実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係る空気調和システムについて説明する。本実施の形態1に係る空気調和システムは、室内の除湿を行う調湿装置を備えるものである。
[空気調和システム100の構成]
図1は、本実施の形態1に係る空気調和システム100の構成の一例を示す概略図である。図2は、本実施の形態1に係る空気調和システム100の構成の一例を示す冷媒回路図である。図1および図2に示すように、空気調和システム100は、室外機10、室内機20、調湿装置30およびコントローラ40を備えている。
室外機10と、室内機20および調湿装置30とは、それぞれ液側主管102およびガス側主管103、ならびに伝送線101で接続されている。室内機20および調湿装置30は、互いに並列に接続されている。また、室外機10とコントローラ40とは、伝送線101で接続されている。なお、この例では、それぞれ1台の室外機10、室内機20および調湿装置30が接続されているが、これはこの例に限られない。例えば、室外機10の能力または必要な除湿量等に応じて、室外機10、室内機20および調湿装置30のそれぞれは、複数台設けられてもよい。
空気調和システム100では、室外機10、室内機20および調湿装置30が液側主管102およびガス側主管103と、それぞれから分岐する液側分岐管104およびガス側分岐管105とによって接続される。そして、各配管内を冷媒が流れることにより、冷媒回路が形成される。冷媒回路に使用される冷媒は、特に限定されない。例えば、二酸化炭素、炭化水素若しくはヘリウムのような自然冷媒、HFC−410A若しくはHFC−407Cなどの塩素を含まない冷媒、または既存の製品に使用されているR22若しくはR134aなどのフロン系冷媒などの冷媒を使用できる。
(室外機10)
図2に示すように、室外機10は、圧縮機11、冷媒流路切替装置12、室外熱交換器13、室外送風機14およびアキュムレータ15を備えている。室外機10内には、室外送風機14によって室外空間から取り込まれた空気が室外熱交換器13を通過して室外空間に送風される風路が形成される。
圧縮機11は、低温低圧の冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮し、高温高圧の冷媒を吐出する。圧縮機11は、例えば、運転周波数を変化させることにより、単位時間あたりの送出量である容量が制御されるインバータ圧縮機等からなる。圧縮機11の運転周波数は、室外機制御基板19を介してコントローラ40によって制御される。なお、この例では、1台の圧縮機11が用いられる場合を示すが、これに限られず、例えば2台以上の圧縮機11が並列または直列に接続されてもよい。
冷媒流路切替装置12は、例えば四方弁であり、冷媒の流れる方向を切り替えることにより、冷房運転および暖房運転の切り替えを行う。冷媒流路切替装置12は、冷房運転時に、図2の実線で示す状態に切り替わり、圧縮機11の吐出側と室外熱交換器13とが接続されるとともに、アキュムレータ15とガス側主管103とが接続される。また、冷媒流路切替装置12は、暖房運転時に、図2の点線で示す状態に切り替わり、圧縮機11の吐出側とガス側主管103とが接続されるとともに、室外熱交換器13とアキュムレータ15とが接続される。冷媒流路切替装置12における流路の切替は、室外機制御基板19を介してコントローラ40によって制御される。
室外熱交換器13は、室外空気と冷媒との間で熱交換を行う。室外熱交換器13は、冷房運転の際に、冷媒の熱を室外空気に放熱して冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。また、室外熱交換器13は、暖房運転の際に、冷媒を蒸発させ、その際の気化熱により室外空気を冷却する蒸発器として機能する。室外熱交換器13として、例えば、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器が用いられる。
室外送風機14は、室外熱交換器13に対して室外空気を供給する。室外送風機14の回転数は、室外機制御基板19を介してコントローラ40によって制御される。回転数が制御されることにより、室外熱交換器13に対する送風量が調整される。室外送風機14として、例えば、DC(Direct Current)ファンモータなどのモータによって駆動される遠心ファンまたは多翼ファン等が用いられる。
アキュムレータ15は、圧縮機11の吸入側である低圧側に設けられる。アキュムレータ15は、冷房運転と暖房運転の運転状態の違いによって生じる余剰冷媒、過渡的な運転の変化に対する余剰冷媒等を貯留する。
また、室外機10は、吐出圧力センサ16、吸入圧力センサ17および外気温度センサ18を備えている。吐出圧力センサ16は、圧縮機11の吐出側に設けられ、圧縮機11から吐出される冷媒の圧力を検出する。吸入圧力センサ17は、圧縮機11の吸入側に設けられ、圧縮機11に吸入される冷媒の圧力を検出する。外気温度センサ18は、室外熱交換器13の空気吸い込み側に設けられ、室外送風機14によって取り込まれる室外空気の温度、すなわち外気温を検出する。
さらに、室外機10は、室外機制御基板19を備えている。室外機制御基板19は、伝送線101によってコントローラ40と接続され、コントローラ40からの運転制御信号に基づき、圧縮機11、冷媒流路切替装置12および室外送風機14を制御する。
(室内機20)
室内機20は、膨張弁21、室内熱交換器22および室内送風機23を備えている。室内機20内には、室内送風機23によって空調対象空間から取り込まれた空気が室内熱交換器22を通過して空調対象空間に送風される風路が形成される。
膨張弁21は、冷媒を膨張させる。膨張弁21として、例えば、図示しないステッピングモータにより絞りの開度を調整することができる電子式膨張弁、あるいは、受圧部にダイヤフラムを採用した機械式膨張弁またはキャピラリーチューブ等が用いられる。膨張弁21の開度は、室内機制御基板27を介してコントローラ40によって制御される。
室内熱交換器22は、空気と冷媒との間で熱交換を行う。これにより、空調対象空間に供給される暖房用空気または冷房用空気が生成される。室内熱交換器22は、冷房運転の際に蒸発器として機能し、空調対象空間の空気を冷却して冷房を行う。また、室内熱交換器22は、暖房運転の際に凝縮器として機能し、空調対象空間の空気を加熱して暖房を行う。室内熱交換器22として、例えば、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器が用いられる。
室内送風機23は、室内熱交換器22に対して空気を供給する。室内送風機23の回転数は、室内機制御基板27を介してコントローラ40によって制御される。回転数が制御されることにより、室内熱交換器22に対する送風量が調整される。室内送風機23として、例えば、DCファンモータなどのモータによって駆動される遠心ファンまたは多翼ファン等が用いられる。
また、室内機20は、液管温度センサ24、ガス管温度センサ25および吸込空気温度センサ26を備えている。液管温度センサ24は、冷房運転時の冷媒の流れにおいて室内熱交換器22の入口側に設けられ、冷房運転時に室内熱交換器22に流入する冷媒の温度を検出する。ガス管温度センサ25は、冷房運転時の冷媒の流れにおいて室内熱交換器22の出口側に設けられ、冷房運転時に室内熱交換器22から流出する冷媒の温度を検出する。吸込空気温度センサ26は、室内熱交換器22の空気吸い込み側に設けられ、室内送風機23によって取り込まれる室内空気の温度、すなわち室内温度を検出する。
