JP2012044254A - 車両用アンテナ - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の窓ガラスに設けられる非接地の放送波受信用のアンテナにおいて、高感度で安定した受信性能を得る。
【解決手段】車両の窓に配設される線条によって構成されるアンテナであって、第1の給電点と第2の給電点とを近接して配設し、該2つの給電点のいずれか一方に接続し、金属フランジから離れる方向に延伸した内側エレメントと、前記2つの給電点のそれぞれよりフランジに沿って互いに離れる逆方向で内側エレメントを取り囲むように延伸した時計回り線条と反時計回り線条とを含む外側ループエレメントと、によって構成され、前記外側ループエレメントは、前記時計回り線条と前記反時計回り線条との夫々の先端部が高周波的に導通することによって、前記内側エレメントを取り囲むように開口部を有するループ形状を構成することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の窓に設けられる地上デジタルテレビ放送波、およびUHF帯のアナログテレビ放送波を受信するのに好適な非接地型のアンテナに関する。
近年、日本国内におけるテレビジョン放送波は、周波数が90〜220MHzのVHF帯や470〜770MHzのUHF帯の地上アナログテレビ放送から、周波数が470〜710MHzの地上デジタルテレビ放送に移行されつつある。
また、日本国外においても、周波数が698〜806MHz等の地上デジタルテレビ放送が実用化されており、自動車に搭載するアンテナや放送電波の送受信機器としても、地上デジタル放送への対応が進みつつある。
このような地上デジタルテレビ放送波の送受信においては、地上アナログ放送の送受信に比べて特に受信感度を高感度とする必要があるため、アンテナシステムとして非接地型アンテナが採用されることが多い。
例えば、本出願人による特開2005−229140号公報には、自動車等移動体の窓ガラス面またはボディの絶縁部材表面に配設する線条アンテナであって、第1の給電点より延ばした送受信電波の1/4波長または3/4波長の長さの第1のエレメントと、前記第1の給電点の近傍に第2の給電点を設け、該第2の給電点より第1のエレメントを取り囲むように延ばした送受信電波の1波長以上の長さを有する閉ループ状の第2のエレメントとからなることを特徴とする車両用アンテナが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、本出願人による特開2007−53505号公報には、自動車等移動体の窓ガラス面またはボディの絶縁部材表面に配設する導電線条からなるアンテナであって、第1の給電点と第2の給電点を近接して設け、第1の給電点から第2の給電点にかけて導電線条を配設した送受信電波の1波長〜2波長の長さを有するループエレメントと、前記給電点のいずれか一方より延ばした送受信電波の1/4波長〜3/4波長の長さの第1のエレメントと、前記ループエレメントの途中よりループエレメントの外方側に分岐して延ばした1/16〜1/4波長の長さの第2のエレメントとからなるループアンテナとしたことを特徴とする車両用アンテナが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2005−229140号公報 特開2007−53505号公報
前述したように、特許文献1に記載されたアンテナは、外部の影響を受けやすいホット側エレメントを閉ループ状のアース側エレメントで取り囲むことによって、ホット側エレメントの先端部分の電界を安定化させ、人体等によるアンテナ性能への影響を受けにくくさせ、好適な受信感度を得る手法を採用しているが、アンテナパターンのインピーダンスの調節を線条長さによってチューニングする場合には、アース側エレメントが閉ループ状であるために、開放したループ線条に比べて、その長さが調整しにくく、チューニングの自由度が小さくなるという問題点があった。
また、特許文献2に記載されたアンテナについても、ホット側給電点とアース側給電点を近接させ、両給電端子を結ぶループアンテナを基本パターンとするアンテナであるので、前記特許文献1に記載アンテナの問題点と同様に、アンテナパターンのインピーダンスの調節によってチューニングを行う場合には、ループエレメントの線条長さの調整が、開放したループ線条に比べて、その長さが調整しにくく、チューニングの自由度が小さくなるという問題点があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、アンテナの設置場所や人体等によるアンテナ性能への影響を受けにくくし、実質的なアンテナエリアを小さくするという従来からの性能を維持しつつ、アンテナパターンのチューニングを容易とし、従来以上にアンテナ性能を向上させることの地上デジタルテレビ放送波を受信するのに好適なアンテナの提供を目的とするものである。
