に支持されて、各吸気弁12,12の上端部に配設されたバルブリフター16,16に摺接して各吸気弁12,12を開作動させる揺動カム17,17と、駆動カム15と揺動カム17,17との間に連係されて、駆動カム15の回転力を揺動カム17,17の揺動力として伝達する伝達機構18と、該伝達機構18の作動位置を可変にする可変機構19とを備えている。
【0020】
前記駆動軸13は、機関前後方向に沿って配置されていると共に、一端部に設けられた図外の従動スプロケットや該従動スプロケットに巻装されたタイミングチェーン等を介して機関のクランク軸から回転力が伝達されており、この回転方向は図1中反時計方向に設定されている。なお、駆動軸13は、高強度材で形成されている。
【0021】
前記軸受14は、シリンダヘッド11の上端部に設けられて駆動軸13の上部を支持するメインブラケット14aと、該メインブラケット14aの上端部に設けられて後述する制御軸32を回転自在に支持するサブブラケット14bとを有し、両ブラケット14a,14bが一対のボルト14c,14cによって上方から共締め固定されている。
【0022】
前記駆動カム15は、耐摩耗材によって一体に形成され、図2にも示すように、ほぼリング状を呈し、円環状のカム本体15aと、該カム本体15aの外端面に一体に設けられた筒状部15bとからなり、内部軸方向に駆動軸挿通孔15cが貫通形成されていると共に、カム本体15aの軸心Yが駆動軸13の軸心Xから径方向へ所定量だけオフセットしている。また、この駆動カム15は、筒状部15bの径方向から駆動軸13に挿通した連結ピンにより駆動軸13に連結固定されていると共に、筒状部15bのカム本体15a側の一側面には、三ケ月形の平面部が形成されている。さらに、この駆動カム15は、図1に示すように駆動軸13の回転に伴って図2の反時計方向へ回転するようになっている。
【0023】
前記バルブリフター16,16は、有蓋円筒状に形成され、シリンダヘッド11の保持孔内に摺動自在に保持されていると共に、揺動カム17,17が摺接する上面16a,16aが平坦状に形成されている。
【0024】
前記揺動カム17,17は、図1及び図2に示すようにほぼ雨滴状を呈し、ほぼ円筒状の基端部20に駆動軸13の外周面に回転自在に支持される支持孔20aが貫通形成されていると共に、一端部のカムノーズ部21側にピン孔21aが貫通形成されている。また、揺動カム17の下面には、カム面22が形成されており、このカム面22は、基端部20側の基円面22aと、該基円面22aからカムノーズ部21側に円弧状に延びるランプ面22bと、該ランプ面22bからカムノーズ部21の先端側に有する最大リフトの頂面22dに連なるリフト面22cとが形成されており、該基円面22aとランプ面22b,リフト面22c及び頂面22dとが、揺動カム17の揺動位置に応じて各バルブリフター16の上面16a所定位置に当接するようになっている。
【0025】
すなわち、基円面22aの所定角度範囲がベースサークル区間になり、ランプ面22bの前記ベースサークル区間から所定角度範囲がいわゆるランプ区間となり、さらにランプ面22bのランプ区間から頂面22cまでの所定角度範囲がリフト区間になるように設定されている。
【0026】
前記伝達機構18は、駆動軸13の上方に配置されて円筒状の一端部23aが揺動自在に支持されたロッカアーム23と、該ロッカアーム23の他端部23bと駆動カム15とを連係するリンクアーム24と、ロッカアーム23の前記他端部23bの異なった部位と揺動カム17とを連係するリンクロッド25とを備えている。
【0027】
前記ロッカアーム23は、図1に示すように一端部23aが支持孔23cを介して後述する制御カム33に揺動自在に支持されており、前記制御カム33の軸心P1が第1の回動支点になっている。また、一端部23aの外端部に突設された他端部23bは、二股状に形成されて、該二股部の比較的肉厚な一方部位23cの外側部に後述するリンクアーム24の突出端24bを回転自在に連結するピン26が突設されていると共に、前記一方部位23cと他方部位23dとの間にリンクロッド25の一端部25aを回転自在に連結するピン27が介装されている。
【0028】
また、前記リンクアーム24は、比較的大径な円環状の一端部である基端部24aと、該基端部24aの外周面所定位置に突設された他端部である突出端24bとを備え、前記突出端24bには、前記ピン26が回転自在に挿通するピン孔が貫通形成されている。このピン26の軸心P2がロッカアーム23の他端部23bを回動自在に支持する第2の回動支点になっている。
