JP2010011908A - ボタン穴かがりミシン - Google Patents

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孝宏 緒方
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Abstract

【課題】少ない手間で縫い針の曲がりを容易に検出する。
【解決手段】縫い針11を保持する針棒の上下動機構20と、針振りを行う針振り機構30と、針棒の旋回を行う旋回機構60とを備え、オペレータの入力操作により旋回機構の駆動源63を作動させて縫い針を旋回させる旋回制御手段と、当該旋回を行う縫い針の曲がり状態をオペレータに認識させる認識手段90とを有する針曲がり確認装置を備えている。
【選択図】図3

Description

本発明は、ミシンの縫い針の曲がり検出可能なボタン穴かがりミシンに関する。
従来のボタン穴かがりミシンは、縫い針の上下動を行う針上下動機構と、針振りを行う針振り機構と、針振りを行いつつ針棒を中心として旋回を行う旋回機構とを備えており、針振り機構によりボタン穴の直線区間のかがり縫いを行い、鳩目穴の周囲の部分は針振り機構と旋回機構の協働により穴の周囲のかがり縫いを実現していた(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−35456号公報
ところで、従来のミシンにあっては、縫製中に針が布に刺さっている間に布がずれたり、針糸に大きな力がかかるなどして、縫い針が曲げられてしまうことがある。
針が曲がってしまうと、ルーパで針糸を捕捉できなくなり目飛びの原因となったり、針板などと干渉し、針折れに至ることがある。
また、ミシンに装着したまま針の曲がりを確認することは難しく、ミシンから針を外して、針の柄部を転がして、針の先端のぶれを確認するが、針が曲がっていなかった場合でも、針を再度ミシンに装着しなければならず、手間がかかり、さらに、組み付ける角度が変わると、縫い調子に影響を及ぼしてしまうといった問題があった。
本発明は、少ない手間で縫い針の曲がりを容易に検出することを、その目的とする。
請求項1記載の発明は、縫い針を保持する針棒の上下動を行う上下動機構と、針振りを行う針振り機構と、針棒を中心として旋回を行う旋回機構とを備えるボタン穴かがりミシンにおいて、オペレータの入力操作により前記旋回機構の駆動源を作動させて縫い針を旋回させる旋回制御手段と、前記旋回制御手段により前記縫い針を旋回させて、当該縫い針の曲がり状態をオペレータに認識させる認識手段とを有する針曲がり確認装置を備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記認識手段は、前記縫い針の曲がり具合を観察することを可能に配置された指標表示手段を備えることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記認識手段は、旋回する前記縫い針に接触すると共に当該接触部位の位置変位を検出する検出手段と、前記検出手段の検出位置変位量から曲がり判定を行い、結果表示を行う判定手段とを備えることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記認識手段は、旋回する前記縫い針を撮像する撮像手段と、前記撮像手段による撮像画像から曲がり判定を行い、結果表示を行う判定手段とを備えることを特徴とする。
請求項1記載の発明は、縫い針を旋回させることで曲がりを生じていれば縫い針がぶれ動作を行うことを利用するため、ミシンに装着したまま縫い針の曲がりを容易に確認することを可能とする。
請求項2記載の発明は、指標表示手段を備えることから、簡易な構成で旋回時の縫い針の曲がりの判断を視覚的により容易且つ正確に行うことが可能となる。
請求項3記載の発明は、縫い針に接触して位置変位を検出する検出手段を用いることから、オペレータによる視覚的な判断を不要とし、錯誤を抑制し、より精度の良い曲がり判定を可能とする。
請求項4記載の発明は、縫い針を撮像する撮像手段を用いることから、オペレータによる視覚的な判断を不要とし、錯誤を抑制し、より精度の良い曲がり判定を可能とする。
