JP2006229142A - 冷却装置および冷却装置を有する電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、液状冷媒を短時間のうちに効率良く循環経路に充填できる冷却装置を得ることにある。
【解決手段】冷却装置(14)は、液状冷媒が流れる循環経路(17)と、循環経路に沿って液状冷媒を循環させるポンプ(15)とを備えている。ポンプは、液状冷媒が流入するポンプ室(31)を有するポンプケーシング(18)と、ポンプケーシングのポンプ室に収容され、液状冷媒をポンプ室から循環経路に押し出す羽根車(35)とを有している。ポンプケーシングに注入口(50)が形成されている。注入口は、ポンプ室に液状冷媒を注入するためのものであり、注入時を除き閉塞部材(55)で塞がれている。
【選択図】 図11
【解決手段】冷却装置(14)は、液状冷媒が流れる循環経路(17)と、循環経路に沿って液状冷媒を循環させるポンプ(15)とを備えている。ポンプは、液状冷媒が流入するポンプ室(31)を有するポンプケーシング(18)と、ポンプケーシングのポンプ室に収容され、液状冷媒をポンプ室から循環経路に押し出す羽根車(35)とを有している。ポンプケーシングに注入口(50)が形成されている。注入口は、ポンプ室に液状冷媒を注入するためのものであり、注入時を除き閉塞部材(55)で塞がれている。
【選択図】 図11
Description
本発明は、例えばCPUのような発熱体を液状冷媒を用いて冷却する液冷式の冷却装置、および上記冷却装置を搭載したポータブルコンピュータのような電子機器に関する。
CPUは、例えばポータブルコンピュータのような電子機器に組み込まれている。CPUが動作する際に発する熱は、処理速度の高速化や多機能化に伴い増加している。CPUの温度が高くなり過ぎると、CPUの効率的な動作が失われたり、動作不能に陥るといった問題が生じてくる。
CPUの放熱性能を高めるため、近年、いわゆる液冷式の冷却装置が実用化されている。この冷却装置では、空気よりも遥かに高い比熱を有する液状冷媒を用いてCPUを冷却している。
従来の冷却装置は、CPUに熱的に接続された受熱部と、CPUの熱を放出する放熱部と、上記受熱部と上記放熱部との間を接続する循環経路と、この循環経路に沿って液状冷媒を循環させるポンプとを備えている。
液状冷媒は、受熱部での熱交換によりCPUの熱を吸収する。これにより加熱された液状冷媒は、循環経路を通じて放熱部に送られるとともに、この放熱部を通過する過程でCPUの熱を放出する。放熱部で冷却された液状冷媒は、循環経路を通じて受熱部に戻り、再びCPUの熱を吸収する。この液状冷媒の循環により、CPUの熱が順次放熱部に移送されて、ここからポータブルコンピュータの外に放出される。
ところで、従来の冷却装置は、循環経路の途中にリザーブタンクを備えている。リザーブタンクは、液状冷媒の蒸発分を補充するためのものであり、一定量の液状冷媒を貯えている。さらに、リザーブタンクは注入口を有している。注入口は、循環経路に液状冷媒を注入する際に使用するためのものであり、液状冷媒の注入時を除いて取り外し可能なキャップで塞がれている(例えば、特許文献1参照)。
米国特許明細書第6,519,147 B2号明細書(コラム9、図2、図10、図11)
特許文献1に開示された冷却装置によると、液状冷媒は、受熱部と放熱部との間を循環経路を介して接続した後、リザーブタンクの注入口から循環経路に充填される。ところが、循環経路の配管が完了した状態では、この循環経路の内部が外気から遮蔽された密閉空間となっている。そのため、注入口から液状冷媒を注入しても、循環経路の内部やポンプの内部に残留している空気によって液状冷媒の流れが妨げられてしまい、液状冷媒がポンプに到達するまで長時間を要する。
この結果、ポンプを駆動して液状冷媒を循環経路に送り込もうとしても、ポンプを有効に働かせるまでの待ち時間が長くなる。よって、循環経路を液状冷媒で満たす作業に時間がかかるといった不具合がある。
本発明の目的は、液状冷媒を短時間のうちに効率良く循環経路に充填することができる冷却装置を得ることにある。
本発明の他の目的は、液状冷媒の充填時間を短縮できる液冷式の冷却装置を搭載した電子機器を得ることにある。
