JP2008297447A - 潤滑油およびグリース用基油 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、潤滑油、特に軸受け用潤滑油又はグリース用基油に関し、より詳しくは、低温安定性が良好で潤滑性に優れる潤滑油又はグリース用基油に関する。
近年、精密機器の高性能化、携帯ユースの普及などに伴い、それらの回転部に使用される小型スピンドルモータ等には、高速化、小型化の要求が強く、そのため、回転支持部に用いられる軸受けには常に低トルク化の要求がある。軸受けのトルクに影響を及ぼす因子には、軸受けの隙間、軸径などがあるが、それらに使用される潤滑油やグリースも一つの大きな要因となっている。
こうした潤滑油やグリース用基油には、トルク低減のための低粘度化、低温化での動作をスムーズに行うための低温流動性向上等の特性が求められるが、一般的にこれらの特性を引き出すためには潤滑油の分子量を小さくしなければならない。しかし、潤滑油の分子量を小さくし、低粘度化や低温流動性の向上を行うと、一般的に潤滑油は蒸発しやすくなるため、潤滑油が蒸発によって減少しやすくなる。潤滑油が蒸発すると適切な油膜圧力が得られず、回転精度が著しく低下し、部品の破損につながってしまう。また、こうした潤滑油やグリース用基油にはその他の性能として、低温流動性が良好なこと、耐熱性が高いこと、潤滑性が良好なこと等の特性も求められている。これら要求される様々な特性を同時に達成することは極めて難しい。
こうした基本要求特性が厳しい用途においては、目的に適した分子設計が可能な合成炭化水素や有機酸エステル類等の合成潤滑油が主に用いられている。これらの合成潤滑油の中でも、低温流動性や蒸発特性、耐熱性が良好なことから有機酸エステル類が幅広く用いられている。
上記有機酸エステル類としては、脂肪族モノカルボン酸と一価アルコールの反応から得られるモノエステル、脂肪族二塩基酸と一価アルコールの反応から得られるジエステル、多価アルコールと脂肪族カルボン酸との反応から得られるエステル、及び多価アルコール、多塩基酸、脂肪族モノカルボン酸との反応から得られる複合エステル等、様々なエステル類が開示されている(例えば、特許文献1〜5を参照)。
しかしながらこれらの有機酸エステル類は、低粘度あるいは低温流動性の良好なものは蒸発特性が悪く、蒸発特性の良いものは低温流動性が悪くなり、また、芳香族を利用すると耐熱性は改善されるものの低温流動性や潤滑性が悪化する等の問題を有し、性能的にバランスが悪いものであった。
従って、本発明が解決しようとする課題は、曇り点が低く、低粘度で低温流動性が良く、且つ蒸発特性に優れた性能的にバランスのよい潤滑油を提供することにある。
従って、本発明が解決しようとする課題は、曇り点が低く、低粘度で低温流動性が良く、且つ蒸発特性に優れた性能的にバランスのよい潤滑油を提供することにある。
そこで本発明者等鋭意検討し、特に軸受け用潤滑油又はグリース用基油として、優れた性能をバランスよく持つエステル化合物を見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、下記の一般式(1)
(R1は炭素数3〜11の中から選ばれる炭素数が奇数のアルキレン基を表し、R2及びR3はそれぞれ炭素数1〜15のアルキル基を表し、A1及びA2はそれぞれ炭素数2〜4のアルキレン基を表し、n及びmはそれぞれ1〜2の数を表し、R2とA1のどちらか1つは分岐のアルキル基又はアルキレン基であり、且つR3とA2のどちらか1つは分岐のアルキル基又はアルキレン基である。)で表される潤滑油である。
本発明の効果は、曇り点が低く、低粘度で低温流動性が良く、且つ蒸発特性に優れた性能的にバランスのよい潤滑油を提供したことにある。
本発明の潤滑油は、上記一般式(1)で表されるジエステル化合物である。このジエステル化合物は公知の方法であるならばいずれの方法を用いて合成を行ってもよいが、一般的には下記一般式(2)で表されるジカルボン酸化合物と、下記一般式(3)及び(4)で表されるモノアルコール化合物とを反応させる方法が好ましい。
(一般式(2)、(3)、及び(4)のR1、R2、R3、A1、A2、n及びmは、一般式(1)で表されたものと同じである。)
反応方法は公知の方法であるならばいずれの方法を用いてもよく、例えば、触媒を原料の酸及びアルコールの総質量に対して0.1〜1質量%用いて、反応温度130〜250℃程度で2〜30時間脱水反応をすればよい。原料のジカルボン酸化合物とモノアルコール化合物との反応比は、ジカルボン酸化合物1モルに対して、モノアルコール化合物の総量が2〜2.5モル、好ましくは2〜2.3モルになるようにすればよい。なお、一般式(3)と(4)の化合物は同じでも異なってもよく、異なっている場合の一般式(3)と(4)の化合物の配合比については特に指定されない。
また、上記触媒としては、ルイス酸類、アルカリ金属類、アルカリ土類金属類、スルホン酸類等が挙げられる。ルイス酸としては、例えば、アルミニウム誘導体、錫誘導体、チタン誘導体が挙げられ、アルカリ金属類及びアルカリ土類金属類としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等が挙げられ、スルホン酸類としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸等が挙げられる。
