[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫が組み込まれた対面式キッチンの概念図である。対面式キッチン500は、例えば図1に示すようなアイランド式のキッチンであり、対面する一方はキッチンルームに面し、対面するもう一方はダイニングあるいはリビングルーム等(ダイニング・リビング)に面している。対面式キッチン500には、冷蔵庫100のほかに、例えば、IHクッキングヒータなどの加熱調理器200、シンク300等が組み込まれている。
冷蔵庫100は、対面式キッチン500に設けられており、キッチンルーム側に位置する一方の扉11と、ダイニング・リビング側に位置する他方の扉12と、を有している。キッチンルーム側から一方の扉11が開閉され、ダイニング・リビング側から他方の扉12が開閉される。すなわち、冷蔵庫100は、対面するそれぞれの面から内部の食品を取り出し可能な構成となっている。なお、対面式キッチン500は、アイランド型に限るものではなく、対面する一方がキッチンルームに面し、対面するもう一方がダイニングあるいはリビングルーム等に面するものであれば、壁や他の家具に接触して設置されたカウンター型であってもよい。
図2は、本実施の形態1における対面式キッチンに組み込まれた冷蔵庫の概略構成図であり、図1の対面式キッチン500において、冷蔵庫100が組み込まれた部分に係る側面断面図である。
図2に示すように、冷蔵庫100は、2方向に開口する庫内貯蔵空間3が形成された断熱性を有する断熱筐体10と、庫内貯蔵空間3の一方の開口に開閉自在に設けられた一方の扉11と、庫内貯蔵空間3の他方の開口に開閉自在に設けられた他方の扉12と、一方の扉11及び他方の扉12の少なくとも一方に連動してスライドする複数の収納ケース6a〜6dと、庫内貯蔵空間3内を冷却する冷却ユニットと、複数の収納ケース6a〜6d内の温度情報を検出する温度センサ8a〜8dと、温度センサ8a〜8dにおいて検出された温度情報に基づいて、複数の収納ケース6a〜6d内の温度がそれぞれ目標温度となるように上記冷却ユニットを制御する温度制御装置31と、を有している。
ここで、扉用収納ケース6aと大物収納ケース6bは、一方の扉11に連動しており、キッチンルーム側から引き出される。扉用収納ケース6aと大物収納ケース6bには、料理に使用する主に調味料等の食品が収納される。例えば、扉用収納ケース6aには、胡椒や小瓶に詰め替えられた醤油又はみりん等の小物が保管される。大物収納ケース6bには、小瓶に詰め替える前の調味料の大瓶、サラダ油、又は味噌などの他、ストックとして買い置きされた調味料等が保管される。また、大物収納ケース6bには、一般的に冷却機能のない収納庫などに保管される米や小麦粉等の大物を保存するようにしてもよい。
一方、飲料収納ケース6cは、他方の扉12に連動しており、ダイニング・リビング側のみから引き出される。飲料収納ケース6cには、食事の際に必要となる飲料又は調味料、例えばワインなどの酒類、ドレッシング、又は焼き肉のタレなどが保存される。
マルチアクセスケース6dは、一方の扉11及び他方の扉12の双方に連動しており、キッチンルーム側及びダイニング・リビング側のどちらからでも食品の出し入れが可能となっている。マルチアクセスケース6dには、料理と食事のどちらでも使用する食品、例えば塩、ソースなどの調味料、又はバター、牛乳などの飲料などが保存される。
断熱筐体10は、庫内貯蔵空間3を取り囲むものであり、断熱材4と、断熱材4の内側の金属壁5とにより、外部との熱の授受を抑制している。また、一方の扉11及び他方の扉12の内壁にも、断熱材4と、断熱材4の内側の金属壁5との層が形成されており、外部との熱の授受を抑制している。
庫内貯蔵空間3には、食品を載置するための複数の収納ケースとして、扉用収納ケース6a、大物収納ケース6b、飲料収納ケース6c、及びマルチアクセスケース6dが設置されている。扉用収納ケース6aは、一方の扉11の内側面(庫内貯蔵空間3側の側面)に固定されている。各収納ケース6b、6c、6dはそれぞれ、各案内レール7b、7c、7d1及び7d2によって案内される。
具体的には、大物収納ケース6bは、一方の扉11に接続された第1案内レール7bに沿ってスライドし、飲料収納ケース6cは、他方の扉12に接続された第2案内レール7cに沿ってスライドして開閉される構成となっている。また、マルチアクセスケース6dは、一方の扉11に接続された一方の案内レール7d1、または他方の扉12に接続された他方の案内レール7d2に沿って、スライドして開閉される構成となっている。すなわち、マルチアクセスケース6dは、一方の扉11と他方の扉12との双方に連動するものであり、キッチンルーム側とダイニング・リビング側との両側からアクセスすることができる。したがって、キッチンルーム側とダイニング・リビング側との双方において必要となる同一の食品をそれぞれの側から取り出せない、という従来の課題を解決することができる。
温度センサ8a〜8dは、複数の収納ケース6a〜6dの近傍の金属壁5(断熱筐体10の壁面)に設けられた壁面温度センサからなり、収納ケース6a〜6dのそれぞれの周囲の温度を温度情報として検出するものである。具体的には、温度センサ8aが、扉用収納ケース6aの近傍における壁面温度を検出し、温度センサ8bが、大物収納ケース6bの近傍における壁面温度を検出する。また、温度センサ8cが、飲料収納ケース6cの近傍における壁面温度を検出し、温度センサ8dが、マルチアクセスケース6dのそれぞれの近傍における壁面温度を検出する。