【0029】
さらに、前記リンクロッド25は、図1にも示すようにロッカアーム23側が凹状のほぼく字形状に形成され、両端部25a,25bには、前記ロッカアーム23の他端部23bと揺動カム17のカムノーズ部21の各ピン孔に圧入した各ピン27,28の端部が回転自在に挿通するピン挿通孔が貫通形成されている。そして、前記ピン27の軸心P3が第3の回動支点になっており、この軸心P3と前記第2の回動支点であるピン26の軸心P2とは上下方向および前後方向に僅かにオフセット配置されている。
【0030】
尚、各ピン26,27,28の一端部には、リンクアーム24やリンクロッド25の軸方向の移動を規制する図外のスナップリングが設けられている。
【0031】
前記可変機構19は、駆動軸13の上方位置に同じ軸受14に回転自在に支持された制御軸32と、該制御軸32の外周に固定されてロッカアーム23の揺動支点となる制御カム33とを備えている。
【0032】
前記制御軸32は、図1に示すように駆動軸13と並行に機関前後方向に配設されていると共に、一端部に設けられたアクチュエータである正逆回転自在な電動モータ29によって所定回転角度範囲内で回転するようになっている。
【0033】
また、前記制御カム33は、円筒状を呈し、図2に示すように軸心P1位置が肉厚部33aの分だけ制御軸32の軸心Pからα分だけ偏倚している。
【0034】
さらに、前記制御軸32を回転制御する電動モータ29は、機関の運転状態を検出するコントローラ30からの制御信号によって駆動するようになっている。このコントローラ30は、クランク角センサやエアーフローメータ,水温センサ等の各種のセンサからの検出信号に基づいて現在の機関運転状態を演算等により検出すると共に、制御軸32の回転位置を検出するポテンショメータ31からの検出信号により前記電動モータ29に制御信号を出力している。
【0035】
以下、本実施形態の作用を説明すれば、まず、機関低速低負荷時には、コントローラ30からの制御信号によって電動モータ29を介して制御軸32が図2に示す位置まで回転駆動される。このため、制御カム33は、軸心P1が図2に示すように制御軸32の軸心Pから左方向の回動角度位置に保持され、肉厚部33aが駆動軸13から左方向に移動する。このため、ロッカアーム23は、全体が左方向へ移動すると共に、P2を中心に反時計回りに回転する。このため、P3が左上方へ移動して、各揺動カム17は、リンクロッド25を介してカムノーズ部21側が強制的に若干引き上げられて全体が図示位置まで回動する。
【0036】
したがって、図2に示すように駆動カム15が回転してリンクアーム24を介してロッカアーム23の他端部23bを引き上げると、そのリフト量がリンクロッド25を介して揺動カム17及びバルブリフター16に伝達されるが、そのリフト量L1は図2に示すように小さくなる。
【0037】
よって、かかる低速低負荷域では、図5に示すようにバルブリフト量が小さくなり、フリクションが低減すると共に、各吸気弁12の開時期が遅くなり、排気弁とのバルブオーバラップが小さくなる。このため、燃費の向上と機関の安定した回転が得られる。
【0038】
一方、機関高速高負荷時に移行した場合は、コントローラからの制御信号によって電動モータ29により制御軸32が時計方向に回転駆動される。したがって、図3、図4に示すように制御軸32が、制御カム33を図2に示す位置から時計方向へ回転させ、軸心P1(肉厚部33a)を右上方へ移動させる。このため、ロッカアーム23は、今度は全体が右方向に移動すると共に、P2を中心に時計方向に回転し、それによりP3が右下方向に移動し、他端部23bが揺動カム17のカムノーズ部21をリンクロッド25を介して下方へ押圧して該揺動カム17全体を所定量だけ時計方向へ回動させる。なお、図3は開作動状態(最大リフトとなる瞬間)を示し、図4は閉状態を示す。
【0039】
したがって、揺動カム17のバルブリフター16上面16aに対するカム面22の当接位置が図3に示すように図2に示す位置に対して右方向位置(リフト部22c側)に移動する。このため、図3に示すように駆動カム15が回転してロッカアーム23の他端部23bをリンクアーム24を介して引き下げると、バルブリフター16に対するそのリフト量L2は図3に示すように大きくなる。
【0040】
