JP2005504473A - 二重オン−ガラススロットアンテナ - Google Patents

二重オン−ガラススロットアンテナ Download PDF

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バランスキ デトレフ
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ピルキントン オートモーティヴ ドイチェラント ゲーエムベーハー
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Abstract

金属周囲枠(1)内に取り付けるためのVHF範囲内の改良されたダイバーシチ及び/又は多帯域適用性を有する自動車両アンテナ窓ガラスであり、この場合、導電性パネル(2)は金属周囲枠(1)から間隔をおいて設けて、これらの2つのものの間に細長い誘電性スロット(3)を作るようになしている。スロット(3)内に配置されているのは、スロット(3)の長さに沿って延びる細長い放射区域(4、5)を合体している幾つかのスロットアンテナであり、その幾何学的形態は、少なくとも1つの接地エッジ導体(1、6、7)と1つの信号エッジ導体(2、8、9)を合体しているHF−導電性フレームによって限定されており、少なくとも1つの成端導体(10、11)はそれらの長手方向の端でスロットアンテナを成端する。放射区域(4、5)の各々は端子区域(12、13)を合体し、隣接する端子点(14、15、16、17)で夫々のスロットアンテナに割り当てられた不平衡接続リード線(18、21)の接地導体(19)が接地エッジ導体(1、6、7)に接続されることができ、その信号導体(20)が夫々のスロットアンテナの信号エッジ導体(2、8、9)に接続されることができる。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は請求の範囲の請求項1の前文に記載した車両アンテナ窓ガラスに関するものである。
背景技術
【0002】
この種の車両アンテナ窓ガラスは EP 0 760 537 A2 から既知である。単一の窓ガラス又は積層ガラスからなるこの既知の車両アンテナ窓ガラスの場合、金属の周囲枠は車両の車体によって形成される。窓ガラスの中心には透明なソーラー(solar)制御被覆によって形成された導電性のパネルが配置される。導電性パネルは細長い特に方形(台形)の又は逆U形の誘電性のスロットを車両の車体で囲む。一方では、金属車両の車体と、もし必要ならば、追加のへり近くの見掛けの(virtual)接地導体、及び他方では導電性パネルがVHF範囲( 30 − 300 MHz)、ラジオ(FM)及びテレビジョン受信用の正規の周波数範囲用の1つ以上のスロットアンテナのHF−導電性フレームの実質的部品を形成する。各場合におけるHF導電性フレームは各スロットアンテナの誘電性放射区域(dielectric radiating area)を囲む。この既知の車両用のスロットアンテナの場合、アンテナ窓ガラス成端導体はこれらのアンテナの放射区域をそれらの内方の端で成端させ、それによってスロットアンテナの有効長さを限定する。成端導体(terminating conductors)は金属車両の車体自体によって又は誘電性スロットを横切って延びる別個の導体によって、例えば加熱パネル又はアンテナ接続リード線によって形成される。各スロットアンテナは端子区域をもち、この区域で接地導体と不平衡リード線の信号導体、特に同軸ケーブルが放射区域の長手方向の延長部を横切ってお互いに近接する端子点でスロットアンテナの2つの対向するエッジ導体に接続される。同軸ケーブルは各場合に、それらの接地導体によって、HF−導電的に車両の車体に、又はへり近くの見掛けの接地導体にそしてそれらの信号導体によって導電性パネルに接続される。このようにして、既知のアンテナ窓ガラスのすべてのスロットアンテナの場合、それらの接地導体は金属の車両車体によって又はへり近くの見掛けの接地導体によって形成され、そしてそれらの信号導体は導電性パネルによって形成される。接続リード線はスロットアンテナを送信又は受信装置に、特に車両の適当な部分に置かれたラジオ又はTV受信器に接続する。
【0003】
既知の車両アンテナ窓ガラスは大きな周波数範囲にわたって電磁波の広帯域のかつダイバーシチ(diversity)受信にそれ自体有効であることが証明されている。しかし、欠点があり、それは、スロットアンテナは負荷時にお互いに干渉する可能性があることである。スロットを横切る数個の接続導体の配置は他の接続導体による1スロットアンテナの有効な短縮(成端)をもたらし、望ましくない利用可能の受信電力の減少と個々のスロットアンテナの最大長さの減少を生じる。
【0004】
TV受信用の1つ又は2つのスロットアンテナをもつもう1つの車両アンテナ窓ガラスはJP-A59-196606号から既知である。この場合もまた、金属周囲枠は車両の車体によって形成されており、一方、金属周囲枠から間隔をおいた導電性パネルは少なくとも1つのU形金属プレートによって形成され、もし必要ならば、加熱パネルも窓ガラスの中心に設けられる。U形金属プレートはU形の各脚部の端に、車両の車体に向かって曲がった部分をもち、そして次ぎのように、即ち、車両の車体と一緒にそれがスロットアンテナのHF-導電性フレームを形成するように配置されており、その放射区域はその側面に横たわるU形の形態をなしている。もし2つのスロットアンテナが設けられるならば、これらは車両アンテナ窓ガラスの左側と右側にお互いの間に或る距離をおいて配置される。既知のアンテナ配置の可能な適用は制限される。通常は、車両窓ガラス上に必要なアンテナ構造を収容するには不十分なスペースしかない。
【0005】
種々の周波数範囲について1つ以上のスロットアンテナをもつ車両アンテナ窓ガラスは多数の他の刊行物、例えば DE 37 14 979A1、US5 831 580, US 5 739 794, US 5 610 618, WO99-66587 A1, EP 1 076 375 A2, EP 0 899 811 A2, EP 0 897 198 A2, EP 0 332 898 A1 号中に見ることができる。理論的に理想的な場合には、スロットアンテナは無限に延びた導電性パネル中の幅狭の誘電性スロットから形成される。各場合、それらはそれらのエッジの対向点で、殆どはスロットの中央で、両側のスロットを横切って接続される。スロットアンテナは非対称アンテナを表すので、それらは不平衡の接続リード線によって、特に同軸ケーブルによって接続される。
【0006】
部分的にダイバーシチ適用に関係する上述の刊行物の他に、同様にダイバーシチアンテナについての多数の刊行物がある。EP 0 866 514 B1は1例としてのみVHF 範囲内のダイバーシチアンテナの技術的原理を説明するために挙げられるべきである。
【0007】