庫内貯蔵空間3の下部には、金属壁5を隔てて排熱風路9が設置され、排熱風路9のダイニング・リビング側の壁面には排熱風路吸気口9aが、キッチンルーム側壁面には排熱風路排気口9bが、それぞれ配置されている。排熱風路9の内部には、庫内貯蔵空間3内を冷却する冷却ユニット41が設けられている。本実施の形態1における冷却ユニット41は、冷却面及び放熱面を有するペルチェ素子51a及び52aと、ペルチェ素子51a及び52aの放熱面に設けられた放熱フィン51b及び52bと、を含んで構成されたプレート式の2つのペルチェユニット51及び52と、排熱風路9内の排熱を排気するための排気ファン13と、を有している。
ペルチェユニット51及び52は、ペルチェ素子51a及び52aの冷却面(吸熱面)が金属壁5と接触するように取り付けられており、ペルチェユニット51及び52の放熱面には、それぞれ放熱フィン51b及び52bが設けられている。また、ペルチェユニット51及び52は、放熱フィン51b及び52bによる放熱を促す放熱ファン51c及び52cを有している。
排熱風路9内における冷却ユニット41の各構成は、排熱風路吸気口9a側から、一方の扉11側のペルチェユニット51、他方の扉12側のペルチェユニット52、排気ファン13の順で配置されている。また、壁面温度センサ8a〜8dとペルチェユニット51及び52は、冷蔵庫100の制御基板(図示せず)に実装された温度制御装置31に接続されている。温度制御装置31は、検出温度センサ8a〜8dから収納ケース6a〜6dそれぞれの周囲の温度情報を受信し、受信した温度情報に基づいてペルチェユニット51とペルチェユニット52とを個別に制御する制御信号を生成するものである。そして、温度制御装置31は、生成した制御信号をペルチェユニット51及び52に送信することにより、複数の収納ケース6a〜6d内の温度がそれぞれの目標温度となるように制御するものである。
本実施の形態1の冷却ユニット41は、ペルチェユニット51とペルチェユニット52との間に冷却能力の差を持たせている。すなわち、排熱風路吸気口9a側には、相対的に冷却能力が高いペルチェユニット51を配置している。これにより、庫内貯蔵空間3内が、キッチンルーム側からダイニング・リビング側へ向かって徐々に温度が低くなるという温度分布を実現している(詳細については後述する。)。
次に、図1及び図2を参照して、一方の扉11及び他方の扉12の開閉動作の一例を説明する。図1に示すキッチンルーム側のユーザのように、一方の扉11を引き出した際には、一方の扉11に固定された扉用収納ケース6aと共に、大物収納ケース6bが第1案内レール7bに沿ってスライドして、キッチンルーム側へと引き出される。その際、さらにマルチアクセスケース6dが一方の案内レール7d1に沿ってスライドして、キッチンルーム側へと引き出される。
一方、図1に示すダイニング・リビング側のユーザのように、他方の扉12を引き出した際には、飲料収納ケース6cが第2案内レール7cに沿ってスライドし、ダイニング・リビング側へと引き出される。その際、さらにマルチアクセスケース6dが他方の案内レール7d2に沿ってスライドして、ダイニング・リビング側へと引き出される。
上記の通り、マルチアクセスケース6dは、キッチンルーム側からもダイニング・リビング側からも引き出し可能となっている。ただし、何れか一方の扉が開いている状態、すなわち、例えば一方の扉11が開き、マルチアクセスケース6dが一方の案内レール7d1に沿ってキッチンルーム側へと引き出されている状態においては、マルチアクセスケース6dは、反対側に配置された他方の案内レール7d2から外れた状態となっている。このため、一方の扉11が引き出されている場合に、他方の扉12を引き出しても、マルチアクセスケース6dは、一方の案内レール7d1上に残り、ダイニング・リビングルーム側へは引き出されない。すなわち、一方の扉11及び他方の扉12は、水平方向にスライドしながら開閉させるスライド機構として、第1案内レール7b、第2案内レール7c、一方の案内レール7d1、及び他方の案内レール7d2を有しているため、スライド方式による開閉が可能となっている。
以上のように、複数の収納ケース6a〜6dを有する冷蔵庫100によれば、キッチンルーム側の収納ケース6a及び6bには料理用、ダイニング・リビング側の収納ケース6cには食事用、両側からアクセスできるマルチアクセスケース6dには料理及び食事兼用の食品を保存するといった具合に、料理又は食事という用途に応じて、複数の収納ケース6a〜6dを使い分けることができる。このため、食品を容易に整理して保存することが可能となり、使い勝手の向上を図ることができる。
また、一方の扉11のみを開いて料理用の食品を出し入れしている際には、他方の扉12側から外気等が流入することがないため、他方の扉12側に保存されている食事用の食品の温度上昇を抑制することができる。同様に、他方の扉12のみを開いて食事用の食品を出し入れしている際には、一方の扉11側から外気が流入することがないため、一方の扉11側に保存されている料理用の食品の温度上昇を抑制することができる。
