JP2014137207A - 空調システム - Google Patents

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Shuji Ikegami
周司 池上
Sumio Shioji
純夫 塩地
Hiroyuki Murayama
紘之 村山
Koji Miwa
幸司 三輪
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Abstract

【課題】空気調和装置と外気処理装置とを備えた空調システムにおいて、その消費エネルギを必要最小限に抑える。
【解決手段】空調システム(10)は、空気調和装置(20)と、外気処理装置(50)と、制御システム(90)とを備えている。制御システム(90)は、室外空気の温度及び湿度が所定の換気領域内の状態であるか否かを判断する判断部(93a)と、室外空気が換気領域内の状態でない場合に、室内空気及び室外空気が換気領域内の状態となるように空気調和装置(20)及び外気処理装置(50)を運転し、その運転を両装置(20,50)の消費エネルギの和が最小となるように制御する最小エネルギ制御部(93b)と、室外空気が換気領域内の状態である場合に、外気処理装置(50)に換気運転を行わせる換気運転制御部(93c)とを有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、室内空気の温度を調節する空気調和装置と、室内へ供給される室外空気の温度又は温度及び湿度を調節する外気処理装置とを備えた空調システムに関するものである。
従来より、空気調和装置と外気処理装置とを備えた空調システムが知られている。例えば、特許文献1には、冷凍サイクルを行う冷媒回路が設けられた空気調和装置と、デシカントロータを用いて空気の湿度を調節する外気処理装置とを備える空調システムが開示されている。また、特許文献2や特許文献3には、空気熱交換器の表面に担持された吸着剤を冷媒で加熱し又は冷却することによって空気の湿度を調節する外気処理装置と、冷凍サイクルを行う冷媒回路が設けられた空気調和装置とを備える空調システムが開示されている。この種の空調システムにおいて、空気調和装置は、取り込んだ室内空気の温度を調節し、温度を調節した室内空気を室内へ供給する。また、外気処理装置は、取り込んだ室外空気の温度と湿度を調節し、温度と湿度を調節した室外空気を室内へ供給する。
これら各特許文献に開示された外気処理装置は、取り込んだ室外空気の温度と湿度を調節する。このため、この外気処理装置を備える空調システムでは、外気処理装置が温度と湿度を調節した室外空気を室内へ供給することによっても、室内の気温を変化させることができる場合がある。そこで、特許文献2に開示された空調システムでは、空気調和装置の冷媒回路に設けられた圧縮機の容量を制御する際に外気処理装置の運転状態を考慮することによって、室内気温が設定値に達するまでの時間を短縮している。
特開平09−318126号公報 特開2005−291585号公報 特開2006−329471号公報
上述したように、室外空気の温度と湿度の両方を調節する外気処理装置が設けられた空調システムでは、外気処理装置によっても室内の気温を変化させられる場合があるため、室内の空調負荷を常に空気調和装置だけで処理する必要はない。一方、空気調和装置と外気処理装置について、両者の運転効率は必ずしも一致しないのが通常である。このため、空調システム全体が発揮する空調能力が同じ場合であっても、室内の空調負荷のうち空気調和装置が処理する分と外気処理装置が処理する分との割合が異なれば、空気調和装置が消費するエネルギと外気処理装置が消費するエネルギとの和(即ち、空調システム全体の消費エネルギ)も異なることが有り得る。
ところが、従来は、このような事情を考慮した空調システムの運転制御は行われていなかった。このため、従来の空調システムでは、室内の空調負荷のうち空気調和装置が処理する分と外気処理装置が処理する分との割合が最適化されておらず、無駄なエネルギを消費してしまうおそれがあった。
また、室外空気の温度を一旦露点温度まで低下させて除湿した後、所望の温度まで加熱して室内へ供給する外気処理装置では、室外空気が室内空気の状態に近い状態である場合には、無駄に露点温度以下の温度まで冷却して再加熱することにより、無駄なエネルギを消費してしまうおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、空気調和装置と外気処理装置とを備えた空調システムにおいて、その消費エネルギを必要最小限に抑えることにある。
第1の発明は、取り込んだ室内空気を少なくともその温度を調節してから室内へ供給する空気調和装置(20)と、取り込んだ室外空気をその温度又は温度及び湿度を調節してから室内へ供給する外気処理運転と取り込んだ室外空気をそのまま室内へ供給する換気運転とを行う外気処理装置(50)と、上記空気調和装置(20)及び上記外気処理装置(50)の運転を制御する制御手段(90)とを備える空調システムであって、上記制御手段(90)は、室外空気の温度及び湿度が、所定の換気領域内の状態であるか否かを判断する判断部(93a)と、上記判断部(93a)が、室外空気が上記換気領域内の状態でないと判断すると、室内空気及び室外空気が上記換気領域内の状態となるように上記空気調和装置(20)及び上記外気処理装置(50)を運転し、その運転を上記空気調和装置(20)の消費エネルギと上記外気処理装置(50)の消費エネルギの和が最小となるように制御する最小エネルギ制御部(93b)と、上記判断部(93a)が、室外空気が上記換気領域内の状態であると判断すると、少なくとも上記外気処理装置(50)に上記換気運転を行わせる換気運転制御部(93c)とを有している。
第1の発明の空調システム(10)において、空気調和装置(20)は、取り込んだ室内空気の少なくとも温度を調節し、調節した室内空気を室内へ供給する。また、外気処理装置(50)は、取り込んだ室外空気の温度又は温度及び湿度を調節し、調節した室外空気を室内へ供給する。制御手段(90)の判断部(93a)は、室外空気の温度及び湿度が、所定の換気領域内の状態であるか否かを判断する。判断部(93a)が、室外空気が上記換気領域内の状態であると判断すると、換気運転制御部(93c)が換気運転を行う。一方、判断部(93a)が、室外空気が上記換気領域内の状態でないと判断すると、最小エネルギ制御部(93b)が、空気調和装置(20)及び外気処理装置(50)の消費エネルギの和が最小となるように両装置(20,50)の運転を制御する。つまり、室外空気の温度又は温度及び湿度の調節が必要でない場合には、室外空気の温度又は温度及び湿度を調節することなく換気運転が行われ、室外空気の温度又は温度及び湿度の調節が必要な場合には、空気調和装置(20)及び外気処理装置(50)の消費エネルギの和が最小となるように両装置(20,50)の運転が制御されるため、空調システム(10)の消費エネルギが必要最小限に抑えられる。
第2の発明は、第1の発明において、上記換気運転制御部(93c)は、上記外気処理装置(50)の上記換気運転中に、室内の空調負荷に応じて上記空気調和装置(20)の運転を制御するように構成されている。
第2の発明では、換気運転制御部(93c)により、外気処理装置(50)において換気運転が実行されている際に、空気調和装置(20)は、室内の空調負荷に応じて運転が制御される。よって、空調システム(10)の消費エネルギが必要最小限に抑えられる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記最小エネルギ制御部(93b)は、上記空気調和装置(20)が発揮すべき空調能力である第1目標空調能力と、上記外気処理装置(50)が発揮すべき空調能力である第2目標空調能力とを、上記第1目標空調能力と上記第2目標空調能力の和が空調システムに要求される空調能力と等しくなるという条件下において上記空気調和装置(20)の消費エネルギと上記外気処理装置(50)の消費エネルギの和が最小となるように決定し、上記空気調和装置(20)が上記第1目標空調能力を発揮するように該空気調和装置(20)の運転を制御し、上記外気処理装置(50)が上記第2目標空調能力を発揮するように該外気処理装置(50)の運転を制御するように構成されている。
第3の発明では、最小エネルギ制御部(93b)が、第1目標空調能力と第2目標空調能力とを決定する。そして、最小エネルギ制御部(93b)は、空気調和装置(20)が第1目標空調能力を発揮するように空気調和装置(20)の運転を制御し、外気処理装置(50)が第2目標空調能力を発揮するように外気処理装置(50)の運転を制御する。
ここで、空調システム(10)に例えば30kWの空調能力を発揮させるには、空気調和装置(20)に20kWの空調能力を発揮させて外気処理装置(50)に10kWの空調能力を発揮させてもよいし、空気調和装置(20)に25kWの空調能力を発揮させて外気処理装置(50)に5kWの空調能力を発揮させてもよい。一方、1kWの空調能力を得るのに必要なエネルギは、空気調和装置(20)と外気処理装置(50)とで相違するのが通常である。このため、上記の例において、空気調和装置(20)が20kWの空調能力を発揮して外気処理装置(50)が10kWの空調能力を発揮する場合と、空気調和装置(20)が25kWの空調能力を発揮して外気処理装置(50)が5kWの空調能力を発揮する場合とを比べると、空調システム(10)全体の消費エネルギ(即ち、空気調和装置(20)が消費するエネルギと外気処理装置(50)が消費するエネルギとの和)は、必ずしも同じとは限らない。
そこで、第3の発明の制御手段(90)の最小エネルギ制御部(93b)は、第1目標空調能力と第2目標空調能力の和が空調システム(10)全体に要求される空調能力と等しくなるという条件下において空気調和装置(20)の消費エネルギと外気処理装置(50)の消費エネルギの和が最小となるように、第1目標空調能力と第2目標空調能力とを決定する。つまり、この最小エネルギ制御部(93b)は、空調システム(10)に要求される空調能力のうち空気調和装置(20)が発揮する分(第1目標空調能力)と外気処理装置(50)が発揮する分(第2目標空調能力)とを、消費エネルギが最小となるように決める。そして、空気調和装置(20)が第1目標空調能力を発揮し、外気処理装置(50)が第2目標空調能力を発揮する状態では、空調システム(10)が発揮する空調能力がその要求値と一致し、しかも空調システム(10)の消費エネルギが必要最小限に抑えられる。
第4の発明は、上記第3の発明において、上記最小エネルギ制御部(93b)は、上記空気調和装置(20)における空調能力と消費エネルギの関係を示す第1運転特性データと、上記外気処理装置(50)における空調能力と消費エネルギの関係を示す第2運転特性データとを予め記憶し、上記第1運転特性及び上記第2運転特性に基づいて上記第1目標空調能力及び上記第2目標空調能力を決定するように構成されている。
第4の発明では、最小エネルギ制御部(93b)が第1運転特性データと第2運転特性データとを予め記憶している。第1運転特性データを用いれば、ある空調能力を発揮している空気調和装置(20)において消費されるエネルギを算出できる。また、第2運転特性データを用いれば、ある空調能力を発揮している外気処理装置(50)において消費されるエネルギを算出できる。そして、最小エネルギ制御部(93b)は、第1運転特性データを用いて空気調和装置(20)の消費エネルギを算出する一方、第2運転特性データを用いて外気処理装置(50)の消費エネルギを算出し、それぞれの消費エネルギの算出値を用いて第1目標空調能力と第2目標空調能力とを決定する。
第5の発明は、第3又は4の発明において、上記空気調和装置(20)は、圧縮機(41)が接続されて冷凍サイクルを行う第1冷媒回路(30)を備え、室内空気を上記第1冷媒回路(30)の冷媒と熱交換させることによって室内空気の温度を調節するように構成され、上記外気処理装置(50)は、圧縮機(71)が接続されて冷凍サイクルを行う第2冷媒回路(101)を備え、上記外気処理運転の際には、取り込んだ室外空気を、上記第2冷媒回路(101)の冷媒と熱交換させることによって室外空気の温度又は温度及び湿度を調節するように構成されている。
第5の発明では、空気調和装置(20)には、第1冷媒回路(30)が設けられる。第1冷媒回路(30)に接続された圧縮機(41)を駆動すると、第1冷媒回路(30)内を冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。空気調和装置(20)は、室内空気を第1冷媒回路(30)の冷媒と熱交換させることによって、室内空気の加熱又は冷却を行う。
また、第5の発明では、外気処理装置(50)には、第2冷媒回路(60)が設けられる。第2冷媒回路(60)に接続された圧縮機(71)を駆動すると、第2冷媒回路(60)内を冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。外気処理装置(50)は、第2冷媒回路(60)の冷媒によって室外空気の温度と湿度を調節する。
第6の発明は、第3又は4の発明において、上記空気調和装置(20)は、圧縮機(41)が接続されて冷凍サイクルを行う第1冷媒回路(30)を備え、室内空気を上記第1冷媒回路(30)の冷媒と熱交換させることによって室内空気の温度を調節するように構成され、上記外気処理装置(50)は、圧縮機(71)が接続されて冷凍サイクルを行う第2冷媒回路(60)と、該第2冷媒回路(60)の冷媒によって冷却され又は加熱される吸着剤とを備え、室外空気を上記吸着剤と接触させることによって室外空気の温度及び湿度を調節するように構成されている。
第6の発明では、空気調和装置(20)には、第1冷媒回路(30)が設けられる。第1冷媒回路(30)に接続された圧縮機(41)を駆動すると、第1冷媒回路(30)内を冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。空気調和装置(20)は、室内空気を第1冷媒回路(30)の冷媒と熱交換させることによって、室内空気の加熱又は冷却を行う。
また、第6の発明では、外気処理装置(50)には、第2冷媒回路(60)が設けられる。第2冷媒回路(60)に接続された圧縮機(71)を駆動すると、第2冷媒回路(60)内を冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。外気処理装置(50)は、第2冷媒回路(60)の冷媒によって吸着剤の加熱又は冷却を行い、加熱され又は冷却された吸着剤を室外空気と接触させることによって室外空気の温度と湿度を調節する。
第7の発明は、第5の発明において、上記換気領域は、室内空気の温度及び湿度に近い空気状態である所定のニュートラルエアゾーンに基づいて設定されている。
第7の発明では、所定のニュートラルエアゾーンの室外空気は、室内空気の温度及び湿度に近い状態であるため、温度又は温度及び湿度を調節することなく室内へ供給しても室内空間の温度及び湿度を大きく変動させることがない。このようなニュートラルエアゾーンに基づいて換気領域を設定することにより、該換気領域が容易に設定される。
第8の発明は、第5乃至7のいずれか1つの発明において、上記制御手段(90)は、上記第1冷媒回路(30)に接続された圧縮機(41)の運転容量を、上記空気調和装置(20)が上記第1空調能力を発揮するように調節し、上記第2冷媒回路(60,101)に接続された圧縮機(71,104)の運転容量を、上記外気処理装置(50)が上記第2空調能力を発揮するように調節するように構成されている。
第8の発明では、第1冷媒回路(30)に接続された圧縮機(41)の運転容量が変化すると、第1冷媒回路(30)における冷媒の循環量が変化し、空気調和装置(20)が発揮する空調能力が変化する。そこで、制御手段(90)は、空気調和装置(20)が第1目標空調能力を発揮するように、第1冷媒回路(30)に接続された圧縮機(41)の運転容量を調節する。
また、第8の発明において、第2冷媒回路(60,101)に接続された圧縮機(71,104)の運転容量が変化すると、第2冷媒回路(60,101)における冷媒の循環量が変化し、外気処理装置(50)が発揮する空調能力が変化する。そこで、制御手段(90)は、外気処理装置(50)が第2目標空調能力を発揮するように、第2冷媒回路(60,101)に接続された圧縮機(71,104)の運転容量を調節する。
