JP2005062797A - 磁性トナー - Google Patents
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Abstract
【課題】 現像性、環境安定性に優れた、トナー消費量の少ない磁性トナーを提供することにある。
【解決手段】 結着樹脂及び磁性酸化鉄を少なくとも含有する磁性トナー粒子を有する磁性トナーであり、
該磁性トナーの測定磁場795.8kA/mでの飽和磁化σsが5〜60Am2/kg、残留磁化σrが0.1〜10.0Am2/kgであり、
該結着樹脂は触媒としてTiキレート化合物を使用して重合されたポリエステル成分を有することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 結着樹脂及び磁性酸化鉄を少なくとも含有する磁性トナー粒子を有する磁性トナーであり、
該磁性トナーの測定磁場795.8kA/mでの飽和磁化σsが5〜60Am2/kg、残留磁化σrが0.1〜10.0Am2/kgであり、
該結着樹脂は触媒としてTiキレート化合物を使用して重合されたポリエステル成分を有することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、電子写真法、静電印刷法、磁気記録法、及びトナージェット法の如き画像形成方法に用いられるトナーに関する。
これまでに、低温時の定着性と高温時の耐高温オフセット性を両立すべく、種々のトナーが提案されている。特にポリエステル成分を有する結着樹脂を用いたトナーは、定着性や高温オフセット性に優れる為、高速機などの定着性能が重視される機種に使用されてきている。しかしながら、ポリエステル樹脂は脱水反応により重合される為に樹脂中に水分を含みやすく、さらには分子末端に酸基や水酸基が存在する為に水分を吸着しやすい為、使用環境の温湿度の影響を受けやすく、トナーの帯電性や現像性の環境特性が不安定になり易い。
また、省エネルギー、オフィスの省スペース化といった点において、プリンターなどの機械はより小型化が求められており、トナーを収納する容器にも小型化が必要となる為、少量のトナーで多数枚のプリントアウトが可能な、低消費量のトナーが求められている。
磁性トナーにポリエステル成分を有する結着樹脂を用いた場合、トナーの低消費量化を達成するには、トナーの磁気特性と結着樹脂の帯電特性の制御が非常に重要である。特に、ポリエステル樹脂を製造するための重合触媒は、結着樹脂の帯電特性に大きな影響を与える為、トナーの現像性の環境安定性を高めるうえで、また、低消費量化を達成するうえで非常に重要である。
トナー用ポリエステル樹脂を製造するための重合触媒として、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド等のスズ系触媒や三酸化アンチモン等のアンチモン系を用いることが一般に行われてきた。これらの技術では、今後、さらに高速化、環境安定性が求められる磁性トナーの性能を満足させるには十分ではない。
特許文献1では、芳香族ジオールのチタン酸エステルを重合触媒として用いる技術が、特許文献2では、固形状チタン化合物を重合触媒として用いる技術が開示されている。
しかしながら、これらのチタン化合物の重合触媒を用いてポリエステル成分を重合しただけでは、磁性トナーの帯電性を制御するには充分でない。
電子写真の現像方法において好ましく用いられている、磁性トナーを用いた一成分現像方法では、磁性トナーの磁気特性と帯電性がトナー消費量に大きな影響を与える。特に、結着樹脂にポリエステル樹脂を使用した磁性トナーにおいては、樹脂と磁性体の組み合わせによる帯電性や磁性酸化鉄の分散性、磁性トナーの磁気特性などを総合的に制御する必要がある。トナーの磁気特性については、特許文献3〜9等に開示されているが、ポリエステル成分の重合触媒とトナーの磁気特性に関しては十分に検討されておらず、改善の余地があった。
また、トナーの形状を改質する技術として、特許文献10〜13に、噴霧造粒法、溶液溶解法、重合法といった製造方法によってトナーの形状を球形に近づける技術が開示されている。さらに、特許文献14〜17に、粉砕法で製造されたトナーを熱的あるいは機械的衝撃により粒子の形状及び表面性を改質する技術が開示されている。しかし、これらの方法でトナーの形状を改質しただけでは、ポリエステル樹脂を用いた磁性トナーの現像性の環境安定性を高いレベルで維持したまま、トナー消費量を低減させることは困難であった。
本発明の目的は、上記問題点を解消したトナーを提供することにあり、現像性、環境安定性に優れた、トナー消費量の少ない磁性トナーを提供することにある。
本発明は、結着樹脂及び磁性酸化鉄を少なくとも含有する磁性トナー粒子を有する磁性トナーであり、