すなわち、本実施の形態1における冷蔵庫100は、一方の扉11及び他方の扉12の少なくとも一方に連動する複数の収納ケース6a〜6dを有することから、食品を用途ごとに整理し、扉の開閉を最小限に抑えることができるため、庫内貯蔵空間3内の温度変化を抑制し、食品の保存品質を維持することが可能となる。また、一方の扉11と他方の扉12とは、独立して開閉することができるため、図1に示すように、キッチンルーム側のユーザが料理をしている際に、ダイニング・リビング側のユーザが料理の邪魔をすることなく食事の準備を行えるというシーンが生まれ、家族・友人間等におけるコミュニケーションが向上するという利点が得られる。
次に、冷却運転時の動作の一例について説明する。庫内貯蔵空間3の底面の金属壁5に設置されたペルチェユニット51及び52は、電力が印加されることによって、金属壁5に設置された上部吸熱面(ペルチェ素子51a及び52aが金属壁5に接する面)の温度が低下し、放熱フィン51b及び52bが設置された下部放熱面の温度が上昇する。そして、印加する電力を増加することによって吸熱面と放熱面の温度差が拡大し、ペルチェユニット51及び52に備え付けられた放熱ファン51c及び52cの風量を増加することによって放熱量が上昇する。したがって、印加する電力と放熱ファン51c及び52cの風量とを変更することにより、吸熱面の温度を制御することができる。また、ペルチェユニット51及び52の各放熱面から発生し、排熱風路9内に滞留した熱は、排気ファン13によって、ダイニング・リビング側の排熱風路吸気口9aから取り込まれた空気とともに、キッチンルーム側の排熱風路排気口9bから排気される。
ここで、庫内貯蔵空間3内の複数の収納ケース6a〜6dには様々な種類の食品が保存されるが、食品には最適な保存温度帯が存在する。一般に、飲料は低温(例えば3〜5℃)で保存され、調味料は冷蔵限界以下程度(例えば10℃以下)で保存される。また、油や穀物類などのいわゆる冷暗所に保管されているものは、更に高い温度(例えば10〜15℃)で保管することができる。
上記事情に鑑みて、本実施の形態1では、図2に示すように、各収納ケース6a、6b、6c、6dの近傍の金属壁5には、それぞれ温度センサ8a、8b、8c、8dが設置されている。そして、温度センサ8a〜8dによって検出した温度情報(壁面温度)に基づいて、温度制御装置31が、ペルチェユニット51及び52に印加する電力と、放熱ファン51c及び52cの風量とを制御するように構成されている。ここで、ペルチェユニット51及び52は、庫内貯蔵空間3の底面の金属壁5に設置されているところ、金属壁5は、図2に示すように、庫内貯蔵空間3を取り囲むように設置されているため、底面の金属壁5がペルチェユニット51及び52によって冷却されると、熱伝導により天面の金属壁5も冷却される。そして、金属壁5の周囲の空気が、庫内貯蔵空間3内における熱伝達により冷却されることとなる。
すなわち、本実施の形態1では、温度センサ8a〜8dによって検出する壁面温度の目標値が、例えば収納ケース6a〜6dのそれぞれの目標温度よりも1℃〜2℃だけ低い温度に設定され、温度制御装置31が、上記目標値となるようにペルチェユニット51及び52を制御する。したがって、冷蔵庫100によれば、様々な食品が混在する一空間において、収納容積を狭める要因となる空気温度センサ又は循環ファン等を設置することなく、それぞれの食品に適した温度帯に調整された各収納ケース6a〜6d内で種々の食品を保存することができるため、食品の品質を精度よく維持することができる。
また、本実施の形態1の冷蔵庫100では、具体的に、キッチンルーム側の扉用収納ケース6aと大物収納ケース6bには、主に料理に使用する調味料又は油類(例えば10〜15℃)が、ダイニング・リビング側の飲料収納ケース6cには、主に食事時の酒類などの飲料(例えば3〜5℃)が、中央に配置されたマルチアクセスケース6dには、料理と食事のどちらの用途でも使用する調味料又は飲料(例えば5〜10℃)などが保存されることを想定している。したがって、庫内貯蔵空間3が、調味料又は油類の多いキッチンルーム側から、飲料の多いダイニング・リビング側に向かって、徐々に温度が低くなるような温度分布となるのが望ましい。
そこで、本実施の形態1では、冷却能力の異なるプレート式のペルチェユニット51及びペルチェユニット52を採用し、相対的に冷却能力の高いペルチェユニット51が、ダイニング・リビング側に配置され、相対的に冷却能力の低いペルチェユニット52が、キッチンルーム側に設置されるという構成を採っている。そして、複数の収納ケース6a〜6d内の温度がそれぞれの目標温度となるように、温度制御装置31がペルチェユニット51及び52を制御するため、同一空間内に意図的に温度分布を形成することができ、種々の食品にとってより好ましい保存環境を庫内貯蔵空間3内に実現することが可能となる。
さらに、本実施の形態1では、ペルチェユニット51及び52の排熱が、排熱風路排気口9bからキッチンルーム側へと排気されるように構成されている。かかる構成は、キッチンルームが、ダイニングあるいはリビングルーム等とは異なり、常に人がいるような生活空間ではないこと等を考慮したものである。すなわち、キッチンルームは、比較的高温となる冷却ユニット41からの排熱空気を排気しても影響が少ないと考えられ、さらに、キッチンルームには、湿気が溜まりやすいため、高温低湿の排熱空気を供給するという上記構成によれば、カビ対策を講じることもできる。
