JP5509547B2 - 工業用潤滑油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、工業用潤滑油組成物に関し、より詳しくは摩耗低減性能に優れたエステル系金属摩耗低減剤及びこれを含有する工業用潤滑油組成物に関する。
近年、自動車、家電、電子情報機器、工業用機械等の様々な産業分野で使用されている装置や機械では、潤滑油の性能向上が強く求められている。即ち、高速化、高効率化及び装置の小型化に伴い、エンジン油、変速機油、金属加工油、油圧作動油、グリース等の使用条件は益々過酷になっており、従来の潤滑油に比べてより高い性能を有する潤滑油が必要とされている。
従来、潤滑油としては安価で入手容易な鉱物油が主に使用されてきた。鉱物油は種々の化学構造を有する炭化水素油の混合物であり、主成分の炭化水素によりパラフィン系とナフテン系(シクロパラフィン系)に大別される(「トライボロジーハンドブック(養賢堂)」など)。パラフィン系鉱物油とナフテン系鉱物油は、粘度特性(例えば、粘度指数)、潤滑特性、低温流動性、更には精製度により耐熱性、添加剤との適合性にも違いがみられ、潤滑油の基材に使用する際には、各々の特性を生かした使い分けがなされている。
しかしながら、高負荷条件での使用、メンテナンスフリーなど要求特性が厳しくなるに従い、鉱物油では要求性能を満足することが困難となり、添加剤として様々な化合物が用いられている。中でも、潤滑油として重要な性能である摩耗低減性能の向上を目的として様々な化合物が油性剤として用いられる事が多い。油性剤としては、有機酸、高級アルコール、エステル等が用いられている。
本発明は、基油に対する溶解性が高く、優れた摩耗低減性能を付与するエステル系金属摩耗低減剤及び該金属摩耗低減剤を含有する工業用潤滑油組成物を提供する事を目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく二塩基酸ジエステル及び二塩基酸部分エステルの混合物による金属摩耗低減効果に関し鋭意検討の結果、下記の知見を得た。
鉱油、動植物油及び合成油からなる群より選ばれる少なくとも一種の基油に対し、本願発明の特定の二塩基酸ジエステル及び二塩基酸部分エステルを含有する事により優れた摩耗低減効果を得る事が出来る。
本発明は、係る知見に基づいて完成されたものである
即ち、本願は以下の潤滑油発明を提供するものである。
(項1)
鉱油、動植物油及び合成油からなる群より選ばれる少なくとも一種の基油100重量部に対し、一般式(1)

OOC−X−COOR1(1)

[式中2つのRは同一又は相異なって、炭素数8〜24の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族一価アルコールから水酸基を除いて得られる残基を表す。Xは炭素数4〜10の飽和又は不飽和の二塩基酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基を表す。]
で表される二塩基酸ジエステルを1〜30重量部及び
一般式(2)

OOC−Y−COOH(2)

[式中Rは、炭素数8〜24の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族一価アルコールから水酸基を除いて得られる残基を表す。Yは炭素数4〜10の飽和又は不飽和の二塩基酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基を表す。]
で表される二塩基酸部分エステルを0.02〜5重量部含有してなることを特徴とする工業用潤滑油組成物。
(項2)
工業用潤滑油組成物が、金属加工用潤滑油組成物又は機械潤滑油組成物である項1に記載の組成物。
(項3)
項1に記載の工業用潤滑油組成物を使用する金属摩耗低減方法。
(項4)

一般式(1)

OOC−X−COOR1(1)

[式中2つのRは同一又は相異なって、炭素数8〜24の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族一価アルコールから水酸基を除いて得られる残基を表す。Xは炭素数4〜10の飽和又は不飽和の二塩基酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基を表す。]
で表される二塩基酸ジエステル及び
一般式(2)

OOC−Y−COOH(2)

[式中Rは、炭素数8〜24の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族一価アルコールから水酸基を除いて得られる残基を表す。Yは炭素数4〜10の飽和又は不飽和の二塩基酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基を表す。]
で表される二塩基酸部分エステルを1:0.001〜1:0.5の割合で含有する金属摩耗低減剤。
(項5)
鉱油、動植物油及び合成油からなる群より選ばれる少なくとも一種の基油100重量部に対し、一般式(1)