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る冷却装置は、
液状冷媒が流れる循環経路と、上記循環経路に設けられ、上記液状冷媒を上記循環経路に沿って循環させるポンプと、を具備している。
上記ポンプは、上記液状冷媒が流入するポンプ室を有するポンプケーシングと、上記ポンプケーシングのポンプ室に収容され、上記液状冷媒を上記ポンプ室から上記循環経路に押し出す羽根車と、上記ポンプケーシングに設けられ、上記ポンプ室に上記液状冷媒を注入するための注入孔と、上記注入孔を閉塞する閉塞部材と、を備えていることを特徴としている。
液状冷媒が流れる循環経路と、上記循環経路に設けられ、上記液状冷媒を上記循環経路に沿って循環させるポンプと、を具備している。
上記ポンプは、上記液状冷媒が流入するポンプ室を有するポンプケーシングと、上記ポンプケーシングのポンプ室に収容され、上記液状冷媒を上記ポンプ室から上記循環経路に押し出す羽根車と、上記ポンプケーシングに設けられ、上記ポンプ室に上記液状冷媒を注入するための注入孔と、上記注入孔を閉塞する閉塞部材と、を備えていることを特徴としている。
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る電子機器は、
発熱体を有する筐体と、上記筐体に収容され、液状冷媒を用いて上記発熱体を冷却する冷却装置と、を具備している。
上記冷却装置は、上記液状冷媒が流れる循環経路と、上記循環経路に設けられ、上記循環経路に沿って上記液状冷媒を循環させるポンプとを含み、
上記ポンプは、上記液状冷媒が流入するポンプ室を有するポンプケーシングと、上記ポンプケーシングのポンプ室に収容され、上記液状冷媒を上記ポンプ室から上記循環経路に押し出す羽根車と、上記ポンプケーシングに設けられ、上記ポンプ室に上記液状冷媒を注入するための注入孔と、上記注入孔を閉塞する閉塞部材と、を備えていることを特徴としている。
発熱体を有する筐体と、上記筐体に収容され、液状冷媒を用いて上記発熱体を冷却する冷却装置と、を具備している。
上記冷却装置は、上記液状冷媒が流れる循環経路と、上記循環経路に設けられ、上記循環経路に沿って上記液状冷媒を循環させるポンプとを含み、
上記ポンプは、上記液状冷媒が流入するポンプ室を有するポンプケーシングと、上記ポンプケーシングのポンプ室に収容され、上記液状冷媒を上記ポンプ室から上記循環経路に押し出す羽根車と、上記ポンプケーシングに設けられ、上記ポンプ室に上記液状冷媒を注入するための注入孔と、上記注入孔を閉塞する閉塞部材と、を備えていることを特徴としている。
本発明によれば、液状冷媒を直接ポンプ室に注入することができ、短時間のうちにポンプ室を液状冷媒で満たすことができる。このため、ポンプを有効に働かせる状態に速やかに移行することができ、このポンプを利用して液状冷媒を効率良く循環経路に充填することができる。
以下本発明の実施の形態を、ポータブルコンピュータに適用した図面に基づいて説明する。
図1は、電子機器の一例であるポータブルコンピュータ1を開示している。ポータブルコンピュータ1は、本体ユニット2と表示ユニット3とを備えている。本体ユニット2は、偏平な箱状の第1の筐体4を有している。第1の筐体4は、上壁4a、底壁4b、左右の側壁4c、前壁4dおよび後壁4eを有している。上壁4aは、キーボード5を支持している。後壁4eは、図2に示すような複数の排気出口6を有している。
表示ユニット3は、第2の筐体8と液晶表示パネル9とを備えている。液晶表示パネル9は、第2の筐体8に収容されている。液晶表示パネル9は、画像を表示するスクリーン9aを有している。スクリーン9aは、第2の筐体8の前面に形成した開口部10を通じて第2の筐体8の外方に露出している。
第2の筐体8は、第1の筐体4の後端部に図示しないヒンジを介して支持されている。そのため、表示ユニット3は、キーボード5を上方から覆うように本体ユニット2の上に横たわる閉じ位置と、キーボード5やスクリーン9aを露出させるように起立する開き位置との間で回動可能となっている。