さらに、室内機20は、室内機制御基板27を備えている。室内機制御基板27は、伝送線101によってコントローラ40と接続され、コントローラ40からの運転制御信号に基づき、膨張弁21および室内送風機23を制御する。
(調湿装置30)
調湿装置30は、膨張弁31、上流熱交換器32a、下流熱交換器32b、調湿送風機33、上流側流量調整弁34aおよび吸脱着装置35を備えている。また、調湿装置30の筐体には、空調対象空間である室内の空気を還気(RA)として吸い込む吸込口30aと、室内に調和空気を給気(SA)として吹き出す吹出口30bと、吸込口30aと吹出口30bとを連通する風路1とが形成されている。吸込口30aに吸い込まれた室内空気は、風路1を通り、吹出口30bから室内に吹き出される。
膨張弁31は、冷媒を膨張させる。膨張弁31として、例えば、図示しないステッピングモータにより絞りの開度を調整することができる電子式膨張弁、あるいは、受圧部にダイヤフラムを採用した機械式膨張弁またはキャピラリーチューブ等が用いられる。膨張弁31の開度は、調湿装置制御基板39を介してコントローラ40によって制御される。
上流熱交換器32aは、風路1上に配置されている。下流熱交換器32bは、風路1上であって上流熱交換器32aの下流側に配置されている。上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bは、冷媒回路において互いに並列に接続され、いずれも空気と冷媒との間で熱交換を行う。これにより、空調対象空間に供給される暖房用空気または冷房用空気が生成される。上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bは、冷房運転の際に蒸発器として機能し、空調対象空間の空気を冷却して冷房を行う。また、上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bは、暖房運転の際に凝縮器として機能し、空調対象空間の空気を加熱して暖房を行う。上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bとして、例えば、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器が用いられる。
調湿送風機33は、上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bに対して空気を供給する。調湿送風機33の回転数は、調湿装置制御基板39を介してコントローラ40によって制御される。回転数が制御されることにより、上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bに対する送風量が調整される。調湿送風機33として、例えば、DCファンモータなどのモータによって駆動される遠心ファンまたは多翼ファン等が用いられる。
上流側流量調整弁34aは、冷房運転時の冷媒の流れにおいて上流熱交換器32aの入口側に設けられている。上流側流量調整弁34aは、開度が制御されることにより、冷房運転時に上流熱交換器32aを流れる冷媒の流量を調整する。上流側流量調整弁34aの開度は、調湿装置制御基板39を介してコントローラ40によって制御される。
吸脱着装置35は、風路1における上流熱交換器32aの下流側であって、下流熱交換器32bの上流側に配置されている。すなわち、吸脱着装置35は、上流熱交換器32aと下流熱交換器32bとの間に設けられている。吸脱着装置35は、空気中の水分を吸着する吸着部材を有し、供給される空気に対する水分の吸着および脱着を行う。具体的には、吸脱着装置35は、相対的に湿度の高い空気から水分を吸着し、相対的に湿度の低い空気に対して水分を脱着する。
また、調湿装置30は、液管温度センサ36、ガス管温度センサ37および吸込空気温湿度センサ38を備えている。液管温度センサ36は、冷房運転時の冷媒の流れにおいて上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bの入口側に設けられ、冷房運転時に上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bに流入する冷媒の温度を検出する。ガス管温度センサ37は、冷房運転時の冷媒の流れにおいて上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bの出口側に設けられ、冷房運転時に上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bから流出する冷媒の温度を検出する。吸込空気温湿度センサ38は、上流熱交換器32aの空気吸い込み側に設けられ、調湿送風機33によって取り込まれる室内空気の温度および絶対湿度を検出する。
さらに、調湿装置30は、調湿装置制御基板39を備えている。調湿装置制御基板39は、伝送線101によってコントローラ40と接続され、コントローラ40からの運転制御信号に基づき、膨張弁31、調湿送風機33および上流側流量調整弁34aを制御する。
(コントローラ40)
コントローラ40は、室外機10、室内機20および調湿装置30のそれぞれに対して運転制御信号を送信し、空気調和システム100全体を制御する。また、コントローラ40は、室外機10、室内機20および調湿装置30のそれぞれに設けられた各種センサで検出された温度および湿度に基づき、各種演算処理等を行う。
図3は、図2のコントローラ40、室外機制御基板19、室内機制御基板27および調湿装置制御基板39の接続関係の一例を示すブロック図である。図3に示すように、コントローラ40には、室外機10、室内機20および調湿装置30のそれぞれに設けられた各種センサが接続されている。また、コントローラ40には、室外機制御基板19、室内機制御基板27および調湿装置制御基板39が伝送線101を介して接続されている。
室外機制御基板19には、圧縮機11、冷媒流路切替装置12および室外送風機14が接続されている。室内機制御基板27には、膨張弁21および室内送風機23が接続されている。調湿装置制御基板39には、膨張弁31、調湿送風機33および上流側流量調整弁34aが接続されている。
コントローラ40は、情報取得部41、演算処理部42、機器制御部43および記憶部44を備えている。コントローラ40は、マイクロコンピュータなどの演算装置上でソフトウェアを実行することにより各種機能が実現され、もしくは各種機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア等で構成されている。
情報取得部41は、吐出圧力センサ16、吸入圧力センサ17、外気温度センサ18、液管温度センサ24および36、ガス管温度センサ25および37、吸込空気温度センサ26、ならびに吸込空気温湿度センサ38等の各種センサで検出された情報を取得する。