十分に機能するためにスロットアンテナはアンテナとして使用される誘電体のスロット状放射区域の回りにできるだけ広い導電性パネルを要求する。それらの最適幾何学的長さは誘電性スロット中にある誘電性媒体の誘電性短縮(shortening)ファクターを掛けた関連する周波数範囲の平均波長のほヾ半分となる。短縮ファクターがパネル厚さに依存してほヾ0.6 - 0.7 となるガラスパネルの場合、VHF 範囲(30 - 300 MHz )用のスロットアンテナは典型的にはほヾ30 ・と3mの間のスロット長さを必要とする。このスロット長さは通常の車両窓ガラスの場合、典型的には 1 - 1.5 mの幅と、典型的にはほヾ 0.50 - 1mの高さをもつ場合に一般的に得られる。
【0008】
一方が他方のそばに配置されている異なった幅と同じ長さをもつ2つの方形の導体構造からなる移動式電話受信用の二重スロットアンテナ構造は、EP 0 643 437 B1 中に記載されている。ほヾ860 MHz の範囲内の受信用に設計された二重スロットアンテナは単一の接続リード線のみをもち、その接地導体は下部導体の方形の下部のエッジ導体に接続され、その信号導体は残余の水平エッジ導体に接続される。この種の配置は VHF 範囲内のダイバーシチ又は多重受信には適さない。
発明の開示
【0009】
本発明の目的は、最初に述べた型式の車両アンテナ窓ガラスを提供することである。この窓ガラスによりスロットアンテナの助けをかりて、VHF 範囲内のダイバーシチ及び/又は多範囲受信のために導電性パネルと窓ガラスのへり(金属周囲枠)の間の限定されたスペースをより良く使用することができる。本発明は、ギガヘルツ範囲までのより高い周波数範囲のための更に別のアンテナシステムが、しかしまたAMアンテナ又は他の2次元的に延びた金属構造がスロットアンテナの機能を損なわずに収容されることを可能にすることを目的とするものである。スロットアンテナはお互いの連結を十分に外され、かくして特にダイバーシチ適用に十分に適する可能性をもつべきである。
【0010】
本発明によれば、少なくとも2つのスロットアンテナがそれらの長さの少なくとも一部にわたって互いに並列にかつ隣接して配置されている。好適には、それらの放射区域は窓ガラスの平面上の投影(projection)に重ならないようにする。
【0011】
意外にも、本発明によれば、大きな長さをもちかつお互いの連結を十分に外された数個のスロットアンテナは、メートル範囲の正規の寸法をもつ車両アンテナ窓ガラス上の幅狭のスロット内で並列にかつお互いに隣接して配置されることができ、その際スロットは窓ガラスの中心に配置した導電性パネルと車両車体又は他の金属周囲枠の間に置かれる。本発明の配置は、各スロットアンテナにそれ自体の端子区域をもつ個別のHF回路が設けられ、すべてのスロットアンテナが1平面内に配置されている場合、すべてのHF回路がお互いに並んで配置されていて重ならないという原理に依存している。1つの他のアンテナとしてもう1つの平面内に少なくとも1つのスロットアンテナを配置することは本発明の範囲に含まれる。この場合、スロットアンテナが窓ガラスの平面上の投影内で部分的に又は全体的に重なるようそれらの放射区域が互いに上下に配置されるように、HF回路をもつスロットアンテナを形成することも可能である。
【0012】
好適には、スロットアンテナの端子区域はスロットの長さに沿ってお互いに或る距離をおいて設定される。この距離が長ければ長いほど、夫々の受信信号は車両が移動している時間にわたってお互いにより大きく異なり、アンテナのダイバーシチ適合性はより良くなる。2つのスロットアンテナの端子区域間の大きな距離は、特にスロットアンテナの放射区域と、車両のアンテナ窓ガラス上のそれらの位置の幾何学的形態がお互いにほんの僅か異なるならば、好ましいとされる。
【0013】
同様に、スロットアンテナの放射区域が異なった幾何学的形態をもてば、それは好適である。このような関係であれば、もしそれらの幾何学的センスが同様でないならば、幾何学的形態はお互いに異なると云うことができる。このことは、例えばもし一方がL形で他方が他のU形であか、又は一方が窓ガラスの上部左側の隅部に脚部の交差点をもつL形で他方が窓ガラスの上部右側の隅部に脚部の交差点をもつ他方のL形であれば、その通りである。この場合、目指した異なった受信品質はスロットアンテナの放射区域の幾何学的形態の差の結果である。この場合、それは、スロットアンテナの端子区域が接続努力を制限するために互いに隣接して置かれるならば有利となることができる。
【0014】
多範囲受信のためには、スロットアンテナの放射区域が異なった長さをもつ設計が特に適している。
【0015】
本発明の範囲内では、少なくとも1つのスロットアンテナのHF−導電性フレームは少なくとも1つの永久又は切り換え可能の容量性、誘導性又は抵抗性ブレーク(break)素子を含むことができる。これは、その異なっている(otherwise)連続的導体構造がフレーム上の少なくとも1つの場所で破壊され、隣接する導体端部が、キャパシタンス、インダクタンス、又はオーム抵抗によって互いにHF−導電的に接続されることを意味する。これはインピーダンスの適合を可能にしかつ、例えばヒーターグリッド又は加熱できる被覆のような、電気的装置の付近にある導体構造を、望ましくないDC電流を回避可能にするようにより自由に構成することを可能にする。ブレークを、例えば電子又は電気機械的リレーを使用して、切り換え可能にすることは、本発明の範囲内に入る。それによって、アンテナ特性を変更すること、又はヒーターパネルを設けている場合には、スロットアンテナのエッジ導体を付近のヒーターパネルから直流電気的に分離することが可能になる。
【0016】
本発明の1つの特に簡単に製造できる実施例では、スロットアンテナの少なくとも1つのエッジ導体(edge conductors)が形成される。金属周囲枠によって、又は導電性パネルによって形成され、金属周囲枠及び/又は導電性パネルの近くの分離したエッジ導体は省くことができる。
【0017】
しかし、アンテナ機能にとって、もしスロットアンテナの少なくとも1つのエッジ導体が分離した接地エッジ導体又は金属周囲枠又は導電性パネルに平行に又は隣接して設定された単一のエッジ導体として、車両のアンテナ窓ガラスの上/内に配置されるならば、通常はより有利である。もし金属周囲枠近くのへりに分離した接地エッジ導体が設けられるならば、車両アンテナ窓ガラスを車両の車体に取り付けるとき、スロットアンテナは公差から機能的により独立したものとなる。分離した導体は、例えばガラス面上に印刷されそして焼かれ、又は別法として、ガラス面上に被覆されることができる導体であり、金属周囲枠又は導電性パネルに加えて車両アンテナ窓ガラス上に/内に、通常はこれらからガルバニー電気的(galvanically)に分離されて取り付けられることができる導体である。この場合、本発明の範囲内で、良好な接地接続をなすために金属周囲枠にガルバニー電気接続をなすよう、別個の接地エッジ導体を準備することができる。導電性パネルに隣接した別個の単一のエッジ導体を準備することは、もし導電性パネルがヒーターグリッド又は他の給電される装置によって形成されるならば、低導電率をもつ導電性パネルの場合又はガルバニー電気接触を回避するために、特に実際的である。
【0018】