すなわち、本発明は、車両の窓に配設される線条によって構成されるアンテナであって、第1の給電点と第2の給電点とを近接して配設し、該2つの給電点のいずれか一方に接続し、前記窓の開口部を構成する金属フランジから離れる方向に延伸した内側エレメントと、前記2つの給電点のそれぞれよりフランジに沿って互いに離れる逆方向で内側エレメントを取り囲むように延伸した時計回り線条と反時計回り線条とを含む外側ループエレメントと、によって構成され、前記外側ループエレメントは、前記時計回り線条と前記反時計回り線条との夫々の先端部が高周波的に導通することによって、前記内側エレメントを取り囲むように開口部を有するループ形状を構成することを特徴とする車両用アンテナである。
あるいはまた、本発明は、前記時計回り線条の先端部と前記反時計回り線条の先端部同士とを互いに容量結合するように近接する位置に配置することによって、前記時計回り線条と前記反時計回り線条とが高周波的に導通するように構成し、該容量結合する部分は、前記2つの給電点が設けられた辺と対向する辺に設けられることを特徴とする上述の車両用アンテナである。
あるいはまた、本発明は、前記時計回り線条の先端部と前記反時計回り線条の先端部とが互いに近接する部分の長さが、10mmから送受信電波の1波長であることを特徴とする上述の車両用アンテナである。
あるいはまた、本発明は、前記時計回り線条と前記反時計回り線条との間に、第1の補助線条を設け、前記第1の補助線条は、その一端部が前記時計回り線条の先端部と容量結合するように近接する位置に配置され、その他端部が前記反時計回り線条の先端部と容量結合するように近接する位置に配置され、これによって、前記時計回り線条と前記反時計回り線条とが高周波的に導通し、前記外側ループエレメントが開口部を有するループ形状を形成することを特徴とする上述の車両用アンテナである。
あるいはまた、本発明は、前記時計回り線条の先端部と前記第1の補助線条の一端部とが近接する部分の長さ、及び、前記反時計回り線条の先端部と前記第1の補助線条の他端部とが近接する部分の長さが、10mmから送受信電波の1波長であることを特徴とする上述の車両用アンテナである。
あるいはまた、本発明は、前記内側エレメントの長さは、送受信電波の略1/4波長であることを特徴とする上述の車両用アンテナである。
あるいはまた、本発明は、前記内側エレメントの先端から屈曲して延伸する第2の補助線条を設けたことを特徴とする上述の車両用アンテナである。
あるいはまた、本発明は、前記内側エレメントは、前記第1の内側エレメントと、前記第1の内側エレメントと容量結合させるように、前記第1の内側エレメントと近接かつ平行に配設された第2の内側エレメントとを有し、前記第2の内側エレメントは、前記第1の内側エレメントが接続された給電点と異なる給電点から延伸されることを特徴とする上述の車両用アンテナである。
あるいはまた、本発明は、前記外側ループエレメントの電気長は、送受信電波の1波長から2波長であることを特徴とする上述の車両用アンテナである。
あるいはまた、本発明は、前記時計回り線条の給電点に接続される一辺を平行な複数の線条によって構成し、該複数の線条の両先端同士を接続したことを特徴とする上述の車両用アンテナである。
あるいはまた、本発明は、前記反時計回り線条の給電点に接続される一辺を平行な複数の線条によって構成し、該複数の線条の両先端部同士を接続したことを特徴とする上述の車両用アンテナである。
あるいはまた、本発明は、上述のいずれかに記載の車両用アンテナを車両の窓ガラス面に直接印刷、または該パターンを印刷したシートを貼設したことを特徴とする車両用アンテナである。
本発明によれば、自動車内でアンテナの設置場所や人体等によるアンテナ性能への影響を受けにくくし、実質的なアンテナエリアを小さくしつつ、アンテナパターンのチューニングを容易とし、アンテナ性能を向上させて、地上デジタルテレビ放送波を好適に受信することができる。
また、本発明のアンテナは、車両に乗車する人の有無によってもアンテナインピーダンスがほとんど変化せず、単純な構成であるため視界を損なうことのないアンテナを提供でき、受信利得も高くすることができる。
本発明の実施例1のアンテナパターンの正面図。 本発明の実施例2のアンテナパターンの正面図。 本発明の実施例3のアンテナパターンの正面図。 本発明の実施例4のアンテナパターンの正面図。 本発明の実施例5のアンテナパターンの正面図。 本発明の実施例1、比較例1、2のアンテナの周波数特性図。 比較例1のアンテナパターンの正面図。 比較例2のアンテナパターンの正面図。
本発明の実施の形態の自動車用アンテナ2は、自動車の金属フランジ3の開口部近傍の窓ガラス面上に、第1の給電点6と第2の給電点7を近接して配設し、該2つの給電点のいずれか一方に接続し、金属フランジ3から離れる開口部内側方向に延ばした内側エレメント10と、前記2つの給電点のそれぞれよりフランジに沿って互いに離れる逆方向に延ばし、内側エレメントを取り囲むように時計回り線条21と反時計回り線条22の2つの線条を少なくとも有する外側ループエレメント20とを含む。