(ボタン穴かがりミシンの全体構成)
図1は本発明の実施形態であるボタン穴かがりミシン10の主要構成を示す縦断面図、図2はその制御系を示すブロック図である。
ボタン穴かがりミシン10は、ミシン全体において下部に位置すると共に略矩形箱状をなすベッド部2aと、該ベッド部2aの一端部に設けられた縦胴部2bと、該縦胴部2bからベッド部2aと同方向に延出して設けられたアーム部2cとを備えたミシンフレーム2とを備えている。なお、以下の説明において、縦胴部2bが立設された方向をZ軸方向とし、Z軸方向と直交すると共にベッド部2a及びアーム部2cの長手方向をY軸方向とし、Y軸方向とZ軸方向の双方に直交する方向をX軸方向とする。
さらに、ボタン穴かがりミシン10は、縫い針11を保持する針棒12と、針棒12の上下動させる上下動機構20と、針棒12の揺動を行う針振り機構30と、かがり縫いの縫い目を形成するルーパ機構40と、針棒12及びルーパ機構40のルーパ土台45を旋回させる旋回機構60と、布台71により加工布を載置保持すると共にX,Y軸方向に移動動作を行う移動機構(図示略)と、旋回する縫い針11を撮像可能な撮像手段90と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段100とを備えている。
(針棒及び上下動機構)
針棒12は、アーム部2cの上端部に設けられた薄い円板状の板バネに保持されたメタルにより支持されており、その下端部をX−Y平面に沿って揺動可能としている。なお、この針棒12は、管状であり、内部に上糸を挿通させて縫い針11までガイドする機能を備えている。
上下動機構20は、サーボモータであるミシンモータ3により図示しないタイミングベルトで回転駆動される上軸21と、大小の歯車列22,23により上軸21から増速回転が伝えられる針棒駆動軸24と、偏心カム25を介して針棒駆動軸24に一端部が連結されたロッド26と、ロッド26の他端部に一端部が連結された上下動アーム27と、針棒を支持する二叉部材28とを備えている。
上下動アーム27は、上軸21、歯車列22、23、針棒駆動軸24、偏心カム25,ロッド26を介して揺動が付与され、その揺動端部の二叉部材28から針棒12に上下動を付与する。
二叉部材28は、ユニバーサルジョイントを介して保持した図示しないリングを針棒12に挿通保持させており、X軸方向及びY軸方向の針棒12の揺動を許容する構造となっている。
(針振り機構)
針振り機構30は、上軸21に設けられた外周カム31と、外周カム31の外周と接して揺動を行うロッド32と、ロッド32の揺動端部近傍に連結されて往復動作を付与されるリンク33と、リンク33に連結されて回動を行うL形アーム34と、L形アーム34に連結されて上下の往復動作を付与されるリンク35と、リンク35から上下方向の往復動作を伝達されるスライダ36と、スライダ36をZ軸方向に沿ってのみ往復可能とするスライドガイド軸37と、高さに応じてX軸方向に沿って移動する揺動台38とを備えている。
スライダ36は、外周カム31、ロッド32、リンク33、L形アーム34及びリンク35を介して上下動を行う。そして、スライダ36は揺動台38をZ軸回りに回動可能に支持しており、スライダ36の上下動に伴い揺動台38も上下動を行うようになっている。
揺動台38は、針棒12の下端部近傍を挿入させた状態で当該針棒12を上下動可能に支持しており、その外部両側面にはZ軸方向とX軸方向との間で傾斜したガイド溝が形成されている。そして、揺動台38は、その両側からガイド溝に嵌合する図示しない凸状体で挟まれており、揺動台38が上下方向に移動するとガイド溝に沿って斜行し、揺動台38はX軸方向にも移動変位を生じて針振りを行うこととなる。
針棒駆動軸24は上軸21の二倍速で回転し、揺動台38がX軸方向に一往復する際に針棒12は二回の上下動を行う。つまり、針棒12は上下動機構20と針振り機構30との協働により、いずれの方向に針振りを行った場合でも針落ちが実行される。
また、図示しない凸状体は、後述する旋回機構60の旋回台61に支持されているので、針棒12の旋回時には針振り方向も同時に旋回を行うようになっている。