よって、かかる高速高負荷域では、カムリフト特性が低速低負荷域に比較して大きくなり、図5に示すようにバルブリフト量も大きくなると共に、各吸気弁12の開時期が早くなると共に、閉時期が遅くなる。この結果、吸気充填効率が向上し、十分な出力が確保できる。
【0041】
そして、この参考例によれば、ロッカアーム23の一端部23a側の第1の回動支点P1に対して前記第2の回動支点P2と第3の回動支点P3の両方を、ロッカアーム23の他端部23b側に並べて配置したため、前述のように、特に最小リフト位置から最大リフト制御への回転中における制御カム33の軸心P1に作用する荷重Fが先の出願のものに比較して十分に小さくなる。
【0042】
すなわち、例えば図3に示すように吸気弁12,12の前記最大リフト域の開作動時において、バルブスプリング12aのばね力はバルブリフター16を介して揺動カム17にFsとして作用し、それにより反時計方向のモーメントM1が加わる。このM1によりリンクロッド25にはリンクロッド25両端部25a,25bの両ピン27,28の軸心を結ぶ方向の反力f1がピン28を介して作用して、ロッカアーム23の他端部23bには、この反力f1がピン27を介して作用するが、第2の回動支点P2も第3の回動支点P3側に位置していることから、図3に示すように、反力f2の方向が先願のものとは逆になる。このため、両反力f1とf2が相殺されることになる。
【0043】
前記反力f2の方向が先願のものとは逆になる理由は、吸気弁12、12を揺動カム17を介して押し下げる際に、先願の発明では駆動カム15側(リンクアーム24)がロッカアーム23を押し上げることによって行われるため、反力f2は駆動軸13方向と逆方向(上方向)に向くようになっていたのに対し、本実施形態では、前述のように反力f2が作用する第2の回動支点P2が制御カム33の軸心P1である第1の回動支点に対して反力f1の作用する第3の回動支点P3側に存在するため、前述の吸気弁12の押し下げがリンクアーム24によりP2を介してロッカアーム23を逆に引き下げることにより行われるためである。
【0044】
そして、両反力f1,f2の相殺によって、ロッカアーム23の第1の回動支点P1に作用する荷重Fの力が十分に小さくなる。この結果、制御軸32の回りに作用するモーメントMcも十分に小さくなって、電動モータ29に掛る駆動負荷を大幅に低減させることができる。
【0045】
なお、図4に示すような、吸気弁12、12の閉作動時には、バルブスプリング12aからの大きなばね反力が発生しないため、荷重Fも小さいことから電動モータ29に対する負荷の発生は問題とならない。
【0046】
図6、図7は本発明の第1の実施形態を示し、基本構成は前記参考例と同様であるが、異なるところは、ロッカアーム23の他端部23bに連結されるリンクアーム24の突出端24bとリンクロッド25の一端部25aとを、同一のピン40によって連結し、これによって、第2の回動支点P2と第3の回動支点P3とを同軸上に配置したものである。図6は開作動状態(最大リフトでとまる瞬間)を示し、図7は閉状態を示す。
【0047】
したがって、この実施形態では、図6に示す吸気弁12、12の最大リフト制御における開作動状態では、第1の実施形態と同様に第2、第3の回動支点P2,P3がロッカアーム他端部23b側に配置されているため、前記両反力f1,f2の相殺作用によってFの値が小さくなることは勿論のこと、同軸上に配置されていることから、各構成部品間の干渉しにくくなり、例えばリンクアーム24と制御軸32との間のクリアランスが増加したり、リンクアーム24の揺動軌跡とリンクロッド25揺動軌跡の両者によってできる領域を小さくできるなど、レイアウト性の向上と装置のコンパクト化が図れる。
【0048】
しかも、同一のピン40によって両者24、25を支持することから、構造が簡素化されると共に、部品点数の削減が図れて、製造作業が容易になると共に、コストの低廉化が図れる。
【0049】
図8、図9は第2の実施形態を示し、リンクアーム24の突出端24bとリンクロッド25の一端部25aを、ロッカアーム他端部23aの両側ではなく、一方の側部に並行に隣接配置し、両者24b,25aを一本のピン41によってロッカアーム他端部23bに回動自在に連結し、したがって、第2の回動支点P2と第3の回動支点P3が隣接配置されている。また、リンクロッド25の他端部25bは、一方の揺動カム17のカムノーズ部21側ではなく、基円面22a側の上端部にピン28を介して回動自在に連結されて、リンクロッド25が押し上げられることにより、揺動カム17のカムノーズ部21が押し下げられて、吸気弁12を開作動させるようになっている。