なお、図2では、一方の扉11によってのみ引き出される収納ケースとして、扉用収納ケース6a及び大物収納ケース6bを、他方の扉12によってのみ引き出される収納ケースとして飲料収納ケース6cを、一方の扉11及び他方の扉12の双方から引き出される収納ケースとしてマルチアクセスケース6dを採用した場合を例示している。しかし、一方の扉11及び他方の扉12の少なくとも一方に連動する収納ケースの構成及び引き出し方向は、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、ダイニング・リビング側にドレッシング又は薬味専用の扉用収納ケースがあってもよく、両側からアクセスできる収納ケースが複数あってもよい。したがって、冷蔵庫100は、料理又は食事などの生活シーンに合わせて両側からアクセスでき、かつ食品ごとに適した温度帯で保存されるように構成すればよい。
また、図2では、排熱風路9が庫内貯蔵空間3の下方に配置され、ペルチェユニット51及び52が庫内貯蔵空間3の底面の金属壁5に設置された構成を示しているが、排熱風路9とペルチェユニット51及び52の設置位置は、庫内貯蔵空間3の下方に限定されるものではなく、側方あるいは上方に設置されてもよい。ペルチェユニット51及び52が、側面に配置された金属壁5に設置された場合にも、底面に設置された場合と同様の効果が得られ、天面に配置された金属壁5に設置された場合には、冷気が密度差により上方から下方へ移動するため、さらに冷却速度が増加するという効果を得ることができる。
さらに、図2において、ペルチェユニット51及び52には、放熱面の放熱フィン51b及び52bに送風する放熱ファン51c及び52cが一体化して設置され、温度制御装置31が、ペルチェユニット51及び52に印加する電力と放熱ファン51c及び52cの送風量とを制御しているが、ペルチェユニット51及び52に放熱ファン51c及び52cを設置せず、排熱風路9の排気ファン13によって放熱させるようにしてもよい。この場合、放熱効果を保つためには、排気ファン13を多少大型化する必要があるが、電力又はコスト面を考慮しても、排気ファン13の大型化によるデメリットより、ファンの数を削減することによるメリットの方が大きいと考えられる。なお、放熱ファン51c及び52cを有さないプレート式ペルチェユニットを採用した場合でも、印加電力の調整により、複数の収納ケース内の温度がそれぞれの目標温度となるように制御することができる。
[実施の形態2]
図3は、本発明の実施の形態2に係る対面式キッチンに組み込まれた冷蔵庫の扉開閉方式を示す概略構成図であり、図3(A)は一方の扉11を水平に引き出したスライド方式、図3(B)は一方の扉11をキッチンルーム側へ前傾させた傾斜方式をそれぞれ示す。なお、本実施の形態2で特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図3は、図1及び図2に示した一方の扉11の開状態を示す斜視図であり、対面式キッチン500に組み込まれた冷蔵庫100のキッチンルーム側の斜視構造を示したものである。図3(A)では、一方の扉11が、キッチンルーム側へ水平に引き出されるスライド方式によって開状態となった様子を示す。すなわち、一方の扉11及び他方の扉12は、実施の形態1と同様、水平方向にスライドしながら開閉させるスライド機構を有しており、図3(A)は、スライド方式により一方の扉11を引き出したときの開状態と同一である。
また、本実施の形態2の一方の扉11は、下端部を支点として全体を傾けながら開閉させる傾斜機構を有しているため、傾斜方式での開閉が可能となっている。すなわち、図3(B)では、一方の扉11をキッチンルーム側へ前傾させた傾斜方式によって開状態となった様子を示す。
具体的には、例えば、一方の扉11を引き出すと、通常は図3(A)のスライド方式のように一方の扉11が水平に引き出されるようにしておき、一方の扉11の下端部に開閉時の支点となる軸等を設けると共に、一方の扉11の取っ手などに、開閉方式を切り替えるためのスイッチ等を設けておく。そして、スイッチ等を操作しながら一方の扉11を引き出そうとすると、図2に示す第1案内レール7bと一方の案内レール7d1が一方の扉11から外れ、扉用収納ケース6aのみが図3(B)の傾斜方式で開くというものが想定される。すなわち、本実施の形態2における一方の扉11は、上述した傾斜機構として、軸及びスイッチ等を有している。もっとも、一方の扉11に係止するフック等を案内レール7bと一方の案内レール7d1とに連結させており、スイッチを押すと、それぞれのフックのロック状態が解除されて、一方の扉11の全体が下端部を支点として開閉するように構成してもよい。