内側エレメント10は、第2の給電点7から延ばし、金属フランジ3の最も近い開口辺から遠ざかる方向に延ばした線条11を含むエレメントであり、外側ループ形状の外側ループエレメント20を略2つに分断する方向に延ばしたエレメントである。なお、図1では、内側エレメント10は第2の給電点7から延ばす例を図示したが、第1の給電点6から延ばしてもよい。
一方、外側ループエレメント20は、2つの給電点6、7のそれぞれより金属フランジの開口辺に沿って互いに離れるように逆方向に延ばして、内側エレメント10を取り囲むように配置される時計回り線条21と反時計回り線条22の2つの線条を設け、夫々の線条の先端部が互いに向き合うように、該2つの線条を折り返して、それぞれの線条の形状をコ字状または逆コ字状(または、一部の角が略円弧状となった略コ字状または略逆コ字状)の線条とした。
先端部が互いに向き合うように折り返された時計回り線条21と反時計回り線条22の先端部同士が互いに近接するようにオーバーラップさせたオーバーラップ部24を設けて、該2つの線条を容量結合させ、時計回り線条21と反時計回り線条22によって外側ループエレメント20を形成した。
さらに、内側エレメント10として、2つの給電点6、7のいずれか一方の給電点よりループエレメントの内側中央に向けて第1の内側線条11を延ばしたが、図2に示すように、さらにもう一つの給電点より第1の内側線条11と略平行で同一方向に第2の内側線条12を延ばすようにしてもよい。
尚、内側線条を2本設ける場合には、第1の内側線条11と第2の内側線条12とを近接させることによって、容量結合させてもよい。第1の内側線条11の長さと第2の内側線条12の長さとは、図2に示すように異なる長さでもよく、同じ長さでもよい。2本の内側線条を異なる長さにすることによって、アンテナ特性を広帯域化することができる。また、2本の内側線条を同じ長さにすることによって、共振周波数付近において感度を向上させることができる。
時計回り線条21と反時計回り線条22の2つの線条からなる外側ループエレメント20は、時計回り線条21の先端部と反時計回り線条22の先端部とが容量結合するように近接させてオーバーラップさせた開口部を有するループ状であり、直流的には開放された非導通状態であるが、高周波の電波を受信する場合には導通状態となり、図7に示した第1の給電点6から第2の給電点7まで直流的に導通状態にある従来のアンテナパターンと少なくとも同等以上の効果が得られる。
外側ループエレメント20の時計回り線条21と反時計回り線条22の各先端部をオーバーラップさせたオーバーラップ部24によって近接し容量結合する線条部分は、図1〜図4に示したように第2の給電点7が位置する辺の対向する辺に設けるのがよい。
また、図5に示したように、外側ループエレメント20の時計回り線条21と左回りの反時計回り線条22とを各エレメントの先端部がオーバーラップしないように延伸し、各エレメントの先端部間に補助線条23を設け、補助線条23の一端側と時計回り線条21の先端部が容量結合するように近接させてオーバーラップさせ、さらに、補助線条23の他端部と反時計回り線条22の先端部とが容量結合するように近接させてオーバーラップするように、複数個所にオーバーラップ部24、25を設けるようにしてもよい。
第1の給電点6または第2の給電点7のいずれかから延ばした内側エレメント10の先端までの線条の長さは、送受信周波数帯の略中間周波数の1/4波長の長さとするのが好ましい。
また、図4に示すように、内側エレメント10の内側線条11と直交する補助線条13を内側線条11の先端より延伸することもできる。この補助線条の長さや延伸方向を変えることによって、共振周波数やインピーダンスの調整が可能になる。例えば、図4には、補助線条13が内側線条11から90°で屈曲する例を示すが、この角度は何度でもよい。
尚、図4において、内側エレメント10の内側線条11と直交する補助線条13を延伸し、さらに、外側ループエレメント20の一部を円弧状で構成したが、これらの両方を適用する必要はなく、いずれか一方のみを適用してもよい。
さらに、オーバーラップ部24において、時計回り線条21と反時計回り線条22で構成される外側ループエレメント20の各線条のうち、オーバーラップ分を1本の線条とみなした長さ(電気長)として合計した長さは、送受信電波の1波長〜2波長の長さとするのが好ましい。
さらにまた、時計回り線条21の先端と反時計回り線条22の先端とが近接して配置されるオーバーラップ部24の線条の長さは、アンテナのVSWRが低くなるように調整することが好ましい。具体的には、時計回り線条21の先端と反時計回り線条22の先端とが互いに近接し容量結合する部分の長さ(図1におけるA)が、10mm〜1波長の長さであるとよい。
前述したように、時計回り線条21と反時計回り線条22の各先端のオーバーラップ部24において、オーバーラップする線条長さを10mm以上としたのは、10mm未満だと、容量結合が弱くなって、時計回り線条21と反時計回り線条22とが電気的に1本の線条とみなせる効果が減少するためである。また、オーバーラップする線条の長さを、1波長以下としたのは、オーバーラップする線条の長さを1波長以上とすると好ましい容量結合が得られるが、線条が煩雑になるためである。
