JP2013144658A - 歯科用硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
(A)酸性基含有重合性単量体を含んでなる重合性単量体
(B)ハイドロパーオキサイド系有機過酸化物
(C)メルカプトベンゾイミダゾール化合物
を含有することを特徴とする歯科用硬化性組成物。
【選択図】なし
Description
また、有機過酸化物と組合せるアミン化合物は、特に芳香族三級アミン化合物が、重合促進作用が高く好適なものとして使用されている。しかし、芳香族三級アミン化合物は、着色物質に変化し易く、硬化体において審美性が損なわれ、歯科用途では十分に満足できるとは言い難かった。
ところが、こうした重合性単量体として酸性基含有のものを配合した接着性の歯科用接着性組成物において、化学重合開始剤として前記レドックス重合開始剤を適用すると、還元性物質であるアミン化合物が、酸性基含有重合性単量体の酸性基により中和され、その重合活性が大幅に低下する問題があった。
そこで、酸性基を含有する重合性単量体を用いる場合に生じる上記課題を解決するラジカル重合開始剤として、ハイドロパーオキサイドとチオ尿素化合物との組み合わせが開示されている(特許文献3及び4参照)。ハイドロパーオキサイドは過酸化ベンゾイル等と比較して熱的安定性が高いため、室温下でも長期間にわたって保存が可能である。また、チオ尿素化合物はアミン化合物のように着色し易いということもないため、使用の制約も少ない。
翻って、歯科用の硬化性組成物の中で前記の化学重合開始剤と光重合開始剤を併用し、化学重合での硬化に加えて、光重合で硬化する組成物をデュアルキュア型硬化性組成物という。このようなデュアルキュア型の硬化性組成物は、歯科の支台築造用レジンや接着性レジンセメント等の光照射が十分に出来ない臨床用途で多用されており、操作性や実用性の観点からその性質が要求される場合が多々ある。化学重合型の組成物をデュアルキュア型とする場合には、通常、歯科用途で最も汎用的に光重合開始剤として使用されているα−ジケトン化合物であるカンファーキノンと、着色物質に変化し易い芳香族三級アミン化合物の組み合わせの使用が一般的である。特許文献3に記載の酸性基を有する重合性単量体を含む組成物を化学重合型として使用する場合には、重合開始剤として芳香族アミン化合物を含有しないことを特徴としているが、デュアルキュア型とする場合にはカンファーキノンと芳香族三級アミン化合物の使用が明示されている。また、特許文献4では光重合開始剤の添加は可能との記載があるが、その為の具体的な方法は何ら明示されていない。従って、上記の化学重合開始剤を使用してデュアルキュア型とした場合には、やはり審美性が損なわれ、歯科用途では十分に満足できるとは言い難かった。
すなわち、本発明は、
(A)酸性基含有重合性単量体を含んでなる重合性単量体
(B)ハイドロパーオキサイド系有機過酸化物
(C)メルカプトベンゾイミダゾール化合物
を含有することを特徴とする歯科用硬化性組成物である。
<(A)酸性基含有重合性単量体を含んでなる重合性単量体>
本発明において重合性単量体は、一分子中に、少なくとも一つのラジカル重合性不飽和基を有す化合物を意味する。ラジカル重合性不飽和基は特に限定されないが、具体例としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、(メタ)アクリロイルチオ基等の(メタ)アクリロイル基の誘導体基、ビニル基、アリル基、スチリル基等が例示される。歯科用途として生体への為害性を考慮すると、(メタ)アクリロイル基が好適に使用される。
リン酸二水素モノエステル基またはリン酸水素ジエステル基を有する重合性単量体としては、具体的には、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、ビス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルフェニルハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルプロパン−2−ジハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルプロパン−2−フェニルハイドロジェンホスフェート、ビス[5−{2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニル}ヘプチル]ハイドロジェンホスフェート等が挙げられる。
スルホ基を有する重合性単量体としては、具体的には、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、p−ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸等が挙げられる。