(ルーパ機構)
ルーパ機構40は、ミシンモータ3により回転駆動される下軸41と、下軸41に設けられた溝カム42と、溝カム42と係合して揺動を行うスプレッダ揺動アーム43及びルーパ揺動アーム44と、スプレッダ揺動アーム43により上下動を行うスプレッダ駆動軸45と、ルーパ揺動アーム44により上下動を行う駆動軸としてのルーパ駆動軸46と、これら駆動軸45,46を中心位置に配した状態でミシンフレーム2に回動可能に支持されたルーパ土台47と、ルーパ土台47の上端部に取り付けられた左右のルーパ(図示略)及び左右のスプレッダ(図示略)とを備えている。
スプレッダ揺動アーム43及びルーパ揺動アーム44は、それぞれ下軸41から溝カム42を介して揺動が付与され、駆動軸45,46のそれぞれを上下動させる。
駆動軸45、46は上下動を行うことにより、取付台(図示略)を揺動させて、各ルーパ49,50及び各スプレッダ51,52による縫い目形成動作を行わせる。
(旋回機構)
旋回機構60は、ボタン穴かがりミシン10は、例えば、ボタン穴の一端部又は両端部で旋回して針振り縫い目を形成する場合に用いられ、針振り機構30の揺動台38を針棒12の周囲で旋回させる針棒プーリ61と、ルーパ機構40のルーパ土台47を旋回させるルーパプーリ62と、これらのプーリ61,62を図示しないプーリとタイミングベルトを介して回転駆動するパルスモータである旋回モータ63とを備えている。
(移動機構)
移動機構は、縫い針11のすぐ下方に配置され、加工布を載置する縫製面を備えた布台71と、加工布を布台71の上で押圧保持する図示しない布押さえの保持と解放を切り替える押さえソレノイド72と、布台71をX軸方向に移動位置決めするパルスモータであるX軸モータ73と、布台71をY軸方向に移動位置決めするパルスモータであるY軸モータ74とを備えている。
かかる布台71は、例えば、鳩目穴の穴かがり縫いを行う場合には、鳩目穴の直線部ではY軸モータ73の駆動により所定ピッチで布送りが行われ、鳩目穴部では穴の縁に針落ちが行われるようにX軸モータ73とY軸モータ74との協働により針落ち位置を位置合わせしつつ布送りが行われる。
(糸調子装置)
また、図1には図示していないが、ボタン穴かがりミシン10は、上糸と下糸のそれぞれについて糸張力を付与する糸調子装置を備えており、その各々が糸張力調節を行うための糸張力ソレノイド81,82を有している。
(撮像手段)
図3は撮像手段90の構成を示す説明図である。図1及び図3に示すように、針曲がりを検出する撮像手段90は、針棒12に支持された縫い針11を撮像する撮像素子91と、撮像素子91の光軸を水平(例えばY軸方向)に向けると共に縫い針11の側方(例えばY軸方向)撮像可能に支持する支持部材92とを備えている。
前述した針振り機構30は、上軸21が一定のある角度の時に針棒12及び縫い針11が鉛直方向(Z軸方向)となるように設定されている。そして、撮像素子91は、上軸21が針棒12を鉛直方向とする角度の時に、針棒12の下端部から突出した縫い針11全体が視野に含まれるように配置されている。また、撮像素子91の光軸はX−Y平面に沿った方向であればいずれでも良いが、縫い針撮像時に輝度の差から縫い針11と容易に識別可能な背景を撮像する配置とすることが望ましい。ボタン穴かがりミシン10では、背景としてミシンフレーム2の縦胴部2bの表面が縫い針11と共に撮像されるよう配置されている。
支持部材92は、上記配置及び向きとなるように撮像素子91を支持する、ミシンフレーム2のアーム部2cから延出された部材である。支持部材92は、撮像素子91を固定支持する構造でも良いが、縫製時などに作業の邪魔とならぬよう、撮像位置から退避位置に撮像素子91を移動可能な構造としても良い。
(ボタン穴かがりミシンの制御系)
