JP2004349626A - 冷却装置および冷却装置を搭載した電子機器 - Google Patents

冷却装置および冷却装置を搭載した電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、チューブ内を流れる液状冷媒を効率良く冷却できる冷却装置の提供を目的している。
【解決手段】冷却装置は、ファン(50)、複数の放熱用のフィン(67)およびCPU(11)との熱交換により加熱された液状冷媒が循環するチューブ(52)を備えている。ファンは、羽根車(54)の外周部から互いに異なる方向に冷却用空気を吐き出す複数の吐出口(62a,62b,62c)を有している。フィンはファンの吐出口に互いに間隔を存して配置されている。チューブは、フィンを貫通して配置され、これらフィンに熱的に接続されている。
【選択図】 図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チューブ内を流れる液状冷媒の熱を複数のフィンに伝えて放出する冷却装置およびこの冷却装置を搭載したポータブルコンピュータのような電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばポータブルコンピュータに用いられるCPUは、処理速度の高速化や多機能化に伴い動作中の発熱量が増加している。この熱対策として、近年、空気よりも遥かに高い比熱を有する冷却液を用いてCPUを冷却する、いわゆる液冷式の冷却システムが実用化されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1は、本体ユニットと表示ユニットを有するノート形のポータブルコンピュータに用いる液冷式の冷却システムを開示している。この冷却システムは、受熱部、放熱器、冷却液を循環させる循環経路および中間冷却器を備えている。受熱部は、本体ユニットに収容されてCPUに熱的に接続されている。放熱器は、表示ユニットに収容されており、この表示ユニットの内部で表示装置と隣り合っている。循環経路は、受熱部と放熱器との間に跨って配管され、これら両者を接続している。
【0004】
中間冷却器は循環経路に設置され、上記受熱部と放熱器との間に介在されている。この中間冷却器は、本体と電動ファンとを備えている。本体は、受熱部で加熱された冷却液が流れる第1の通路と、電動ファンから送られる冷却用空気が流れる第2の通路と、この第2の通路の底から突出する複数の放熱フィンとを有している。放熱フィンは、冷却用空気の流れ方向に沿って直線状に延びており、これら放熱フィンの間を冷却用空気が流れるようになっている。
【0005】
このような冷却システムによると、冷却液は受熱部でCPUの熱を吸収する。これにより加熱された冷却液は、先ず最初に循環経路を通じて中間冷却器に導かれ、この中間冷却器の第1の通路を流れる。この流れの過程で冷却液に吸収された熱の一部が本体に伝わる。本体は、冷却用空気が流れる第2の通路を有するので、この本体に伝えられたCPUの熱は、冷却用空気の流れに乗じて持ち去られる。この結果、受熱部で加熱された冷却液は、放熱器に達する以前に冷却用空気との熱交換により強制的に冷やされる。
【0006】
中間冷却器で冷やされた冷却液は、そのまま放熱器に送り込まれ、この放熱器を通過する過程でCPUの熱を放出する。放熱器で冷やされた冷却液は、循環経路を通じて受熱部に戻り、再びCPUの熱を吸収する。この冷却液の循環により、CPUの熱が放熱器に移され、この放熱器から表示ユニットの外部に放出される。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第6,510,052 B2号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特許文献1に開示された中間冷却器によると、電動ファンは、冷却用空気を羽根車の回転中心に対し一方向にしか吐き出すことができない。このため、第2の通路の形状および冷却用空気が接する放熱フィンの数が制限されてしまい、冷却用空気と放熱フィンとの接触面積が不足気味となる。しかも、放熱フィンは、その一端の狭い範囲で第2の通路の底に接しているにすぎないので、第1の通路を流れる冷却液の熱が本体から放熱フィンに伝わり難くなる。
【0009】
この結果、放熱フィンの表面温度を上昇させることができず、上記冷却用空気との接触面積が不足気味となることと合わせて、冷却液の放熱性能を高めることができなくなる。
【0010】
本発明の目的は、チューブ内を流れる液状冷媒を効率良く冷却できる冷却装置を得ることにある。
【0011】