こうした酸性基含有重合性単量体は、重合性単量体成分の全量として用いても良いが、接着性組成物の歯質に対する浸透性を調節したり、硬化体の強度を向上させたりする観点から、酸性基非含有重合性単量体と併用するのが好適である。その場合においても、酸性基含有重合性単量体は、エナメル質および象牙質の両方に対する接着強度を良好にする観点から、全重合性単量体成分中において5質量%以上含有させるのが好適であり、5〜60質量%含有させるのがより好適であり、10〜50質量%含有させるのが特に好適である。
<(B)ハイドロパーオキサイド系有機過酸化物>
本発明において、ハイドロパーオキサイド系有機過酸化物とは、ハイドロパーオキサイド基を少なくとも1つ以上含む化合物を意味する。ハイドロパーオキサイド系有機過酸化物は、レドックス反応の酸化剤として配合され、任意の化合物が制限無く使用できるが、重合性組成物としたときの保存安定性の点から、10時間半減期温度が100℃以上の化合物を用いるのが好ましい。なお、ここでの10時間半減期温度とは、ハイドロパーオキサイド系有機過酸化物をラジカルに対して比較的不活性な溶媒、例えばベンゼンに溶解させ、窒素置換されたガラス容器中で熱分解させた場合に、10時間で初期から半分の濃度になる温度のことである。
<(C)メルカプトベンゾイミダゾール化合物>
本発明において、メルカプトベンゾイミダゾール化合物とは、メルカプトベンゾイミダゾール骨格を有する化合物を意味する。メルカプトベンゾイミダゾール化合物は、上記ハイドロパーオキサイド系有機過酸化物の還元剤として使用され、メルカプトイミダゾール骨格を有する任意の化合物を制限なく使用できるが、好適には下記の一般式
で示されるメルカプトベンゾイミダゾール化合物が挙げられる。
<(D)光重合開始剤>
本発明にかかる化学重合型歯科用硬化性組成物に、更に(D)光重合開始剤を併用することで、操作性に優れるデュアルキュア型の硬化性組成物とすることができる。(D)光重合開始剤としては公知の光重合開始剤を使用することができる。
一般的に歯科用硬化性組成物に上記のカンファーキノンを使用する場合には、併用する重合促進剤として芳香族三級アミン化合物が汎用されている。この汎用されている開始剤を酸性基含有重合性単量体を含む歯科用硬化性組成物に使用する場合には、芳香族三級アミンと酸性基含有重合性単量体が塩を形成し活性が低下してしまうため、添加する芳香族三級アミンやカンファーキノンの添加量は多くなる傾向にある。また、過酸化物を含む様な歯科用組成物では、芳香族三級アミンは酸化されて着色物質に変化し易い化合物であるため、特にその色調変化により審美性が低下する傾向にある。
<(E)アリールボレート化合物>
本発明における、アリールボレート化合物とは1分子中に少なくとも1つのホウ素―アリール結合を有している任意の化合物を意味する。本歯科用硬化性組成物は上記の化学重合開始剤のみでも少ない添加量で十分に高い活性を有しているが、酸性基含有重合性単量体を含むため、硬化促進剤としてアリールボレート化合物を添加する事で、さらに活性を向上させて硬化時間を短縮することや、開始剤量の低減を図ることが出来る。アリールボレート化合物としては、公知のものを制限無く使用することができるが、保存安定性が高いことや取り扱いの容易さ、入手のし易さから、1分子中に4つのホウ素−アリール結合を有するアリールボレートが好ましい。
<充填材>
本発明の歯科用硬化性組成物には、機械的強度や操作性を向上させるために、充填材を含有させても良い。係る充填材としては、無機充填材、有機充填材、または無機―有機複合フィラーを適宜用いることができる。有機充填材の具体例としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート・エチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート・ブチル(メタ)アクリレート共重合体あるいはメチル(メタ)アクリレート・スチレン共重合体等の非架橋性ポリマー若しくは、メチル(メタ)アクリレート・エチレングリコールジ(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート・トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート共重合体あるいは(メタ)アクリル酸メチルとブタジエン系単量体との共重合体等の(メタ)アクリレート重合体等が使用できる。
きる。なお、これら充填材は、屈折率が1.4〜2.2の範囲のものが好適に用いられる。また、粒子径については、大きすぎる場合には重合性組成物の表面に凹凸が生じる場合があり好ましく無いため、平均粒子径が0.001〜100μm、特に0.001〜10μmのものを用いるのが好ましい。なお、平均粒子径は走査型電子顕微鏡で充填材粒子の写真を撮り、その写真の単位視野内に観察される粒子の数および粒子径を測定し、測定値の平均から平均粒子径を算出した。
