JP2006265558A - ゲル状樹脂成形体組成物及び揮散性ゲル状包装薬剤 - Google Patents

ゲル状樹脂成形体組成物及び揮散性ゲル状包装薬剤 Download PDF

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Abstract

【課題】
イソチオシアン酸アリルと樹脂基剤とを含有する樹脂成形体をゲル状に形成したゲル状樹脂成形体組成物を提供する。
【解決手段】
本発明のゲル状樹脂成形体組成物は、ゲル状忌避剤組成物及びゲル状抗菌防黴剤組成物として使用され、イソチオシアン酸アリルの含有量を、ゲル状樹脂成形体の全重量に対して20重量%より多く85重量%以下の範囲とする。また、ゲル状樹脂成形体のゴム硬度は、0.1〜100の範囲とする。本発明のゲル状樹脂成形体は、塊状、シート状、フィルム状、粒状、粉末状又は皮膜状として形成することができる。ゲル状樹脂成形体は、イソチオシアン酸アリルとポリイソシアネートとを含有する薬剤混合物を、イソチオシアン酸アリルの揮発ガスを透過させる包材を少なくとも一部に有する収納体に充填した後ゲル化させて得られる揮散性ゲル状包装薬剤として使用することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ゲル状樹脂成形体に関し、更に詳しくは、イソチオシアン酸アリルを有効成分とし、有害生物の忌避、抗菌防黴等に於いて長期に亘り効果を発揮するゲル状樹脂成形体組成物、並びにゲル状樹脂成形体組成物を収納体に収納した揮散性ゲル状包装薬剤及びその製造方法に関するものである。
イソチオシアン酸アリルはわさびの主成分として知られており、その刺激性を利用して各種の応用が考えられている。例えば、抗菌剤、防黴剤、腐敗防止剤、有害生物に対する忌避剤等の有効成分として利用することが考えられている。しかし、イソチオシアン酸アリルは比較的揮散性が高いため、その揮散速度を調節することが必要である。従って、使用に際しては、その使用目的に合わせたイソチオシアン酸アリルの揮散持続期間を設定し、イソチオシアン酸アリルの揮散量を調節することが必要となる。
このような点を考慮して様々な製品が提案されており、例えば、上記イソチオシアン酸アリルを合成樹脂フィルム表面上に吸着させ、その表面から微量のイソチオシアン酸アリルの蒸気を放出させてなる殺菌性を有する合成樹脂フィルムが提案されている(特許文献1)。また、フィルム等の高分子成形品中に吸着剤を含有させ、この吸着剤にイソチオシアン酸アリルを吸着させて、上記高分子成形品表面からイソチオシアン酸アリルの蒸気を放散させることにより抗菌性を発揮させることが提案されている(特許文献2)。
しかし、イソチオシアン酸アリルを有害生物に対する忌避剤、抗菌防黴剤等として使用する場合、上記のようなフィルムに吸着等させた構成では効果が持続しないという問題点がある。この点を解決したものとして、特許文献3に開示されている樹脂成形体がある。この成形体では、有効成分であるイソチオシアン酸アリルを多く含み得るため、ある程度の持続性が期待できる。
しかしながら、この成形体は強固な硬化物であるため、経時的にその表面近傍のイソチオシアン酸アリルが揮散すると、その表面の硬化が更に進み、成形体の内部に含まれているイソチオシアン酸アリルがその表面まで移動しなくなる。そのため、高々約1ヶ月程度でイソチオシアン酸アリルの揮散量が低下し、忌避剤、抗菌防黴剤等として用いるには持続性が不十分であった。また、得られる成形体の形状の変形、加工は容易でなく、製品化に際しての取り扱い性にも問題があった。
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するものであり、本発明の目的は、有害生物に対する忌避効果、抗菌防黴効果等を長期間発揮し得るゲル状樹脂成形体組成物を提供することである。
揮発性薬剤をゲル化剤を用いてゲル化させた場合、有効成分の成形体表面への経時的な移動が可能となり、取り扱い性も向上する。しかし、上述のゲル状樹脂成形体組成物は比較的多くの量の揮発性薬剤を含んでいるため、薬剤の揮散速度が大き過ぎる場合がある。このような場合には、ゲル状樹脂成形体組成物を揮発性薬剤の揮発ガスを透過させる包材等に収納してその速度を調節することが必要となる。
従って、本発明の他の目的は、薬剤の揮散速度を調節するため、ゲル状樹脂成形体組成物を収納体に収納した揮散性ゲル状包装薬剤を提供することである。
また、ゲル状樹脂成形体組成物を収納体に収納した揮散性ゲル状包装薬剤を調製する場合、揮発性薬剤のゲル化にはある程度の時間が必要なため、所定の形状にゲル化させた後、これを包装するには比較的長時間を要するうえに、多くの手間を要する。
本発明はこのような問題点をも解決するものであり、本発明の更なる目的は、ゲル化を待つことなく包装を行うことができる揮散性ゲル状包装薬剤及びその製造方法を提供することである。
更に、イソチオシアン酸アリル以外の揮散性薬剤に於いても、その揮散速度を調節する必要がある場合には、樹脂を用いて成形体とすることが必要であるが、この場合にも、長期に亘る揮散性薬剤の揮散の持続性が不十分であった。