好適実施例では、少なくとも1つのスロットアンテナのHF−導電性フレームは、しかし好適にはすべてのスロットアンテナは、“スロット−イン−スロット(slot-in-slot)”配置中の車両アンテナ窓ガラス上/内に取り付けられた分離した導体構造から全体的に作られる。この場合、個々のスロットアンテナのHF回路(HF−導電性フレーム)は良好なダイバーシチ特性を提供するために特にお互いに十分に分離される。
【0019】
スロットアンテナは、それらが平行にかつ隣接して延びる区域では、お互いに極めて接近して規則正しく置かれ、隣接したエッジ導体はHF−導電的に一緒に連結される。本発明の特別の1実施例によれば、2つのスロットアンテナの放射区域は互いに隣接して配置され、両スロットアンテナは少なくとも部分的に1つの共通の導体を共有することになる。これによりスロットアンテナに利用可能なスペースを特に良好に使用することが可能になる。
【0020】
本発明による車両アンテナ窓ガラスは、特に追加のモノポールアンテナ又はダイポールアンテナを1つのスロットアンテナの端子区域に、そして好適にはその放射区域の内側に配置することによって広帯域アンテナ窓ガラスに変換することができる。好適には直線構造をもちそして別々の接続リード線を備える必要のないこの型式のアンテナは、VHF帯域より上の周波数範囲内の、特にギガヘルツ範囲内の受信のために適している。
【0021】
もし高周波数範囲用の追加のアンテナが少なくとも1つのモノポールを少なくとも1つの割り当てられた見掛けの接地導体と合体すれば、特に有効であることが見いだされた。その場合、見掛けの接地導体はHF−導電的に関連するスロットアンテナの接地エッジ導体に、そしてモノポールがその単一のエッジ導体に接続される。
【0022】
別法として又は追加的に、より高い周波数用の追加のアンテナを接続装置に、特に平らな接続ケーブル又は他の型式のコネクタに統合することができる。
【0023】
アンテナ信号は色々な場所で処理しそして増幅することができる。本発明の1つの特定の実施例は、インピーダンス変成器及び/又はアンテナ増幅器が少なくとも1つのスロットアンテナの端子区域に配置されるという事実を特徴とする。この種の配置はアンテナと給電ライン間のブレーク素子として機能することができ、そしてそれがアンテナに接近しているために、信号を改善するのに適している。インピーダンス変成器及び/又はアンテナ増幅器が、スロットアンテナを有効に短縮しないように十分に細くなることを保証することにのみに注意を払うべきである。
【0024】
更に少なくとも1つの2次元的に(一般的には3次元的にでさえも、)延びた金属構造を、スロット内に、特にスロットアンテナの放射区域内にかつその信号エッジ導体から十分な距離をおいて取り付けるようにして備えることができる。これは例えば、ミラーベース、センサー、チューナ、信号ランプ、外部移動電話器用のしゃへい構造、GPSアンテナ等とすることができる。金属構造とスロットアンテナの信号エッジ導体間の距離は、スロットアンテナの長さがその中に配置された金属によって望ましくないこととして有効に短縮されることを防止するために最小のスロット幅を保持するよう設定しなければならない。
【0025】
本発明の特定の1実施例によれば、少なくとも1つの接続リード線が、車両のアンテナ窓ガラス上/中に配置されたHF導体の形態をなす延長部、特に擬似同軸(pseudo-coaxial)ケーブルをもつ。擬似同軸ケーブル構造として特に適当なのは、1平面内に接地導体と信号導体をもつ共面(coplanar)構造、又は両側に接地導体を付随した信号導体をもつトリプレイナー(triplanar)構造である。これにより外部接続リード線は車両アンテナ窓ガラスの1点で束ねられことができる一方、ダイバーシチ適用のために個々のスロットアンテナの端子区域を依然として有利に保つことができる。この場合、一般に、HF導体の接地導体が1つのスロットアンテナの接地エッジ導体と少なくとも部分的に同じになるように備える。このために、接地エッジ導体は好適にはより幅広く構成され、そしてHF導体の信号導体は、HF導体の幅広くされた接地導体と平行にかつそれに隣接して、接続されるスロットアンテナの有効端子区域まで、延びる。
【0026】
本発明の車両アンテナ窓ガラスは、勿論、更に別のアンテナを合体するダイバーシチアンテナ配置の一部を形成し、その場合、上記更に別のアンテナは他の車両窓ガラスの上/中に取り付けるか、又は車両内の他の場所に取り付けることができる。
【0027】
ダイバーシチ適用の使用可能性の他の本発明の更に別の利点は、もし必要ならば、1つの同じ車両アンテナ窓ガラスを、異なった周波数範囲又は偏波(polarisations)が例えば一方においては、日本において、また他方においては、USAにおいて、ラジオ又はTV受信用に適用される国のために使用することができる。要求されるすべてのことは、種々の長さのスロットアンテナを提供することである。車両アンテナ窓ガラス中にお互いに平行に取り付けられるようにして、その1つは1つの国で使用され、他方は他の国で使用される。
【0028】
上述の説明はすべて受信用アンテナに適用される。本発明はまた送信用アンテナに適用することもできる。
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
実施例の説明
【0029】
図はすべて概略図であり、尺度比率は考慮されていないものである。これらの図は本発明の原理を説明するのに役立つものであり、勿論専門家は、特定の要件に対して、導体構造を窓ガラスの実際の幾何学的形態と寸法に適用させ、そしてアンテナ配置を通常の仕方で本発明の範囲内で最適化するだろう。
【0030】
図1は本発明の第1実施例を示す。通常金属車両の車体にクロスハッチングを付して示している金属周囲枠1を確認することができ、上記車両車体は、説明を簡明化するために方形として表されている多角形の開口をもっており、この開口の中に車両アンテナ窓ガラスが配置されるのである。窓ガラス自体は示されていない。むしろアンテナ機能に最も重要な導体構造のみが図面の平面(窓ガラスの平面)上に投影されて示されている。
【0031】
車両アンテナ窓ガラスは特に、単一の窓ガラス用安全ガラス又は多重窓ガラス用ガラス、特に積層安全ガラスから作ることができる。導体構造は単一の平面内に又は種々の平面内に全体的に配置することができる。アンテナ機能に貢献しないか又は実質上貢献しない積層フォイルの如き窓ガラス部品、導体構造を完全に又は部分的に光学的に隠すシルクスクリーン法によって適用される焼き付けエナメルの不透明なストリップの如き非導電性被覆、取り付け用接着剤、及びフレーム部品(例えば密封用プロフィル)等は示されていない。金属車両車体の代わりに、金属周囲枠1はまた、例えばプラスチック車体中の窓開口、又はフレームレスの又は部分的にのみフレーム付けされた窓の窓ガラスの場合、平らな又は格子状導体の接地されたフレームによって形成することもできる。
【0032】