<他の重合開始剤及び促進剤>
本発明の歯科用硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で他の公知の化学重合開始剤及び重合促進剤等の添加材を併用しても良い。当該他の添加材としては、バルビツール酸、アルキルボラン、金属錯体等が挙げられる。
<その他の任意添加成分>
本発明の歯科用硬化性組成物には、目的に応じその性能を低下させない範囲で、水、有機溶媒、増粘剤、重合禁止材等を配合させることも可能である。当該有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル等があり、増粘剤としてはポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の高分子化合物や高分散性シリカが例示される。また、歯牙の色調に合わせるために、上述した各成分に加えて、顔料、蛍光顔料、染料、紫外線に対する変色防止のために紫外線吸収剤を添加してもよい。
<硬化性組成物の保管形態>
本発明の歯科用硬化性組成物において、各成分を同一包装に共存させると化学重合が開始されしまうため、これを長期間保管する場合には、少なくとも2包装に分割し、これら全成分が共存しないように分ける必要がある。まず、メルカプトベンゾイミダゾール化合物とハイドロパーオキサイド系有機過酸化物は混合すると、重合が促進されてしまうので、別包装とする必要がある。また、酸性基含有重合性単量体は保存安定性観点から、ハイドロパーオキサイド系有機過酸化物と同一の包装となるように添加することが好ましい。
従って、(I)重合性単量体成分の内の酸性基含有重合性単量体、およびハイドロパーオキサイド系有機過酸化物を含む第一包装、
(II)酸性基を含まない重合性単量体、およびメルカプトベンゾイミダゾール化合物を含む第二包装の少なくとも2包装に分包するのが最も好ましい。
<光重合>
本歯科用硬化性組成物に光重合開始剤を含有させ、デュアルキュア型の歯科用硬化性組成物として使用する場合には、光硬化に際し、公知の光源を用いればよく、カーボンアーク、キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ、LED、ハロゲンランプ、ヘリウムカドミウムレーザー、アルゴンレーザー等の可視光線の光源が何ら制限なく使用される。一般的には、これら光源を用い、被照射面における光強度が20mW/cm2以上、好ましくは100mW/cm2以上になるように光照射を行えばよい。照射時間は、光源の波長、強度、硬化体の形状や材質によって異なるため、予備的な実験によって予め決定しておけばよい。
<歯科用硬化性組成物>
本発明の歯科用硬化性組成物は酸性基含有重合性単量体を含むので、歯科用レジンセメント、歯科用前処理材、歯科用接着材、歯科用コート材、小窩裂溝填塞材、充填材、支台築造材料等の歯牙の表面に接着させて層形成させる材料として使用することが好ましい。特に、齲蝕や事故等により損傷を受けた歯牙と、この歯牙を修復するための材料(例えばコンポジットレジン、金属、セラミックス等の歯冠修復材料)とを接着するために、両者の間に介在させる、歯科用レジンセメント、歯科用前処理材、歯科用接着材や、自己接着性のコンポジットレジンとして好適である。
略称及び略号
[(A)重合性単量体]
<酸性基含有重合性単量体>
PM:2−メタクリルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート及びビス(2−メタクリルオキシエチル)ジハイドロジェンホスフェートの混合物
MAC−10:11−メタクロイルオキシー1,1−ウンデカンジカルボン酸
MHP:6−メタクリルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート及びビス(6−メタクリルオキシヘキシル)ジハイドロジェンホスフェートの混合物
MDP:10−メタクリルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
<酸性基非含有重合性単量体>
BisGMA:2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル)プロパン
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
D2.6E:2,2−ビス(4−(メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル)プロパン
UDMA:1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)2,2,4−トリメチルヘキサン
[(B)ハイドロパーオキサイド系有機過酸化物]
パーメンタH:p−メンタンハイドロパーオキサイド
