JP2010151421A - 空調システム - Google Patents

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Abstract

【課題】空気調和装置と外気処理装置とを備えた空調システムの運転効率を向上させる。
【解決手段】空調機(20)と外気処理機(50)とによって空調システム(10)が構成される。空調システム(10)では、空調側コントローラ(91)と調湿側コントローラ(92a,92b)とによって制御システム(90)が構成される。制御システム(90)は、空調用圧縮機(41)を連続的に運転させながら空調機(20)の空調能力を室内の空調負荷に応じて調節する連続運転動作を行う。また、制御システム(90)は、連続運転動作中に空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数が低くなっていることを示す運転状態判定条件が成立すると、空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数を向上させるために空調用圧縮機(41)の運転容量を強制的に引き上げた状態で空調用圧縮機(41)を間欠的に運転させる効率向上動作を行う。
【選択図】図1

Description

室内空気の温度を調節する空気調和装置と、室内へ供給される室外空気の温度と湿度を調節する外気処理装置とを備えた空調システムに関するものである。
従来より、空気調和装置と外気処理装置とを備えた空調システムが知られている。例えば、特許文献1には、冷凍サイクルを行う冷媒回路が設けられた空気調和装置と、デシカントロータを用いて空気の湿度を調節する外気処理装置とを備える空調システムが開示されている。また、特許文献2や特許文献3には、空気熱交換器の表面に担持された吸着剤を冷媒で加熱し又は冷却することによって空気の湿度を調節する外気処理装置と、冷凍サイクルを行う冷媒回路が設けられた空気調和装置とを備える空調システムが開示されている。この種の空調システムにおいて、空気調和装置は、取り込んだ室内空気の温度を調節し、温度を調節した室内空気を室内へ供給する。また、外気処理装置は、取り込んだ室外空気の温度と湿度を調節し、温度と湿度を調節した室外空気を室内へ供給する。
特開平09−318126号公報 特開2005−291585号公報 特開2006−329471号公報
空気調和装置と外気処理装置とを備えた従来の空調システムにおいて、空気調和装置と外気処理装置は、室内空気の状態(即ち、室内空気の温度と湿度)が目標とする状態となるように、それぞれが個別に運転制御を行うことが多かった。このため、空調システム全体の運転効率を向上させる観点からは、空気調和装置や外気処理装置の運転制御が必ずしも最適とは言えない場合があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、空気調和装置と外気処理装置とを備えた空調システムの運転効率を向上させることにある。
第1の発明は、取り込んだ室内空気を少なくともその温度を調節してから室内へ供給する空気調和装置(20)と、取り込んだ室外空気をその温度及び湿度を調節してから室内へ供給する外気処理装置(50)とを備える一方、上記空気調和装置(20)は、空調用圧縮機(41)が接続されて冷凍サイクルを行う空調用冷媒回路(30)を備え、室内空気を上記空調用冷媒回路(30)の冷媒と熱交換させることによって室内空気の温度を調節するように構成されている空調システムを対象とする。そして、上記空調用圧縮機(41)を連続的に運転させながら上記空気調和装置(20)の空調能力を室内の空調負荷に応じて調節する連続運転動作を行う制御手段(90)を備えており、上記制御手段(90)は、上記連続運転動作中に上記空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数が低くなっていることを示す所定の運転状態判定条件が成立すると、上記空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数を向上させるために上記空調用圧縮機(41)の運転容量を強制的に引き上げた状態で該空調用圧縮機(41)を間欠的に運転させる効率向上動作を行うように構成されるものである。
第1の発明において、空気調和装置(20)は、取り込んだ室内空気の少なくとも温度を調節し、温度を調節した室内空気を室内へ供給する。空気調和装置(20)では、空調用冷媒回路(30)において冷媒を循環させることによって冷凍サイクルが行われ、室内空気を空調用冷媒回路(30)の冷媒と熱交換させることによって室内空気の温度が調節される。空調システム(10)の制御手段(90)は、連続運転動作を行う。連続運転中の制御手段(90)は、空調用圧縮機(41)を連続的に運転させつつ、空気調和装置(20)の空調能力を室内の空調負荷に応じて調節する。
一般に、冷凍サイクルを行う空気調和装置(20)の空調能力が低くなると、冷媒回路内における損失が大きくなり、冷凍サイクルの成績係数(COP)の低下を招くおそれがある。例えば、空気調和装置(20)の空調能力を引き下げるために圧縮機の運転容量を小さくして冷媒回路における冷媒の循環量を削減すると、圧縮機の効率が低下し、冷凍サイクルの成績係数が低下してしまう。
それに対し、第1の発明の制御手段(90)は、連続運転動作中に所定の運転状態判定条件が成立すると、空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数が低くなっていると判断し、効率向上動作を行う。効率向上動作中の制御手段(90)は、空調用圧縮機(41)の運転容量を強制的に引き上げ、それによって空調用冷媒回路(30)での損失を低減する。その結果、空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数が向上する。このとき、ただ単に空調用圧縮機(41)の運転容量を引き上げると、空気調和装置(20)の空調能力が増大し、室内の気温が低下し過ぎたり上昇し過ぎるおそれがある。そこで、効率向上動作中の制御手段(90)は、空調用圧縮機(41)の運転容量を強制的に引き上げるだけでなく、空調用圧縮機(41)を間欠的に運転させ、室内気温の低下し過ぎや上昇し過ぎを回避している。
また、第1の発明において、外気処理装置(50)は、取り込んだ室外空気の温度と湿度を調節し、温度と湿度を調節した室外空気を室内へ供給する。つまり、外気処理装置(50)は、室内の換気を行う。空気調和装置(20)の運転中には、常に室内を換気する必要がある。このため、空気調和装置(20)の運転中には外気処理装置(50)も運転される。
第2の発明は、取り込んだ室内空気を少なくともその温度を調節してから室内へ供給する空気調和装置(20)と、取り込んだ室外空気をその温度及び湿度を調節してから室内へ供給する外気処理装置(50)とを備える一方、上記空気調和装置(20)は、空調用圧縮機(41)が接続されて冷凍サイクルを行う空調用冷媒回路(30)を備え、室内空気を上記空調用冷媒回路(30)の冷媒と熱交換させることによって室内空気の温度を調節するように構成されている空調システムを対象とする。そして、上記空調用圧縮機(41)を連続的に運転させながら上記空気調和装置(20)の空調能力を室内の空調負荷に応じて調節する連続運転動作と、上記空調用圧縮機(41)を連続的に運転させた状態では上記空気調和装置(20)の空調能力が過剰な場合に該空調用圧縮機(41)を間欠的に運転させる間欠運転動作とを行う制御手段(90)を備えており、上記制御手段(90)は、上記間欠運転動作中における上記空調用圧縮機(41)の停止と起動の頻度が高いことを示す所定の発停頻度判定条件が成立すると、上記間欠運転動作を終了させて上記連続運転動作を開始させるために上記外気処理装置(50)の空調能力を強制的に引き下げる能力削減動作を行うように構成されるものである。
第2の発明において、空気調和装置(20)は、取り込んだ室内空気の少なくとも温度を調節し、温度を調節した室内空気を室内へ供給する。空気調和装置(20)では、空調用冷媒回路(30)において冷媒を循環させることによって冷凍サイクルが行われ、室内空気を空調用冷媒回路(30)の冷媒と熱交換させることによって室内空気の温度が調節される。また、この発明において、外気処理装置(50)は、取り込んだ室外空気の温度と湿度を調節し、温度と湿度を調節した室外空気を室内へ供給する。
第2の発明において、空調システム(10)の制御手段(90)は、連続運転動作と間欠運転動作とを行う。連続運転動作中の制御手段(90)は、空調用圧縮機(41)を連続的に運転させつつ、空気調和装置(20)の空調能力を室内の空調負荷に応じて調節する。一方、間欠運転動作中の制御手段(90)は、空調用圧縮機(41)を間欠的に運転させる。連続運転動作中には制御手段(90)が空気調和装置(20)の空調能力を調節するが、それでも空気調和装置(20)の空調能力が室内の空調負荷に対して過剰になる場合があり、そのような場合に制御手段(90)が間欠運転動作を行う。制御手段(90)の間欠運転動作中には、空気調和装置(20)が温度調節した空気を間欠的に室内へ供給することとなり、室内気温の低下し過ぎや上昇し過ぎが回避される。
一般に、圧縮機を起動した時点から暫くの間は、冷媒回路を構成する配管や機器の温度を定常状態にするために冷媒の温熱や冷熱が消費されるため、冷媒回路で行われる冷凍サイクルの成績係数が低くなる。このため、制御手段(90)が長時間に亘って間欠運転動作を行うと、空調用圧縮機(41)が起動される度に空調用冷媒回路(30)では成績係数の低い冷凍サイクルが行われることとなり、空調システム(10)の効率低下を招くおそれがある。