本発明の他の目的は、上記冷却装置を搭載することで発熱体の冷却性能を高めることができる電子機器を得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る冷却装置は、
羽根車の外周部から互いに異なる方向に冷却用空気を吐き出す複数の吐出口を有するファンと、
上記ファンの吐出口に互いに間隔を存して並べられた複数の放熱用のフィンと、
上記フィンを貫通して配置され、上記フィンに熱的に接続されるとともに、発熱体との熱交換により加熱された液状冷媒が循環するチューブと、を具備したことを特徴としている。
【0013】
この構成によれば、フィンの表面温度を高めると同時にフィンの放熱面積を大幅に増やすことができる。このため、チューブ内を流れる液状冷媒を効率良く冷却することができ、発熱体の冷却性能を高めることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図1ないし図14に基づいて説明する。
【0015】
図1ないし図7は、電子機器としてのポータブルコンピュータ1を開示している。ポータブルコンピュータ1は、本体ユニット2と表示ユニット3を備えている。本体ユニット2は、偏平な箱形の第1の筐体4を有している。第1の筐体4は、キーボード5を支持しているとともに、その上面の前半部がキーボード5を操作する際に手を置くパームレスト6となっている。
【0016】
第1の筐体4の後端部に取り付け座7が形成されている。取り付け座7は、第1の筐体4の幅方向に延びているとともに、第1の筐体4の上面およびキーボード5よりも上方に張り出している。取り付け座7は、第1ないし第3の中空凸部8a,8b,8cを有している。第1の中空凸部8aは、取り付け座7の一端から上向きに突出している。第2の中空凸部8bは、取り付け座7の他端から上向きに突出している。第3の中空凸部8cは、取り付け座7の中央部から上向きに突出するとともに、第1の中空凸部8aと第2の中空凸部8bとの間に位置している。
【0017】
図6および図8に示すように、第1の筐体4は、プリント回路板10およびハードディスク駆動装置のようなその他の部品を収容している。プリント回路板10の上面に発熱体としてのCPU11が実装されている。CPU11は、例えばBGA形の半導体パッケージにて構成され、第1の筐体4の後部に位置している。CPU11は、ベース基板12と、このベース基板12の中央部に実装されたICチップ13とを有している。ICチップ13は、処理速度の高速化や多機能化に伴って動作中の発熱量が非常に大きく、安定した動作を維持するために冷却を必要としている。
【0018】
表示ユニット3は、本体ユニット2から分離するように独立した一つの構成要素となっている。この表示ユニット3は、表示装置としての液晶表示パネル14と、液晶表示パネル14を収容する第2の筐体15とを備えている。液晶表示パネル14は、画像を表示するスクリーン14aを有している。第2の筐体15は、偏平な箱形であり、その前面に四角い開口部16が形成されている。液晶表示パネル14のスクリーン14aは、開口部16を通じて第2の筐体15の外部に露出している。
【0019】
第2の筐体15は、液晶表示パネル14の背後に位置する背板17を有している。背板17に図8に示すような一対の中空凸部17a,17bが形成されている。中空凸部17a,17bは、第2の筐体15の高さ方向の中間部よりも上方に位置している。これら中空凸部17a,17bは、第2の筐体15の幅方向に互いに離れているとともに、第2の筐体15の後方に向けて突出している。
【0020】
図4ないし図8に示すように、表示ユニット3は、支持部材20を介して本体ユニット2の取り付け座7に支持されている。支持部材20は、第3の筐体21を有している。第3の筐体21は、天板21a、底板21b、左右の側板21c,21dおよび一対の端板21e,21fを有する偏平な中空の箱状をなしている。天板21aと底板21bは、第3の筐体21の厚み方向に向かい合っている。側板21c、21dおよび端板21e,21fは、天板21aの縁部と底板21bの縁部との間に跨っている。第3の筐体21は、第1および第2の筐体4,15よりも幅寸法が小さく形成されている。
【0021】
第3の筐体21の一端部に第1ないし第3の凹部22a,22b,22cが形成されている。第1および第2の凹部22a,22bは、上記取り付け座7の第1および第2の中空凸部8a,8bに対応するように、第3の筐体21の幅方向に互いに離れている。第1および第2の中空凸部8a,8bは、第1および第2の凹部22a,22bの内側に入り込んでいる。第3の凹部22cは、上記取り付け座7の第3の中空凸部8cに対応するように、第1および第2の凹部22a,22bの間に位置している。第3の中空凸部8cは、第3の凹部22cの内側に入り込んでいる。