OOC−X−COOR1(1)

[式中2つのRは同一又は相異なって、炭素数8〜24の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族一価アルコールから水酸基を除いて得られる残基を表す。Xは炭素数4〜10の飽和又は不飽和の二塩基酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基を表す。]
で表される二塩基酸ジエステルを1〜30重量部及び
一般式(2)

OOC−Y−COOH(2)

[式中Rは、炭素数8〜24の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族一価アルコールから水酸基を除いて得られる残基を表す。Yは炭素数4〜10の飽和又は不飽和の二塩基酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基を表す。]
で表される二塩基酸部分エステルを0.02〜5重量部を含有させることを特徴とする基油の金属摩耗低減性能向上方法。
本発明によれば、鉱油、動植物油及び合成油からなる群より選ばれる少なくとも一種の基油に対し、本願発明の特定の二塩基酸ジエステル及び二塩基酸部分エステルを含有する潤滑油組成物は金属摩耗低減性能に優れる。
[エステル系金属摩耗低減剤]
本発明に係る特定の二塩基酸ジエステル及び二塩基酸部分エステルの混合物を、基油に配合することで基油の金属摩耗低減性能を向上する。換言するならば本発明に係る特定の二塩基酸ジエステル及び二塩基酸部分エステルの混合物は金属摩耗低減剤としての機能を有する。
エステル系金属摩耗低減剤における二塩基酸ジエステル及び二塩基酸部分エステルの配合割合は通常1:0.001〜1:0.5(重量比)である。
上記、本発明の二塩基酸ジエステルは下記一般式(1)で表される。

OOC−X−COOR1(1)
一般式(1)の式中Xは、炭素数4〜10の飽和又は不飽和の二塩基酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基である。該二塩基酸としてはコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられ、これらの中でもマレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸が好ましい。上記二塩基酸は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
一般式(1)の式中2つのRは同一又は相異なって、炭素数8〜24の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族一価アルコールから水酸基を除いて得られる残基を表す。該飽和脂肪族一価アルコールとしてはn−オクタノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール等が挙げられる。分岐鎖状の飽和脂肪族一価アルコールの具体例としては、2−エチルヘキサノール、イソノナノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、イソデカノール、イソウンデカノール、イソドデカノール、イソトリデカノール、イソテトラデカノール、イソペンタデカノール、イソヘキサデカノール、2−ヘキシルデカノール、イソオクタデカノール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノール等が挙げられる。直鎖状不飽和脂肪族一価アルコールの具体例としては、オレイルアルコールが挙げられる。
脂肪族一価アルコールは、単独で又は2種以上を混合してエステル化反応に供することができる。上記、脂肪族一価アルコールの中で耐揮発性と低温流動性のバランスに優れる点で、2−ヘキシルデカノール、イソオクタデカノール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノール、オレイルアルコールが好ましい。更には、特に優れた潤滑性を示す点で、オレイルアルコールが好ましい。
上記、本発明の二塩基酸部分エステルは下記一般式(2)で表される。