第9の発明は、上記第5乃至7のいずれか1つの発明において、上記制御手段(90)は、上記第1冷媒回路(30)における冷媒の蒸発温度が、上記空気調和装置(20)が上記第1空調能力を発揮するような所定の蒸発温度となるように、上記第1冷媒回路(30)に接続された圧縮機(41)の運転容量を調節し、上記外気処理装置(50)に取り込まれて上記第2冷媒回路(101)の冷媒と熱交換した室外空気の温度が、上記外気処理装置(50)が上記第2空調能力を発揮するような所定の温度となるように、上記第2冷媒回路(101)に接続された圧縮機(104)の運転容量を調節するように構成されている。
第9の発明では、第1冷媒回路(30)に接続された圧縮機(41)の運転容量が変化すると、該第1冷媒回路(30)における冷媒の蒸発温度が変化し、空気調和装置(20)が発揮する空調能力が変化する。そこで、制御手段(90)は、第1冷媒回路(30)における冷媒の蒸発温度が、空気調和装置(20)が第1目標空調能力を発揮するような所定の蒸発温度となるように、第1冷媒回路(30)に接続された圧縮機(41)の運転容量を調節する。
また、第9の発明において、第2冷媒回路(101)に接続された圧縮機(104)の運転容量が変化すると、該第2冷媒回路(101)の冷媒と熱交換した室外空気の温度が変化し、外気処理装置(50)が発揮する空調能力が変化する。そこで、制御手段(90)は、外気処理装置(50)に取り込まれて第2冷媒回路(101)の冷媒と熱交換した室外空気の温度が、外気処理装置(50)が第2目標空調能力を発揮するような所定の温度となるように、第2冷媒回路(60)に接続された圧縮機(71)の運転容量を調節する。
第10の発明は、第1又は第2の発明において、上記最小エネルギ制御部(93b)は、上記空気調和装置(20)に流れる電流値と上記外気処理装置(50)に流れる電流値との合計が最小となるように、上記空気調和装置(20)及び上記外気処理装置(50)の運転をPID制御するように構成されている。
第10の発明では、空気調和装置(20)及び上記外気処理装置(50)は、空気調和装置(20)に流れる電流値と外気処理装置(50)に流れる電流値との合計値が最小となるように運転が制御される。
第1の発明によれば、制御手段(90)の判断部(93a)により、室外空気の温度及び湿度が所定の換気領域内の状態であるか否かを判断し、室外空気が上記換気領域内の状態であると判断されると、換気運転制御部(93c)によって換気運転を行うこととした。つまり、室外空気の温度又は温度及び湿度の調節が必要でない場合に、温度及び湿度を調節することなく換気運転を行うこととした。よって、室外空気を無駄に冷却除湿して再加熱することがないため、空調システム(10)において消費されるエネルギを必要最低限に抑えることが可能となる。
また、第1の発明によれば、判断部(93a)によって、室外空気が上記換気領域内の状態でないと判断された場合には、最小エネルギ制御部(93b)が、空気調和装置(20)及び外気処理装置(50)の消費エネルギの和が最小となるように、両装置(20,50)の運転を制御する。従って、空調システム(10)において消費されるエネルギを必要最低限に抑えることが可能となる。
また、第2の発明によれば、外気処理装置(50)において換気運転を実行する際に、空気調和装置(20)を室内の空調負荷に応じて運転制御するように換気運転制御部(93c)を構成した。従って、空調システム(10)の消費エネルギが必要最小限に抑えることが可能となる。
また、第3の発明によれば、最小エネルギ制御部(93b)を、第1目標空調能力と第2目標空調能力の和が空調システム(10)全体に要求される空調能力と等しくなるという条件下において空気調和装置(20)の消費エネルギと外気処理装置(50)の消費エネルギの和が最小となるように第1目標空調能力と第2目標空調能力とを決定し、空気調和装置(20)が第1目標空調能力を発揮して外気処理装置(50)が第2目標空調能力を発揮するように、両装置(20,50)を制御するように構成した。従って、空調システム(10)に必要十分な空調能力を発揮させつつ、空調システム(10)において消費されるエネルギを必要最低限に抑えることが可能となる。
また、第7の発明によれば、室内空気の温度及び湿度に近い空気状態であるニュートラルエアゾーンに基づいて換気領域を設定することとしたため、該換気領域を容易に設定することができる。
また、第10の発明によれば、最小エネルギ制御部(93b)を、空気調和装置(20)に流れる電流値と外気処理装置(50)に流れる電流値との合計値が最小となるように両装置(20,50)の運転を制御するように構成した。従って、空調システム(10)において消費されるエネルギを容易な制御で必要最低限に抑えることが可能となる。
実施形態1の空調システムの概略構成を示す冷媒回路図である。 除湿運転中の状態を示す調湿ユニットの概略構成図であって、(A)は第1動作中の状態を示すものであり、(B)は第2動作中の状態を示すものである。 加湿運転中の状態を示す調湿ユニットの概略構成図であって、(A)は第1動作中の状態を示すものであり、(B)は第2動作中の状態を示すものである。 実施形態1の最小エネルギ制御部の動作を示す状態遷移図である。 外気処理に必要な空調能力と室内の空調に必要な空調能力とを説明するための湿り空気線図である。 空気調和装置の特性を示す第1運転特性データである。 外気処理装置の特性を示す第2運転特性データである。 実施形態1の最小エネルギ制御部の動作を説明するための表である。 実施形態1の変形例2の空調システムの概略構成を示す冷媒回路図である。 実施形態2の空調システムの概略構成を示す冷媒回路図である。 実施形態2の判断部が判定する室外空気の七つの空気領域を示す湿り空気線図である。 実施形態2の最小エネルギ制御部の動作を示す状態遷移図である。 実施形態2の制御システムの制御動作を示すフローチャートである。 実施形態2の外気処理に必要な空調能力と室内の空調に必要な空調能力とを説明するための湿り空気線図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本実施形態1の空調システム(10)は、空気調和装置(20)と、外気処理装置(50)と、連携制御コントローラ(93)とを備えている。また、この空調システム(10)では、空気調和装置(20)に設けられた空調側コントローラ(91)と、外気処理装置(50)に設けられた調湿側コントローラ(92a,92b)と、連携制御コントローラ(93)とが、制御手段である制御システム(90)を構成している。
〈空気調和装置の構成〉
空調システム(10)を構成する空気調和装置(20)は、一台の室外ユニット(21)と、四台の室内ユニット(22a,22b,22c,22d)とを備えている。この空気調和装置(20)では、室外ユニット(21)と各室内ユニット(22a〜22d)を配管で接続することによって、第1冷媒回路である空調用冷媒回路(30)が形成されている。なお、室外ユニット(21)及び室内ユニット(22a〜22d)の台数は、単なる例示である。
室外ユニット(21)には、室外回路(40)と室外ファン(23)とが収容されている。室外回路(40)には、空調用圧縮機(41)と、アキュームレータ(42)と、四方切換弁(43)と、室外熱交換器(44)と、室外膨張弁(45)と、レシーバ(46)と、液側閉鎖弁(47)と、ガス側閉鎖弁(48)とが設けられている。
室外回路(40)において、空調用圧縮機(41)は、その吐出側が四方切換弁(43)の第1のポートに接続され、その吸入側がアキュームレータ(42)を介して四方切換弁(43)の第2のポートに接続されている。四方切換弁(43)の第3のポートは、室外熱交換器(44)のガス側端に接続されている。室外熱交換器(44)の液側端は、室外膨張弁(45)の一端に接続されている。室外膨張弁(45)の他端は、レシーバ(46)を介して液側閉鎖弁(47)に接続されている。四方切換弁(43)の第4のポートは、ガス側閉鎖弁(48)に接続されている。
室外回路(40)には、高圧センサ(26)と低圧センサ(27)とが設けられている。高圧センサ(26)は、空調用圧縮機(41)の吐出側と四方切換弁(43)を繋ぐ配管に接続され、空調用圧縮機(41)から吐出された高圧冷媒の圧力を計測する。低圧センサ(27)は、アキュームレータ(42)と四方切換弁(43)を繋ぐ配管に接続され、空調用圧縮機(41)へ吸入される低圧冷媒の圧力を計測する。
空調用圧縮機(41)は、いわゆる全密閉型の圧縮機である。空調用圧縮機(41)の電動機には、図外のインバータを介して電力が供給される。インバータから電動機へ供給される交流の周波数(即ち、空調用圧縮機(41)の運転周波数)を変化させると、電動機の回転速度が変化し、その結果、空調用圧縮機(41)の運転容量が変化する。
室外熱交換器(44)は、室外ファン(23)によって供給された室外空気を冷媒と熱交換させるフィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。四方切換弁(43)は、第1のポートが第3のポートに連通し且つ第2のポートが第4のポートに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートに連通し且つ第2のポートが第3のポートに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。
各室内ユニット(22a〜22d)には、室内回路(35a,35b,35c,35d)が一つずつ収容されている。また、各室内ユニット(22a〜22d)には、室内ファン(24a,24b,24c,24d)と、室内温度センサ(25a,25b,25c,25d)とが一つずつ設けられている。
各室内回路(35a〜35d)には、室内熱交換器(36a,36b,36c,36d)と、室内膨張弁(37a,37b,37c,37d)とが一つずつ設けられている。室内熱交換器(36a〜36d)は、室内ファン(24a〜24d)によって供給された室内空気を冷媒と熱交換させるフィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。
各室内回路(35a〜35d)において、室内熱交換器(36a〜36d)は、その一端が室内回路(35a〜35d)のガス側端に接続され、その他端が室内膨張弁(37a〜37d)を介して室内回路(35a〜35d)の液側端に接続されている。各室内回路(35a〜35d)は、それぞれの液側端が液側連絡配管(31)を介して室外回路(40)の液側閉鎖弁(47)に接続され、それぞれのガス側端がガス側連絡配管(32)を介して室外回路(40)のガス側閉鎖弁(48)に接続されている。
図示しないが、各室内ユニット(22a〜22d)には、空気の吸込口と吹出口が形成されている。各室内ユニット(22a〜22d)は、それぞれに形成された吸込口及び吹出口の全てが同一の室内空間に連通するように設置されている。つまり、各室内ユニット(22a〜22d)は、同一の室内空間から室内空気を吸い込み、室内熱交換器(36a〜36d)を通過した室内空気を同一の室内空間へ吹き出す。
〈外気処理装置の構成〉
空調システム(10)を構成する外気処理装置(50)は、一台の圧縮機ユニット(51)と、二台の調湿ユニット(52a,52b)とを備えている。この外気処理装置(50)では、圧縮機ユニット(51)と各調湿ユニット(52a,52b)を配管で接続することによって、第2冷媒回路である調湿用冷媒回路(60)が形成されている。なお、圧縮機ユニット(51)及び調湿ユニットの台数は、単なる例示である。
圧縮機ユニット(51)には、圧縮機側回路(70)が収容されている。圧縮機側回路(70)には、調湿用圧縮機(71)と、アキュームレータ(72)と、高圧側閉鎖弁(73)と、低圧側閉鎖弁(74)とが設けられている。圧縮機側回路(70)において、調湿用圧縮機(71)は、その吐出側が高圧側閉鎖弁(73)に接続され、この吸入側がアキュームレータ(72)を介して低圧側閉鎖弁(74)に接続されている。
調湿用圧縮機(71)は、いわゆる全密閉型の圧縮機である。調湿用圧縮機(71)の電動機には、図外のインバータを介して電力が供給される。インバータから電動機へ供給される交流の周波数(即ち、調湿用圧縮機(71)の運転周波数)を変化させると、電動機の回転速度が変化し、その結果、調湿用圧縮機(71)の運転容量が変化する。
図2にも示すように、各調湿ユニット(52a,52b)には、調湿用回路(80a,80b)が一つずつ収容されている。各調湿用回路(80a,80b)には、四方切換弁(83a,83b)と、第1吸着熱交換器(81a,81b)と、第2吸着熱交換器(82a,82b)と、調湿用膨張弁(84a,84b)とが一つずつ設けられている。
各調湿用回路(80a,80b)において、四方切換弁(83a,83b)は、その第1のポートが調湿用回路(80a,80b)の高圧側端に接続され、その第2のポートが調湿用回路(80a,80b)の低圧側端に接続されている。また、各調湿用回路(80a,80b)では、四方切換弁(83a,83b)の第3のポートから第4のポートに向かって順に、第1吸着熱交換器(81a,81b)と、調湿用膨張弁(84a,84b)と、第2吸着熱交換器(82a,82b)とが配置されている。各調湿用回路(80a,80b)は、それぞれの高圧側端が高圧側連絡配管(61)を介して圧縮機側回路(70)の高圧側閉鎖弁(73)に接続され、それぞれの低圧側端が低圧側連絡配管(62)を介して圧縮機側回路(70)の低圧側閉鎖弁(74)に接続されている。
第1吸着熱交換器(81a,81b)と第2吸着熱交換器(82a,82b)は、いずれもフィン・アンド・チューブ型の熱交換器の表面にゼオライト等の吸着剤を担持させたものである。これら吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱され又は冷却され、そこを通過する空気が吸着剤と接触する。各四方切換弁(83a,83b)は、第1のポートが第3のポートに連通し且つ第2のポートが第4のポートに連通する第1状態(図2(A)に示す状態)と、第1のポートが第4のポートに連通し且つ第2のポートが第3のポートに連通する第2状態(図2(B)に示す状態)とに切り換わる。
各調湿ユニット(52a,52b)には、給気ファン(53a,53b)と排気ファン(54a,54b)とが収容されている。また、各調湿ユニット(52a,52b)には、空気通路が形成されている。各調湿ユニット(52a,52b)では、図外のダンパを開閉することによって、空気の流通経路が切り換え可能となっている。そして、各調湿ユニット(52a,52b)は、室内空気と室外空気を吸い込むと共に、吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)を通過した室内空気を室外へ排出し、吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)を通過した室外空気を室内へ供給するように構成されている。
具体的に、各調湿ユニット(52a,52b)では、吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)の上流側における空気の流通経路が、室内空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られて室外空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られる状態(図2(A)に示す状態)と、室内空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られて室外空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られる状態(図2(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。また、各調湿ユニット(52a,52b)では、吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)の下流側における空気の流通経路が、第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過した空気が排気ファン(54a,54b)へ送られて第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過した空気が給気ファン(53a,53b)へ送られる状態(図2(A)に示す状態)と、第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過した空気が給気ファン(53a,53b)へ送られて第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過した空気が排気ファン(54a,54b)へ送られる状態(図2(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。