【0022】
第3の筐体21の一端部は、一対のヒンジ23a,23bを介して第1の筐体4の取り付け座7に連結されている。一方のヒンジ23aは、取り付け座7の第1の中空凸部8aと第3の筐体21との間に跨っている。他方のヒンジ23bは、取り付け座7の第2の中空凸部8bと第3の筐体21との間に跨っている。ヒンジ23a,23bは、第1の筐体4の幅方向に延びる水平な回動軸線X1を有している。これらヒンジ23a,23bの回動軸線X1は、互いに同軸上に位置している。このため、第3の筐体21の一端部は、第1の筐体4の取り付け座7に対し回動軸線X1を中心に回動可能に連結されている。
【0023】
第3の筐体21の他端部に一対の凹部25a,25bが形成されている。凹部25a,25bは、第2の筐体15の中空凸部17a,17bに対応するように、第3の筐体21の幅方向に互いに離れている。中空凸部17a,17bは、凹部25a,25bの内側に入り込んでいる。
【0024】
第3の筐体21の他端部は、一対の他のヒンジ26a,26bを介して第2の筐体15の背板17に連結されている。一方のヒンジ26aは、第2の筐体15の一方の中空凸部17aと第3の筐体21との間に跨っている。他方のヒンジ26bは、第2の筐体15の他方の中空凸部17bと第3の筐体21との間に跨っている。ヒンジ26a,26bは、第2の筐体15の幅方向に延びる水平な回動軸線X2を有している。これらヒンジ26a,26bの回動軸線X2は、互いに同軸上に位置している。このため、第3の筐体21の他端部は、第2の筐体15の背板17に対し回動軸線X2を中心に回動可能に連結されている。
【0025】
言い換えると、第3の筐体21は、第2の筐体15の背板17に重なり合う位置と、この背板17から遠ざかる位置との間で回動可能となっている。それとともに、第3の筐体21は、ヒンジ26a,26bが有するブレーキ力により夫々の位置に保持されるようになっている。
【0026】
このことから、表示ユニット3は、支持部材20を介して本体ユニット2に回動可能に連結されているとともに、この支持部材20とは独立して単独で回動可能となっている。詳しく述べると、表示ユニット3は、支持部材20に重なり合った状態で第1の位置と第2の位置との間で回動可能となっている。図7は表示ユニット3が第1の位置に回動した状態を示し、図1および図2は表示ユニット3が第2の位置に回動した状態を示している。第1の位置では、表示ユニット3はキーボード5やパームレスト6を上方から覆うように本体ユニット2の上に横たわっている。第2の位置では、表示ユニット3はキーボード5、パームレスト6およびスクリーン14aを露出させるように本体ユニット2の後端部から起立している。
【0027】
表示ユニット3を第1の位置と第2の位置との間の中間に回動させた状態において、表示ユニット3を上向きに回動させると、第2の筐体15の背板17が支持部材20から遠ざかる。これにより、図3ないし図6に示すように表示ユニット3が第3の位置に移動する。第3の位置では、表示ユニット3は上記第2の位置よりも本体ユニット2の前方にずれた位置で起立している。そのため、支持部材20の起立角度を変化させることで、本体ユニット2に対する表示ユニット3の位置を本体ユニット2の奥行き方向に沿って移動させることができる。よって、支持部材20は、表示ユニット3が第2の位置および第3の位置にある限り、表示ユニット3の背後で起立している。特に表示ユニット3が第3の位置に移動した状態では、支持部材20の第3の筐体21は、第1の筐体4の後端部から前方に進むに従い上向きに傾斜している。
【0028】
図4および図8に示すように、ポータブルコンピュータ1は、CPU11を冷却する液冷式の冷却装置30を搭載している。冷却装置30は、回転形ポンプ31、放熱部32および循環経路33を備えている。
【0029】
回転形ポンプ31はCPU11の熱を受ける受熱部を兼ねている。この回転形ポンプ31は、第1の筐体4に収容されているとともに、プリント回路板10の上面に設置されている。図10に示すように、回転形ポンプ31は、羽根車34と、この羽根車34を収容するポンプハウジング35を備えている。羽根車34は、例えばポータブルコンピュータ1の電源投入時あるいはCPU11の温度が予め決められた値に達した時に、フラットモータ36を介して駆動される。
【0030】
ポンプハウジング35は、CPU11よりも大きな偏平な箱形であり、例えばアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた材料で作られている。ポンプハウジング35は、底壁37a、上壁37bおよび四つの側壁37cを有している。これら各壁37a,37b,37cは、ポンプハウジング35の内部にポンプ室38を構成している。羽根車34はポンプ室38に収容されている。