窓ガラスの中心に示されるのは、幾つかの平行な水平加熱導体と、導電性パネル2を形成するへりにある2つの垂直バスバー(bus bars)から成るヒーターグリッドである。それを作るために、パネルがウエーブポーラリゼーション(wave polarisation)のすべての方向についてHF導電性であるとして、それを実際に機能させるために、加熱導体を横切って延びかつ適当な間隔をおいて設定された垂直導体の十分な数が既知の手法で設けられる。図示のこれらの導体の配置は単なる概要である。それは既知の方法で多くの仕方に変更することができ、またその配置は次ぎのようなもの、即ち、ヒーターグリッドが偏波(polarisation)のすべての方向でVHF範囲内の電波について金属(HF−導電性)パネルとして機能するようなものとする。本発明の範囲内で、交さ導体をもつヒーターグリッドの代わりに、もう1つの配置、例えば導電性格子又は網構造、又は導電性の2次元的に延びた層が導電性パネル2として設けられることができる。ヒーターグリッドは必要に応じて本発明の車両アンテナ窓ガラスの1つ以上のアンテナと別々に又は共通に接触させられることもできる。
【0033】
導電性パネル2として追加の垂直導体を備えた加熱パネルと金属周囲枠1は閉じた方形リングの形態をなす誘電性スロット3を囲む。以下でより詳細に説明するスロットアンテナとそれらの放射区域4、5が良好に機能することを保証するために、導電性パネル2ができるだけ遠くまで延び、そしてスロット3の幅があまり大きくならないことが重要である。導電性パネル2は本発明の車両アンテナ窓ガラスのすべてのスロットアンテナについて、金属周囲枠1に対する反対の面として必要である。これは個々のスロットアンテナからのその距離はあまり大きくすべきでないことを意味する。同じことは金属窓ガラス1からスロットアンテナまでの距離にも当てはまる。スロット3の幅は特に、関連する周波数範囲の約 0.6 乃至 0.7 のガラスの誘電性短縮率(dielectric shortening factor)を掛けた平均波長の5分の1よりきわだって小さくすべきである。もし導電性パネル2が金属周囲枠1からその周囲において間隔をあけていないが、車両アンテナ窓ガラスの1つ以上の側面区域内で窓ガラスのへりまで延び、それによって金属周囲枠1にHF−結合されかくして有効にスロット3を成端させるならば、それは本発明の範囲内に含まれる。従って本発明は方形、L形又は他の形状のスロット3をもつ配置も含む。しかしその場合、スロット3の幅は常にその長さより明らかに短い。
【0034】
スロット3の上半分に配置されているのは、2つのスロットアンテナであり、これらのスロットアンテナはHF−導電性フレームによって包囲された(囲まれた)誘電性放射区域4、5をもつ。2つのスロットアンテナの放射区域4、5は各々逆U形状に幾何学的に形作られており、この場合一方のスロットアンテナの放射区域は他方のスロットアンテナの放射区域5のU形の脚部と基底部内に配置されている。内部スロットアンテナは直線導体のフレーム状の連続構造を合体し、即ちほヾスロット3の中心を通して延びる逆U形の形態をなす接地エッジ導体6、ヒーターグリッドに隣接して延びる逆U形の形態をなす信号エッジ導体8、及びほヾ窓ガラスの垂直中間を通して延びる2つの水平の成端導体10を合体する。外部のスロットアンテナの導体構造は、金属周囲枠1に接近して配置された逆U形状をなす接地エッジ導体7、ほヾスロット3の中心を通して延びる逆U形状の信号エッジ導体9及び2つの水平の成端導体11を合体し、この成端導体はほヾ窓ガラスの垂直中間を通して延びかつ内部スロットアンテナの成端導体と整列している。外部スロットアンテナの信号エッジ導体9と、内部スロットアンテナの接地エッジ導体6はそれらの長さ全体にわたって互いに平行に隣接して延びて、それらが互いにHF−導電的に連結されるようになしている。“エッジ導体”という表現は、スロットアンテナの放射区域4、5をそれらの長手方向側面に沿って結合した導体部分を意味する。接地エッジ導体6、7は、接続リード線18、21の接地導体19、22を接続するエッジ導体である。これについては後述する。それに対応して、信号エッジ導体8、9は接続リード線18、21の信号導体19、22に接続されるべきエッジ導体を表す。
【0035】
スロットアンテナの放射区域4、5の幅は何れの点においても、VHF範囲内のスロットアンテナとして欠陥なしで機能するのに要求されるほヾ1・の最小値より小さくない。図示の例では、2スロット型アンテナの放射区域4、5はほヾ同じ幅をもつ。しかし、それらは、上述の最小幅を考慮して、異なった幅をもつことがもできる。頂部において放射区域4、5の幅はスロット3の指定された幅によって制限される。スロットアンテナの放射区域4、5の幅は受信可能の周波数範囲の帯域幅に影響する。スロットアンテナの幅が増すにつれて、帯域幅も増す。
【0036】
スロットアンテナの放射区域4、5の長さは成端導体10、11の位置によって決定される。これらはこの目的のために別々に設けられた導体によって形成されることができ、又はヒーターグリッドの接続導体(ここには示されていない)もまた、もしそれらが窓ガラスに接近してスロットを横切って延びるならば、スロットアンテナ用の成端導体10、11として作用することができる。VHF範囲内で良好な受信をなすために、スロットアンテナの放射区域4、5の長さは、各場合に、関連する周波数範囲の平均波長(ガラスの誘電短縮率を掛けたもの)の半分に近いものとすべきである。本発明はこれを、ほヾ窓ガラスの垂直中間に接続部をもつ導電性パネル2としてのヒーターグリッドと金属周囲枠の間のアンテナ目的のために利用可能なスペースが制限される場合ですら、十分な長さをもちかつ適切に異なった方向特性をもつ2つ以上のスロットアンテナを構成することができるような仕方で、2つのスロットアンテナを互いに平行にそれらの長さの少なくとも一部にわたって延ばすことによって可能となす。
【0037】
スロットアンテナのHF−導電性フレームを作る個々の導体は色々な方法で車両アンテナ窓ガラス上/中に取り付けられることができる。かくして積層ガラスの窓ガラスの場合、例えばワイヤ形の又は帯形の金属導体は窓ガラス間のスペース内に置くことができる。しかし通常は、少なくとも導体の大部分は、印刷された又は焼き付けられたシルク−スクリーン印刷シルバーフリット(silk-screen-printed silver frit)から形成される。同じことは、車両アンテナ窓ガラスの他の導体構造にも当てはまる。
【0038】
図示の例では、スロットアンテナのHF−導電性フレームは連続DC−導電性導体構造として設計される。しかし、フレーム部品がお互いに完全にガルバニー電気的に接続はされないが、VHF範囲内の関連した周波数で導電性である少なくとも1つの永久的な又は切り換え可能のDC−阻止又は抵抗ブレーク素子が設けられることは、本発明の範囲内に含まれる。特にフレームの個々の導体セグメントを平行に配置することによってそれらの短い距離を隔てた容量結合を保証することができる。代案として又は補足的に、オーム抵抗のためのコイル型式の導体配置又は設備による誘導結合もまた適している。HF−導電性ブレーク素子(conductive break element)の例について適切な図に基づいて以下説明する。
【0039】