上記一般式(1)のR1は奇数の炭素数を有する炭素数が3〜11の範囲にあるアルキレン基であり、例えば、ペンチレン基、ヘプチレン基、ノニレン基、ウンデシレン基、トリデシレン基等が挙げられる。R1は一般式(2)の化合物に由来する基であり、こうした一般式(2)の化合物としては、グルタル酸(R1の炭素数3)、ピメリン酸(R1の炭素数5)、アゼライン酸(R1の炭素数7)、ウンデカン二酸(R1の炭素数9)、トリデカン二酸(R1の炭素数11)等が挙げられる。これらの化合物の中でも、総合的にバランスのよい潤滑油が得られることからアゼライン酸が好ましい。R1の炭素数が3未満であると潤滑油が蒸発しやすくなり、炭素数が11を超えると低温流動性が悪くなる。
ここで、R1で表されるアルキレン基が奇数である必要性について説明する。一般的に炭素数が偶数のアルキル基あるいはアルキレン基を持つ化合物は、炭素数が奇数のものと比較して結晶性が高いため、曇り点が高く低温流動性も悪くなる傾向にある。また、分子量が大きくなると同様に曇り点が高くなり低温流動性が悪化する。曇り点とは、透明の溶液が白濁する温度であり、通常溶液内で微細な結晶が生成すると起こる。背景技術にも記しているが、潤滑油の蒸発を避けるためにはできるだけ分子量を大きくする必要があり、R1で表されるアルキレン基の炭素数を奇数にすることにより、分子量を大きくしても曇り点が低く、低温流動性が良好な潤滑油を実現することができる。
上記一般式(1)、(3)、及び(4)のA1及びA2は炭素数2〜4のアルキレン基であり、こうしたアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、ブチレン基、イソブチレン基等が挙げられる。A1又はA2の炭素数が1以下の場合や5以上の場合は、低温流動性の悪化や曇り点が高くなる場合があり、また、工業的に製造するのも困難なため好ましくない。また、n及びmは1〜2の数であるが、1の数がより好ましい。n個及びm個のアルキレン基は全て同一でも混合物でもよい。n又はmが3以上になると、耐熱性が悪化するので好ましくなく、n又はmが0の場合は、低温流動性が悪化する場合や曇り点が高くなってしまう場合、蒸発特性が悪化する場合がある。これらA1及びA2の好ましい形態については、一般式(1)、(3)及び(4)のR2及びR3の形態によって変化するので詳細については後述する。
一般式(1)、(3)及び(4)のR2及びR3は、炭素数1〜15のアルキル基である。こうしたアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ターシャリペンチル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、イソデシル基、イソウンデシル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソペンタデシル基等の分岐アルキル基が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。炭素数が15を超えると、低温流動性が悪化する場合や曇り点が高くなってしまう場合がある。
次に上記A1、A2、R2及びR3の好ましい形態について説明するが、まず始めに潤滑油の粘度、低温流動性、曇り点という3つの物性と、潤滑油の構造に関して説明する。潤滑油において、これら3つの物性値は低い方が好ましい。粘度が低いと抵抗による損失が少なくトルクの低減に効果があり、低温流動性が良好及び曇り点が低いと寒冷地や低温箇所でも使用できる等のメリットがある。流動性と曇り点は、潤滑油の構造によって同じように変化し、粘度はそれと相反するように変化する。例えば、潤滑油中のアルキル基やアルキレン基が分岐であると低温流動性が良好になり、同時に曇り点も低くなる。
これが直鎖になると流動性は悪化し曇り点も高くなる。一方粘度は、潤滑油中のアルキル基やアルキレン基が分岐であると高くなり、直鎖になると低くなる。ただし、流動点が低くても、R1の炭素数が偶数であると曇り点が高くなってしまう。このように、各部位の構造によってその性能が大きく変わるが、A1、A2、R2及びR3が全て直鎖の基の場合は低温特性が改善されないため、R2とA1のどちらか1つは分岐のアルキル基又はアルキレン基であり、且つR3とA2のどちらか1つは分岐のアルキル基又はアルキレン基の必要がある。
これが直鎖になると流動性は悪化し曇り点も高くなる。一方粘度は、潤滑油中のアルキル基やアルキレン基が分岐であると高くなり、直鎖になると低くなる。ただし、流動点が低くても、R1の炭素数が偶数であると曇り点が高くなってしまう。このように、各部位の構造によってその性能が大きく変わるが、A1、A2、R2及びR3が全て直鎖の基の場合は低温特性が改善されないため、R2とA1のどちらか1つは分岐のアルキル基又はアルキレン基であり、且つR3とA2のどちらか1つは分岐のアルキル基又はアルキレン基の必要がある。
