JP2006144568A - 振動型圧縮機 - Google Patents

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恵司 大嶋
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    • F25B2309/00Gas cycle refrigeration machines
    • F25B2309/001Gas cycle refrigeration machines with a linear configuration or a linear motor

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Abstract

【課題】 ハウジングに負担をかけることなく、ピストンとシリンダとのクリアランスを小さく、しかも安定的に保つことが可能な振動型圧縮機を提供する。
【解決手段】
クリアランスシール26を形成するピストンとシリンダとを予め一体に構成した可動部ユニット20とし、さらにこのシリンダの外周壁面とハウジング30の中央空間の内周壁面との間にOリング32を挿入した振動型圧縮機10とした。このような振動型圧縮機10を組み立てる際に機械的な精度を出す作業を簡単にすることができ、製造コストの削減に寄与する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、極低温冷凍機などに用いられる振動型圧縮機に関する。
従来技術の振動型圧縮機の一例として、特許文献1のような振動型圧縮機が知られている。この従来技術について図を参照しつつ説明する。
図3は、リニアモータ圧縮機を利用するスターリング冷凍機の断面図である。図において、スターリング冷凍機1000は、リニアモータ圧縮機100と、膨張部200と、冷凍発生部300と、リニアモータ圧縮機100と冷凍発生部300とを連結する作動ガス通路400と、真空槽500と、を備えるものである。
リニアモータ圧縮機100は、ハウジング110と、可動体120,120’と、フレクシャベアリング130,140,150,160と、駆動系としてのリニアモータ170,170’とを備えるものである。
ハウジング110は、略円筒形状に形成されており、その図示略中央部には、円筒状のシリンダ内空間が形成されたシリンダ部111が設けられている。また、その図示右側部はシリンダ内空間に連通した第1収容空間Aを内部に形成する第1ハウジング部112とされ、その図示左側部はシリンダ内空間に連通した第2収容空間Bを内部に形成する第2ハウジング部113とされている。
可動体120は、シリンダ部111のシリンダ内空間の図示右寄りに配置されるピストン121、ピストン121に連結して第1収容空間A内に延設されたピストンロッド122、ピストンロッド122の外周から径方向に延びた円板部123a及び該円板部123aの外周端から略直角に折れ曲がってピストンロッド122の軸方向に延びた円筒部123bとを備えたフランジ123とよりなる。
また同様に、可動体120’は、シリンダ部112のシリンダ内空間の図示左寄りに配置されるピストン121’、ピストン121’に連結して第2収容空間B内に延設されたピストンロッド122’、ピストンロッド122’の外周から径方向に延びた円板部123’a及び該円板部123’aの外周端から略直角に折れ曲がってピストンロッド122’の軸方向に延びた円筒部123’bとを備えたフランジ123’とよりなる。
ピストン121とピストン121’とは、シリンダ内空間で対面しており、シリンダ内空間の壁面を構成するシリンダ内壁111aと、ピストン121,121’とで圧縮空間Cを画成している。そして、両ピストン121、121’が対向してシリンダ内空間を往復動するものである。このような方式の圧縮機は、一般に、対向型リニアモータ圧縮機と称されている。
