JP2883688B2 - 固体電解質型燃料電池 - Google Patents

固体電解質型燃料電池

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  • Inert Electrodes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は固体電解質型燃料電池のセル構成に係り、
特に基板の破損がなく信頼性に優れる平板型の固体電解
質型燃料電池に関する。
〔従来の技術〕
ジルコニア等の酸化物固体電解質型燃料電池を用いる
燃料電池はその作動温度が800〜1100℃と高温であるた
め、発電効率が高い上に触媒が不要であり、また電解質
が固体であるため取扱いが容易であるなどの特長を有
し、第三世代の燃料電池として期待されている。
しかしながら固体電解質型燃料電池は、セラミックが
主要な構造材料であるために、熱的に破損しやすく、ま
たガスの適切なシール方法がないため実現が困難であっ
た。そのため燃料電池として特殊な形状である円筒型の
ものが考え出され、上記2つの問題を解決し、電池の運
転試験に成功しているが、電池単位体積あたりの発電密
度が低く経済的に有利なものが得られる見通しはまだな
い。発電密度を高めるには平板型にすることが必要であ
る。平板型の電池には例えば、第1図,第2図に示す構
造のものが知られている。第1図,第2図はそれぞれ従
来の固体電解質型燃料電池の横切断面図,縦切断面図で
ある。ランタンマンガナイト系またはランタンコバルタ
イト系酸化物で多孔質のセパレート基板15にランタンク
ロマイト系酸化物で緻密質のインタコネクタ2が積層さ
れている。またニッケル−ジルコニアサーメットからな
る単セル基板11に単セルが積層されている。単セルは図
示しないがジルコニア固体電解質層と、その両主面に配
されたアノードとカソードから構成されている。アノー
ドはニッケル−ジルコニアサーメットであり、カソード
はランタンマンガナイトからなる。上記セパレート基板
15と単セル基板11とは交互に重合される。上記セパレー
ト基板15と単セル基板11はリブである案内羽3を有し、
反応ガスをチャンネル7を介してセルの中央部から周辺
部へと導き、排出口8より排出する。セルの中央部には
燃料ガス導入管4と酸化剤ガス導入管5があり、導入孔
6を介して反応ガスをチャンネル7に供給する。
単セル基板11は酸化ニッケルとジルコニアの各粉体を
所定の割合で混合したのちプレス成型し、温度1400〜16
00℃で焼成して製造される。得られた単セル基板に固体
電解質層(図示せず)が直流減圧プラズマ溶射法により
形成される。続いてランタンストロンチウムマンガナイ
トLa0.9Sr0.1MnO3と溶剤からなるペーストが固体電解質
層の上に刷毛塗りされ乾燥後1200℃で焼成されカソード
(図示せず)が形成される。単セル基板11は使用に際し
て燃料ガスにより酸化ニッケルが還元され、ニッケル−
ジルコニアサーメットが形成される。生成したニッケル
が触媒として機能しアノードとしても働くようになる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら上述のような従来の燃料電池において
は、酸化ニッケルがニッケルに還元されるときに単セル
基板は大きな体積変化を受けるために、基板が変形した
り、割れるといった問題があった。またセルの運転中も
セル周辺からの空気浸入により周辺部で酸化還元の繰り
返しが起こり、単セル基板が破損しやすいといった問題
があった。
この発明は上述の点に鑑みてなされ、その目的は基板
の材料を改良することにより、セルの破損のない信頼性
にすぐれる固体電解質型燃料電池を提供することにあ
る。
〔課題を解決するための手段〕
上述の目的は、多孔質の単セル基板上に少なくとも固
体電解質層とアノードとが順に形成されてなる単セルと
インタコネクタとを交互に積層し、かつ、前記多孔質単
セル基板側に酸化剤ガスを、前記アノード側に燃料ガス
を通流するものとすることにより達成される。
また、前記単セル基板にはランタンクロマイト系酸化
物、ランタンマンガナイト系酸化物、ランタンコバルタ
イト系酸化物材料等を用いることが出来る。単セル基板
材料としてランタンクロマイト系酸化物を用いた場合に
