JP2006234004A - 電磁弁及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】外径が決まっているコイルにおいて、被覆ワイヤの巻き数を増やすこと。
【解決手段】リヤヨーク5と、リヤヨーク5の内周面5eにて移動可能に支持される円柱状のプランジャ9と、リヤヨーク5に同軸に設けられると共にプランジャ9に対向するフロントヨーク3と、フロントヨーク3とリヤヨーク5とを連結するスリーブ7と、フロントヨーク3及びリヤヨーク5の外側に設けられ、被覆ワイヤが巻かれて成る筒状のコイル11と、フロントヨーク3、リヤヨーク5、プランジャ9、及びコイル11を同軸に収容すると共に、コイル11の外径を規定する円筒状のケース1と、を備えるリニア電磁弁10において、フロントヨーク3及びリヤヨーク5の外周面3c、5cに絶縁皮膜8を形成すると共に、コイル11を形成すべく被覆ワイヤを絶縁皮膜8を介してフロントヨーク3及びリヤヨーク5の外周面3c、5cに巻く構成としたこと。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電磁弁及びその製造方法に関する。
公知の電磁弁として、後述の特許文献1に記載のものがある。この電磁弁は、筒状のボビンと、ボビンの内周にて移動可能に設けられる可動コアと、可動コアの端部に対向する固定コアと、可動コアの移動に応じて流体流路を連通・遮断する球状の弁体と、可動コアを付勢するスプリングとを備えている。ボビンは樹脂製であり、このボビンの外周に被覆ワイヤが巻かれることで、コイルが形成されている。コイルへの給電が成されると、可動コアと固定コアとの間に吸引力が発生し、可動コアが固定コアに向かって動かされる。
特開2001−343086号公報(図1参照)
上述した電磁弁において、可動コアを動かすための吸引力の大きさは、コイルを形成する被覆ワイヤの巻き数が多いほど大きくなる。被覆ワイヤの巻き数を増やすためには、コイルの外径が決まっている場合、一例として、コイルの内径を小さくする方法が考えられる。この方法は、被覆ワイヤが巻かれるボビンの径方向の厚みを小さくすることで達成される。
しかしながら、ボビンにおいては、被覆ワイヤが巻かれる時のテンションに耐え得る強度を持っていなければならず、その径方向の厚みを小さくできる程度にも限界があった。
よって、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、外径が決まっているコイルにおいて、被覆ワイヤの巻き数を増やすことを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明にて講じた技術的手段は、請求項1に記載の様に、円筒状を成す第1ヨークと、第1ヨークの内周面にて移動可能に支持される円柱状の可動子と、円筒状を成し、第1ヨークに同軸に設けられると共に可動子に対向する第2ヨークと、第1ヨークと第2ヨークとを連結する中間部材と、可動子の径方向に関して第1ヨーク及び第2ヨークの外側に設けられ、被覆ワイヤが巻かれて成る筒状のコイルと、第1ヨーク、第2ヨーク、可動子、及びコイルを同軸に収容すると共に、コイルの外径を規定する円筒状のケースと、を備え、コイルへの給電にともなって第2ヨークと可動子との間に作用する吸引力により、可動子が第2ヨークに向かって動かされる電磁弁において、第1ヨーク及び第2ヨークの外周面に絶縁皮膜が形成されると共に、コイルを形成すべく被覆ワイヤが絶縁皮膜を介して第1ヨーク及び第2ヨークの外周面に巻かれる構成としたことである。