内部スロットアンテナはその放射区域4の水平中間セクションの左側端近くに端子区域12をもつ一方、外側スロットアンテナの端子区域13はその放射区域5の水平中間セクションの右側側面には配置され、従って端子区域12から比較的長い距離の個所にある。夫々の端子区域12、13のこの間隔は、同じ幾何学的形態と隣接した位置にもかかわらず、2つのスロットアンテナに著しく異なった方向特性を与えそしてそれらにダイバーシチ受信を可能となす。端子区域12、13では、不平衡な接続リード線18、21(同軸ケーブル)がスロットアンテナの導体構造にガルバニー電気的に接続される。接続リード線18の信号導体20(コア)は信号エッジ導体8及び、内部スロットアンテナの接地エッジ導体6へ至るその接地導体19(しゃへい)に接続される一方、他方の接続リード線21の信号導体23は信号エッジ導体9及び、他方のスロットアンテナの接地エッジ導体へ至るその接地導体22に接続される。
【0040】
例えばもし接続されるべき導体構造が容易にアクセス可能な外側窓ガラス面上に配置されないか又はもし直流電流が阻止されるべきであれば、必要に応じて、スロットアンテナのHF−導電性フレームへの接続リード線18、21のガルバニー電気接続に代えて、容量性又は誘導性接続を備えることもできる。
【0041】
導電性パネル2の近くに配置された内部スロットアンテナの接続リード線18がHFで短絡すること、従って金属周囲枠1の近くに配置された外部スロットアンテナを偶発的に短縮させることを防止するために、接続リード線18が十分な垂直距離をおいた個所で第2のスロットアンテナの放射区域5を横切って延びることに注意しなければならない。VHF範囲内で動作するスロットアンテナでは、放射区域5の平面からの垂直距離は約1センチメートルより小さくすべきではない。この要件は、もしアンテナ機能に対する負の影響と横切って延びるスロットアンテナの望ましくない有効長さの減少を回避すべきであるならば、機能的にスロットアンテナの部分ではないがこれを横切って延びるすべての導体について、本発明の範囲内で一般的に認められなければならない。図において、接続導体間の垂直距離は導体の走行曲線によって場合に応じて示されている。
【0042】
同軸ケーブルの代わりに、他の不平衡な接続リード線18、2を使用することもでき、それは例えば平形ケーブルとして設計された擬似同軸ケーブルである。
【0043】
図2は、スロットアンテナの放射区域4、5の幾何学的形態が図1に示す幾何学的形態に一致している垂直アンテナ窓ガラスを示す。しかしここに示す実施例と対照的に、図2に示す変形例では、一方のスロットアンテナの信号エッジ導体9は他方のスロットアンテナの接地エッジ導体と同じである。更に、両スロットアンテナの端子区域12、13では、例えばUHF受信、移動電話器、キイレスアクセスシステム等のための特にギガヘルツ範囲内のより高い周波数の電波を受信するのに役立つ追加のアンテナ30が設けられる。追加のアンテナ30は、それらがスロットアンテナを有効に短絡させないか又は別な仕方で実質上それらの性能を損なわない限り、多くの異なった種類の導体構造をもつことができる。図示の例では、それらは、EP 0 557 794 B1 から既知の多帯域移動電話器アンテナに類似して、各場合に、異なった長さの数個のモノポール32と、割り当てられた見掛けの接地導体(ラジアル(radials))33を合体する帯域移動電話器アンテナとして設計される。図示の配置は、追加のアンテナ30を接続するために追加の接続リード線を必要としないが、2つのスロットアンテナの接続リード線18、21を追加のアンテナ30のために使用することもできるという利点がある。追加のアンテナ30は別法として、接続リード線18、21に統合するか、又はアンテナ窓ガラス上に別々の素子として配置することもきる。
【0044】
同様に次ぎの図では、簡明にするため、隣接するスロットアンテナは共通のエッジ導体をもつものとして示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。次ぎに説明されているすべての実施例では、図1に示す如く一方が他方のそばを延びている別々のエッジ導体をもちお互いに或る距離をおいて設定されているスロットアンテナはもまた使用可能である。
【0045】
図3は図2の実施例の変形例を示し、この例では、2次元に延びた金属構造35が外部スロットアンテナの放射区域5内に設けられており(ここでは概略にのみ示されている)、この金属構造は例えば、外部電話アンテナ、GPS受信システム、信号光配置等のための接地導体配置を合体することができる。この金属構造35が配置されそして放射区域4、5のエッジ導体6、9のレイアウトは両スロットアンテナの放射区域4、5のためにほヾ1・の要求される最小幅が全体を通じて保たれるように適合させられることが重要である。それは他の仕方では有効なスロット長さが望ましくないこととして減らされるからである。2次元的に延びた金属構造35は勿論、3次元的に延びることがもできる。
【0046】
図4は図3の実施例の変形例を示す。この例では、金属構造35はより大きい長さをもち、2つのスロットアンテナの端子区域12、13は車両アンテナ窓ガラスの垂直側面のへりの区域に移されている。更に前の図に示す実施例と対照してみれば、端子点15、17は夫々の信号エッジ導体8、9へのガルバニー電気接続をもたないが、その代わり、追加アンテナ30のモノポール構造32上に置かれている。信号エッジ導体8、9へのHF結合は、夫々の信号エッジ導体8、9の直ぐ近くに配置されているモノポール32の1つを通して各場合に容量的になされる。
【0047】
図5はスロットアンテナのHF−導電フレームが破線円で印した数個の個所に容量性ブレーク素子を有している図4の実施例の変形例を示す。この配置は、スロットアンテナ4の別々の信号エッジ導体8を省略することを可能となし、またヒーターグリッドの外部導体を信号エッジ導体として使用することを可能となす。
【0048】
これまで説明した実施例では、2つのスロットアンテナの放射区域4、5は各場合に、同じ幾何学的形態、即ち逆U形の幾何学的形態をもつ。図6はこれまで示したアンテナ配置の変形例を示す。ここでは、スロットアンテナの放射区域4、5は異なった幾何学的形態をもちそして、それらの長さの一部のみにわたって即ち窓ガラスの頂部中心区域の区域内で、互いに平行にかつ隣接して延びる。図示の例ではスロットアンテナのHF−導電性フレームの各々は、その側面に横たわるL形の形態をもち、この場合、第1のスロットアンテナはその放射区域4を上部右側の隅部の区域に配置し、また第2スロットアンテナはその放射区域5を窓ガラスの上部左側の隅部に配置している。第1スロットアンテナの接続リード線18は第2スロットアンテナの放射区域5を横切るのを避けるよう十分右側へ寄って接続され、その結果、たとえ上述の接続リード線18の垂直の間隔がなくても、このアンテナの機能の減損を避けることができるようにされる。図6と他の幾つかの図では、接地導体19、22は各場合に2倍にして示されているが、このことは非限定的な概略の表示として考えるべきである。通常は勿論、夫々の接地エッジ導体1、6、7に対する接地導体19、22の単一端子点で十分である。
【0049】