パーオクタH:1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド
パークミルH:クメンハイドロパーオキサイド
[(C)メルカプトベンゾイミダゾール化合物]
MBI:2−メルカプトベンゾイミダゾール
MMOBI:2−メルカプト−5−メトキシベンゾイミダゾール
MMBI:2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール
[(D)光重合開始剤]
CQ:カンファーキノン
TPO:ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド
[(E)アリールボレート化合物]
PhBTEOA:テトラフェニルホウ素トリエタノールアミン塩
[(F)充填材]
F1:球状シリカ−ジルコニア、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物、平均粒子径0.2μm、粒子系の範囲0.08〜0.60μm
F2:定形シリカ−ジルコニア、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物、平均粒子径3.5μm、粒子系の範囲0.8〜7.0μm
F3:ヒュームドシリカ、メチルトリクロロシラン表面処理物、平均粒子径0.01μm、粒子系の範囲0.005〜0.04μm
[ハイドロパーオキサイド系以外の有機過酸化物]
BPO:ベンゾイルパーオキサイド
[3級芳香族アミン化合物]
DMPT:N,Nジメチル−p−トルイジン
[チオ尿素化合物]
ATU:アセチルチオ尿素
ETU:エチレンチオ尿素
[重合禁止剤]
BHT:2,6−ジt−ブチルヒドロキシトルエン
また、以下の実施例および比較例において、各種の物性の測定は以下の方法により実施
した。
硬化時間の測定は、サーミスタ温度計による発熱法によって行った。歯科用重合性組成物の包装1と包装2から各実施例に記載の比率で計量し、20秒間攪拌混合し均一なペーストとした。ついで、2cm×2cm×1cmの中心に6mmφの孔の空いたテトラフルオロエチレン製モールドに流し込んだ後、サーミスタ温度計を差し込み、混合開始から最高温度を記録するまでの時間を硬化時間とした。なお、測定は37℃の恒温条件で行った。
屠殺後24時間以内に抜去した牛前歯を、流水下、#600のエメリーペーパーで研磨し、唇面に平行かつ平坦になるように、象牙質平面を削りだした。次に、削りだした平面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥させた。次に、この平面に、直径3mmの穴を有する両面テープを貼り付け、模擬窩洞を形成した。続いて、この模擬窩洞内に、歯科用硬化性組成物を充填した後に、この上からステンレス製アタッチメントを圧接し、接着試験片を作製した。このまま37℃・湿度100%の恒温高湿箱中で1時間放置して、充填した歯科用硬化性組成物を化学重合させた。この接着試験片を37℃の水中に24時間浸漬した後、試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフAG5000D)を用いてクロスヘッドスピード1mm/minにて、上記ステンレス製アタッチメントを引張り、歯牙との引張り接着強さを測定した。
歯科用硬化性組成物の包装1と包装2から各実施例に記載の比率で計量し、20秒間攪拌混合し均一なペーストとした。ついで、15mmφの孔の空いた1mm厚のテトラフルオロエチレン製モールドに流し込んだ後、ポリエチレン製のフィルムではさんで圧接し、37℃で1時間硬化させた硬化体を試験サンプルとした。試験サンプルを37℃の蒸留水中に30日間浸漬させ、浸漬前後の色調変化(ΔE)を測定した。色調測定は東京電色社製のTC−1800MK2を用いて行った。なお、ΔEが小さいほど色調変化が小さいことを意味し、ΔEが4.0以下であれば目視でその変化を認識することは難しいため、色調安定性が良好であると判断した。
歯科用重合性組成物の包装1と包装2から各実施例に記載の比率で計量し、20秒間攪拌混合し均一なペーストとした。混合後直ちに、2mm×2mm×25mmの角柱状のポリテトラフルオロエチレン製のモールドにペーストを充填してポリプロピレンフィルムで圧接し、37℃の恒温条件下で1時間静置して硬化体を調製した。得られた硬化体のばりを除去した後、37℃の水中に練和開始から24時間後まで浸漬させた。24時間後に試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフAG5000D)を用いて、クロスヘッドスピード1mm/minにて3点曲げ破壊強度を測定した。