は、単セル基板上にカソード、固体電解質層およびアノ
ードを順に形成し、単セル基板材料としてランタンマン
ガナイト系酸化物もしくはランタンコバルタイト系酸化
物材料を用いた場合には、単セル基板がカソードを兼ね
ることが可能なので、単セル基板上に少なくとも固体電
解質層およびアノードを形成するものとする。
〔作用〕
従来はアノード側に単セル基板上が形成され、ニッケ
ル−ジルコニアサーメットからなる単セル基板に燃料ガ
スを通流する構成であったため、数mmと厚さの大きい単
セル基板が燃料ガスにより還元されることに起因して、
単セル基板が大きな体積変化を生じていたが、上記本発
明のごとく、単セル基板をカソード側として単セル基板
側に酸化剤ガスを通流する構成とすることにより、単セ
ル基板が還元されて体積変化を生じることがなくなり、
一方、アノードはわずか数十μmであるので、還元によ
り体積変化を生じてもわずかであり燃料電池の運転に支
障を生じることがない。
〔実施例〕
次にこの発明の実施例を図面に基いて説明する。第1
図,第2図はそれぞれこの発明の実施例に係る固体電解
質型燃料電池の横切断面図、縦切断面図である。従来の
電池と構造は同一であるが、単セル基板とセパレート基
板の材料のみが異なる。セパレート基板15Aは酸化ラン
タンLa2O3,酸化カルシウムCaO,酸化クロムCr2O3の各粉
体を所定割合で混合し1300℃で反応させてランタンカル
シウムクロマイトLa0.8Ca0.2CrO3を生成させ、粉砕,造
粒後プレス成型し、酸化ふん囲気中1200℃において1〜
4mm厚さでかつ多孔質に焼成して調製される。次にLa0.8
Ca0.2CrO3を造粒したのち、直流減圧プラズマ溶射法で
緻密で1〜70μm厚のインタコネクタ2をセパレート基
板15Aの上に形成させる。単セル基板11Aは酸化ランタン
(La2O3)と酸化ストロンチウム(SrO)と二酸化マンガ
ン(MnO2)の各粉体を所定の割合で混合し1200℃の温度
で焼成して相互に反応させLa0.9Sr0.1MnO3を生成させ
る。得られたLa0.9Sr0.1MnO3を粉砕し、造粒したのちプ
レス成型し、酸化ふん囲気中1250℃で焼成して調製され
る。単セル基板11Aの上に8%イットリアで安定化され
たジルコニアが直流減圧法でプラズマ溶射され固体電解
質層(図示せず)が形成される。続いて酸化ニッケル−
ジルコニア粉体と溶剤からなるペーストが固体電解質層
の上に刷毛塗りされ乾燥後1200℃で焼成されアノード
(図示せず)が形成される。
セパレート基板15Aは緻密に焼成することが困難であ
るので多孔質に形成され、緻密質のインタコネクタによ
って酸化剤ガスと燃料ガスの分離が行われる。
〔発明の効果〕
本発明のごとく、多孔質の単セル基板上に少なくとも
固体電解質層とアノードとが順に形成されてなる単セル
とインタコネクタとを交互に積層し、かつ、前記多孔質
単セル基板側に酸化剤ガスを前記アノード側に燃料ガス
を通流するものとすることにより、厚さの大きい単セル
基板が還元されることに起因する大きな体積変化の発生
が回避されることとなり、割れがなく信頼性に優れる固
体電解質型燃料電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は固体電解質型燃料電池の横切断面図、第2図は
固体電解質型燃料電池の縦切断面図である。 1:単セル、2:インタコネクタ、11,11A:単セル基板、15,
15A:セパレート基板。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔質の単セル基板上に少なくとも固体電
    荷質層とアノードとが順に形成されてなる単セルとイン
    タコネクタとが交互に積層され、かつ、前記多孔質単セ
    ル基板側に酸化剤ガスを、前記アノード側に燃料ガスを
    通流することを特徴とする支持膜型固体電解質型燃料電
    池。
  2. 【請求項2】前記単セル基板が、ランタンコバルタイト
    系酸化物またはランタンマンガナイト系酸化物からなる
    ことを特徴とする請求項1に記載の支持膜型固体電解質
    型燃料電池。
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