図7は導体パネル2としてスプリットヒーターグリッドをもつ車両アンテナ窓ガラスを示す。ヒーターグリッド(“+"と“−"記号を付している)の両導体は、普通の双方向配置と対照してみると、窓ガラスの一側のみに置かれている。この種のヒーターグリッドは、例えば車両に対するより大きいシステム電圧を用いて使用することができるか又はもし特別の理由があれば、加熱パネルへの給電は片側からのみ供給されるべきである。ここではまた、2つのスロットアンテナはそれらの長さの一部のみにわたって平行に延びる。更に、第1のスロットアンテナはL形放射区域4をもつ。しかしそれは前の例におけるよりも更に下方へ延びる。この配置はこの側にヒーターグリッドコネクタが無いことにより可能である。第2のスロットアンテナの放射区域5はその側に横たわるU形状をもつ。それは窓ガラスの上部へりから窓ガラスの右側へりの上半分にわたって加熱パネルの2つの部分間の1点まで延びそして成端導体11として作用するヒーターグリッドの左側バスバーによって成端される。2つの放射区域4、5の幾何学的形態の大きな差と、接続リード線18、21をもつ端子区域間の大きな距離は図示の窓ガラスをダイバーシチ適用に特に適したものとなす。
【0050】
図8の2つのスロットアンテナの放射区域4、5の各々は本質的に同じ幾何学的形態をもち、即ち図1におけるように逆U形をなしている。しかし図1と対照してみれば、その放射区域4をもつ第1のスロットアンテナは更にほんの少し下方に延びていて、その成端導体10が第2スロットアンテナの成端導体11より幾分低い位置にある。ヒーターグリッドより上の区域に配置されているのは2つのインピーダンス変成器及び/又はアンテナ増幅器(前置増幅器)34であり、この増幅器に、入力側でスロットアンテナが短い接続リード線18、21を経て接続され、その出力側から同軸ケーブルの形態をなす接続リード線28、29が接続リード線18、21の延長としてラジオ/TV受信器へ延びる。放射区域4、5の長さが僅かに異なるために、図示の配置はダイバーシチ適用のためと多帯域受信のための両用に適するものとなる。スロットアンテナの端子区域のすぐ近くにインピーダンス変成器及び/又はアンテナ増幅器34を配置することは、信号品質の改善に寄与する。
【0051】
図9は各々がL形放射区域4、5、24、25をもつ4つのスロットアンテナの全部をもつ本発明の第4実施例を示す。4つのスロットアンテナは金属周囲枠1と導電性パネル2間を巡って延びるスロット3を完全に満たす。各場合に、これらの内の2つはそれらの長さの一部わたって平行に延び、かくして本発明により対を成す仕方で配置される。各スロットアンテナはそれ自体の接続リード線18、21、26、27をもち、このリード線は本発明に従って夫々の導体構造に接続される。4つのすべてのスロットアンテナのHF−導電性フレームは車両アンテナ窓ガラス上/中に、金属周囲枠1と導電性パネル2に加えて配置された別々の導体として設計される。かくしてそれらは4重の“スロット-イン-スロット”構造を形成し、この構造は放射区域4、5、24、26が本質的に同じ長さをもちかつ端子区域の幾何学的形態と位置が異なることの故に、1つのVHF周波数範囲内のダイバーシチ適用に特に適している。
【0052】
図10は導電性パネル2として導電性ソーラー制御被覆をもつ更に別の実施例を示す。この導電性パネルは金属周囲枠1の近くに窓ガラスの底へりまで延び、かくして限定された長さの逆U状に形作られたスロット3を金属周囲枠1で囲む。スロット3内に配置されているのはそれらの接続リード線をもつ3つのスロットアンテナであり、この場合スロットアンテナの1つは逆U状の形状をなすその放射区域24をもつ一方、2つの他の横に配置されたスロットアンテナの各々は窓ガラスの水平中間部に向いた逆L形の形状をもつ。その放射区域24をもつ中心に位置する逆U形状のスロットアンテナの接続リード線26は、2つの他のスロットアンテナの放射区域4、5が出合う場所に配置されて、それらの有効長さを減らさないようになす。
【0053】
図11は配線の量を減らすために3つのスロットアンテナのすべての接続リード線18、21、26が窓ガラスの上部中心区域に一方が他方に並んだ関係で配置される。特に1つの束として又は複式リード線として配置される接続リード線18、21、26は各々、擬似同軸ケーブルの形態で、HF導体として車両アンテナ窓ガラス上に連続する。このことは、スロットアンテナの実際の端子区域12、13、36が所望の場所まで、特に窓ガラスの上部中心から窓ガラスの左側及び/又は右側へりまで、移されることを可能とする。接続リード線18、21の場合、それらの信号導体20、23は窓ガラス上に連続しそして夫々のスロットアンテナの接地エッジ導体6、7に平行にかつ隣接して小さい行程にわたり延び、かくして擬似同軸ケーブル導体構造を形成する。そのために、接地エッジ導体が、大きく幅広にされた導体として、例えば図示の如く、ストリップとして又はさもなければ、長手方向に延びたメッシュ状又は格子状構造として、それらの全長にわたり構成される。ほヾ窓ガラスの底部3分の1と同じ高さの個所で、信号導体20、23が導電性パネル2に向かって鋭く曲げられ、そこで2次元的に延びた端子点15、17において成端する。これらの端子点15、17と、信号導体20、23が接地エッジ導体6、7を出ていく点を含む区域は、逆L形状をなす放射区域4、5を有するスロットアンテナの端子区域12、13を形成する。この場合、端子区域12、13までの接地エッジ導体6、7は同時に、接続リード線18、21の接地導体19、22の連続として機能する。端子区域36にその放射区域24を有する第3スロットアンテナの場合、擬似同軸ケーブル導体構造はそこに成端導体10、11を合体している状態で示されている。上記成端導体は通常より幅広に構成されそしてそれらの間に配置されているのは、接続リード線26の信号導体の連続である。端子点15、17の2次元的に延びた構造は、端子点15、17と導電性パネル2を窓ガラスの別々の平面内に一方を他方の上に置いた関係で配置することによって、接続リード線18、21を導電性パネル2に容量的に結合できることを示している。
【0054】
前の実施例は主として、後部窓の窓ガラス又は車両フロントガラスのために適用可能であるのに対して、図12、13は本発明を側面窓(三角形の形態として概略示されている)に適用して示している。各場合に示されているのは、導電性パネル2であり、このパネルは窓ガラスの中心に置かれ、スロット3によって金属周囲枠1から離されている。図12では、成端導体10によって成端される角張った放射区域4をもつスロットアンテナは導電性パネル2に隣接して置かれるが、他方のスロットアンテナは成端導体をもたない多角形の(右に丸く/かどを成して延びる)放射区域5をもつ。図13では、両スロットアンテナの放射区域4、5は角張った形態をもつ。上部スロットアンテナの信号エッジ導体9は容量的に結合されるが、導電性パネル2にその底右側端によってガルバニー電気的に結合されない。また、成端導体10、11の区域内において、窓ガラスの底左側隅部の区域で隣接した導体が各場合に容量的に及び/又は誘導的に結合されるが、ガルバニー電気的には結合されない。この配置はリード線18を接続することによって導体パネル2もまたAMアンテナとして使用可能となす。というのは、低周波数範囲内の導体パネル2は全周にわたって金属周囲枠1との結合を外されるからである。導電性パネル2は、前の例における如く、例えば導電性表面被覆(ソーラー制御被覆)又は格子状導体構造の如く種々に構成されることができる。