第1ハウジング部112内に形成される第1収容空間Aの内壁面にはヨーク180が固定されている。このヨーク180は、第1収容空間Aの内壁面に当接して配設されたリング状の外周リング部180aと、外周リング部180aとピストンロッド122との間に配設されたリング状の内周リング部180bと、外周リング部180aと内周リング部180bとを連結する連結部180cとよりなる。
同様に、第2ハウジング部113内に形成される第2収容空間Bの内壁面にはヨーク180’が固定されている。このヨーク180’は、第2収容空間Bの内壁面に当接して配設されたリング状の外周リング部180’aと、外周リング部180’aとピストンロッド122’との間に配設されたリング状の内周リング部180’bと、外周リング部180’aと内周リング部180’bとを連結する連結部180’cとよりなる。
ヨーク180の外周リング部180aと内周リング部180bとの間にはリング状空間Dが形成されており、このリング状空間D内に可動体120を往復駆動する駆動系となるリニアモータ170が配設されている。リニアモータ170は、外周リング部180aの内周壁面に埋め込まれた状態で固定保持されたリング状永久磁石170aと、フランジ123のコイル支持部123bの先端からリング状空間D内に延設した部分に巻回されたコイル170bとよりなる。そして、リング状永久磁石170aの内周面は、コイル170bの外周側に所定の隙間を保って対面した状態とされているものである。
同様に、ヨーク180’の外周リング部180’aと内周リング部180’bとの間にはリング状空間Eが形成されており、このリング状空間E内に可動体120’を往復駆動する駆動系となるリニアモータ170’が配設されている。リニアモータ170’は、外周リング部180’aの内周壁面に埋め込まれた状態で固定保持されたリング状永久磁石170a’と、可動体120’のコイル支持部123’bの先端からリング状空間E内に延設した部分に巻回されたコイル170’bとよりなる。そして、リング状永久磁石170’aの内周面は、コイル170’bの外周側に所定の隙間を保って対面した状態とされているものである。
ヨーク180,180’は磁路を形成する部材であるため軟鉄などの鉄系で構成する必要がある。一方、ハウジング110は、リニア駆動部の発熱および圧縮空間のガス圧縮による発熱分を放熱するため、アルミ合金などの放熱性の良い部材を採用することが望ましい。
ピストンロッド122の図示右側寄りには、フレクシャベアリング群130が、図示左側寄りにはフレクシャベアリング群140が配設されている。同様に、ピストンロッド122’の図示右側寄りにはフレクシャベアリング群150が、図示左側寄りにはフレクシャベアリング群160が配設されている。
フレクシャベアリング群130,140,150,160の外周縁側にはリング状部分で形成される外周固定部131,141,151,161を備えている。外周固定部131,141,をヨーク180に、または、外周固定部151,161をヨーク180’に、それぞれ固定されている。
このフレクシャベアリング群はピストンロッド122及び122’をその軸方向には移動可能であるがその他の方向には移動不能であるように支持するものである。
従来技術の振動型圧縮機の一例のスターリング冷凍機1000は、このようなものである。
特開平11−173695号公報 (段落番号0018〜0034,図1)
図3に示した従来技術では、シリンダ111の中央におけるシリンダ内空間にピストン121,121’が対向するように配置されているが、圧縮空間Cでガスを圧縮するため、ガスが漏れないように配慮する必用がある。そこで、ピストン121,121’とシリンダ内壁111aとの隙間(クリアランス)を10数μm以下に位置合わせしてクリアランスシールを形成する必要がある。
この位置合わせを高精度に行うためには、まずハウジング110内中央のシリンダ内空間、第1収容空間Aおよび第2収容空間B全ての中心軸が同軸に位置するように形成する必用がある。
さらに可動体120の取付けでは、それぞれ回転体であるピストン121、ピストンロッド122、フレクシャベアリング130,140、ヨーク180はそれぞれの中心軸が同軸上にあるように位置決めされた上で組み立てられる。同様に、可動体120’の取付けでは、回転体であるピストン121’、ピストンロッド122’、フレクシャベアリング150,160、ヨーク180’もそれぞれの中心軸が同軸上にあるように位置決めされた上で組み立てられる。