また、図3に示すように、時計回り線条21の第2の給電点7に接続される一辺を複数本の線条によって構成し、該複数本の線条を平行に配設し、それぞれの先端部同士を連結するようにしてもよい。
また、外側ループエレメント20の反時計回り線条22の第2の給電点7に接続される一辺を複数本の線条によって構成し、該複数本の線条を平行に配設し、それぞれの先端部同士を連結するようにしてもよい。
尚、時計回り線条21と反時計回り線条22とに設けられる水平線条の数は、図示された3本ではなく、2本でも、4本以上でもよい。また、時計回り線条21と反時計回り線条22との両方において、複数本の線条を平行に配設してもよいし、一方において、複数本の線条を平行に配設してもよい。また、時計回り線条21と反時計回り線条22とに設けられる平行線条の数は異なってもよい。
また、図3において、内側線条を2本設け、さらに、時計回り線条21と反時計回り線条22に複数本の平行な線条を配設したが、これらの両方を適用する必要はなく、いずれか一方のみを適用してもよい。
さらに、アンテナパターンを車両の窓ガラス1の面に直接印刷して形成、あるいはアンテナパターンを印刷したシートを貼設してもよい。
外側ループエレメント20の略全体外形形状としては、図1〜図3、図5に示したように矩形状とするのが一般的であるが、図4に示したように、金属フランジ3のコーナー部の形状が円弧状である場合、該円弧状の形状に合わせて、外側ループエレメント20の一部の形状を円弧状としてもよい。さらに図示しないが、外側ループエレメント20の形状を、円形状、正方形状、菱形形状、多角形状とすることもできる。
尚、第1の給電点6と第2の給電点7とのそれぞれには、図示しない同軸ケーブルの内部導線と外部導線とを接続した。
自動車等の窓ガラス1として、前部窓ガラス、後部窓ガラス、側部窓ガラス、サンルーフ等の窓ガラスのいずれに、本実施の形態のアンテナを設けてもよく、また、該窓ガラスはガラス板のみならず、透明樹脂板、あるいはガラス板と透明樹脂板との複合体からなる光透過部材も含まれる。
また、本実施の形態のアンテナは、アンテナパターンを後部窓ガラスの加熱線条の上部余白部、下部余白部、前部窓ガラス、側部窓ガラス、ルーフ窓ガラスの、窓ガラス面にアンテナパターンを導電性ペーストによって直接印刷する、あるいは厚みが薄い透明シールまたは透明シートに印刷し、窓ガラス面の内面側または絶縁材料からなる部位に貼着して使用してもよい。
また、当該アンテナ2を自動車の窓ガラスに1箇所のみ設けたものであってもよいが、同一窓ガラスに複数箇所、あるいは複数の窓ガラスのそれぞれにアンテナを設けて、これらの複数個のアンテナを用いてダイバーシティ受信をしてもよい。この場合、ダイバーシティアンテナを構成する複数のアンテナは、同じパターン、または異なるパターンであってもよく、ダイバーシティ受信を行うことによって、さらに受信感度を向上させることができる。
以下、本発明の作用について説明する。
本実施の形態のアンテナでは、外側ループエレメント20として、第2の給電点7より右回りで内側エレメント10を囲むように延ばした時計回り線条21と、第1の給電点6より左回りで内側エレメント10を囲むように延ばした反時計回り線条22の2つの線条の各先端部同士を互いに容量結合するように近接してオーバーラップさせ、内側エレメント10を取り囲む形状の開口部を有したループ状とした。このため、時計回り線条21の先端および反時計回り線条22の先端が開放されているため、各線条のオーバーラップさせた線条部24の長さを調整することによって、周波数特性への影響を最小限としつつ、外側ループエレメント20側のインピーダンス、すなわち、アンテナのインピーダンスを容易に調整できる。
尚、外側ループエレメント20は、直流的には開放された非導通状態であるが、高周波的には導通状態となるので、図7に示したような外側ループエレメントを閉ループ状とした従来のアンテナと同等の受信特性が得られる。
内側エレメント10を、開ループ形状の外側ループエレメント20で取り囲むようにしたので、外部の影響を受けやすいアンテナの先端部分の電界を安定させることができ、近接する導体、例えば、人体等の影響を小さくすることができる。
以下本発明の種々の実施例について、説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1のアンテナパターンであり、自動車の後部窓ガラスの上部コーナー部近傍に設けた非接地のガラスアンテナを示す。
実施例1のアンテナは、金属フランジ3の開口部の左上部コーナーに近い上辺近傍に第1の給電点6と第2の給電点7を近接して配設し、第2の給電点7に接続しかつ金属フランジ3の上辺から離れる下方向に略垂直に延ばした内側エレメント10と、第1の給電点6と第2の給電点7のそれぞれよりフランジに沿って互いに離れる逆方向に延ばし、内側エレメントを取り囲むように配設した時計回り線条21と反時計回り線条22の2つの線条を有する外側ループエレメント20とからなる。
