JP5484334B2 - 歯科用接着性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は歯科医療分野において、金属、有機高分子、セラミックス、又はこれらの複合材料等からなる歯科用修復物と、歯質とを接着するためのプライマーや接着材として有用な歯科用接着性組成物に関する。
齲蝕等により損傷を受けた歯質はそれが、初中期の比較的小さい窩洞の場合には、通常、審美性、操作の簡略性や迅速性の点から、コンポジットレジンによる直接修復を行う。一方、比較的大きな窩洞の場合は、通常、金属、セラミックス、或いは歯科用レジンで作られた補綴物を用いて修復される。
これらコンポジットレジンや補綴物等の歯科用修復物は、基本的に歯質に対する接着性がないため、通常これを歯質へ接着させるための重合性単量体組成物からなる接着材が使用される。こうした接着材に使用される重合性単量体は、通常、メタクリレート系単量体を主成分とするものであり、歯質への接着力は十分ではない。例えばコンポジットレジンの接着の場合、該コンポジットレジンを硬化する際に発生する内部応力、即ち、歯質とコンポジットレジンとの界面に生じる引っ張り応力に打ち勝つだけの接着強度に達していないことが多かった。更に、咬合によって掛かる力に対しても耐えられる接着強度に達していないことが多かった。このため、これら接着材による接着強度を向上させることを目的として、使用時に、歯面に対して次のような前処理を施している。すなわち、
1)硬い歯質(主にヒドロキシアパタイトを主成分とするエナメル質)をエッチング処理するための前処理材を塗布、さらに、
2)接着材の歯質の中への浸透を促進するため、プライマーと呼ばれる前処理材の塗布
を行っている。
こうした中、より高い接着強度と、上記操作の煩雑さの軽減を目的として、上記歯科用接着材において、歯質に対する接着性を有する重合性単量体を含有させたものが開発されている。例えば、重合性単量体成分の少なくとも一部として、歯質(ヒドロキシアパタイトやコラーゲン)に対して高い親和性を有するリン酸基、カルボン酸基等の酸性基を有する重合性単量体(以下、酸性基含有重合性単量体という)を含有させることで、より高い接着強度を発現させている(特許文献1および特許文献2)。
また、酸性基含有重合性単量体としてリン酸モノエステル単量体を用い、これをカルシウム等との金属塩の形態にして用いることで、その接着強度を向上させることができるという報告がある(特許文献3)。更に、酸性基含有重合性単量体および水を含有する接着材やプライマーの中に、多価金属イオン溶出性フィラーを配合させることで、自己の重合硬化性を一層に高めることを試みている(特許文献4〜7)。ここで、該多価金属イオン溶出性フィラーとは、酸性溶液下で金属イオンを溶出するフルオロアルミノシリケートガラス等のフィラーを意味し、これから溶出される多価金属イオンとしては、アルカリ土類金属、アルミニウム等の金属のイオンが挙げられている。なお、かかる多価金属イオン溶出性フィラーとして、上記アルミニウムの一部をチタン、ジルコニウム等に置き換えたフィラーを使用できるとされているものもあるが、これらの第四族元素イオンが実際に使用されている実施例は皆無で、その配合量等も何も具体的に示されていない。こうした多価金属イオン溶出性フィラーを含有させた接着材において接着強度が向上する理由は、接着材の硬化時に、酸性基含有重合性単量体を含む重合性単量体の重合と共に、該多価金属イオン溶出性フィラーから溶出した多価金属イオンが、上記酸性基含有重合性単量体の酸性基と塩を形成し、これによりイオン架橋が生じて、その硬化体の強度を高めていると考えられている。
特開昭52−113089号公報 特開昭58−21687号公報 特開昭53−113843号公報 特開平9−263604号公報 特開平10−236912号公報 特開2001−72523号公報 特開2000−86421号公報 特開2008−201726号公報
酸性基含有重合性単量体を含有する接着性組成物(接着材やプライマー)は、該単量体を含有しないものに比べて高い接着強度が得られ、更にその酸性基の作用により歯質の脱灰機能も備えているため接着操作の簡便化も実現できるが、前記したように歯質と歯科用修復物との間には極めて強い接着強度が求められるため、未だその接着強度は十分ではなく、さらなる高い接着性を安定して発揮できることが必要であった。また、前記したリン酸モノエステル単量体のカルシウム塩を用いてその接着強度を向上させる発明において、金属塩を形成する元素としてチタンやジルコニウムといった第四属元素も例示されているが、リン酸モノエステル単量体と第四族元素からなる金属塩を用いても、その接着強度は未だ十分ではなかった(特許文献3)。
同様に、多価金属イオン溶出性フィラーを含有させた接着材も、接着性はさらに向上がみられるものの、実用上十分な域にはなかった。多価金属イオン溶出性フィラーを含有させた接着材において、十分なイオン架橋を発達させて高い接着強度を得ようとすると、使用する多価金属イオン溶出性フィラーから溶出される金属イオンの種類や量も極めて重要であり、例えば、これら溶出イオンが、1価の金属イオンやカルシウムイオン等の2価金属イオン等が主であると、十分な接着性の向上効果は得られず、加えて、これらから溶出している金属イオンの量が多くなりすぎると(特許文献7の実施例9)、硬化後の接着材の耐水性が大幅に低下し、硬化直後であればかなり高い接着力が得られる場合でも、長期にわたる接着耐久性は十分でなかった。
このような背景のもと、本発明者らは特定の多価金属イオンならびにリン酸系重合性単量体を特定の混合比で一液に混合し、イオン架橋を発達させることで、歯質に対する接着性を高める発明を提案した(特許文献8)。このタイプの接着材は保存形態が一液であり、該保存中に多価金属イオンとリン酸系重合性単量体とのイオン架橋を形成させて、架橋密度を高めることにより接着強度を大幅に向上させるものであるが、接着強度はそれでもまだ実用上十分に満足できるものではなく、さらに向上させる必要があった。従って、接着強度と接着耐久性をさらに高めて、歯質とコンポジットレジンや補綴物との接着をより強固にし、且つ長期にわたって接着耐久性に優れた歯科用接着性組成物の開発が大きな課題であった。
本発明者らは、上記技術課題を克服すべく鋭意研究を重ねた結果、リン酸水素ジエステル基を有する重合性単量体(以下、リン酸ジエステル重合性単量体という)を、重合性単量体成分の少なくとも一部として含んでなる歯科用接着性組成物において、その液中に、特定量の第四族元素イオンを共存させることにより、上記の課題が解決できること見出し本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、
(A)リン酸水素ジエステル基を有する重合性単量体を10質量%以上含む重合性単量体;
(B)第四族元素イオン
を含有する歯科用接着性組成物であって、
前記第四族元素イオンの含有量が、(A−1)リン酸水素ジエステル基を有する重合性単量体のリン酸水素ジエステル基に対してモル比で0.1〜1.0となる量であることを特徴とする歯科用接着性組成物が提供される。
上記歯科用接着性組成物の発明において、
(1)第四族元素イオンがチタンイオンであること
(2)さらに、(C)重合開始剤を含有すること
(3)当該組成物が、酸性を呈すること
(4)さらに、第四族元素イオンに対してモル比で0.4〜4.0の(D)フッ化物イオンを含有すること
(5)さらに、(E)水を含有すること
が好適である。
本発明によれば、また
(A)リン酸水素ジエステル基を有する重合性単量体を10質量%以上含む重合性単量体;
(E)水;
(Balk)前記(A−1)リン酸水素ジエステル基を有する重合性単量体のリン酸水素ジエステル基に対して、第四族元素イオンがモル比で0.1〜1.0となる量の第四族元素金属アルコキシド
を混合して歯科用接着性組成物を製造する方法において、(A−1)リン酸水素ジエステル基を有する重合性単量体を(Balk)第四族元素金属アルコキシドと予め混合し、次いで(E)水と混合することを特徴とする前記歯科用接着性組成物の製造方法が提供される。