演算処理部42は、情報取得部41で取得された各種の情報に基づき、各種処理を行う。特に、本実施の形態1において、演算処理部42は、後述する起動制御の際に、吸込空気温湿度センサ38の測定結果に基づく室内温度Traの演算、ならびに演算した室内温度Traと設定温度Tmとの比較処理を行う。また、演算処理部42は、設定絶対湿度AHmと吸込空気温湿度センサ38の測定結果から得られる室内絶対湿度AHraとの比較処理を行う。
機器制御部43は、演算処理部42による処理結果に基づき、空気調和システム100に設けられた各部を制御するための運転制御信号を生成し、室外機制御基板19、室内機制御基板27および調湿装置制御基板39に送信する。特に、本実施の形態1において、機器制御部43は、起動制御の際に、演算処理部42による処理結果に基づき、調湿装置30に設けられた上流側流量調整弁34aの開度制御を行うための運転制御信号を生成する。生成された運転制御信号は、調湿装置制御基板39を介して上流側流量調整弁34aに供給される。
記憶部44は、コントローラ40の各部で用いられる各種の値を記憶する。特に、本実施の形態1において、記憶部44は、外部から設定された目標室内温度を設定温度Tmとして記憶するとともに、外部から設定された目標室内絶対湿度を設定絶対湿度AHmとして記憶する。
(吸脱着装置35)
ここで、本実施の形態1における吸脱着装置35について説明する。吸脱着装置35は、風路1に対して静止しており、風路1に固定して取り付けられている。調湿装置30には、吸脱着装置35を駆動するような駆動装置は設けられていない。吸脱着装置35は、多孔質平板を用いて形成されている。この多孔質平板は、通風断面積を大きくできるように、風路1のうち吸脱着装置35が配置される箇所の管路断面に沿った多角形状の形状を有している。また、多孔質平板は、当該多孔質平板の厚さ方向に空気を通過させる複数の小透孔が形成された通風体である。多孔質平板の表面には、相対的に湿度の高い空気から水分を吸着し、相対的に湿度の低い空気に対して水分を脱着する特性を有する吸着部材が形成されている。
すなわち、本実施の形態1の吸脱着装置35は、多孔質平板と、その表面に形成された吸着部材とを有している。吸着部材は、多孔質平板の表面に吸着剤が塗布されることによって層状に形成されている。また、吸着部材は、含浸により多孔質平板の表面に担持されていてもよいし、表面処理により多孔質平板の表面に形成されていてもよい。
図4は、図2の吸脱着装置35に用いられる吸着部材の吸湿特性を示すグラフである。図4において、横軸は空気の相対湿度(%)を示し、縦軸は吸着部材の単位質量当たりの平衡吸着量[g/g]を示す。
図4において実線で示す曲線aは、本実施の形態1で特に好適に用いられる吸着部材の吸湿特性の例を表している。本実施の形態1で特に好適に用いられる吸着部材としては、例えば、有機系ではポリアクリル酸ナトリウム架橋体、無機系ではナノチューブ珪酸塩(イモゴライト)およびアルミニウム珪酸塩(ハスクレイ(登録商標))などがある。
一方、破線で示す曲線bは、通常のデシカントロータに用いられる吸着部材の吸湿特性の例を表している。通常のデシカントロータに用いられる吸着部材としては、シリカゲルおよびゼオライトなどがある。
図4の曲線aで示すように、本実施の形態1で特に好適に用いられる吸着部材は、相対湿度の上昇に伴って平衡吸着量が単調に増加し、特に相対湿度40〜100%の範囲では相対湿度の上昇に伴って平衡吸着量が略直線的に増加する特性を有している。また、この吸着部材は、相対湿度80〜100%の高湿域における平衡吸着量が特に多くなる特性を有している。
このような吸着部材を用いることにより、冷房吸着運転で吸脱着装置35を通過する空気に対する吸着部材の平衡吸着量と、冷房脱着運転で吸脱着装置35を通過する空気に対する吸着部材の平衡吸着量との差を大きくすることができる。そのため、吸着部材の吸着能力および脱着能力をより高めることができる。
曲線bの吸湿特性を有する吸着部材では、相対湿度の上昇に伴って平衡吸着量が単調に増加するものの、相対湿度の上昇に伴う平衡吸着量の増加が緩やかである。このような吸着部材を吸脱着装置35に用いた場合、相対湿度40〜60%程度の夏期の一般的な室内空間の空気からの除湿量を多くするのが困難となる場合がある。
除湿量を多くするためには、冷房吸着運転で吸脱着装置35を通過する空気に対する吸着部材の平衡吸着量と、冷房脱着運転で吸脱着装置35を通過する空気に対する吸着部材の平衡吸着量との差を大きくすることが望ましい。そのため、冷房脱着運転で吸脱着装置35を通過する前の空気を加熱装置などによって加熱し、空気の相対湿度を20%程度に低下させることが必要になる場合がある。
これに対し、曲線aの吸湿特性を有する吸着部材は、相対湿度80〜100%の高湿域における平衡吸着量が特に多くなっている。そのため、空気を加熱して相対湿度を低下させるまでもなく、相対湿度40〜60%程度の一般的な室内空間の空気に対する平衡吸着量と、相対湿度80〜100%程度の空気に対する平衡吸着量との差を十分に大きくすることができる。したがって、曲線aの吸湿特性を有する吸着部材を吸脱着装置35に用いることにより、風路1に脱着熱源が設けられていなくても連続的な除湿運転が可能になる。
吸着部材は、低温になるほど水分移動速度が低下する特性を有する。冷房吸着運転で吸脱着装置35に流入する空気は、冷房脱着運転で吸脱着装置35に流入する空気と比較して低温である。そのため、冷房吸着運転時には、吸着部材での水分移動速度の低下により除湿量が少なくなる。除湿量を増加させるためには、冷房吸着運転で吸脱着装置35に流入する空気が相対湿度80〜100%程度の高湿であるという特性を生かして、高湿域での平衡吸着量が中湿域での平衡吸着量よりも十分に多くなる吸着部材を用いる必要がある。
ここで、高湿域とは、相対湿度80〜100%の範囲のことであり、中湿域とは、一般的な室内空間の湿度である相対湿度40〜60%の範囲のことである。試験検証結果から、高湿域での平衡吸着量が中湿域での平衡吸着量の1.2倍以上である吸湿部材が用いられることにより、流入空気温度の低下による除湿能力の低下を抑制できることが分かっている。
具体的には、相対湿度60%の空気に対する単位質量当たりの平衡吸着量xと、相対湿度80%の空気に対する単位質量当たりの平衡吸着量yとが、「y/x≧1.2」の関係を満たしていれば、流入空気温度の低下による除湿能力の低下を抑制できる。曲線aの吸湿特性を有する吸着部材は、「y/x≧1.2」の関係を満たしている。
[空気調和システム100の動作]
上記構成を有する空気調和システム100における冷媒の流れについて、図2を参照しながら説明する。
(冷房運転)
冷房運転時、冷媒流路切替装置12は、図2の実線で示すように、圧縮機11の吐出側と室外熱交換器13とが接続されるように切り替えられる。そして、低温低圧の冷媒が圧縮機11によって圧縮され、高温高圧のガス冷媒となって吐出される。
圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒は、冷媒流路切替装置12を介して室外熱交換器13に流入する。室外熱交換器13に流入した高温高圧のガス冷媒は、室外送風機14によって取り込まれた室外空気と熱交換して放熱しながら凝縮し、高圧の液冷媒となって室外熱交換器13から流出する。室外熱交換器13から流出した高圧の液冷媒は、室外機10から流出する。室外機10から流出した高圧の液冷媒は、液側主管102を流れた後に液側分岐管104によって分岐され、室内機20および調湿装置30に流入する。