歯科用重合性組成物の包装1と包装2から各実施例に記載の比率で計量し、20秒間攪拌混合し均一なペーストとした。混合後直ちに、6mmφ×1.0mmの孔を有するポリテトラフルオロエチレン製のモールドにペーストを充填してポリプロピレンフィルムで圧接し、歯科用光照射器(トクソーパワーライト、トクヤマデンタル社製;光出力密度600mW/cm2)をポリプロピレンフィルムに密着して10秒照射し、硬化体を調製した。得られた硬化体を微小硬度計(松沢精機製MHT−1型)にてヴィッカース圧子を用いて、荷重100gf、荷重保持時間30秒で試験片にできたくぼみの対角線長さにより求めた。
保存安定性の評価は、歯科用硬化性組成物の包装1と包装2を、それぞれ50℃に1週間、または37℃に7週間保存した後に、各包装の中で硬化が生じていないかを確認することで行なった。さらに、その包装1と包装2を用いて硬化時間と接着強さを測定し評価することで行なった。なお、表では包装1を(I)、包装2を(II)と表記した。
〔硬化時間、接着強さ、色調安定性評価、曲げ強さ〕
実施例1
下記組成
(A)重合性単量体
酸性基含有重合性単量体 MHP 25g
酸性基非含有重合性単量体 D2.6E 10g
3G 15g
(B)ハイドロパーオキサイド系有機過酸化物
パーオクタH 0.5g
(F)充填材 F1 50g
F2 75g
その他の添加物 BHT 0.05g
を用いて、これらを均一になるまで攪拌混合して、ペースト状の組成物(I)−1を得た。
一方、
(A)重合性単量体
酸性基非含有重合性単量体 BisGMA 12.5g
UDMA 12.5g
3G 25g
(C)メルカプトベンゾイミダゾール化合物
MBI 1.5g
(F)充填材 F1 48g
F2 75g
F3 2g
その他の添加物 BHT 0.05g
を用いて、これらを均一になるまで攪拌混合して、ペースト状組成物(II)−1を得た。
実施例1の方法に準じ、表1ならびに表2に示した組成の異なるペースト状組成物を調製した。得られた歯科用硬化性組成物について、各々を用いて前記方法により硬化時間、接着強さ、色調安定性及び曲げ強さを評価した。結果を表3に示した。
<デュアルキュア型歯科用硬化性組成物>
〔硬化時間、接着強さ、色調安定性評価、光重合における硬化体の硬度〕
実施例17
下記組成
(A)重合性単量体
酸性基含有重合性単量体 MHP 25g
酸性基非含有重合性単量体 D2.6E 10g
3G 15g
(B)ハイドロパーオキサイド系有機過酸化物
パーオクタH 1g
(D)光重合開始剤 CQ 0.5g
(F)充填材 F1 50g
F2 75g
その他の添加物 BHT 0.05g
を用いて、これらを均一になるまで攪拌混合して、ペースト状の組成物(I)−16を得た。
実施例17〜26、比較例6〜11
実施例17の方法に準じ調製した表1、表2、表4ならびに表5に示した組成の異なるペースト状組成物を、表6に示した組み合わせで混合した歯科用硬化性組成物について、各々を用いて硬化時間、接着強さ、色調安定性及び光重合における硬化体の硬度を評価した。評価結果を表6に示した。
〔保存安定性評価〕
実施例27〜31、比較例12
実施例2、14、16、17、20及び比較例3で使用したそれぞれの歯科用重合性組成物保存安定性について評価を行った。評価結果を表7に示した。
その結果、実施例に示したそれぞれの硬化性組成物の硬化時間は依然として10分以内であり良好な結果が得られた。一方、比較例12で使用した組成物(I)−15は保存中に硬化してしまい、硬化時間を測定することはできなかった。
Claims (7)
- (A)酸性基含有重合性単量体を含んでなる重合性単量体
(B)ハイドロパーオキサイド系有機過酸化物
(C)メルカプトベンゾイミダゾール化合物
を含むことを特徴とする歯科用硬化性組成物。 - (C)成分が、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−エトキシベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−エチルベンゾイミダゾールおよびその混合物からなる群から選択される請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載した組成物に、さらに(E)アリールボレート化合物を含んでなる歯科用硬化性組成物。
- さらに、(D)光重合開始剤を含んでなり、デュアルキュア型として使用する請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。
- (D)成分がカンファーキノンである請求項5記載の歯科用硬化性組成物。
- 保管形態が、少なくとも2包装に分割されてなり、(B)成分と(C)成分とが別包装に分けられ、かつ(A)成分と(B)成分とが同包装内に存在する請求項1〜6のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。
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