特開平3−151972号公報 特開平3−2235号公報 特開平9−151317号公報
本発明は、この問題点をも解決するものであり、本発明は、長期に亘り揮散性薬剤の揮散を持続させることができるゲル状樹脂成形体組成物を提供することをもその目的としている。
本発明のゲル状樹脂成形体組成物は、イソチオシアン酸アリルと樹脂基剤とを含有する樹脂成形体をゲル状に形成したことを特徴としている。イソチオシアン酸アリルを含有する樹脂成形体を、通常の硬化物ではなく、ゲル状としたことにより、有効成分であるイソチオシアン酸アリルの成形体表面への経時的な移動が可能となり、有害生物の忌避剤等として使用した場合の持続期間を長くすることができる。
上記に於いて、前記ゲル状樹脂成形体は、その全重量に対して、前記イソチオシアン酸アリルを20重量%より多く85重量%以下の範囲で含有していることが好ましい。イソチオシアン酸アリルの含有量がこのような範囲であれば容易にゲル化し、有害生物の忌避剤等として使用した場合の持続期間を長くすることができる。
本発明のゲル状樹脂成形体組成物は、イソチオシアン酸アリルの長期に亘る揮散持続性を有しているので忌避剤組成物として使用することができる。
また、本発明のゲル状樹脂成形体組成物は、イソチオシアン酸アリルの長期に亘る揮散持続性により、抗菌防黴剤としても使用することができる。
イソチオシアン酸アリル等の薬剤は比較的揮散性が高いものが多いため、上記ゲル状樹脂成形体組成物の使用に際しては、揮散速度の調節のための収納体に収納した揮散性ゲル状包装薬剤として使用するのが好ましい。これにより、揮散速度の調節が可能となり、更に長期に亘る揮散性を確保することができ、忌避剤、抗菌防黴剤としての揮散持続期間の設定が容易となる。
なお、本明細書中では、揮発性ゲル状包装薬剤は、ゲル状樹脂成形体組成物をゲル化させた後に収納体に収納したものと、後述するようにゲル化前のゲル状樹脂成形体組成物を収納体に充填した後にゲル化させたものの両方を含むものとする。また、本明細書に於ける揮発性ゲル状包装薬剤は、忌避のために使用される場合には収納体入りゲル状忌避剤と称し、抗菌防黴のために使用される場合には収納体入りゲル状抗菌防黴剤と称することとする。
本発明の揮散性ゲル状包装薬剤の製造方法は、揮発性薬剤とゲル基剤とを含有するゲル状樹脂成形体組成物を前記揮発性薬剤の揮発ガスを透過させる包材を少なくとも一部に有する収納体に収納してなる揮散性ゲル状包装薬剤の製造方法であって、揮発性薬剤とゲル化剤とを含有する薬剤混合物を調製し、次いで、該薬剤混合物を前記収納体に充填した後ゲル化させることにより前記ゲル状樹脂成形体組成物を形成することを特徴とする。
このようにゲル化剤を硬化前に収納体に充填することにより、ゲル化剤の硬化が完了するまで放置・冷却する必要がなくなり、例えば収納体に充填した後、すぐに段ボール箱等に詰めて、その箱の中で硬化させることが可能となる。従って、ゲル化剤の硬化前に於いても倉庫等に保管することができ、製造工程を大幅に短縮することができる。また、得られるゲル状樹脂成形体組成物中では、有効成分である揮発性薬剤のゲル表面への経時的な移動が可能となり、薬剤の揮発の持続期間を長く設定することができる。
本発明のゲル状樹脂成形体組成物及び揮散性ゲル状包装薬剤に含有されるイソチオシアン酸アリルは、上述のように、わさびの刺激性成分として知られており、本発明では天然物、化学合成物の何れも使用することができる。イソチオシアン酸アリルの含有量は、ゲル状樹脂成形体の全重量に対して、20重量%より多く85重量%以下の範囲である。この含有量が20重量%以下では、得られる成形体組成物がゲル状とならずに硬くなり、イソチオシアン酸アリルが成形体組成物の内部から表面へ移行せず、イソチオシアン酸アリルの揮散の持続期間が短くなるので好ましくない。また、イソチオシアン酸アリル含有量が85重量%より多いと、得られる成形体組成物がゲル状を維持することが困難となり、取り扱い性が悪くなるので好ましくない。
本発明に於いては、ゲル化剤として、揮発性薬剤により常温で膨潤又は溶解し得るものであれば使用することができる。具体的には、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアクリレート、これらの単量体の2種以上の共重合体等が挙げられる。揮発性薬剤としてイソチオシアン酸アリル、薄荷油及びジャスミンオイルを使用する場合には、これらの揮発性薬剤の溶解性、徐放性および製造の容易性という点でポリウレタン樹脂が好ましい。