各調湿ユニット(52a,52b)には、室内温度センサ(55a,55b)と、室内湿度センサ(56a,56b)と、室外温度センサ(57a,57b)と、室外湿度センサ(58a,58b)とが設けられている。これらのセンサ(55a,56a,…,55b,56b,…)は、空気の流通経路における吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)の上流側に設置されている。室内温度センサ(55a,55b)は、調湿ユニット(52a,52b)へ吸い込まれた室内空気の温度を計測する。室内湿度センサ(56a,56b)は、調湿ユニット(52a,52b)へ吸い込まれた室内空気の相対湿度を計測する。室外温度センサ(57a,57b)は、調湿ユニット(52a,52b)へ吸い込まれた室外空気の温度を計測する。室外湿度センサ(58a,58b)は、調湿ユニット(52a,52b)へ吸い込まれた室外空気の相対湿度を計測する。
図示しないが、各調湿ユニット(52a,52b)には、室内空気の吸込口及び吹出口と、室外空気の吸込口及び吹出口とが形成されている。各調湿ユニット(52a,52b)は、それぞれに形成された室内空気の吸込口及び吹出口の全てが同一の室内空間に連通するように設置されている。つまり、各調湿ユニット(52a,52b)は、同一の室内空間から室内空気を吸い込んで室外へ排出し、取り込んだ室外空気を同一の室内空間へ供給する。
また、各調湿ユニット(52a,52b)に形成された室内空気の吸込口及び吹出口が連通する室内空間は、空気調和装置(20)の各室内ユニット(22a〜22d)の吸込口及び吹出口が連通する室内空間と同一の空間である。つまり、本実施形態の空調システム(10)では、各調湿ユニット(52a,52b)に形成された室内空気の吸込口及び吹出口と、各室内ユニット(22a〜22d)に形成された吸込口及び吹出口とは、いずれも共通の室内空間に連通している。
〈制御システムの構成〉
上述したように、空調システム(10)の制御システム(90)は、空調側コントローラ(91)と調湿側コントローラ(92a,92b)と連携制御コントローラ(93)とによって構成されている。
空調側コントローラ(91)は、空気調和装置(20)の室外ユニット(21)に収容されている。空調側コントローラ(91)には、低圧センサ(27)や高圧センサ(26)の計測値が入力される。空調側コントローラ(91)は、空気調和装置(20)の運転動作を制御するように構成されている。空気調和装置(20)の運転中において、空調側コントローラ(91)は、空調用圧縮機(41)に接続されたインバータの出力周波数を制御することによって、空気調和装置(20)が発揮する空調能力を調節する。
調湿側コントローラ(92a,92b)は、外気処理装置(50)の調湿ユニット(52a,52b)に一つずつ収容されている。第1の調湿ユニット(52a)に設けられた調湿側コントローラ(92a)には、第1の調湿ユニット(52a)に設けられた室内温度センサ(55a)、室内湿度センサ(56a)、室外温度センサ(57a)、及び室外湿度センサ(58a)の計測値が入力される。この調湿側コントローラ(92a)は、第1の調湿ユニット(52a)の運転動作を制御するように構成されている。第2の調湿ユニット(52b)に設けられた調湿側コントローラ(92b)には、第2の調湿ユニット(52b)に設けられた室内温度センサ(55b)、室内湿度センサ(56b)、室外温度センサ(57b)、及び室外湿度センサ(58b)の計測値が入力される。この調湿側コントローラ(92b)は、第2の調湿ユニット(52b)の運転動作を制御するように構成されている。
第1の調湿ユニット(52a)に設けられた調湿側コントローラ(92a)は、調湿用圧縮機(71)の運転制御を行うように構成されている。外気処理装置(50)の運転中において、調湿側コントローラ(92a)は、調湿用圧縮機(71)に接続されたインバータの出力周波数を制御することによって、外気処理装置(50)が発揮する空調能力を調節する。
連携制御コントローラ(93)は、判断部(93a)と、最小エネルギ制御部(93b)と、換気運転制御部(93c)とを有している。連携制御コントローラ(93)には、各調湿ユニット(52a,52b)に設けられた室内温度センサ(55a,55b)、室内湿度センサ(56a,56b)、室外温度センサ(57a,57b)、及び室外湿度センサ(58a,58b)の計測値(即ち、室内温度、室内湿度、外気温度、外気湿度)が入力される。また、連携制御コントローラ(93)には、ユーザーによって設定された室内空気の温度の目標値(即ち、目標室内温度Ts)及び室内空気の相対湿度の目標値(即ち、目標室内湿度Hs)が、図外のリモコンを介して入力される。
上記判断部(93a)は、室外空気が所定の換気領域内の状態であるか否かを判断する。本実施形態では、所定の換気領域は、上記目標室内湿度Hsを基準に設定された所定の湿度領域であり、判断部(93a)は、各室外湿度センサ(58a,58b)によって検出された外気湿度から、室外空気が所定の換気領域内の状態であるか否かを判断する。
上記最小エネルギ制御部(93b)は、判断部(93a)が、室外空気が上記換気領域内の状態でないと判断すると、最小エネルギ制御を実行する。本実施形態では、最小エネルギ制御部(93b)は、最小エネルギ制御において、図4に示すように、五つの動作(第1〜第5動作)を順次行うように構成されている。また、最小エネルギ制御部(93b)は、図4に示す五つの動作からなる最小エネルギ制御を、所定の時間が経過する毎に繰り返し行うように構成されている。
最小エネルギ制御部(93b)が行う第1〜第5動作の詳細は後述する。ここでは、各動作の概要を説明する。第1動作は、各センサ(55a,56a,…)の出力値等の必要なデータを取得する動作である。第2動作は、第1動作において取得したデータに基づき、空調システム(10)全体に要求される空調能力を算出する動作である。第3動作は、第2動作において算出した空調システム(10)全体に要求される空調能力に基づき、空気調和装置(20)が発揮すべき第1目標空調能力と外気処理装置(50)が発揮すべき第2目標空調能力とを決定する動作である。第4動作は、第3動作において決定した第1目標空調能力及び第2目標空調能力に基づき、空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値と調湿用圧縮機(71)の運転周波数の指令値とを決定する動作である。第5動作は、第4動作において決定した空調用圧縮機(41)及び調湿用圧縮機(71)の運転周波数の指令値に基づき、各圧縮機(41,71)へ電力を供給するインバータに対して出力周波数を指令する動作である。
上記換気運転制御部(93c)は、判断部(93a)が、室外空気が上記換気領域内の状態であると判断すると、換気運転制御を実行する。換気運転制御部(93c)は、換気運転制御において、室内の空調負荷、即ち、各室内温度センサ(56a,56b)によって検出された室内温度と目標室内温度Tsとの温度差に応じて上記空気調和装置(20)の運転を制御する一方、調湿用圧縮機(71)の運転を停止し、外気処理装置(50)において室外空気の温度及び湿度を調節することなく室内へ供給するように構成されている。
−運転動作−
空調システム(10)の運転動作について説明する。本実施形態の空調システム(10)において、空気調和装置(20)では冷房運転と暖房運転が切り換え可能となり、外気処理装置(50)では除湿運転と加湿運転と換気運転とが切り換え可能となっている。なお、除湿運転と加湿運転とが外気処理運転を構成する。
〈空気調和装置の運転動作〉
上述したように、空気調和装置(20)では、冷房運転と暖房運転とが切り換え可能となっている。冷房運転中と暖房運転中のいずれにおいても、空気調和装置(20)の空調用冷媒回路(30)では、冷媒を循環させることによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。
空気調和装置(20)の冷房運転について説明する。冷房運転中の空調用冷媒回路(30)では、四方切換弁(43)が第1状態(図1に実線で示す状態)に設定され、室外膨張弁(45)が全開状態に設定され、各室内膨張弁(37a〜37d)の開度が適宜調節される。また、冷房運転中の空調用冷媒回路(30)では、室外熱交換器(44)が凝縮器として動作し、各室内熱交換器(36a〜36d)が蒸発器として動作する。
冷房運転中の空調用冷媒回路(30)における冷媒の流れを具体的に説明する。空調用圧縮機(41)から吐出された高圧冷媒は、四方切換弁(43)を通過後に室外熱交換器(44)へ流入し、室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(44)から流出した冷媒は、室外膨張弁(45)とレシーバ(46)を通過後に液側連絡配管(31)へ流入し、各室内回路(35a〜35d)へ分配される。各室内回路(35a〜35d)へ流入した冷媒は、室内膨張弁(37a〜37d)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となり、その後に室内熱交換器(36a〜36d)へ流入し、室内空気から吸熱して蒸発する。各室内回路(35a〜35d)において室内熱交換器(36a〜36d)から流出した冷媒は、ガス側連絡配管(32)へ流入して合流した後に室外回路(40)へ流入し、四方切換弁(43)を通過後に空調用圧縮機(41)へ吸入されて圧縮される。
上述したように、冷房運転中には、各室内熱交換器(36a〜36d)が蒸発器として動作する。各室内ユニット(22a〜22d)は、吸い込んだ室内空気を室内熱交換器(36a〜36d)において冷却した後に室内へ送り返す。
空気調和装置(20)の暖房運転について説明する。暖房運転中の空調用冷媒回路(30)では、四方切換弁(43)が第2状態(図1に破線で示す状態)に設定され、室外膨張弁(45)及び各室内膨張弁(37a〜37d)の開度が適宜調節される。また、暖房運転中の空調用冷媒回路(30)では、各室内熱交換器(36a〜36d)が凝縮器として動作し、室外熱交換器(44)が蒸発器として動作する。
暖房運転中の空調用冷媒回路(30)における冷媒の流れを具体的に説明する。空調用圧縮機(41)から吐出された冷媒は、四方切換弁(43)を通過後にガス側連絡配管(32)へ流入し、各室内回路(35a〜35d)へ分配される。各室内回路(35a〜35d)へ流入した冷媒は、室内熱交換器(36a〜36d)へ流入し、室内空気へ放熱して凝縮する。各室内回路(35a〜35d)において室内熱交換器(36a〜36d)から流出した冷媒は、室内膨張弁(37a〜37d)を通過後に液側連絡配管(31)へ流入して合流してから室外回路(40)へ流入する。室外回路(40)へ流入した冷媒は、レシーバ(46)を通過後に室外膨張弁(45)へ流入し、室外膨張弁(45)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となる。室外膨張弁(45)を通過した冷媒は、室外熱交換器(44)へ流入し、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(44)から流出した冷媒は、四方切換弁(43)を通過後に空調用圧縮機(41)へ吸入されて圧縮される。
上述したように、暖房運転中には、各室内熱交換器(36a〜36d)が凝縮器として動作する。各室内ユニット(22a〜22d)は、吸い込んだ室内空気を室内熱交換器(36a〜36d)において加熱した後に室内へ送り返す。
〈外気処理装置の運転動作〉
上述したように、外気処理装置(50)では、除湿運転と加湿運転と換気運転とが切り換え可能となっている。除湿運転中と加湿運転中のいずれにおいても、外気処理装置(50)の調湿用冷媒回路(60)では、冷媒を循環させることによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。一方、換気運転では、調湿用冷媒回路(60)において冷媒が循環しない。
外気処理装置(50)の除湿運転について、図2を参照しながら説明する。除湿運転中において、各調湿ユニット(52a,52b)は、第1動作と第2動作を交互に所定の時間毎(例えば3分間毎)に切り換えて行う。なお、各調湿ユニット(52a,52b)における第1動作と第2動作の相互切り換えのタイミングは、互いに同期している必要はない。
図2(A)に示すように、第1動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、四方切換弁(83a,83b)が第1状態に設定され、調湿用膨張弁(84a,84b)の開度が適宜調節される。そして、第1動作中の調湿用回路(80a,80b)では、第1吸着熱交換器(81a,81b)が凝縮器として動作し、第2吸着熱交換器(82a,82b)が蒸発器として動作する。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。
第1動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れを具体的に説明する。調湿用回路(80a,80b)の高圧側端には、調湿用圧縮機(71)から吐出された高圧冷媒が高圧側連絡配管(61)を通じて供給される。調湿用回路(80a,80b)へ流入した高圧冷媒は、四方切換弁(83a,83b)を通過後に第1吸着熱交換器(81a,81b)へ流入して凝縮する。第1吸着熱交換器(81a,81b)から流出した冷媒は、調湿用膨張弁(84a,84b)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となり、その後に第2吸着熱交換器(82a,82b)へ流入して蒸発する。第2吸着熱交換器(82a,82b)から流出した冷媒は、四方切換弁(83a,83b)を通過後に低圧側連絡配管(62)へ流入し、その後に調湿用圧縮機(71)へ吸入されて圧縮される。
また、図2(A)に示すように、第1動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、室内空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られ、室外空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られる。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、加熱された吸着剤から脱離した水分が室内空気に付与される。第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過する際に加湿された室内空気は、排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。一方、第2吸着熱交換器(82a,82b)では、室外空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過する際に除湿された室外空気は、給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。
図2(B)に示すように、第2動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、四方切換弁(83a,83b)が第2状態に設定され、調湿用膨張弁(84a,84b)の開度が適宜調節される。そして、第2動作中の調湿用回路(80a,80b)では、第2吸着熱交換器(82a,82b)が凝縮器として動作し、第1吸着熱交換器(81a,81b)が蒸発器として動作する。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。