本発明の歯科用接着性組成物は、従来の酸性基含有重合性単量体と多価金属イオン溶出性フィラーを含有させた接着材に比較して、歯質に対する接着強度をさらに大きく向上させることができる。すなわち、歯科用修復物と歯質の接着材として使用した場合には、象牙質およびエナメル質の何れに対しても、コンポジットレジンとの界面に生じる引っ張り応力に高度に対抗するだけの極めて優れた接着強度を有しており、また、咬合によって掛かる力に対しても極めて優れた接着強度を有している。これは、後述するように、リン酸ジエステル重合性単量体の酸性基と第四族元素イオンとがイオン結合し、これが重合して形成されるポリマーのイオン架橋が、従来の酸性基含有重合性単量体の酸性基と多価金属イオン溶出性フィラーから溶出される多価金属イオンとにより形成されるイオン架橋よりも、より発達して高密度に形成されることに起因するものと考えられる。従って、本発明の歯科用接着性組成物は、この高い接着強度を利用して、高耐水性で長期間安定的に歯質とコンポジットレジンや補綴物の歯科用修復物とを接着できる接着耐久性に優れた接着材として有用であり、更には、こうした接着に際して接着材の使用の前に歯面に塗布するプライマーとしても有用である。
本発明の歯科用接着性組成物は、(A)重合性単量体と(B)第四族元素イオンを基本成分とする。
(A)重合性単量体
(A)重合性単量体は、分子中に、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ビニル基、アリル基、エチニル基、スチリル基のような重合性不飽和基を有する化合物である。特に硬化速度の点からアクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基を有する化合物が好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基が最も好ましい。
(A−1)リン酸ジエステル重合性単量体
本発明では、この(A)重合性単量体全成分の10質量%以上を、(A−1)リン酸ジエステル重合性単量体とすることが重要である。このリン酸ジエステル重合性単量体は、歯質の脱灰作用が高いばかりでなく歯質との結合力も高く、さらに本発明においては共存する第四族元素イオンとのイオン結合の形成能にも優れており、特に高い接着強度が得られる。同じ、リン酸から誘導される酸性基であっても、ホスフィン酸基、ホスホン酸基、ホスホン酸水素モノエステル基、リン酸二水素モノエステル基などのリン酸基を有する重合性単量体を用いても、本発明ほどに高い接着強度は得られない。
(A−1)リン酸ジエステル重合性単量体として好適に利用できる化合物を例示すれば、下記一般式で示される重合性単量体が挙げられる。
Figure 0005484334
Figure 0005484334
但し、上記化合物中、Rは水素原子またはメチル基を表す。これらの化合物は単独で又は二種以上を混合して用いることができる。なかでも、重合可能な官能基を二つ有する式(1)で示される化合物が好ましく、ビス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ハイドロジェンホスフェートが最も好ましい。
この(A−1)リン酸ジエステル重合性単量体の含有量は、重合性単量体の10質量%以上とする必要があるが、重合性単量体がリン酸ジエステル基重合性単量体のみであってもよい。
(A−2)リン酸基含有重合性単量体
本発明の歯科用接着性組成物は、((A−1)リン酸ジエステル重合性単量体以外の(A−2)他のリン酸から誘導される酸性基を有する重合性単量体(以下、リン酸基含有重合性単量体という)を含んでも良い。該リン酸基含有重合性単量体を例示すれば、ホスフィン酸基を有するものとしてビス(2−メタクリルオキシエチル)ホスフィン酸、ビス(3−メタクリルオキシプロピル)ホスフィン酸、ビス(4−メタクリルオキシブチル)ホスフィン酸等が、ホスホン酸基を有するものとして3−メタクリルオキシプロピルホスホン酸、2−メタクリルオキシエトキシカルボニルメチルホスホン酸、4−メタクリルオキシブトキシカルボニルメチルホスホン酸、6−メタクリルオキシヘキシルオキシカルボニルメチルホスホン酸等が、ホスホン酸水素モノエステル基を有するものとしては3−メタクリルオキシエチルホスホン酸モノ(メタクリルオキシエチル)エステル、3−メタクリルオキシエチルホスホン酸モノフェニルエステル等が挙げられる。
(A−3)非酸性基含有重合性単量体
更に、接着材の歯質に対する浸透性を調節したり、硬化体の強度を向上させたりする観点から、(A−3)酸性基を有しない重合性単量体(以下、非酸性基含有重合性単量体という)と併用するのが好適である。こうした非酸性基含有重合性単量体を併用する場合においても、エナメル質及び象牙質の両方に対する接着強度を良好にする観点から、全重合性単量体中において、(A−1)リン酸ジエステル重合性単量体は10質量%以上含有させる必要があり、より好ましくは15〜60質量%の範囲で含有させることが好適である。リン酸ジエステル重合性単量体の配合量が少ないと、エナメル質に対する接着強度が低下する傾向があり、逆に多いと象牙質に対する接着強度が低下する傾向がある。
(A−3)非酸性基含有重合性単量体は、分子中に少なくとも一つの重合性不飽和基(前出)を有するものであれば、公知の化合物を何等制限無く使用できる。具体的に示すと、メチル(メタ)アクリレート(メチルアクリレート又はメチルメタアクリレートの意である。以下も同様に表記する。)、エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルオキシエチルアセチルアセテート等のモノ(メタ)アクリレート系単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス{4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]フェニル}プロパン、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート系単量体等を挙げることができる。
更に、(A−3)非酸性基含有重合性単量体として、上記(メタ)アクリレート系単量体以外の重合性単量体を用いることもできる。他の非酸性基含有重合性単量体を例示すると、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等のスチレン、α−メチルスチレン誘導体;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート等のアリル化合物等を挙げることができる。これらの非酸性基含有重合性単量体は単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
更にまた水と疎水性の高い重合性単量体を用いる場合には、水の分離を防ぎ、均一な組成として安定した接着強度を維持させる観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水溶性非酸性基含有重合性単量体を併用することが好ましい。
(B)第四族元素イオン
本発明の歯科用接着性組成物は、上記重合性単量体成分とともに、特定量の(B)第四族元素イオンを含有することが必須である。第四族元素イオンの共存下に重合性単量体を硬化させることにより、その接着強度は著しく高まり、耐水性が向上して優れた接着耐久性を備えたものになる。
上記第四族元素イオンとしては、具体的には、チタニウムイオン、ジルコニウムイオン、及びハフニウムイオンなどが挙げられる。このうち、より効果が高い第四族元素イオンとしてチタニウムイオンが挙げられる。これら第四族元素イオンは二種以上を混合して用いることができる。