図2および図3に示すように、第1の筐体4はプリント回路板10を収容している。プリント回路板10の後端部の上面に発熱体としてのCPU11が実装されている。CPU11は、ベース基板12と、ベース基板12の上面の中央部に位置するICチップ13とを有している。ICチップ13は、処理速度の高速化や多機能化に伴って動作中の発熱量が非常に大きく、安定した動作を維持するために冷却を必要としている。
第1の筐体4は、例えば水あるいは不凍液のような液状冷媒を用いてCPU11を冷却する液冷式の冷却装置14を収容している。冷却装置14は、受熱部を兼ねる熱交換型ポンプ15、放熱部としての放熱器16および循環経路17を備えている。
図4ないし図7に示すように、熱交換型ポンプ15は、ポンプケーシング18を備えている。ポンプケーシング18は、ケーシング本体19および受熱カバー20を有している。ケーシング本体19は、CPU11よりも一回り大きな偏平な四角形の箱形であり、例えば耐熱性を有する合成樹脂材料で作られている。ケーシング本体19は、第1ないし第4の側壁22a,22b,22c,22dを有している。第1の側壁22aと第3の側壁22cおよび第2の側壁22bと第4の側壁22dとは、互いに平行に配置されている。
さらに、ケーシング本体19は、第1の凹部23と第2の凹部24とを備えている。第1の凹部23は、ケーシング本体19の下面に開口している。第2の凹部24は、ケーシング本体19の上面に開口している。第2の凹部24は、円筒状の周壁25と、周壁25の下端に位置する円形の端壁26とを有している。周壁25および端壁26は、第1の凹部23の内側に位置している。
受熱カバー20は、例えば銅あるいはアルミニウムのような熱伝導率の高い金属材料で作られている。受熱カバー20は、第1の凹部23の開口端を塞ぐようにケーシング本体19の下面に固定されている。受熱カバー20の下面は、平坦な受熱面27となっている。受熱面27は、ポンプケーシング18の下方に露出している。
受熱カバー20は、四つの舌片28を有している。舌片28は、受熱カバー20の四つの角部からケーシング本体19の側方に張り出している。
ケーシング本体19は、円筒状の周壁30を有している。周壁30は、第2の凹部24の周壁25を同軸状に取り囲むとともに、その下端が受熱カバー20の内面に接着されている。周壁30は、第1の凹部23の内部をポンプ室31とリザーブタンク32とに仕切っている。
図3に示すように、ポンプ室31は、第1の領域31aと第2の領域31bとを有している。第1の領域31aは、受熱カバー20と第2の凹部24の端壁26との間に位置している。第2の領域31bは、第2の凹部24の周壁25とケーシング本体19の周壁30との間に位置している。
図7に示すように、ポンプ室31は、ケーシング本体19の中心C1に対しケーシング本体19の第3の側壁22cの方向にずれている。このため、周壁30は、第3の側壁22cに向けて延びる延長部33を有し、この延長部33は第3の側壁22cと一体化されている。
リザーブタンク32は、液状冷媒を貯えるためのものである。リザーブタンク32は、第1の側壁22a、第2の側壁22bおよび第4の側壁22dの方向からポンプ室31を取り囲んでいる。
ポンプ室31に羽根車35が収容されている。羽根車35は、第2の凹部24の端壁26と受熱カバー20との間で回転自在に支持されている。羽根車35の下面に複数の羽根36が形成されている。羽根36は、羽根車35の回転中心C2から放射状に延びているとともに、ポンプ室31の第1の領域31aに露出している。
ケーシング本体19に羽根車35を回転させる偏平モータ37が組み込まれている。偏平モータ37は、リング状のロータ38およびステータ39を有している。ロータ38は、羽根車35の外周部に同軸状に固定されて、ポンプ室31の第2の領域31bに収容されている。ロータ38の内側にリング状のマグネット40が嵌め込まれている。マグネット40は、ロータ38および羽根車35と一体に回転するようになっている。
ステータ39は、ケーシング本体19の第2の凹部24に収容されている。ステータ39は、ロータ38のマグネット40の内側に同軸状に位置している。第2の凹部24の周壁25は、ステータ39とマグネット40との間に介在されている。さらに、ケーシング本体19の上面にバックプレート41が固定されている。バックプレート41は、第2の凹部24の開口端を塞ぐとともに、ステータ39を覆い隠している。