すなわち、時計回り線条21は、第2の給電点7より内側エレメント10を中心として右回りで該内側エレメント10を囲むように延ばしたコ字状のエレメントであり、反時計回り線条22は、第1の給電点6より内側エレメント10を中心として左回りで該内側エレメント10を囲むように延ばした逆コ字状のエレメントである。
また、時計回り線条21と、反時計回り線条22との2つのエレメントが容量結合するように、各線条の先端部同士を互いに近接してオーバーラップさせ、内側エレメント10を取り囲むように外側ループエレメントを配設して、外側ループエレメントを構成する各エレメントの先端が開いた略長方形のループ形状としたものである。
実施例1のアンテナの各線条長さは以下の通りである。
内側エレメント10の第1の給電点6から先端までの線条の長さは、送受信周波数の略中間周波数600MHzにおける電波の1/4波長に、ガラス板1の波長短縮率(約0.6)を乗じて、75mmとした。
時計回り線条21の第2の給電点7より延ばした水平線条の長さは47.5mm、その先端より下方に延ばした垂直線条は135mm、さらに垂直線条の下端よりコ字状に折り返した折り返し線条の長さは70mmである。
また、反時計回り線条22の第1の給電点6よりコーナー方向に延ばした水平線条の長さは47.5mm、その先端より下方に延ばした垂直線条は130mm、さらに垂直線条の下端よりコ字状に折り返した折り返し線条の長さは110mmである。
さらに、時計回り線条21の折り返し線条と、反時計回り線条22の折り返し線条とが近接するオーバーラップ部24の長さAは50mm、各線条の間隔は5mmである。
時計回り線条21及び反時計回り線条22の各水平線条とフランジ開口部の上辺との間隔は、10mmとし、反時計回り線条22の垂直線条とフランジ開口部の縦側辺との間隔は、10mmとした。
第1の給電点6と第2の給電点7は、それぞれ縦10mm、横15mmの長方形状とし、各給電点間の間隔を5mmとした。
本実施例のアンテナは、窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって、各線条の幅を0.7mmで印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けし、さらに、図示しないチューナーに接続された図示しない同軸ケーブルの中心導体を第2の給電点7に、外被導体については第1の給電点6に接続した。
このようにして作成した実施例1の地上デジタルテレビ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、周波数470〜710MHzの地上デジタルテレビ放送波帯の電波を受信したところ、図6の太い実線で示すように平均利得で−7.0dBとなる良好な周波数特性が得られ、図6の細い実線で示した後述する比較例1のアンテナ(図7参照)の平均利得−8.1dB、および、図6の点線で示した後述する比較例2のアンテナ(図8参照)平均利得−8.1dBと比べて、同等以上の周波数特性が得られた。
また、このようにして得られた図1に示すアンテナは、車両に人が乗車した状態であってもアンテナインピーダンスの変化がほとんどなく、単純な構成であるため視界を損なうことのないアンテナを提供でき、利得も高く、アンテナチューニングも従来のものに比べて容易となる。
[実施例2]
実施例2は、図2に示すように、実施例1の変形パターンである。第2の給電点7より延ばした内側エレメント10の第1の内側線条11と略平行かつ同一方向に、第1の給電点6より第2の内側線条12を延ばし、さらに、第1の内側線条11と第2の内側線条12を近接させて容量結合させた点が実施例1と異なっている。これ以外の構成については、実施例1と全く同一であるため、同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
本実施例のアンテナは、窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって、各線条の幅を0.7mmで印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けし、さらに、図示しないチューナーから延ばした図示しない同軸ケーブルの中心導体をホット側の第1の給電点6に、外被導体についてはアース側の第2の給電点7に接続した。
このようにして作成した実施例2の地上デジタルテレビ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、周波数470〜710MHzの地上デジタルテレビ放送波帯域のアンテナとして受信したところ、実施例1と同様に良好な送受信性能が得られ、十分実用に供し得るものであることがわかった。