そこで、第2の発明の制御手段(90)は、間欠運転動作中に所定の発停頻度判定条件が成立すると、間欠運転動作中における空調用圧縮機(41)の停止と起動の頻度が高くなっていると判断し、能力削減動作を行う。能力削減動作中の制御手段(90)は、外気処理装置(50)の空調能力を強制的に引き下げる。外気処理装置(50)の空調能力が減少した状態で室内気温を維持するには、空気調和装置(20)の空調能力を高める必要がある。このため、制御手段(90)は、間欠運転動作を終了させて連続運転動作を開始させ、空気調和装置(20)の空調能力を引き上げる。制御手段(90)の連続運転動作中には、空調用圧縮機(41)が連続的に運転される。このため、空調用冷媒回路(30)では、冷媒が安定した状態で循環し続け、成績係数の高い冷凍サイクルが行われることとなる。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記外気処理装置(50)は、調湿用圧縮機(71)が接続されて冷凍サイクルを行う調湿用冷媒回路(60)と、該調湿用冷媒回路(60)の冷媒によって冷却され又は加熱される吸着剤とを備え、室外空気を上記吸着剤と接触させることによって室外空気の温度および湿度を調節するように構成されるものである。
第3の発明では、外気処理装置(50)に調湿用冷媒回路(60)が設けられる。調湿用冷媒回路(60)に接続された調湿用圧縮機(71)を駆動すると、調湿用冷媒回路(60)内を冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。外気処理装置(50)は、調湿用冷媒回路(60)の冷媒によって吸着剤の加熱または冷却を行い、加熱され又は冷却された吸着剤を室外空気と接触させることによって室外空気の温度と湿度を調節する。
上記第1の発明において、制御手段(90)は、連続運転動作中に所定の運転状態判定条件が成立すると、空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数が低くなっていると判断し、効率向上動作を行う。効率向上動作中の制御手段(90)は、空調用圧縮機(41)の運転容量を強制的に引き上げることによって、空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数を向上させる。また、効率向上動作中の制御手段(90)は、空調用圧縮機(41)の運転容量を引き上げると共に、空調用圧縮機(41)を間欠的に運転させる。従って、この発明によれば、室内気温の低下し過ぎや上昇し過ぎを回避しつつ、空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数を向上させることによって空気調和装置(20)の運転効率を向上させることができる。
ここで、空調用圧縮機(41)が間欠的に運転されると、空気調和装置(20)において温度調節された空気が間欠的に室内へ供給されることとなり、室内気温の変動が大きくなるおそれがある。これに対し、上記第1の発明では、空気調和装置(20)の運転中に、外気処理装置(50)が温度と湿度を調節した空気を室内へ供給する。このため、空調用圧縮機(41)を間欠的に運転させても、外気処理装置(50)が温度と湿度を調節した空気を室内へ供給することによって室内気温の変動が抑えられる。従って、この発明によれば、室内気温の変動を抑制して室内の快適性を確保しつつ、空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数を向上させることによって空気調和装置(20)の運転効率を向上させることができる。
上記第2の発明において、制御手段(90)は、間欠運転動作中に所定の発停頻度判定条件が成立すると、間欠運転動作中における空調用圧縮機(41)の停止と起動の頻度が高くなっていると判断し、能力削減動作を行う。能力削減動作中の制御手段(90)は、外気処理装置(50)の空調能力を強制的に引き下げることによって、間欠運転動作を終了させて連続運転動作を開始させる。制御手段(90)の連続運転動作中において、空調用冷媒回路(30)では、冷媒が安定した状態で循環し続け、成績係数の高い冷凍サイクルが行われることとなる。従って、この発明によれば、制御手段(90)が間欠運転動作を実行し続ける場合に比べ、空調システム(10)の運転効率を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態の空調システム(10)は、空気調和装置である空調機(20)と、外気処理装置である外気処理機(50)とを備えている。また、この空調システム(10)では、空調機(20)に設けられた空調側コントローラ(91)と、外気処理機(50)に設けられた調湿側コントローラ(92a,92b)とが、制御手段である制御システム(90)を構成している。
〈空調機の構成〉
空調システム(10)を構成する空調機(20)は、一台の室外ユニット(21)と、四台の室内ユニット(22a,22b,22c,22d)とを備えている。この空調機(20)では、室外ユニット(21)と各室内ユニット(22a〜22d)を配管で接続することによって、第1冷媒回路である空調用冷媒回路(30)が形成されている。なお、室外ユニット(21)及び室内ユニット(22a〜22d)の台数は、単なる例示である。
室外ユニット(21)には、室外回路(40)と室外ファン(23)とが収容されている。室外回路(40)には、空調用圧縮機(41)と、アキュームレータ(42)と、四方切換弁(43)と、室外熱交換器(44)と、室外膨張弁(45)と、レシーバ(46)と、液側閉鎖弁(47)と、ガス側閉鎖弁(48)とが設けられている。
室外回路(40)において、空調用圧縮機(41)は、その吐出側が四方切換弁(43)の第1のポートに接続され、その吸入側がアキュームレータ(42)を介して四方切換弁(43)の第2のポートに接続されている。四方切換弁(43)の第3のポートは、室外熱交換器(44)のガス側端に接続されている。室外熱交換器(44)の液側端は、室外膨張弁(45)の一端に接続されている。室外膨張弁(45)の他端は、レシーバ(46)を介して液側閉鎖弁(47)に接続されている。四方切換弁(43)の第4のポートは、ガス側閉鎖弁(48)に接続されている。
室外回路(40)には、高圧センサ(26)と低圧センサ(27)とが設けられている。高圧センサ(26)は、空調用圧縮機(41)の吐出側と四方切換弁(43)を繋ぐ配管に接続され、空調用圧縮機(41)から吐出された高圧冷媒の圧力を計測する。低圧センサ(27)は、アキュームレータ(42)と四方切換弁(43)を繋ぐ配管に接続され、空調用圧縮機(41)へ吸入される低圧冷媒の圧力を計測する。
空調用圧縮機(41)は、いわゆる全密閉型の圧縮機である。空調用圧縮機(41)の電動機には、図外のインバータを介して電力が供給される。インバータから電動機へ供給される交流の周波数(即ち、空調用圧縮機(41)の運転周波数)を変化させると、電動機の回転速度が変化し、その結果、空調用圧縮機(41)の運転容量が変化する。
室外熱交換器(44)は、室外ファン(23)によって供給された室外空気を冷媒と熱交換させるフィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。四方切換弁(43)は、第1のポートが第3のポートに連通し且つ第2のポートが第4のポートに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートに連通し且つ第2のポートが第3のポートに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。
各室内ユニット(22a〜22d)には、室内回路(35a,35b,35c,35d)が一つずつ収容されている。また、各室内ユニット(22a〜22d)には、室内ファン(24a,24b,24c,24d)と、室内温度センサ(25a,25b,25c,25d)とが一つずつ設けられている。
各室内回路(35a〜35d)には、室内熱交換器(36a,36b,36c,36d)と、室内膨張弁(37a,37b,37c,37d)とが一つずつ設けられている。室内熱交換器(36a〜36d)は、室内ファン(24a〜24d)によって供給された室内空気を冷媒と熱交換させるフィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。
各室内回路(35a〜35d)において、室内熱交換器(36a〜36d)は、その一端が室内回路(35a〜35d)のガス側端に接続され、その他端が室内膨張弁(37a〜37d)を介して室内回路(35a〜35d)の液側端に接続されている。各室内回路(35a〜35d)は、それぞれの液側端が液側連絡配管(31)を介して室外回路(40)の液側閉鎖弁(47)に接続され、それぞれのガス側端がガス側連絡配管(32)を介して室外回路(40)のガス側閉鎖弁(48)に接続されている。
図示しないが、各室内ユニット(22a〜22d)には、空気の吸込口と吹出口が形成されている。各室内ユニット(22a〜22d)は、それぞれに形成された吸込口及び吹出口の全てが同一の室内空間に連通するように設置されている。つまり、各室内ユニット(22a〜22d)は、同一の室内空間から室内空気を吸い込み、室内熱交換器(36a〜36d)を通過した室内空気を同一の室内空間へ吹き出す。
〈外気処理機の構成〉