本発明に於いては、樹脂基剤としてポリウレタン樹脂を好適に使用することができる。本発明に於けるゲル化剤として適したポリウレタン樹脂は、その原料であるポリイソシアネートとして以下のものを使用したものである。即ち、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の2官能のイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、リジンエステルトリイソシアネート等の3官能のイソシアネートを挙げることができる。また、上記の他、上記2官能及び3官能のイソシアネートと、グリコール、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等との付加物、2官能及び3官能のイソシアネートのイソシアヌレート変性体、ビュレット変性体及び誘導体等を挙げることができる。これらのポリイソシアネートは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。これらのポリイソシアネートのうち、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、これらのイソシアヌレート変性体,ビュレット変性体及び誘導体、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、並びに水添ジフェニルメタンジイソシアネートが、光に対して黄変せず商品価値を低下させないという観点から好ましい。
同様に、ポリウレタン樹脂の原料であるポリオールとしては、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ポリオール、キシリレングリコール等の芳香族ポリオール、ハイドロキノン、カテコール等の多価フェノール、あるいはこれら多価フェノールとアルキレンオキシドとの縮合物、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールプレポリマー等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。また、上記ポリオールとして、更に、ヒマシ油、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール等のポリエステルポリオール等を使用することができ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。そして、これらポリオールのなかでも、反応性という点からすれば、ヒマシ油を用いることが好ましい。
ポリウレタンを樹脂基剤として使用し、揮発性薬剤としてイソチオシアン酸アリルを使用する場合、得られる成形体がゲル状となるか否かは、原料のポリイソシアネート及びポリオールの種類と、イソチオシアン酸アリル、ポリイソシアネート及びポリオールの3者の配合比率とに依存する。表1は、ゲル状樹脂成形体の全重量に対するイソチオシアン酸アリルの含有量を40重量%とした場合において、ポリイソシアネート(イソシアヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート)と、ポリオール(グリセリルトリリシノレート)との配合比率を変化させた場合に、良好なゲル状体が得られるか否か試験した結果を示している。同様に、ゲル状樹脂成形体の全重量に対するイソチオシアン酸アリルの含有量を60重量%とした場合、及び80重量%とした場合の試験結果を表2及び表3にそれぞれ示した。
Figure 2006265558
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表1から表3の結果から、イソチオシアン酸アリルの含有量が低い場合には、ポリイソシアネートとポリオールとの比率に殆ど関係なくゲル化が生じるが、イソチオシアン酸アリルの含有量が多くなるに伴って、ポリイソシアネートとポリオールとの配合比率が等量に近い場合にのみゲル化が生じるようになることが分かる。
本発明に於いては、得られる組成物は上述のようにゲル状であるが、具体的には0.1〜100の範囲のゴム強度を有していることが好ましく、5〜85の範囲のゴム強度を有していることがより好ましい。ここで、本明細書中に於けるゴム強度とは、アスカーゴム硬度計C型を用いて測定した値である。ゴム強度が0.1より小さいと、成形体組成物がゲル状とならず、取扱性が悪くなるので好ましくない。また、ゴム強度が100より大きいと、成形体組成物が硬くなり、イソチオシアン酸アリルが成形体の内部から表面に速やかに移行しなくなり、イソチオシアン酸アリルの揮散性が低下するので好ましくない。
本発明のゲル状樹脂成形体組成物は種々の形状で使用することができ、例えば、塊状、シート状、フィルム状、粒状、粉末状等の他、例えば種々の形状の物品の表面に形成した皮膜状として使用することができる。このようなゲル状樹脂成形体組成物は、イソチオシアン酸アリルを長期間に亘って揮散するので、ゲル状忌避剤組成物又はゲル状抗菌防黴剤組成物として使用することができる。このようなゲル状樹脂成形体組成物は、揮散速度の調節ための収納体に収納した揮発性ゲル状包装薬剤として使用することが好ましい。
本発明のゲル状忌避剤組成物及び収納体入りゲル状忌避剤は、特に有害生物に対して使用することができる。ここで、有害生物としては、ゴキブリ、コクゾウムシ、白蟻、鼠、モグラ、犬、猫、鹿、カラス、熊、鳩等を挙げることができる。