この際、第1収容空間Aおよび第2収容空間Bの内周壁面とヨーク180,180’の外周壁面が当接して組立てられたときに、全ての軸が同軸上に配置されるとともにピストン121,121’とシリンダ内壁111aとで10数μm以内のクリアランスシールが構成される必用があり、寸法精度・同軸度を共に高精度に加工しておく必用がある。
従来技術ではこのように、ハウジング110と、可動体120,120’と、フレクシャベアリング群130,140,150,160と、駆動系としてのリニアモータ170,170’の内径・外径共に中心軸に対して偏芯がないように製造し、しかも同軸度を高めつつ機械的に高精度に組立てる必用があるというものであり、機械加工・組立て製造に大変な手間を要するため、コストが著しく嵩むという問題があった。
さらに、組立には圧入や焼き嵌めなどにより隙間のない結合方法が望ましいが、環境温度が変化した場合にもピストン121,121’と圧縮空間との隙間が変化しないようにするためには、第1収容空間Aおよび第2収容空間Bの内周壁面とヨーク180,180’の外周壁面とが当接して強固に密接させる必用があり、しまりばねとして構成する必用がある。しかし、ヨーク180,180’を第1収容空間Aおよび第2収容空間Bに嵌め込むとハウジング110に大きな残留応力が残ることになる。更に、作動時ではヨーク180,180’の熱膨張がハウジング110より大きい場合では、第1収容空間Aおよび第2収容空間Bの内周壁面とヨーク180,180’の外周壁面とのしまりがきつくなって更なる応力が発生する。また、ヨーク180,180’の熱膨張がハウジング110より小さい場合では、第1収容空間Aおよび第2収容空間Bの内周壁面とヨーク180,180’の外周壁面とで隙間が生じてピストンと圧縮空間Cとのクリアランスが保てなくなることがあった。
さらにハウジング110は、ガスの圧縮・膨張が圧縮空間Cで行われるため、ハウジング110全体で繰り返し荷重が加わるものである。これらのような複合力に耐えうるためには、ハウジング110を強固な機械構造とする必用があり、ハウジング110の厚さが大きくなり重量増となる。このような事情から圧入や焼き嵌めの採用を避けて、小型化・軽量化を図りたいという要請があった。
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハウジングに負担をかけることなく、ピストンとシリンダとのクリアランスを小さく、しかも安定的に保つことが可能な振動型圧縮機を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明の振動型圧縮機は、
筒内空間が内部に形成される筒体を含むシリンダと、この筒内空間内にあって筒体とクリアランスシールを保ちつつ一軸方向に移動するピストンヘッドと、を備える可動部ユニットと、
二個の可動部ユニットが収容空間内に収容されて、円孔状の中央空間内でシリンダの筒体の外周壁面と中央空間の内周壁面とが隙間部を形成した状態で筒体の先端開口が対向するように配置されるハウジングと、
ハウジング内に設けられるガス通路と、
シリンダの筒体の先端開口付近で中央空間の内周壁面と筒体の外周壁面との間に配置されてシリンダを支持する支持体と、
を備え、シリンダおよびピストンヘッドにより圧縮空間を形成するとともにこの圧縮空間にガス通路が連通することを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る発明の振動型圧縮機は、
請求項1に記載の振動型圧縮機において、
前記支持体は、ガス放出量の少ないエラストマで構成されるOリングまたはリップシールであることを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係る発明の振動型圧縮機は、
請求項1または請求項2に記載の振動型圧縮機において、
前記可動部ユニットは、
ピストンロッドの先端にピストンヘッドを有するピストンと、