室内機20に流入した高圧の液冷媒は、膨張弁21によって減圧されて低温低圧の気液二相冷媒となり、室内熱交換器22に流入する。室内熱交換器22に流入した低温低圧の気液二相冷媒は、室内送風機23によって取り込まれた室内空気と熱交換して吸熱および蒸発し、低圧のガス冷媒となって室内熱交換器22から流出する。室内熱交換器22から流出した低圧のガス冷媒は、室内機20から流出する。
また、調湿装置30に流入した高圧の液冷媒は、膨張弁31によって減圧されて低温低圧の気液二相冷媒となる。そして、流路が2つに分岐され、一方は上流側流量調整弁34aを介して上流熱交換器32aに流入し、他方は下流熱交換器32bに流入する。
上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bのそれぞれに流入した低温低圧の気液二相冷媒は、調湿送風機33によって取り込まれた室内空気と熱交換して吸熱および蒸発し、低圧のガス冷媒となって上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bから流出する。上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bから流出した低圧のガス冷媒は合流し、調湿装置30から流出する。
室内機20から流出した低圧のガス冷媒と、調湿装置30から流出した低圧のガス冷媒とは、ガス側分岐管105を介してガス側主管103で合流し、室外機10に流入する。室外機10に流入した低圧のガス冷媒は、冷媒流路切替装置12およびアキュムレータ15を通過して、圧縮機11へ吸入される。
(暖房運転)
暖房運転時、冷媒流路切替装置12は、図2の破線で示すように、圧縮機11の吐出側と室内機20側とが接続されるように切り替えられる。そして、低温低圧の冷媒が圧縮機11によって圧縮され、高温高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒は、冷媒流路切替装置12を介して室外機10から流出する。
室外機10から流出した高温高圧のガス冷媒は、ガス側主管103を流れた後にガス側分岐管105によって分岐され、室内機20および調湿装置30に流入する。
室内機20に流入した高温高圧のガス冷媒は、室内熱交換器22に流入する。室内熱交換器22に流入した高温高圧のガス冷媒は、室内送風機23によって取り込まれた室内空気と熱交換して放熱しながら凝縮し、高圧の液冷媒となって室内熱交換器22から流出する。室内熱交換器22から流出した高圧の液冷媒は、膨張弁21によって減圧されて低温低圧の気液二相冷媒となり、室内機20から流出する。
また、調湿装置30に流入した高温高圧のガス冷媒は、流路が2つに分岐され、上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bに流入する。上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bのそれぞれに流入した高温高圧のガス冷媒は、調湿送風機33によって取り込まれた室内空気と熱交換して放熱しながら凝縮し、高圧の液冷媒となって上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bから流出する。
上流熱交換器32aから流出した高圧の液冷媒は、上流側流量調整弁34aを介して下流熱交換器32bから流出した高圧の液冷媒と合流し、膨張弁31に流入する。膨張弁31に流入した高圧の液冷媒は、減圧されて低温低圧の気液二相冷媒となり、調湿装置30から流出する。
室内機20から流出した低温低圧の気液二相冷媒と、調湿装置30から流出した低温低圧の気液二相冷媒とは、液側分岐管104を介して液側主管102で合流し、室外機10に流入する。室外機10に流入した低温低圧の気液二相冷媒は、室外熱交換器13に流入する。室外熱交換器13に流入した低温低圧の気液二相冷媒は、室外送風機14によって取り込まれた室外空気と熱交換して吸熱および蒸発し、低圧のガス冷媒となって室外熱交換器13から流出する。室外熱交換器13から流出した低圧のガス冷媒は、冷媒流路切替装置12およびアキュムレータ15を通過して、圧縮機11へ吸入される。
(冷房運転時の調湿装置30の動作)
冷房運転時において、調湿装置30では、冷房吸着運転または冷房脱着運転が行われる。冷房吸着運転および冷房脱着運転は、上流側流量調整弁34aの開度によって切り替えられる。以下では、調湿装置30による冷房吸着運転および冷房脱着運転について説明する。
(冷房吸着運転)
冷房吸着運転は、例えば、後述する冷房脱着運転の後に実行される。図5は、図2の調湿装置30における冷房吸着運転時の動作について説明するための概略図である。冷房吸着運転時において、調湿装置30は、上記の冷房運転と同様に動作する。また、上流側流量調整弁34aの開度は相対的に高開度に設定される。これにより、上流熱交換器32aに流れる冷媒の流量が大きくなる。そのため、上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bは、ともに蒸発器として機能する。吸脱着装置35の吸着部材は、例えば周囲空気の相対湿度で飽和しており、水分の保持量が相対的に少ない状態にある。
図6は、冷房吸着運転時に調湿装置30を通過する空気の状態変化を示す湿り空気線図である。図6の横軸は温度[℃]を示し、縦軸は絶対湿度(kg/kg)を示す。図6中の点A1、点B1、点C1および点D1は、図5中の(A1)、(B1)、(C1)および(D1)の位置にそれぞれ対応している。
上流熱交換器32aに流入する前の室内空気は、点A1の状態にある。上流熱交換器32aを通過した空気は、冷媒との熱交換により冷却除湿され、低温かつ相対湿度の高い状態となって(点B1)、吸脱着装置35に流入する。相対湿度の高い空気が吸脱着装置35を通過するため、吸脱着装置35の吸着部材では、空気中の水分を吸着して吸着熱を放熱する吸着反応が生じる。これにより、吸脱着装置35を通過した空気は、吸着反応により除湿されるとともに加熱され、絶対湿度が低下した状態となって(点C1)、下流熱交換器32bに流入する。下流熱交換器32bを通過した空気は、冷媒との熱交換により冷却され(点D1)、室内に供給される。
すなわち、冷房吸着運転では、調湿装置30に吸い込まれた室内空気が、上流熱交換器32aでの冷却と吸脱着装置35での吸着反応とにより除湿され、さらに下流熱交換器32bで冷却される。これにより、室内には低温で絶対湿度の低い空気が供給される。
(冷房脱着運転)
冷房脱着運転は、例えば冷房吸着運転の後に実行される。図7は、図2の調湿装置30における冷房脱着運転時の動作について説明するための概略図である。冷房脱着運転時において、調湿装置30は、上記の冷房運転と同様に動作する。また、上流側流量調整弁34aの開度が相対的に低開度に設定される。これにより、上流熱交換器32aに冷媒が流れなくなるか、または上流熱交換器32aに流れる冷媒の流量が小さくなる。そのため、上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bは、ともに蒸発器として機能するものの、上流熱交換器32aの蒸発器としての能力は、小さい、もしくはゼロとなっている。吸脱着装置35の吸着部材は、例えば冷房吸着運転で吸脱着装置35に流入した空気の相対湿度で飽和しており、水分の保持量が相対的に多い状態にある。