空調システム(10)を構成する外気処理機(50)は、一台の圧縮機ユニット(51)と、二台の調湿ユニット(52a,52b)とを備えている。この外気処理機(50)では、圧縮機ユニット(51)と各調湿ユニット(52a,52b)を配管で接続することによって、第2冷媒回路である調湿用冷媒回路(60)が形成されている。なお、圧縮機ユニット(51)及び調湿ユニットの台数は、単なる例示である。
圧縮機ユニット(51)には、圧縮機側回路(70)が収容されている。圧縮機側回路(70)には、調湿用圧縮機(71)と、アキュームレータ(72)と、高圧側閉鎖弁(73)と、低圧側閉鎖弁(74)とが設けられている。圧縮機側回路(70)において、調湿用圧縮機(71)は、その吐出側が高圧側閉鎖弁(73)に接続され、この吸入側がアキュームレータ(72)を介して低圧側閉鎖弁(74)に接続されている。
調湿用圧縮機(71)は、いわゆる全密閉型の圧縮機である。調湿用圧縮機(71)の電動機には、図外のインバータを介して電力が供給される。インバータから電動機へ供給される交流の周波数(即ち、調湿用圧縮機(71)の運転周波数)を変化させると、電動機の回転速度が変化し、その結果、調湿用圧縮機(71)の運転容量が変化する。
図2にも示すように、各調湿ユニット(52a,52b)には、調湿用回路(80a,80b)が一つずつ収容されている。各調湿用回路(80a,80b)には、四方切換弁(83a,83b)と、第1吸着熱交換器(81a,81b)と、第2吸着熱交換器(82a,82b)と、調湿用膨張弁(84a,84b)とが一つずつ設けられている。
各調湿用回路(80a,80b)において、四方切換弁(83a,83b)は、その第1のポートが調湿用回路(80a,80b)の高圧側端に接続され、その第2のポートが調湿用回路(80a,80b)の低圧側端に接続されている。また、各調湿用回路(80a,80b)では、四方切換弁(83a,83b)の第3のポートから第4のポートに向かって順に、第1吸着熱交換器(81a,81b)と、調湿用膨張弁(84a,84b)と、第2吸着熱交換器(82a,82b)とが配置されている。各調湿用回路(80a,80b)は、それぞれの高圧側端が高圧側連絡配管(61)を介して圧縮機側回路(70)の高圧側閉鎖弁(73)に接続され、それぞれの低圧側端が低圧側連絡配管(62)を介して圧縮機側回路(70)の低圧側閉鎖弁(74)に接続されている。
第1吸着熱交換器(81a,81b)と第2吸着熱交換器(82a,82b)は、何れもフィン・アンド・チューブ型の熱交換器の表面にゼオライト等の吸着剤を担持させたものである。これら吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱され又は冷却され、そこを通過する空気が吸着剤と接触する。各四方切換弁(83a,83b)は、第1のポートが第3のポートに連通し且つ第2のポートが第4のポートに連通する第1状態(図2(A)に示す状態)と、第1のポートが第4のポートに連通し且つ第2のポートが第3のポートに連通する第2状態(図2(B)に示す状態)とに切り換わる。
各調湿ユニット(52a,52b)には、給気ファン(53a,53b)と排気ファン(54a,54b)とが収容されている。また、各調湿ユニット(52a,52b)には、空気通路が形成されている。各調湿ユニット(52a,52b)では、図外のダンパを開閉することによって、空気の流通経路が切り換え可能となっている。そして、各調湿ユニット(52a,52b)は、室内空気と室外空気を吸い込むと共に、吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)を通過した室内空気を室外へ排出し、吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)を通過した室外空気を室内へ供給するように構成されている。
具体的に、各調湿ユニット(52a,52b)では、吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)の上流側における空気の流通経路が、室内空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られて室外空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られる状態(図2(A)に示す状態)と、室内空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られて室外空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られる状態(図2(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。また、各調湿ユニット(52a,52b)では、吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)の下流側における空気の流通経路が、第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過した空気が排気ファン(54a,54b)へ送られて第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過した空気が給気ファン(53a,53b)へ送られる状態(図2(A)に示す状態)と、第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過した空気が給気ファン(53a,53b)へ送られて第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過した空気が排気ファン(54a,54b)へ送られる状態(図2(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。
各調湿ユニット(52a,52b)には、室内温度センサ(55a,55b)と、室内湿度センサ(56a,56b)と、室外温度センサ(57a,57b)と、室外湿度センサ(58a,58b)とが設けられている。これらのセンサ(53a,54,…,53b,54b,…)は、空気の流通経路における吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)の上流側に設置されている。室内温度センサ(55a,55b)は、調湿ユニット(52a,52b)へ吸い込まれた室内空気の温度を計測する。室内湿度センサ(56a,56b)は、調湿ユニット(52a,52b)へ吸い込まれた室内空気の相対湿度を計測する。室外温度センサ(57a,57b)は、調湿ユニット(52a,52b)へ吸い込まれた室外空気の温度を計測する。室外湿度センサ(58a,58b)は、調湿ユニット(52a,52b)へ吸い込まれた室外空気の相対湿度を計測する。
図示しないが、各調湿ユニット(52a,52b)には、室内空気の吸込口及び吹出口と、室外空気の吸込口及び吹出口とが形成されている。各調湿ユニット(52a,52b)は、それぞれに形成された室内空気の吸込口及び吹出口の全てが同一の室内空間に連通するように設置されている。つまり、各調湿ユニット(52a,52b)は、同一の室内空間から室内空気を吸い込んで室外へ排出し、取り込んだ室外空気を同一の室内空間へ供給する。
また、各調湿ユニット(52a,52b)に形成された室内空気の吸込口及び吹出口が連通する室内空間は、空調機(20)の各室内ユニット(22a〜22d)の吸込口及び吹出口が連通する室内空間と同一の空間である。つまり、本実施形態の空調システム(10)では、各調湿ユニット(52a,52b)に形成された室内空気の吸込口及び吹出口と、各室内ユニット(22a〜22d)に形成された吸込口及び吹出口とは、何れも共通の室内空間に連通している。
〈制御システムの構成〉
上述したように、空調システム(10)の制御システム(90)は、空調側コントローラ(91)と調湿側コントローラ(92a,92b)とによって構成されている。
空調側コントローラ(91)は、空調機(20)の室外ユニット(21)に収容されている。空調側コントローラ(91)には、低圧センサ(27)や高圧センサ(26)の計測値が入力される。空調側コントローラ(91)は、空調機(20)の運転動作を制御するように構成されている。空調機(20)の運転中において、空調側コントローラ(91)は、空調用圧縮機(41)に接続されたインバータの出力周波数(即ち、空調用圧縮機(41)の運転周波数)を制御することによって空調用圧縮機(41)の運転容量を調節し、それによって空調機(20)が発揮する空調能力を調節する。
図4に示すように、空調側コントローラ(91)には、空調能力制御部(95)と、効率制御部(96)とが設けられている。空調能力制御部(95)は、連続運転動作を行うように構成されている。連続運転動作は、空調用圧縮機(41)を連続的に運転させながら空調用圧縮機(41)の運転容量を室内の空調負荷に応じて調節する動作である。一方、効率制御部(96)は、効率向上動作を行うように構成されている。効率向上動作は、空調用冷媒回路(30)において行われる冷凍サイクルの成績係数(COP)が向上するように空調用圧縮機(41)の運転を制御する動作である。なお、空調側コントローラ(91)が行う制御動作の詳細は、後述する。