歯科用接着性組成物に存在している第四族元素イオンの含有量は、リン酸ジエステル重合性単量体中のリン酸水素ジエステル基に対してモル比で0.1〜1.0になる量であり、より好ましくは0.2〜0.6になる量である。組成物中に存在している第四族元素イオン量がリン酸水素ジエステル基に対してモル比で0.1より小さくなると、第四族元素イオンとリン酸ジエステル重合性単量体とのイオン結合による架橋密度が低下するため、接着性が十分発現しなくなる。一方、そのモル比が1.0より大きくなると、リン酸ジエステル重合性単量体に対して第四族元素イオンが過剰となってしまうため、一つの第四族元素イオンにイオン結合するリン酸水素ジエステル基の数が少なくなり、結果として同じく架橋密度が低下して接着性が十分発現しなくなる。
本発明において、特定量の第四族元素イオンを含有させることにより、他の多価金属イオンを共存させた場合よりも、特に高い接着強度が得られる理由は必ずしも定かではないが、次のように推定している。即ち、リン酸ジエステル重合性単量体を含む系中に、第四族元素イオンが存在すると、当該重合性単量体中の酸性基と第四族元素イオンとが強固なイオン結合を形成する。このイオン結合体を含む組成物を重合硬化させた時に、重合による接着力の発現に加えて、このイオン結合体が重合することによって生じるポリマー鎖のイオン架橋による接着力が相乗的に合わさって接着強度がより一層向上するものと考えられる。
従来の歯科用接着性組成物に添加されているアルミニウムイオンやカルシウムイオンといった多価金属イオンでは、イオン結合を形成することのできる酸性基を有する重合性単量体は3分子までであるが、第四族元素イオンでは少なくとも4分子以上の酸性基を有する重合性単量体とイオン結合を形成させることが可能である。このため、第四族元素イオンを用いることにより、他の多価金属イオンを用いる場合に比べて架橋密度をさらに高めることができ、接着強度と接着耐久性を向上させることができると考えられる。更に、本発明では、酸性基を有する重合性単量体が前記のとおり、リン酸ジエステル重合性単量体であり、該単量体中のリン酸水素ジエステル基は酸性度が高く、他の酸性基よりも第四族元素イオンとイオン結合し易いため、この架橋密度が高まる効果はさらに向上し、かくして高い接着強度を発揮することが実現できるものと推察される。
歯科用接着性組成物中の第四族元素イオンの種類および含有量は、固体成分を除いた後、誘導結合型プラズマ(ICP)発光分析装置または蛍光X線(XRF)分析装置を用いて測定することにより求めることができる。具体的な方法を示すと、ICP発光分析装置を用いる場合は、接着性組成物を水溶性有機溶媒で濃度1質量%まで希釈し、得られた希釈液をシリンジフィルター等で濾過し、固体成分を除去する。得られた濾液のイオン種および濃度をICP発光分析装置で測定し、接着性組成物中の第四族元素イオン種と量を算出する。一方、XRF分析装置を用いる場合は、接着性組成物をシリンジフィルター等でろ過し、固体成分を除去する。得られた濾液のイオン種および濃度をXRF分析装置で測定し、接着性組成物中の第四族元素イオン種と量を算出する。なお、第四族元素イオン以外の金属イオン種およびその含有量も、同様な方法によって測定することができる。
同様に、歯科用接着性組成物中におけるリン酸ジエステル重合性単量体の種類および含有量の測定は、分取用高速液体クロマトグラフィーにより組成物中からリン酸系重合性単量体{以下、(A−1)リン酸ジエステル重合性単量体と(A−2)リン酸基含有重合性単量体とに属する重合性単量体を併せて称する}を単離し、単離したリン酸系重合性単量体の質量分析からその分子量を測定し、更に、核磁気共鳴分光(NMR)測定を行って構造を決定する。特に、31PのNMRを測定することで、その化学シフト値から、リン酸水素ジエステル基を同定することができる。化学シフト値は、同条件(希釈溶媒、濃度、温度)で既知の化合物の31P-NMRを測定し、それを標準とすることで決定することができる。リン酸水素ジエステル基を有する既知の化合物としてはリン酸水素ジメチルエステルが使用される。また、リン酸ジエステル重合性単量体の含有量は、分取用高速液体クロマトグラフィーにより単離した該重合性単量体を用いて、上出の標準物質との検量線を作成し、前出の濾液の一部に内標準物質を添加して高速液体クロマトグラフィーで測定することで求めることができる。
本発明の歯科用接着性組成物において、系中に第四族元素イオンを含有させる方法は特に制限されるものではなく、歯科用接着性組成物を調製する際に、リン酸ジエステル重合性単量体を含む重合性単量体成分に、上記第四族元素イオンのイオン源となる物質を配合または接触させて、系中に該第四族元素イオンを前記量で溶出させれば良い。
第四族元素イオン源化合物としては、第四族元素単体、第四族元素イオンを溶出するイオンを含んでなる多価金属イオン溶出性フィラー、または第四族元素化合物が挙げられる。第四族元素化合物としては、第四族元素金属塩、第四族元素金属ハロゲン化物、(Balk)第四族元素金属アルコキシドが挙げられる。金属塩としては、1,3−ジケトンのエノール塩、クエン酸塩、酒石酸塩、フッ化物、マロン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、フタル酸塩、イソフタル酸塩、テレフタル酸塩、酢酸塩、メトキシ酢酸塩等が挙げられ、金属ハロゲン化物としてはフッ化チタン、フッ化ジルコニウム、フッ化ハフニウム等が挙げられる。また、(Balk)第四族元素金属アルコキシドとしては、チタニウムメトキシド、チタニウムエトキシド、チタニウムプロポキシド、チタニウムイソプロポキシド、ジルコニウムメトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムプロポキシド、ジルコニウムイソプロポキシド等が挙げられ、チタニウムメトキシド、チタニウムエトキシド、チタニウムプロポキシド、チタニウムイソプロポキシド等が特に好ましい。これらの化合物のなかでも、炭素数4以下の低級第四族元素金属アルコキシドが、金属イオンの溶出が速く、副生物がアルコールであるため接着強度に影響がなく副生物の除去が容易であり、また取り扱いが容易な点からより好ましい。尚、これらの第四族元素化合物中には、溶解性が著しく低いものがあるため、予め予備実験等で確認した上で用いるとよい。
なお、第四族元素イオン源化合物としての、チタンやジルコニウムの単体ならびにその酸化物は、重合性単量体または有機溶媒に不溶性のものが多く、一般には、水の存在下であっても、殆ど対応する金属イオンを溶出しないため、第四族元素イオン源としての使用は通常は困難である。また、第四族元素イオンを含んでなる多価金属イオン溶出性フィラーも、水の存在下であっても殆ど第四族元素イオンを溶出しないため、第四族元素イオン源としては不適である。更に、一般に、強酸の塩は弱酸と塩交換をし難い傾向がある。このため、リン酸の第一解離に基づくpKa値より小さいpKa値を有する酸、即ち、リン酸より強酸の金属塩は、遊離した第四族元素イオンとリン酸水素ジエステル基とのイオン結合が十分に生じないので、第四族元素イオン源としては好ましくない。
本発明の歯科用接着性組成物は、製造の容易性の観点から、上記第四族元素イオン源として(Balk)第四族元素金属アルコキシドを用いて製造することが好ましい。すなわち、リン酸ジエステル重合性単量体を少なくとも10質量%含んでなる重合性単量体と、当該リン酸ジエステル重合性単量体のリン酸水素ジエステル基に対して、第四族元素イオンがモル比で0.1〜1.0になる量の第四族元素金属アルコキシドを混合して調製する。本発明の歯科用接着性組成物に水を配合する場合は、後述するように、リン酸ジエステル重合性単量体と第四族元素金属アルコキシドとを先に混合したのちに、水と混合する。リン酸ジエステル重合性単量体以外の重合性単量体を配合する場合は、該他の重合性単量体は、先に、前記リン酸ジエステル重合性単量体と混合したのち、第四族元素金属アルコキシドと混合し次いで水と混合する。或いは先にリン酸ジエステル重合性単量体と第四族元素金属アルコキシドとを混合し、次いで水と混合した混合物に、最後に混合する。