次に、図3を参照して、一方の扉11の開閉動作の一例について説明する。一方の扉11を引き出した際、一方の扉11に固定された扉用収納ケース6aとともに、大物収納ケース6b、及びマルチアクセスケース6dがスライドしてキッチンルーム側へ引き出され、図3(A)に示すように、上記3つの収納ケース6a、6b、6dが外部から見える状態となる。このとき、料理の際に高頻度で必要となる胡椒、小瓶に詰め替えられた醤油、又はみりん等の小物が保存された扉用収納ケース6aは、使用頻度が高いのに対し、小瓶に詰め替える前の調味料の大瓶、サラダ油、又は味噌などの他、ストックとして買い置きされた調味料などが保存された大物収納ケース6bは、特に使用頻度が低いものである。
したがって、扉用収納ケース6aに保存された食品を使用する目的で、図3(A)のスライド方式により一方の扉11を開閉すると、使用しない大物収納ケース6bやマルチアクセスケース6dも引き出されて外気にさらされてしまうため、無駄な温度上昇により大物収納ケース6b及びマルチアクセスケース6dに収納された食品の保存品質に影響が及んでしまう。また、スライド方式は、開閉面積が相対的に大きくなるため、庫内貯蔵空間3全体の温度が上昇し、冷却負荷が増大してしまうことになる。
そこで、本実施の形態2では、一方の扉11が、図3(A)に示すスライド方式だけではなく、図3(B)に示す傾斜方式でも開閉できるように構成し、使用頻度の高い扉用収納ケース6aを露出させるという状態を実現している。これにより、使用しない他の収納ケースが外気にさらされることによる温度上昇が抑制され、食品の保存品質が維持される。また、一方の扉11に傾斜方式を採用することで、開閉面積をできる限り小さくすることができるため、一方の扉11の開閉による冷却負荷の上昇が抑制され、省エネルギー化を図ることができる。
図3では、一方の扉11がスライド方式と傾斜方式の2方式で開閉される例を示したが、2方式の開閉方式は、他方の扉12に適用してもよい。他方の扉12に2方式の開閉方式を採用した場合には、例えば、他方の扉12の内側面に、使用頻度の高いドレッシング又は薬味専用の扉用収納ケースを設置しておくようにする。このように構成しても、他方の扉12の開閉時に、スライド方式を用いた場合には、飲料収納ケース6c及びマルチアクセスケース6dが引き出され、傾斜方式を用いた場合には、上記扉用収納ケースのみが開閉されるため、庫内貯蔵空間3内の無駄な温度上昇や冷却負荷の上昇を抑制することができる。
[実施の形態3]
図4は、本発明の実施の形態3に係る対面式キッチンに組み込まれた冷蔵庫100Aの側面断面図である。なお、本実施の形態3で特に記述しない項目については実施の形態1又は2と同様とし、同一の構成については同一の符号を用いて述べることとする。
実施の形態1のペルチェユニット51及び52は、放熱面のみにフィンが設置されたプレート式のペルチェユニットであり、吸熱(冷却)面が金属壁5と接触するように取り付けられている。これに対し、本実施の形態3におけるペルチェユニット53及び54は、図4に示すように、放熱面と吸熱面の双方にフィンが設置されたフィン式のペルチェユニットであり、吸熱面側のフィンである吸熱フィン53d及び54dが庫内貯蔵空間3に突出する状態となるように、庫内貯蔵空間3の底面の金属壁5に取り付けられている。
また、本実施の形態3においても、ペルチェユニット53とペルチェユニット54との間に冷却能力の差を持たせており、排熱風路吸気口9a側のペルチェユニット53として、ペルチェユニット54よりも相対的に冷却能力が高いフィン式のペルチェユニットを採用している。排熱風路9内における冷却ユニット43の各構成は、排熱風路吸気口9a側から、ペルチェユニット53、ペルチェユニット54、排気ファン13の順で配置されている。
そして、庫内貯蔵空間3内において、実施の形態1では、各収納ケース6a〜6dそれぞれの近傍における金属壁5に、壁面温度センサからなる温度センサ8a〜8dが設置されていたのに対し、本実施の形態3では、図4に示すように、各収納ケース6a〜6d内の空気温度を検出する温度センサ14a〜14dが、各収納ケース6a〜6d内の空間に設置されている。
すなわち、温度センサ14aが扉用収納ケース6a内の空気温度を検出し、温度センサ14bが大物収納ケース6b内の空気温度を検出するように構成されている。また、温度センサ14cが飲料収納ケース6c内の空気温度を検出し、温度センサ14dがマルチアクセスケース6d内の空気温度を検出するように構成されている。また、収納ケース6a〜6dのそれぞれの近傍には、庫内循環ファン15a〜15dが設置されている。庫内循環ファン15a〜15dは、ペルチェユニット53及び54の吸熱面に設置された吸熱フィン53d及び54dとの熱伝達によって生成された冷却空気を、各収納ケース6a〜6dに向けて送風するものである。具体的には、庫内循環ファン15aが扉用収納ケース6a内へ、庫内循環ファン15bが大物収納ケース6b内へ、庫内循環ファン15cが飲料収納ケース6c内へ、庫内循環ファン15dがマルチアクセスケース6d内へと冷却空気を導くように構成されている。
また、実施の形態1の温度制御装置31は、壁面温度センサ8a〜8dとペルチェユニット51及び52とに接続され、壁面温度センサ8a〜8dから受信した温度情報を入力として、ペルチェユニット51及び52に制御信号を送信するものである。これに対し、本実施の形態3における温度制御装置33には、図4に示すように、ペルチェユニット53及び54、空気温度センサ14a〜14d、及び庫内循環ファン15a〜15dが接続されている。すなわち、温度制御装置33は、空気温度センサ14a〜14dから受信した温度情報に基づいて制御信号を生成し、生成した制御信号をペルチェユニット53及び54に送信することにより、収納ケース6a〜6d内の温度がそれぞれの目標温度となるように制御するものである。