調湿側コントローラ(92a,92b)は、外気処理機(50)の調湿ユニット(52a,52b)に一つずつ収容されている。第1の調湿ユニット(52a)に設けられた調湿側コントローラ(92a)には、第1の調湿ユニット(52a)に設けられた室内温度センサ(55a)、室内湿度センサ(56a)、室外温度センサ(57a)、及び室外湿度センサ(58a)の計測値が入力される。この調湿側コントローラ(92a)は、第1の調湿ユニット(52a)の運転動作を制御するように構成されている。第2の調湿ユニット(52b)に設けられた調湿側コントローラ(92b)には、第2の調湿ユニット(52b)に設けられた室内温度センサ(55b)、室内湿度センサ(56b)、室外温度センサ(57b)、及び室外湿度センサ(58b)の計測値が入力される。この調湿側コントローラ(92b)は、第2の調湿ユニット(52b)の運転動作を制御するように構成されている。
第1の調湿ユニット(52a)に設けられた調湿側コントローラ(92a)は、調湿用圧縮機(71)の運転制御を行うように構成されている。外気処理機(50)の運転中において、調湿側コントローラ(92a)は、調湿用圧縮機(71)に接続されたインバータの出力周波数(即ち、調湿用圧縮機(71)の運転周波数)を制御することによって調湿用圧縮機(71)の運転容量を調節し、それによって外気処理機(50)が発揮する空調能力を調節する。
−運転動作−
空調システム(10)の運転動作について説明する。本実施形態の空調システム(10)において、空調機(20)では冷房運転と暖房運転が切り換え可能となり、外気処理機(50)では除湿運転と加湿運転が切り換え可能となっている。
〈空調機の運転動作〉
上述したように、空調機(20)では、冷房運転と暖房運転とが切り換え可能となっている。冷房運転中と暖房運転中の何れにおいても、空調機(20)の空調用冷媒回路(30)では、冷媒を循環させることによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。
=== 冷房運転 ===
空調機(20)の冷房運転について説明する。冷房運転中の空調用冷媒回路(30)では、四方切換弁(43)が第1状態(図1に実線で示す状態)に設定され、室外膨張弁(45)が全開状態に設定され、各室内膨張弁(37a〜37d)の開度が適宜調節される。また、冷房運転中の空調用冷媒回路(30)では、室外熱交換器(44)が凝縮器として動作し、各室内熱交換器(36a〜36d)が蒸発器として動作する。
冷房運転中の空調用冷媒回路(30)における冷媒の流れを具体的に説明する。空調用圧縮機(41)から吐出された高圧冷媒は、四方切換弁(43)を通過後に室外熱交換器(44)へ流入し、室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(44)から流出した冷媒は、室外膨張弁(45)とレシーバ(46)を通過後に液側連絡配管(31)へ流入し、各室内回路(35a〜35d)へ分配される。各室内回路(35a〜35d)へ流入した冷媒は、室内膨張弁(37a〜37d)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となり、その後に室内熱交換器(36a〜36d)へ流入し、室内空気から吸熱して蒸発する。各室内回路(35a〜35d)において室内熱交換器(36a〜36d)から流出した冷媒は、ガス側連絡配管(32)へ流入して合流した後に室外回路(40)へ流入し、四方切換弁(43)を通過後に空調用圧縮機(41)へ吸入されて圧縮される。
上述したように、冷房運転中には、各室内熱交換器(36a〜36d)が蒸発器として動作する。各室内ユニット(22a〜22d)は、吸い込んだ室内空気を室内熱交換器(36a〜36d)において冷却した後に室内へ送り返す。
各室内ユニット(22a〜22d)の室内回路(35a〜35d)において、そこに設けられた室内膨張弁(37a〜37d)の開度は、室内熱交換器(36a〜36d)から流出する冷媒の過熱度が一定となるように調節される。また、各室内ユニット(22a〜22d)では、そこに設けられた室内温度センサ(25a〜25d)の計測値Trが室内気温の設定値Tr_setになると、そこに設けられた室内膨張弁(37a〜37d)が全閉され、その後にそこに設けられた室内温度センサ(25a〜25d)の計測値が室内気温の設定値Tr_setを上回ると(例えば、Tr>Tr+0.5℃になると)、そこに設けられた室内膨張弁(37a〜37d)が開かれて室内膨張弁(37a〜37d)の開度調節が再開される。
=== 暖房運転 ===
空調機(20)の暖房運転について説明する。暖房運転中の空調用冷媒回路(30)では、四方切換弁(43)が第2状態(図1に破線で示す状態)に設定され、室外膨張弁(45)及び各室内膨張弁(37a〜37d)の開度が適宜調節される。また、暖房運転中の空調用冷媒回路(30)では、各室内熱交換器(36a〜36d)が凝縮器として動作し、室外熱交換器(44)が蒸発器として動作する。
暖房運転中の空調用冷媒回路(30)における冷媒の流れを具体的に説明する。空調用圧縮機(41)から吐出された冷媒は、四方切換弁(43)を通過後にガス側連絡配管(32)へ流入し、各室内回路(35a〜35d)へ分配される。各室内回路(35a〜35d)へ流入した冷媒は、室内熱交換器(36a〜36d)へ流入し、室内空気へ放熱して凝縮する。各室内回路(35a〜35d)において室内熱交換器(36a〜36d)から流出した冷媒は、室内膨張弁(37a〜37d)を通過後に液側連絡配管(31)へ流入して合流してから室外回路(40)へ流入する。室外回路(40)へ流入した冷媒は、レシーバ(46)を通過後に室外膨張弁(45)へ流入し、室外膨張弁(45)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となる。室外膨張弁(45)を通過した冷媒は、室外熱交換器(44)へ流入し、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(44)から流出した冷媒は、四方切換弁(43)を通過後に空調用圧縮機(41)へ吸入されて圧縮される。
上述したように、暖房運転中には、各室内熱交換器(36a〜36d)が凝縮器として動作する。各室内ユニット(22a〜22d)は、吸い込んだ室内空気を室内熱交換器(36a〜36d)において加熱した後に室内へ送り返す。
各室内ユニット(22a〜22d)の室内回路(35a〜35d)において、そこに設けられた室内膨張弁(37a〜37d)の開度は、室内熱交換器(36a〜36d)から流出する冷媒の過冷却度が一定となるように調節される。また、各室内ユニット(22a〜22d)では、そこに設けられた室内温度センサ(25a〜25d)の計測値Trが室内気温の設定値Tr_setになると、そこに設けられた室内膨張弁(37a〜37d)が全閉され、その後にそこに設けられた室内温度センサ(25a〜25d)の計測値が室内気温の設定値Tr_setを下回ると(例えば、Tr<Tr−0.5℃になると)、そこに設けられた室内膨張弁(37a〜37d)が開かれて室内膨張弁(37a〜37d)の開度調節が再開される。また、暖房運転中において、室外膨張弁(45)の開度は、室外熱交換器(44)から流出する冷媒の過熱度が一定となるように調節される。
〈外気処理機の運転動作〉
上述したように、外気処理機(50)では、除湿運転と加湿運転とが切り換え可能となっている。除湿運転中と加湿運転中の何れにおいても、外気処理機(50)の調湿用冷媒回路(60)では、冷媒を循環させることによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。
=== 除湿運転 ===
外気処理機(50)の除湿運転について、図2を参照しながら説明する。除湿運転中において、各調湿ユニット(52a,52b)は、第1動作と第2動作を交互に所定の時間毎(例えば3分間毎)に切り換えて行う。なお、各調湿ユニット(52a,52b)における第1動作と第2動作の相互切り換えのタイミングは、互いに同期している必要はない。
図2(A)に示すように、第1動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、四方切換弁(83a,83b)が第1状態に設定され、調湿用膨張弁(84a,84b)の開度が適宜調節される。そして、第1動作中の調湿用回路(80a,80b)では、第1吸着熱交換器(81a,81b)が凝縮器として動作し、第2吸着熱交換器(82a,82b)が蒸発器として動作する。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。
第1動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れを具体的に説明する。調湿用回路(80a,80b)の高圧側端には、調湿用圧縮機(71)から吐出された高圧冷媒が高圧側連絡配管(61)を通じて供給される。調湿用回路(80a,80b)へ流入した高圧冷媒は、四方切換弁(83a,83b)を通過後に第1吸着熱交換器(81a,81b)へ流入して凝縮する。第1吸着熱交換器(81a,81b)から流出した冷媒は、調湿用膨張弁(84a,84b)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となり、その後に第2吸着熱交換器(82a,82b)へ流入して蒸発する。第2吸着熱交換器(82a,82b)から流出した冷媒は、四方切換弁(83a,83b)を通過後に低圧側連絡配管(62)へ流入し、その後に調湿用圧縮機(71)へ吸入されて圧縮される。