第2動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れを具体的に説明する。調湿用回路(80a,80b)の高圧側端には、調湿用圧縮機(71)から吐出された高圧冷媒が高圧側連絡配管(61)を通じて供給される。調湿用回路(80a,80b)へ流入した高圧冷媒は、四方切換弁(83a,83b)を通過後に第2吸着熱交換器(82a,82b)へ流入して凝縮する。第2吸着熱交換器(82a,82b)から流出した冷媒は、調湿用膨張弁(84a,84b)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となり、その後に第1吸着熱交換器(81a,81b)へ流入して蒸発する。第1吸着熱交換器(81a,81b)から流出した冷媒は、四方切換弁(83a,83b)を通過後に低圧側連絡配管(62)へ流入し、その後に調湿用圧縮機(71)へ吸入されて圧縮される。
また、図2(B)に示すように、第2動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、室内空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られ、室外空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られる。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、加熱された吸着剤から脱離した水分が室内空気に付与される。第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過する際に加湿された室内空気は、排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。一方、第1吸着熱交換器(81a,81b)では、室外空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過する際に除湿された室外空気は、給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。
外気処理装置(50)の加湿運転について、図3を参照しながら説明する。加湿運転中において、各調湿ユニット(52a,52b)は、第1動作と第2動作を交互に所定の時間毎(例えば3分間毎)に切り換えて行う。なお、各調湿ユニット(52a,52b)における第1動作と第2動作の相互切り換えのタイミングは、互いに同期している必要はない。
図3(A)に示すように、第1動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、四方切換弁(83a,83b)が第1状態に設定され、調湿用膨張弁(84a,84b)の開度が適宜調節される。そして、第1動作中の調湿用回路(80a,80b)では、第1吸着熱交換器(81a,81b)が凝縮器として動作し、第2吸着熱交換器(82a,82b)が蒸発器として動作する。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。第1動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れは、除湿運転の第1動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れと同じである。
また、図3(A)に示すように、第1動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、室外空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られ、室内空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られる。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、加熱された吸着剤から脱離した水分が室外空気に付与される。第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過する際に加湿された室外空気は、給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。一方、第2吸着熱交換器(82a,82b)では、室内空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過する際に除湿された室内空気は、排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。
図3(B)に示すように、第2動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、四方切換弁(83a,83b)が第2状態に設定され、調湿用膨張弁(84a,84b)の開度が適宜調節される。そして、第2動作中の調湿用回路(80a,80b)では、第2吸着熱交換器(82a,82b)が凝縮器として動作し、第1吸着熱交換器(81a,81b)が蒸発器として動作する。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。第2動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れは、除湿運転の第2動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れと同じである。
また、図3(B)に示すように、第2動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、室外空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られ、室内空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られる。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、加熱された吸着剤から脱離した水分が室外空気に付与される。第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過する際に加湿された室外空気は、給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。一方、第1吸着熱交換器(81a,81b)では、室内空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過する際に除湿された室内空気は、排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。
換気運転では、調湿用圧縮機(71)が駆動されず、調湿用冷媒回路(60)において冷媒が循環しない。一方、調湿ユニット(52a,52b)では、給気ファン(53a,53b)と排気ファン(54a,54b)とは駆動される。これにより、室外空気が、第1及び第2吸着熱交換器(81a,81b)(82a,82b)のいずれか一方を通過して給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。一方、室内空気は、第1及び第2吸着熱交換器(81a,81b)(82a,82b)の室外空気が通過したものとは別の方を通過して排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。このような動作により、室外空気が温度及び湿度を調節されることなく室内へ供給される一方、室内空気が室外へ排出されて室内空間の換気が行われる。
〈制御システムの動作〉
空調側コントローラ(91)と調湿側コントローラ(92a,92b)と連携制御コントローラ(93)とによって構成された制御システム(90)の動作について説明する。
空調側コントローラ(91)は、空調用冷媒回路(30)に設けられた四方切換弁(43)や室外膨張弁(45)に対する制御動作や、室外ファン(23)等に対する制御動作を行う。各調湿ユニット(52a,52b)に設けられた調湿側コントローラ(92a,92b)は、調湿用回路(80a,80b)に設けられた四方切換弁(83a,83b)や調湿用膨張弁(84a,84b)に対する制御動作を行う。
また、上述したように、連携制御コントローラ(93)は、まず、判断部(93a)により、各室外湿度センサ(58a,58b)によって検出された外気湿度から、室外空気が所定の換気領域内の状態であるか否かを判断する。そして、判断部(93a)が、室外空気が上記換気領域内の状態であると判断すると、換気運転制御部(93c)が、室内の空調負荷に応じて空気調和装置(20)を運転させる一方、調湿用圧縮機(71)の運転を停止し、外気処理装置(50)において室外空気の温度及び湿度を調節することなく室内へ供給する換気運転制御を実行する。一方、判断部(93a)が、室外空気が上記換気領域内の状態でないと判断すると、最小エネルギ制御部(93b)が、最小エネルギ制御を実行する。
最小エネルギ制御部(93b)は、図4に示す五つの動作を行う。この最小エネルギ制御部(93b)は、図4に示す第1〜第5動作を順に行う動作を一連の制御動作とし、この一連の制御動作を所定の時間が経過する毎(例えば、12分毎)に繰り返し行う。なお、最小エネルギ制御部(93b)において、第1〜第5動作から成る制御動作の時間間隔は、各調湿ユニット(52a,52b)における第1動作と第2動作の切り換え時間間隔よりも長い値に設定されている。以下では、この最小エネルギ制御部(93b)が行う第1〜第5動作のそれぞれについて、詳細に説明する。
=== 第1動作 ===
最小エネルギ制御部(93b)は、第1動作として、必要なデータを取得する動作を行う。具体的に、最小エネルギ制御部(93b)は、第1の調湿ユニット(52a)に設けられた室内温度センサ(55a)、室内湿度センサ(56a)、室外温度センサ(57a)、及び室外湿度センサ(58a)のそれぞれから計測値を取得する。また、最小エネルギ制御部(93b)は、目標室内温度Ts(室内空気の温度の目標値)及び目標室内湿度Hs(室内空気の相対湿度の目標値)を、図外のリモコンから取得する。
=== 第2動作 ===
最小エネルギ制御部(93b)は、第1動作が終了すると第2動作を実行する。最小エネルギ制御部(93b)は、第2動作として、空調システム(10)全体に要求される空調能力(総計要求能力Q)を算出する動作を行う。総計要求能力Qは、室内の空気調和に必要な空調能力Q1と、外気処理に必要な空調能力Q2との和である(Q=Q1+Q2)。そこで、最小エネルギ制御部(93b)は、室内の空気調和に必要な空調能力Q1と、外気処理に必要な空調能力Q2とを個別に算出し、それらを足し合わせることによって総計要求能力Qを算出する。
最小エネルギ制御部(93b)の第2動作について、空気調和装置(20)が冷房運転を行い、外気処理装置(50)が除湿運転を行っている場合を例に、図5を参照しながら説明する。同図において、点Aは室外空気の状態を、点Bは現時点における室内空気の状態を、点Cは目標とする室内空気の状態を、それぞれ表している。点Aの状態は、乾球温度が室外温度センサ(57a)の計測値となり、相対湿度が室外湿度センサ(58a)の計測値となっている状態である。点Bの状態は、乾球温度が室内温度センサ(55a)の計測値となり、相対湿度が室内湿度センサ(56a)の計測値となっている状態である。点Cの状態は、乾球温度が目標室内温度Tsとなり、相対湿度が目標室内湿度Hsとなっている状態である。
まず、最小エネルギ制御部(93b)が外気処理に必要な空調能力Q2を算出する動作について説明する。図5に示すように、外気処理に必要な空調能力Q2は、点Aの状態の室外空気を点Cの状態にするために必要な空調能力である。そこで、最小エネルギ制御部(93b)は、点Aの状態の湿り空気と点Cの状態の湿り空気の比エンタルピの差h_2を算出する。そして、最小エネルギ制御部(93b)は、第1の調湿ユニット(52a)が室内へ供給する室外空気の流量と、第2の調湿ユニット(52b)が室内へ供給する室外空気の流量との合計値Voaを比エンタルピ差h_2に乗ずることによって、外気処理に必要な空調能力Q2を算出する(Q2=h_2×Voa)。
次に、最小エネルギ制御部(93b)が室内の空気調和に必要な空調能力Q1を算出する動作について説明する。図5に示すように、室内の空気調和に必要な空調能力Q1は、点Bの状態の室内空気を点Cの状態にするために必要な空調能力である。
ところで、室内の空気調和に必要な空調能力Q1は、在室者の人数や発熱源となるOA機器の台数などの影響を受ける値である。このため、現時点での室内空気の状態(点Bの状態)と目標とする室内空気の状態(点Cの状態)とが分かっても、それから空調能力Q1を理論的に算出することはできない。そこで、最小エネルギ制御部(93b)は、点Bの状態と点Cの状態の乾球温度差(即ち、室内温度センサ(55a)の計測値Trと目標室内温度Tsの差(Tr−Ts))と、空気調和装置(20)の定格能力Qac0とを用いて、室内の空気調和に必要な空調能力Q1を推定する。
具体的に、最小エネルギ制御部(93b)は、温度差(Tr−Ts)が所定の基準値ΔTm以上の場合(Tr−Ts≧ΔTm)には、室内の空気調和に必要な空調能力Q1が空気調和装置(20)の定格能力Qac0に等しい(Q1=Qac0)と推定し、温度差(Tr−Ts)がゼロの場合(Tr=Ts)には、室内の空気調和に必要な空調能力Q1がゼロである(Q1=0)と推定する。また、最小エネルギ制御部(93b)は、温度差(Tr−Ts)がゼロより大きくて基準値ΔTm未満の場合(0<Tr−Ts<ΔTm)には、温度差(Tr−Ts)の値に応じた係数を空気調和装置(20)の定格能力Qac0に乗じて得られた値を、室内の空気調和に必要な空調能力Q1の値であると推定する。つまり、0<Tr−Ts<ΔTmである場合において、最小エネルギ制御部(93b)は、例えば「Q1={(Tr−Ts)/ΔTm}×Qac0」という数式を用いて空調能力Q1の値を推定する。
=== 第3動作 ===
最小エネルギ制御部(93b)は、第2動作が終了すると第3動作を実行する。最小エネルギ制御部(93b)は、第3動作として、空気調和装置(20)が発揮すべき第1目標空調能力Qac_setと外気処理装置(50)が発揮すべき第2目標空調能力Qdc_setとを決定する動作を行う。この第3動作において、最小エネルギ制御部(93b)は、第1目標空調能力Qac_setと第2目標空調能力Qdc_setの和が総計要求能力Qとなる(Q=Qac_set+Qdc_set)という条件の下で、空気調和装置(20)の消費電力Wacと外気処理装置(50)の消費電力Wdcの和(即ち、空調システム(10)全体の消費電力Ws(=Wac+Wdc))が最小となるように、第1目標空調能力Qac_set及び第2目標空調能力Qdc_setの値を決定する。
最小エネルギ制御部(93b)は、第3動作を行うために、第1運転特性データと第2運転特性データとを予め記憶している。第1運転特性データは、空気調和装置(20)における空調能力と消費電力の関係を示すデータであって、図6に示すようなマトリックスとして最小エネルギ制御部(93b)に記録されている。一方、第2運転特性データは、外気処理装置(50)における空調能力と消費電力の関係を示すデータであって、図7に示すようなマトリックスとして最小エネルギ制御部(93b)に記録されている。
まず、第1運転特性データについて説明する。図6に示すように、第1運転特性データは、異なる能力比について作成された複数のマトリックスによって構成されている。第1運転特性データを構成する各マトリックスは、室内空気の湿球温度(T1,T2,…)と室外空気の乾球温度(Ta,Tb,…)とで決まる複数の運転条件において空気調和装置(20)が発揮する空調能力と、その空調能力を発揮する状態における空気調和装置(20)の消費電力とによって構成される。なお、図6には、「能力比:100%」のマトリックスと「能力比:90%」のマトリックスだけを図示しているが、最小エネルギ制御部(93b)には、それ以外の能力比についてのマトリックスも記録されている。
ここで、仮に、定格運転条件が“室内空気の湿球温度がT3で、室外空気の乾球温度Tdである運転条件”であるとする。この場合、図6における「能力比:100%」のマトリックスを構成する「Qd3(100)」の値が、空気調和装置(20)の定格能力となる。また、「Wd3(100)」の値は、定格運転条件において空気調和装置(20)が定格能力を発揮しているときに空気調和装置(20)が消費する電力である。