本発明のゲル状忌避剤組成物及び収納体入りゲル状忌避剤は、ビル、家屋等の建築物の床下、天井等の居住空間に隣接する空間をはじめとして、貨物車、船、飛行機等の交通機関、倉庫(特に穀物倉庫)、温室(ガラス製、ビニールハウス等を含む)、タンス、押し入れ、米びつ、ゴミ収集場所、植林、庭、砂場、電気配線箇所、配電盤、鉄塔等、種々の場所で使用することができる。また、これらの場所に於いては、本発明のゲル状忌避剤及び収納体入りゲル状忌避剤は、据え置き、壁や天井等への張り付け、壁や天井等からの吊り下げ等の種々の方法によって設置することができる。
本発明のゲル状樹脂成形体組成物はイソチオシアン酸アリルを長期間に亘って揮散するので、ゲル状抗菌防黴剤組成物として使用することができる。本発明のゲル状樹脂成形体組成物は、イソチオシアン酸アリルの揮散速度の調節のための収納体に収納して、収納体入りゲル状抗菌防黴剤として使用することが好ましい。本発明のゲル状樹脂成形体組成物を収納体に収納することにより、イソチオシアン酸アリルの揮散速度をほぼ一様にすることができる。
本発明のゲル状抗菌防黴剤組成物及び収納体入りゲル状抗菌防黴剤は、例えば家庭用及び業務用冷蔵庫、掃除機、エアコン、換気扇等の電化製品、貨物車、船、飛行機等の交通機関、倉庫(特に穀物倉庫)、温室(ガラス製、ビニールハウス等を含む)、ビルや家屋等の建築物の床下及び天井、下駄箱、浴室、洗面台、台所、押し入れ等、種々の場所で使用することができる。また、これらの場所に於いては、本発明のゲル状抗菌防黴剤組成物及び収納体入りゲル状抗菌防黴剤は、据え置き、壁や天井等への張り付け、壁や天井等からの吊り下げ等の種々の方法によって設置することができる。
ここで、本発明のゲル状樹脂成形体組成物を収納する収納体としては、例えば図6に示すような容器を挙げることができる。この容器は、本発明のゲル状樹脂成形体組成物を収納する容器本体1と、容器本体1の開口部に取り外し可能に取り付けた蓋2と、この蓋2に設けた通気口3とを有している。この容器では、通気口3の大きさ及び数を変えることにより、イソチオシアン酸アリルの揮散速度を調節することができる。
また、本発明で使用する収納体として、イソチオシアン酸アリルを透過させ得る熱可塑性樹脂フィルムを有する包装袋を挙げることができる。このようなフィルムとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリアセタール及びこれらのラミネートフィルム等を挙げることができる。また、本発明では、上記フィルムと不織布等の他の包材とラミネートしたものも使用することができる。他の包材と組み合わせることにより、上記フィルムの強化を図ると共に、印刷などが可能となり、製品としての外観を向上させることができる。
本発明に於ける包装袋の一例として、図7に示すものを挙げることができる。この包装袋4は、イソチオシアン酸アリルを透過させ得るフィルムと不織布とをラミネートしたラミネートフィルムからなり、3箇所のシール部5,6及び7でシールすることにより、本発明のゲル状樹脂成形体組成物が収納されている。この包装袋4では、イソチオシアン酸アリル透過性のフィルムの厚さ及び種類を変えることにより、イソチオシアン酸アリルの揮散速度を調節することができる。
更に、上記の収納体の外側に、ガス透過性包材にラミネートされたアルミ箔を更に備えた構成とすることができる。このようなアルミ箔を備えたことにより、揮散性ゲル状包装薬剤の使用を開始するまで揮発性薬剤の揮散を抑制することが可能となる。
本発明のゲル状樹脂成形体組成物は、単独でも使用することができるが、各種香料を含有する公知の芳香剤や悪臭を防止するための公知の脱臭剤等と併用することもできる。
本発明の揮散性ゲル状包装薬剤の製造方法は、揮散性ゲル状包装薬剤がシート状である場合に適用することができる。シート状のゲル状包装薬剤は邪魔にならないため、応用範囲は非常に広いという利点がある。このようなシート状のゲル状包装薬剤は、例えば図7と同様の袋状の収納体に揮発性薬剤とゲル化剤とを含有する混合物をゲル化剤の硬化前に充填することにより得られる。薬剤とゲル化剤の充填後、袋状の収納体はそのまま重ね合わせるなどして保管することができ、製造工程を大幅に短縮することができる。
本発明に於いてゲル化剤として使用されるポリウレタン樹脂は、イソチオシアン酸アリル以外の揮散性薬剤のゲル化にも使用することができる。具体的には、忌避剤、防虫剤、殺菌剤、殺虫剤、抗菌剤、農薬等を挙げることができる。
忌避剤及び防虫剤としては、植物製油、天然香料、合成香料の他、各種の合成化学物質を挙げることができる。植物製油の具体例として、イソチオシアン酸アリルの他に、ヒノキオイル、ヒバオイル、月桃油、柑橘オイル、生姜オイル、杉油、トウガラシオイル、カラシオイル等を挙げることができる。また、天然香料及び合成香料の具体例として、ブーケオイル、ローズオイル、グリーンフローラル、ユーカリオイル、ラベンダーオイル、ジャスミンオイル、レモンオイル、薄荷油等を挙げることができる。合成化学物質の具体例としては、サリチル酸メチル、ジエチルトルアミド、ジメチルフタレート、安息香酸デナトニウム、フェネチルアルコール、ビス(2−クロロ−1−メチルエチル)エーテル、ナフタリン、C18のジアルキルフタレート、2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル 3−フェノキシ エーテル等を挙げることができる。