また、図2(A)に示すように、第1動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、室内空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られ、室外空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られる。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、加熱された吸着剤から脱離した水分が室内空気に付与される。第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過する際に加湿された室内空気は、排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。一方、第2吸着熱交換器(82a,82b)では、室外空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。また、第2吸着熱交換器(82a,82b)では、室外空気が冷媒によって冷却される。第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過する際に除湿され且つ冷却された室外空気は、給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。
図2(B)に示すように、第2動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、四方切換弁(83a,83b)が第2状態に設定され、調湿用膨張弁(84a,84b)の開度が適宜調節される。そして、第2動作中の調湿用回路(80a,80b)では、第2吸着熱交換器(82a,82b)が凝縮器として動作し、第1吸着熱交換器(81a,81b)が蒸発器として動作する。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。
第2動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れを具体的に説明する。調湿用回路(80a,80b)の高圧側端には、調湿用圧縮機(71)から吐出された高圧冷媒が高圧側連絡配管(61)を通じて供給される。調湿用回路(80a,80b)へ流入した高圧冷媒は、四方切換弁(83a,83b)を通過後に第2吸着熱交換器(82a,82b)へ流入して凝縮する。第2吸着熱交換器(82a,82b)から流出した冷媒は、調湿用膨張弁(84a,84b)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となり、その後に第1吸着熱交換器(81a,81b)へ流入して蒸発する。第1吸着熱交換器(81a,81b)から流出した冷媒は、四方切換弁(83a,83b)を通過後に低圧側連絡配管(62)へ流入し、その後に調湿用圧縮機(71)へ吸入されて圧縮される。
また、図2(B)に示すように、第2動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、室内空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られ、室外空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られる。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、加熱された吸着剤から脱離した水分が室内空気に付与される。第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過する際に加湿された室内空気は、排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。一方、第1吸着熱交換器(81a,81b)では、室外空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。また、第1吸着熱交換器(81a,81b)では、室外空気が冷媒によって冷却される。第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過する際に除湿され且つ冷却された室外空気は、給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。
=== 加湿運転 ===
外気処理機(50)の加湿運転について、図3を参照しながら説明する。加湿運転中において、各調湿ユニット(52a,52b)は、第1動作と第2動作を交互に所定の時間毎(例えば3分間毎)に切り換えて行う。なお、各調湿ユニット(52a,52b)における第1動作と第2動作の相互切り換えのタイミングは、互いに同期している必要はない。
図3(A)に示すように、第1動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、四方切換弁(83a,83b)が第1状態に設定され、調湿用膨張弁(84a,84b)の開度が適宜調節される。そして、第1動作中の調湿用回路(80a,80b)では、第1吸着熱交換器(81a,81b)が凝縮器として動作し、第2吸着熱交換器(82a,82b)が蒸発器として動作する。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。第1動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れは、除湿運転の第1動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れと同じである。
また、図3(A)に示すように、第1動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、室外空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られ、室内空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られる。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、加熱された吸着剤から脱離した水分が室外空気に付与される。また、第1吸着熱交換器(81a,81b)では、室外空気が冷媒によって加熱される。第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過する際に加湿され且つ加熱された室外空気は、給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。一方、第2吸着熱交換器(82a,82b)では、室内空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過する際に除湿された室内空気は、排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。
図3(B)に示すように、第2動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、四方切換弁(83a,83b)が第2状態に設定され、調湿用膨張弁(84a,84b)の開度が適宜調節される。そして、第2動作中の調湿用回路(80a,80b)では、第2吸着熱交換器(82a,82b)が凝縮器として動作し、第1吸着熱交換器(81a,81b)が蒸発器として動作する。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。第2動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れは、除湿運転の第2動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れと同じである。
また、図3(B)に示すように、第2動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、室外空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られ、室内空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られる。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、加熱された吸着剤から脱離した水分が室外空気に付与される。また、第2吸着熱交換器(82a,82b)では、室外空気が冷媒によって加熱される。第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過する際に加湿され且つ加熱された室外空気は、給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。一方、第1吸着熱交換器(81a,81b)では、室内空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過する際に除湿された室内空気は、排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。
〈制御システムの動作〉
空調側コントローラ(91)と調湿側コントローラ(92a,92b)とによって構成された制御システム(90)の動作について説明する。
=== 空調側コントローラの制御動作 ===