該磁性トナーの測定磁場795.8kA/mでの飽和磁化σsが5〜60Am2/kg、残留磁化σrが0.1〜10.0Am2/kgであり、
該結着樹脂は触媒としてTiキレート化合物を使用して重合されたポリエステル成分を有することを特徴とする磁性トナーに関する。
該磁性トナーの測定磁場795.8kA/mでの飽和磁化σsが5〜60Am2/kg、残留磁化σrが0.1〜10.0Am2/kgであり、
該結着樹脂は触媒としてTiキレート化合物を使用して重合されたポリエステル成分を有することを特徴とする磁性トナーに関する。
触媒としてTiキレート化合物を用いたポリエステル成分を有する結着樹脂を使用し、トナーの磁気特性が制御されたことにより、現像性や環境安定性が向上し、トナー消費量を低減することができる。
本発明において、触媒としてTiキレート化合物を使用したポリエステルユニット成分を有する樹脂は、樹脂中に均一にTi化合物を含むと考えられるが、このTi化合物がTiキレート化合物として存在しているのか、重合反応により変化してキレート化合物でなくなっているのかはまだ確認できていない。しかしながらTi金属として存在しているとは考えにくく、化合物である可能性が高いと思われる為、樹脂中に含まれる重合触媒の残存物としてはTi化合物と表現する。
磁性酸化鉄を含有する磁性トナーを使用する一成分現像方式では、トナーの磁気特性を低くすると現像スリーブへのトナーの拘束力が小さくなり、現像効率が高くなるので画像濃度は高く出来る。しかし、現像スリーブへのトナーの拘束力が小さくなることで非画像部へもトナーが現像されやすくなるため、カブリが増加しやすい。逆にトナーの磁気特性を高くするとカブリは抑制されるが、画像濃度が低くなりやすいうえに、現像スリーブ上でのトナーの穂立ちが大きくなり、現像時に感光ドラムと現像スリーブ間でトナーの穂が崩れにくくなり、穂の形状を保ったまま現像される為、感光ドラム上の画像部に必要以上にトナーが現像されてトナー消費量が増加しやすい。
本発明者らは、磁性トナーの測定磁場795.8kA/mにおける飽和磁化σsが5〜60Am2/kg、残留磁化σrが0.1〜10.0Am2/kgであり、かつ結着樹脂に、触媒としてTiキレート化合物を使用して重合されたポリエステル成分を有するものを使用することが、トナーが優れた現像性を使用環境によらずに発揮でき、かつ、トナー消費量を低減させるのに効果的であることを見出した。
この理由としては、ポリエステル成分中に含まれるTi化合物は磁性酸化鉄の分散剤としての働きをしていると考えられ、その結果、磁性酸化鉄の樹脂中での分散性が、Tiキレート化合物でない重合触媒を用いた樹脂を使用した場合に比較して格段に向上する為と思われる。これにより、トナー粒子毎の磁性酸化鉄の含有量のばらつきが少なくなり、トナー粒子毎の磁気特性の分布が非常にシャープになる為、各トナー粒子が設計通りの磁気特性を有することができるようになる。さらに、トナー中に磁性酸化鉄が均一に分散されることで、トナーの帯電の立ち上がりが非常に早くなり、瞬時に高い帯電量をもてるようになるとともに、トナー粒子ごとの帯電量の分布もシャープになるので、高温高湿環境のようなトナーが帯電しにくい状況であっても、優れた現像性を維持することが可能になる。
さらに、トナー中に磁性酸化鉄が均一に分散されることで、トナー粒子表面に磁性酸化鉄が均一に露出する為、低温低湿環境においてはトナーの過剰な帯電をリークさせる働きをして、トナー粒子ごとの帯電量の分布のシャープさを維持しながら適正な帯電量を得ることが可能になり、カブリを抑制しながら優れた現像性を得ることができる。
また、このように帯電量分布がシャープで高い帯電を持つトナーの磁気特性を制御することで、トナーの消費量を低減させることも可能になる。
磁性トナーを使用する一成分現像方式では、磁性トナーは現像スリーブと感光ドラムが対向する現像部分で、現像スリーブ内に内包されるマグネットの磁力により、数個から数十個がまとまって穂を形成し、現像バイアスにより現像スリーブ表面からこの穂が感光ドラムに向かって飛翔して現像される。
本発明のトナーは磁性酸化鉄の分散性に優れており、トナー粒子毎の磁気特性にばらつきが少ない為、現像スリーブ上に均一な長さの穂を形成することが出来る。また、トナーの磁気特性を制御することで、穂が感光ドラムに飛翔した際にほぐれやすくすることが出来、感光ドラムの潜像上にトナーが必要以上に現像されず、トナー消費量を低減することができる。また、この時トナーの帯電量が高く、帯電量分布がシャープであるために、感光ドラムの潜像を忠実に再現でき、画像部分からトナーがはみ出したり、潜像の電荷を埋める為に必要以上にトナーを消費することがなくなるため、さらにトナー消費量の低減に効果が得られる。