【0055】
本発明の車両アンテナ窓ガラスの個々の細部の、個々の図に示された変形例は、本発明の教示から離脱することなく、図示のもの以外の手法で互いに組み合わせることもできる。より良い接地をなすために、へり近くの接地エッジ導体6、7のうちの一方と金属周囲枠1の間にガルバニー電気的接続をなす可能性は示されていない。更に、同様に、本発明の他の変形例として、図11に示される如く、金属周囲枠1、特に車両車体への改良された容量性結合を可能ならしめるため、幅広のストリップ又はストリップ状格子構造等としてへり近くに配置された接地エッジ導体を構成することは、本発明の範囲内に含まれる。
【0056】
本発明の範囲内に含まれるもう1つの選択可能な例は、誘電性スロット3の区域内に、特にスロットアンテナの放射区域4、5、24、25内に、アイランド状(island-like)金属区域(刊行物 WO 96/31918A1 、EP 0531734B1 、DE 19508042A1 、EP 0717459A1 に開示されている如きもの)からなるHF−透過(transparent)区域を提供することである。所望ならば、必要とされる全導体配置は、非導電性ライン及びHF−透過区域を造るために、レーザーパターン形成法によって又は実質上全表面の導電性被覆の別の事後処理によって、製造することができ、これは本発明のスロットアンテナのHF−導電性フレームとHF−透過放射区域を提供する。
【0057】
“HF−透過区域”は車両アンテナ窓ガラスに備えられたアンテナの動作周波数範囲内の電磁波についての透過性を意味する。かかるHF−透過性を得るために、1つのライン又はグリッドパターンの非導電性ラインが、経験に従って、関連する波長の5分の1よりずっと小さい距離をおいて、好適にはその10分の1よりずっと小さい距離をおいて配置されるべきである。パターンの距離は1つの車両アンテナ窓ガラス上において、局部的に変えることもできる。例えば、微細なパターンは、追加のアンテナ構造のない区域内におけるよりも高いスロットアンテナの放射区域4、5、24、25内の周波数のために、追加のモノポール又はダイポールの近くに設けることができる。更に、一部の区域内にラインパターンのみをそして別の一部の区域内にグリッドパターンを設けることができる。
【0058】
誘電性スロット3内に、そして特にスロットアンテナの放射区域4、5、24、25内にアンテナ機能に必要なHF−透過性を得るために、誘電性スロット3の区域内に設けることよりもむしろ、特に、被覆を付着する前に或る一定の区域をマスキングすることによって又は機械的、化学的又は放射線による後処理によって、その全面を処理することも可能である。
【0059】
上述の如く構成された本発明の車両アンテナ窓ガラスの1例は、実際上窓ガラスエッジまで延びた窓ガラスの1表面上に導電性被覆、例えばソーラー制御被覆を備えた窓ガラスを含む。本発明を提供するのに必要とされる追加の導体構造は窓ガラスのもう1つの表面上に配置することができる。この場合本発明を適用可能となすために、少なくとも誘電性スロット3の区域内で、微細な非導電性ラインのグリッドで、それに局部的にパターン付けすることによって、全面の被覆が上述の刊行物に従ってHF−透過性とされる。更に、導電性被覆は、中心区域、例えば、本発明に従って導電性パネル2として機能する中心の導電性区域からエッジに近い区域を分離するために、別々の導電性の巨視的区域に分割されることができ、その場合、それらのエッジに近い区域がスロットアンテナの区域内に置かれないならば、それらにパターン付けすることによって、これらのエッジに近い区域をHF−透過性とすることはない。
【0060】
アンテナを造る個々の素子は窓ガラスの単一面上に設けることができるが、本発明はアンテナ機能を提供する個々の素子が窓ガラスの異なった表面上に配置されるようになっている車両アンテナ窓ガラスにも適用可能であることは明らかである。例えば、金属周囲枠1から間隔をおいている導電性パネル2は追加のアンテナ素子6−11、14−17、30、32−35の1つ以上とは異なった表面上に設けることができる。上記追加のアンテナ素子はスロットアンテナのHF−導電性フレーム又はそれらのコネクタ又はアンテナ配置の他の部品を構成するものである。上述の図解表示はこれらの場合、単一平面上の導体構造又は他のアンテナ素子の投影として理解されるべきである。
【0061】
最後に、本発明は、例えばスロットアンテナのHF−導電性フレームの部品として図面に描かれている直線導体に限定されるものでないことを強調する必要がある。直線エッジ導体又はアンテナ導体を、湾曲した波形の、フラクタル形の又は他の非直線の導体配置と取り換えること、又は請求の範囲中と上述の説明中に記載されたスロット−イン−スロットの原理が放棄されない限り、導体区域又はグリッド状構造を使用することは、むしろ本発明の範囲内に含まれるものである。そうすれば、アンテナがより高い帯域幅を含むという追加の利点を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】2つの別々のスロットアンテナをもつ第1実施例を示す図である。
【図2】互いに直接隣接した2つのスロットアンテナと、スロットアンテナの端子区域内にあるより高い周波数の追加のアンテナをもつ第2実施例を示す図である。
【図3】スロットアンテナの1つ中に配置された2次元に延びた金属構造をもつ第3実施例を示す図である。
【図4】第3実施例に類似しているが、横に配置した端子区域をもつ第4実施例を示す図である。
【図5】スロットアンテナのHF−導電性フレーム中の容量性ブレーク素子をもつ第5実施例を示す図である。
【図6】スロットアンテナが異なる幾何学的形態をもちかつそれらの一部のみにわたって互いに平行にかつ隣接して延びている第6実施例を示す図である。
【図7】スプリットヒーターグリッドに適合するスプリットアンテナ形態をもつ第7実施例を示す図である。
【図8】インピーダンス変成器及び/又はアンテナ増幅器が車両アンテナ窓ガラス上のスロットアンテナの各端子区域に設けられている構成の第8実施例を示す図である。
【図9】ヒーターグリッドの周りに配置された4つのスロットアンテナをもつ第9実施例を示す図である。
【図10】3つのスロットアンテナと、導電性パネルとして窓ガラスの底へりまで延びるソーラー制御被覆をもつ第10実施例を示す図である。
【図11】窓ガラスの上部中心セクションの区域にある隣接した接続リード線と、車両アンテナ窓ガラス上の擬似同軸ケーブル延長部をもつ第10実施例の変形例としての第11実施例を示す図である。
【図12】2つのスロットアンテナと、車両アンテナ窓ガラス上/中にソーラー制御被覆によって形成された中心導電性パネルをもつ第12実施例を示す図である。
【図13】2つのスロットアンテナと、AMアンテナとして有用なかつ全側面で金属周囲枠から間隔をあけている導電性パネルをもつ第13実施例示す図である。

Claims (18)