図8は、冷房脱着運転時に調湿装置30を通過する空気の状態変化を示す湿り空気線図である。図8の横軸は温度[℃]を示し、縦軸は絶対湿度[kg/kg]を示す。図8中の点A2、点B2、点C2および点D2は、図7中の(A2)、(B2)、(C2)および(D2)の位置にそれぞれ対応している。
上流熱交換器32aに流入する前の室内空気は、点A2の状態にある。上流熱交換器32aを通過した空気は、冷媒との熱交換がほとんど行われないため点A2と同じ状態を維持し(点B2)、吸脱着装置35に流入する。相対湿度が低い空気が吸脱着装置35を通過し、かつ吸脱着装置35の吸着部材の水分保持量が多くなっているため、吸着部材では、空気中に水分を放出して脱着熱を吸熱する脱着反応が生じる。これにより、吸着部材の水分保持量が減少し、吸着部材が再生される。また、吸脱着装置35を通過した空気は、脱着反応により加湿されるとともに冷却され、低温かつ高湿の空気となって(点C2)、下流熱交換器32bに流入する。下流熱交換器32bを通過した空気は、冷媒との熱交換により冷却除湿され(点D2)、低温でかつ絶対湿度が低下した給気として室内に供給される。
すなわち、冷房脱着運転では、調湿装置30に吸い込まれた室内空気が、吸脱着装置35での脱着反応により加湿されるものの、下流熱交換器32bでの冷却により除湿される。これにより、室内には低温で絶対湿度の低い空気が供給される。
(運転切替制御)
本実施の形態1では、除湿を行う際に冷房吸着運転と冷房脱着運転とを交互に実行する必要がある。冷房吸着運転と冷房脱着運転とを切り替えるタイミングは、各運転が開始されてからの時間などに基づいて判断される。例えば、冷房吸着運転と冷房脱着運転とは10分毎に切り替えられる。本実施の形態1の冷房吸着運転および冷房脱着運転では、室外のように環境変化が大きい空間の空気ではなく、室内などの環境変化が小さい空間の空気を用いて、吸着部材に対する水分の吸着および脱着が行われる。このため、吸着部材が平衡状態となる条件を予測しやすくなる。
したがって、予め設定された切替時間で冷房吸着運転と冷房脱着運転とが切り替えられたとしても、冷房吸着運転では吸着部材の吸着能力を十分に発揮させることができ、冷房脱着運転では吸着部材の脱着能力を十分に発揮させることができる。これにより、除湿能力を維持した連続的な除湿運転が可能となる。除湿能力を最適化するために、切替時間の設定を外部からの操作により変更できるようになっていてもよい。
上述したように、冷房吸着運転で吸脱着装置35に流入する空気の温度は、冷房脱着運転で吸脱着装置35に流入する空気の温度よりも低い。また、吸着部材での水分移動速度は、低温になるほど低下する。図9は、吸脱着装置35を空気が通過する際の通過速度と水分の吸脱着速度との関係の一例を示すグラフである。図9では、異なる2つの温度T1と、温度T1よりも低い温度T2の空気が吸脱着装置35を通過する際の通過速度と水分の吸脱着速度との関係が示されている。図9に示すように、温度T2の空気が吸脱着装置35を通過する場合には、温度T1の空気が吸脱着装置35を通過する場合よりも、水分が吸着または脱着する速度が低下する。そのため、空気と吸着部材との間での水分移動量が冷房吸着運転および冷房脱着運転で同量であるとすると、冷房吸着運転の方が飽和状態までの時間が長くなる傾向にある。
したがって、冷房吸着運転の実行時間を冷房脱着運転の実行時間よりも長く設定することにより、冷房吸着運転および冷房脱着運転のそれぞれにおいて吸着部材の体積当たりの水分移動量を増加させることができる。よって、吸着部材の吸着能力および脱着能力を十分に発揮させることができ、吸着部材の体積当たりの除湿能力を向上させることができる。これにより、除湿能力を維持しつつ、吸着部材および吸脱着装置35を小型化または薄型化することができるため、吸脱着装置35での空気の圧力損失を低減させることができる。
(起動制御)
ここで、空気調和システム100では、起動制御が行われる。起動制御は、室内空気の状態量に基づき、調湿装置30の最適な起動動作を判断するものである。以下では、フローチャートを参照しながら、起動制御の処理について説明する。
図10は、図2の調湿装置30による起動制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。ステップS1において、演算処理部42は、外部から設定され記憶部44に記憶された設定温度Tmと、吸込空気温湿度センサ38の測定結果に基づき演算される室内温度Traとを比較する。
比較の結果、室内温度Traが設定温度Tmよりも大きい場合(ステップS1;Yes)、コントローラ40は、ステップS2において、調湿装置30による冷房吸着運転を行う。冷房吸着運転では、機器制御部43は、調湿装置30内に配置された上流側流量調整弁34aの開度を大きくする。これにより、調湿装置30に流入した冷媒は、上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bの両方に流れる。ここでは、設定温度Tmと室内温度Traとの温度差が大きいため、空気調和システム100には大きな冷房能力が要求される。しかしながら、このときの冷房吸着運転では、上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bの両方に冷媒が流れることにより、通過する空気の風量あたりの冷房能力が大きくなり、室内を設定温度Tmまで冷房するのに必要な時間を短縮することができる。
一方、室内温度Traが設定温度Tm以下である場合(ステップS1;No)には、処理がステップS3に移行する。ステップS3において、演算処理部42は、外部から設定され記憶部44に記憶されたた室内の設定絶対湿度AHmと、吸込空気温湿度センサ38の測定結果から得られる室内絶対湿度AHraとを比較する。
比較の結果、室内絶対湿度AHraが設定絶対湿度AHmよりも高い場合(ステップS3;Yes)、コントローラ40は、ステップS2において、調湿装置30による冷房吸着運転を行う。冷房吸着運転では、機器制御部43は、調湿装置30内に配置された上流側流量調整弁34aの開度を大きくする。これにより、調湿装置30に流入した冷媒は、上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bの両方に流れる。ここでは、室内の絶対湿度が高い状態であるため、空気調和システム100には高い除湿能力が要求されるが、このときの冷房吸着運転では、吸着反応を利用することができるため、室内への給気の湿度が低くなる。そのため、室内の湿度を、目標となる設定絶対湿度AHmに迅速に到達させることができる。
また、ステップS3において、室内絶対湿度AHraが設定絶対湿度AHm以下である場合(ステップS3;No)、コントローラ40は、ステップS4において、調湿装置30による冷房脱着運転を行う。冷房脱着運転では、機器制御部43は、上流側流量調整弁34aの開度を小さくする。これにより、調湿装置30に流入した冷媒のほとんどは、下流熱交換器32bに流入する。ここでは、室内の温度および湿度ともに設定値に近い値となっているため、空気調和システム100には大きな冷房能力は必要ない。そして、冷房脱着運転では、下流熱交換器32bのみが蒸発器として機能するため、風量あたりの冷房能力は小さくなる。これにより、能力過多による運転および運転の停止を繰り返す状態が回避されるため、制御性を向上させることができる。