また、このようにして得られた図2に示す実施例2のアンテナは、車両に人が乗車した状態であってもアンテナインピーダンスの変化がほとんどなく、単純な構成であるため視界を損なうことのないアンテナを提供でき、利得も高く、アンテナチューニングも従来のものに比べて容易となり、十分実用に供し得るものである。
[実施例3]
実施例3は、図3に示すように、実施例2の変形パターンである。実施例3のアンテナでは前述した実施例2と異なり、外側ループエレメント20のコ字状の時計回り線条21と、逆コ字状の反時計回り線条22において、第2の給電点7に接続される時計回り線条21の水平線条を3本とし、該3本の水平線条の先端同士を垂直線条によって接続した。
また、第1の給電点6に接続される反時計回り線条22の水平線条を3本とし、該3本の水平線条の各先端同士を垂直線条によって接続した。これ以外については、実施例2と全く同一構成であるため、同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
前述した構成の実施例3の地上デジタルテレビ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、周波数470〜710MHzの地上デジタルテレビ放送波の電波を受信したところ、実施例2と同様に良好な送受信性能が得られ、十分実用に供し得ることができる。
また、このようにして得られた図3に示す実施例3のアンテナは、車両に人が乗車した状態であってもアンテナインピーダンスの変化がほとんどなく、単純な構成であるため視界を損なうことのないアンテナを提供でき、利得も高く、アンテナチューニングも従来のものに比べて容易となり、十分実用に供し得るものである。
尚、実施例3のアンテナは、実施例2のアンテナに複数本の水平線条を加えたが、実施例1のアンテナに複数本の水平線条を加えた変形例も本発明の範疇に含まれる。
[実施例4]
図4に示した実施例4のアンテナは、外側ループエレメントの左上角部の形状を、略四分の円弧形状とした点において実施例1と異なり、その他の点では実施例1と同一である。このため、同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
実施例4のアンテナは、窓ガラスのフランジの開口部の上部コーナーのアール形状に沿ったアール形状にアンテナを設けており、第1の給電点6及び第2の給電点7を上部左側の円弧状コーナー近傍に並設した例である。
実施例4のアンテナは、前述した実施例1と異なり、外側ループエレメント20は第2の給電点7より、内側エレメント10を中心として右回りで内側エレメント10を囲むように延ばしたコ字状の時計回り線条21と、第1の給電点6より左回りで内側エレメント10を囲むように延ばした円弧部分を一部に有した略逆コ字状の反時計回り線条22の2つのエレメントとの先端部を互いに向かい合わせ、該2つのエレメントの各先端部の線条同士を互いに容量結合するように近接してオーバーラップさせ、内側エレメント10を取り囲むように配設した。これによって、外側ループエレメント20は、該エレメントを構成する各線条の先端が開いており、左上角部が四分の一円弧形状となった略長方形のループ形状とした。
前述した実施例4の地上デジタルテレビ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、周波数470〜710MHzの地上デジタルテレビ放送波帯の電波を受信したところ、実施例1と同様に良好な送受信性能が得られた。
また、このようにして得られた図4に示すアンテナは、車両に人が乗車した状態であってもアンテナインピーダンスの変化がほとんどなく、単純な構成であるため視界を損なうことのないアンテナを提供でき、利得も高く、アンテナチューニングも従来のものに比べて容易である。
尚、実施例4のアンテナは、実施例1のアンテナに、補助線条13を追加し、さらに、外側ループエレメント20の一部を円弧状で構成したが、これらの一方を適用した変形例も本発明の範疇に含まれる。
[実施例5]
図5に示した本発明の実施例5は、実施例1の変形パターンであり、外側ループエレメント20の略長方形状のエレメントを、L字状の時計回り線条21、逆コ字状の反時計回り線条22、逆L字状の補助線条23の各線条のそれぞれの一部を互いに容量結合するように近接してオーバーラップさせ、内側エレメント10を取り囲むように配設して、外側ループエレメント20を構成する各線条の先端が開いている略長方形のループ形状とした。尚、内側エレメント10は実施例1と同一である。このため、同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
時計回り線条21は、第2の給電点7に接続され、右側に延伸した水平線条とその先端から下方に延ばした垂直線条とからなるL字状のエレメントである。また、反時計回り線条22は実施例1と同じく第1の給電点6に接続され、左側に延伸した水平線条とその先端から下方に延ばした垂直線条、さらに折り返した折返し線条とからなる逆コ字状のエレメントである。