しかし、更に良好な潤滑油にするためには、潤滑油の構造を更に限定することが好ましい。R2及びR3はアルキル基であるが、これらは直鎖アルキル基と分岐アルキル基の場合がある。R2及びR3が直鎖アルキル基の場合、A1及びA2は、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、イソブチレン基等の分岐鎖のあるアルキレン基が好ましく、炭素数3の分岐アルキレン基がより好ましい。また、R2及びR3が直鎖アルキル基の場合、A1及びA2をn個又はm個含有するポリマーである(OA1)n及び(OA2)mにおいて、A1及びA2からなる分岐鎖のアルキレン基が50%より多いことが好ましく、80%以上がより好ましく、100%が最も好ましい。
同様に、R2及びR3が分岐アルキル基の場合、A1及びA2は、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の直鎖のアルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。また、R2及びR3が分岐アルキル基の場合、A1及びA2をn個又はm個含有するポリマーである(OA1)n及び(OA2)mにおいて、A1及びA2からなる直鎖のアルキレン基が50%より多いことが好ましく、80%以上がより好ましく、100%が最も好ましい。
なおR2及びR3が異なり、それぞれ直鎖と分岐のアルキル基の場合は、対応するA1及びA2の好ましい構造はそれぞれ上記と同様になるが、製造が容易であることから、R2及びR3は同じ構造であることが好ましい。また、潤滑性能が良好なことから、R2及びR3は同じ構造の直鎖アルキル基で、且つA1及びA2が分岐のアルキレン基であることがより好ましい。R2及びR3とA1及びA2がいずれも直鎖アルキル基及び直鎖アルキレン基の場合は低温流動性や曇り点等の低温特性が悪くなり、いずれも分岐アルキル及び分岐アルキレン基の場合は製品粘度の上昇や潤滑性が悪くなったりする。
A1及びA2は一般式(3)及び(4)の化合物に由来する基であり、これらは通常、R2−OHやR3−OH等のアルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加することによって得ることができる。こうしたアルキレンオキシドの付加方法は、例えば、オートクレーブ等の密閉容器に、アルコールとアルキレンオキシド、及び上記に挙げたエステル化反応時に使用できる触媒を反応物全体に対して0.05〜1.0質量%入れ、80〜180℃の反応温度で1〜30時間反応すればよい。
A1及びA2は一般式(3)及び(4)の化合物に由来する基であり、これらは通常、R2−OHやR3−OH等のアルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加することによって得ることができる。こうしたアルキレンオキシドの付加方法は、例えば、オートクレーブ等の密閉容器に、アルコールとアルキレンオキシド、及び上記に挙げたエステル化反応時に使用できる触媒を反応物全体に対して0.05〜1.0質量%入れ、80〜180℃の反応温度で1〜30時間反応すればよい。
本発明の潤滑油は、その性能を向上させるために、酸化防止剤、油性剤、摩耗防止剤、極圧剤、金属不活性剤、防錆剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤等の添加剤の1種又は2種以上を適宜配合することもできる。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、4,4'−メチレンビス−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール等のフェノール系、N−フェニル−α−ナフチルアミン、p,p'−ジオクチルジフェニルアミン等のアミン系、フェノチアジン等の硫黄系化合物等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、潤滑油に対して0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜3質量%添加するのがよい。
油性剤としては、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ脂肪酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアルコール、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアミン、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸アミド等が挙げられる。これらの油性剤は、通常、潤滑油に対して0.01質量%〜5質量%、好ましくは0.1質量%〜3質量%添加するのがよい。