以上のように、本実施の形態1に係る空気調和システム100では、風路1に設けられた上流熱交換器32aの開度を制御して、冷房吸着運転または冷房脱着運転を行うことにより、蒸発温度を上昇させた場合でも、除湿能力を維持することができる。特に、空気調和システム100では、冷房除湿運転時に蒸発温度を上昇させた場合でも、調湿装置30の下流熱交換器32bに流入する空気の露点が上昇する。そのため、蒸発温度を上昇させた場合でも除湿量を確保することができる。したがって、蒸発温度が高い状態であっても、省エネルギー性と快適性とを両立させることができる。
コントローラ40は、調湿装置30の運転を、第1の設定時間で冷房吸着運転から冷房脱着運転に切り替え、第2の設定時間で冷房脱着運転から冷房吸着運転に切り替える。このとき、第1の設定時間は、第2の設定時間よりも長くする。これにより、冷房吸着運転における吸着部材の体積当たりの水分移動量を増加させることができるため、吸着部材の体積当たりの除湿能力を向上させることができる。したがって、吸脱着装置35の除湿能力を維持しつつ、吸脱着装置35を小型化または薄型化することができる。
演算処理部42は、調湿装置30の運転を開始する際に、室内温度が設定温度よりも高い場合に、冷房吸着運転で開始する。また、演算処理部42は、室内温度が設定温度以下であり、かつ室内絶対湿度が設定絶対湿度よりも高い場合に、冷房吸着運転で開始する。さらに、演算処理部42は、室内温度が設定温度以下であり、かつ室内絶対湿度が設定絶対湿度以下である場合に、冷房脱着運転で開始する。これにより、室内空気の状態に応じた運転が行われるため、省エネルギー性を向上させるとともに、快適性を維持することができる。
空気調和システム100において、吸着部材は、相対湿度が40〜100%の空気に対する単位質量あたりの平衡吸着量が、相対湿度の上昇に対して直線的に増加する。また、吸着部材は、相対湿度が80〜100%の空気に対する平衡吸着量が、相対湿度が40〜60%の空気に対する平衡吸着量に対して1.2倍以上である。これにより、冷房吸着運転時に流入する空気温度の低下による吸着部材の除湿能力の低下を抑制できるとともに、吸着部材の質量当たりの除湿量を十分に多くすることができる。
なお、調湿装置30は、室外機10と接続された状態で室内に配置される。そのため、調湿装置30に圧縮機11を搭載する必要がなく、装置を軽量化することができる。また、調湿装置30は、従来の室内機と同様の配管で接続することができる。そのため、従来の空気調和システムからの交換を容易に行うことができる。そして、室外機10に対して複数の室内機20が接続されている場合には、室内機20と調湿装置30の設置台数を変更することができる。そのため、調湿装置30による除湿能力を、環境に応じて変更することができる。
吸脱着装置35で使用される吸着剤の吸着速度および脱着速度は、図9に示すように、風速依存性に加えて温度依存性があり、温度が高いほど吸着、脱着速度が高くなる。そのため、脱着されるときの空気温度と、吸着されるときの空気温度との温度差が大きい場合には、吸着速度と脱着速度との速度差も大きくなる。しかし、吸着および脱着での水分移動の合計量は、吸着速度または脱着速度の遅い方で平衡してしまう。本実施の形態1において、調湿装置30の吸着と脱着とにおける空気温度の差は、脱着時に加熱していないために加熱手段がある場合と比較すると小さくなり、吸着と脱着との速度差が小さくなる。そのため、吸着速度および脱着速度が均一に近くなるので、吸着部材の特性を十分に利用することができる。
さらに、吸脱着装置35は、風路1内に固定され静止している。そのため、デシカントロータのように回転などの動作を行うための形状の制限がなく、吸脱着装置35の通風面積を風路1の形状に合わせることができる。そして、通風面積を多く確保して風速を減少させることにより、圧力損失を低減することができ、また、吸脱着装置35の吸着部材の空気との接触面積を増加させて吸脱着量を増加させることができる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。梅雨などの季節では、低能力での冷房時にも除湿が必要となる。しかしながら、実施の形態1による冷房吸着運転では、上流熱交換器32aおよび下流熱交換器32bでの熱交換面積が大きいため、除湿能力を確保すると顕熱処理能力が必要以上に大きくなってしまう。これにより、顕熱負荷が小さいときには、圧縮機11の運転および停止が高頻度で繰り返されてしまう。
したがって、室温の変動が生じたり、起動入力の増大による省エネルギー性の悪化が生じたりする場合があった。そこで、本実施の形態2では、冷房吸着運転および冷房脱着運転に加えて、顕熱処理能力を抑えつつ除湿能力が確保できる高除湿運転を行う。
[空気調和システム100の構成]
図11は、本実施の形態2に係る空気調和システム100の構成の一例を示す冷媒回路図である。なお、実施の形態1と共通する部分については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図11に示すように、本実施の形態2では、上流熱交換器32aを流れる冷媒の流量を調整する上流側流量調整弁34aに加えて、下流熱交換器32bを流れる冷媒の流量を調整する下流側流量調整弁34bが設けられている。
下流側流量調整弁34bは、冷房運転時の冷媒の流れにおいて下流熱交換器32bの入口側に設けられている。下流側流量調整弁34bは、開度が制御されることにより、冷房運転時に下流熱交換器32bを流れる冷媒の流量を調整する。下流側流量調整弁34bの開度は、調湿装置制御基板39を介してコントローラ40によって制御される。
[冷房運転時の調湿装置30の動作]
冷房運転時の調湿装置30の動作について説明する。本実施の形態2に係る調湿装置30では、冷房運転時に、実施の形態1で説明した冷房吸着運転および冷房脱着運転に加えて、高除湿運転が行われる。冷房吸着運転、冷房脱着運転および高除湿運転は、上流側流量調整弁34aおよび下流側流量調整弁34bの開度によって切り替えられる。なお、冷房吸着運転および冷房脱着運転については、実施の形態1と同様であるため、以下では、調湿装置30による高除湿運転について説明する。
(高除湿運転)
図12は、図11の調湿装置30における高除湿運転時の動作について説明するための概略図である。高除湿運転は、例えば冷房脱着運転の後に実行される。高除湿運転時には、上流側流量調整弁34aの開度が相対的に高開度に設定される。これにより、上流熱交換器32aに流れる冷媒の流量が大きくなり、上流熱交換器32aにおける冷媒と空気との熱交換量が多くなる。また、高除湿運転時には、下流側流量調整弁34bの開度が相対的に低開度に設定される。これにより、下流熱交換器32bに冷媒が流れなくなるか、または下流熱交換器32bに流れる冷媒の流量が小さくなり、下流熱交換器32bにおける冷媒と空気との熱交換量が少なくなる。吸脱着装置35の吸着部材は、例えば冷房脱着運転で流入する空気の相対湿度で飽和しており、水分の保持量が相対的に少ない状態にある。
図13は、高除湿運転時に調湿装置30を通過する空気の状態変化を示す湿り空気線図である。図13の横軸は温度[℃]を表し、縦軸は絶対湿度[kg/kg]を表している。図13中の点A3、B3、C3およびD3は、図12中の(A3)、(B3)、(C3)および(D3)の位置にそれぞれ対応している。