この定格運転条件において空気調和装置(20)が空調能力「Qd3(100)」を発揮しているときの空調用圧縮機(41)の運転周波数が「Fac_100」であるとする。そして、この「能力比:100%」のマトリックスにおいて、例えば「Qb2(100)」の値は、“室内空気の湿球温度がT2で、室外空気の乾球温度Tbである運転条件”において空調用圧縮機(41)の運転周波数を「Fac_100」に設定したときに空気調和装置(20)が発揮する空調能力であり、「Wb2(100)」の値は、この運転条件で空気調和装置(20)が空調能力「Qb2(100)」を発揮しているときの空気調和装置(20)の消費電力である。つまり、第1運転特性データを構成する「能力比:100%」のマトリックスは、空調用圧縮機(41)の運転周波数を「Fac_100」に設定したときに各運転条件において空気調和装置(20)が発揮する空調能力と、そのときの空気調和装置(20)の消費電力とを示している。
図6の「能力比:90%」のマトリックスにおいて、定格運転条件における空気調和装置(20)の空調能力を示す「Qd3(90)」の値は、定格能力である「Qd3(100)」の値の90%である(Qd3(90)=0.9×Qd3(100))。また、「Wd3(90)」の値は、定格運転条件において空気調和装置(20)が空調能力「Qd3(90)」を発揮しているときの空気調和装置(20)の消費電力である。
この定格運転条件において空気調和装置(20)が空調能力「Qd3(90)」を発揮しているときの空調用圧縮機(41)の運転周波数が「Fac_90」であるとする。そして、この「能力比:90%」のマトリックスにおいて、例えば「Qe4(90)」の値は、“室内空気の湿球温度がT4で、室外空気の乾球温度Teである運転条件”において空調用圧縮機(41)の運転周波数を「Fac_90」に設定したときに空気調和装置(20)が発揮する空調能力であり、「We4(90)」の値は、この運転条件で空気調和装置(20)が空調能力「Qe4(90)」を発揮しているときの空気調和装置(20)の消費電力である。つまり、第1運転特性データを構成する「能力比:90%」のマトリックスは、空調用圧縮機(41)の運転周波数を「Fac_90」に設定したときに各運転条件において空気調和装置(20)が発揮する空調能力と、そのときの空気調和装置(20)の消費電力とを示している。
次に、第2運転特性データについて説明する。図7に示すように、第2運転特性データは、異なる能力比について作成された複数のマトリックスによって構成されている。第2運転特性データを構成する各マトリックスは、室内空気の乾球温度(T1,T2,…)及び相対湿度(r1,r2,…)と室外空気の乾球温度(Ta,Tb,…)及び相対湿度(R1,R2,…)とで決まる複数の運転条件において外気処理装置(50)が発揮する空調能力と、その空調能力を発揮する状態における外気処理装置(50)の消費電力とによって構成される。なお、図7には、「能力比:100%」のマトリックスと「能力比:90%」のマトリックスだけを図示しているが、調湿側コントローラ(92a)には、それ以外の能力比についてのマトリックスも記録されている。
ここで、仮に、定格運転条件が“室内空気の湿球温度がT2且つ相対湿度がr2で、室外空気の乾球温度Tb且つ相対湿度がR2である運転条件”であるとする。この場合、図7における「能力比:100%」のマトリックスを構成する「Qb2_22(100)」の値が、外気処理装置(50)の定格能力となる。また、「Qsb2_22(100)」の値は、外気処理装置(50)が発揮する定格能力のうちの顕熱能力(即ち、室外空気の温度を変化させるために用いられる能力)であり、「Wb2_22(100)」の値は、定格運転条件において外気処理装置(50)が定格能力を発揮しているときに外気処理装置(50)が消費する電力である。
この定格運転条件において外気処理装置(50)が空調能力「Qb2_22(100)」を発揮しているときの調湿用圧縮機(71)の運転周波数が「Fdc_100」であるとする。そして、この「能力比:100%」のマトリックスにおいて、例えば「Qa1_13(100)」の値は、“室内空気の湿球温度がT1且つ相対湿度がr3で、室外空気の乾球温度Ta且つ相対湿度がR1である運転条件”において調湿用圧縮機(71)の運転周波数を「Fdc_100」に設定したときに外気処理装置(50)が発揮する空調能力である。また、「Qsa1_13(100)」の値は、外気処理装置(50)が発揮する空調能力「Qa1_13(100)」のうちの顕熱能力であり、「Wa1_13(100)」の値は、この運転条件で外気処理装置(50)が空調能力「Qa1_13(100)」を発揮しているときの外気処理装置(50)の消費電力である。つまり、第2運転特性データを構成する「能力比:100%」のマトリックスは、調湿用圧縮機(71)の運転周波数を「Fdc_100」に設定したときに各運転条件において調湿用圧縮機(71)が発揮する空調能力と、そのときの外気処理装置(50)の消費電力とを示している。
図7の「能力比:90%」のマトリックスにおいて、定格運転条件における外気処理装置(50)の空調能力を示す「Qb2_22(90)」の値は、定格能力である「Qb2_22(100)」の値の90%である(Qb2_22(90)=0.9×Qb2_22(100))。また、「Qsb2_22(90)」の値は、外気処理装置(50)が発揮する空調能力「Qb2_22(90)」のうちの顕熱能力であり、「Wb2_22(90)」の値は、定格運転条件において外気処理装置(50)が空調能力「Qb2_22(90)」を発揮しているときにの外気処理装置(50)の消費電力である。
この定格運転条件において外気処理装置(50)が空調能力「Qb2_22(90)」を発揮しているときの調湿用圧縮機(71)の運転周波数が「Fdc_90」であるとする。そして、この「能力比:90%」のマトリックスにおいて、例えば「Qa2_32(90)」の値は、“室内空気の湿球温度がT2且つ相対湿度がr2で、室外空気の乾球温度Ta且つ相対湿度がR3である運転条件”において調湿用圧縮機(71)の運転周波数を「Fdc_90」に設定したときに外気処理装置(50)が発揮する空調能力である。また、「Qsa2_32(90)」の値は、外気処理装置(50)が発揮する空調能力「Qa2_32(90)」のうちの顕熱能力であり、「Wa2_32(90)」の値は、この運転条件で外気処理装置(50)が空調能力「Qa2_32(90)」を発揮しているときの外気処理装置(50)の消費電力である。つまり、第2運転特性データを構成する「能力比:90%」のマトリックスは、調湿用圧縮機(71)の運転周波数を「Fdc_90」に設定したときに各運転条件において調湿用圧縮機(71)が発揮する空調能力と、そのときの外気処理装置(50)の消費電力とを示している。
最小エネルギ制御部(93b)が第1目標空調能力Qac_setと第2目標空調能力Qdc_setを決定する動作について説明する。ここでは、空気調和装置(20)の定格能力が40kW、外気処理装置(50)の定格能力が12kWで、且つ空調システム(10)全体に要求される空調能力(総計要求能力Q)が30kWである場合を例に、図8を参照しながら説明する。なお、図8に示す数値は、いずれも単なる一例である。
この場合、最小エネルギ制御部(93b)は、空気調和装置(20)の空調能力Qacと外気処理装置(50)の空調能力Qdcの和(Qac+Qdc)が総計要求能力Q(図8の例では30kW)となるように、空気調和装置(20)の空調能力Qacと外気処理装置(50)の空調能力Qdcの組合せを複数組み抽出する。そして、最小エネルギ制御部(93b)は、抽出した空気調和装置(20)の空調能力Qacと外気処理装置(50)の空調能力Qdcの組合せのそれぞれについて、空気調和装置(20)の消費電力と外気処理装置(50)の消費電力とを、第1運転特性データ及び第2運転特性データを用いて算出する。
まず、最小エネルギ制御部(93b)が空気調和装置(20)の消費電力を算出する動作について説明する。仮に、室内空気の湿球温度が20℃で室外空気の乾球温度が32℃であったとする。なお、室内空気の湿球温度は、室内温度センサ(55a)及び室内湿度センサ(56a)の計測値から算出される。また、室外空気の乾球温度は、室外温度センサ(57a)の計測値である。
例えば、空気調和装置(20)の空調能力Qacが22kWのときの空気調和装置(20)の消費電力Wacを算出する場合、最小エネルギ制御部(93b)は、“室内空気の湿球温度が20℃で室外空気の乾球温度が32℃である運転条件”において空気調和装置(20)の空調能力Qacが22kWとなるときの能力比を、第1運転特性データを用いて決定する。そして、最小エネルギ制御部(93b)は、第1運転特性データを構成するマトリックスのうち決定した能力比に対応するものを参照し、“室内空気の湿球温度が20℃で室外空気の乾球温度が32℃である運転条件”において空気調和装置(20)の空調能力Qacが22kWとなるときの消費電力Wacを算出する。
次に、最小エネルギ制御部(93b)が外気処理装置(50)の消費電力を算出する動作について説明する。仮に、室内空気の乾球温度が25℃で相対湿度が60%であり、室外空気の乾球温度が32℃で相対湿度が80%であるとする。なお、室内空気の乾球温度は室内温度センサ(55a)の計測値であり、室内空気の相対湿度は室内湿度センサ(56a)の計測値である。また、室外空気の乾球温度は室外温度センサ(57a)の計測値であり、室外空気の相対湿度は室外湿度センサ(58a)の計測値である。
例えば、外気処理装置(50)の空調能力Qdcが8kWのときの外気処理装置(50)の消費電力Wdcを算出する場合、最小エネルギ制御部(93b)は、“室内空気の乾球温度が25℃且つ相対湿度が60%で、室外空気の乾球温度が32℃且つ相対湿度が80%である運転条件”において外気処理装置(50)の空調能力Qdcが8kWとなるときの能力比を、第2運転特性データを用いて決定する。そして、最小エネルギ制御部(93b)は、第2運転特性データを構成するマトリックスのうち決定した能力比に対応するものを参照し、“室内空気の乾球温度が25℃且つ相対湿度が60%で、室外空気の乾球温度が32℃且つ相対湿度が80%である運転条件”において外気処理装置(50)の空調能力Qdcが8kWとなるときの消費電力Wdcを算出する。
最小エネルギ制御部(93b)は、抽出した空気調和装置(20)の空調能力Qacと外気処理装置(50)の空調能力Qdcの組合せのそれぞれについて、空気調和装置(20)の消費電力Wacと外気処理装置(50)の消費電力Wdcの和(即ち、空調システム(10)全体の消費電力Ws(=Wac+Wdc))を算出する。そして、最小エネルギ制御部(93b)は、各組合せにおける消費電力Wsを比較し、消費電力Wsが最小となる空気調和装置(20)の空調能力Qacと外気処理装置(50)の空調能力Qdcの組合せ選択し、その組合せにおける空調能力Qacの値を第1目標空調能力Qac_setとし、その組合せにおける空調能力Qdcの値を第2目標空調能力Qdc_setとする。つまり、図8に示す例では、消費電力Wsの最小値が7.7kWであり、その時の空気調和装置(20)の空調能力Qacは22kWであり、その時の外気処理装置(50)の空調能力Qdcは8kWである。従って、この例において、最小エネルギ制御部(93b)は、第1目標空調能力Qac_setの値を22kWとし、第2目標空調能力Qdc_setの値を8kWとする。
=== 第4動作 ===
最小エネルギ制御部(93b)は、第3動作が終了すると第4動作を実行する。最小エネルギ制御部(93b)は、第4動作として、空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値と調湿用圧縮機(71)の運転周波数の指令値とを決定する動作を行う。
まず、最小エネルギ制御部(93b)が空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値を決定する動作について説明する。ここで、室内空気の乾球温度及び相対湿度と室外空気の乾球温度とが分かれば、その運転条件において空気調和装置(20)が第1目標空調能力Qac_setを発揮するときの空気調和装置(20)の能力比(目標能力比)が決まる。一方、上述したように、第1運転特性データを構成する各マトリックスは、空調用圧縮機(41)の運転周波数を所定値(Fac_100,Fac_90,…)に設定したときに各運転条件において空気調和装置(20)が発揮する空調能力と、そのときの空気調和装置(20)の消費電力とを示している。従って、空気調和装置(20)の目標能力比が決まれば、その目標能力比に対応する空調用圧縮機(41)の運転周波数が決まる。そこで、最小エネルギ制御部(93b)は、その目標能力比に対応する空調用圧縮機(41)の運転周波数を、空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値に設定する。
次に、最小エネルギ制御部(93b)が調湿用圧縮機(71)の運転周波数の指令値を決定する動作について説明する。ここで、室内空気の乾球温度及び相対湿度と室外空気の乾球温度及び相対湿度とが分かれば、その運転条件において外気処理装置(50)が第2目標空調能力Qdc_setを発揮するときの外気処理装置(50)の能力比(目標能力比)が決まる。一方、上述したように、第2運転特性データを構成する各マトリックスは、調湿用圧縮機(71)の運転周波数を所定値(Fdc_100,Fdc_90,…)に設定したときに各運転条件において外気処理装置(50)が発揮する空調能力と、そのときの外気処理装置(50)の消費電力とを示している。従って、外気処理装置(50)の目標能力比が決まれば、その目標能力比に対応する調湿用圧縮機(71)の運転周波数が決まる。そこで、最小エネルギ制御部(93b)は、その目標能力比に対応する調湿用圧縮機(71)の運転周波数を、調湿用圧縮機(71)の運転周波数の指令値に設定する。
=== 第5動作 ===
最小エネルギ制御部(93b)は、第4動作が終了すると第5動作を実行する。最小エネルギ制御部(93b)は、第5動作として、各圧縮機(41,71)へ電力を供給するインバータに対して出力周波数を指令する動作を行う。
具体的に、この第5動作において、最小エネルギ制御部(93b)は、空調用圧縮機(41)へ電力を供給するインバータに対し、第4動作において決定した空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値を、そのインバータの出力周波数の指令値として送信する。その結果、空調用圧縮機(41)へ供給される電力の周波数が、第4動作で決定された空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値となり、空気調和装置(20)の発揮する空調能力が第1目標空調能力となる。
また、この第5動作において、最小エネルギ制御部(93b)は、調湿用圧縮機(71)へ電力を供給するインバータに対し、第4動作において決定した調湿用圧縮機(71)の運転周波数の指令値を、そのインバータの出力周波数の指令値として送信する。その結果、調湿用圧縮機(71)へ供給される電力の周波数が、第4動作で決定された調湿用圧縮機(71)の運転周波数の指令値となり、外気処理装置(50)の発揮する空調能力が第2目標空調能力となる。
−実施形態1の効果−
本実施形態1によれば、制御システム(90)の判断部(93a)により、室外空気の温度及び湿度が所定の換気領域内の状態であるか否かを判断し、室外空気が上記換気領域内の状態であると判断されると、換気運転制御部(93c)によって換気運転を行うこととした。つまり、室外空気の温度又は温度及び湿度の調節が必要でない場合に、温度及び湿度を調節することなく換気運転を行うこととした。よって、室外空気を無駄に冷却除湿して再加熱することがないため、空調システム(10)において消費されるエネルギを必要最低限に抑えることが可能となる。
本実施形態1において、制御システム(90)の判断部(93a)により、室外空気が上記換気領域内の状態でないと判断された場合には、最小エネルギ制御部(93b)が、第1目標空調能力Qac_setと第2目標空調能力Qdc_setとを、第1目標空調能力Qac_setと第2目標空調能力Qdc_setの和(Qac_set+Qdc_set)が総計要求能力Q(即ち、空調システム(10)全体に要求される空調能力)と等しくなるという条件下において空気調和装置(20)の消費電力Wacと外気処理装置(50)の消費電力Wdcの和(Wac+Wdc)が最小となるように決定する。そして、本実施形態1では、空気調和装置(20)が第1目標空調能力を発揮して外気処理装置(50)が第2目標空調能力を発揮するように、制御システム(90)が空調用圧縮機(41)及び調湿用圧縮機(71)の運転周波数を調節する。従って、本実施形態1によれば、空調システム(10)に総計要求能力Qを発揮させつつ、空調システム(10)の消費電力Wsを必要最低限に抑えることが可能となる。