空調側コントローラ(91)は、空調用冷媒回路(30)に設けられた四方切換弁(43)や室外膨張弁(45)に対する制御動作や、室外ファン(23)等に対する制御動作を行う。また、上述したように、空調側コントローラ(91)では、空調能力制御部(95)が連続運転動作を行い、効率制御部(96)が効率向上動作を行う。
空調機(20)の冷房運転中に空調能力制御部(95)が行う制御動作について説明する。冷房運転中において、空調能力制御部(95)は、“低圧センサ(27)の計測値が目標範囲となるように空調用圧縮機(41)の運転容量を調節する動作”を連続運転動作として行う。具体的に、連続運転動作中の空調能力制御部(95)は、低圧センサ(27)の計測値が目標範囲を下回っていると、空調用圧縮機(41)の運転周波数を引き下げてその運転容量を削減し、低圧センサ(27)の計測値が目標範囲を上回っていると、空調用圧縮機(41)の運転周波数を上昇させてその運転容量を増大させ、低圧センサ(27)の計測値が目標範囲内になっていると、空調用圧縮機(41)の運転周波数を変化させずにその運転容量を一定に保つ。
空調機(20)の暖房運転中に空調能力制御部(95)が行う制御動作について説明する。暖房運転中において、空調能力制御部(95)は、“高圧センサ(26)の計測値が目標範囲となるように空調用圧縮機(41)の運転容量を調節する動作”を連続運転動作として行う。具体的に、連続運転動作中の空調能力制御部(95)は、高圧センサ(26)の計測値が目標範囲を上回っていると、空調用圧縮機(41)の運転周波数を低下させてその運転容量を削減し、高圧センサ(26)の計測値が目標範囲を下回っていると、空調用圧縮機(41)の運転周波数を上昇させてその運転容量を増大させ、高圧センサ(26)の計測値が目標範囲内になっていると、空調用圧縮機(41)の運転周波数を変化させずにその運転容量を一定に保つ。
効率制御部(96)が行う効率向上動作について説明する。効率制御部(96)は、空調能力制御部(95)が連続運転動作を行っている状態において運転状態判定条件が成立すると、空調用冷媒回路で行われる冷凍サイクルの成績係数が低くなっていると判断し、効率向上動作を行う。効率制御部(96)は、“空調用圧縮機(41)の運転周波数を上昇させてその運転容量を強制的に増大させると共に、空調用圧縮機(41)を上昇後の運転周波数で間欠的に運転する動作”を効率向上動作として行う。なお、運転状態判定条件については後述する。
効率向上動作について、図5を参照しながら説明する。空調能力制御部(95)の連続運転動作中に運転状態判定条件が成立している状態では、空調用圧縮機(41)の運転周波数が比較的低い値に設定され、空調機(20)の空調能力がQ1となる。一方、効率制御部(96)が効率向上動作を実行すると、空調用圧縮機(41)の運転周波数が強制的に引き上げられ、空調機(20)の空調能力がQ1からQ2にまで増大する。空調機(20)の空調能力がQ2になった状態で空調用圧縮機(41)を連続的に運転させると、室内気温が低下し過ぎたり上昇し過ぎて室内の快適性が損なわれる。そこで、効率向上動作中の効率制御部(96)は、空調用圧縮機(41)を上昇後の運転周波数で間欠的に運転させる。このため、効率制御部(96)の効率向上動作中においても、空調機(20)の空調能力の時間的な平均値は、空調能力制御部(95)の連続運転動作中における空調機(20)の空調能力Q1と同程度となり、室内気温が適正範囲に保たれる。
運転状態判定条件について説明する。運転状態判定条件は、空調能力制御部(95)の連続運転動作中に空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数が低くなっていることを示す条件である。本実施形態の空調側コントローラ(91)では、“空調用圧縮機(41)の運転周波数が所定の基準周波数以下となり、且つ空調用圧縮機(41)へ供給される電流値が所定の基準電流値以上になっている”という条件が、運転状態判定条件として設定されている。
=== 調湿側コントローラの制御動作 ===
各調湿ユニット(52a,52b)に設けられた調湿側コントローラ(92a,92b)は、調湿用回路(80a,80b)に設けられた四方切換弁(83a,83b)や調湿用膨張弁(84a,84b)に対する制御動作を行う。また、第1調湿ユニット(52a)に設けられた調湿側コントローラ(92a)は、調湿用圧縮機(71)の運転周波数を調節する動作を行う。これらの各調湿側コントローラ(92a,92b)は、空調側コントローラ(91)が連続運転動作と効率向上動作の何れを行っている場合においても、同一の制御動作を行う。
第1調湿ユニット(52a)の調湿側コントローラ(92a)が調湿用圧縮機(71)の運転周波数を調節する動作について説明する。この調湿側コントローラ(92a)は、室内湿度センサ(56a)の計測値が目標範囲となるように、調湿用圧縮機(71)の運転周波数を調節する。
具体的に、除湿運転中に室内湿度センサ(56a)の計測値が目標範囲を下回っている場合と、加湿運転中に室内湿度センサ(56a)の計測値が目標範囲を上回っている場合には、調湿側コントローラ(92a)が、調湿用圧縮機(71)の運転周波数を低下させてその運転容量を削減する。また、除湿運転中に室内湿度センサ(56a)の計測値が目標範囲を上回っている場合と、加湿運転中に室内湿度センサ(56a)の計測値が目標範囲を下回っている場合には、調湿側コントローラ(92a)が、調湿用圧縮機(71)の運転周波数を上昇させてその運転容量を増大させる。また、除湿運転中および加湿運転中に室内湿度センサ(56a)の計測値が目標範囲内になっている場合には、調湿側コントローラ(92a)が、調湿用圧縮機(71)の運転周波数を変化させずにその運転容量を一定に保つ。
−実施形態1の効果−
本実施形態の制御システム(90)において、空調側コントローラ(91)は、連続運転動作中に所定の運転状態判定条件が成立すると、空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数が低くなっていると判断し、効率向上動作を行う。効率向上動作中の空調側コントローラ(91)は、空調用圧縮機(41)の運転周波数を強制的に引き上げることによって、空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数を向上させる。
空調側コントローラ(91)の効率向上動作によって空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数が向上する理由について、図6を参照しながら説明する。
冷凍サイクルを行う空調機(20)の空調能力が低い状態では、空調用圧縮機(41)の運転周波数が低くなっている。一般に、流体機械としての圧縮機は、その回転速度が低くなると圧縮室から漏れ出す冷媒の量が増えるため、その回転速度が低いほどその運転効率は低下する。このため、空調用圧縮機(41)の運転周波数が低くなると、空調用圧縮機(41)の効率が低下し、冷凍サイクルの成績係数が低下してしまう。つまり、図6に実線の曲線で示すように、空調機(20)の空調能力がある程度以下の領域では、空調機(20)の空調能力が低くなるほど空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数(COP)が低くなる。このため、空調側コントローラ(91)が効率向上動作を実行して空調用圧縮機(41)の運転周波数を強制的に引き上げると、空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数が向上する。
このように、空調機(20)では、空調機(20)の空調能力がある程度以下の領域において、空調機(20)の空調能力が低くなるほど空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数(COP)が低くなる。このため、空調機(20)の空調能力が低くて空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数も低い状態(図6の点Aの状態)で空調用圧縮機(41)を連続的に運転させる場合に比べ、空調機(20)の空調能力が高くて空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数も高い状態(図6の点Bの状態)で空調用圧縮機(41)を間欠的に運転させる場合には、点Bの状態を適切に設定することによって空調用圧縮機(41)における消費電力を低減できる。
ここで、ただ単に空調用圧縮機(41)の運転周波数を引き上げると、空調機(20)の空調能力が増大し、室内の気温が低下し過ぎたり上昇し過ぎるおそれがある。これに対し、本実施形態の制御システム(90)において、空調側コントローラ(91)は、空調用圧縮機(41)の運転周波数を引き上げると共に空調用圧縮機(41)を間欠的に運転させる。空調用圧縮機(41)を間欠的に運転させると、各室内ユニット(22a〜22d)から室内へ温度調節された空気が間欠的に供給されることとなり、室内気温の低下し過ぎや上昇し過ぎが回避される。
従って、本実施形態によれば、連続運転動作中に所定の運転状態判定条件が成立した場合に空調側コントローラ(91)が効率向上動作を実行することによって、室内気温の低下し過ぎや上昇し過ぎを回避しつつ空調機(20)の消費電力を削減することができる。