リン酸ジエステル重合性単量体と第四族元素化合物との混合は、水が存在しない状態で行う必要がある。水存在下で、これらを混合すると、通常は第四族元素イオンが固体酸化物となって析出してしまい、リン酸水素ジエステル基とのイオン結合を形成することができなくなる。即ち、水存在下で、リン酸ジエステル重合性単量体と第四族元素化合物とを混合した場合、組成物を調製した直後においても所望の接着強度が得られない。従って、歯科用接着性組成物中に水を配合する場合は、リン酸ジエステル重合性単量体を少なくとも10質量%含んでなる重合性単量体と第四族元素化合物を予め混合し、両者間に十分なイオン結合を形成させた後に、水を配合する必要がある。
(E)水
本発明の歯科用接着性組成物は、水が含有されない場合であっても酸性を呈していれば、口腔内の呼気中の水分や歯面上に存在する水分等が介在することで、接着力向上に有効な程度に脱灰作用を発揮させることが可能である。しかしながら、本発明の歯科用接着性組成物を、プライマー或いはプライマーを使用しない1ステップ型の歯科用接着材とする場合には、より脱灰を進行させより高い接着強度を得る観点から、(E)水を配合させることが好ましい。前述したように水を配合する場合は、リン酸ジエステル重合性単量体と第四族元素化合物との混合を先に行う必要がある。水の配合量は、酸による脱灰を十分に行うために、重合性単量体成分100質量部に対して水を3〜150質量部、より好ましくは5〜100質量部とすることが好ましい。
(M)他の金属イオン
本発明の歯科用接着性組成物には、(B)第四族元素イオンの他に、(M)他の金属イオンが含有されていても良い。この他の金属イオンとしては、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン等の1価および2価の金属イオンが挙げられ、さらにアルミニウム(III)、鉄(III)、ルテニウム(III)、コバルト(III)、ランタン(III)等の3価の金属イオンであっても良い。第四族元素イオンによるイオン架橋を良好に発達させる観点からは、これら他の金属イオン全量の総イオン価数が、含有される全金属イオンの総イオン価数に対して0.5以下、より好ましくは0.3以下の割合であるのが好適である。なお、総イオン価数とは、各イオン種のモル数に価数を掛けた値を合計した数値である。
本発明の歯科用接着性組成物中において、他の金属イオンの溶存量が多くなると、リン酸ジエステル重合性単量体が有するリン酸水素ジエステル基は、この金属イオンとイオン結合し中和される。このため、該接着性組成物は、「金属イオンの総イオン価数」/「リン酸ジエステル重合性単量体が有するリン酸水素ジエステル基の総価数」比が1.0以上となると、その組成物は、通常、酸性を呈さなくなる。本発明の歯科用接着性組成物は、このようにして酸性を呈さなくなったものでも高い接着強度が得られるが、酸性を呈しているとエッチング機能(歯質の脱灰機能)を付与することができるため、より高い接着強度が得られ好ましい。このため、本発明の歯科用接着性組成物では、エッチング機能の発現を目的として、組成物が酸性となるように、金属イオンの溶存量を調節するか、或いは前記「金属イオンの総イオン価数」/「リン酸ジエステル重合性単量体が有するリン酸水素ジエステル基の総価数」比が1.0以上となる場合には、他の酸性物質を含有させて酸性を保持する必要がある。
本発明の歯科用接着性組成物の酸性度は、以下の方法で測定したpH値が4.8未満であれば良い。すなわち、酸性度は、該接着性組成物を10質量%の濃度でエタノールに混合し、速やかにその混合液のpHを測定することにより実施する。pHの測定は、従来公知の方法で測定可能であるが、25℃において、中性リン酸塩pH標準液(pH6.86)とフタル酸塩pH標準液(pH4.01)で校正したpH電極を用いたpHメーターで測定する方法が簡便で好ましい。希釈するのに用いるエタノールは純度が99.5%以上であり、該エタノール単独のpH値が下記に示す方法で測定したときに4.8〜5.0であれば特に問題ない。歯科用接着性組成物は、歯質の脱灰性の強さから、この方法で測定したpHが、0.5〜4.0の範囲であるのが好ましく、1.0〜3.0の範囲であるのがより好ましい。
上記別途添加される他の酸性物質としては、pKa値が水中25℃において2.15を超えるものが使用される。歯質の脱灰機能の強さから、該pKa値が6.0以下、より好ましくは4.0以下のものを使用するのが良好である。好適に使用されるものを例示すると、クエン酸、酒石酸、フッ化水素酸、マロン酸、グリコール酸、乳酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、メトキシ酢酸等が挙げられる。また、こうした他の酸性物質としては、前記(A−3)非酸性基含有重合性単量体の一部に代えて、2−(6−メタクリルオキシヘキシル)マロン酸、2−(10−メタクリルオキシデシル)マロン酸、トリメリット酸−4−(2−メタクリルオキシエチル)エステル、N−メタクリロイルグルタミン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸−2,4−ビス(2−メタクリルオキシエチル)エステル、3,3,4,4−ビフェニルテトラカルボン酸−4,4−ビス(2−メタクリルオキシエチル)エステル等のような、リン酸から誘導される酸性基以外の酸性基を有する重合性単量体を用いることができる。
なお、他の酸性物質を含有させる場合であっても、本発明では、該酸性物質として、25℃水中において、リン酸の第一解離に基づくpKa値(2.15)以下のpKa値を有する強酸は使用しないようにしなければならない。何故なら、歯科用接着材組成物中に、このような強酸の共役塩基イオンが含まれていると、接着強度が低下することにつながる。その理由は、該強酸の共役塩基イオンは、リン酸ジエステル重合性単量体の酸性基と競合イオン反応するため、このような強酸の共役塩基イオンは該リン酸ジエステル重合性単量体の酸性基と第四族元素イオンとのイオン結合の形成を妨害する。したがって、このような強酸の共役塩基イオンは実質的に含有されないことが必要であり、効果に影響しない程度に多少に含有されることは許容されるが、その含有量は、第四族元素イオンに対して5モル%以下、より好ましくは3モル%以下であることが望ましい。
また、他の酸性物質を含有させる場合、「リン酸ジエステル重合性単量体以外の酸の総価数」/「第四族元素イオンの総イオン価数」比の割合が、1.0未満となるようにしなければならない。すなわち、この割合が1.0以上となると、接着強度が低下することにつながる。何故なら、リン酸ジエステル重合性単量体と他の酸性物質が、第四族元素イオンと競合的にイオン結合を形成するため、上記比で1.0以上となると、上記リン酸ジエステル重合性単量体と第四族元素イオンとのイオン結合の形成が大きく抑制されてしまうからである。上記比が0.5未満となることがより好ましい。
本発明の歯科用接着性組成物中に、このようなリン酸ジエステル重合性単量体以外の酸の共役塩基イオンが含まれているか否かは、イオンクロマトグラフィーを用いた測定により確認できる。具体的には、接着性組成物を水で抽出し、得られた水相を濾過し、その濾液をイオンクロマトグラフィーにより測定することで確認する。
(D)フッ化物イオン
本発明の歯科用接着性組成物は、水を含有する場合、前記特定の方法で製造すれば高い接着強度を与えるものであるが、一方では長期保存中に徐々に第四族元素イオンの酸化物固体が析出して組成物中の第四族元素イオンの量が低下して接着強度が低下したり、容器のノズルを詰まらせたりする恐れがある。水を含まない歯科用接着性組成物であっても、容器の開閉を繰り返すことにより空気中の水分を取り込み徐々に固体が析出してしまう場合がある。このような場合、組成物に(D)フッ化物イオン(F)を含有させていると、水による酸化物固体の析出を防止することができ、組成物中の保存安定性が向上する。フッ化物イオン(F)を存在させると第四族元素イオンの酸化物の析出が防止できる理由は明白ではないが、リン酸ジエステル重合性単量体と第四族元素イオンとのイオン架橋体がフッ化物イオンによって一部フッ素化され、このフッ素化されたイオン架橋体は水による加水分解を受けにくいものと推察される。