また、本実施形態1によれば、外気処理装置(50)において換気運転を実行する際に、空気調和装置(20)を室内の空調負荷に応じて運転制御するように換気運転制御部(93c)を構成した。従って、空調システム(10)の消費エネルギが必要最小限に抑えることが可能となる。
−実施形態1の変形例1−
上記実施形態1では、“空気調和装置(20)の全熱能力Qacと外気処理装置(50)の全熱量力Qdcとの和(Qac+Qdc)が空調システム(10)全体に要求される全熱能力(総計要求能力Q)になる”という条件の下で空気調和装置(20)の消費電力Wacと外気処理装置(50)の消費電力Wdcとの和(Wac+Wdc)が最小となるように、空気調和装置(20)の全熱能力Qacの目標値を第1目標空調能力Qac_setに設定し、外気処理装置(50)の全熱量力Qdcの目標値を第2目標空調能力Qdc_setに設定している。なお、全熱能力とは、処理対象の空気の温度を調節するのに要する能力である顕熱能力と、処理対象の空気の絶対湿度を調節するのに要する能力である潜熱能力との和である。
このように、上記実施形態1では、全熱能力を基準に第1目標空調能力と第2目標空調能力を設定している。一方、上記実施形態1では、顕熱能力を基準に第1目標空調能力と第2目標空調能力を設定することも可能であるし、潜熱能力を基準に第1目標空調能力と第2目標空調能力を設定することも可能である。
まず、調湿側コントローラ(92a)が顕熱能力を基準に第1目標空調能力Qac_setと第2目標空調能力Qdc_setを設定する場合について、図5〜7を参照しながら説明する。
なお、図5において、点Aの状態の空気(即ち、実際の室外空気)の乾球温度をTaとして絶対湿度をXaとし、点Bの状態の空気(即ち、実際の室内空気)の乾球温度をTbとして絶対湿度をXbとし、点Cの状態の空気(乾球温度が目標室内温度Tsで相対湿度が目標室内湿度Hsの湿り空気)の絶対湿度をXcとする。また、点Dの状態の空気は、乾球温度がTaで絶対湿度がXcとなった湿り空気であり、点Eの状態の空気は、乾球温度がTbで絶対湿度がXcとなった湿り空気であり、
図5において、外気処理に必要な顕熱能力Q2sは、点Dの状態と点Cの状態の比エンタルピ差h_s2に、第1及び第2の調湿ユニット(52a,52b)が室内へ供給する室外空気の流量Voaを乗ずることによって算出される(Q2s=h_s2×Voa)。ここで、室内の空気調和に必要な全熱能力のうちの顕熱能力の割合Rsは、点Eの状態と点Cの状態の比エンタルピ差h_s1を点Bの状態と点Cの状態の比エンタルピ差h_1で除することによって得られる(Rs=h_s1/h_1)。一方、室内の空気調和に必要な全熱能力Q1は、制御システム(90)の第2動作についての説明で述べたのと同じ手順で推定できる。そして、室内の空気調和に必要な顕熱能力Q1sは、室内の空気調和に必要な全熱能力Q1に割合Rsを乗ずることによって得られる(Q1s=Q1×Rs)。また、空調システム(10)全体に要求される顕熱能力Qsは、室内の空気調和に必要な顕熱能力Q1sと外気処理に必要な顕熱能力Q2sを足し合わせることによって算出される(Qs=Q1s+Q2s)。
図6に示す第1運転特性データでは、空気調和装置(20)の全熱能力が記録されているが、この全熱能力を顕熱能力Qs_acと潜熱能力Qr_acに予め分けておくことは可能である。なお、空気調和装置(20)の冷房運転中には、蒸発器となった室内熱交換器(36a,36b,…)において空気中の水分が凝縮するため、空気調和装置(20)の冷房能力(全熱能力)は、顕熱能力と潜熱能力に分けられる。また、空気調和装置(20)の暖房運転中には、凝縮器となった室内熱交換器(36a,36b,…)において空気の温度だけが上昇するため、空気調和装置(20)の暖房能力(全熱能力)は、その全部が顕熱能力である。一方、図7に示す第2運転特性データでは、外気処理装置(50)の顕熱能力Qs_dcが既に記録されている。
この場合において、調湿側コントローラ(92a)は、空気調和装置(20)の顕熱能力Qs_acの目標値と外気処理装置(50)の顕熱量力Qs_dcの目標値とを、空気調和装置(20)の顕熱能力Qs_acと外気処理装置(50)の顕熱能力Qs_dcの和が空調システム(10)全体に要求される顕熱能力Qsになる(Qs=Qs_ac+Qs_dc)という条件の下で空気調和装置(20)の消費電力と外気処理装置(50)の消費電力の和が最小となるように決定する。そして、調湿側コントローラ(92a)は、このようにして決定した空気調和装置(20)の顕熱能力Qs_acの目標値を第1目標空調能力Qac_setに、外気処理装置(50)の顕熱量力Qs_dcの目標値を第2目標空調能力Qdc_setに、それぞれ設定する。
次に、調湿側コントローラ(92a)が潜熱能力を基準に第1目標空調能力Qac_setと第2目標空調能力Qdc_setを設定する場合について、図5〜7を参照しながら説明する。
図5において、外気処理に必要な潜熱能力Q2sは、点Aの状態と点Dの状態の比エンタルピ差h_r2に、第1及び第2の調湿ユニット(52a,52b)が室内へ供給する室外空気の流量Voaを乗ずることによって算出される(Q2r=h_r2×Voa)。ここで、室内の空気調和に必要な全熱能力のうちの潜熱能力の割合Rrは、点Bの状態と点Eの状態の比エンタルピ差h_r1を点Bの状態と点Cの状態の比エンタルピ差h_1で除することによって得られる(Rr=h_r1/h_1)。一方、室内の空気調和に必要な全熱能力Q1は、制御システム(90)の第2動作についての説明で述べたのと同じ手順で推定できる。そして、室内の空気調和に必要な潜熱能力Q1rは、室内の空気調和に必要な全熱能力Q1に割合Rrを乗ずることによって得られる(Q1r=Q1×Rr)。また、空調システム(10)全体に要求される潜熱能力Qrは、室内の空気調和に必要な潜熱能力Q1rと外気処理に必要な潜熱能力Q2rを足し合わせることによって算出される(Qr=Q1r+Q2r)。
上述したように、図6に示す第1運転特性データでは、空気調和装置(20)の全熱能力が記録されているが、この全熱能力を顕熱能力Qs_acと潜熱能力Qr_acに予め分けておくことは可能である。一方、図7に示す第2運転特性データでは、外気処理装置(50)の顕熱能力Qs_dcが既に記録されているため、外気処理装置(50)の潜熱能力Qr_dcは、外気処理装置(50)の全熱能力Qdcから外気処理装置(50)の顕熱能力Qs_dcを差し引くことによって算出される(Qr_dc=Qdc−Qs_dc)。
この場合において、調湿側コントローラ(92a)は、空気調和装置(20)の潜熱能力Qr_acの目標値と外気処理装置(50)の潜熱量力Qr_dcの目標値を、空気調和装置(20)の潜熱能力Qr_acと外気処理装置(50)の潜熱能力Qr_dcの和が空調システム(10)全体に要求される潜熱能力Qrになる(Qr=Qr_ac+Qr_dc)という条件の下で空気調和装置(20)の消費電力と外気処理装置(50)の消費電力の和が最小となるように決定する。そして、調湿側コントローラ(92a)は、このようにして決定した空気調和装置(20)の潜熱能力Qr_acの目標値を第1目標空調能力Qac_setに、外気処理装置(50)の潜熱量力Qr_dcの目標値を第2目標空調能力Qdc_setに、それぞれ設定する。
−実施形態1の変形例2−
図9に示すように、上記実施形態1では、各調湿ユニット(52a,52b)に調湿用圧縮機(71a,71b)が一台ずつ搭載されていてもよい。図9に示す空調システム(10)では、外気処理装置(50)が二台の調湿ユニット(52a,52b)だけによって構成される。各調湿ユニット(52b)の調湿用回路(80a,80b)において、調湿用圧縮機(71a,71b)は、その吐出側が四方切換弁(83a,83b)の第1のポートに接続され、その吸入側がアキュームレータ(72a,72b)を介して四方切換弁(83a,83b)の第2のポートに接続される。
《発明の実施形態2》
本実施形態2の空調システム(10)は、空気調和装置(20)と、外気処理装置(50)と、連携制御コントローラ(93)とを備えている。また、この空調システム(10)では、空気調和装置(20)に設けられた空調側コントローラ(91)と、外気処理装置(50)に設けられた外気処理側コントローラ(92)と、連携制御コントローラ(93)とが、制御手段である制御システム(90)を構成している。
〈空気調和装置の構成〉
実施形態2では、空調システム(10)を構成する空気調和装置(20)は、一台の室外ユニット(21)と、二台の室内ユニット(22a,22b)とを備えている。この空気調和装置(20)では、室外ユニット(21)と各室内ユニット(22a,22b)を配管で接続することによって、第1冷媒回路である空調用冷媒回路(30)が形成されている。なお、室外ユニット(21)及び室内ユニット(22a〜22d)の台数は、単なる例示である。室外ユニット(21)及び各室内ユニット(22a,22b)の構成は実施形態1と同様である。
〈外気処理装置の構成〉
空調システム(10)を構成する外気処理装置(50)は、所謂オールフレッシュタイプの直膨外気処理装置(Dedicated Outdoor Air System)に構成されている。外気処理装置(50)は、例えば、ビルの屋上等の室外空間に設置され、図示しないが、室外空気の吸込口と吹出口とが形成されている。室外空気の吸込口は、室外において開口する一方、吹出口には、給気通路(100a)の流入端が接続されている。給気通路(100a)は、流出端が二つに分岐して二つの室内空間(S1,S2)に接続されている。給気通路(100a)は、外気処理装置(50)において温度又は温度及び湿度が調節された空気を二つの室内空間(S1,S2)へ導く。給気通路(100a)の二つの流出端部には、給気の流量を調節する流量調節機構(100c,100c)がそれぞれに設けられている。一方、室内空間(S1,S2)には、排気通路(100b)が接続されている。排気通路(100b)は、流入側が二つに分岐し、二つの流入端が二つの室内空間(S1,S2)にそれぞれ接続される一方、流出端は室外に開口している。排気通路(100b)は、二つの室内空間(S1,S2)の空気を室外へ排出する。なお、室内空間及び外気処理装置の数は、単なる例示である。
外気処理装置(50)には、外気処理用冷媒回路(101)と、加熱ヒータ(102)と、給気ファン(103)とが収容されている。
外気処理用冷媒回路(101)には、外気処理用圧縮機(104)と、四方切換弁(105)と、熱源側熱交換器(106)と、膨張弁(107)と、利用側熱交換器(108)と、アキュームレータ(109)とが設けられている。
外気処理用冷媒回路(101)において、外気処理用圧縮機(104)は、その吐出側が四方切換弁(105)の第1のポートに接続され、その吸入側がアキュームレータ(109)を介して四方切換弁(105)の第2のポートに接続されている。四方切換弁(105)の第3のポートは、熱源側熱交換器(106)のガス側端に接続されている。熱源側熱交換器(106)の液側端は、膨張弁(107)の一端に接続されている。膨張弁(107)の他端は、利用側熱交換器(108)の液側端に接続されている。利用側熱交換器(108)のガス側端は、四方切換弁(105)の第4のポートに接続されている。熱源側熱交換器(106)の近傍には、熱源側ファン(106a)が設けられている。
外気処理用冷媒回路(101)には、高圧センサ(110)と低圧センサ(111)とが設けられている。高圧センサ(110)は、外気処理用圧縮機(104)の吐出側と四方切換弁(105)を繋ぐ配管に接続され、外気処理用圧縮機(104)から吐出された高圧冷媒の圧力を計測する。低圧センサ(111)は、アキュームレータ(109)と四方切換弁(105)を繋ぐ配管に接続され、外気処理用圧縮機(104)へ吸入される低圧冷媒の圧力を計測する。
外気処理用圧縮機(104)は、いわゆる全密閉型の圧縮機である。外気処理用圧縮機(104)の電動機には、図外のインバータを介して電力が供給される。インバータから電動機へ供給される交流の周波数(即ち、外気処理用圧縮機(104)の運転周波数)を変化させると、電動機の回転速度が変化し、その結果、外気処理用圧縮機(104)の運転容量が変化する。
熱源側熱交換器(106)は、熱源側ファン(106a)によって供給された室外空気を冷媒と熱交換させるフィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。四方切換弁(105)は、第1のポートが第3のポートに連通し且つ第2のポートが第4のポートに連通する第1状態(図10に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートに連通し且つ第2のポートが第3のポートに連通する第2状態(図10に破線で示す状態)とに切り換わる。
利用側熱交換器(108)は、給気ファン(103)によって供給された室外空気を冷媒と熱交換させるフィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。
加熱ヒータ(102)は、本実施形態では電気ヒータによって構成され、給気ファン(103)によって供給された室外空気を加熱する。なお、加熱ヒータ(102)は、電気ヒータに限られず、例えば、ガスヒータであってもよい。
上述したように、図示しないが、外気処理装置(50)には、室外空気の吸込口と吹出口とが形成されている。外気処理装置(50)の内部において、上記給気ファン(103)は、吸込口と吹出口との間に設けられ、吸込口と吹出口との間に空気通路が形成されている。該空気通路の上流側から下流側へ向かって、上記利用側熱交換器(108)、加熱ヒータ(102)、給気ファン(103)の順に配置されている。このような構成により、外気処理装置(50)は、室外空間から室外空気を取り込み、利用側熱交換器(108)、加熱ヒータ(102)を順に通過させた後、給気通路(100a)を介して二つの室内空間(S1,S2)へ吹き出す。
外気処理装置(50)には、空気通路における利用側熱交換器(108)の上流側に、室外温度センサ(112)と、室外湿度センサ(113)とが設けられている。室外温度センサ(112)は、外気処理装置(50)へ吸い込まれた室外空気の温度を計測する。室外湿度センサ(113)は、外気処理装置(50)へ吸い込まれた室外空気の相対湿度を計測する。また、各室内空間(S1,S2)には、室内温度センサ(114a,114b)と、室内湿度センサ(115a,115b)とが設けられている。室内温度センサ(114a,114b)は、各室内空間(S1,S2)の空気の温度を計測する。室内湿度センサ(115a,115b)は、各室内空間(S1,S2)の空気の相対湿度を計測する。
〈制御システムの構成〉
上述したように、空調システム(10)の制御システム(90)は、空調側コントローラ(91)と外気処理側コントローラ(92)と連携制御コントローラ(93)とによって構成されている。
空調側コントローラ(91)は、空気調和装置(20)の室外ユニット(21)に収容されている。空調側コントローラ(91)には、低圧センサ(27)や高圧センサ(26)の計測値が入力される。空調側コントローラ(91)は、空気調和装置(20)の運転動作を制御するように構成されている。空気調和装置(20)の運転中において、空調側コントローラ(91)は、空調用圧縮機(41)に接続されたインバータの出力周波数を制御することによって、空気調和装置(20)が発揮する空調能力を調節する。
外気処理側コントローラ(92)は、外気処理装置(50)に収容されている。外気処理側コントローラ(92)には、外気処理装置(50)に設けられた室外温度センサ(116)及び室外湿度センサ(117)の計測値が入力される。外気処理側コントローラ(92)は、外気処理用圧縮機(104)の運転制御を行うように構成されている。外気処理装置(50)の運転中において、外気処理側コントローラ(92)は、外気処理用圧縮機(104)に接続されたインバータの出力周波数を制御することによって、外気処理装置(50)が発揮する空調能力を調節する。