摩耗防止剤又は極圧剤としては、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、アルキルフェニルホスフェート類、トリブチルホスフェート、ジブチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリブチルホスファイト、ジブチルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト等の亜リン酸エステル類及びこれらのアミン塩等のリン系、硫化油脂、硫化オレイン酸などの硫化脂肪酸、ジベンジルジスルフィド、硫化オレフィン、ジアルキルジスルフィドなどの硫黄系、Zn−ジアルキルジチオホスフェート、Zn−ジアルキルジチオカルバメート、Mo−ジアルキルジチオホスフェート、Mo−ジアルキルジチオカルバメートなどの有機金属系化合物等が挙げられる。これらの摩耗防止剤又は極圧剤は、通常、潤滑油に対して0.01質量%〜10質量%、好ましくは0.1質量%〜5質量%添加するのがよい。
金属不活性剤としては、ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、没食子酸エステル系の化合物等が挙げられる。これらの金属不活性剤は、通常、潤滑油に対して0.005〜0.4質量%、好ましくは0.01〜0.2質量%添加するのがよい。
防錆剤としては、ドデセニルコハク酸ハーフエステル、オクタデセニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸アミドなどのアルキル又はアルケニルコハク酸誘導体、ソルビタンモノオレエート、グリセリンモノオレエート、ペンタエリスリトールモノオレエートなどの多価アルコール部分エステル、Ca−石油スルフォネート、Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、Na−アルキルベンゼンスルフォネート、Zn−アルキルベンゼンスルフォネート、Ca−アルキルナフタレンスルフォネートなどの金属スルフォネート、ロジンアミン、N−オレイルザルコシンなどのアミン類、ジアルキルホスファイトアミン塩等が挙げられる。これらの防錆剤は、通常、潤滑油に対して0.01質量%〜5質量%、好ましくは0.05〜2質量%添加するのがよい。
粘度指数向上剤としては、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体などのオレフィン共重合体が挙げられる。これらの粘度指数向上剤は、通常、潤滑油に対して0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜7質量%添加するのがよい。
流動点降下剤としては、塩素化パラフィンとアルキルナフタレンの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールの縮合物、上記粘度指数向上剤であるポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン等が挙げられる。これらの流動点降下剤は、通常、潤滑油に対して0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%添加するのがよい。
消泡剤としては、液状シリコーンが挙げられ、通常、潤滑油に対して0.0005〜0.01質量%添加するのが良い。
本発明の潤滑油は、例えば、エンジン油、ギヤー油、タービン油、作動油、難燃性作動液、冷凍機油、コンプレッサー油、真空ポンプ油、軸受け油、絶縁油、しゅう動面油、ロックドリル油、金属加工油、塑性加工油、熱処理油、グリース用基油等の用途に使用することができるが、潤滑性及び低温流動性が良好で、曇り点が低く、低粘度及び低揮発性の化合物であるため、安定性を必要とする軸受け油やグリース用基油に使用することが好ましく、精密機器用の軸受け油やグリース用基油に使用することがより好ましく、ハードディスク等の小型で回転精度を必要とする軸受け油やグリース用基油としての使用が最も好ましい。
なお、グリースの必須成分である増稠剤としては、石鹸系又はコンプレックス石鹸系増稠剤、有機非石鹸系増稠剤、無機非石鹸系増稠剤等が挙げられる。石鹸系増稠剤としては例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、ゾーマリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレイン酸等の高級脂肪酸とアルミニウム、バリウム、カルシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム等の塩基を反応させた石鹸や、上記脂肪酸と塩基に、更に酢酸、安息香酸、セバシン酸、アゼライン酸、リン酸、ホウ酸等を反応させたコンプレックス石鹸増稠剤等が挙げられる。
有機非石鹸系増稠剤としては、テレフタラメート系増稠剤、ウレア系増稠剤、ポリテトラフルオロエチレン、フルオロ化エチレン−プロピレン共重合体等のフッ素系等が挙げられるが、ウレア系増稠剤が好ましい。ウレア系増稠剤としては、モノイソシアネートとモノアミンを反応させたモノウレア系化合物、ジイソシアネートとモノアミンを反応させたジウレア系化合物、ジイソシアネートとモノアミンとモノオールを反応させたウレアウレタン系化合物、ジイソシアネートとジアミンとモノイソシアネートを反応させたテトラウレア系化合物等が挙げられる。
無機非石鹸系増稠剤としては例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、シリカエアロゲル、窒化ホウ素等が挙げられる。