固定子および可動子を有し、可動子がピストンロッドに固定されるリニア駆動部と、
ピストンロッドを軸方向にのみ移動するように支持しつつ、リニア駆動部の固定子に取り付けられる第1支持ばねと、
ピストンロッドを軸方向にのみ移動するように支持しつつ、第1支持ばねから離間した位置で前記リニア駆動部の固定子に取り付けられる第2支持ばねと、
ピストンヘッドが挿入される筒内空間が内部に形成される筒体を含み、ピストンヘッドの外周壁面と筒体の内周壁面とでクリアランスシールを保つシリンダと、
を備え、リニア駆動部から供給されるピストン駆動力により可動子およびピストンを一軸方向に移動させることを特徴とする。
また、本発明の請求項4に係る発明の振動型圧縮機は、
請求項3に記載の振動型圧縮機において、
前記リニア駆動部の固定子は、
回転体状であって中空に形成される筒体を有する継鉄と、
継鉄に固定される永久磁石と、
を備え、
前記リニア駆動部の可動子は、
前記永久磁石と対向する駆動子コイルと、
を備えることを特徴とする。
このような本発明によれば、ハウジングに負担をかけることなく、ピストンとシリンダとのクリアランスを小さく、しかも安定的に保つことが可能な振動型圧縮機を提供することができる。
続いて、本発明を実施するための最良の形態の振動型圧縮機について、図を参照しつつ説明する。図1は本形態の振動型圧縮機の概略構成図であり、図1(a)は全体断面構成図、図1(b)は中央付近の拡大構成図である。図2は可動部ユニットの概略構成図である。振動型圧縮機10は、図1(a)で示すように、二個の可動部ユニット20、ハウジング30を備えている。
この可動部ユニット20は、図2で示すように、ピストン21、リニア駆動部22、第1支持ばね23、第2支持ばね24、シリンダ25を備えている。
続いて可動部ユニット20の各部の詳細について図2を参照しつつ説明する。
ピストン21は、ピストンロッド21a、ピストンヘッド21bを備えている。棒状のピストンロッド21aの先端に、円柱状のピストンヘッド21bが固定されている。このピストン21はステンレスを材料としている。
リニア駆動部22は、固定子221、可動子222を備えている。
固定子221では、外周側でリング状の外側継鉄221a、内周側でリング状の内側継鉄221bが配置される。この外側継鉄221aと内側継鉄221bとは連結部221cにより一体に連結される。これら外側継鉄221a、内側継鉄221b、連結部221cとで継鉄が構成される。この継鉄は磁路を形成する部材であるため軟鉄などの鉄系を材料としている。外側継鉄221aと内側継鉄221bとの間には、図1で示すような空隙部221dが形成される。この空隙部221d内には永久磁石221eが配置される。永久磁石221eは外側継鉄221aに固定される。
この固定子221の外側継鉄221aの一方の開口部端面には第1支持ばね23が、また、固定子221の外側継鉄221aの他方の開口部端面には第2支持ばね24が固定されている。これら第1支持ばね23、第2支持ばね24によりピストンロッド21aはその半径方向には移動できないが、ピストンロッド21aの軸方向(図2中の左右方向)に移動可能となるように支持されている。このピストンロッド21aの先端のピストンヘッド21bも軸方向に往復動する。
このように軸方向に可動自在となされたピストン21には、そのピストンロッド21aで可動子222が固定される。可動子222は、詳しくは、可動子コイル222aを支持するコイル支持枠222bが固定され、空隙部221dに可動子コイル222aが軸方向に挿入されて永久磁石221eと対向するようになされている。可動子コイル222aにピストン駆動力が加わり、この可動子コイル222aの移動に応じてピストン21も移動するようになされている。
リニア駆動部22はこのように構成される。
続いて、シリンダ25について説明する。