連携制御コントローラ(93)は、判断部(93a)と、最小エネルギ制御部(93b)と、換気運転制御部(93c)とを有している。連携制御コントローラ(93)には、外気処理装置(50)に設けられた室外温度センサ(116)及び室外湿度センサ(117)の計測値(即ち、外気温度、外気湿度)が入力される。また、連携制御コントローラ(93)には、ユーザーによって設定された室内空気の温度の目標値(即ち、目標室内温度Ts)及び室内空気の相対湿度の目標値(即ち、目標室内湿度Hs)が、図外のリモコンを介して入力される。
上記判断部(93a)は、室外空気が所定の換気領域内の状態であるか否かを判断する。本実施形態では、所定の換気領域は、室内空気の温度及び湿度に近い状態である所定のニュートラルエアゾーン(Neutral air zone)を基準に設定されている。
ここで、ニュートラルエアゾーンとは、図11に示すように、湿り空気線図において、室内空間の空気の温度及び湿度に近い状態の空気領域(図11中(1)の領域)を指し、具体的に、乾球温度をT、絶対湿度をXとすると、T1≦T≦T2、及びX1≦X≦X2を満たす空気領域を言う。なお、T1は華氏70度(摂氏21度)、T2は華氏80度(摂氏26度)、X1は0.036kg/kg(DA)、X2は0.040kg/kg(DA)とする。
また、本実施形態2では、判断部(93a)は、まず、室外空気の状態が、図11に示すゾーン(1)〜(7)のいずれの状態であるかを判定する。
ここで、ゾーン(1)は、上記ニュートラルエアゾーンであり、T1≦T≦T2、及びX1≦X≦X2を満たす空気領域である。ゾーン(2)は、T>T2、及びX>X2を満たす空気領域である。ゾーン(3)は、T>T2、及びX≦X2を満たす空気領域である。ゾーン(4)は、T1≦T≦T2、及びX<X1を満たす空気領域である。ゾーン(5)は、T1≦T≦T2、及びX>X2を満たす空気領域である。ゾーン(6)は、T<T1、及びX≧X1を満たす空気領域である。ゾーン(7)は、T<T1、及びX<X1を満たす空気領域である。
また、本実施形態2では、上記ゾーン(1)とゾーン(4)とを合わせた空気領域が換気領域として設定されている。そのため、判断部(93a)は、上記判定において、室外空気の状態が、ゾーン(1)又は(4)であると判定されると、室外空気が所定の換気領域内の状態であると判断する。一方、判断部(93a)は、上記判定において、室外空気の状態が、ゾーン(2)、(3)、(5)、(6)又は(7)であると判定されると、室外空気が所定の換気領域内の状態でないと判断する。
本実施形態2おいても、上記最小エネルギ制御部(93b)は、判断部(93a)が、室外空気が上記換気領域内の状態でないと判断すると、最小エネルギ制御を実行する。最小エネルギ制御部(93b)は、最小エネルギ制御において、図12に示すように、五つの動作(第1〜第5動作)を順次行うように構成されている。また、最小エネルギ制御部(93b)は、図12に示す五つの動作からなる最小エネルギ制御を、所定の時間が経過する毎に繰り返し行うように構成されている。
最小エネルギ制御部(93b)が行う第1〜第5動作の概要を説明する。第1動作は、各センサ(112,113,114a,114b,115a,115b)の出力値等の必要なデータを取得する動作である。第2動作は、第1動作において取得したデータに基づき、空調システム(10)全体に要求される空調能力を算出する動作である。第3動作は、第2動作において算出した空調システム(10)全体に要求される空調能力に基づき、空気調和装置(20)が発揮すべき第1目標空調能力と外気処理装置(50)が発揮すべき第2目標空調能力とを決定する動作である。第4動作は、第3動作において決定した第1目標空調能力及び第2目標空調能力に基づき、空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値と外気処理用圧縮機(104)の運転周波数の指令値とを決定する動作である。第5動作は、第4動作において決定した空調用圧縮機(41)及び外気処理用圧縮機(104)の運転周波数の指令値に基づき、各圧縮機(41,104)へ電力を供給するインバータに対して出力周波数を指令する動作である。
本実施形態2おいても、上記換気運転制御部(93c)は、判断部(93a)が、室外空気が上記換気領域内の状態であると判断すると、換気運転制御を実行する。換気運転制御部(93c)は、換気運転制御において、室内の空調負荷、即ち、各室内温度センサ(56a,56b)によって検出された室内温度と目標室内温度Tsとの温度差に応じて上記空気調和装置(20)の運転を制御する一方、外気処理用圧縮機(104)の運転を停止し、外気処理装置(50)において室外空気の温度及び湿度を調節することなく室内へ供給するように構成されている。
−運転動作−
空調システム(10)の運転動作について説明する。実施形態2の空調システム(10)において、空気調和装置(20)では冷房運転と暖房運転が切り換え可能となり、外気処理装置(50)では冷房運転と暖房運転と換気運転とが切り換え可能となっている。なお、冷房運転と暖房運転とが外気処理運転を構成する。空気調和装置の運転動作については、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
〈外気処理装置の運転動作〉
上述したように、外気処理装置(50)では、冷房運転と暖房運転と換気運転とが切り換え可能となっている。冷房運転中と暖房運転中のいずれにおいても、外気処理装置(50)の外気処理用冷媒回路(101)では、冷媒を循環させることによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。一方、換気運転では、外気処理用冷媒回路(101)において冷媒が循環しない。
外気処理装置(50)の冷房運転について説明する。実施形態2では、外気処理装置(50)は、室外空気の状態が、ゾーン(2)、ゾーン(3)、ゾーン(5)及びゾーン(6)の状態である場合に、冷房運転を行う。
冷房運転中の外気処理用冷媒回路(101)では、四方切換弁(105)が第1状態(図10に実線で示す状態)に設定され、膨張弁(107)の開度が適宜調節される。また、冷房運転中の外気処理用冷媒回路(101)では、熱源側熱交換器(106)が凝縮器として動作し、利用側熱交換器(108)が蒸発器として動作する。
冷房運転中の外気処理用冷媒回路(101)における冷媒の流れを具体的に説明する。外気処理用圧縮機(104)から吐出された高圧冷媒は、四方切換弁(105)を通過後に熱源側熱交換器(106)へ流入し、室外空気へ放熱して凝縮する。熱源側熱交換器(106)から流出した冷媒は、膨張弁(107)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となり、その後に利用側熱交換器(108)へ流入し、給気となる室外空気から吸熱して蒸発する。利用側熱交換器(108)から流出した冷媒は、四方切換弁(105)を通過後に外気処理用圧縮機(104)へ吸入されて圧縮される。
上述したように、冷房運転中には、利用側熱交換器(108)が蒸発器として動作する。外気処理装置(50)は、吸い込んだ室外空気を利用側熱交換器(108)において冷却した後に、必要に応じて加熱ヒータ(102)で加熱して室内へ供給する。
外気処理装置(50)の暖房運転について説明する。実施形態2では、外気処理装置(50)は、室外空気の状態が、ゾーン(7)の状態である場合に、暖房運転を行う。
暖房運転中の外気処理用冷媒回路(101)では、四方切換弁(105)が第2状態(図10に破線で示す状態)に設定され、膨張弁(107)の開度が適宜調節される。また、暖房運転中の外気処理用冷媒回路(101)では、利用側熱交換器(108)が凝縮器として動作し、熱源側熱交換器(106)が蒸発器として動作する。
暖房運転中の外気処理用冷媒回路(101)における冷媒の流れを具体的に説明する。外気処理用圧縮機(104)から吐出された冷媒は、四方切換弁(105)を通過後に利用側熱交換器(108)へ流入し、給気となる室外空気へ放熱して凝縮する。利用側熱交換器(108)から流出した冷媒は、膨張弁(107)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となる。膨張弁(107)を通過した冷媒は、熱源側熱交換器(106)へ流入し、室外空気から吸熱して蒸発する。熱源側熱交換器(106)から流出した冷媒は、四方切換弁(105)を通過後に外気処理用圧縮機(104)へ吸入されて圧縮される。
上述したように、暖房運転中には、利用側熱交換器(108)が凝縮器として動作する。外気処理装置(50)は、吸い込んだ室外空気を利用側熱交換器(108)において加熱した後に室内へ供給する。
外気処理装置(50)の換気運転について説明する。実施形態2では、外気処理装置(50)は、室外空気の状態が、ゾーン(1)及びゾーン(4)の状態である場合に、換気運転を行う。
換気運転では、外気処理用圧縮機(104)が駆動されず、外気処理用冷媒回路(101)において冷媒が循環しない。加熱ヒータ(102)の運転も停止される。一方、外気処理装置(50)では、給気ファン(103)は駆動される。これにより、室外空気が、利用側熱交換器(108)及び加熱ヒータ(102)を単に通過して給気ファン(103)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。このような動作により、室外空気が温度及び湿度を調節されることなく室内へ供給される一方、室内空気が室外へ排出されて室内空間の換気が行われる。
〈制御システムの動作〉
空調側コントローラ(91)と外気処理側コントローラ(92)と連携制御コントローラ(93)とによって構成された制御システム(90)の動作について説明する。
空調側コントローラ(91)は、空調用冷媒回路(30)に設けられた四方切換弁(43)や室外膨張弁(45)に対する制御動作や、室外ファン(23)等に対する制御動作を行う。外気処理側コントローラ(92)は、外気処理用冷媒回路(101)に設けられた四方切換弁(105)や膨張弁(107)に対する制御動作を行う。
連携制御コントローラ(93)は、図13に示すような制御動作を行う。具体的に、連携制御コントローラ(93)は、まず、室外温度センサ(112)によって検出された外気温度と室外湿度センサ(113)によって検出された外気湿度とのデータを取得する(ステップS1)。次に、連携制御コントローラ(93)は、判断部(93a)により、ステップS1において取得した外気温度と外気湿度とのデータに基づき、室外空気の状態がゾーン(1)〜(7)のいずれの状態であるかを判定する(ステップS2)。そして、連携制御コントローラ(93)は、判断部(93a)により、室外空気の状態が予め換気領域として設定されたゾーン(1)及びゾーン(4)のいずれかの状態であるか否かを判断する(ステップS3)。
ステップS3において、判断部(93a)が、室外空気の状態がゾーン(1)又はゾーン(4)の状態、即ち、換気領域内の状態であると判断すると、ステップS4に進み、換気運転制御部(93c)が、室内の空調負荷に応じて空気調和装置(20)を運転させる一方、外気処理用圧縮機(104)の運転を停止し、外気処理装置(50)において室外空気の温度及び湿度を調節することなく室内へ供給する換気運転制御を実行する。一方、ステップS3において、判断部(93a)が、室外空気の状態がゾーン(2)、(3)、(5)、(6)又は(7)の状態、即ち、換気領域内の状態でないと判断すると、ステップS5に進み、最小エネルギ制御部(93b)が、最小エネルギ制御を実行する。
また、実施形態2においても、最小エネルギ制御部(93b)は、最小エネルギ制御において、図12に示す五つの動作を行う。この最小エネルギ制御部(93b)は、図12に示す第1〜第5動作を順に行う動作を一連の制御動作とし、この一連の制御動作を所定の時間が経過する毎(例えば、12分毎)に繰り返し行う。なお、最小エネルギ制御部(93b)において、第1〜第5動作から成る制御動作の時間間隔は、任意に設定可能である。以下では、この最小エネルギ制御部(93b)が行う第1〜第5動作のそれぞれについて、実施形態1と異なる部分についてのみ詳細に説明する。
=== 第1動作 ===
最小エネルギ制御部(93b)は、第1動作において、必要なデータとして、室内温度センサ(114a,114b)、室内湿度センサ(115a,115b)、室外温度センサ(112)、及び室外湿度センサ(113)のそれぞれから計測値を取得する。また、最小エネルギ制御部(93b)は、目標室内温度Ts(室内空気の温度の目標値)を、図外のリモコンから取得する。
=== 第2動作 ===
最小エネルギ制御部(93b)は、第1動作が終了すると、第2動作として、実施形態
1と同様に、室内の空気調和に必要な空調能力Q1と、外気処理に必要な空調能力Q2とを個別に算出し、それらを足し合わせることによって空調システム(10)全体に要求される空調能力(総計要求能力Q)を算出する動作を行う。
最小エネルギ制御部(93b)の第2動作について、空気調和装置(20)が冷房運転を行い、外気処理装置(50)が冷房運転を行っている場合を例に、図14を参照しながら説明する。同図において、点Aは室外空気の状態を、点Bは現時点における室内空気の状態を、点Cは目標とする室内空気の状態を、それぞれ表している。点Aの状態は、乾球温度が室外温度センサ(57a)の計測値となり、相対湿度が室外湿度センサ(58a)の計測値となっている状態である。点Bの状態は、乾球温度が室内温度センサ(55a)の計測値となり、相対湿度が室内湿度センサ(56a)の計測値となっている状態である。点Cの状態は、乾球温度が目標室内温度Tsとなり、絶対湿度が点Bの絶対湿度となっている状態である。
まず、最小エネルギ制御部(93b)が外気処理に必要な空調能力Q2を算出する動作について説明する。図14に示すように、外気処理に必要な空調能力Q2は、点Aの状態の室外空気を点Cの状態にするために必要な空調能力である。そこで、最小エネルギ制御部(93b)は、点Aの状態の湿り空気と点Cの状態の湿り空気の比エンタルピの差h_2を算出する。そして、最小エネルギ制御部(93b)は、外気処理装置(50)が室内へ供給する室外空気の流量Voaを比エンタルピ差h_2に乗ずることによって、外気処理に必要な空調能力Q2を算出する(Q2=h_2×Voa)。
次に、最小エネルギ制御部(93b)が室内の空気調和に必要な空調能力Q1を算出する動作について説明する。図14に示すように、室内の空気調和に必要な空調能力Q1は、点Bの状態の室内空気を点Cの状態にするために必要な空調能力である。実施形態2においても、最小エネルギ制御部(93b)は、点Bの状態と点Cの状態の乾球温度差(即ち、室内温度センサ(55a)の計測値Trと目標室内温度Tsの差(Tr−Ts))と、空気調和装置(20)の定格能力Qac0とを用いて、室内の空気調和に必要な空調能力Q1を推定する。
具体的に、最小エネルギ制御部(93b)は、温度差(Tr−Ts)が所定の基準値ΔTm以上の場合(Tr−Ts≧ΔTm)には、室内の空気調和に必要な空調能力Q1が空気調和装置(20)の定格能力Qac0に等しい(Q1=Qac0)と推定し、温度差(Tr−Ts)がゼロの場合(Tr=Ts)には、室内の空気調和に必要な空調能力Q1がゼロである(Q1=0)と推定する。また、最小エネルギ制御部(93b)は、温度差(Tr−Ts)がゼロより大きくて基準値ΔTm未満の場合(0<Tr−Ts<ΔTm)には、温度差(Tr−Ts)の値に応じた係数を空気調和装置(20)の定格能力Qac0に乗じて得られた値を、室内の空気調和に必要な空調能力Q1の値であると推定する。つまり、0<Tr−Ts<ΔTmである場合において、最小エネルギ制御部(93b)は、例えば「Q1={(Tr−Ts)/ΔTm}×Qac0」という数式を用いて空調能力Q1の値を推定する。
=== 第3動作 ===
最小エネルギ制御部(93b)は、第2動作が終了すると、第3動作として、空気調和装置(20)が発揮すべき第1目標空調能力Qac_setと外気処理装置(50)が発揮すべき第2目標空調能力Qdc_setとを決定する動作を行う。この第3動作において、最小エネルギ制御部(93b)は、第1目標空調能力Qac_setと第2目標空調能力Qdc_setの和が総計要求能力Qとなる(Q=Qac_set+Qdc_set)という条件の下で、空気調和装置(20)の消費電力Wacと外気処理装置(50)の消費電力Wdcの和(即ち、空調システム(10)全体の消費電力Ws(=Wac+Wdc))が最小となるように、第1目標空調能力Qac_set及び第2目標空調能力Qdc_setの値を決定する。