【0031】
さらに、ポンプハウジング35は、吸入口39と吐出口40を有している。吸入口39および吐出口40は、ポンプ室38に開口するとともに、ポンプハウジング35の一つの側壁37cから第1の筐体4の後方に向けて突出している。
【0032】
ポンプハウジング35の底壁37aの下面は、平坦な受熱面42となっている。受熱面42は、CPU11を上方から覆うような大きさを有している。ポンプハウジング35は、四つの脚部43を有している。脚部43は、ポンプハウジング35の四つのコーナ部に位置し、受熱面42よりも下方に張り出している。脚部43は、夫々ねじ44を介してプリント回路板10の上面に固定されている。この固定により、ポンプハウジング35がCPU11に重なり合うとともに、このCPU11のICチップ13が受熱面42の中央部に熱的に接続されている。
【0033】
放熱部32は、上記支持部材20の第3の筐体21に収容されている。図8、図11および図12に示すように、放熱部32は、電動ファン50、第1ないし第3のフィン集合体51a,51b,51cおよびチューブ52を備えている。
【0034】
電動ファン50は、ファンケース53と、このファンケース53に収容された遠心式の羽根車54を有している。ファンケース53は、例えばアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた材料で作られている。ファンケース53は、四角いケース本体55とカバー56とで構成されている。ケース本体55は、その一側縁部から起立する側壁58と、側壁58とは反対側の縁部に位置する一対のボス部59a,59bとを有している。カバー56は、側壁58の先端およびボス部59a,59bの先端の間に跨って固定されている。
【0035】
羽根車54は、ケース本体55に支持されているとともに、このケース本体55とカバー56との間に介在されている。羽根車54は、例えばポータブルコンピュータ1の電源投入時あるいはCPU11の温度が予め決められた値に達した時に、図示しないフラットモータによって駆動される。
【0036】
ファンケース53は、一対の吸込口61a,61bと、第1ないし第3の吐出口62a,62b,62cを有している。吸込口61a,61bは、カバー56およびケース本体55に形成され、羽根車54を間に挟んで互いに向かい合っている。
【0037】
図8に示すように、第1の吐出口62aは、ケース本体55の側壁58の一端と一方のボス部59aとの間に位置している。第2の吐出口62bは、ボス部59a,59bの間に位置している。第3の吐出口62cは、ケース本体55の側壁58の他端と他方のボス部59bとの間に位置している。このため、第1の吐出口62aと第3の吐出口62cは、羽根車54を間に挟んで向かい合うとともに、第2の吐出口62bは、羽根車54を間に挟んで側壁58と向かい合っている。
【0038】
したがって、第1ないし第3の吐出口62a,62b,62cは、羽根車54の外周部を三方向から取り囲むような位置関係を保って配置されている。言い換えると、ファンケース53の第1ないし第3の吐出口62a,62b,62cは、羽根車54の回転中心O1に対し三方向に向けて開口している。これにより、吐出口が一方向にのみ開口する従来との比較において、羽根車54の回転中心O1に対する第1ないし第3の吐出口62a,62b,62cの開口範囲が広くなっている。
【0039】
このような構成の電動ファン50において、羽根車54が回転すると、図12に矢印で示すようにファンケース53の外部の空気が吸込口61a,61bを介して羽根車54の回転中心部に吸い込まれる。この吸い込まれた空気は、羽根車54の外周部からファンケース53内に放出されるとともに、第1ないし第3の吐出口62a,62b,62cを通じてファンケース53の外部に吐き出される。したがって、本実施形態の電動ファン50によれば、冷却用空気がファンケース53の三方向に吐き出される。
【0040】
図13は、羽根車の回転中心に対する吐出口の開口範囲を変化させた時の吐出口から吐き出される冷却用空気の風量と圧力の関係を示している。この図13において、線Aは吐出口から吐き出される冷却用空気の圧力を示し、線Bは同じく吐出口から吐き出される冷却用空気の風量を示している。吐出口から吐き出される冷却用空気の圧力は、吐出口の開口範囲とは無関係に一定に保たれているのに対し、吐出口から吐き出される冷却用空気の風量は、吐出口の開口範囲が広がるにつれて増大している。
【0041】