OOC−Y−COOH(2)
一般式(2)の式中Yは、炭素数4〜10の飽和又は不飽和の二塩基酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基である。該二塩基酸は、上記一般式(1)に係る二塩基酸の具体例と同様のものが例示される。
一般式(2)の式中Rは、炭素数8〜24の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族一価アルコールから水酸基を除いて得られる残基を表す。該脂肪族一価アルコールとしては、上記一般式(1)に係る脂肪族一価アルコールの具体例と同様のものが例示される。
上記一般式(1)のX及び一般式(2)のYは夫々同一又は異なっていてもよい。
上記一般式(1)の2つのR及び一般式(2)のRは夫々同一又は異なっていてもよい。
[エステル系金属摩耗低減剤の製造方法]
本発明のエステル系金属摩耗低減剤の製造方法としては、本発明で規定する二塩基酸ジエステルと二塩基酸部分エステルの混合比で得られる限り特に限定はない。
製造方法の具体例としては、下記の方法が挙げられる。
(1)二塩基酸又はエステル形成誘導体と脂肪族一価アルコールとのエステル化反応により同時に二塩基酸ジエステルと二塩基酸部分エステルの混合物を得る方法。
(2)二塩基酸ジエステルと二塩基酸部分エステルを別々に製造し後の工程で混合を行い製造する方法。
本発明のエステル系潤滑油添加剤を直接二塩基酸ジエステルと二塩基酸部分エステルの混合物で得ようとした場合、上記二塩基酸と脂肪族一価アルコールのエステル化反応を行い、完全にエステル化反応を完了せず部分エステルを残す方法が簡便である。
尚、エステル化反応において、二塩基酸の代わりにエステル形成性誘導体を用いてもよい。エステル形成性誘導体としては、上記二塩基酸の、無水物、塩化物、炭素数1〜4の低級アルコールとのエステル又はアリールエステル等の活性エステルが例示される。
エステル化反応の方法としては、例えば二塩基酸1molに対して、上記脂肪族一価アルコール2.0molを一括して仕込み、生成してくる水を抜きながら、ジエステルと部分エステルが所定の比率になるまでエステル化反応を行う方法が例示される。
尚、脂肪族1価アルコールの仕込み量は、二塩基酸ジエステルと二塩基酸部分エステルの混合物が本発明の範囲で得られるのであれば仕込み量に特に限定はなく、1molから当量molである2mol、更には過剰量仕込む事が出来る。
より詳細には、エステル化の反応温度としては、通常120〜250℃であって、130〜230℃が好ましい。また、反応時間としては、通常1〜10時間、好ましくは、2〜8時間が例示される。反応は無触媒でも、後述するエステル化触媒の存在下で行ってもよい。
エステル化触媒としては、ルイス酸類、アルカリ金属類、スルホン酸類等が例示され、具体的にルイス酸類としては、アルミニウム誘導体、錫誘導体、チタン誘導体が例示され、アルカリ金属類としては、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等が例示され、更にスルホン酸類としてはパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸等が例示される。なかでも、チタン誘導体、スルホン酸類が好ましい。その使用量は、例えば原料である酸成分及びアルコール成分の総重量に対して、0.05〜1.0重量%程度用いられる。
エステル化反応には、必要に応じて、生成してくる水をベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の水同伴剤を用いて系外に共沸留去させてもよい。
エステル化反応終了後、過剰の原料を減圧下または常圧下にて留去する。引き続き、慣用の精製方法、例えば、水洗、減圧蒸留、活性炭等の吸着剤精製を用いて、本エステルを精製することもできる。
[工業用潤滑油組成物]
本発明の工業用潤滑油組成物は、上述のエステル系金属摩耗低減剤と基油を含む潤滑油組成物である。
本発明の工業用潤滑油組成物の各成分の含有量は、通常基油100重量部に対して、二塩基酸ジエステルを1〜30重量部好ましくは5〜30重量部、二塩基酸部分エステルを0.02〜5重量部好ましくは0.1〜5重量部含有するものである。
[基油]
本発明の工業用潤滑油組成物に用いることができる基油は、鉱油、動植物油及び合成油からなる群より選ばれる少なくとも一種であって、これらの基油は、単独であるいは二種以上組み合わせて使用することができる。
上記鉱油としては、潤滑油の分野で一般的に基油として用いられる鉱油を使用できる。鉱油としては例えば、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を更に減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいは鉱油系ワックスやフィッシャートロプシュプロセス等により製造されるワックス(ガス トゥ リキッドワックス)を異性化することによって製造される基油等が例示される。本発明において用いられる鉱油としては、100℃における動粘度が1.5〜40mm/sの範囲にあるものが好ましい。
動植物油としては、牛脂、豚脂、パーム油、ヤシ油、ナタネ油、ヒマシ油などが例示される。
合成油としては、ポリ−α−オレフィン、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどの合成炭化水素油及びフィッシャートロプッシュ法によって得られる合成炭化水素の異性化油のほか、ポリエーテルなどが挙げられる。
ポリ−α−オレフィンとしては、炭素数2〜16のα−オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンなど)の重合体又は共重合体が例示され、特に100℃における動粘度が1.5〜40mm/s、粘度指数が100以上の化合物が好ましく、100℃における動粘度が3〜30mm/sで、粘度指数が120以上のものがより好ましい。
ポリブテンとしては、イソブチレンの重合物やイソブチレンとノルマルブチレンとの共重合物が例示され、一般に100℃の動粘度が2〜6000mm/sの広範囲のものが好ましい。