殺菌剤及び殺虫剤の具体例としては、イソチオシアン酸アリルの他、ジメチル−2,2−ジクロロビニルホスフェート(DDVP)、ピレトリン、パラチオン、クロルジメチルフェノール、ブロムメチルベンズアルデヒド等を挙げることができる。
抗菌剤の具体例としては、イソチオシアン酸アリルの他、ユーカリオイル、ヒバオイル、ヒノキチオール、リナロール、リモネン、ジエチルトルアミド、薄荷油、ヨモギオイル等を挙げることができる。
農薬の具体例としては、殺虫及び殺菌に使用されるものとして、ジメチル−2,2−ジクロロビニルホスフェート(DDVP)、o,o−ジメチル−o−(3−メチル−4−ニトロフェニル)チオホスフェート、ジメチルジカルベトキシエチルジチオホスフェート、2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル 3−フェノキシベンジル エーテル、ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィド等を挙げることができ、除草剤に使用されるものとして、S−(2−クロルベンジル) N,N−ジエチルチオカルバメート、S−ベンジル 1,2−ジメチルプロピル(エチル)チオカルバマート等を挙げることができ、薫蒸剤に使用されるものとして、メチルイソチオシアネート、臭化メチル、クロルピクリン等を挙げることができ、誘引剤に使用されるものとして、テレピン油、ピネン油等を挙げることができる。
揮散性薬剤として薄荷油又はジャスミンオイルを使用する場合には、薄荷油又はジャスミンオイルを20重量%より多く40重量%以下の範囲で含有していることが好ましい。この範囲が20重量%以下では、薄荷油又はジャスミンオイルの揮散量が少なく、揮散の持続期間が短くなるので好ましくない。また、上記範囲が40重量%より多いと、得られる組成物がゲル状とならないたので好ましくない。
ポリウレタンを樹脂基剤として使用する場合、得られる成形体がゲル状となるか否かは、原料のポリイソシアネート及びポリオールの種類と、揮散性薬剤、ポリイソシアネート及びポリオールの3者の配合比率とに依存する。表4〜表8は、揮散性薬剤として薄荷油を用い、ポリイソシアネート(イソシアヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート)と、ポリオール(グリセリルトリリシノレート)との配合比率を変化させた場合に、良好なゲル状体が得られるか否か試験した結果を示している。表4〜表8では、生成するゲル状樹脂成形体の全重量に対する薄荷油の含有量を、それぞれ5重量%、10重量%、20重量%、40重量%及び60重量%とした場合の結果が示されている。
表4〜表8の結果から、薄荷油の含有量が低い場合には、ポリイソシアネートとポリオールとの比率に殆ど関係なくゲル化が生じるが、薄荷油の含有量が多くなるに伴って、ポリイソシアネートとポリオールとの配合比率(重量比)が80:20に近い場合にのみ良好なゲルが形成されることが分かる。
Figure 2006265558
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同様に、表9〜表15は、揮散性薬剤としてジャスミンオイルを用い、ポリイソシアネート(イソシアヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート)と、ポリオール(グリセリルトリリシノレート)との配合比率を変化させた場合に、良好なゲル状体が得られるか否か試験した結果を示している。表9〜表15では、生成するゲル状樹脂成形体の全重量に対するジャスミンオイルの含有量を、それぞれ5重量%、10重量%、20重量%、40重量%及び60重量%とした場合の結果が示されている。
表9〜表15の結果から、ジャスミンオイルの含有量が低い場合には、ポリイソシアネートとポリオールとの比率に殆ど関係なくゲル化が生じるが、ジャスミンオイルの含有量が多くなるに伴って、ポリイソシアネートとポリオールとの配合比率(重量比)が80:20に近い場合にのみ良好なゲルが形成されることが分かる。
Figure 2006265558
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本発明の揮散性薬剤をポリウレタンをゲル化剤としてゲル化させた組成物は、具体的には、上述と同様に、アスカーゴム硬度計C型を用いて測定したゴム強度が0.1〜100の範囲のゴム強度を有していることが好ましく、5〜85の範囲のゴム強度を有していることがより好ましい。上述と同様に、ゴム強度が0.1より小さいと、成形体組成物がゲル状とならず、取扱性が悪くなるので好ましくない。また、ゴム強度が100より大きいと、成形体組成物が硬くなり、イソチオシアン酸アリルが成形体の内部から表面に速やかに移行しなくなり、イソチオシアン酸アリルの揮散性が低下するので好ましくない。