次に、図4を参照して、温度制御装置33による動作の一例について説明する。食品の収納方法や扉の開閉に関する動作については、実施の形態1又は2と同一であるため説明を割愛し、ここでは冷却運転時の動作の一例について説明する。
ペルチェユニット53及び54は、庫内貯蔵空間3の底面の金属壁5に対して、吸熱面の吸熱フィン53dが庫内貯蔵空間3に突出するように設置されており、温度制御装置33から電力が印加されることによって、上部吸熱面及び金属壁5の温度を低下させ、放熱フィン51b及び52bが設置された下部放熱面の温度が上昇する。温度制御装置33は、ペルチェユニット53及び54に印加する電力を増加することにより、吸熱面と放熱面との温度差を拡大させ、吸熱面に設置された吸熱フィン53d及び54d及び放熱面に設置された放熱フィン51b及び52bへの送風量を調節することにより、吸熱面の温度を制御する。また、ペルチェユニット53及び54の放熱面から発生し、排熱風路9内に滞留した熱は、実施の形態1と同様に、排気ファン13によって、排熱風路吸気口9aから取り込まれた空気とともに、キッチンルーム側の排熱風路排気口9bへと排気される。
庫内貯蔵空間3内において、実施の形態1の温度センサ8a〜8dは、各収納ケース6a〜6dの近傍の金属壁5における壁面温度を検出するものであるため、各温度センサ8a〜8dによって検出する壁面温度の目標値は、各収納ケース6a〜6dの目標温度よりも低い温度(例えば1℃〜2℃だけ低い温度)に設定されている。すなわち、実施の形態1では、温度制御装置31が、収納ケース6a〜6d内の空気温度を間接的に制御する。
これに対し、本実施の形態3では、図4に示すように、収納ケース6a、6b、6c、6d内にそれぞれ設置された温度センサ14a、14b、14c、14dによって検出する直接的な空気温度に基づいて、温度制御装置33が、ペルチェユニット53及び54に印加する電力と、ペルチェ素子53a及び54aの吸熱面と放熱面とに設置された吸熱フィン53d及び54dと放熱フィン51b及び52bとに供給する風量を制御している。そして、各収納ケース6a〜6dの近傍に設置された庫内循環ファン15a〜15dの各々の風量を、温度制御装置33が、温度センサ14a〜14dにおいて検出された温度情報に基づいて制御することにより、吸熱フィン53d及び54dとの熱伝達によって生成された冷却空気の、各収納ケース6a〜6dに対する供給量を、個別に制御することができる。
すなわち、上記のように冷蔵庫100Aを構成すれば、様々な食品が保存される収納ケース6a〜6dに対する温度制御をより精度よく行うことができるため、各収納ケース6a〜6d内の種々の食品を最適な温度で保存し、品質の維持に寄与することが可能となる。
また、本実施の形態3においても、調味料又は油類の多いキッチンルーム側から飲料の多いダイニング・リビング側に向かって、徐々に温度が低くなる温度分布となるように、相対的に冷却能力の高いペルチェユニット53をダイニング・リビング側に設置している。そして、本実施の形態3における冷蔵庫100Aは、さらに庫内循環ファン15a〜15dを有するため、理想とする温度分布が一様ではなく、例えば庫内貯蔵空間3の中央に配置されたマルチアクセスケース6dを最も低温に維持したいような場合にも、収納ケース6a〜6d内の温度をそれぞれ個別に制御することができるため、庫内貯蔵空間3内に多様な温度分布を形成することができる。すなわち、本実施の形態3の冷蔵庫100Aによれば、同一空間内に意図的な温度分布を形成し、食品にとってより良い保存温度環境を提供することができる。
なお、図4において、排熱風路9は、庫内貯蔵空間3の下方に配置され、ペルチェユニット53及び54も、庫内貯蔵空間3の底面の金属壁5に設置されているが、排熱風路9及びペルチェユニット53及び54の設置位置については、庫内貯蔵空間3の下方に限定されるものではなく、側方又は上方に設置されてもよい。ペルチェユニット53及び54が、側面に配置された金属壁5に設置された場合であっても、温度制御装置33による印加電圧等の制御により、底面に設置された場合と同様の効果を得ることができる。また、天面に配置された金属壁5に設置された場合には、冷気が密度差により上方から下方へ移動するため、冷却速度が増加するという効果が得られる。
また、ペルチェユニット53及び54は、放熱面の放熱フィン51b及び52bに送風する放熱ファン51c及び52cが一体化して設置され、温度制御装置33によって印加する電力と放熱ファン51c及び52cの送風量とを制御しているが、ペルチェユニット53及び54にファンを設置せず、排熱風路9の排気ファン13のみによって放熱させるようにしてもよい。かかる構成を採ることで、排気ファン13が多少大型化しても、ファン数の削減効果の方が大きく、また、ペルチェユニット53及び54への印加電力の調整により、収納ケース6a〜6d内の温度を制御することができる。
[実施の形態4]