シリンダ25は、図2で示すように、筒体25a、フランジ部25b、内部空間25cを備えている。筒体25aとフランジ部25bとは一体に構成されている。このシリンダ25は、ピストン21と同じくステンレスを材料としている。このシリンダ25のフランジ部25bは、第1支持ばね23の外周枠に固定されている。シリンダ25の筒内空間25cの内周壁面とピストンヘッド21bの外周壁面とでは、適正なクリアランス(隙間)を保持しており、クリアランスシール26を構成する。クリアランスシール26とするためには、クリアランスを充分狭くしてガスを通過させないようにする必用があり、ピストンヘッド21aの上死点から下死点までの全行程において全円周で隙間が10数μmを上回らないように維持している。可動部ユニット20はこのような構成を有している。
なお、可動部ユニット20は図1の左右で同じものであり、同じ符号を付して重複する説明を省略する。
続いて振動型圧縮機10の全体構成について図1を参照しつつ説明する。
ハウジング30は放熱性の良い材料、例えばアルミニウム合金などを材料としている。 このような左右で一対の可動部ユニット20がハウジング30内の左右の収容空間a,bにそれぞれ配置される。取付ねじ31が外側継鉄221aのフランジ部に設けられた孔(図示せず)を貫通してハウジング30に締結されている。
シリンダ25の筒体25aの先端に形成された先端開口付近では、本発明の支持体の具体例であるOリング32が配置されている。Oリング32は、ハウジング30の中央空間cの内周壁面に形成されたOリング収容溝34内に収容され、また、筒体25aの外周壁面と当接して固定されている。このOリング32により、中央空間cの内周壁面と、シリンダ25の筒体25aの外周壁面との間に隙間部eが形成される。
また、ピストンヘッド21b、シリンダ25の筒内空間25cおよびクリアランスシール26により区画されて圧縮空間dを形成する。また、この圧縮空間dにガス通路33が連通する。
振動型圧縮機10の構成はこのようなものである。
続いて、このような振動型圧縮機10の動作について説明する。
図示しない制御回路から駆動信号が振動型圧縮機10へ供給されると、可動子コイル222aが往復動するピストン駆動力が発生し、このピストン駆動力がコイル支持枠222bに連接されたピストンロッド21aに加わり、ピストンロッド21aも軸方向に往復動作をする。ピストンヘッド21b、シリンダ25aおよびクリアランスシール26でシールされた圧縮空間d内の流体(冷媒・作動ガス)がピストンヘッド21bの往復動作によって圧縮され、流体はガス通路33を通って図示しない後段の装置(例えば極低温冷凍機なら膨張機)に供給される。
続いて、本形態の振動型圧縮機の製造方法について説明する。特に製造が容易である点も含めて説明する。
まず可動部ユニット20を製造する。主に軟鉄で作られる継鉄(外側継鉄221a、内側継鉄221b、連結部221c)、ステンレスなどのばね材料で作られるフレクシャベアリングである第1支持ばね23、第2支持ばね24、同じくステンレスで作られるシリンダ25、同じくステンレスで作られるピストン21を組み付ける。この組み付け時に、ピストンが一軸方向に動くように第1支持ばね23、第2支持ばね24、ピストン21の位置決めを行い、さらにピストン21とシリンダ25とのクリアランスを調整して所望の隙間(10数μm)を確保する位置決めを行う。その後にレーザー溶接などで各部を溶接して一体化し、可動部ユニット10を完成させる。
このようにピストンヘッド21bとシリンダ25は非接触状態で可動するように調整されつつ組立られるが、先に述べたように可動部ユニット20の組立て時点で位置決めが正確になされるため、後にハウジング30へ組み付けるときの調整の手間を低減できる。
このように可動部ユニット20では、ピストン21とシリンダ25とでクリアランス調整が既に行われているため、クリアランスシール26は後のハウジング30への組み付けで影響を受けることがない。
可動部ユニット20の製造後、ハウジング30への組み付けが行われる。ハウジング30の中央空間cのOリング収容溝34内にはOリング32が配置されている。このような中央空間cに左右両方向から可動部ユニット20のシリンダ25を挿入し、最後にOリング32内にシリンダ25を挿入しつつ、可動部ユニット20を収容空間a,bへ収容する。最終的に両側からシリンダ25の先端開口を突き合わせて、圧縮空間dを形成する。この際、Oリング32によりシリンダ25が誘導されるため、先端開口の端面が確実に当接し、漏れが少なくなる。この圧縮空間部dへはガス通路33が連通している。例えばシリンダ25の先端開口に半円の溝を形成し、両側で突き合わせて真円の孔を形成し、この孔にパイプ状のガス通路33を挿入することで形成しても良い。