ステータ39に対する通電は、例えばポータブルコンピュータ1の電源投入と同時に行われる。この通電により、ステータ39の周方向に回転磁界が発生し、この磁界とロータ38のマグネット40とが磁気的に結合する。この結果、ステータ39とマグネット40との間にロータ38の周方向に沿うトルクが発生し、羽根車35が回転する。
図4ないし図7に示すように、ケーシング本体19は、液状冷媒をポンプ室31に導く吸込口43と、液状冷媒をポンプ室31から吐き出す吐出口44とを備えている。吸込口43および吐出口44は、ケーシング本体31の第1の側壁22aからケーシング本体31の外方に突出するとともに、互いに間隔を存して並んでいる。
吸込口43は、第1の接続通路45を介してポンプ室31に連なっている。吐出口44は、第2の接続通路46を介してポンプ室31に連なっている。第1および第2の接続通路45,46は、リザーブタンク32の内部を横切っている。第1の接続通路45は、気液分離用の通孔47を有している。通孔47は、リザーブタンク32の内部に開口するとともに、常にリザーブタンク32に貯えられる液状冷媒の液面下に位置するようになっている。したがって、ポンプ室31は、通孔47を介してリザーブタンク32に通じている。
図4、図7および図11に示すように、ケーシング本体19は、注入孔の一例である第1の孔50と、排気孔の一例である第2の孔51とを有している。第1の孔50は、延長部33を貫通してポンプ室31に開口している。第2の孔51は、延長部33を貫通してリザーブタンク32に開口している。このため、第1および第2の孔50,51は、ケーシング本体19の第3の側壁22cに形成されて、第3の側壁22cの同一の外側面上で互いに隣り合っている。
言い換えると、第1および第2の孔50,51は、吸込口43および吐出口44に対し羽根車35を間に挟んだ反対側に位置している。詳しく述べると、上記のような熱交換型ポンプ15では、ケーシング本体19の第1、第2および第4の側壁22a,22b,22dとポンプ室31との間にリザーブタンク32が存在する。そのため、第1の孔50のポンプ室31への開口端は、リザーブタンク32を避けるように羽根車35の回転中心C2を基準に吸込口43から羽根車35の周方向に例えば90°〜270°の範囲内に設ける必要がある。
本実施の形態では、好ましい例として第1の孔50を羽根車35の回転中心C2を基準としてケーシング本体19の吸入口43および吐出口44から羽根車35の周方向に略180°ずれた位置に設けている。
さらに、第2の孔51は、第1の孔50と並んでいることから、第2の孔51のリザーブタンク32への開口端は、羽根車35の回転中心C2を基準に吐出口44から羽根車35の周方向に例えば90°〜270°の範囲内に設ける必要がある。
第1の孔50は、ポンプ室31に開口する小径部50aと、第3の側壁22cの外側面に開口する大径部50bとを有している。大径部50bは、小径部50aが同軸状に開口する端面を有している。同様に第2の孔51は、リザーブタンク32に開口する小径部51aと、第3の側壁22cの外側面に開口する大径部51bとを有している。大径部51bは、小径部51aが同軸状に開口する端面を有している。
図8に示すように、第1の孔50の大径部50bの端面に小径部50aの開口端を取り囲むようにOリング52が組み付けられている。このOリング52は、図示を省略するが第2の孔51の大径部51bの端面にも組み付けられている。
第1の孔50は、閉塞部材としての第1のねじ55により閉塞されている。第1のねじ55は、第1の孔50の小径部50aに取り外し可能にねじ込まれている。大径部50bの端面に位置するOリング52は、第1のねじ55の頭部56に接触することで、第1の孔50を液密にシールしている。
第2の孔51は、閉塞部材としての第2のねじ57により閉塞されている。第2のねじ57は、第2の孔51の小径部51aに取り外し可能にねじ込まれている。大径部51bの端面に位置するOリングは、第2のねじ57の頭部58に接触することで、第2の孔51を液密にシールしている。