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。尚、以下の実施例等において%及びppmは特に記載が無い限り質量基準である。
試験に使用する試験油(実施例1〜7、比較例1〜9)を以下の通り合成した。
<実施例1>
窒素導入管、還流管、撹拌装置及び温度計を備えた1000mlフラスコに、アゼライン酸188g(1モル)と1,2−プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル264g(2モル)及び触媒としてメタンスルホン酸0.4gを入れた後180℃に昇温し、反応で出る水を除去しながら徐々に10kPaまで減圧にした。10kPaになった後、同温度で5時間反応し、酸価が0.1mgKOH/gになったのを確認してから反応を終了した。その後、触媒を除去するため系内にキョーワード500(協和化学社製)を4g添加し、100℃で1時間撹拌した後ろ過をして実施例1を得た。
<実施例1>
窒素導入管、還流管、撹拌装置及び温度計を備えた1000mlフラスコに、アゼライン酸188g(1モル)と1,2−プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル264g(2モル)及び触媒としてメタンスルホン酸0.4gを入れた後180℃に昇温し、反応で出る水を除去しながら徐々に10kPaまで減圧にした。10kPaになった後、同温度で5時間反応し、酸価が0.1mgKOH/gになったのを確認してから反応を終了した。その後、触媒を除去するため系内にキョーワード500(協和化学社製)を4g添加し、100℃で1時間撹拌した後ろ過をして実施例1を得た。
実施例1〜7及び比較例1〜5について、下記試験をした。試験結果を表3に記す。
<試験方法>
(1)動粘度
試験油をキャノンフェスケ粘度計に入れ、40℃の恒温槽に30分静置し、40℃での粘度を測定した。
(2)流動点
試験油を45℃に加熱した後、試験管に試験油を入れ、その試験管をかき混ぜないで徐々に冷却した。5℃ごとに試験管を傾けて試験油の流動性を確認し、試験油が流動する最低温度を流動点とした。
(3)曇り点
上記流動点と同様の試験方法で、2.5℃ごとに試験管を確認し、試験管底部の試験油がかすみ状になるか、曇り始める温度を曇り点とした。
(4)蒸発特性
示差熱分析装置(島津製作所製:DTG−60A)を使用し、1℃/分の昇温速度で50〜120℃まで昇温して、120℃に達したときの試験油の蒸発減量を測定した。蒸発減量が多いほど、耐熱性が悪いということである。
(5)潤滑性
SRV試験機を利用して潤滑性を評価した。評価条件は、ボールオンプレートの点接触条件、上部シリンダー(φ15×22mm)をプレート(φ24×7.85mm)上にセットし、下記の条件で往復振動させ、3〜15分後の摩擦係数を平均して測定値とした。尚、材質は両者共SUJ−2であった。
荷重:200N、温度:80℃、測定時間:15分、振幅:1mm、サイクル:50Hz
<試験方法>
(1)動粘度
試験油をキャノンフェスケ粘度計に入れ、40℃の恒温槽に30分静置し、40℃での粘度を測定した。
(2)流動点
試験油を45℃に加熱した後、試験管に試験油を入れ、その試験管をかき混ぜないで徐々に冷却した。5℃ごとに試験管を傾けて試験油の流動性を確認し、試験油が流動する最低温度を流動点とした。
(3)曇り点
上記流動点と同様の試験方法で、2.5℃ごとに試験管を確認し、試験管底部の試験油がかすみ状になるか、曇り始める温度を曇り点とした。
(4)蒸発特性
示差熱分析装置(島津製作所製:DTG−60A)を使用し、1℃/分の昇温速度で50〜120℃まで昇温して、120℃に達したときの試験油の蒸発減量を測定した。蒸発減量が多いほど、耐熱性が悪いということである。
(5)潤滑性
SRV試験機を利用して潤滑性を評価した。評価条件は、ボールオンプレートの点接触条件、上部シリンダー(φ15×22mm)をプレート(φ24×7.85mm)上にセットし、下記の条件で往復振動させ、3〜15分後の摩擦係数を平均して測定値とした。尚、材質は両者共SUJ−2であった。
荷重:200N、温度:80℃、測定時間:15分、振幅:1mm、サイクル:50Hz
前記結果により、本願発明は、曇り点が低く、低粘度で低温流動性がよく、且つ蒸発特性に優れた性能的にバランスのよい潤滑油であることがわかる。
Claims (5)
- R2及びR3が直鎖のアルキル基であり、且つA1及びA2が炭素数3の分岐のアルキレン基であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油。
- R2及びR3が分岐のアルキル基であり、且つA1及びA2が炭素数2の直鎖のアルキレン基であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油。
- 軸受け用潤滑油であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の潤滑油。
- グリース用基油であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の潤滑油。
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