上記課題を解決するために、本発明にて講じた第2の技術的手段は、請求項2に記載の様に、円筒状を成す第1ヨークと、第1ヨークの内周面にて移動可能に支持される円柱状の可動子と、円筒状を成し、第1ヨークに同軸に設けられると共に可動子に対向する第2ヨークと、第1ヨークと第2ヨークとを連結する中間部材と、可動子の径方向に関して第1ヨーク及び第2ヨークの外側に設けられ、被覆ワイヤが巻かれて成る筒状のコイルと、を備える電磁弁の製造方法において、中間部材を介して第1ヨークと第2ヨークとを連結固定する第1工程と、第1ヨークと第2ヨークの外周面に絶縁皮膜を形成する第2工程と、コイルを形成すべく被覆ワイヤを絶縁皮膜を介して第1ヨーク及び第2ヨークの外周面に巻く第3工程と、を備える構成としたことである。
請求項1に記載の発明によれば、第1ヨーク及び第2ヨークの外周面に絶縁皮膜が形成され、被覆ワイヤが絶縁皮膜を介して第1ヨーク及び第2ヨークの外周面に巻かれることで、コイルが形成される。この構造においては、コイルを形成するためのボビンを第1ヨーク及び第2ヨークの外側に設ける必要がない。これにより、コイルの外径はケースによって規定されているものの、ボビンの厚みと絶縁皮膜の厚みとの差の分だけ、コイルの内径は相対的に小さくなり、この小さくなった分だけ、被覆ワイヤの巻き数を増やすことができる。その結果、同程度のサイズを持った電磁弁と比較した場合には、より大きな吸引力が作用し、電磁弁の性能が向上する。
請求項2に記載の発明によれば、第1ヨーク及び第2ヨークの外周面に絶縁皮膜が形成され、被覆ワイヤが絶縁皮膜を介して第1ヨーク及び第2ヨークの外周面に巻かれることで、コイルが形成される。この構造においては、コイルを形成するためのボビンを第1ヨーク及び第2ヨークの外側に設ける必要がない。これにより、第1ヨーク及び第2ヨークをボビンに嵌合する作業が不要となり、電磁弁の製造をより効率よく行うことができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を基に説明する。
図1は、本発明に係るリニア電磁弁10(電磁弁)の軸方向断面図である。本リニア電磁弁は、図示しないが、例えば車両のオートマチックトランスミッション等の外部制御対象を制御するために使用される流体の圧力・流量等を制御する電磁弁である。まず、機械的構成について説明する。
図1において、円筒状を呈したケース1は、磁性体により形成されている。ケース1の内部には、小径部3a及び大径部3bを有する段付き円筒状を呈した磁性体よりなるフロントヨーク3(第2ヨーク)と、小径部5a、大径部5b及び段部5fを有する段付き円筒状を呈した磁性体よりなるリヤヨーク5(第1ヨーク)とが同軸に収容されている。フロントヨーク3の大径部3b、リヤヨーク5の大径部5bは、ケース1の内周面1aにそれぞれ嵌合されている。フロントヨーク3の小径部3aは、リヤヨーク5の小径部5aとほぼ同じ外径に形成されている。リヤヨーク5において、段部5fの外径は、小径部5aの外径よりも大きく、且つ大径部5bの外径よりも小さく形成されている。リヤヨーク5の右端には、板状のストッパ5dが固定されている。リニア電磁弁10の軸方向(図1示左右方向)に関して、フロントヨーク3とリヤヨーク5との間には、非磁性体よりなるスリーブ7(中間部材)が設けられている。スリーブ7は、フロントヨーク3とリヤヨーク5とを連結している。つまり、フロントヨーク3とリヤヨーク5とが、スリーブ7を介して一体化されている。
また、フロントヨーク3の外周面3c、リヤヨーク5の外周面5cには、絶縁皮膜8が形成されている。絶縁皮膜8として、例えば、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)を用いることが可能である。絶縁皮膜8は、本実施形態においては、数ミクロン〜数十ミクロン程度の厚みを有する薄膜となっている。