図5は、本発明の実施の形態4に係る対面式キッチンに組み込まれた冷蔵庫100Bの側面断面図である。なお、本実施の形態4で特に記述しない項目については実施の形態1〜3と同様とし、同一の構成については同一の符号を用いて述べることとする。
実施の形態1及び3では、庫内貯蔵空間3の底面の金属壁5を隔てて排熱風路9が配置され、プレート式のペルチェユニット51及び52、及びフィン式のペルチェユニット53及び54が、庫内貯蔵空間3の底面の金属壁5に取り付けられている。これに対し、本実施の形態4では、図5に示すように、庫内貯蔵空間3の底面の金属壁5を隔てた下方には、冷凍サイクル回路からなる冷却ユニット44が内部に設置された機械室16が配置されている。すなわち、冷却ユニット44は、冷媒を圧縮する圧縮機17と、圧縮機17から吐出された冷媒を凝縮させる凝縮器18と、凝縮器18から流出した冷媒を膨張させる絞り装置19と、絞り装置19で膨張した冷媒によって空気を冷却する冷却器20と、によって構成された冷凍サイクル回路である。
機械室16内において、凝縮器18側には凝縮器ファン21が設置され、冷却器20側には冷却器ファン22が設置されている。凝縮器ファン21は、凝縮器側吸気口23aから庫内貯蔵空間3の空気を吸気し、凝縮器18を経由して凝縮器側排気口23bからキッチンルームへと排気するものである。冷却器ファン22は、冷却器側吸気口24aからダイニングあるいはリビングルーム等の空気を吸気し、冷却器20を経由して冷却器側排気口24bから庫内貯蔵空間3へと排気するものである。
また、本実施の形態4における冷蔵庫100Bの制御基板には、温度制御装置34と共に、冷凍サイクル制御装置25が実装されている。冷凍サイクル制御装置25は、温度制御装置34からの指令信号、及び冷却ユニット44の圧縮機17、凝縮器18、及び冷却器20の温度又は圧力の情報を入力として、圧縮機17、絞り装置19、凝縮器ファン21、冷却器ファン22に制御信号を送信する構成となっている。
次に、図5を参照して、冷却運転時の動作の一例について説明する。なお、食品の収納方法や扉の開閉に関する動作については、実施の形態1〜3と同一であるため説明を割愛する。
冷凍サイクル制御装置25は、冷却器ファン22に、ダイニングあるいはリビングルーム等の空気を冷却器側吸気口24aから吸気させる。冷却器側吸気口24aから吸気された空気は、冷却器20を通過する際に低温化し、冷却器側排気口24bから冷却空気として庫内貯蔵空間3に供給される。
その後は、温度制御装置34が、空気温度センサからなる温度センサ14a〜14dの温度情報に基づいて、収納ケース6a〜6dのそれぞれの近傍に設置された庫内循環ファン15a〜15dの風量を制御する、すなわち、温度制御装置34は、収納ケース6a〜6dの各々に対して供給する冷却空気の供給量を個別に制御するものである。
また、庫内貯蔵空間3を冷却した後の空気は、冷凍サイクル制御装置25が、凝縮器ファン21により、凝縮器側吸気口23aから機械室16内に取り込むように構成されている。凝縮器側吸気口23aから機械室16内に取り込まれた空気は、凝縮器18を通過する際に高温化し、凝縮器側排気口23bからキッチンルームへと排気される。
ここで、機械室16内の冷却ユニット44では、圧縮機17において圧縮されて高温・高圧となった冷媒が、凝縮器18において、通過する空気と熱交換することにより温度低下し、さらに絞り装置19において膨張して低温・低圧となった後、冷却器20において、通過する空気と熱交換することにより昇温されて圧縮機17に戻る、というサイクルが繰り返される。このとき、例えば圧縮機17のモータ回転数を増加すれば、凝縮器18と冷却器20の高低圧差及び温度差が大きくなり、絞り装置19において膨張率を大きくすれば、低圧がより低下する。また、凝縮器ファン21や冷却器ファン22の風量を変更し、凝縮器18や冷却器20における熱交換量を調節すれば、通過する空気温度を制御することが可能となる。
すなわち、温度制御装置34は、温度センサ14a〜14dによって検出した各収納ケース6a〜6dの温度情報に基づいて、供給される冷却空気の低温化が必要であると判断した場合に、冷凍サイクル制御装置25に向けて低温化の指令信号を送信する。そして、冷凍サイクル制御装置25は、温度制御装置34からの指令信号に従って、圧縮機17及び絞り装置19に、冷凍サイクルの圧力を低下させる旨の制御信号を送信する。
一方、温度制御装置34は、冷却過剰であると判断した場合に、冷凍サイクル制御装置25に向けて高温化の指令信号を送信する。冷凍サイクル制御装置25は、温度制御装置34からの指令信号に従って、圧縮機17及び冷却器ファン22に、冷凍サイクルの低圧を上昇させ、圧縮機入力を低下させる旨の制御信号を送信する。
すなわち、本実施の形態4における冷蔵庫100Bでは、温度制御装置34と冷凍サイクル制御装置25との連携により、各収納ケース6a〜6dの冷却度合いに応じた温度制御を適時に行うことができるため、省エネルギー化を図ることができる。
本実施の形態4では、制御因子の多い冷凍サイクル回路を用いて冷却空気を生成するという構成を採ることで、実施の形態1〜3で述べた効果に加え、温度制御精度をさらに向上することができる。また、ロバスト性(外的要因による変化を内部で阻止する仕組みや性質など)が高まるだけでなく、必要冷却能力に対し、2〜3倍の電力を必要とするペルチェユニットに対し、必要冷却能力の半分以下の電力でシステムを構成することができるため、省エネルギー化を図ることが可能となる。