また、本発明の揮散性薬剤をポリウレタンをゲル化剤としてゲル化させたゲル状樹脂成形体組成物は種々の形状で使用することができ、例えば、塊状、シート状、フィルム状、粒状、粉末状等の他、例えば種々の形状の物品の表面に形成した皮膜状として使用することができる。このようなゲル状樹脂成形体組成物は、揮散性薬剤を長期間に亘って揮散するので、種々の用途に使用することができる。
(実施例1〜4)
表14の実施例1〜4の欄に示す配合比率で、同表の上より順に混合溶解した。最後にジブチルチンジラウレートを添加混合した後、内径35mm、高さ35mmのスチロール製容器に15g充填して室温下に静置した。充填から2時間後には流動性のないゲル状成形体となった。これらを実施例1〜4の収納体入りゲル状忌避剤とした。
Figure 2006265558
(実施例5〜8)
実施例1〜4と同様に、表14の実施例1〜4の欄に示す配合比率で、同表の上より順に混合溶解した。最後にジブチルチンジラウレートを添加混合した後、アルミ製の10cm×5cmの型枠に25g流し込み水平にして室温下に静置した。2時間後には流動性のない厚み0.5cmのゲル状成形体のシートとして得られた。
(実施例9〜11)
実施例6(イソチオシアン酸アリル含有率40%)で得られたシートを内側にポリエチレンをラミネートしたアルミ製の袋の片面に直径1cmの穴を3個設けたもの(6cm×6cmの大きさ)、ポリプロピレン製の袋(6cm×6cmの大きさ)及びポリエチレン製の袋(6cm×6cmの大きさ)にそれぞれ入れたものを実施例9〜11の収納体入りゲル状忌避剤とした。
<揮散性試験>
実施例1〜4のスチロール製容器入りのゲル状成形体を用いて、イソチオシアン酸アリルの揮散性試験を行った。その結果を図1〜4に示した。揮散率は、ゲルの初期重量に対する減量値の比率(重量%)で表した。比較のために、イソチオシアン酸アリルを液体のまま実施例1〜4と同じ容器に入れ、ゲル状成形体と並行して揮散テストを行った(比較例1〜4)。比較例1〜4に於ける液体のイソチオシアン酸アリルの重量は、対応する実施例1〜4のゲル中に含まれるイソチオシアン酸アリルと同重量である。
図1〜4から明らかなように、イソチオシアン酸アリルをゲル化することにより、イソチオシアン酸アリルの揮散速度をコントロールすることが可能となることが分かる。即ち、液状のイソチオシアン酸アリルでは何れも15日以内に全量揮散してしまうのに対して、ゲル化することにより2〜3ヶ月又はそれ以上の持続性を発揮することが分かる。
次に、実施例5〜8のゲル状成形体シートを用いて揮散性テストを行った。その結果を図5に示した。図5からも明らかなように、イソチオシアン酸アリルをゲル化することにより、イソチオシアン酸アリルの揮散速度をコントロールすることができる。
<忌避試験>
次に、実施例1〜4、実施例5〜8及び実施例9〜11の各ゲル状忌避剤を用いて、クマネズミの忌避試験を行った。図8に示すように、アクリル板からなる中央の部屋Tと、その周りに同じくアクリル板からなる部屋A,B,C及びDとを作製した。中央の部屋Tと各部屋A,B,C及びDとの間を金網の通路で連結し、部屋A,B,C及びDの入口はクマネズミが自由に出入り可能な扉で仕切ってある。中央の部屋Tはクマネズミの居住空間とし、部屋A,B,C及びDは餌場とした。
部屋Aには水と餌(固形飼料、野菜)のみを置き、部屋Bには水と餌(固形飼料、野菜)と実施例1〜4の容器入りゲル状忌避剤、部屋Cには水と餌(固形飼料、野菜)と実施例5〜8のゲル状忌避剤シート、部屋Dには水と餌(固形飼料、野菜)と実施例9〜11の包装袋入りゲル状忌避剤シートを入れた。各忌避剤のサンプルは、形状等が異なっていてもイソチオシアン酸アリルの総量が5gとなるように重量を調整して用いた。
上記のように設置した後、中央の部屋Tにクマネズミ5頭を放してクマネズミの状態を5日間観察し、水と餌の減量をチェックする。ゲル状忌避剤のサンプルはそのままの状態に保ち、1ケ月後、改めて各部屋A〜Dに水と餌を入れ、新しいクマネズミを入れ、5日間観察し、水と餌の減量をチェックする。この試験を1ヶ月毎に繰り返し行うことにより、忌避効果の評価を行った。
部屋Bでは、上述のように実施例1〜4の容器入りの忌避剤を用いて試験を行った。実施例4の忌避剤(イソチオシアン酸アリル含有率80%)では2ヶ月後、実施例3の忌避剤(イソチオシアン酸アリル含有率60%)では4ヶ月後、実施例2の忌避剤(イソチオシアン酸アリル含有率40%)では8ヶ月後、実施例1の忌避剤(イソチオシアン酸アリル含有率25%)では10ヶ月後にそれぞれ餌が減り始めた。また、実施例1〜4の忌避剤に直径1mmの穴20個を設けた内蓋をしたものは1年を経過しても餌の採取が認められなかった。
また、部屋Cでは、実施例5〜8のシート状の忌避剤を用いて試験を行った。実施例8のシート状忌避剤(イソチオシアン酸アリル含有率80%)では1ヶ月後、実施例7のシート状忌避剤(イソチオシアン酸アリル含有率60%)では1.5ヶ月後、実施例6のシート状忌避剤(イソチオシアン酸アリル含有率40%)では2ヶ月後、実施例5のシート状忌避剤(イソチオシアン酸アリル含有率25%)では3ヶ月後にそれぞれ餌が減り始めた。
部屋Dでは、実施例9〜11(何れもイソチオシアン酸アリル含有率40%)のポリエチレン包装、ポリプロピレン包装及びアルミ包装した忌避剤は、何れも4ヶ月後に餌が減り始めた。