このことから、本実施形態の電動ファン50においても、ファンケース53に三方向に開口する第1ないし第3の吐出口62a,62b,62cを形成することでで、これら吐出口62a,62b,62cから吐き出される冷却用空気の圧力を維持しつつ、この冷却用空気の風量を増大させることができる。本発明者の実験によれば、羽根車54の回転中心O1に対する第1ないし第3の吐出口62a,62b,62cの開口範囲を190°以上とすることにより、吐出口62a,62b,62cから吐き出される冷却用空気の風量および圧力が共に充分なものとなることが確認されている。
【0042】
電動ファン50のファンケース53は、第3の筐体21の底板21bの内面にねじを介して固定されている。第3の筐体21の天板21aおよび底板21bは、夫々吸気口63a,63bを有している。吸気口63a,63bは、ファンケース53の吸込口61a,61bよりも大きな開口形状を有するとともに、これら吸込口61a,61bと向かい合っている。吸気口63a,63bは、例えばクリップ等の異物の侵入を防止するため、メッシュ状のガード64で覆われている。
【0043】
図8に示すように、ファンケース53の第1の吐出口62aおよび第3の吐出口62cは、第3の筐体21の左右の側板21c,21dと向かい合うとともに、第2の吐出口62bは第3の筐体21の端板21eと向かい合っている。第3の筐体21の側板21c,21dは、複数の排気口65を有している。排気口65は、互いに間隔を存して一列に並んでおり、上記表示ユニット3の背後に位置している。
【0044】
第1ないし第3のフィン集合体51a,51b,51cは、夫々ファンケース53の第1ないし第3の吐出口62a,62b,62cに配置され、これら吐出口62a,62b,62cを覆っている。第1ないし第3のフィン集合体51a,51b,51cは、夫々複数の平板状の放熱フィン67を有している。
【0045】
放熱フィン67は、例えばアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料で作られている。放熱フィン67は、互いに間隔を存して平行に配置されているとともに、ファンケース53の第1ないし第3の吐出口62a,62b,62cの開口縁部に固定されている。各放熱フィン67は、夫々平坦な放熱面67aを有している。隣り合う放熱フィン67の放熱面67aは互いに向かい合っており、これら放熱面67aの間に隙間を形成している。
【0046】
第1ないし第3のフィン集合体51a,51b,51cは、電動ファン50の羽根車54を三方向から取り囲むように配置されている。これにより、電動ファン50の第1ないし第3の吐出口62a,62b,62cから吐き出される冷却用空気は、第1ないし第3のフィン集合体51a,51b,51cの放熱フィン67の間の隙間を通り抜ける。
【0047】
上記放熱部32のチューブ52は、例えばアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料で作られている。図8および図11に示すように、チューブ52は、第1ないし第3のフィン集合体51a,51b,51cの放熱フィン67の中央部を貫通するとともに、これら放熱フィン67に熱的に接続されている。チューブ52は、放熱フィン67と直交する方向に延びており、隣り合う放熱フィン67の放熱面67aの間に跨っている。このことから、チューブ52は、電動ファン50の第1ないし第3の吐出口62a,62b,62cを横切るとともに、羽根車54を取り囲むようにファンケース53の周囲に配管されている。
【0048】
さらに、チューブ52は、冷媒入口68と冷媒出口69を有している。冷媒入口68および冷媒出口69は、第3の筐体21と第1の筐体4との連結部分の付近に位置している。
【0049】
図8および図11に示すように、冷却装置30の循環経路33は、第1の接続管71aと第2の接続管71bとを有している。第1の接続管71aは、回転形ポンプ31の吐出口40と放熱部32の冷媒入口68との間を接続している。第1の接続管71aは、回転形ポンプ31から第1の筐体4の第3の中空凸部8cに導かれた後、この中空凸部8cの一端と第3の筐体21との連結部分を通して放熱部32の冷媒入口68に導かれている。
【0050】
第2の接続管71bは、回転形ポンプ31の吸入口39と放熱部32の冷媒出口69との間を接続している。第2の接続管71bは、回転形ポンプ31から第1の筐体4の第3の中空凸部8cに導かれた後、この中空凸部8cの他端と第3の筐体21との連結部分を通して放熱部32の冷媒出口69に導かれている。
【0051】
第1および第2の接続管71a,71bは、夫々可撓性を有するゴム又は合成樹脂製のチューブで作られている。これにより、第3の筐体21の回動に伴って回転形ポンプ31と放熱部32との位置関係が変動した場合でも、第1および第2の接続管71a,71bが変形して循環経路33の捩じれを吸収するようになっている。