図3に示すように、熱交換型ポンプ15は、受熱カバー20をCPU11に向けた姿勢でプリント回路板10の上に置かれている。熱交換型ポンプ15のポンプケーシング18は、プリント回路板10と一緒に第1の筐体4の底壁4bに固定されている。底壁4bは、ポンプケーシング18の四つの舌片28に対応する位置にボス部60を有している。ボス部60は、底壁4bから上向きに突出している。プリント回路板10は、ボス部60の先端面の上に重ねられている。
ポンプケーシング18の舌片28に夫々上方からねじ61が挿通されている。ねじ61は、プリント回路板10を貫通してボス部60にねじ込まれている。各ねじ61の外側にコイルスプリング62が装着されている。コイルスプリング62は、ポンプケーシング18の舌片28を介してポンプケーシング18をプリント回路板10に向けて付勢している。これにより、ポンプケーシング18の受熱面27がCPU11のICチップ13に熱的に接続されている。
一方、冷却装置14の放熱器16は、第1の筐体4の後部に収容されて、熱交換型ポンプ15と並んでいる。図9に示すように、放熱器16は、ファン65と放熱ブロック66とを備えている。ファン65は、偏平なファンケース67と、このファンケース67に収容された遠心式の羽根車68とを有している。
ファンケース67は、ケース本体69とトッププレート70とで構成されている。ケース本体69は、第1の筐体4の底壁4bに一体に形成されて、この底壁4bから立ち上がっている。トッププレート70は、ケース本体69の上端に固定されている。
ファンケース67は、一対の吸気口71a,71bと排気口72とを有している。一方の吸気口71aは、トッププレート70の中央部に開口している。他方の吸気口71bは、第1の筐体4の底壁4bに開口している。排気口72は、ケース本体69に形成されて、第1の筐体4の排気出口6と向かい合っている。
羽根車68は、偏平モータ73を介して第1の筐体4の底壁4bに支持されている。偏平モータ73は、羽根車68を図2に矢印で示す反時計回り方向に回転させる。この回転により、ファンケース67の外の空気が吸気口71a,71bを介して羽根車68の回転中心部に吸い込まれる。吸い込まれた空気は、遠心力により羽根車68の外周部から吐き出される。
放熱器16の放熱ブロック66は、羽根車68を取り囲むようにファンケース67の内側に収容されている。放熱ブロック66は、液状冷媒が流れる冷媒通路75と、複数の放熱フィン76とを有している。冷媒通路75は、例えば偏平な銅パイプで構成されるとともに、羽根車68を同軸状に取り囲むようなリング状をなしている。冷媒通路75は、第1の筐体4の底壁4bの上に重ねられて、第1の筐体4に熱的に接続されている。
冷媒通路75は、上流端部77aと下流端部77bとを有している。上流端部77aおよび下流端部77bは、互いに隣り合うとともにケース本体69を貫通してファンケース67の外に引き出されている。
放熱フィン76は、例えばアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料で作られており、四角い板状をなしている。放熱フィン76は、羽根車68の周方向に間隔を存して並んでいるとともに、その下端が冷媒通路75の上面に半田付けされている。放熱フィン76の上端は、ファンケース67のトッププレート70の内面に突き当たるとともに、このトッププレート70に熱的に接続されている。
図2に示すように、冷却装置14の循環経路17は、第1の管路80と第2の管路81とを有している。第1の管路80は、熱交換型ポンプ15の吐出口44と冷媒通路75の上流端部77aとの間を接続している。第2の管路81は、熱交換型ポンプ15の吸込口43と冷媒通路75の下流端部77bとの間を接続している。したがって、放熱器16の冷媒通路75は、熱交換型ポンプ15の吸込口43と吐出口44との間を結ぶ循環経路17の一部を兼ねている。
次に、冷却装置14の動作について説明する。
ポータブルコンピュータ1の使用中、CPU11のICチップ13が発熱する。ICチップ13が発する熱は、受熱面27を通じて熱交換型ポンプ15のポンプケーシング18に伝わる。ポンプケーシング18のポンプ室31およびリザーブタンク32は、液状冷媒で満たされているので、この液状冷媒がポンプケーシング18に伝わったICチップ13の熱を吸収する。