上流熱交換器32aに流入する前の室内空気は、点A3の状態にある。上流熱交換器32aを通過した空気は、冷媒との熱交換により冷却除湿され、低温かつ相対湿度の高い状態となって(点B3)、吸脱着装置35に流入する。相対湿度が高い空気が吸脱着装置35を通過するため、吸脱着装置35の吸着部材では吸着反応が生じる。これにより、吸脱着装置35を通過した空気は、吸着反応によって除湿されるとともに加熱され、絶対湿度が低下した状態となって(点C3)、下流熱交換器32bに流入する。下流熱交換器32bを通過した空気は、冷媒との熱交換がほとんど行われないため点C3と同じ状態を維持し(点D3)、給気として室内に供給される。
ここで、室内に供給される給気の状態(点D3)は、上流熱交換器32aで冷却除湿された後の状態(点B3)と比較すると、絶対湿度が低くかつ温度が高くなっている。また、高湿度運転時の給気の状態(図13の点D3)は、通常の冷房運転時、例えば冷房吸着運転時の給気の状態(図3の点D1)と比較すると、絶対湿度が同等でかつ温度が高くなっている。すなわち、高除湿運転時の除湿能力は通常の冷房運転時と同等であり、高除湿運転時の顕熱処理能力は通常の冷房運転時よりも低く抑えられている。したがって、高除湿運転は、除湿能力が高く顕熱処理能力が低い運転状態となる。
(運転切替制御)
本実施の形態2では、除湿を行う際に冷房吸着運転、冷房脱着運転および高除湿運転を切り替えて実行する必要がある。これらの運転は、冷房負荷、例えば室温と設定温度との温度差に基づいて切り替えることができる。
例えば、室温が設定温度以上である場合において、室温と設定温度との温度差の絶対値が閾値温度差よりも大きいときには、冷房吸着運転と冷房脱着運転とが交互に切り替えられる。室温が設定温度以上である場合において、室温と設定温度との温度差の絶対値が閾値温度差以下であるときには、冷房脱着運転と高除湿運転とが交互に切り替えられる。室温が設定温度よりも低い場合にも、冷房脱着運転と高除湿運転とが交互に切り替えられる。これにより、冷房負荷が小さい場合には、除湿能力が高く顕熱処理能力が低い高除湿運転が実行されるため、室温の変動および省エネルギー性の悪化を抑えつつ除湿を行うことができる。
一方、冷房負荷が大きい場合には、除湿能力および顕熱処理能力が高い冷房吸着運転が実行される。なお、冷房吸着運転と冷房脱着運転とが切り替えられるタイミング、および冷房脱着運転と高除湿運転とが切り替えられるタイミングは、実施の形態1と同様に、時間に基づいて判断されるようにしてもよい。例えば、高除湿運転の時間は、冷房脱着運転の時間と比較して長くすると好ましい。これは、吸着部材の体積当たりの水分移動量を増加させるためである。
高除湿先運転では、冷房吸着運転と同様に、吸脱着装置35に流入する空気の温度が低くなる。したがって、高除湿運転の実行時間を冷房脱着運転の実行時間よりも長く設定することにより、高除湿運転および冷房脱着運転のそれぞれにおいて吸着部材の体積当たりの水分移動量を増加させることができる。よって、吸着部材の吸着能力および脱着能力を十分に発揮させることができ、吸着部材の体積当たりの除湿能力を向上させることができる。これにより、除湿能力を維持しつつ、吸着部材および吸脱着装置35を小型化または薄型化することができるため、吸脱着装置35での空気の圧力損失を低減させることができる。
(起動制御)
図14は、図11の調湿装置30による起動制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。ステップS11において、演算処理部42は、外部から設定され記憶部44に記憶された設定温度Tmと、吸込空気温湿度センサ38の測定結果に基づき演算される室内温度Traとを比較する。比較の結果、室内温度Traが設定温度Tmよりも大きい場合(ステップS11;Yes)、コントローラ40は、ステップS12において、実施の形態1(図10のステップS2)と同様に、調湿装置30による冷房吸着運転を行う。
一方、室内温度Traが設定温度Tm以下である場合(ステップS11;No)には、処理がステップS13に移行する。ステップS13において、演算処理部42は、外部から設定され記憶部44に記憶されたた室内の設定絶対湿度AHmと、吸込空気温湿度センサ38の測定結果から得られる室内絶対湿度AHraとを比較する。
比較の結果、室内絶対湿度AHraが設定絶対湿度AHmよりも高い場合(ステップS13;Yes)、コントローラ40は、ステップS14において、調湿装置30による高除湿運転を行う。高除湿運転では、機器制御部43は、調湿装置30内に配置された上流側流量調整弁34aの開度を大きくするとともに、下流側流量調整弁34bの開度を小さくする。これにより、調湿装置30に流入した冷媒のほとんどが上流熱交換器32aに流れる。
また、ステップS13において、室内絶対湿度AHraが設定絶対湿度AHm以下である場合(ステップS13;No)、コントローラ40は、ステップS15において、実施の形態1(図10のステップS4)と同様に、調湿装置30による冷房脱着運転を行う。
このように、本実施の形態2では、高除湿運転を行うことにより、除湿能力を低下させることなく、低能力運転を実現することができる。これにより、室内の温度変化が少なくなるため、圧縮機11のONおよびOFFの頻発が抑制される。したがって、起動エネルギーを削減することができ、省エネルギー性を向上させることができる。
また、本実施の形態2において、高除湿運転の時間は冷房脱着運転の時間と比較して長くなっている。これにより、吸着部材の体積当たりの水分移動量を増加させることができるため、吸脱着装置35の除湿能力を維持しつつ、吸脱着装置35を小型化または薄型化することができる。
以上のように、本実施の形態2に係る空気調和システム100において、調湿装置30は、下流熱交換器32bに流れる冷媒の流量を調整する下流側流量調整弁34bをさらに有し、下流側流量調整弁34bの開度が制御されることにより、冷房吸着運転、冷房脱着運転または高除湿運転が行われる。これにより、実施の形態1と同様に、蒸発温度が高い状態であっても、省エネルギー性と快適性とを両立させることができる。
演算処理部42は、調湿装置30の運転を開始する際に、室内温度が設定温度よりも高い場合に、冷房吸着運転で開始する。また、演算処理部42は、室内温度が設定温度以下であり、かつ室内絶対湿度が設定絶対湿度よりも高い場合に、高除湿運転で開始する。さらに、演算処理部42は、室内温度が設定温度以下であり、かつ室内絶対湿度が設定絶対湿度以下である場合に、冷房脱着運転で開始する。これにより、実施の形態1と同様に、室内空気の状態に応じた運転が行われるため、省エネルギー性を向上させるとともに、快適性を維持することができる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。吸脱着装置35は熱容量を持っているため、実施の形態1および2では、吸着運転である冷房吸着運転または高除湿運転と、脱着運転である冷房脱着運転との切替えが行われるときに熱損失が発生してしまう。また、実施の形態1および2では、上流熱交換器32aと下流熱交換器32bとの間に吸脱着装置35が配置されているため、調湿装置30が大型化してしまう場合がある。
そこで、本実施の形態3では、上流熱交換器および下流熱交換器のいずれとも別体となる吸脱着装置を設けずに、上流熱交換器と吸着部材とが一体化した吸着熱交換器を設ける。