なお、図5では、冷却ユニット44を内包する機械室16が、庫内貯蔵空間3の下方に配置された例を示しているが、機械室16の配置は、庫内貯蔵空間3の下方に限定されるものではなく、庫内貯蔵空間3の側方又は上方に設置してもよい。冷却ユニット44を内包する機械室16が庫内貯蔵空間3の側面に配置され、冷却空気が側面から供給されるように構成した場合でも、温度制御装置34及び冷凍サイクル制御装置25による温度制御により、庫内貯蔵空間3の底面に設置された場合と同様の効果を得ることができる。また、庫内貯蔵空間3の上部に機械室16を配置し、天面から冷却空気が供給される構成とした場合には、冷気が密度差により上方から下方へと移動することから、冷却速度を増加させることが可能となる。
[実施の形態5]
図6は、本発明の実施の形態5に係る対面式キッチンに組み込まれた冷蔵庫100Cの側面断面図である。なお、本実施の形態5で特に記述しない項目については実施の形態1〜4と同様とし、同一の構成については同一の符号を用いて述べることとする。
実施の形態1では、庫内貯蔵空間3の底面の金属壁5を隔てて配置された排熱風路9において、ダイニング・リビング側に開口された排熱風路吸気口9aから吸気し、キッチンルーム側に開口された排熱風路排気口9bから排気するように構成されている。一方、本実施の形態5では、図6に示す通り、排熱風路9の下方にさらに別の収納庫26を設け、排熱風路吸気口27a及び排熱風路排気口27bを収納庫26と連通させることにより、排気ファン13によって、排熱風路9と収納庫26との間を空気が循環するように構成されている。すなわち、本実施の形態5における冷蔵庫100Cは、ペルチェユニット51及び52の放熱面から発生した排熱空気を取り込む収納庫26をさらに有している。
次に、図6を参照して、冷却運転時の動作の一例について説明する。食品の収納方法や扉の開閉に関する動作については、実施の形態1〜4と同一であるため説明を割愛する。ここでは冷却運転時の動作の一例について説明する。実施の形態1で述べたように、庫内貯蔵空間3を冷却する際、プレート式のペルチェユニット51及び52の放熱面からの発熱により、排熱風路9内が高温となり、水分の発生がなければ、排気ファン13により高温・低湿の空気が排気されることになる。
そこで、本実施の形態5では、図6に示すように、排熱風路9の下方にさらに収納庫26を設置し、排気ファン13により、排熱風路排気口27bから収納庫26に、高温・低湿の空気を供給する。また、供給された空気が、排熱風路排気口27bから排熱風路9へと送風されることにより、排熱風路9と収納庫26との間で空気が循環する。したがって、収納庫26に、洗浄後の食器、フライパン、及び鍋などの加熱調理器具を収納すれば、収納庫26を乾燥庫として使用することが可能となる。また、収納庫26に、ドライフルーツや海苔などの冷却を必要としない乾物を保管すれば、収納庫26を乾物庫として使用することが可能となる。すなわち、本実施の形態5の冷蔵庫100Cによれば、排気ファン13によって排気される高温・低湿の空気による排熱を有効に利用することができる。
もっとも、図6には、冷却ユニットとして、実施の形態1で示したプレート式のペルチェユニット51及び52を採用した例を示しているが、実施の形態3で示したフィン式のペルチェユニット53及び54、又は実施の形態4で採用した冷凍サイクル回路からなる冷却ユニット44を採用してもよい。どの冷却機構を使用した場合でも、排熱風路9又は機械室16と収納庫26とを連通させ、排熱空気を収納庫26に供給するように構成すれば、上記同様に、排熱を有効に利用することができる。
また、図6において、収納庫26は、庫内貯蔵空間3及び排熱風路9の下方に配置されているが、収納庫26の設置位置は、庫内貯蔵空間3及び排熱風路9の下方に限定されるものではなく、庫内貯蔵空間3又は排熱風路9の側方、あるいは排熱風路9と共に庫内貯蔵空間3の上方に設置されてもよい。どの位置に配置されても、排熱風路9と連通させ、高温・低湿の排気空気が収納庫26内に供給されるように構成すれば、上記同様に、排熱の有効利用を図ることができる。
なお、上述した各実施形態は、冷蔵庫及び対面式キッチンにおける好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術的範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態1〜5では、複数の収納ケースとして、扉用収納ケース6a、大物収納ケース6b、飲料収納ケース6c、及びマルチアクセスケース6dを採用した例を説明したが、収納ケースの種類や数を任意に変更し、多様に組み合わせた構成を採ってもよい。また、実施の形態1及び5では、各収納ケース内の温度情報を検出する温度センサとして壁面温度センサを採用した例を示したが、空気温度センサを用いるようにしてもよい。同様に、実施の形態3及び4では、各収納ケース内の温度情報を検出する温度センサとして空気温度センサを採用した例を示したが、壁面温度センサを採用するようにしてもよい。