ところで、空調用圧縮機(41)が間欠的に運転されると、空調機(20)の各室内ユニット(22a〜22d)から室内へ温度調節された空気が間欠的に供給されることとなり、室内気温の変動が大きくなるおそれがある。これに対し、本実施形態の空調システム(10)では、空調機(20)の運転状態に拘わらず、外気処理機(50)が温度と湿度を調節した空気を室内へ供給する。このため、空調用圧縮機(41)を間欠的に運転させても、外気処理機(50)が温度と湿度を調節した空気を室内へ供給することによって室内気温の変動が抑えられる。従って、本実施形態によれば、室内気温の変動を抑制して室内の快適性を確保しつつ、空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数を向上させることによって空調機(20)の消費電力を削減することができる。
−実施形態1の変形例1−
上記実施形態の空調側コントローラ(91)では、運転状態判定条件として次に示すような条件が設定されていてもよい。
具体的に、空調側コントローラ(91)では、“空調用冷媒回路(30)における冷媒の蒸発温度と凝縮温度のそれぞれが所定の温度範囲内の値となっており、且つ空調用圧縮機(41)の運転周波数が所定の基準周波数以下になっている”という条件が、運転判定条件として設定されていてもよい。
また、空調システム(10)では、各室内ユニット(22a〜22d)から空調側コントローラ(91)へ空調能力の要求値が送信される場合がある。このような場合において、空調側コントローラ(91)では、“各室内ユニット(22a〜22d)から受信した空調能力の要求値の合計が所定の基準空調能力以下になっている”という条件が、運転判定条件として設定されていてもよい。
また、空調側コントローラ(91)では、“各室内ユニット(22a〜22d)に設けられた室内温度センサ(25a〜25d)の計測値の変化に基づいて予測した室内の空調負荷が所定の基準空調負荷以下になっている”という条件が、運転判定条件として設定されていてもよい。
また、空調側コントローラ(91)では、“各室内ユニット(22a〜22d)において得られる空調能力の合計値を空調用圧縮機(41)の消費電力で割って得られた値が所定の基準値以下になっている”という条件が、運転判定条件として設定されていてもよい。
−実施形態1の変形例2−
上記実施形態の制御システム(90)では、空調側コントローラ(91)ではなく何れか一方の調湿側コントローラ(92a,92b)が効率向上動作を実行するように構成されていてもよい。この場合、調湿側コントローラ(92a,92b)は、空調側コントローラ(91)の連続運転動作中に運転状態判定条件が成立するか否かを監視し、運転状態判定条件が成立すると効率向上動作を実行する。つまり、調湿側コントローラ(92a,92b)は、“空調用圧縮機(41)の運転周波数を上昇させてその運転容量を強制的に増大させると共に、空調用圧縮機(41)を上昇後の運転周波数で間欠的に運転する動作”を効率向上動作として行う。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。本実施形態の空調システム(10)は、上記実施形態1において、空調側コントローラ(91)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の空調側コントローラ(91)について、上記実施形態1と異なる点を説明する。
本実施形態の空調側コントローラ(91)において、空調能力制御部(95)は、連続運転動作に加えて間欠運転動作を行うように構成されている。連続運転動作は、空調用圧縮機(41)を連続的に運転させながら空調用圧縮機(41)の運転容量を室内の空調負荷に応じて調節する動作である。この連続運転動作は、実施形態1のものと同じである。間欠運転動作は、空調用圧縮機(41)を連続的に運転させた状態では空調機(20)の空調能力が過剰な場合に空調用圧縮機(41)を間欠的に運転させる動作である。
また、本実施形態の空調側コントローラ(91)において、効率制御部(96)は、効率向上動作に加えて能力削減動作を行うように構成されている。能力削減動作は、間欠運転動作中における空調用圧縮機(41)の停止と起動の頻度が高いことを示す所定の発停頻度判定条件が成立すると、間欠運転動作を終了させて連続運転動作を開始させるために外気処理機(50)の空調能力を強制的に引き下げる動作である。
−制御システムの制御動作−
本実施形態の制御システム(90)が行う制御動作について説明する。
空調機(20)の冷房運転中に空調能力制御部(95)が行う制御動作について説明する。冷房運転中において、空調能力制御部(95)は、“低圧センサ(27)の計測値が目標範囲となるように空調用圧縮機(41)の運転容量を調節する動作”を連続運転動作として行う。この連続運転動作の具体的な内容は、上記実施形態1と同じである。また、冷房運転中において、連続運転動作中に空調用圧縮機(41)の運転容量を所定の切換基準値(例えば、空調用圧縮機(41)の運転容量の最小値)に設定しても低圧センサ(27)の計測値が目標範囲を下回る場合は、空調能力制御部(95)が、空調機(20)の冷房能力が過剰であると判断して間欠運転動作を行う。間欠運転動作中の空調能力制御部(95)は、低圧センサ(27)の計測値が目標範囲を下回ると空調用圧縮機(41)を停止させる。また、間欠運転動作中の空調能力制御部(95)は、空調用圧縮機(41)の停止中に室内気温が設定温度を上回ると、空調用圧縮機(41)を起動させる。
空調機(20)の暖房運転中に空調能力制御部(95)が行う制御動作について説明する。暖房運転中において、空調能力制御部(95)は、“高圧センサ(26)の計測値が目標範囲となるように空調用圧縮機(41)の運転容量を調節する動作”を連続運転動作として行う。この連続運転動作の具体的な内容は、上記実施形態1と同じである。また、暖房運転中において、連続運転動作中に空調用圧縮機(41)の運転容量を所定の切換基準値(例えば、空調用圧縮機(41)の運転容量の最小値)に設定しても高圧センサ(26)の計測値が目標範囲を上回る場合は、空調能力制御部(95)が、空調機(20)の暖房能力が過剰であると判断して間欠運転動作を行う。間欠運転動作中の空調能力制御部(95)は、高圧センサ(26)の計測値が目標範囲を上回ると空調用圧縮機(41)を停止させる。また、間欠運転動作中の空調能力制御部(95)は、空調用圧縮機(41)の停止中に室内気温が設定温度を下回ると、空調用圧縮機(41)を起動させる。
効率制御部(96)が行う能力削減動作について説明する。効率制御部(96)は、空調能力制御部(95)が間欠運転動作を行っている状態において発停頻度判定条件が成立すると、間欠運転動作中における空調用圧縮機(41)の停止と起動の頻度が高くなっていると判断し、能力削減動作を行う。効率制御部(96)は、“間欠運転動作を終了させて連続運転動作を開始させるために、調湿用圧縮機(71)の運転周波数を強制的に引き下げて外気処理機(50)の空調能力を削減する動作”を能力削減動作として行う。なお、発停頻度判定条件については後述する。
効率制御部(96)は、空調機(20)が冷房運転を行い且つ外気処理機(50)が除湿運転を行っている状態と、空調機(20)が暖房運転を行い且つ外気処理機(50)が加湿運転を行っている状態とにおいて発停頻度判定条件が成立した場合に、能力削減動作を行う。
上述したように、除湿運転中の外気処理機(50)では、蒸発器として動作している吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)を室外空気が通過し、この吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)を通過する際に温度と絶対湿度が低下した室外空気が室内へ供給される。従って、除湿運転中の外気処理機(50)が室外空気を室内へ供給することによっても、室内気温の上昇が抑えられる。このため、効率制御部(96)が能力削減動作を行って除湿運転中の外気処理機(50)の空調能力を引き下げると、その後は室内気温が次第に上昇してゆく。室内気温が次第に上昇すると、それに伴って低圧センサ(27)の計測値が次第に上昇するため、空調能力制御部(95)が間欠運転動作を停止して連続運転動作を開始する。つまり、空調能力制御部(95)は、室内気温の上昇を抑えるために、空調用圧縮機(41)を間欠的に運転する状態から、空調用圧縮機(41)を連続的に運転する状態へと移行する。
また、加湿運転中の外気処理機(50)では、凝縮器として動作している吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)を室外空気が通過し、この吸着熱交換器(81a,82a,…)を通過する際に温度と絶対湿度が上昇した室外空気が室内へ供給される。従って、加湿運転中の外気処理機(50)が室外空気を室内へ供給することによっても、室内気温の低下が抑えられる。このため、効率制御部(96)が能力削減動作を行って加湿運転中の外気処理機(50)の空調能力を引き下げると、その後は室内気温が次第に低下してゆく。室内気温が次第に低下すると、それに伴って高圧センサ(26)の計測値が次第に低下するため、空調能力制御部(95)が間欠運転動作を停止して連続運転動作を開始する。つまり、空調能力制御部(95)は、室内気温の低下を抑えるために、空調用圧縮機(41)を間欠的に運転する状態から、空調用圧縮機(41)を連続的に運転する状態へと移行する。
発停頻度判定条件について説明する。発停頻度判定条件は、間欠運転動作中における空調用圧縮機(41)の停止と起動の頻度が高くなっていることを示す条件である。本実施形態の空調側コントローラ(91)では、“単位時間当たりの空調用圧縮機(41)の停止回数または起動回数が所定の基準回数に達した”という条件が、発停頻度判定条件として設定されている。