  1. 車両アンテナ窓ガラスが金属周囲枠(1)内に配置されかつ金属周囲枠(1)から間隔をおいた導電性パネル(2)を備えており、細長い誘電性スロット(3)が上記2つのものの間に形成されており、前記スロット(3)内に、スロット(3)の長さに沿って延びている細長い放射区域(4、5、24、25)を合体している幾つかのスロットアンテナが配置されており、上記放射区域の幾何学的形態はHF−導電性フレームによって限定されており、上記HF−導電性フレームは少なくとも1つの接地エッジ導体(1、6、7)と1つの信号エッジ導体(2、8、9)と、もし必要ならば、スロットアンテナをそれらの長手方向端で成端する少なくとも1つの成端導体(10、11)を合体しており、その放射区域の各々は、端子区域(12、13。36)を合体しており、互いに隣接する端子点(14、15、16、17)で、夫々のスロットアンテナに割り当てられた不平衡接続リード線(18、21、26、27)の接地導体(19)が接地エッジ導体(1、6、7)に接続され、その信号導体(20、23)は夫々のスロットアンテナの信号エッジ導体(2、8、9)に接続されて成る車両アンテナ窓ガラスにおいて、上記スロットアンテナの少なくとも2つがそれらの長さの少なくとも一部にわたって互いに平行にかつ隣接して配置されることを特徴とする車両アンテナ窓ガラス。
  2. スロットアンテナの放射区域(4、5、24、25)が窓ガラスの平面上の投影に重ならないことを特徴とする請求項1に記載の車両アンテナ窓ガラス。
  3. 上記スロットアンテナの少なくとも2つが配置されていて、それらの放射区域(4、5、24、25)が窓ガラスの異なる平面内にあることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の車両アンテナ窓ガラス。
  4. スロットアンテナの端子区域(12、13)はスロット(3)の長さに沿って互いに或る距離をおいて設定されることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載車両アンテナ窓ガラス。
  5. スロットアンテナの放射区域(4、5、24、25)の少なくとも1つは、少なくとも1つの他の放射区域(4、5、24、25)の幾何学的形態とは異なる幾何学的形態をもつことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の車両アンテナ窓ガラス。
  6. スロットアンテナの少なくとも1つの放射区域(4、5、24、25)は少なくとも1つの他の放射区域(4、5、24、25)の長さとは異なる長さをもつことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載車両アンテナ窓ガラス。
  7. 少なくとも1つのスロットアンテナのHF−導電性フレームは少なくとも1つの永久的な又は切り換え可能の容量性、誘電性又は抵抗性ブレーク素子を含むことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の車両アンテナ窓ガラス。
  8. スロットアンテナの少なくとも1つのエッジ導体は別の接地エッジ導体(7)又は信号エッジ導体(8)として車両アンテナ窓ガラスの上/中に金属周囲枠(1)又は導電性パネル(2)と平行にかつ隣接して配置されることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の車両アンテナ窓ガラス。
  9. 別の接地エッジ導体(7)は金属周囲枠(1)にガルバニー電気接続されることを特徴とする請求項8に記載の車両アンテナ窓ガラス。
  10. 2つのスロットアンテナの放射区域(4、5、24、25)は互いに隣接して配置され、両スロットアンテナが共通のエッジ導体(6、9)を少なくとも部分的に共有することを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の車両アンテナ窓ガラス。
  11. 追加のモノポール又はダイポールアンテナ(30)が少なくとも1つのスロットアンテナの端子区域(12、13)内にそして好適にはその放射区域(4、5、24、25)の内側に配置されることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の車両アンテナ窓ガラス。
  12. 追加のモノポール又はダイポールアンテナ(30)は少なくとも1つの割り当てられた見掛けの接地導体(33)をもつ少なくとも1つのモノポール(32)を合体しており、そして上記見掛けの接地導体(33)はスロットアンテナの接地エッジ導体(1、6、7)にHF−導電的に接続され、そしてモノポール(32)がその信号エッジ導体(2、8、9)にHF−導電的に接続されることを特徴とする請求項11に記載の車両アンテナ窓ガラス。
  13. インピーダンス変成器及び/又はアンテナ増幅器(34)が少なくとも1つのスロットアンテナの端子区域(12、13)内に配置されることを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の車両アンテナ窓ガラス。
  14. 少なくとも1つの2次元的に延びた金属構造(35)は1つのスロットアンテナの放射区域(4、5、24、25)内にかつその信号エッジ導体(2、8、9)から十分な距離をおいて設けられることを特徴とする請求項1から13の何れか1項に記載の車両アンテナ窓ガラス。
  15. 少なくとも1つの2次元的に延びた金属構造(35)はスロット(3)内にしかしスロットアンテナの放射区域 (4、5、24、25)の外にかつそれらの信号エッジ導体(2、8、9)から十分な距離をおいて設けられることを特徴とする請求項1から14の何れか1項に記載の車両アンテナ窓ガラス。
  16. 少なくとも1つの接続リード線(18、21、26、27)は車両アンテナ窓ガラス上/中に配置されたHF導体、特に擬似同軸ケーブルの形態をなす延長部をもつことを特徴とする請求項1から15の何れか1項に記載の車両アンテナ窓ガラス。
  17. HF導体の接地導体(19、22)は少なくとも断面に関して1つのスロットアンテナの接地エッジ導体(1、6、7)と同じであり、HF導体の信号導体(20、23)はスロットアンテナの放射区域(4、5、24、25)内でHF導体の接地導体(19、22)に平行にかつ隣接して延びていることを特徴とする請求項16に記載の車両アンテナ窓ガラス。
  18. 金属周囲枠(1)内に取り付けるための車両アンテナ窓ガラスにおいて、該窓ガラスが、
    金属周囲枠(1)と導電性パネル(2)の間に細長い誘電性スロット(3)を限定するよう配置された導電性パネル(2)と、
    スロット(3)に沿って長手方向に延びる細長い放射区域(4、5、24、25)を限定するHF−導電性フレーム(1、2、6乃至11)を各々含む少なくとも2つのスロットアンテナを含み、
    各スロットアンテナが、
    接続リード線(18、26、27)の接続用に適合させられた対向したエッジ導体(1、2、6乃至9)を含み、
    少なくとも2つの上記スロットアンテナがそれらの長さの少なくとも一部にわたって互いに平行にかつ隣接して配置されていることを特徴とする車両アンテナ窓ガラス。
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