【0052】
回転形ポンプ31のポンプ室38、放熱部32のチューブ52および循環経路33に液状冷媒としての冷却液が充填されている。冷却液としては、例えば水にエチレングリコール溶液および必要に応じて腐蝕防止剤を配合した不凍液が用いられている。冷却液は、回転形ポンプ31のポンプ室38を流れる過程でICチップ13の熱を吸収する。
【0053】
図8および図11に示すように、放熱部32のチューブ52は、第1のチューブ73aと第2のチューブ73bを有している。第1のチューブ73aは、冷媒入口68を有するとともに、上記第1のフィン集合体51aの放熱フィン67および第2のフィン集合体51bの放熱フィン67を貫通するようにL形に折れ曲がっている。この第1のチューブ73aは、冷媒入口68とは反対側の端部に出口74を有している。第2のチューブ73bは、上記冷媒出口69を有するとともに、上記第3のフィン集合体51cの放熱フィン67を貫通するように一直線状に延びている。この第2のチューブ73bは、冷媒出口69とは反対側の端部に入口75を有している。
【0054】
第1のチューブ73aと第2のチューブ73bとの間に冷却液を蓄えるリザーブタンク80が設置されている。リザーブタンク80は、第3の筐体21に収容されているとともに、放熱部32の第2のフィン集合体51bと第3の筐体21の端板21fとの間に位置している。リザーブタンク80は、第3の筐体21の幅方向に延びる四角い偏平な箱状であり、第3の筐体21の底板21b又は放熱部32に固定されている。
【0055】
第1のチューブ73aの出口側の端部および第2のチューブ73bの入口側の端部は、夫々リザーブタンク80の内部に導入されている。第1のチューブ73aの出口74および第2のチューブ73bの入口75は、リザーブタンク80の内部に開口しており、この第2のチューブ73bの入口75にリザーブタンク80に蓄えられた冷却液が流れ込むようになっている。
【0056】
第2のチューブ73bの入口75は、リザーブタンク80の中央部に位置している。本実施形態の場合、リザーブタンク80が四角い箱状をなしているので、第2のチューブ73bの入口75は、図14に示すようにリザーブタンク80の四つの角を結ぶ二本の対角線G1,G2の交点Pの付近に位置している。したがって、入口75は、リザーブタンク80に蓄えられた冷却液の液面Lよりも下方に位置し、常に冷却液中に漬かった状態に保たれている。
【0057】
図8に示すように、第2の筐体15に収容された液晶表示パネル14は、ケーブル83を介して第1の筐体4の内部のプリント回路板10に電気的に接続されている。ケーブル83は、液晶表示パネル14から第2の筐体15の中空凸部17aと第3の筐体21の凹部25aとの連結部分を通して第3の筐体21の内部に導かれている。さらに、このケーブル83は、第3の筐体21の内部において放熱部32の第1のフィン集合体51aと側板21cとの間を通過するとともに、第3の筐体21の第1の凹部22aと第1の筐体4の第1の中空凸部8aとの連結部分を通して第1の筐体4の内部に導かれている。
【0058】
このような構成において、CPU11のICチップ13は、ポータブルコンピュータ1の使用中に発熱する。ICチップ13は、ポンプハウジング35の受熱面42に熱的に接続されているので、このICチップ13の熱がポンプハウジング35に伝わる。ポンプハウジング35のポンプ室38は冷却液で満たされており、この冷却液がポンプハウジング35に伝わるICチップ13の熱の多くを吸収する。
【0059】
回転形ポンプ31の羽根車34が回転すると、ポンプ室38内の冷却液が吐出口40から第1の接続管71aを介して放熱部32に送り出され、このポンプ室38と放熱部32との間で冷却液が強制的に循環される。
【0060】
詳しく述べると、ポンプ室38での熱交換により加熱された冷却液は、第1の接続管71aを介して放熱部32の第1のチューブ73aに送り込まれ、この第1のチューブ73aを流れる。さらに、加熱された冷却液は、第1のチューブ73aの出口74からリザーブタンク80の内部に吐き出される。これにより、第1のチューブ73aを流れる冷却液中に気泡が含まれていた場合に、この気泡がリザーブタンク80内で冷却液中から分離除去される。
【0061】
第2のチューブ73bの入口74は、リザーブタンク80に蓄えられた冷却液中に漬かっているので、このリザーブタンク80内の冷却液を吸い込む。この冷却液は、第2のチューブ73bから第2の接続管71bに流れ込む。
【0062】