アルキルベンゼンとしては、炭素数1〜40の直鎖又は分岐のアルキル基で置換された、分子量が200〜450であるモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼンなどが例示される。
アルキルナフタレンとしては、炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されたモノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレンなどが例示される。
ポリエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、オキシエチレン−オキシプロピレン共重合体、ポリエステルエーテル、ポリフェニルエーテルなどが例示され、一般に100℃の動粘度が2〜4000mm2/sの広範囲のものが挙げられる。
上記基油の中でも入手の容易さと潤滑油としての機能等の観点から、基油として鉱油を使用することが好ましい。
本発明の潤滑油には、その性能を向上させるために、公知の酸化防止剤、金属清浄剤、無灰分散剤、油性剤、摩耗防止剤、極圧剤、金属不活性剤、防錆剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤等の添加剤の1種又は2種以上を適宜配合することも可能である。これらの配合量は、所定の効果を奏する限り特に限定されるものではないが、その具体的な例を以下に示す。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス−4−メチル−6−tert−ブチルフェノール等のフェノール系、N−フェニル−α−ナフチルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン等のアミン系、p,p’−ジノニルジフェニルアミン、混合ジアルキルジフェニルアミン、フェノチアジン等の硫黄系化合物等が例示される。これらの酸化防止剤は、単独で又は組み合わせて用いることができる。これらの酸化防止剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部添加することが望ましい。
金属清浄剤としては、Ca−石油スルフォネート、過塩基性Ca−石油スルフォネート、Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、Na−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Na−アルキルベンゼンスルフォネート、Ca−アルキルナフタレンスルフォネート、過塩基性Ca−アルキルナフタレンスルフォネートなどの金属スルフォネート、Ca−フェネート、過塩基性Ca−フェネート、Ba−フェネート、過塩基性Ba−フェネートなどの金属フェネート、Ca−サリシレート、過塩基性Ca−サリシレートなどの金属サリシレート、Ca−フォスフォネート、過塩基性Ca−フォスフォネート、Ba−フォスフォネート、過塩基性Ba−フォスフォネートなどの金属フォスフォネート、過塩基性Ca−カルボキシレート等が例示される。これらの金属清浄剤は、単独で又は組み合わせて用いることができる。これらの金属清浄剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは2〜7重量部添加することが望ましい。
無灰分散剤としては、ポリアルケニルコハク酸イミド、ポリアルケニルコハク酸アミド、ポリアルケニルベンジルアミン、ポリアルケニルコハク酸エステル等が例示される。これらの無灰分散剤は、単独で又は組み合わせて用いることができる。これらの無灰分散剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは2〜7重量部添加することが望ましい。
油性剤としては、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ脂肪酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアルコール、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアミン、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸アミド、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコールなどのグリセリンエーテル、ラウリルポリグリセリンエーテル、オレイルポリグリセリルエーテルなどのアルキル若しくはアルケニルポリグリセリルエーテル、ジ(2−エチルヘキシル)モノエタノールアミン、ジイソトリデシルモノエタノールアミンなどのアルキル若しくはアルケニルアミンのポリ(アルキレンオキサイド)付加物等が例示される。これらの油性剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよい。これらの油性剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部添加することが望ましい。
摩耗防止剤・極圧剤としては、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、アルキルフェニルホスフェート類、トリブチルホスフェート、ジブチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリブチルホスファイト、ジブチルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト等の亜りん酸エステル類及びこれらのアミン塩等のリン系、硫化油脂、硫化オレイン酸などの硫化脂肪酸、ジベンジルジスルフィド、硫化オレフィン、ジアルキルジスルフィドなどの硫黄系、Zn−ジアルキルジチオフォスフェート、Zn−ジアルキルジチオフォスフェート、Mo−ジアルキルジチオフォスフェート、Mo−ジアルキルジチオカルバメートなどの有機金属系化合物等が例示される。これらの摩耗防止剤は、単独で又は組み合わせて用いることができる。これらの摩耗防止剤・極圧剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部添加することが望ましい。