本発明の歯科用接着性組成物中において、以下に示すフッ化物を配合することにより上記フッ化物イオンを組成物中に放出させることができる。フッ化物イオン源となるフッ化物としては、フッ化物イオンを放出可能なものであれば何ら制限されない。具体的には、フッ化水素酸、金属フッ化物、フッ化アンモニウム類、フルオロアルミノシリケートガラス等が利用でき、特に好ましくは金属フッ化物である。好ましい金属フッ化物を例示すると、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム等のアルカリ金属フッ化物;フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム等のアルカリ土類金属フッ化物;フッ化アルミニウム、フッ化イットリウム、フッ化ランタン、フッ化イッテルビウム等の土類金属フッ化物;フッ化チタン、フッ化ジルコニウム等の第四族元素のフッ化物;フッ化亜鉛等があげられる。中でもアルカリ金属フッ化物、第四族元素のフッ化物が好ましく、アルカリ金属フッ化物がより好ましい。最も好ましくはフッ化ナトリウムである。
フッ化物イオンの配合量は、第四族金属酸化物の析出を防ぐことができるように、適宜調整して配合すればよいが、少なすぎる場合にはその添加効果を得られない。一方、上述のようにフッ化物イオンはリン酸の第一解離に基づくpKa値(2.15)以上のpKa値をフッ化水素酸の共役塩基イオンであるため、フッ化物イオンは「第四族元素イオンの総イオン価数」に対してモル比が1.0未満とするのが好適である。更にフッ化物イオン源であるアルカリ金属フッ化物等の、第四族元素イオン以外の金属イオン源にもなり得る化合物が添加される場合には、その他の金属イオンの総イオン価数が、全金属イオンの総イオン価数に対して0.5以下、より好ましくは0.3以下の割合となる量を配合するのが好適である。フッ化物イオンの好ましい配合量は、第四族元素イオンに対してモル比で0.4〜4.0、よりこのましくは、0.4〜1.7である。
フッ化物を配合する際、フッ化物として第四族元素フッ化物を用いる場合には、前述の第四族元素金属アルコキシドの添加方法と同様に水の非存在下でリン酸ジエステル重合性単量体と混合すればよい。その他のフッ化物を配合する場合はその方法は特に制限されない。特に、アルカリ金属フッ化物を用いる場合には、第四族元素金属アルコキシドと同時に水非存在下でリン酸ジエステル重合性単量体と混合しても良く、リン酸ジエステル重合性単量体と第四族元素金属アルコキシドとを混合した後にアルカリ金属フッ化物の水溶液を添加してもよい。
歯科用接着性組成物中のフッ化物イオンは、組成物が均一である限り、配合したフッ化物がほとんどイオン化して組成物中に存在しているが、フルオロアルミノシリケートガラス等から溶出させる場合には、その含有量を陰イオンクロマトグラフィーにより測定して求めることができる。具体的な方法を示すと、純粋で濃度1%まで希釈し、得られた希釈液をシリンジフィルターで濾過し、固体成分を除去する。得られた濾液に含まれるフッ化物イオン濃度を陰イオンクロマトグラフィーにより測定し、歯科用接着性組成物中のフッ化物イオン含有量を算出する。
本発明の歯科用接着性組成物は、歯科用途において、歯質の接着用に使用される。特に、コンポジットレジンや補綴物等の歯科用修復物、或いはブラケット等の歯列矯正用器具を歯質に接着させる際に使用される歯科用接着材や、接着材を歯面に適用する前に、歯面を処理するために塗布されるプライマーとして有用である。通常、歯面等の被着体に塗布されたプライマーは、単独で硬化されることは無く、塗布されたプライマー上に更に適用される接着材が重合硬化する際に同時に硬化される。本発明の組成物は特にコンポジットレジン用の接着材として好適に用いられ、更に接着材がプライマー機能も併せ持つ1ステップ型の接着材としても好適に用いられる。他方、本発明の組成物をコンポジットレジン接着用のプライマーとして用いる場合、接着材を用いずに、コンポジットレジン充填接着してもよい。即ち、プライマーを塗布した歯面に対してコンポジットレジンを直接充填し、充填したコンポジットレジンを光硬化させることでプライマーが同時に硬化し、歯質に接着する。このような術式で用いた場合、接着材の塗布と重合硬化操作を行なう必要がなく臨床操作が簡便となり好ましい。
(C)重合開始剤
本発明の歯科用接着性組成物には、有効量の重合開始剤を配合させても良く、特に上記歯科用接着材として用いる場合必要である。このような重合開始剤としては、任意のタイミングで重合硬化させることができることから、光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としてはカンファーキノン、ベンジル、α−ナフチル、アセトナフテン、ナフトキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン等のα−ジケトン類;2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン類;2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン等のα−アミノアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等のアシルフォスフィンオキシド誘導体等が好適に使用される。更に、ブチルトリフェニルホウ酸、テトラフェニルホウ酸、或いはテトラキス(p−トリル)ホウ酸のナトリウム塩、又はトリエタノールアンモニウム塩等からなるボレート化合物類;ジベンゾイルパーオキシド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のアルキルハイドロパーオキサイド類;バルビツール酸類などの化学重合開始剤も必要に応じて配合しても良い。更に、ハイドロパーオキサイド類及び/又はボレート類の重合開始活性を高める目的で、バナジウム化合物、クロム化合物、マンガン化合物、鉄化合物、コバルト化合物等の遷移金属化合物を同時に用いても良い。好ましくはオキソバナジウム(IV)ビス(マルトラート)、五酸化二バナジウム等のバナジウム化合物である。また、本発明の組成物をコンポジットレジン用のプライマーとして利用し接着材を用いずに直接歯面に接着させる場合には、プライマーにバナジウム化合物を配合し、コンポジットレジンには光重合開始剤に加えてハイドロパーオキサイド類を配合する態様とすることにより高い接着強度が得られる。
また、重合開始剤と組み合わせて用いることのできる重合促進剤としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル、N,N−ジメチルアンスラニックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、p−ジメチルアミノスチルベン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等の第三級アミン類;5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類;ドデシルメルカプタン、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等のメルカプト化合物を挙げることができる。
当該重合開始剤の配合量は、重合性単量体全成分100質量部に対して、0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。更に、重合開始活性をより高める目的で、上記の重合開始剤、重合促進剤に加え、ヨードニウム塩、トリハロメチル置換S−トリアジン、フェナンシルスルホニウム塩化合物等の電子受容体を加えても良い。