−実施形態2の効果−
本実施形態の制御システム(90)において、空調側コントローラ(91)は、間欠運転動作中に所定の発停頻度判定条件が成立すると、間欠運転動作中における空調用圧縮機(41)の停止と起動の頻度が高くなっていると判断し、能力削減動作を行う。空調側コントローラ(91)において、効率制御部(96)が能力削減動作を実行して外気処理機(50)の空調能力が低下すると、空調能力の不足分を補うために空調能力制御部(95)が間欠運転動作を停止して連続運転動作を開始する。その結果、本実施形態によれば、制御システム(90)が間欠運転動作を実行し続ける場合に比べ、空調システム(10)の運転効率を向上させることができる。
ここで、空調側コントローラ(91)が能力削減動作を行うことによって空調システム(10)の運転効率が向上する理由について、図7を参照しながら説明する。
上記実施形態1について説明した通り、空調機(20)の空調能力がある程度以下の領域では、空調機(20)の空調能力が低くなるほど空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数(COP)が低くなる(図7の実線の曲線を参照)。
一方、外気処理機(50)では、図7に一点鎖線の曲線で示すように、調湿用冷媒回路(60)において行われる冷凍サイクルの成績係数(COP)が、空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数に比べて比較的高くなっている。つまり、室内の冷房中には室内気温が室外気温よりも低くなっており、除湿運転中の外気処理機(50)では、吸着熱交換器(81a,82a,…)のうち凝縮器として動作する方を比較的低温の室内空気が通過し、蒸発器として動作する方を比較的高温の室外空気が通過する。また、室内の暖房中には室内気温が室外気温よりも高くなっており、加湿運転中の外気処理機(50)では、吸着熱交換器(81a,82a,…)のうち凝縮器として動作する方を比較的低温の室外空気が通過し、蒸発器として動作する方を比較的高温の室内空気が通過する。このため、調湿用冷媒回路(60)において行われる冷凍サイクルでは、空調用冷媒回路(30)において行われる冷凍サイクルに比べ、冷凍サイクルの高圧と低圧の差が小さくなる。その結果、調湿用圧縮機(71)の消費電力が少なくなり、調湿用冷媒回路(60)において行われる冷凍サイクルの成績係数が比較的高くなる。
このように、調湿用冷媒回路(60)において行われる冷凍サイクルの成績係数(COP)は、空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数に比べて比較的高くなっている。このため、外気処理機(50)の空調能力を図7における点Cの状態から点Dの状態へ引き下げても、調湿用冷媒回路(60)において行われる冷凍サイクルの成績係数は、空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数に比べて依然として高くなる。
一方、空調側コントローラ(91)の空調能力制御部(95)が間欠運転動作から連続運転動作へ移行して空調用圧縮機(41)が連続的に運転される状態になると、空調用圧縮機(41)の停止と起動を繰り返すことに伴う損失が減少し、空調機(20)の運転効率が向上する。
このため、効率制御部(96)が能力削減動作を行うことによって空調能力制御部(95)が間欠運転動作を停止して連続運転動作を開始すると、空調機(20)の運転効率が向上し、その結果、空調システム(10)の運転効率が向上する。
−実施形態2の変形例−
上記実施形態の制御システム(90)では、空調側コントローラ(91)ではなく何れか一方の調湿側コントローラ(92a,92b)が能力削減動作を実行するように構成されていてもよい。この場合、調湿側コントローラ(92a,92b)は、空調側コントローラ(91)の間欠運転動作中に発停頻度判定条件が成立するか否かを監視し、発停頻度判定条件が成立すると能力削減動作を実行する。つまり、調湿側コントローラ(92a,92b)は、調湿用圧縮機(71)の運転周波数を低下させてその運転容量を強制的に減少させる。その結果、空調側コントローラ(91)では、間欠運転動作が停止されて連続運転動作が開始され、空調用圧縮機(41)が連続的に運転される。
《その他の実施形態》
図8に示すように、上記の実施形態では、各調湿ユニット(52a,52b)に調湿用圧縮機(71a,71b)が一台ずつ搭載されていてもよい。図8に示す空調システム(10)では、外気処理機(50)が二台の調湿ユニット(52a,52b)だけによって構成される。各調湿ユニット(52b)の調湿用回路(80a,80b)において、調湿用圧縮機(71a,71b)は、その吐出側が四方切換弁(83a,83b)の第1のポートに接続され、その吸入側がアキュームレータ(72a,72b)を介して四方切換弁(83a,83b)の第2のポートに接続される。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、室内空気の温度を調節する空気調和装置と、室内へ供給される室外空気の温度と湿度を調節する外気処理装置とを備えた空調システムについて有用である。
実施形態1の空調システムの概略構成を示す冷媒回路図である。 除湿運転中の状態を示す調湿ユニットの概略構成図であって、(A)は第1動作中の状態を示すものであり、(B)は第2動作中の状態を示すものである。 加湿運転中の状態を示す調湿ユニットの概略構成図であって、(A)は第1動作中の状態を示すものであり、(B)は第2動作中の状態を示すものである。 空調側コントローラの構成を示すブロック図である。 空調機が発揮する空調能力の時間変化を示す時間と空調能力の関係図である。 実施形態1の空調システムにおける、空調機の空調能力と冷媒サイクルの成績係数の関係を示す関係図である。 実施形態2の空調システムにおける、空調機の空調能力と冷媒サイクルの成績係数の関係、及び外気処理機の空調能力と冷媒サイクルの成績係数の関係を示す関係図である。 その他の実施形態の空調システムの概略構成を示す冷媒回路図である。
符号の説明
10 空調システム
20 空調機(空気調和装置)
30 空調用冷媒回路
41 空調用圧縮機
50 外気処理機(外気処理装置)
60 調湿用冷媒回路
71 調湿用圧縮機
90 制御システム(制御手段)

Claims (3)

  1. 取り込んだ室内空気を少なくともその温度を調節してから室内へ供給する空気調和装置(20)と、取り込んだ室外空気をその温度及び湿度を調節してから室内へ供給する外気処理装置(50)とを備える一方、
    上記空気調和装置(20)は、空調用圧縮機(41)が接続されて冷凍サイクルを行う空調用冷媒回路(30)を備え、室内空気を上記空調用冷媒回路(30)の冷媒と熱交換させることによって室内空気の温度を調節するように構成されている空調システムであって、
    上記空調用圧縮機(41)を連続的に運転させながら上記空気調和装置(20)の空調能力を室内の空調負荷に応じて調節する連続運転動作を行う制御手段(90)を備えており、
    上記制御手段(90)は、上記連続運転動作中に上記空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数が低くなっていることを示す所定の運転状態判定条件が成立すると、上記空調用冷媒回路(30)で行われる冷凍サイクルの成績係数を向上させるために上記空調用圧縮機(41)の運転容量を強制的に引き上げた状態で該空調用圧縮機(41)を間欠的に運転させる効率向上動作を行うように構成されている
    ことを特徴とする空調システム。
  2. 取り込んだ室内空気を少なくともその温度を調節してから室内へ供給する空気調和装置(20)と、取り込んだ室外空気をその温度及び湿度を調節してから室内へ供給する外気処理装置(50)とを備える一方、
    上記空気調和装置(20)は、空調用圧縮機(41)が接続されて冷凍サイクルを行う空調用冷媒回路(30)を備え、室内空気を上記空調用冷媒回路(30)の冷媒と熱交換させることによって室内空気の温度を調節するように構成されている空調システムであって、
    上記空調用圧縮機(41)を連続的に運転させながら上記空気調和装置(20)の空調能力を室内の空調負荷に応じて調節する連続運転動作と、上記空調用圧縮機(41)を連続的に運転させた状態では上記空気調和装置(20)の空調能力が過剰な場合に該空調用圧縮機(41)を間欠的に運転させる間欠運転動作とを行う制御手段(90)を備えており、
    上記制御手段(90)は、上記間欠運転動作中における上記空調用圧縮機(41)の停止と起動の頻度が高いことを示す所定の発停頻度判定条件が成立すると、上記間欠運転動作を終了させて上記連続運転動作を開始させるために上記外気処理装置(50)の空調能力を強制的に引き下げる能力削減動作を行うように構成されている
    ことを特徴とする空調システム。
  3. 請求項1又は2において、
    上記外気処理装置(50)は、調湿用圧縮機(71)が接続されて冷凍サイクルを行う調湿用冷媒回路(60)と、該調湿用冷媒回路(60)の冷媒によって冷却され又は加熱される吸着剤とを備え、室外空気を上記吸着剤と接触させることによって室外空気の温度および湿度を調節するように構成されている
    ことを特徴とする空調システム。
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