熱交換型ポンプ15の羽根車35が回転すると、ポンプ室31に充填された液状冷媒に運動エネルギが付与され、この運動エネルギによりポンプ室31内の液状冷媒の圧力が徐々に高まる。加圧された液状冷媒は、ポンプ室31から第2の接続通路46を介して吐出口44に押し出されるとともに、第1の管路80を通じて放熱器16に送られる。
放熱器16に移送された液状冷媒は、冷媒通路75をその上流端部77aから下流端部77bに向けて流れる。この流れの過程で、液状冷媒に吸収されたICチップ13の熱が冷媒通路75を介して放熱フィン76に伝わるとともに、放熱フィン76から放出される。
放熱器16のファン65は、例えばCPU11の温度が予め決められた値に達した時に運転を開始する。これにより、羽根車68が回転し、その外周部から冷却風を吐き出す。この冷却風は、隣り合う放熱フィン76の間を通り抜ける。これにより、冷媒通路75や放熱フィン76が強制的に冷やされ、これら両者に伝えられた熱の多くが冷却風の流れに乗じて持ち去られる。
放熱フィン76を通り抜けた冷却風は、ファンケース67の排気口72から第1の筐体4の排気出口6を通じて本体ユニット2の外に排出される。
放熱器16での熱交換により冷やされた液状冷媒は、冷媒通路75の下流端部77bから第2の管路81を介して熱交換型ポンプ15の吸込口43に戻る。この液状冷媒は、第1の接続通路45を通ってポンプ室31に導かれる。
第1の接続通路45は、通孔47を介してリザーブタンク32に連なっている。そのため、第1の接続通路45を流れる液状冷媒の一部は、通孔47を通ってリザーブタンク32内に吐き出される。この結果、放熱器16から熱交換型ポンプ15に戻る液状冷媒に気泡が含まれていた場合に、この気泡をリザーブタンク32に導いて液状冷媒中から分離することができる。
ポンプ室31に導かれた液状冷媒は、羽根車35の回転により再び加圧された後、吐出口44から放熱器16に向けて送り出される。よって、液状冷媒は、熱交換型ポンプ15と放熱器16との間で循環を繰り返し、この液状冷媒の循環によりICチップ13の熱が順次放熱器16に移送される。
ところで、上記のような冷却装置14において、ICチップ13の熱を放熱器16に移送する液状冷媒は、熱交換型ポンプ15と放熱器16との間を循環経路17で接続した後に冷却装置14に注入される。
本実施の形態では、液状冷媒は熱交換型ポンプ15から冷却装置14に注入される。この液状冷媒の注入の仕方について図11を参照して説明する。
液状冷媒を注入する時点では、ポンプケーシング18の第1および第2の孔50,51は、第1および第2のねじ55,57で閉塞されることなく開放された状態に保たれている。そのため、ポンプ室31に開口する第1の孔50に注入装置83を接続するとともに、リザーブタンク32に開口する第2の孔51に排気装置84を接続する。
この状態で注入装置83を駆動し、液状冷媒を注入装置83から熱交換型ポンプ15のポンプ室31に直接注入する。液状冷媒の注入端となる第1の孔50は、羽根車35の回転中心C2を基準としてケーシング本体19の吸入口43および吐出口44から羽根車35の周方向に略180°ずれた位置にある。このため、第1の孔50は、吸入口43や吐出口44に対し羽根車35の回転中心C2を間に挟んで向かい合うような位置関係にあり、吸入口43や吐出口44から最も遠ざかっている。
そのため、第1の孔50からポンプ室31に注入された液状冷媒が吸入口43や吐出口44から流出することはなく、短時間のうちにポンプ室31を液状冷媒で満たすことができる。ポンプ室31が液状冷媒で満たされた後、羽根車35を回転させる。これにより、ポンプ室31内の液状冷媒が吐出口44から循環経路17の第1の管路80に押し出されていく。
一方、排気装置84は、注入装置83による液状冷媒の注入開始と同期して運転を開始する。これにより、リザーブタンク32内の空気が吸引される。リザーブタンク32は、通孔47を通じて第1の接続通路45に通じているので、循環経路17、放熱器16の冷媒通路75およびポンプ室31の内部の空気が第2の孔51から吸引される。このため、ポンプ室31から吐出口44に押し出された液状冷媒は、速やかに循環経路17に吸い込まれるとともに、この循環経路17を通じてポンプケーシング18の吸込口43に到達する。