本発明者らは、触媒としてTiキレート化合物を用いたポリエステル成分を有する樹脂を磁性トナーに使用し、かつ、トナーの磁気特性を制御することで、はじめて上記効果が得られることを見出したものであり、他の触媒を使用して重合したポリエステル成分を有する樹脂を用いた場合や、あるいはトナーの磁気特性を満足するだけでは達成できないことを確認した。
本発明では、磁性トナーの測定磁場795.8kA/mでの飽和磁化σsが5〜60Am2/kg、残留磁化σrが0.1〜10.0Am2/kgである事が重要である。トナーがこのような磁気特性を有することで、現像スリーブ上に理想的な穂立ちを得ることが出来、さらに現像時に穂がほぐれやすく、現像スリーブと感光ドラムの現像ニップ部で穂ではなく、トナー1個粒子としての挙動をとる為、トナー消費量を低減させることが可能になる。
トナーの磁気特性のうち、残留磁化σrが10.0Am2/kgより大きいと、穂を形成しているトナー同士の磁気凝集力が大きくなり、穂がほぐれにくくなる為、感光ドラムの潜像の画像部に必要以上にトナーが現像されてしまい、トナー消費量が多くなってしまう。逆にσrが0.1Am2/kgより小さいと、感光ドラム上から現像スリーブへの引き戻しの力が弱くなり、カブリが悪化する。
飽和磁化σsが60Am2/kgより大きいと、現像スリーブ上の穂が大きくなりすぎて、トナーの帯電が不均一になったり、現像時に穂がほぐれにくくなり、消費量が増加したりする。σsが5Am2/kgより小さいと、現像スリーブ上にトナーが均一にコートしにくくなり、現像性が悪化する。
トナーの磁気特性の制御は、使用する磁性酸化鉄の磁気特性や添加量で調整することができる。
本発明で用いられるTiキレート化合物は、配位子が、ジオール、ジカルボン酸、オキシカルボン酸のいずれかであることが好ましい。これらの中でも、配位子が、脂肪族系ジオール、ジカルボン酸、オキシカルボン酸のいずれかであることが特に好ましい。脂肪族系の配位子は芳香族系の配位子に比べて触媒活性が強いので、反応時間の短縮や温度制御のし易さという点で好ましい。
Tiキレート化合物に用いられる配位子の具体的な例としては、ジオールとしては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールである。ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、オキシカルボン酸として、グルコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸がある。
また、Tiキレート化合物が、下記一般式(I)乃至一般式(VIII)或いはそれらの水和物のいずれかで表されることが好ましい。
特に、該Tiキレート化合物が上記一般式(II)、(III)、(VI)又は(VII)或いはそれらの水和物で表されるものは、磁性酸化鉄の分散性を向上させる為に、トナーの現像性の環境安定性を改良する効果やトナー消費量低減の効果が大きく、好ましい。
一般式(I)乃至(VIII)中における対陽イオンMでは、アルカリ金属が好ましく、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられ、これらのうち好ましいものは、リチウム、ナトリウム、カリウムであり、特に好ましいものとしては、ナトリウム、カリウムである。
また該Tiキレート化合物の添加量としては、総ポリエステル成分量に対して0.01質量%以上2質量%以下、好ましくは0.05質量%以上1質量%以下がよい。0.01質量%未満では、ポリエステル重合時の反応時間が長くなるとともに、磁性酸化鉄の分散性を向上させる効果が得られにくくなる。2質量%より多く含有すると、トナーの帯電特性に影響を及ぼすようになり、環境による帯電量の変動が大きくなりやすい。
これらTiキレート化合物は単独で使用しても、また、Tiキレート化合物を2種以上併用してもよく、Tiキレート化合物以外の重合触媒と併用しても良い。特に、Tiキレート化合物を2種以上併用することでトナーの帯電安定性が増し、トナー消費量の低減にも効果があるので好ましい。
以下に本発明に用いるTiキレート化合物の具体例を示す。
さらに本発明では、重合触媒以外に助触媒を用いることもできる。例えば、酢酸カルシウム等のカルシウム化合物、酢酸マグネシウム等のマグネシウム化合物、酢酸亜鉛等の亜鉛化合物等が用いられる。また、助触媒としてアルカリ及び/又はアルカリ土類化合物のハロゲン化物を用いることも可能であり、具体的には塩化リチウム、ヨウ化カリ、弗化カリ、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が例示される。
本発明に用いられるポリエステル成分は、多価アルコールと多価カルボン酸との縮重合により得られる。本発明に用いられるポリエステル成分には、例えば以下に示す成分が用いられる。