【0050】
このように、基円面22a側で連結させるようにすれば、FSに抗して発生するf1は第1の実施形態とは逆の下方向であり、f2も第1の実施形態とは逆となるが、f1とf2が逆方向である点は同じであり、同様にFの低減効果が得られる。本実施形態では、リンクロッド25が外側に張り出さないので、レイアウト上のメリットがある。
【0051】
さらに、この実施形態によれば、前記両者24b,25aを、ロッカアーム他端部23bの一側部側に並行に配置したことによって、作動中におけるいわゆるこじり現象を回避できる。
【0052】
すなわち、仮に、前記リンクアーム24の他端部24bとリンクロッド25の一端部25aがロッカアーム23の他端部23bを挟んだ両側部にそれぞれ配置されているとした場合は、揺動カム17側の反力f1によるロッカアーム他端部23bに対するこじりモーメントMt2と駆動カム15側の反力f2によるこじりモーメントMt1は同方向になって、ロッカアーム23の一端部23aに大きなこじりモーメントMt(=Mt1+Mt2)が発生するおそれがある。この結果、支持孔23dの内周面による制御カム33外周面に対する肩当りが発生して摩擦抵抗が大きくなり、該制御カム33の回動性が悪化する可能性がある。
【0053】
ところが、本実施形態のように、両者24b,25aを他端部23bの一側部に配置したことにより、前記こじりモーメントMt1とMt2が互いに逆方向に作用する。このため、かかる両こじりモーメントMt1とMt2が相殺されてロッカアーム23の一端部23aに対する前記こじりモーメントMtが十分に低減し、ロッカアーム23の肩当りなどの現象が防止され、制御カム33の常時良好な回動が得られる。
【0054】
図10は第3の実施形態を示し、揺動カム17、17をそれぞれ分離して、各吸気弁12、12にそれぞれ独立に当接させると共に、対応するリンクロッド25、25も一対とした。一方、ロッカアーム23の他端部23bを二股状に形成して、この中央の間隙部23dに駆動カム15側のリンクアーム24の突出端24bを介装すると共に、他端部23bの両外側部に前記各リンクロッド25、25の各一端部25a,25aを配置し、該突出端24bと両リンクロッド一端部25a,25aを、他端部23bを貫通した一本のピン42によって同軸上に連結したものである。これによって、第2の回動支点P2と2つの第3の回動支点P3,P3が他端部23b側に併置されている。
【0055】
また、各リンクロッド25、25の他端部25b,25bもそれぞれ二股状に形成されて、この各他端部25b,25bの各二股部間に各揺動カム17、17の一端上部を挟み込んで、各他端部25b,25bを貫通した各ピン28、28に各揺動カム17、17が回転自在に支持されている。
【0056】
このように、第3の回動支点P3,P3間に第2の回動支点P2を配置したことにより、第3の回動支点P3,P3でのこじりモーメントMt2,Mt2方向が互いに逆方向になるため、ロッカアーム23に対するこじりモーメントMt(倒れモーメント)が著しく低下する。この結果、制御カム33に作用するこじりモーメントが極めて小さくなって、該制御カム33の一層良好な回動が得られる。
【0057】
さらに、前述のように、一本のピン42により構成したため、構造の簡素化と部品点数の削減が図れ、製造作業能率の向上とコストの低廉化が図れる。
【0058】
また、前記各揺動カム17、17の端部を、各リンクロッド25、25の二股状の各他端部25b,25bに挟み込むようにして両持状態で支持したため、この揺動カム17、17の倒れも防止でき、揺動カム17、17の常時良好な回転支持が得られる。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、請求項1記載の発明によれば、第2の回動支点に作用する反力と第3の回動支点に作用する反力が相殺されて、第1の回動支点に作用する荷重が十分に低減されるため、アクチュエータの駆動負荷が低減されて、該アクチュエータの小型化が図れる。これにより、アクチュエータの消費電力の低減化が図れると共に、機関の燃費の悪化を防止できる。
【0060】
また、第2、第3回動支点が同軸上に配置されていることから、各構成部品の干渉がしにくくなると共に、レイアウト性も良好になる。
【0061】
しかも、第2、第3の回動支点を、一本のピン上に配置すれば、構造の簡素化と部品点数の削減が図れ、製造作業能率の向上とコストの低廉化が図れる。