吸込口43に達した液状冷媒は、第2の管路81を介してポンプ室31に流入するとともに、この液状冷媒の一部が通孔47からリザーブタンク32内に流入する。ポンプ室31に流入した液状冷媒は、羽根車35の回転により加圧されて吐出口44から押し出される。
このような作業を継続することで、ポンプ室31、リザーブタンク32、循環経路17および放熱器16の冷媒通路75の内部の空気が液状冷媒に置き換わる。これにより、一連の液状冷媒の注入作業が完了する。
液状冷媒の注入作業が完了したら、第1の孔50から注入装置83を取り外し、この第1の孔50を第1のねじ55で液密に閉塞する。それとともに、第2の孔51から排気装置84を取り外し、この第2の孔51を第2のねじ57で液密に閉塞する。
このような本発明の実施の形態によれば、液状冷媒を直接ポンプ室31に注入することで、ポンプ室31を短時間のうちに液状冷媒で満たすことができる。そのため、熱交換型ポンプ15を有効に働かせる状態に速やかに移行することができる。
しかも、排気装置84を用いてポンプ室31、リザーブタンク32、循環経路17および放熱器16の冷媒通路75の内部の空気を強制的に排除しているので、液状冷媒がポンプ室31、循環経路17、冷媒通路75およびリザーブタンク32に流入する際の抵抗が小さく抑えられる。
この結果、液状冷媒を短時間のうちに冷却装置14に充填することができ、液状冷媒の注入に要する時間を短縮することができる。
さらに、上記構成によると、第1の孔50および第2の孔51は、ケーシング本体19の第3の側壁22cの外側面上で互いに並んでいる。そのため、注入装置83および排気装置84を同一の方向からポンプケーシング18に接続することができ、作業性が良好となる。
加えて、第2の孔51に排気装置84を接続するだけで、液状冷媒の注入の妨げとなる空気を排出できるので、液状冷媒の注入時に冷却装置14全体を真空炉に収容する必要はない。このため、大規模な設備が不要となり、液状冷媒の注入作業に必要とする設備を簡略化が可能となる。よって、冷却装置14の製造コストを低減することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に特定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施可能である。
例えば第1の孔および第2の孔は、夫々一つに限るものではなく、例えば複数設けてもよい。
さらに、第1および第2の孔を閉塞する閉塞部材は、ねじに限らず、例えばゴム製のプラグを第1および第2の孔に圧入してもよい。
また、ポンプから受熱機能を排除するとともに、CPUに熱的に接続される受熱部をポンプとは独立して設けてもよい。
4…筐体(第1の筐体)、11…発熱体(CPU)、14…冷却装置、15…ポンプ(熱交換型ポンプ)、17…循環経路、18…ポンプケーシング、31…ポンプ室、32…リザーブタンク、35…羽根車、50…注入口(第1の孔)、51…第2の孔、55…第1の閉塞部材(第2のねじ)、57…第2の閉塞部材(第2のねじ)。
Claims (14)
- 液状冷媒が流れる循環経路と、
上記循環経路に設けられ、上記循環経路に沿って上記液状冷媒を循環させるポンプと、を具備する冷却装置であって、
上記ポンプは、
上記液状冷媒が流入するポンプ室を有するポンプケーシングと、
上記ポンプケーシングのポンプ室に収容され、上記液状冷媒を上記ポンプ室から上記循環経路に押し出す羽根車と、
上記ポンプケーシングに設けられ、上記ポンプ室に上記液状冷媒を注入するための注入孔と、
上記注入孔を閉塞する閉塞部材と、を備えることを特徴とする冷却装置。 - 請求項1の記載において、上記ポンプケーシングは、上記液状冷媒を貯えるとともに上記ポンプ室に対し気液分離用の孔を介して連なるリザーブタンクと、上記リザーブタンクに開口する排気孔と、上記排気孔を閉塞する閉塞部材と、を有することを特徴とする冷却装置。