動作制御手段100は、ミシンの各種制御又は処理を実行するプログラムが格納されたROM102と、各種プログラムを実行して所定の処理や制御を行うCPU101と、CPU101の処理の実行に際して各種のデータを記憶するRAM103と、ミシンモータ3の駆動回路3aをCPU101に接続するインターフェイス3bと、X軸モータ73の駆動回路73aをCPU101に接続するインターフェイス73bと、Y軸モータ74の駆動回路74aをCPU101に接続するインターフェイス74bと、旋回モータ63の駆動回路63aをCPU101に接続するインターフェイス63bと、押さえソレノイド72のドライバ72aをCPU101に接続するインターフェイス72bと、糸張力ソレノイド81,82のドライバ81a,82aをCPU101に接続するインターフェイス81b,82bとを備えている。
また、上軸21には、軸角度を検出する角度センサ83が設けられており、動作制御手段100は、当該角度センサ83をCPU101に接続するインターフェイス83bを備えている。
また、ボタン穴かがりミシン10は、図4に示す、各種の指令の入力や、設定の入力を行うための操作パネル104を備えており、動作制御手段100は、当該操作パネル104をCPU101に接続するインターフェイス106を備えている。
なお、この操作パネル104は、縫製の各種データの設定入力や操作入力の各種スイッチ、縫いの準備状態とする準備キー、準備状態から縫いを開始するスタートスイッチの他に、後述する針曲がり確認制御の実行を入力する糸曲がり確認キーW1と、糸曲がりの確認結果を表示する表示エリアW2とを備えている。
上記ROM102には、縫製の実行プログラムと針曲がり確認制御の実行プログラムとが格納されている。
縫製の実行プログラムは、ROM102内に格納されている各種の設定条件に従って、直線切れ目とその一端部に鳩目穴が形成されたボタン穴に対し、その周囲に針振り縫い目を形成する鳩目穴かがり縫いを実行するために、各種のアクチュエータの動作制御を行うためのプログラムである。
具体的には、X軸、Y軸モータ73,74を制御して、所定の縫い開始位置に縫い針11を位置決めし、ミシンモータ3の駆動により直線縫い目に沿って縫い目の片側(左側)に針振り縫いを行い、鳩目穴の周囲ではX軸、Y軸モータ73,74により位置調節を行いつつ旋回モータ63を駆動してその周囲に沿って針振り縫い目を形成し、再び直線縫い目に沿って縫い目の片側(右側)に針振り縫いを行う。
(針曲がり確認制御)
次に、針曲がり確認制御の実行プログラムに従ってCPU101が行う針曲がり確認制御について詳細に説明する。図5は針曲がり確認制御の処理内容を示すフローチャートである。
前提として、まず、操作パネル104に設けられた糸曲がり確認キーW1の押下が行われることで針曲がり確認モードに移行する。この時点で、縫いを行うためのミシンモータ3の起動は規制された状態となる。
次に、当該針曲がり確認モードにおいて、操作パネル104に設けられた糸曲がり確認キーW1の再度の押下が行われると(ステップS1)、ミシンが縫製準備状態にあるか判定される(ステップS2)。縫製準備状態では、縫い針11が針振り機構30により外針か内針(針振りの一端側と他端側)に位置する状態にあるので、角度センサ83の軸角度出力から縫い針がいずれにあるか判定し、外針にある場合には内針となるようにミシンモータ3を駆動させて角度センサ出力から内針位置に軸位置を合わせる動作制御が行われる。なお、内針の位置にある時に縫い針11は鉛直上下方向(Z軸方向)に平行な状態となるように設定されている。
そして、縫製準備状態を解除する(ステップS3)。
ついで、CPU101は、針曲がり確認処理を実行する(ステップS4)。
即ち、ミシンモータ3を駆動して、角度センサ83の検出から、縫い針11及び針棒12が鉛直方向(Z軸方向)となる軸角度で停止させる。なお、ミシンの針停止位置がいつも縫い針11及び針棒12が鉛直方向(Z軸方向)となる軸角度で停止させるように設定されている場合には、かかるミシンモータ3の制御は不要である。
そして、旋回モータ63を駆動させると共に、針曲がりを検出する撮像手段90による検出動作を開始させる。即ち、撮像素子91が旋回を行う縫い針11を撮像する。つまり、針曲がり確認制御の実行プログラムを実行することにより、CPU101は旋回制御手段として機能する。
かかる撮像画像は所定の旋回角度単位(例えば、30°ごと)で撮像画像がRAM103内に格納され、1周分の撮像画像が得られた時点で撮像が終了される。