二価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また(A)式で表されるビスフェノール及びその誘導体;また(B)式で示されるジオール類;が挙げられる。
二価の酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等のベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸等のアルケニルコハク酸類若しくはアルキルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
また架橋成分として働く三価以上のアルコール成分と三価以上の酸成分を併用することが好ましい。
三価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
特に好ましい三価以上の多価アルコール成分として、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを含む構造の化合物が挙げられる。ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを含む構造の化合物は、ノボラック型フェノール樹脂と分子中一個のエポキシ環を有する化合物との反応物であり、かつ末端に三つ以上のアルコール性の水酸基を有する。
ノボラック型フェノール樹脂としては、例えばエンサイクロベディア・オブ・ポリマーサイエンス・アンド・テクノロジー(インターサイエンス・パブリッシャーズ)第10巻1頁のフエノリツク・レジンズの項に記載されるように、塩酸、リン酸、硫酸等の無機酸又はパラトルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸又は酢酸亜鉛等の金属塩を触媒としてフェノール類とアルデヒド類からの重縮合により製造されるものが挙げられる。
フェノール類としては、フェノールや炭素数1〜35の炭化水素基及び/又はハロゲン基を一個以上置換基として有する置換フェノールが挙げられる。置換フェノールの具体例としては、クレゾール(オルソ体、メタ体若しくはパラ体)、エチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、スチレン化フェノール、イソプロペニルフェノール、3−クロルフェノール、3−ブロムフェノール、3,5−キシレノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−ジクロルフェノール、2,4−ジクロルフェノール、3−クロル−5−メチルフェノール、ジクロルキシレノール、ジブロムキシレノール、2,4,5−トリクロルフェノール、6−フェニル−2−クロルフェノール等が挙げられる。フェノール類は二種以上併用してよい。
これらの中ではフェノール及び炭化水素基で置換された置換フェノールが好ましく、その中でも特にフェノール、クレゾール、t−ブチルフェノール及びノニルフェノールが好ましい。フェノールとクレゾールは価格及びトナーの耐オフセット性を付与する点で好ましく、t−ブチルフェノール及びノニルフェノールに代表される炭化水素基で置換された置換フェノールは、トナーの帯電量の温度依存性を小さくする点で好ましい。
アルデヒド類としては、ホルマリン(各種濃度のホルムアルデヒド溶液)、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
ノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量は通常300〜8000、好ましくは350〜3000、さらに好ましくは400〜2000である。ノボラック型フェノール樹脂中の数平均のフェノール類の核体数は通常3〜60、好ましくは3〜20、さらに好ましくは4〜15である。
また軟化点(JIS K2531;環球法)は、通常40〜180℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜130℃である。軟化点が40℃未満では常温でブロッキングし取り扱いが困難となる。また軟化点が180℃を超えるとポリエステル成分の製造過程でゲル化を引き起こし好ましくない。
分子中一個のエポキシ環を有する化合物の具体例としては、エチレンオキサイド(EO)、1,2−プロピレンオキサイド(PO)、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等を挙げることができる。また炭素数1〜20の脂肪族一価アルコール若しくは一価フェノールのグリシジルエーテルも使用できる。これらの中ではEO及び又はPOが好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂1モルに対する、分子中一個のエポキシ環を有する化合物の付加モル数は、通常1〜30モル、好ましくは2〜15モル、さらに好ましくは2.5〜10モルであり、またノボラック型フェノール樹脂中のフェノール性水酸基一個に対する分子中一個のエポキシ環を有する化合物の平均付加モル数は通常0.1〜10モル、好ましくは0.1〜4モル、さらに好ましくは0.2〜2モルである。