以上の結果から、実施例1〜11の何れも、長期に亘ってクマネズミに対する忌避効果を発揮することが分かる。
なお、上記ではクマネズミに対する忌避効果を調べたが、本発明のゲル状樹脂成形体組成物は、例えばゴキブリ、コクゾウムシ、白蟻、モグラ、犬、猫、鹿、カラス、熊、鳩等の他の有害生物に対しても忌避効果を発揮することを確認した。
(実施例12〜14)
表14に示す配合比率で、同表の上より順に混合溶解した。次に、これにジブチルチンジラウレートを添加混合して薬剤混合物を調製した。この薬剤混合物5gを内辺が4.5cm×4.5cmのポリプロピレン製の袋状の収納体に充填し、ヒートシールにより密封した。これを水平に放置し、充填から3時間後には流動性のないシート状の揮散性ゲル状包装薬剤を得た。
(実施例15〜17)
実施例12〜14の配合(表14)により調製した薬剤混合物5gを、ポリプロピレン製の袋状の収納体に充填した後、ゲル化前に、内面にポリエチレンフィルムをラミネートしたアルミ箔の袋に入れた。これを水平に放置し、充填から3時間後には流動性のないシート状の揮散性ゲル状包装薬剤を得た。
(実施例18〜20)
実施例12〜14と同様の配合(表14)により薬剤混合物を調製した。この薬剤混合物5gを、内辺が4.5cm×4.5cmの、内面にポリエチレンフィルムをラミネートしたアルミ箔の袋状の収納体に充填し、ヒートシールにより密封した。これを水平に放置し、充填から3時間後には流動性のないシート状の揮散性ゲル状包装薬剤を得た。
(比較例5〜7)
実施例12〜14と同様の配合(表14)により薬剤混合物を調製した。この薬剤混合物5gを、アルミ製の4.5cm×4.5cmの型枠に流し込み、水平にして室温下に静置した。3時間後には流動性のないシート状のゲル状樹脂成形体組成物として得られた。
<揮散性試験>
実施例12〜14の揮散性ゲル状包装薬剤と、アルミ箔を剥がした実施例15〜17の揮散性ゲル状包装薬剤と、アルミ箔を剥がした実施例18〜20の揮散性ゲル状包装薬剤と、比較例5〜7のシート状ゲル状樹脂成形体組成物を用いて、イソチオシアン酸アリルの揮散性試験を行った。その結果、収納体に入っていない比較例5〜7のゲル状樹脂成形体組成物では、何れも50日以内に殆どのイソチオシアン酸アリルが揮発してしまったのに対して、実施例12〜20の揮散性ゲル状包装薬剤では、3〜4ヶ月又はそれ以上に亘り、イソチオシアン酸アリルの揮散持続性を発揮した。
(実施例21及び22)
表15の実施例21及び22に示す配合比率で、同表の上より順に混合溶解した。最後にジブチルチンジラウレートを添加混合した後、内径35mm、高さ35mmのスチロール製容器に15g充填して室温下に静置した。充填から2時間後には流動性のないゲル状成形体となった。これらを実施例21及び22の収納体入りゲル状忌避剤とした。
Figure 2006265558
(実施例23及び24)
実施例21及び22と同様に、表15の実施例21及び22の欄に示す配合比率で、同表の上より順に混合溶解した。最後にジブチルチンジラウレートを添加混合した後、アルミ製の10cm×5cmの型枠に25g流し込み水平にして室温下に静置した。2時間後には流動性のない厚み0.5cmのゲル状成形体のシートとして得られた。
<揮散性試験>
実施例21及び22のスチロール製容器入りのゲル状成形体を用いて、薄荷油及びジャスミンオイルの揮散性試験を行った。その結果を図9及び図11にそれぞれ示した。揮散率は、ゲルの初期重量に対する減量値の比率(重量%)で表した。比較のために、薄荷油及びジャスミンオイルを液体のまま実施例21及び22と同じ容器に入れ、ゲル状成形体と並行して揮散テストを行った(比較例8及び9)。比較例8及び9に於ける液体の薄荷油及びジャスミンオイルのそれぞれの重量は、対応する実施例21及び22のゲル中にそれぞれ含まれる薄荷油及びジャスミンオイルと同重量である。
図9及び図11から明らかなように、薄荷油及びジャスミンオイルをゲル化することにより、その揮散速度をコントロールすることが可能となることが分かる。即ち、液状の薄荷油及びジャスミンオイルでは何れも60日以内に全量揮散してしまうのに対して、ゲル化することにより8ヶ月又はそれ以上の持続性を発揮することが分かる。
次に、実施例23及び24のゲル状成形体シートを用いて揮散性テストを行った。その結果を図10及び図12にそれぞれ示した。図10及び図12からも明らかなように、薄荷油及びジャスミンオイルをゲル化することにより、その揮散速度をコントロールすることができる。
なお、上記では、バッチ式で薬剤混合物を調製する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えばスタティックミキサーを用いて連続式で調製する場合にも適用することができる。
以上説明したように、本発明のゲル状樹脂成形体組成物は、イソチオシアン酸アリルと樹脂基剤とを含有する樹脂成形体がゲル状であるので、有効成分であるイソチオシアン酸アリルの成形体表面への経時的な移動が可能となり、有害生物の忌避剤、抗菌防黴剤等として使用した場合の持続期間を長くすることができる。