そして、各撮像画像のそれにぞれについて、二値化処理などにより縫い針画像が抽出され、さらにそこから周知の画像処理により、縫い針11の長手方向の角度が求められる。
上記処理の結果、CPU101は、いずれかの撮像画像について、予め定められた閾値よりも縫い針11が傾斜した撮像画像があるか否かの判定を行い(ステップS5)、いずれの撮像画像も傾斜していないと判定した場合には、操作パネル104の表示エリアW2に針曲がりの発生はないとの表示を行う(ステップS6)。
一方、いずれかの撮像画像の縫い針11が閾値よりも傾斜していると判定した場合には、操作パネル104の表示エリアW2に針曲がりが発生しているとの表示を行い(ステップS7)、針棒12が針交換位置となるように旋回モータ63の動作制御を実行する(ステップS8)。針交換位置とは、例えば、針棒12に設けられた縫い針11を固定する止めネジをオペレータ側に向ける角度に旋回させる。
そして、針曲がり確認モードが終了される。
なお、CPU101は、上記ステップS5〜S7の処理を行うことで、判定手段として機能する。また、当該処理を実行する判定手段としてのCPU101と前述の撮像手段90とにより認識手段として機能する。
また、上記CPU101は旋回制御手段としても機能することからCPU101と撮像手段90との協働により針曲がり認識装置として機能することとなる。
(実施形態の効果)
以上のように、鳩目穴かがりミシン10では、縫い針11を旋回させることで曲がりを生じていれば縫い針11が偏心によるぶれ動作を行うことを利用するため、ミシンの針棒12に装着したまま縫い針11の曲がりを容易に確認することを可能とする。
さらに、検出手段として撮像素子91を用いることから、オペレータによる視覚的な判断を不要とし、錯誤を抑制し、より精度の良い曲がり判定を可能とする。
(他の実施例1)
鳩目穴かがりミシン10では、撮像手段90を用いて縫い針11の曲がり状態の確認を行ったが、撮像手段90に替えて、縫い針11に接触すると共に当該接触部位の位置変位を検出する検出手段90Aを設けても良い。図6及び図7は検出手段90Aを上方から見た平面図である。
かかる検出手段90Aは、ミシンフレーム2に固定設置可能な片持ち梁構造の支持部材91Aと、支持部材91Aの長手方向におけるひずみを検出するひずみゲージ92Aとから構成される。
支持部材91Aは、縫い針11に直交する方向(X−Y平面に平行な方向)に延出されており、その延出端部近傍で縫い針11に接触する検出位置と縫い針11の針振りと旋回により到達範囲R(図7)よりも外側となる退避位置とに位置切り換え可能となっている。かかる位置切り替えは、図示しないアクチュエータにより各位置に位置決めしても良い。
また、支持部材91Aは、検出位置に位置するときには、縫い針11に曲がりが生じない程度の接触圧で接触する配置で強固に支持される。
また、ひずみゲージ92Aの検出信号は動作制御手段100に出力されるようになっている。
そして、針曲がり確認制御の実行時には、CPU101の動作制御(旋回制御手段)により、支持部材91Aが縫い針11に接した状態で縫い針11を旋回させ、その際の縫い針11が一回転する間のひずみゲージ92Aの検出出力を監視する。仮に針曲がりを生じている場合には支持部材91Aには撓みが生じるためひずみゲージ92Aの検出出力が大きくなる。従って、CPU101は、検出出力に対して閾値を設定し、これを超える場合には針曲がりが生じているものと判定して前述したステップS7及びS8と同様の処理を行い、超えない場合には針曲がりなしと判定して前述したステップS6と同様の処理を実行する。
かかる実施例の場合には、ミシンに装着したまま縫い針11の曲がりを容易に確認することを可能とすると共に、縫い針に接触して位置変位を検出する検出手段90Aを用いることから、オペレータによる視覚的な判断を不要とし、錯誤を抑制し、より精度良い曲がり判定を可能とする。
なお、上記支持部材91Aは、ミシンフレーム2に対して着脱可能として、針曲がり検出時のみ検出位置に設置可能としても良い。また、移動機構の布台71上に設け、針曲がり確認制御の実行時にのみ、縫い針11に接触する前述の位置に支持部材91Aを搬送するようにしても良い