金属不活性剤としては、ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、没食子酸エステル系の化合物等が例示される。これらの金属不活性剤は、単独で又は組み合わせて用いることができる。これらの金属不活性剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.01〜0.4重量部、好ましくは0.01〜0.2重量部添加することが望ましい。
防錆剤としては、ドデセニルコハク酸ハーフエステル、オクタデセニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸アミドなどのアルキル又はアルケニルコハク酸誘導体、ソルビタンモノオレエート、グリセリンモノオレエート、ペンタエリスリトールモノオレエートなどの多価アルコール部分エステル、Ca−石油スルフォネート、Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、Na−アルキルベンゼンスルフォネート、Zn−アルキルベンゼンスルフォネート、Ca−アルキルナフタレンスルフォネートなどの金属スルフォネート、ロジンアミン、N−オレイルザルコシンなどのアミン類、ジアルキルホスファイトアミン塩等が例示される。これらの防錆剤は、単独で又は組み合わせて用いることができる。これらの防錆剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部添加することが望ましい。
粘度指数向上剤としては、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体などのオレフィン共重合体が例示される。これらの粘度指数向上剤は、単独で又は組み合わせて用いることができる。これらの粘度指数向上剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜7重量部添加することが望ましい。
流動点降下剤としては、塩素化パラフィンとアルキルナフタレンの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールの縮合物、既述の粘度指数向上剤であるポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン等が例示される。これらの流動点降下剤は、単独で又は組み合わせて用いることができる。これらの流動点向上剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部添加することが望ましい。
消泡剤としては、液状シリコーンが適しており、消泡剤を使用する場合、その添加量は、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.0005〜0.01重量部である。
本発明の鉱油、動植物油及び合成油からなる群より選ばれる少なくとも一種の基油、特定の二塩基酸ジエステル及び二塩基酸部分エステルを含有する工業用潤滑油組成物は金属摩耗低減性能に優れることから、金属加工用潤滑油組成物又は機械潤滑油組成物として有用である。金属加工用潤滑油組成物の具体的な用途としては、切削加工油、圧延油、絞り・抽伸油、洗浄油、塑性加工油、打ち抜き油、熱処理油、熱媒体油などが挙げられ、機械潤滑油組成物の具体的な用途としては、タービン油、油圧作動油、軸受油、ギア油、圧縮機油、トラクション油などが挙げられる。
以下に実施例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、本実施例及び比較例において、エステルの諸性状、潤滑油の物理特性、化学特性は以下の方法により測定した。
(a)全酸価
JIS K2501に準拠して測定した。
(b)潤滑性試験
JPI−5S−32−90に準拠して、高速四球型摩耗試験機(神鋼造機製)を用いて、回転数1200rpm、荷重20kg、時間60分の条件で試験し、摩耗痕径を測定した。形成された摩耗痕が小さいものほど潤滑性が良好と判断した。
尚、試験に用いた潤滑油の組成は以下の通りとした。
本エステル混合物又は部分エステル/コスモニュートラル100
=10/90(重量部)
コスモニュートラル100:コスモ石油ルブリカンツ製、40℃動粘度21.3mm/s
[製造例1]
撹拌機、温度計及び冷却管付き水分分留受器を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、アジピン酸146g(1.0モル)(1.0モル)、オレイルアルコール(新日本理化製 「アンジェコール90」)564g(2.1モル)及びトルエンを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に210℃まで昇温し、常圧から徐々に減圧度を高めながら12時間、留出してくる生成水を水分分留受器で除去しながらエステル化反応を行った。トルエン及び過剰のアルコールを蒸留にて除去、ろ過を行いエステル混合物600gを得た。
得られたエステル混合物(1)の全酸価は7.0mgKOH/gであった。
[製造例2]
製造例1のオレイルアルコールに代えて、2−オクチルドデカノール(新日本理化製「エヌジェコール200A」636g(2.1モル)を用いた他は、製造例1と同様の方法により、エステル混合物680gを得た。
得られたエステル混合物(2)の全酸価は12.8mgKOH/gであった。
[製造例3]
製造例1のオレイルアルコールに代えて、2−デシルテトラデカノール(新日本理化製「エヌジェコール240A」764g(2.1モル)を用いた他は、製造例1と同様の方法により、エステル混合物780gを得た。
得られたエステル混合物(3)の全酸価は6.5mgKOH/gであった。
[製造例4]
製造例1のオレイルアルコールに代えて、2−ヘキシルデカノール(新日本理化製「エヌジェコール160B」519g(2.1モル)を用いた他は、製造例1と同様の方法により、エステル混合物560gを得た。
得られたエステル混合物(4)の全酸価は7.0mgKOH/gであった。
実施例1〜4
製造例1〜4の方法で得られたエステル混合物(1)〜(4)と基油であるコスモニュートラル100を10/90(重量部)で混合し試料油とし、潤滑性試験に用いた。尚、エステル混合物のAV、分子量から求めた試料油中の、部分エステル/ジエステル/基油の重量組成比を表1に示す。
Figure 0005509547