本発明の歯科用接着性組成物は、更に充填剤を添加してもよい。当該充填剤としては、好ましくはシリカやジルコニア、チタニア、シリカ・ジルコニア、シリカ・チタニアなどの無機充填剤が挙げられる。これら無機充填剤は、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で疎水化することで重合性単量体とのなじみを良くし、機械的強度や耐水性を向上させることができる。疎水化の方法は公知の方法で行えばよく、シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが好適に用いられる。当該無機充填剤の配合量は、通常、重合性単量体成分100質量部に対して2〜400質量部の範囲、より好ましくは5〜100質量部である。特に本発明の歯科用接着性組成物をコンポジットレジン用接着材やプライマーとして使用する場合は、2〜60質量部の範囲、より好ましくは5〜40質量部である。
本発明の歯科用接着性組成物には、更にまた揮発性有機溶媒を配合しても良い。揮発性有機溶媒は、室温で揮発性を有し水溶性を示すものを好適に使用することができる。ここで言う揮発性とは、760mmHgでの沸点が100°C以下であり、且つ20°Cにおける蒸気圧が1.0KPa以上であることを言う。また、水溶性とは、20°Cでの水への溶解度が20g/100ml以上であり、好ましくは該20℃において水と任意の割合で相溶することを言う。このような揮発性の水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、ターシャリーブタノール、アセトン、メチルエチルケトンなどを挙げることができる。これら有機溶媒は必要に応じ複数を混合して用いることも可能である。生体に対する毒性を考慮すると、エタノール、イソプロピルアルコール及びアセトンが好ましい。これらの揮発性有機溶媒の配合量は、通常、重合性単量体全成分100質量部に対して2〜400質量部の範囲、より好ましくは5〜100質量部である。なお、これらの揮発性有機溶媒も、前記水と同様に、本発明の歯科用接着性組成物をプライマーや接着材として歯面に塗布した際に、該接着性組成物を硬化させる前にエアブローすることにより除去されるものである。
さらに、本発明の接着性組成物には、用途に関わらずに必要に応じて、その性能を低下させない範囲で、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の高分子化合物などの有機増粘材を添加することが可能である。また、紫外線吸収剤、染料、帯電防止剤、顔料、香料等の各種添加剤を必要に応じて選択して配合することができる。
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらにより何等制限されるものではない。また、実施例の中で説明されている特徴の組み合わせすべてが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。尚、実施例中に示した、略称、略号については以下の通りである。
略称及び略号
[(A)重合性単量体]
(A−1)リン酸ジエステル重合性単量体
PM2:ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフ
ェート
フェニル−P:2−メタクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェン
ホスフェート
(A−2)リン酸基含有重合性単量体
PM1:2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェー

(A−3)非酸性基含有重合性単量体
BisGMA:2,2‘−ビス(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオ
キシプロポキシ)フェニル)プロパン
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
14G:ポリエチレングリコール(平均重合度14)ジメタクリレート
[(B)第四族元素イオン]
(Balk)第四族元素金属アルコキサイド
Ti(O−i−Pr):チタニウムテトライソプロポキシド
Zr(O−i−Pr):ジルコニウムテトライソプロポキシド
(他の第四族元素化合物)
ZrO:酸化ジルコニウム
TiF:フッ化チタン
[(C)重合開始剤]
(光重合開始剤)
CQ:カンファーキノン
DMBE:p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル
(他の重合開始剤)
パーオクタH:1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサ
イド
BMOV:オキソバナジウム(IV)ビス(マルトラート)
[(D)フッ化物イオン]
(金属フッ化物)
NaF:フッ化ナトリウム
[(M)他の金属イオン]
(他の金属イオン源化合物)
Al(O−i−Pr):アルミニウムトリイソプロポキシド
Ca(O−i−Pr):カルシウムジイソプロポキシド
Ce(O−i−Pr):セリウムテトライソプロポキシド
La(O−i−Pr):ランタントリイソプロポキシド
Sc(O−i−Pr):スカンジウムトリイソプロポキシド
TiO:酸化チタン
Y(O−i−Pr):イットリウムトリイソプロポキシド
Yb(O−i−Pr):イッテリビウムトリイソプロポキシド
[その他成分]
(揮発性の水溶性有機溶媒)
IPA:イソプロピルアルコール
アセトン
(重合禁止剤)
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
HQME:ハイドロキノンモノメチルエーテル
(紫外線吸収剤)
BS110:2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
(無機フィラー)
F1:球状シリカ−ジルコニア(平均粒径0.4μm)をγ―メタクリ
ロイルオキシプロピルトリメトキシシランにより疎水化処理したも
のと、球状シリカ−ジルコニア(平均粒径0.07μm)γ―メタ
クリロイルオキシプロピルトリメトキシシランにより疎水化処理し
たものとを質量比70:30にて混合した混合物
F2:ヒュームドシリカ(平均粒径0.007μm)をジメチルジクロロ
シランにより表面処理したもの
MF:フルオロアルミノシリケートガラス粉末(トクソーアイオノマー、
株式会社トクヤマ製)を湿式の連続型ボールミル(SCミル、三井
鉱山株式会社製)を用いて、平均粒径0.4μmまで粉砕したもの
また、以下の実施例および比較例において、各種の測定は以下の方法により実施した。
(1)金属イオンの測定方法
本発明の歯科用接着性組成物を調製し攪拌した後、シリンジフィルターでろ過し、濾液の蛍光X線(XRF)分析を行い、重合性単量体1g当りに含まれる各金属イオン濃度(mmol/g)を測定した。
(2)リン酸系重合性単量体の測定方法
本発明の歯科用接着性組成物を調製し攪拌した後、100mlのサンプル管に0.2gを計り取り、IPAを用いて1質量%に希釈した。この液をシリンジフィルターでろ過し、濾液をHPLCで測定し、重合性単量体1g当りに含まれる、リン酸系重合性単量体の濃度(mmol/g)を測定した。
(3)フッ化物イオンの測定方法
歯科用接着性組成物2gと水100g、ジエチルエーテル10gを激しく混合し、静置後、水相をシリンジフィルターでろ過し、濾液をイオンクロマトグラフィーにより測定し、重合性単量体1g当りに含まれるフッ化物イオン濃度(mmol/g)を測定した。
(4)歯科用接着性組成物のpH測定方法
歯科用接着性組成物2gを無水エタノール8gと混合し、中性リン酸塩pH標準液(pH6.86)とフタル酸塩pH標準液(pH4.01)で校正したpH電極(GTS−5211C、東亜ディーケーケー社製)を用いて、速やかにそのpHを測定した。
(5)試験片作成方法
a)接着試験片の作成方法I(歯科用接着性組成物を歯科用接着材とする場合に適用)
屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去し、注水下、#600のエメリーペーパーで唇面に平行になるようにエナメル質および象牙質平面を削り出した。次に、これらの面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した後、エナメル質および象牙質のいずれかの平面に直径3mmの孔の開いた両面テープを固定し、ついで厚さ0.5mm直径8mmの孔の開いたパラフィンワックスを上記円孔上に同一中心となるように固定して模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞内に歯科用接着材を塗布し、20秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥し、歯科用可視光照射器(トクソーパワーライト、トクヤマ社製)にて10秒間光照射した。更にその上に歯科用コンポジットレジン(エステライトΣ、トクヤマデンタル社製)を充填し、可視光線照射器により30秒間光照射して、接着試験片Iを作製した。
b)接着試験片の作成方法II(歯科用接着性組成物をプライマーとする場合に適用)
前記a)接着試験片の作成方法Iと同様の方法により形成した模擬窩洞内に歯質用プライマーを塗布し、20秒放置後圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥し、その上に2ステップ型コンポジットレジン用接着材(トクソーマックボンドIIのボンディング材、トクヤマ社製)を塗布し、歯科用可視光照射器(トクソーパワーライト、トクヤマ社製)にて10秒間光照射した。更にその上に歯科用コンポジットレジン(エステライトΣ、トクヤマデンタル社製)を充填し、可視光線照射器により30秒間光照射して、接着試験片IIを作製した。
c)接着試験片の作成方法III(歯科用接着性組成物を、歯科用プライマーを使用する歯科用接着材とする場合に適用)
前記a)接着試験片の作成方法Iと同様の方法により形成した模擬窩洞内に2ステップ型コンポジットレジン用接着材(トクソーマックボンドII)の歯質用プライマーを塗布し、20秒放置後圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥し、その上に歯科用接着材を塗布し、歯科用可視光照射器(トクソーパワーライト、トクヤマ社製)にて10秒間光照射した。更にその上に歯科用コンポジットレジン(エステライトΣ、トクヤマデンタル社製)を充填し、可視光線照射器により30秒間光照射して、接着試験片IIIを作製した。
d)接着試験片の作成方法VI(歯科用接着性組成物をコンポジットレジン用歯科用プライマーとする場合に適用)
前記a)接着試験片の作成方法Iと同様の方法により形成した模擬窩洞内に歯質用プライマーを塗布し、20秒放置後圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥し、その上に別途調製したコンポジットレジンを充填し、可視光線照射器により20秒間光照射して、接着試験片VIを作製した。
(6)接着耐久性の試験方法
接着試験片I、II、III、IVのいずれかを熱衝撃試験器に入れ、4℃の水槽に1分間浸漬後、60℃の水槽に移し1分間浸漬し、再び4℃の水槽に戻す操作を、3000回繰り返した。その後、引張り試験機(オートグラフ、島津製作所製)を用いてクロスヘッドスピード2mm/minにて引張り、エナメル質または象牙質とコンポジットレジンの引張り接着強度を測定した。1試験当り、4本の引張り接着強さを上記方法で測定し、その平均値を耐久試験後の接着強度として測定し、接着耐久性を評価した。
(7)保存による白色沈殿の有無
第四族元素イオンを含む歯科用接着性組成物5gを10mlスクリュー管ビンにいれ、25℃インキューベーターにて90日間保存した。その後、スクリュー管を激しく浸透し、保存前に比べて接着性組成物に白濁が生じている場合に×、濁りの無い場合に○とした。
実施例1
重合性単量体として25.0gのPM1とPM2の等モル混合物、30gのBisGMA、20gの3G及び25gのHEMAと、チタンイオン源として4.4gのチタンイソプロポキシドと、重合開始剤として1.25gのカンファーキノン、1.25gのDMBEと、85gのIPA、及びその他成分としてBHTを0.25g、HQMEを0.19g、平均粒径0.01μmの疎水性のヒュームドシリカを9.8g用い、これらを均一になるまで攪拌混合した後、19gの蒸留水を加えて再度均一になるまで攪拌混合して本発明の歯科用接着性組成物からなる、1ステップ型コンポジットレジン用接着材を得た。
この接着材について、リン酸系重合性単量体、及び金属イオンの各測定とpH測定を実施した後、これを用いて接着試験片の作成方法Iにより接着試験片を作成し、エナメル質および象牙質に対する接着耐久性を試験した。接着材の組成を表1に、評価結果を表2に示した。
実施例2〜10
実施例1の方法に準じ、表1に示した組成の異なる接着材を調製した。得られた各1ステップ型コンポジットレジン用接着材について、リン酸系重合性単量体、及び金属イオンの各測定とpH測定を実施した後、各々を用いて接着試験片の作成方法Iにより接着試験片を作成し、エナメル質および象牙質に対する接着耐久性を試験した。接着材の組成を表1、結果を表2に示した。
比較例1〜17
実施例1の方法に準じ、組成の異なる接着材を調製した。得られた各1ステップ型コンポジットレジン用接着材について、リン酸系重合性単量体、及び金属イオンの各測定とpH測定を実施した後、各々を用いて接着試験片の作成方法Iにより接着試験片を作成し、エナメル質および象牙質に対する接着耐久性を試験した。接着材の組成を表3に、結果を表4に示した。
Figure 0005484334
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実施例1〜10は、リン酸ジエステル重合性単量体と、第四族元素イオンが、本発明で示される構成を満足するように配合されたものであり、いずれの場合においても接着耐久性の試験結果は、エナメル質、及び象牙質のいずれに対しても良好であった。
これに対して、比較例1〜4は第四族元素イオンを含む多価金属イオンが全く含まれない場合であり、いずれの場合においても耐久性試験後の接着強度は、エナメル質、象牙質双方に対して十分ではなかった。比較例5〜11は第四族元素イオン以外の多価金属イオンが含まれる場合であり、いずれの場合も耐久試験後の接着強度は、エナメル質、象牙質双方に対して十分ではなかった。比較例12〜13は第四族元素化合物として酸化チタンまたは酸化ジルコニウムを用いた場合であり、チタニウムイオンまたはジルコニウムイオンの溶出は殆ど無く、耐久性試験後の接着強度は、エナメル質、象牙質双方に対して十分ではなかった。比較例14はリン酸ジエステル重合性単量体以外の酸性基含有重合性単量体のみを用いた場合であり、耐久性試験後の接着強度は、エナメル質、象牙質双方に対して十分ではなかった。比較例15〜16は第四族元素イオンが含まれるものの本発明の範囲外の量の場合であり、耐久性試験後の接着強度は、エナメル質、象牙質双方に対して十分ではなかった。
実施例11〜18、比較例17〜31
表5、表7に示す組成のプライマーを、実施例1の接着材と同様に調製し、得られたプライマーを、2ステップ型コンポジットレジン用接着材用のプライマーとして用いた。プライマーに含まれる酸性基含有重合性単量体及び各種イオンの測定し、次いで、これを用いて接着試験片の作成方法IIにより接着試験片を作成し、耐久試験後のエナメル質、象牙質接着強度を評価した。評価結果を表6、表8に示した。
Figure 0005484334
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実施例11〜18は、各成分が本発明で示される構成を満足するように配合された歯質プライマーに関するものであり、いずれの場合においてもエナメル質、及び象牙質に対して良好な接着強度の耐久性が得られた。