振動型圧機10はこのようにして製造される。
続いて、このような振動型圧縮機10の特徴について説明する。
まず、本形態の振動型圧縮機10は従来技術のような可動部ユニットとハウジングとが半径方向で接触して固定される構成を改め、ハウジング30の収容空間a,bでは可動部ユニット20は半径方向では接触しない点、ハウジング30の中央空間cの内周壁面とシリンダ25の筒体25aの外周壁面とで隙間部eを形成する点、さらにシリンダ25の先端開口付近で弾性を有する支持体であるOリング32に支持させている点を共に有する点が特徴となっている。
本形態では半径方向では、可動部ユニット20・シリンダ25がハウジング30と接触せず、Oリング32を介して支持するのみであるため、ハウジング30に応力が発生するような事態がなくなり、ハウジング30に必用とされる強度を大幅に低減できる。
また、シリンダ25の筒体25aの外周壁面と、ハウジング20の中央空間cの内周壁面は、Oリング32の弾性で漏れを防止できる最大限の大きさに設定された隙間部eを介在させている。例えば、シリンダ25の外周円と内周円の中心軸がずれていたとしても、この隙間部eは機械的な誤差等を吸収する機能を有しており、取付けねじ32を緩めた状態で対向するシリンダ25の内周円同士で同軸となるように調整しても、外周円のずれを吸収することができ、組立て時に機械的精度を確保できる。また、筒体25aの外周壁面の表面粗さを大きくしても取付け精度に影響されない。これら理由により動作性能に影響を与えることなく機械的精度を低くでき、製造コストの低減に寄与する。
また、可動部ユニット20のピストン21、継鉄、第1支持ばね23、第2支持ばね24、ハウジング30の熱膨張係数を近づけることで、熱膨張が相違して可動部ユニット20に歪みが生じるような事態も回避できる。また、可動部ユニット20のピストン21、継鉄、第1支持ばね23、第2支持ばね24、ハウジング30の熱膨張係数が相違している場合であって、動作時に発生する高熱により中央空間部の内径とシリンダ外径とで寸法が変化するときでも、少なくとも隙間部eおよびOリング32が機械的変化を吸収しつつ支持するため、熱応力による歪みが発生する事態も回避できる。
また、対向する可動部ユニット20のシリンダ25が熱膨張したとしてもシリンダ25の先端開口部が当接して圧縮空間dは維持される。また、シリンダ25のフランジ部25bの構造も変形を吸収する構成のため、取付ねじ31が緩むような事態は生じない。
以上本発明の振動型圧縮機について説明した。
なお、本発明の支持体としてOリング32を例に挙げて説明した。しかしながら、他の支持体としても良く、例えば、リップシール、Vリングなどの通常のオイルシールを採用し、これらを支持体に適用することも可能である。これらリップシール、Vリングの場合、Oリングと比較して半径方向の弾性が充分大きくなるように配慮する。
この発明によれば、クリアランスを構成するシリンダ25をレーザー溶接等で可動部ユニット20にあらかじめ一体化するような振動型圧縮機20した。これにより、ピストン21とシリンダ25のクリアランスの設定が容易であるとともに環境温度が変化したとしてもクリアランスの変化を少なくすることができる。
また、可動部ユニット20のピストン21、継鉄、第1支持ばね23、第2支持ばね24を熱膨張係数の近い材料で構成することで、クリアランスの変化をより少なくすることができる。
また、ハウジング30に設けた中央空間cとシリンダ25とを、Oリング32を介して取り付ける構造であるため可動部ユニット20とハウジング30との組立が容易となる。また、シリンダ25の熱膨張係数を継鉄材料や板ばね材料と合わせることにより、環境温度が変化してもピストン21とシリンダ25とのクリアランスに影響を及ぼさなくすることができる。