さらに、リンクアームの他端部とリンクロッドの一端部を、ロッカアームの他端部の一側部に配置したことにより、両者のこじりモーメントが互いに逆方向に作用する。このため、かかる両こじりモーメントが相殺されてロッカアームの一端部に対する前記こじりモーメントが十分に低減し、ロッカアームの肩当りなどの現象が防止され、偏心制御カムの常時良好な回動が得られる。
【0062】
請求項2記載の発明によれば、ロッカアームの倒れモーメントを小さくできるため、制御カムに対するロッカアームの肩当りなどの現象が防止されて、制御カムの常時良好な回動が得られる。この点でもアクチュエータの駆動負荷を低減できる。
【0063】
請求項3記載の発明によれば、ロッカアームの倒れモーメントをさらに効果的に小さくすることが可能になるため、制御カムの一層良好な回動が得られる
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明において、構造の簡素化と部品点数の削減が図れ、製造作業能率の向上とコストの低廉化が図れる。
【0064】
請求項5に記載の発明によれば、さらに構成部品の外側への張り出しを防止し、レイアウト性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる可変動弁装置の要部斜視図。
【図2】 本発明の参考例であって、図1の矢示A方向からみた本実施形態の最小リフト制御時における開作動状態を示す作用説明図。
【図3】 本参考例の最大リフト制御時における開作動状態を示す作用説明図。
【図4】 同閉状態を示す作用説明図。
【図5】 本参考例と本実施の形態におけるバルブリフト特性図。
【図6】 図1の矢示A方向からみた本発明の第1の実施形態の開作動時の作用説明図。
【図7】 同閉作動時の作用説明図。
【図8】 第2の実施形態の要部断面図。
【図9】 図8のB−B線断面図。
【図10】 第3の実施形態の要部断面図。
【図11】 従来の可変動弁装置を示す断面図。
Claims (5)
- 機関のクランク軸に同期して回転し、外周に駆動カムが設けられた駆動軸と、
揺動に伴って機関弁を開閉作動させる揺動カムと、
一端部が第1の回動支点を介して偏心制御カムに揺動自在に設けられたロッカアームと、
一端部が前記駆動カムに回転自在に連係され、他端部が第2の回動支点を介して前記ロッカアームに連係されたリンクアームと、
一端部が第3の回動支点を介して前記ロッカアームの他端部に連係し、他端部が前記揺動カムに連係したリンクロッドと、
前記偏心制御カムをアクチュエータによって回動制御する制御軸と、を備え、
前記駆動カムの回転駆動力を、前記リンクアームとロッカアーム及びリンクロッドを介して揺動運動に変換して前記揺動カムに伝達すると共に、前記偏心制御カムの回動位置制御により前記ロッカアームの揺動支点を変化させて、前記揺動カムによる機関弁のバルブリフトを可変にする内燃機関の可変動弁装置において、
前記リンクアームの他端部とリンクロッドの一端部とを、前記ロッカアームの他端部の同一位置に連結し、前記第2の回動支点と第3の回動支点を同軸上に配置したことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。 - 前記第2の回動支点と第3の回動支点を、前記ロッカアームの他端部に、同軸ピンを介して同軸上に配置したことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 前記ロッカアームの他端部を二股状に形成すると共に、該二股部の間に、前記駆動カムが連係する第2の回動支点を配置し、かつ二股部の両外側に、一対の前記揺動カムがそれぞれ連係する第3の回動支点を配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 前記ロッカアームの二股部に、同軸ピンを貫通すると共に、該同軸ピンに前記駆動カムが連係する第2の回動支点と、左右一対の揺動カムの各第3の回動支点を配置したことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 一端部が前記第3の回動支点を介して連係されたリンクロッドの他端部に、前記揺動カムのベースサークルの側端を連係したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置。
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