比較例17〜21は、第四族元素イオンが含まれない、または第四族元素イオンが含まれるものの本発明の範囲外である場合であり、耐久性試験後の接着強度は、エナメル質、象牙質双方に対して十分ではなかった。比較例22〜23は第四族元素化合物として酸化チタンまたは酸化ジルコニウムを用いた場合であり、チタニウムイオンまたはジルコニウムイオンの溶出は殆ど無く、耐久性試験後の接着強度は、エナメル質、象牙質双方に対して十分ではなかった。比較例24は、リン酸ジエステル重合性単量体以外の酸性基含有重合性単量体のみを用いた場合であり、耐久性試験後の接着強度は、エナメル質、象牙質双方に対して十分ではなかった。比較例25〜31は、第四族元素イオン以外の多価金属イオンが含まれる場合であり、いずれの場合も耐久性試験後の接着強度は、エナメル質、象牙質双方に対して十分ではなかった。
実施例19
重合性単量体として25.0gのPM1とPM2の等モル混合物、30gのBisGMA、20gの3G及び25gのHEMAと、チタンイオン源として4.4gのチタンイソプロポキシドと、重合開始剤として1.25gのカンファーキノン、1.25gのDMBEと、85gのIPA、及びその他成分としてBHTを0.25g、HQMEを0.19g、平均粒径0.01μmの疎水性のヒュームドシリカを9.8g用い、これらを均一になるまで攪拌混合した後、2ステップ型コンポジットレジン用接着材を得た。
この接着材について、リン酸系重合性単量体、及び金属イオンの各測定を実施した後、これを用いて接着試験片の作成方法IIIにより接着試験片を作成し、エナメル質および象牙質に対する接着耐久性を試験した。接着材の組成を表9に、評価結果を表10に示した。
実施例20〜25
実施例19の方法に準じ、表9に示した組成の異なる接着材を調製した。得られた各2ステップ型コンポジットレジン用接着材について、リン酸系重合性単量体、及び金属イオンの各測定を実施した後、各々を用いて接着試験片の作成方法IIIにより接着試験片を作成し、エナメル質および象牙質に対する接着耐久性を試験した。接着材の組成を表9、結果を表10に示した。
比較例32〜45
実施例19の方法に準じ、組成の異なる接着材を調製した。得られた各2ステップ型コンポジットレジン用接着材について、リン酸系重合性単量体、及び金属イオンの各測定とpH測定を実施した後、各々を用いて接着試験片の作成方法IIIにより接着試験片を作成し、エナメル質および象牙質に対する接着耐久性を試験した。接着材の組成を表11に、結果を表12に示した。
Figure 0005484334
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実施例19〜25は、各成分が本発明で示される構成を満足するように配合された接着材に関し、いずれの場合においてもエナメル質、及び象牙質に対して良好な接着強度の耐久性が得られた。
比較例32〜36は、第四族元素イオンが含まれない、または第四族元素イオンが含まれるものの本発明の範囲外であり、耐久性試験後の接着強度は、エナメル質、象牙質双方に対して十分ではなかった。比較例37〜38は第四族元素化合物として酸化チタンまたは酸化ジルコニウムを用いた場合であり、チタニウムイオンまたはジルコニウムイオンの溶出は殆ど無く、耐久性試験後の接着強度は、エナメル質、象牙質双方に対して十分ではなかった。比較例39は、リン酸ジエステル重合性単量体以外の酸性基含有重合性単量体のみを用いた場合であり、耐久性試験後の接着強度は、エナメル質、象牙質双方に対して十分ではなかった。比較例40〜46は第四族元素イオン以外の多価金属イオンが含まれる場合であり、いずれの場合も耐久性試験後の接着強度は、エナメル質、象牙質双方に対して十分ではなかった。
実施例26
5.7gのBisGMA、3.8gの3Gおよび0.5gの14Gに対して、0.06gのCQ、0.1gのDMBE、0.1gのパーオクタH、0.2gのBS110、0.002gのHQMEおよび0.015gのBHTを加え、暗所にて均一になるまで撹拌し、マトリックスとした。得られたマトリックスを3.3gを、6.23gのF1および0.47gのMFとメノウ乳鉢で混合し、真空下にて脱泡することにより、フィラー充填率67.0%の光硬化型のコンポジットレジンCR1を得た。
重合性単量体として44.0gのPM1とPM2の等モル混合物、7.2gのBisGMA、4.8gの3G及び44gのHEMAと、チタンイオン源として10.0gのチタンイソプロポキシドと、重合開始剤として0.75gのBMOV、0.14gのBHT、300gのアセトン、27gのF2を均一になるまで攪拌混合した後、33gの蒸留水を加えて再度均一になるまで攪拌混合して本発明の接着性組成物からなる、コンポジットレジン用プライマーを得た。
このプライマーについて、リン酸系重合性単量体、及び金属イオンの各測定とpH測定を実施した後、上記コンポジットレジンCR1と、調製したプライマーを用いて接着試験片の作成方法IVにより接着試験片を作成し、エナメル質および象牙質に対する接着耐久性を試験した。接着材の組成を表13に、評価結果を表14に示した。
実施例27〜30、比較例47、48
実施例26に準じて、表13に示す組成のコンポジットレジン用プライマーを調製した。尚、NaFを添加する場合には、所定の濃度の水溶液を予め調製し、水と一緒に最後に添加した。上記コンポジットレジンCR1と、調製したプライマーを用いて接着試験片の作成方法IVにより接着試験片を作成し、エナメル質および象牙質に対する接着耐久性を試験した。接着材の組成を表13に、評価結果を表14に示した。
Figure 0005484334
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実施例26〜30は、各成分が本発明で示される構成を満足するように配合されたプライマーに関し、いずれの場合においてもエナメル質、及び象牙質に対して良好な接着強度の耐久性が得られた。実施例27〜30は第四族元素イオンに加えて、フッ化物イオンを含有するプライマーであるが、25℃、90日保存後にも白色の沈殿は生じなかった。同様に、比較例47、48は、第四族元素イオン以外の金属イオンを含む場合であり、耐久性試験の結果、良好な接着耐久性が得られなかった。

Claims (7)

  1. (A)リン酸水素ジエステル基を有する重合性単量体を10質量%以上含む重合性単量体;
    (B)第四族元素イオン
    を含有する歯科用接着性組成物であって、
    前記第四族元素イオンの含有量が、(A−1)リン酸水素ジエステル基を有する重合性単量体のリン酸水素ジエステル基に対してモル比で0.1〜1.0となる量であることを特徴とする歯科用接着性組成物。
  2. 第四族元素イオンが、チタンイオンであることを特徴とする請求項1に記載の歯科用接着性組成物。
  3. さらに、(C)重合開始剤を含有してなることを特徴とする請求項1に記載の歯科用接着性組成物。
  4. 酸性を呈することを特徴とする請求項1に記載の歯科用接着性組成物。
  5. さらに、第四族元素イオンに対してモル比で0.4〜4.0の(D)フッ化物イオンを含有してなることを特徴とする請求項1に記載の歯科用接着性組成物。
  6. さらに、(E)水を含有してなることを特徴とする請求項1に記載の歯科用接着性組成物。
  7. (A)リン酸水素ジエステル基を有する重合性単量体を10質量%以上含む重合性単量体;
    (E)水;
    (Balk)前記(A−1)リン酸水素ジエステル基を有する重合性単量体のリン酸水素ジエステル基に対して、第四族元素イオンがモル比で0.1〜1.0となる量の第四族元素金属アルコキシド
    を混合して歯科用接着性組成物を製造する方法において、(A−1)リン酸水素ジエステル基を有する重合性単量体を(Balk)第四族元素金属アルコキシドと予め混合し、次いで(E)水と混合することを特徴とする前記歯科用接着性組成物の製造方法。
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