プランジャ9(可動子)は、略円柱状を呈した磁性体よりなり、リヤヨーク5の内周面5eにて、軸方向に摺動可能に支持されている。プランジャ9の左端面とフロントヨーク3の右端面との間には磁気ギャップが設けられ、プランジャ9の左端面とフロントヨーク3の右端面とが互いに対向している。結果として、ケース1、リヤヨーク5、プランジャ9及びフロントヨーク3により磁気回路を形成している。この磁気回路においては、プランジャ9が軸方向に関して左方に移動した場合であっても、リヤヨーク5に設けられた段部5fにより、リヤヨーク5とプランジャ9との間の磁束の通り道が十分に確保される。これにより、リニア電磁弁10における吸引力特性は、プランジャ9の軸方向位置(ストローク位置)にかかわらず安定したものとなる。
コイル11は、プランジャ9の径方向に関して、フロントヨーク3及びリヤヨーク5の外側に設けられている。コイル11は、円筒状を成し、ケース1内に同軸に収容されている。これにより、コイル11の外径が規定されている。コイル11は、絶縁皮膜8を介して被覆ワイヤ(図示なし)をフロントヨーク3、リヤヨーク5の外周面3c、5cに巻くことにより形成されている。
スリーブ13は、その右端の外周面13bにて、フロントヨーク3の大径部3bに嵌合されている。スリーブ13の内部には、スプール15が軸方向に往復運動可能に収容されている。スリーブ13に設けられた流体出入口13aは、スプール15の軸方向位置によりその流路の切り替え及び流路の開口面積の調整ができるようになっている。このスリーブ13は、図示しない外部制御対象に一体的に装着され、スリーブ13内のスプール15の軸方向位置により、外部制御対象の制御に使用される流体の圧力・流量等を制御することができる。
スプール15は、複数段を有する段付き円柱状をなす非磁性体よりなり、スリーブ13の左端に固定されたストッパ13cにて一端を支持されたスプリング17により、右方向に常時付勢されている。スプール15の右端は、プランジャ9の左端面に当接している。つまり、プランジャ9も、スプール15を介してスプリング17の付勢力により常時右方に付勢されている。従って、プランジャ9とスプール15とは、常に一体的に軸方向に移動する。なお、プランジャ9の右方向への移動は、リヤヨーク5の右端に固定されたストッパ5dにより規制されている。
コネクタ19は樹脂よりなり、ケース1に設けられている。コネクタ19には、ターミナル端子19aが一体成形されている。ターミナル端子19aは、コイル11と電気的に接続されている。よって、このターミナル端子19aを図示しない通電電流制御装置等に電気的に接続することにより、コイル11に通電する電流が制御される。
次に、本発明に係るリニア電磁弁10の製造方法について、図2(a)〜(c)を参照して説明する。図2(a)〜(c)は、リニア電磁弁10の製造方法を模式的に示す図である。
まず、図2(a)に示す様に、スリーブ7を介してフロントヨーク3とリヤヨーク5とを連結する。この段階で、フロントヨーク3とリヤヨーク5とを、スリーブ7を介して予め連結固定する。
次に、図2(b)に示す様に、スリーブ7を介して連結固定されたフロントヨーク3、リヤヨーク5の外周面3c、5cに、コーティングにより絶縁皮膜8を形成する。なお、フロントヨーク3の外周面3c、リヤヨーク5の外周面5cに絶縁皮膜8をそれぞれ別個に形成した後、スリーブ7を介してこれらのフロントヨーク3、リヤヨーク5を連結固定しても良い。
続いて、絶縁皮膜8を介して、フロントヨーク3、リヤヨーク5の外周面3c、5cに被覆ワイヤを巻く。これにより、図2(c)に示す様に、フロントヨーク3及びリヤヨーク5の径方向外側にコイル11が形成される。
図2(a)〜(c)に示す手順を終えた後、プランジャ9、ケース1等の構成部品を組み付けることにより、図1に示すリニア電磁弁10が製造される。
次に、本発明に係るリニア電磁弁10の作動を説明する。