本発明で特に好ましく用いられるノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル化合物の構造を下記一般式に例示する。
ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル化合物の数平均分子量は、通常300〜10000、好ましくは350〜5000、さらに好ましくは450〜3000である。数平均分子量が300未満ではトナーの耐オフセット性が十分でなく、10000を超えるとポリエステル成分の製造過程でゲル化を引き起こして好ましくない。
ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル化合物の水酸基価(アルコール性及びフェノール性水酸基の合計)は、通常10〜550mgKOH/g、好ましくは50〜500mgKOH/g、さらに好ましくは100〜450mgKOH/gである。また、水酸基価のうち、フェノール性水酸基価は通常0〜500、好ましくは0〜350mgKOH/g、さらに好ましくは5〜250mgKOH/gである。
ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル化合物の製法を例示すると、必要により触媒(塩基性触媒又は酸性触媒)の存在下、ノボラック型フェノール樹脂に分子中一個のエポキシ環を有する化合物を付加反応させることにより得られる。反応温度は通常20〜250℃、好ましくは70〜200℃であり、常圧下、又は加圧下、さらには減圧下においても行うことができる。また反応は、溶媒(例えばキシレン、ジメチルホルムアミド等)、他の二価アルコール類、及び他の三価以上のアルコール類の少なくともいずれかの存在下で行うこともできる。
また、本発明に用いられる三価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;下記一般式(C)で表されるテトラカルボン酸等、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
なかでも、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸及びこれらの無水物、低級アルキルエステルが好ましい。
なかでも、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸及びこれらの無水物、低級アルキルエステルが好ましい。
本発明に用いられるアルコール成分としては40〜60mol%、好ましくは45〜55mol%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは55〜45mol%であることが好ましい。また三価以上の多価の成分は、全成分中の5〜60mol%であることが好ましい。
該ポリエステル成分は通常一般に知られている縮重合によって得られる。ポリエステル成分の重合反応は、触媒として前記一般式(I)〜(VIII)で示されるTiキレート化合物の存在下で150〜300℃、好ましくは170〜280℃程度の温度条件下で行われる。また反応は常圧下、減圧下、若しくは加圧下で行うことができるが、所定の反応率(例えば30〜90%程度)に到達後は、反応系を200mmHg以下、好ましくは25mmHg以下、さらに好ましくは10mmHg以下に減圧し、反応を行うのが望ましい。
反応物の性質(例えば酸価、軟化点等)が所定の値に到達した時点、あるいは反応機の攪拌トルク又は攪拌動力が所定の値に到達した時点で反応を停止させることによって本発明のポリエステル成分を得ることができる。
本発明のトナーには、ビニル系重合体成分を含有していても良い。ビニル系重合体成分を構成するビニル系モノマーとしては、例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−ブチルスチレン、p−tert−トリブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体が挙げられる。
さらに、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