さらに、従来技術のようにハウジング30とピストン21とでクリアランス調整を行うのではなく、可動部ユニット20で独立してピストン21とシリンダ25とのクリアランスを調整できるようにした。このため、ピストン21とシリンダ25とのクリアランスを決めるピストン外径寸法とシリンダ内径の寸法の精度は必要であるが、可動部ユニット20と外径とピストン21の同軸度およびシリンダ内径とハウジング嵌め合い部の同軸度精度が不要となり、部品製造が容易になる。
これら効果が相俟って、ピストン移動方向を正確に維持することができる。その結果、組立性の向上、クリアランスシール26の適正化による圧縮効率の向上を行うことができ、コストの低減および低消費電力化が見込める。
本発明を実施するための最良の形態の振動型圧縮機の概略構成図であり、図1(a)は全体断面構成図、図1(b)は中央付近の拡大構成図である。 可動部ユニットの概略構成図である。 リニアモータ圧縮機を利用するスターリング冷凍機の断面図である。
符号の説明
10:振動型圧縮機
20:可動部ユニット
21:ピストン
21a:ピストンロッド
21b:ピストンヘッド
22:リニア駆動部
221:固定子
221a:外側継鉄
221b:内側継鉄
221c:連結部
221d:空隙部
221e:永久磁石
222:可動子
222a: 可動子コイル
222b:コイル支持枠
23:第1支持ばね
24:第2支持ばね
25:シリンダ
25a:筒体
25b:フランジ部
25c:筒内空間
26:クリアランスシール
30:ハウジング
31:取付ねじ
32:Oリング
33:ガス通路
34:Oリング収容溝

Claims (4)

  1. 筒内空間が内部に形成される筒体を含むシリンダと、この筒内空間内にあって筒体とクリアランスシールを保ちつつ一軸方向に移動するピストンヘッドと、を備える可動部ユニットと、
    二個の可動部ユニットが収容空間内に収容されて、円孔状の中央空間内でシリンダの筒体の外周壁面と中央空間の内周壁面とが隙間部を形成した状態で筒体の先端開口が対向するように配置されるハウジングと、
    ハウジング内に設けられるガス通路と、
    シリンダの筒体の先端開口付近で中央空間の内周壁面と筒体の外周壁面との間に配置されてシリンダを支持する支持体と、
    を備え、シリンダおよびピストンヘッドにより圧縮空間を形成するとともにこの圧縮空間にガス通路が連通することを特徴とする振動型圧縮機。
  2. 請求項1に記載の振動型圧縮機において、
    前記支持体は、ガス放出量の少ないエラストマで構成されるOリングまたはリップシールであることを特徴とする振動型圧縮機。
  3. 請求項1または請求項2に記載の振動型圧縮機において、
    前記可動部ユニットは、
    ピストンロッドの先端にピストンヘッドを有するピストンと、
    固定子および可動子を有し、可動子がピストンロッドに固定されるリニア駆動部と、
    ピストンロッドを軸方向にのみ移動するように支持しつつ、リニア駆動部の固定子に取り付けられる第1支持ばねと、
    ピストンロッドを軸方向にのみ移動するように支持しつつ、第1支持ばねから離間した位置で前記リニア駆動部の固定子に取り付けられる第2支持ばねと、
    ピストンヘッドが挿入される筒内空間が内部に形成される筒体を含み、ピストンヘッドの外周壁面と筒体の内周壁面とでクリアランスシールを保つシリンダと、
    を備え、リニア駆動部から供給されるピストン駆動力により可動子およびピストンを一軸方向に移動させることを特徴とする振動型圧縮機。
  4. 請求項3に記載の振動型圧縮機において、
    前記リニア駆動部の固定子は、
    回転体状であって中空に形成される筒体を有する継鉄と、
    継鉄に固定される永久磁石と、
    を備え、
    前記リニア駆動部の可動子は、
    前記永久磁石と対向する駆動子コイルと、
    を備えることを特徴とする振動型圧縮機。
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