冷却液が流れる第1および第2のチューブ73a,73bは、第1ないし第3のフィン集合体51a,51b,51cの放熱フィン67を貫通するとともに、これら放熱フィン67に熱的に接続されている。このため、冷却液に吸収されたICチップ13の熱は、第1および第2のチューブ73a,73bを流れる過程で放熱フィン67に伝達される。
【0063】
第1ないし第3のフィン集合体51a,51b,51cは、電動ファン50の三つの吐出口62a,62b,62cに配置されているとともに、羽根車54を三方向から取り囲んでいる。このため、羽根車54が回転すると、吐出口62a,62b,62cから吐き出された冷却用空気が放熱フィン67の間を通過するとともに、第1および第2のチューブ73a,73bに吹き付けられる。この結果、放熱フィン67および第1および第2のチューブ73a,73bに伝えられたICチップ13の熱が空気の流れに乗じて持ち去られる。
【0064】
放熱部32での熱交換により冷やされた冷却液は、第2の接続管71bを介して回転形ポンプ31のポンプ室38に戻る。この冷却液は、ポンプ室38で再びICチップ13の熱を吸収した後、放熱部32に送り出される。この結果、ICチップ13の熱が循環する冷却液を介して順次放熱部32に移送されるとともに、この放熱部32からポータブルコンピュータ1の外部に放出される。
【0065】
このようなポータブルコンピュータ1によれば、電動ファン50は、三方向に冷却用空気を吐き出す第1ないし第3の吐出口62a,62b,62cを有し、これら吐出口62a,62b,62cに夫々冷却液の熱を受ける放熱フィン67が配置されている。そのため、複数の放熱フィン67を電動ファン50の羽根車54を取り囲むように、その周方向に沿う広い範囲に亘って配置することができ、放熱フィン67の数を大幅に増やすことができる。
【0066】
この結果、放熱フィン67の表面積、ひいては放熱フィン67と冷却用空気との接触面積が飛躍的に増大し、冷却用空気との熱交換を効率良く行なうことができる。
【0067】
しかも、上記構成によると、加熱された冷却液が流れるチューブ52は、放熱フィン67の中央部を貫通しているので、各放熱フィン67に対しチューブ52の全周から冷却液の熱が伝わる。このため、チューブ52内を流れる冷却液の熱が放熱フィン67に効率良く伝わり、放熱フィン67の表面温度を上昇させることができる。
【0068】
よって、放熱フィン67の表面積が増えることと相まって、チューブ52内を流れる冷却液を効率良く冷却することができ、CPU11の冷却性能を高めることができる。
【0069】
本発明は上記実施の形態に特定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施できる。例えば上記実施の形態では、ファンケースに一対の吸気口を形成したが、この吸気口を一つとしても良い。それとともに、冷却用空気の吐き出し方向も三方向に限らず、四方向あるいはそれ以上としても良い。
【0070】
さらに、上記実施の形態では、放熱部を支持部材の第3の筐体に収容したが、第1の筐体の後端部に第2の筐体を回動可能に連結した電子機器では、第1の筐体又は第2の筐体のいずれか一方に放熱部を収容するようにしても良い。
【0071】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、フィンの表面温度を高めると同時にフィンの放熱面積を大幅に増やすことができ、チューブ内を流れる液状冷媒を効率良く冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表示ユニットを第2の位置に回動させた状態を示すポータブルコンピュータの斜視図。
【図2】表示ユニットを第2の位置に回動させた時の表示ユニットと支持部材との位置関係を示すポータブルコンピュータの斜視図。
【図3】表示ユニットを第3の位置に移動させた状態を示すポータブルコンピュータの斜視図。
【図4】表示ユニットを第3の位置に移送させた時の表示ユニットと支持部材との位置関係を示すポータブルコンピュータの斜視図。
【図5】表示ユニットを第3の位置に移動させた時の表示ユニットと支持部材との位置関係を示すポータブルコンピュータの斜視図。
【図6】表示ユニットを第3の位置に移動させた時の表示ユニットと支持部材との位置関係を示すポータブルコンピュータの側面図。
【図7】表示ユニットを第1の位置に回動させた状態を示すポータブルコンピュータの斜視図。
【図8】本体ユニットに収容された受熱部と、支持部材に収容された放熱部と、これら受熱部と放熱部との間で液状冷媒を循環させる循環経路との位置関係を示すポータブルコンピュータの断面図。
【図9】受熱部を兼ねる回転形ポンプの平面図。
【図10】回転形ポンプとCPUとの位置関係を示す断面図。