Claims (5)

  1. 鉱油、動植物油及び合成油からなる群より選ばれる少なくとも一種の基油100重量部に対し、一般式(1)

    OOC−X−COOR (1)

    [式中2つのRオレイルアルコールから水酸基を除いて得られる残基を表す。Xは炭素数4〜10の飽和又は不飽和の二塩基酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基を表す。]
    で表される二塩基酸ジエステルを1〜30重量部及び
    一般式(2)

    OOC−Y−COOH (2)

    [式中Rは、オレイルアルコールから水酸基を除いて得られる残基を表す。Yは炭素数4〜10の飽和又は不飽和の二塩基酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基を表す。]
    で表される二塩基酸部分エステルを0.02〜5重量部含有してなることを特徴とする工業用潤滑油組成物。
  2. 工業用潤滑油組成物が、金属加工用潤滑油組成物又は機械潤滑油組成物である請求項1に記載の組成物。
  3. 請求項1に記載の工業用潤滑油組成物を使用する金属摩耗低減方法。
  4. 一般式(1)

    OOC−X−COOR (1)

    [式中2つのRオレイルアルコールから水酸基を除いて得られる残基を表す。Xは炭素数4〜10の飽和又は不飽和の二塩基酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基を表す。]
    で表される二塩基酸ジエステル及び
    一般式(2)

    OOC−Y−COOH (2)

    [式中Rは、オレイルアルコールから水酸基を除いて得られる残基を表す。Yは炭素数4〜10の飽和又は不飽和の二塩基酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基を表す。]
    で表される二塩基酸部分エステルを1:0.001〜1:0.5の割合で含有する金属摩耗低減剤。
  5. 鉱油、動植物油及び合成油からなる群より選ばれる少なくとも一種の基油100重量部に対し、一般式(1)

    OOC−X−COOR (1)

    [式中2つのRオレイルアルコールから水酸基を除いて得られる残基を表す。Xは炭素数4〜10の飽和又は不飽和の二塩基酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基を表す。]
    で表される二塩基酸ジエステルを1〜30重量部及び
    一般式(2)

    OOC−Y−COOH (2)

    [式中Rは、オレイルアルコールから水酸基を除いて得られる残基を表す。Yは炭素数4〜10の飽和又は不飽和の二塩基酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基を表す。]
    で表される二塩基酸部分エステルを0.02〜5重量部を含有させることを特徴とする基油の金属摩耗低減性能向上方法。
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