また、図6の例では、縫い針11が旋回時に旋回中心に位置して位置の移動を行わないことを前提としているが、縫い針11が旋回中心から偏心した位置に設けられ、図8に示すように、旋回モータ63の駆動時には、針曲がりの有無にかかわらず円周に沿って旋回移動する場合がある。そのような場合には、支持部材91Aを位置制御可能な移動手段としての移動台93Aに搭載し、移動台93Aの直線移動方向について、縫い針11の旋回により生じる位置変位に追従するように支持部材91Aを往復移動させても良い。なお、図8の例では、移動台93AはX軸方向に移動するよう図示しているが、これに限定されるものではなく、縫い針11に直交する方向(X−Y平面に沿った方向)であればいずれの方向に移動させても良い。
このように、縫い針11の旋回移動に追従するように支持部材91Aの直線移動を行わせる移動手段を設けることで、旋回中心から偏心した縫い針11についても、良好に曲がり検出を行うことが可能である。
(他の実施例2)
鳩目穴かがりミシン10では、撮像手段90を用いて縫い針11の曲がり状態の確認を行ったが、撮像手段90に替えて、縫い針11の曲がり具合を観察することを可能に配置された指標表示手段90Bを設けても良い。図9は指標表示手段90Bを示す正面図である。
指標表示手段90Bは、縫い針11とほぼおなじ高さでミシンフレーム2に設けられ、縫い針越しに観察可能に配置された表示板であり、その表面には鉛直方向を示す格子状の指標表示Mが複数表示されている。
かかる指標表示手段90Bは、縫い針11越しに観察することで、縫い針11と指標表示Mとの平行度を視認し、曲がり判定を行うことを可能とするものである。この指標表示手段90Bは、簡易な構成で旋回時の縫い針の曲がりの判断を視覚的により容易且つ正確に行うことを可能とする。
なお、指標表示手段90Bを指標表示Mを付した透明板として、当該透明板を通して縫い針11を曲がり判定を行っても良い。
本発明の実施形態であるボタン穴かがりミシンの主要構成を示す縦断面図である。 本発明にかかるミシンの制御系を示すブロック図である。 撮像手段の構成を示す説明図である。 操作パネルの正面図である。 針曲がり確認制御の処理内容を示すフローチャートである。 他の実施例1における検出位置にある検出手段を上方から見た平面図である。 他の実施例1における退避位置にある検出手段を上方から見た平面図である。 検出手段に移動手段を加えた例を示す説明図である。 他の実施例2における指標表示手段を示す正面図である。
符号の説明
3 ミシンモータ
10 ボタン穴かがりミシン
11 縫い針
20 上下動機構
30 針振り機構
60 旋回機構
63 旋回モータ(駆動源)
90 撮像手段
90A 検出手段
90B 指標表示手段

Claims (4)

  1. 縫い針を保持する針棒の上下動を行う上下動機構と、
    針振りを行う針振り機構と、
    針棒を中心として旋回を行う旋回機構とを備えるボタン穴かがりミシンにおいて、
    オペレータの入力操作により前記旋回機構の駆動源を作動させて縫い針を旋回させる旋回制御手段と、
    前記旋回制御手段により前記縫い針を旋回させて、当該縫い針の曲がり状態をオペレータに認識させる認識手段とを有する針曲がり確認装置を備えることを特徴とするボタン穴かがりミシン。
  2. 前記認識手段は、前記縫い針の曲がり具合を観察することを可能に配置された指標表示手段を備えることを特徴とする請求項1記載のボタン穴かがりミシン。
  3. 前記認識手段は、
    旋回する前記縫い針に接触すると共に当該接触部位の位置変位を検出する検出手段と、
    前記検出手段の検出位置変位量から曲がり判定を行い、結果表示を行う判定手段とを備えることを特徴とする請求項1記載のボタン穴かがりミシン。
  4. 前記認識手段は、
    旋回する前記縫い針を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段による撮像画像から曲がり判定を行い、結果表示を行う判定手段とを備えることを特徴とする請求項1記載のボタン穴かがりミシン。
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