またさらに、マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和ジカルボン酸ハーフエステル類;マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチルの如き不飽和ジカルボン酸ジエステル類;マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和ジカルボン酸無水物類もビニル系モノマーとして使用できるが、本発明に用いられる結着樹脂を製造するのに使用される全モノマー成分を基準としてポリエステル系モノマー成分の割合を算出するときには、これらに限りポリエステル系モノマー成分として算出する。
さらに、必要に応じて以下に例示するような架橋性モノマーで架橋された重合体であっても良い。
芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
また、エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
また、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレート類として例えば、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
これらの架橋剤は、他のビニル系モノマー成分100質量部に対して、0.01〜10.0質量部(さらに好ましくは0.03〜5質量部)用いることが好ましい。
前記ビニル系重合体成分を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキジイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
本発明に用いられるビニル系重合体成分を製造する場合に用いられる開始剤として、以下に例示する多官能性重合開始剤を単独で、又は単官能性重合開始剤と併用して用いても良い。
多官能構造を有する前記多官能重合開始剤の具体例としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,3−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン及び2,2−t−ブチルパーオキシオクタンの如き、一分子内に二つ以上のパーオキサイド基の如き重合開始機能を有する官能基を有する多官能性重合開始剤;及びジアリルパーオキシジカーボネート、トリブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフマレートの如き、一分子内にパーオキサイド基の如き重合開始機能を有する官能基と重合性不飽和基との両方を有する多官能性重合開始剤が挙げられる。
これらのうち、より好ましいものは、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート及び2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、及びt−ブチルパーオキシアリルカーボネートである。
本発明に用いられる磁性体は、異種元素を含有するマグネタイト,マグヘマイト,フェライト等の磁性酸化鉄及びその混合物が好ましく用いられる。
中でもリチウム,ベリリウム,ボロン,マグネシウム,アルミニウム,シリコン,リン,ゲルマニウム,チタン,ジルコニウム,錫,鉛,亜鉛,カルシウム,バリウム,スカンジウム,バナジウム,クロム,マンガン,コバルト,銅,ニッケル,ガリウム,カドミウム,インジウム,銀,パラジウム,金,水銀,白金,タングステン,モリブデン,ニオブ,オスミウム,ストロンチウム,イットリウム,テクネチウム,ルテニウム,ロジウム,ビスマスから選ばれる少なくとも一つ以上の元素を含有する磁性酸化鉄であることが好ましい。
特に本発明で用いられる磁性酸化鉄としては、Si元素を磁性酸化鉄を基準として0.1〜2.0質量%含有することが好ましい。
Si元素を含有する磁性酸化鉄は、トナー粒子表面への露出具合のバランスに優れており、トナーの帯電量を環境によらず高いままで保持することができるので、高温高湿環境での画像濃度の低下や低温低湿環境でのカブリをより高いレベルで改良できるので好ましい。
本発明において、磁性酸化鉄は、磁気特性としては磁場795.8kA/m下で飽和磁化が10〜200Am2/kg、より好ましくは70〜100Am2/kg、残留磁化が1〜100Am2/kg、より好ましくは2〜20Am2/kg、抗磁力が1〜30kA/m、より好ましくは2〜15kA/mであるものが好ましく用いられる。
本発明において、磁性酸化鉄粒子は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、チタネート、アミノシラン又は有機ケイ素化合物の如き表面処理剤で処理しても良い。