実施形態2においても、最小エネルギ制御部(93b)は、第3動作を行うために、第1運転特性データと第2運転特性データとを予め記憶している。実施形態1と同様に、第1運転特性データは、空気調和装置(20)における空調能力と消費電力の関係を示すデータであり、第2運転特性データは、外気処理装置(50)における空調能力と消費電力の関係を示すデータである。
なお、実施形態2では、最小エネルギ制御部(93b)は、第1及び第2運転特性データを、複数パターン記憶し、室外空気の状態に応じて用いる第1及び第2運転特性データを変更するように構成されている。具体的に、例えば、室外空気の状態がゾーン(2)、(5)、(6)の状態である場合には、同一の能力・入力特性式から導出される空調能力と消費電力の関係を示す第1及び第2運転特性データが用いられる。一方、室外空気の状態がゾーン(3)の状態である場合には、外気処理用冷媒回路(101)において蒸発器となる利用側熱交換器(108)における冷媒の蒸発温度が室外空気の露点温度よりも高くなるような高顕熱型の能力・入力特性式から導出される高顕熱型の第1及び第2運転特性データが用いられる。また、室外空気の状態がゾーン(7)の状態である場合には、暖房運転用の能力・入力特性式から導出される暖房用の第1及び第2運転特性データが用いられる。このように、実施形態2では、室外空気の状態に応じて異なる第1及び第2運転特性データが用いられる。なお、第1及び第2運転特性データを用いて空気調和装置(20)が発揮すべき第1目標空調能力Qac_setと外気処理装置(50)が発揮すべき第2目標空調能力Qdc_setとを決定する動作は、実施形態1と同様である。
=== 第4動作 ===
最小エネルギ制御部(93b)は、第3動作が終了すると、第4動作として、空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値と外気処理用圧縮機(104)の運転周波数の指令値とを決定する動作を行う。具体的に、実施形態1と同様に、最小エネルギ制御部(93b)は、その目標能力比に対応する空調用圧縮機(41)の運転周波数を、空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値に設定し、目標能力比に対応する外気処理用圧縮機(104)の運転周波数を、外気処理用圧縮機(104)の運転周波数の指令値に設定する。
=== 第5動作 ===
最小エネルギ制御部(93b)は、第4動作が終了すると、第5動作として、各圧縮機(41,104)へ電力を供給するインバータに対して出力周波数を指令する動作を行う。
具体的に、最小エネルギ制御部(93b)は、実施形態1と同様に、空調用圧縮機(41)へ電力を供給するインバータに対し、第4動作において決定した空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値を、そのインバータの出力周波数の指令値として送信する。その結果、空調用圧縮機(41)へ供給される電力の周波数が、第4動作で決定された空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値となり、空気調和装置(20)の発揮する空調能力が第1目標空調能力となる。
また、最小エネルギ制御部(93b)は、実施形態1と同様に、外気処理用圧縮機(104)へ電力を供給するインバータに対し、第4動作において決定した外気処理用圧縮機(104)の運転周波数の指令値を、そのインバータの出力周波数の指令値として送信する。その結果、外気処理用圧縮機(104)へ供給される電力の周波数が、第4動作で決定された外気処理用圧縮機(104)の運転周波数の指令値となり、外気処理装置(50)の発揮する空調能力が第2目標空調能力となる。
以上により、実施形態2においても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態2によれば、室内空気の温度及び湿度に近い空気状態であるニュートラルエアゾーンに基づいて換気領域を設定することとしたため、該換気領域を容易に設定することができる。
また、実施形態2では、最小エネルギ制御部(93b)は、室外空気の状態が、換気領域であるゾーン(1)及びゾーン(4)の空気の絶対湿度以下であるゾーン(3)の状態である場合に、高顕熱型の能力・入力特性式から導出される高顕熱型の第1及び第2運転特性データを用いて、空調システム(10)全体に要求される空調能力(総計要求能力Q)の分担の最適点を探索するように構成されている。これにより、室外空気は、該室外空気の露点温度より高い温度の冷媒によって冷却されることとなる。つまり、従来の外気処理装置のように、室外空気の絶対湿度が十分に低い場合に、無駄に室外空気を低温に冷却して除湿させてしまうことなく、所望の温度に冷却することができる。従って、無駄なエネルギ消費を抑制することができるため、空調システム(10)において、その消費エネルギを必要最小限に抑えることができる。また、ゾーン(3)の状態である場合に、最小エネルギ制御部(93b)が、空気調和装置(20)側においても、空調用冷媒回路(30)の蒸発温度を室内空気の露点温度より高い温度にすることとしてもよい。この場合、更なる省エネルギ化を図ることができる。
また、上記実施形態2では、外気処理用冷媒回路(101)を冷媒循環方向が可逆となるように構成し、冷房運転では蒸発器として動作する利用側熱交換器(108)において室外空気を冷却する一方、暖房運転では凝縮器として動作する利用側熱交換器(108)において室外空気を加熱することとしていた。しかしながら、外気処理用冷媒回路(101)は、利用側熱交換器(108)が蒸発器として動作する方向にのみ冷媒が循環するように構成され、暖房運転では、加熱ヒータ(102)によって室外空気を加熱することとしてもよい。
また、上記実施形態2において、加熱ヒータ(102)を設けないこととしてもよい。
−実施形態2の変形例1−
上記実施形態2では、空調側コントローラ(91)は、空調用圧縮機(41)に接続されたインバータの出力周波数を制御することによって、空気調和装置(20)が発揮する空調能力を調節していた。また、外気処理側コントローラ(92)は、外気処理用圧縮機(104)に接続されたインバータの出力周波数を制御することによって、外気処理装置(50)が発揮する空調能力を調節していた。しかしながら、空気調和装置(20)の空調能力の調節手法と、外気処理装置(50)の空調能力の調節手法とはこれに限られない。
実施形態2の変形例1は、実施形態2において、空気調和装置(20)の空調能力の調節手法と、外気処理装置(50)の空調能力の調節手法とを変更したものである。
具体的に、冷房運転時において、空調側コントローラ(91)は、空調用冷媒回路(30)における蒸発温度が空気調和装置(20)が所望の空調能力を発揮するような所定の蒸発温度となるように、空調用圧縮機(41)に接続されたインバータの出力周波数又は室外膨張弁(45)の開度を調節することによって、空気調和装置(20)が発揮する空調能力を調節するように構成されている。
また、外気処理側コントローラ(92)は、外気処理装置(50)の利用側熱交換器(108)を通過した空気の温度が外気処理装置(50)が所望の空調能力を発揮するような温度となるように、外気処理用圧縮機(104)に接続されたインバータの出力周波数を調節することによって、外気処理装置(50)が発揮する空調能力を調節するように構成されている。
このような構成によっても、実施形態2と同様の効果を奏することができる。
−実施形態2の変形例2−
実施形態2の変形例2は、実施形態2において、換気領域を空調システム(10)のユーザーによって変更可能に構成したものである。
具体的に、変形例2においても、図11に示すゾーン(1)とゾーン(4)とを合わせた空気領域を換気領域として設定する一方、変形例2では、ゾーン(5)及びゾーン(6)について、換気領域とするか否かをユーザーがリモコン等によって変更可能に構成されている。
このような構成によれば、室外空気の湿度が所望の湿度よりも高いゾーン(5)及びゾーン(6)について、ユーザーの判断により、換気領域とすることで、消費エネルギの高い冷房運転ではなく、消費エネルギの低い換気運転が行われるため、ユーザーの需要に応じて消費エネルギを必要最小限に抑えることができる。
−実施形態2の変形例3−
実施形態2では、最小エネルギ制御部(93b)による最小エネルギ制御を、能力・入力特性式から導出される空調能力と消費電力の関係を示す第1及び第2運転特性データを用いて、空調システム(10)全体に要求される空調能力(総計要求能力Q)の分担の最適点を探索する予測制御によって行っていた。しかしながら、最小エネルギ制御部(93b)による最小エネルギ制御は、このような予測制御に限られない。
変形例3では、最小エネルギ制御部(93b)は、空気調和装置(20)と外気処理装置(50)の電流値の合計が最小となるように、各圧縮機(41,104)に接続されたインバータの出力周波数を調節するPID制御によって最小エネルギ制御を行うように構成されている。具体的に、最小エネルギ制御部(93b)は、各室内温度センサ(56a,56b)によって検出された室内温度が換気領域内の温度である目標室内温度Tsとなるように空気調和装置(20)の運転を制御し、室外温度センサ(57a)によって検出された室外空気の温度が換気領域内の温度である所定の目標温度となるように外気処理装置(50)の運転を制御する。また、最小エネルギ制御部(93b)は、空気調和装置(20)と外気処理装置(50)の電流値が入力されるように構成され、これらの電流値の合計を目標値としてこの合計電流値が最小となるように、空気調和装置(20)及び外気処理装置(50)の運転を制御する。各運転は、例えば、各圧縮機(41,104)に接続されたインバータの出力周波数を変更することによって制御する。このような構成によっても、実施形態2と同様の効果を奏することができる。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、室内空気の温度を調節する空気調和装置と、室内へ供給される室外空気の温度又は温度及び湿度を調節する外気処理装置とを備えた空調システムについて有用である。
10 空調システム
20 空気調和装置
30 空調用冷媒回路(第1冷媒回路)
41 空調用圧縮機(圧縮機)
50 外気処理装置
60 調湿用冷媒回路(第2冷媒回路)
71 調湿用圧縮機(圧縮機)
90 制御システム(制御手段)
93a 判断部
93b 最小エネルギ制御部
93c 換気運転制御部
101 外気処理用冷媒回路(第2冷媒回路)
104 外気処理用圧縮機(圧縮機)

Claims (10)

  1. 取り込んだ室内空気を少なくともその温度を調節してから室内へ供給する空気調和装置(20)と、取り込んだ室外空気をその温度又は温度及び湿度を調節してから室内へ供給する外気処理運転と取り込んだ室外空気をそのまま室内へ供給する換気運転とを行う外気処理装置(50)と、上記空気調和装置(20)及び上記外気処理装置(50)の運転を制御する制御手段(90)とを備える空調システムであって、
    上記制御手段(90)は、
    室外空気の温度及び湿度が、所定の換気領域内の状態であるか否かを判断する判断部(93a)と、
    上記判断部(93a)が、室外空気が上記換気領域内の状態でないと判断すると、室内空気及び室外空気が上記換気領域内の状態となるように上記空気調和装置(20)及び上記外気処理装置(50)を運転し、その運転を上記空気調和装置(20)の消費エネルギと上記外気処理装置(50)の消費エネルギの和が最小となるように制御する最小エネルギ制御部(93b)と、
    上記判断部(93a)が、室外空気が上記換気領域内の状態であると判断すると、少なくとも上記外気処理装置(50)に上記換気運転を行わせる換気運転制御部(93c)とを有している
    ことを特徴とする空調システム。
  2. 請求項1において、
    上記換気運転制御部(93c)は、上記外気処理装置(50)の上記換気運転中に、室内の空調負荷に応じて上記空気調和装置(20)の運転を制御するように構成されている
    ことを特徴とする空調システム。
  3. 請求項1又は2において、
    上記最小エネルギ制御部(93b)は、上記空気調和装置(20)が発揮すべき空調能力である第1目標空調能力と、上記外気処理装置(50)が発揮すべき空調能力である第2目標空調能力とを、上記第1目標空調能力と上記第2目標空調能力の和が空調システムに要求される空調能力と等しくなるという条件下において上記空気調和装置(20)の消費エネルギと上記外気処理装置(50)の消費エネルギの和が最小となるように決定し、上記空気調和装置(20)が上記第1目標空調能力を発揮するように該空気調和装置(20)の運転を制御し、上記外気処理装置(50)が上記第2目標空調能力を発揮するように該外気処理装置(50)の運転を制御するように構成されている
    ことを特徴とする空調システム。
  4. 請求項3において、
    上記最小エネルギ制御部(93b)は、
    上記空気調和装置(20)における空調能力と消費エネルギの関係を示す第1運転特性データと、上記外気処理装置(50)における空調能力と消費エネルギの関係を示す第2運転特性データとを予め記憶し、
    上記第1運転特性及び上記第2運転特性に基づいて上記第1目標空調能力及び上記第2目標空調能力を決定するように構成されている
    ことを特徴とする空調システム。
  5. 請求項3又は4において、
    上記空気調和装置(20)は、圧縮機(41)が接続されて冷凍サイクルを行う第1冷媒回路(30)を備え、室内空気を上記第1冷媒回路(30)の冷媒と熱交換させることによって室内空気の温度を調節するように構成され、
    上記外気処理装置(50)は、圧縮機(71)が接続されて冷凍サイクルを行う第2冷媒回路(101)を備え、上記外気処理運転の際には、取り込んだ室外空気を、上記第2冷媒回路(101)の冷媒と熱交換させることによって室外空気の温度又は温度及び湿度を調節するように構成されている
    ことを特徴とする空調システム。
  6. 請求項3又は4において、
    上記空気調和装置(20)は、圧縮機(41)が接続されて冷凍サイクルを行う第1冷媒回路(30)を備え、室内空気を上記第1冷媒回路(30)の冷媒と熱交換させることによって室内空気の温度を調節するように構成され、
    上記外気処理装置(50)は、圧縮機(71)が接続されて冷凍サイクルを行う第2冷媒回路(60)と、該第2冷媒回路(60)の冷媒によって冷却され又は加熱される吸着剤とを備え、室外空気を上記吸着剤と接触させることによって室外空気の温度及び湿度を調節するように構成されている
    ことを特徴とする空調システム。
  7. 請求項5において、
    上記換気領域は、室内空気の温度及び湿度に近い空気状態である所定のニュートラルエアゾーンに基づいて設定されている
    ことを特徴とする空調システム。
  8. 請求項5乃至7のいずれか1つにおいて、
    上記制御手段(90)は、上記第1冷媒回路(30)に接続された圧縮機(41)の運転容量を、上記空気調和装置(20)が上記第1空調能力を発揮するように調節し、上記第2冷媒回路(60,101)に接続された圧縮機(71,104)の運転容量を、上記外気処理装置(50)が上記第2空調能力を発揮するように調節するように構成されている
    ことを特徴とする空調システム。
  9. 請求項5乃至7のいずれか1つにおいて、
    上記制御手段(90)は、上記第1冷媒回路(30)における冷媒の蒸発温度が、上記空気調和装置(20)が上記第1空調能力を発揮するような所定の蒸発温度となるように、上記第1冷媒回路(30)に接続された圧縮機(41)の運転容量を調節し、上記外気処理装置(50)に取り込まれて上記第2冷媒回路(101)の冷媒と熱交換した室外空気の温度が、上記外気処理装置(50)が上記第2空調能力を発揮するような所定の温度となるように、上記第2冷媒回路(101)に接続された圧縮機(104)の運転容量を調節するように構成されている
    ことを特徴とする空調システム。
  10. 請求項1又は2において、
    上記最小エネルギ制御部(93b)は、上記空気調和装置(20)に流れる電流値と上記外気処理装置(50)に流れる電流値との合計が最小となるように、上記空気調和装置(20)及び上記外気処理装置(50)の運転をPID制御するように構成されている
    ことを特徴とする空調システム。
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