[空気調和システム100の構成]
図15は、本実施の形態3に係る空気調和システム100の構成の一例を示す冷媒回路図である。なお、実施の形態1および2と共通する部分については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図15に示すように、本実施の形態3では、実施の形態1および2における吸脱着装置35が除かれるとともに、上流熱交換器32aと吸着部材とが一体化した吸着熱交換器51が設けられている。
吸着熱交換器51は、下流熱交換器32bと並列に接続されるとともに、調湿装置30における風路1の最上流に配置されている。吸着熱交換器51は、上流熱交換器32aの表面に吸着部材が形成されている。吸着部材は、上流熱交換器32aの表面に塗布または担持されることによって形成されている。吸着熱交換器51では、上流熱交換器32aで蒸発した冷媒の蒸発熱を、空気を介さずに吸着部材の吸着反応に直接用いることができる。
[冷房運転時の調湿装置30の動作]
冷房運転時の調湿装置30の動作について説明する。本実施の形態3に係る調湿装置30では、冷房運転時に、実施の形態2と同様に、冷房吸着運転、冷房脱着運転および高除湿運転が行われる。冷房吸着運転、冷房脱着運転および高除湿運転は、上流側流量調整弁34aおよび下流側流量調整弁34bの開度によって切り替えられる。なお、冷房吸着運転および冷房脱着運転については、実施の形態1および2と同様であるため、以下では、調湿装置30による高除湿運転について説明する。
(冷房吸着運転)
図16は、図15の調湿装置30における冷房吸着運転時の動作について説明するための概略図である。冷房吸着運転時には、上流側流量調整弁34aの開度が相対的に高開度に設定され、下流側流量調整弁34bの開度が相対的に高開度に設定される。
図17は、冷房吸着運転時に調湿装置30を通過する空気の状態変化を示す湿り空気線図である。図17中の点A1、点B1および点C1は、図16中の(A1)、(B1)および(C1)の位置にそれぞれ対応している。
図17では、図6に示した実施の形態1の空気の状態変化を破線で示している。実施の形態1では、上流熱交換器32aでの冷媒の蒸発熱が、風路1を流れる空気を介して吸脱着装置35の吸着部材に伝達される。そのため、冷媒の蒸発熱が吸着部材以外の部材に放熱される熱損失が生じてしまう場合がある。
これに対し、本実施の形態3では、冷媒の蒸発熱が空気を介さずに吸着部材に直接伝達されるため、上記の熱損失の発生を防ぐことができ、吸着部材を高効率で冷却することができる。したがって、冷房吸着運転において蒸発温度を高く設定することができるため、空気調和システム100の省エネルギー性を向上させることができる。
(冷房脱着運転)
図18は、図15の調湿装置30における冷房脱着運転時の動作について説明するための概略図である。冷房脱着運転時には、上流側流量調整弁34aの開度が相対的に低開度に設定され、下流側流量調整弁34bの開度が相対的に高開度に設定される。
図19は、冷房脱着運転時に調湿装置30を通過する空気の状態変化を示す湿り空気線図である。図19中の点A2、点B2および点C2は、図18中の(A2)、(B2)および(C2)の位置にそれぞれ対応している。図19に示す点A2の空気の状態は、図8に示した点A2または点B2の空気の状態と同様である。また、図19に示す点B2および点C2の空気の状態は、図8に示した点C2および点D2の空気の状態とそれぞれ同様である。
(高除湿運転)
図20は、図15の調湿装置30における高除湿運転時の動作について説明するための概略図である。高除湿運転時には、上流側流量調整弁34aの開度が相対的に高開度に設定され、下流側流量調整弁34bの開度が相対的に低開度に設定される。
図21は、高除湿運転時に調湿装置30を通過する空気の状態変化を示す湿り空気線図である。図21中の点A3、点B3および点C3は、図20中の(A3)、(B3)および(C3)の位置にそれぞれ対応している。
図21では、図13に示した実施の形態2の空気の状態変化を破線で示している。実施の形態2では、上流熱交換器32aでの冷媒の蒸発熱が、風路1を流れる空気を介して吸脱着装置35の吸着部材に伝達される。そのため、冷媒の蒸発熱が吸着部材以外の部材に放熱される熱損失が生じてしまう場合がある。
これに対し、本実施の形態3では、冷媒の蒸発熱が空気を介さずに吸着部材に直接伝達されるため、上記の熱損失の発生を防ぐことができ、吸着部材を高効率で冷却することができる。したがって、高除湿運転において蒸発温度を高く設定することができるため、空気調和システム100の省エネルギー性を向上させることができる。
(運転切替制御および起動制御)
本実施の形態3に係る調湿装置30による運転切替制御および起動制御は、実施の形態2と同様であるため、ここでは説明を省略する。
以上のように、本実施の形態3に係る空気調和システム100では、上流熱交換器32aおよび吸脱着装置35に代えて、表面に吸着部材が設けられた吸着熱交換器51が用いられている。これにより、実施の形態1および2と同様の運転制御が行われるとともに、同様の効果を得ることができる。また、吸脱着装置35が不要となるため、調湿装置30を小型化することができる。
さらに、冷房吸着運転または高除湿運転が行われる際には、冷媒の蒸発熱を、空気を介さずに吸着部材に伝達することができる。これにより、熱損失の発生を防ぐことができ、吸着部材を高効率で冷却することができる。したがって、冷房吸着運転または高除湿運転において蒸発温度を高く設定することができるため、空気調和システム100の省エネルギー性を向上させることができる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態4では、室外機を複数設け、室内機および調湿装置のそれぞれに対して異なる室外機を接続する。
[空気調和システム200の構成]
図22は、本実施の形態4に係る空気調和システム200の構成の一例を示す概略図である。図22に示すように、空気調和システム200は、室外機10aおよび10b、室内機20、調湿装置30ならびにコントローラ40を備えている。
室外機10aは、液側主管102aおよびガス側主管103a、ならびに伝送線101aで室内機20と接続されている。室外機10bは、液側主管102bおよびガス側主管103b、ならびに伝送線101bで調湿装置30と接続されている。
なお、空気調和システム200の動作については、実施の形態1〜3で説明した空気調和システム100と同様であるため、説明を省略する。
このように、室内機20および調湿装置30に対して、それぞれ異なる室外機10aおよび10bが接続されることにより、室外機10aの蒸発温度を目標室内温度に応じて設定することができる。そのため、蒸発温度をさらに上昇させて消費電力を低減し、省エネルギー性を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態1〜4について説明したが、本発明は、上述した本発明の実施の形態1〜4に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、実施の形態1〜3において、膨張弁21および31のそれぞれは、室内機20および調湿装置30それぞれに設けられているように説明したが、これに限られず、例えば室外機10に設けられてもよい。