さらに時計回り線条21と反時計回り線条22との間にL字状の補助線条23を設け、補助線条23の一端と時計回り線条21との間、および、L字状の補助線条23の他端と反時計回り線条22との間は、互いに容量結合するように近接するオーバーラップ部分を設けた。
前述した構成の実施例5の地上デジタルテレビ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、周波数470〜710MHzの地上デジタルテレビ放送波帯の電波を受信したところ、実施例1と同様に良好な送受信性能が得られた。
また、このようにして得られた図5に示すアンテナは、車両に人が乗車した状態であってもアンテナインピーダンスの変化がほとんどなく、単純な構成であるため視界を損なうことのないアンテナを提供でき、利得も高く、アンテナチューニングも従来のものに比べて容易である。
[比較例1]
図7に示した比較例1は、特許文献2に記載されたパターンであり、近接した2つの給電点のうち第2の給電点7’より垂直方向に延ばした内側エレメント10’と、該内側エレメント10’を取り囲むように2つの給電点6’、7’を結んだ略長方形状の閉ループ形状の外側ループエレメント20’を設けたアンテナである。
比較例1のアンテナ2’の内側エレメント10’の線条11’の長さは、送受信周波数の略中間周波数600MHzにおける電波の1/4波長に、ガラス板1の波長短縮率(例えば約0.6)を乗じて75mmとしたものであり、外側ループエレメント20’は、縦辺の長さを140mm、横辺の長さを130mmとした略長方形状である。
外側ループエレメント20’の上辺とフランジ3’の開口部の上辺との間隔は、10mmであり、外側ループエレメント20’の垂直線条とフランジ3’の開口部の縦側辺との間隔は、10mmである。
第1の給電点6’と第2の給電点7’は、それぞれ縦辺10mm、横辺15mmの長方形状とし、各給電点6’、7’間の間隔を5mmとした。
前述した構成の比較例1の地上デジタルテレビ放送波受信用アンテナ2’を自動車の後部窓ガラス1’に設けて、周波数470〜710MHzの地上デジタルテレビ放送波帯の電波を受信したところ、図6の細い実線で示す周波数特性となり、平均受信利得は−8.1dBであった。
図6の周波数特性図によれば、比較例1のアンテナは、470〜525MHzの帯域、および580〜615MHzの帯域において、実施例1のアンテナの利得をわずかに上回るものの、525〜580MHzの帯域、および615〜710MHzの帯域において、実施例1のアンテナと比べると利得がかなり低下する。また、比較例1の閉ループ形状のアンテナパターンは、閉ループ形状であるためチューニング時に一辺の長さだけを調整することができないので、アンテナ特性の調整が容易ではない。
[比較例2]
図8に示した比較例2のアンテナのパターンは、第2の給電点7”より右回りで内側エレメント10”を囲むように延ばした時計回り線条21”と、第1の給電点6”より左回りで内側エレメント10”を囲むように延ばした逆コ字状の反時計回り線条22”の2つの線条を配設する略長方形に配設するが、反時計回り線条22”の端部を、時計回り線条21”の先端の手前で下方側に折り曲げ、時計回り線条21”と反時計回り線条22”との各先端同士をオーバーラップさせないように、すなわち、時計回り線条21”と反時計回り線条22”とが容量結合しないようにした、開いた略長方形のループ形状としたパターンである。
比較例2のアンテナ2”では、内側エレメント10”は、第2の給電点7”から下方向に略垂直に延ばした1本の線条11”によって構成される。
反時計回り線条22”の線条の先端を下方側に折り曲げたのは、反時計回り線条22”の全長を実施例1の反時計回り線条22(図1参照)の全長と一致させるためである。
比較例2のアンテナ2”の外側ループエレメント20”の略長方形状部分の縦辺、横辺の各線条長さは、比較例1、実施例1の外側ループエレメントと同様に、縦辺の長さは140mm、横辺の長さは130mmであり、反時計回り線条22”で、時計回り線条21”の先端の手前で下方側に折れ曲げた部分の長さは、35mmである。上記以外の線条の長さ、間隔は、実施例1、比較例1と同じである。
前述した構成の比較例2の地上デジタルテレビ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、周波数470〜710MHzの地上デジタルテレビ放送波帯の電波を受信したところ、図6の点線で示す周波数特性となり、平均受信利得は−8.1dBであった。
比較例2のアンテナの周波数特性は、図6の太い実線で示した実施例1のアンテナの周波数特性と比べると、580〜615MHzの帯域において、実施例1の利得をわずかに上回るものの、470〜580MHzの帯域、および580〜710MHzの帯域において、実施例1と比べて受信利得がかなり低下する。
このように、比較例2のアンテナと実施例1のアンテナとを比較すると、比較例2のアンテナでは、外側ループエレメント20”の時計回り線条21”と反時計回り線条22”とによって構成されるループ形状の開口部にオーバーラップ部分を設けておらず、開口部において2本の線条をオーバーラップさせることによって受信利得を低下させない実施例1に比べて、受信利得が低下していることがわかる。