また、ゲル状樹脂成形体の全重量に対して、イソチオシアン酸アリルを20重量%より多く85重量%以下の範囲で含有しているので、イソチオシアン酸アリルの揮散を長期間に亘って維持することができる。
従って、本発明のイソチオシアン酸アリルを含有するゲル状樹脂成形体組成物は、長期間に亘って有害生物の忌避剤、抗菌防黴剤等としての効果を発揮することが可能である。
更に、本発明の収納体入りゲル状忌避剤及び収納体入りゲル状抗菌防黴剤は、比較的揮散性の高いイソチオシアン酸アリルの揮散をコントロールし得るので、更に長期に亘って忌避剤及び抗菌防黴剤としての効果を発揮することが可能である。
また、本発明の揮散性ゲル状包装薬剤の製造方法によれば、揮発性薬剤とゲル化剤とを含有する薬剤混合物を、ゲル化剤の硬化前に収納体に充填するので、ゲル化剤の硬化が完了するまで放置する必要がなくなり、製造工程を大幅に短縮することができる。
加えて、本発明の揮散性薬剤をポリウレタンをゲル化剤として用いてゲル化したゲル状樹脂成形体組成物では、有効成分である揮散性物質がゲル内に保持されるので、揮散性物質の成形体表面への経時的な移動が可能となり、長期に亘り揮散性薬剤の揮散を持続させることができる。
本発明のゲル状樹脂成形体組成物及び揮散性ゲル状包装薬剤は、薬剤の揮散を長期に亘って持続するので、忌避剤等の分野で利用可能である。
図1は、イソチオシアン酸アリルの含有量25%のゲル状忌避剤組成物を収納したスチロール製容器の収納体入りゲル状忌避剤の揮散性試験の結果を示している。 図2は、イソチオシアン酸アリルの含有量40%のゲル状忌避剤組成物を収納したスチロール製容器の収納体入りゲル状忌避剤の揮散性試験の結果を示している。 図3は、イソチオシアン酸アリルの含有量60%のゲル状忌避剤組成物を収納したスチロール製容器の収納体入りゲル状忌避剤の揮散性試験の結果を示している。 図4は、イソチオシアン酸アリルの含有量80%のゲル状忌避剤組成物を収納したスチロール製容器の収納体入りゲル状忌避剤の揮散性試験の結果を示している。 図5は、ゲル状成形体シートを用いた揮散性試験の結果を示す図である。 図6は、ゲル状成形体組成物を収納する容器の一例を示す図である。 図7は、ゲル状成形体組成物を収納する包装袋の一例を示す図である。 図8は、忌避試験を行うための部屋A〜B及びTの配置図である。 図9は、スチロール製容器入りのゲル状成形体を用いて、薄荷油の揮散性試験を行なった結果を示す図である。 図10は、薄荷油のゲル状成形体シートを用いて揮散性テストを行った結果を示す図である。 図11は、スチロール製容器入りのゲル状成形体を用いて、ジャスミンオイルの揮散性試験を行なった結果を示す図である。 図12は、ジャスミンオイルのゲル状成形体シートを用いて揮散性テストを行った結果を示す図である。

Claims (11)

  1. 揮散性薬剤とポリウレタンとを含有することを特徴とするゲル状樹脂成形体組成物。
  2. 前記ゲル状樹脂成形体のゴム硬度が、0.1〜100の範囲であることを特徴とする請求項1記載のゲル状樹脂成形体組成物。
  3. 前記ポリウレタンは、イソシアネートの官能基数が2以上のポリイソシアネートから調製されることを特徴とする請求項1又は2記載のゲル状樹脂成形体組成物。
  4. 前記ポリウレタンは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、これらのイソシアヌレート変性体,ビュレット変性体及び誘導体、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、並びに水添ジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選択されるポリイソシアネート化合物から調製されることを特徴とする請求項3記載のゲル状樹脂成形体組成物。
  5. 前記揮散性薬剤が、忌避剤、防虫剤、殺菌剤、殺虫剤、抗菌剤及び農薬からなる群から選択される化合物である請求項1乃至4の何れかに記載のゲル状樹脂成形体組成物。
  6. 前記揮散性薬剤が薄荷油である請求項5記載のゲル状樹脂成形体組成物。
  7. 前記ゲル状樹脂成形体の全重量に対して、前記薄荷油を20重量%より多く40重量%以下の範囲で含有していることを特徴とする請求項6記載のゲル状樹脂成形体組成物。
  8. 前記揮散性薬剤がジャスミンオイルである請求項5記載のゲル状樹脂成形体組成物。
  9. 前記ゲル状樹脂成形体の全重量に対して、前記ジャスミンオイルを20重量%より多く40重量%以下の範囲で含有していることを特徴とする請求項8記載のゲル状樹脂成形体組成物。
  10. 前記ゲル状樹脂成形体が、塊状、シート状、フィルム状、粒状、粉末状又は皮膜状であることを特徴とする請求項1項乃至9の何れかに記載のゲル状樹脂成形体組成物。
  11. 請求項1項乃至10の何れかに記載のゲル状樹脂成形体組成物を前記揮散性薬剤の揮散速度の調節ための収納体に収納したことを特徴とする揮発性ゲル状包装薬剤。
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