- 請求項1の記載において、上記ポンプケーシングは、上記ポンプ室に液状冷媒を導く吸込口と、上記ポンプ室から押し出される液状冷媒を吐き出す吐出口とを有し、上記注入孔は、上記吸込口および上記吐出口に対し上記羽根車を間に挟んだ反対側に位置することを特徴とする冷却装置。
- 請求項1の記載において、上記ポンプケーシングは発熱体に熱的に接続される受熱面を有するとともに、上記循環経路は上記発熱体の熱を放出する放熱部を有し、上記液状冷媒は上記ポンプ室で上記発熱体の熱を吸収するとともに、この発熱体の熱を上記放熱部に移送することを特徴とする冷却装置。
- 発熱体の熱を吸収する液状冷媒が流れる循環経路と、
上記循環経路に設けられ、上記発熱体の熱を放出する放熱部と、
上記循環経路に設けられ、上記液状冷媒を上記循環経路に沿って循環させるポンプと、を具備する冷却装置であって、
上記ポンプは、
液状冷媒を貯えるリザーブタンクと、上記リザーブタンクに連なるポンプ室とを有するポンプケーシングと、
上記ポンプ室に収容され、上記液状冷媒を上記ポンプ室から上記循環経路に押し出す羽根車と、
上記ポンプケーシングに設けられ、上記ポンプ室に開口する第1の孔と、
上記第1の孔を閉塞する第1の閉塞部材と、
上記ポンプケーシングに設けられ、上記リザーブタンクに開口する第2の孔と、
上記第2の孔を閉塞する第2の閉塞部材と、を備えることを特徴とする冷却装置。 - 請求項5の記載において、上記リザーブタンクは、上記ポンプ室の周囲に位置することを特徴とする冷却装置。
- 請求項5又は請求項6の記載において、上記第1の孔は、上記ポンプ室に上記液状冷媒を注入する際に用いる注入孔であり、上記第2の孔は、上記リザーブタンク内を排気する際に用いる排気孔であることを特徴とする冷却装置。
- 請求項5の記載において、上記ポンプケーシングは、上記ポンプ室に液状冷媒を導く吸込口と、上記ポンプ室から押し出される液状冷媒を吐き出す吐出口とを有し、上記第1および第2の孔は、上記吸込口および上記吐出口に対し上記羽根車を間に挟んだ反対側に位置することを特徴とする冷却装置。
- 請求項8の記載において、上記ポンプケーシングは、上記吸込口と上記ポンプ室との間を接続する第1の接続通路と、上記吐出口と上記ポンプ室との間を接続する第2の接続通路とを有し、上記第1および第2の接続通路は、上記リザーブタンク内に位置するとともに、上記第1の接続通路に上記リザーブタンク内に開口する通孔が形成されていることを特徴とする冷却装置。
- 請求項5の記載において、上記ポンプケーシングは、上記発熱体に熱的に接続される受熱面を有し、上記液状冷媒は上記ポンプ室で上記発熱体の熱を吸収するとともに、この発熱体の熱を上記放熱部に移送することを特徴とする冷却装置。
- 請求項5又は請求項7の記載において、上記第1の孔と上記第2の孔は、上記ポンプケーシングの同一面上で互いに隣り合うことを特徴とする冷却装置。
- 発熱体を有する筐体と、
上記筐体に収容され、液状冷媒を用いて上記発熱体を冷却する冷却装置と、を具備する電子機器であって、
上記冷却装置は、上記液状冷媒が流れる循環経路と、上記循環経路に設けられ、上記循環経路に沿って上記液状冷媒を循環させるポンプと、を含み、
上記ポンプは、
上記液状冷媒が流入するポンプ室を有するポンプケーシングと、
上記ポンプケーシングのポンプ室に収容され、上記液状冷媒を上記ポンプ室から上記循環経路に押し出す羽根車と、
上記ポンプケーシングに設けられ、上記ポンプ室に上記液状冷媒を注入するための注入孔と、
上記注入孔を閉塞する閉塞部材と、を備えることを特徴とする電子機器。 - 請求項12の記載において、上記ポンプケーシングは発熱体に熱的に接続される受熱面を有するとともに、上記冷却装置は上記発熱体の熱を放出する放熱部を有し、上記液状冷媒は上記ポンプケーシングを介して上記発熱体の熱を吸収するとともに、この発熱体の熱を上記放熱部に移送することを特徴とする電子機器。
- 請求項13の記載において、上記放熱部は、上記発熱体との熱交換により加熱された液状冷媒が流れる冷媒通路と、上記冷媒通路に熱的に接続された複数の放熱フィンと、上記放熱フィンに向けて冷却風を送風するファンと、を備えていることを特徴とする電子機器。
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