本発明における各種物性データの測定法を以下に詳述する。
[磁性酸化鉄中に存在する金属元素量の定量]
本発明において、磁性酸化鉄中の鉄以外の金属元素の含有率(磁性酸化鉄を基準とする)は、次のような方法によって求めることができる。例えば、5リットルのビーカーに約3リットルの脱イオン水を入れ45乃至50℃になるようにウォーターバスで加温する。約400mlの脱イオン水でスラリーとした磁性酸化鉄約25gを約300mlの脱イオン水で水洗いしながら、該脱イオン水とともに5リットルビーカー中に加える。
本発明において、磁性酸化鉄中の鉄以外の金属元素の含有率(磁性酸化鉄を基準とする)は、次のような方法によって求めることができる。例えば、5リットルのビーカーに約3リットルの脱イオン水を入れ45乃至50℃になるようにウォーターバスで加温する。約400mlの脱イオン水でスラリーとした磁性酸化鉄約25gを約300mlの脱イオン水で水洗いしながら、該脱イオン水とともに5リットルビーカー中に加える。
次いで、温度を約50℃、撹拌スピードを約200rpmに保ちながら、特級塩酸または塩酸とフッ化水素酸との混酸を加え、溶解を開始する。このとき、塩酸水溶液を約3mol/リットルとする。すべて溶解して透明になったら約20mlサンプリングし、プラズマ発光分光(ICP)によって、鉄元素及び鉄元素以外の金属元素の定量を行う。
磁性酸化鉄を基準としたときの、鉄元素以外の金属元素の含有率は次式によって計算される。
磁性酸化鉄を基準としたときの金属元素の含有率(質量%)
=((c×d)/(e×1000))×100
c:採取したサンプル中の金属元素濃度(mg/l)
d:採取したサンプル量(l)
e:磁性酸化鉄質量(g)
磁性酸化鉄を基準としたときの金属元素の含有率(質量%)
=((c×d)/(e×1000))×100
c:採取したサンプル中の金属元素濃度(mg/l)
d:採取したサンプル量(l)
e:磁性酸化鉄質量(g)
[磁性トナー及び磁性酸化鉄の磁気特性]
「振動試料型磁力計VSM−3S−15」(東英工業社製)を用いて外部磁場795.8kA/mの下で測定することができる。
「振動試料型磁力計VSM−3S−15」(東英工業社製)を用いて外部磁場795.8kA/mの下で測定することができる。
本発明のトナーには、着色剤を含有しても良い。本発明のトナーに使用し得る着色剤としては、任意の適当な顔料又は染料があげられる。例えば顔料としてカーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等がある。これらは定着画像の光学濃度を維持するのに必要充分な量が用いられ、樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部の添加量が良い。
また同様の目的で、染料を用いることも出来る。例えばアゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料があり樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜10質量部の添加量が良い。
本発明では、次の一般式に示した芳香族ヒドロキシカルボン酸金属化合物を使用することが、帯電の立ち上がりを早くし、現像性の環境安定性を高めるうえで好ましい。
次に、該ヒドロキシカルボン酸金属化合物の具体例を示す。
なかでも、中心金属としてAlのものがより高い帯電量が得られるという点で好ましい。
本発明のトナーには、荷電制御剤としてモノアゾ鉄化合物を含有させることも、トナーの帯電を高くし、帯電の安定性を高めるという観点で好ましい形態である。
特に、下記一般式で表されるモノアゾ鉄化合物が、帯電量を高く、安定して与えるので好ましい。
A”+はアンモニウムイオン,ナトリウムイオン,カリウムイオン,水素イオン又はそれらの混合イオンを示し、好ましくはアンモニウムイオン75〜98モル%を有する。]
次に、モノアゾ鉄化合物の具体例を示す。
なかでも、モノアゾ鉄化合物(1)式で表されるものが、トナーの消費量を低減させるので好ましい。
これらモノアゾ鉄化合物の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
特に本発明においては、ヒドロキシカルボン酸Al化合物とモノアゾ鉄化合物を併用すると、Tiキレート化合物を使用して重合されたポリエステル成分と組み合わせた場合にトナーの帯電量が飛躍的に向上し、現像性の環境安定性が高まる為、好ましい。
本発明の磁性トナーは、フロー式粒子像測定装置で計測される円相当径3μm以上400μm以下のトナー粒子における平均円形度が0.930以上0.970未満(好ましくは0.935以上0.970未満)であることが、より少ないトナー消費量を達成するという点で好ましい。