コイル11への給電が成されない状態では、プランジャ9は、スプリング17の付勢力により右方向に付勢され、リヤヨーク5のストッパ5dに当接している。この状態にて図示しない通電電流制御装置等を作動させコイル11に給電が成されると、上述した磁気回路に磁束が発生し、プランジャ9は、フロントヨーク3に向かって軸方向に吸引され、スプリング17の付勢力に対抗して左方向に移動し、このスプリング17の付勢力と吸引力が釣り合う位置にてプランジャ9の軸方向位置が決定される。このプランジャ9の左方向への移動に伴い、スプール15も左方向に移動する。従って、かかる通電電流制御装置等を作動させてコイル11への給電量を制御することにより、プランジャ9に作用する軸方向吸引力を調整し、プランジャ9の軸方向位置、すなわちスプール15の軸方向位置を連続的に(リニアに)制御することができる。これにより、外部制御対象の制御に使用される流体の圧力・流量等をリニア制御することができる。
以上説明した様に、本発明のリニア電磁弁10によれば、フロントヨーク3及びリヤヨーク5の外周面3c、5cに絶縁皮膜8が形成され、被覆ワイヤが絶縁皮膜8を介してフロントヨーク3及びリヤヨーク5の外周面3c、5cに巻かれることで、コイル11が形成される。この構造においては、コイル11を形成するためのボビンをフロントヨーク3及びリヤヨーク5の外側に設ける必要がない。これにより、コイル11の外径はケース1によって規定されているものの、ボビンの厚みと絶縁皮膜8の厚みとの差の分だけ、コイル11の内径は相対的に小さくなり、この小さくなった分だけ、被覆ワイヤの巻き数を増やすことができる。その結果、同程度のサイズを持った電磁弁と比較した場合には、より大きな吸引力が作用し、電磁弁の性能が向上する。
また、本発明によれば、フロントヨーク3及リヤヨーク5をボビンに嵌合する作業が不要となり、リニア電磁弁10の製造をより効率よく行うことができる。
本発明に係るリニア電磁弁10の軸方向断面図。 リニア電磁弁10の製造方法を模式的に示す図。
符号の説明
1 ケース
3 フロントヨーク(第2ヨーク)
3c 外周面
5 リヤヨーク(第1ヨーク)
5c 外周面
5e 内周面
7 スリーブ(中間部材)
8 絶縁皮膜
9 プランジャ(可動子)
10 リニア電磁弁(電磁弁)
11 コイル

Claims (2)

  1. 円筒状を成す第1ヨークと、該第1ヨークの内周面にて移動可能に支持される円柱状の可動子と、円筒状を成し、前記第1ヨークに同軸に設けられると共に前記可動子に対向する第2ヨークと、前記第1ヨークと前記第2ヨークとを連結する中間部材と、前記可動子の径方向に関して前記第1ヨーク及び前記第2ヨークの外側に設けられ、被覆ワイヤが巻かれて成る筒状のコイルと、前記第1ヨーク、前記第2ヨーク、前記可動子、及び前記コイルを同軸に収容すると共に、該コイルの外径を規定する円筒状のケースと、を備え、前記コイルへの給電にともなって前記第2ヨークと前記可動子との間に作用する吸引力により、前記可動子が前記第2ヨークに向かって動かされる電磁弁において、
    前記第1ヨーク及び前記第2ヨークの外周面に絶縁皮膜が形成されると共に、前記コイルを形成すべく前記被覆ワイヤが前記絶縁皮膜を介して前記第1ヨーク及び前記第2ヨークの外周面に巻かれることを特徴とする電磁弁。
  2. 円筒状を成す第1ヨークと、該第1ヨークの内周面にて移動可能に支持される円柱状の可動子と、円筒状を成し、前記第1ヨークに同軸に設けられると共に前記可動子に対向する第2ヨークと、前記第1ヨークと前記第2ヨークとを連結する中間部材と、前記可動子の径方向に関して前記第1ヨーク及び前記第2ヨークの外側に設けられ、被覆ワイヤが巻かれて成る筒状のコイルとを備える電磁弁の製造方法において、
    前記中間部材を介して前記第1ヨークと前記第2ヨークとを連結固定する第1工程と、
    前記第1ヨークと前記第2ヨークの外周面に絶縁皮膜を形成する第2工程と、
    前記コイルを形成すべく前記被覆ワイヤを前記絶縁皮膜を介して前記第1ヨーク及び前記第2ヨークの外周面に巻く第3工程と、
    を備えることを特徴とする電磁弁の製造方法。
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