【図11】冷却装置の平面図。
【図12】第3の筐体の内部に放熱部を収容した状態を示す断面図。
【図13】羽根車の回転中心に対する吐出口の開口範囲を変化させた時の吐出口から吐き出される冷却用空気の風量と圧力の関係を示す特性図。
【図14】リザーブタンクの中央部分と第2の管の入口との位置関係を示す断面図。
【符号の説明】
4…第1の筐体、11…発熱体(CPU)、15…第2の筐体、21…第3の筐体、31…受熱部、32…放熱部、33…循環経路、50…ファン(電動ファン)、51a,51b,51c…第1ないし第3のフィン集合体、52…チューブ、54…羽根車、62a,62b,62c…第1ないし第3の吐出口、67…フィン。

Claims (10)

  1. 羽根車の外周部から互いに異なる方向に冷却用空気を吐き出す複数の吐出口を有するファンと、
    上記ファンの吐出口に互いに間隔を存して配置された複数の放熱用のフィンと、
    上記フィンを貫通して配置され、上記フィンに熱的に接続されるとともに、発熱体との熱交換により加熱された液状冷媒が循環するチューブと、を具備したことを特徴とする冷却装置。
  2. 請求項1の記載において、上記フィンは、互いに平行に配置されているとともに、上記チューブと交差する方向に延びる放熱面を有することを特徴とする冷却装置。
  3. 請求項2の記載において、上記チューブは、上記隣り合うフィンの放熱面の間に跨っていることを特徴とする冷却装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかの記載において、上記チューブは、上記ファンの吐出口を横切るとともに、上記羽根車を取り囲むように上記ファンの周囲に配置されていることを特徴とする冷却装置。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれかの記載において、上記ファンの吐出口は、上記羽根車の回転中心に対し互いに異なる方向に開口することを特徴とする冷却装置。
  6. 羽根車の外周部から互いに異なる方向に冷却用空気を吐き出す複数の吐出口を有するファンと、
    上記ファンの吐出口に配置され、互いに間隔を存して並べられた複数の放熱用のフィンを有する複数のフィン集合体と、
    上記フィン集合体を上記フィンの並び方向に沿って貫通し、上記フィンに熱的に接続されるとともに、発熱体との熱交換により加熱された液状冷媒が循環するチューブと、を具備したことを特徴とする冷却装置。
  7. 発熱体に熱的に接続された受熱部と、
    上記発熱体の熱を放出する放熱部と、
    上記受熱部と上記放熱部との間で液状冷媒を循環させ、上記受熱部で加熱された上記液状冷媒を上記放熱部に導く循環経路と、を具備し、
    上記放熱部は、
    羽根車の外周部から互いに異なる方向に冷却用空気を吐き出す複数の吐出口を有するファンと、
    上記ファンの吐出口に互いに間隔を存して配置された複数の放熱用のフィンと、
    上記フィンを貫通して配置され、上記フィンに熱的に接続されるとともに、上記受熱部で加熱された液状冷媒が流れるチューブと、を具備したことを特徴とする冷却装置。
  8. 請求項1、請求項6および請求項7のいずれかの記載において、上記ファンは、上記羽根車を収容するとともに上記吐出口が形成されたファンケースを有し、上記フィンは、上記吐出口を覆うように上記ファンケースに固定されていることを特徴とする冷却装置。
  9. 排気口を有する筐体と、
    上記筐体に収容され、羽根車の外周部から互いに異なる方向に冷却用空気を吐き出す複数の吐出口を有するファンと、
    上記ファンの吐出口に互いに間隔を存して配置された複数のフィンと、
    上記フィンを貫通して配置され、上記フィンに熱的に接続されるとともに、発熱体との熱交換により加熱された液状冷媒が循環するチューブと、を具備したことを特徴とする電子機器。
  10. 発熱体を内蔵する第1の筐体と、
    上記第1の筐体から分離された第2の筐体と、
    上記第2の筐体を上記第1の筐体に支持する第3の筐体と、
    上記第1の筐体に収容され、上記発熱体に熱的に接続された受熱部と、
    上記第3の筐体に収容され、羽根車の外周部から互いに異なる方向に冷却用空気を吐き出す複数の吐出口を有するファンと、
    上記ファンの吐出口に互いに間隔を存して配置された複数の放熱用のフィンと、
    上記フィンを貫通して配置され、上記フィンに熱的に接続されるとともに、上記受熱部で加熱された液状冷媒が循環するチューブと、を具備したことを特徴とする電子機器。
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