以上、好適な実施例により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の応用が可能である。
1 窓ガラス
2 本発明のアンテナ
2’、2” 比較例のアンテナ
3、3’、3” 金属フランジ
6、6’、6” 第1の給電点
7、7’、7” 第2の給電点
10、10’、10” 内側エレメント
20、20’、20” 外側ループエレメント
21 時計回り線条
22 反時計回り線条
23 補助線条
24、25 オーバーラップ部

Claims (12)

  1. 車両の窓に配設される線条によって構成されるアンテナであって、
    第1の給電点と第2の給電点とを近接して配設し、
    該2つの給電点のいずれか一方に接続し、前記窓の開口部を構成する金属フランジから離れる方向に延伸した内側エレメントと、
    前記2つの給電点のそれぞれよりフランジに沿って互いに離れる逆方向で内側エレメントを取り囲むように延伸した時計回り線条と反時計回り線条とを含む外側ループエレメントと、によって構成され、
    前記外側ループエレメントは、前記時計回り線条と前記反時計回り線条との夫々の先端部が高周波的に導通することによって、前記内側エレメントを取り囲むように開口部を有するループ形状を構成することを特徴とする車両用アンテナ。
  2. 前記時計回り線条の先端部と前記反時計回り線条の先端部同士とを互いに容量結合するように近接する位置に配置することによって、前記時計回り線条と前記反時計回り線条とが高周波的に導通するように構成し、
    該容量結合する部分は、前記2つの給電点が設けられた辺と対向する辺に設けられることを特徴とする請求項1に記載の車両用アンテナ。
  3. 前記時計回り線条の先端部と前記反時計回り線条の先端部とが互いに近接する部分の長さが、10mmから送受信電波の1波長であることを特徴とする請求項2に記載の車両用アンテナ。
  4. 前記時計回り線条と前記反時計回り線条との間に、第1の補助線条を設け、
    前記第1の補助線条は、その一端部が前記時計回り線条の先端部と容量結合するように近接する位置に配置され、その他端部が前記反時計回り線条の先端部と容量結合するように近接する位置に配置され、
    これによって、前記時計回り線条と前記反時計回り線条とが高周波的に導通し、前記外側ループエレメントが開口部を有するループ形状を形成することを特徴とする請求項1に記載の車両用アンテナ。
  5. 前記時計回り線条の先端部と前記第1の補助線条の一端部とが近接する部分の長さ、及び、前記反時計回り線条の先端部と前記第1の補助線条の他端部とが近接する部分の長さが、10mmから送受信電波の1波長であることを特徴とする請求項4に記載の車両用アンテナ。
  6. 前記内側エレメントの長さは、送受信電波の略1/4波長であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の車両用アンテナ。
  7. 前記内側エレメントの先端から屈曲して延伸する第2の補助線条を設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の車両用アンテナ。
  8. 前記内側エレメントは、前記第1の内側エレメントと、前記第1の内側エレメントと容量結合させるように、前記第1の内側エレメントと近接かつ平行に配設された第2の内側エレメントとを有し、
    前記第2の内側エレメントは、前記第1の内側エレメントが接続された給電点と異なる給電点から延伸されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の車両用アンテナ。
  9. 前記外側ループエレメントの電気長は、送受信電波の1波長から2波長であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載の車両用アンテナ。
  10. 前記時計回り線条の給電点に接続される一辺を平行な複数の線条によって構成し、該複数の線条の両先端同士を接続したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載の車両用アンテナ。
  11. 前記反時計回り線条の給電点に接続される一辺を平行な複数の線条によって構成し、該複数の線条の両先端部同士を接続したことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載の車両用アンテナ。
  12. 前記請求項1乃至11のいずれか一つに記載の車両用アンテナを車両の窓ガラス面に直接印刷、または該パターンを印刷したシートを貼設したことを特徴とする記載の車両用アンテナ。
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