特に、触媒としてTiキレート化合物を用いたポリエステル成分を有する結着樹脂を使用した磁性トナーの磁気特性と円形度を制御することで、トナー粒子の帯電量の分布や磁気特性の分布が非常にシャープになり、少ないトナー消費量と高い画像濃度を高いレベルで満足することが可能になる。
磁性トナーは真球である場合に、磁性酸化鉄が均一に分散されていれば理論上トナー粒子が磁気異方性を持たなくなる為、トナー粒子同士の磁気凝集が起こらなくなり、穂の現像でなく、トナー粒子が1個粒子として分散した状態での現像が可能になる。その結果、感光ドラム上に必要最小限のトナーが現像されるようになり、トナー消費量が低減する。トナーの円形度が低い状態では、トナー粒子に凹凸が多い為、凹部あるいは凸部が局所的に磁気の方向性を持つため、トナー粒子同士の磁気凝集力が大きくなり、現像時に穂がほぐれにくく、トナー消費量を増加させる原因になる。円形度を制御することで、トナー粒子の凹凸が減ってトナー粒子内の磁気力が平均化され、磁気異方性が小さくなるので、トナー粒子同士の磁気凝集力が小さく、穂がほぐれやすくなり、トナー消費量が低減できる。フロー式粒子像測定装置で計測される円相当径3μm以上400μm以下のトナー粒子における平均円形度が0.930未満だと、トナーの磁気凝集力が大きく、トナー消費量が増加しやすい。平均円形度が0.970以上では、現像スリーブへのトナーコートを制御することが難しく、コート量が多くなりすぎてトナーの帯電量分布がブロードになって、現像性が低下したり、あるいはカブリが増加してトナー消費量が増えたりする可能性がある。
本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではシスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて23℃、60%RHの環境下で測定を行い、円相当径0.60μm〜400μmの範囲内の粒子を測定し、そこで測定された粒子の円形度を下式(1)により求め、更に円相当径3μm以上400μm以下の粒子において、円形度の総和を全粒子数で除した値を平均円形度と定義する。
円形度a=L0/L (1)
〔式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子投影像の周囲長を示す。〕
円形度a=L0/L (1)
〔式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子投影像の周囲長を示す。〕
本発明に用いている円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度の算出にあたって、得られた円形度によって、粒子を円形度0.4〜1.0を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度の値と、各粒子の円形度の総和を用いる算出式によって算出される平均円形度の誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度であり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、各粒子の円形度の総和を用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。さらに本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、従来よりトナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA1000」と比較して、シースフローの薄層化(7μm→4μmに)及び処理粒子画像の倍率の向上、さらに取り込んだ画像の処理解像度を向上(256×256→512×512)することによりトナーの形状測定の精度が上がっており、それにより微粒子のより確実な捕捉を達成している装置である。従って、本発明のように、より正確に形状及び粒度分布を測定する必要がある場合には、より正確に形状及び粒度分布に関する情報が得られるFPIA2100の方が有用である。
具体的な測定方法としては、予め容器中の不純物を除去した水200〜300ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波発振器で2分間分散し、分散液濃度を0.2〜1.0万個/μlとして粒子の円形度分布を測定する。超音波発振器としては、例えば以下の装置を使用し、以下の分散条件を用いる。
UH−150(株式会社エス・エム・テー社製)
OUTPUT レベル:5
コンスタントモード
UH−150(株式会社エス・エム・テー社製)
OUTPUT レベル:5
コンスタントモード
測定の概略は、以下の通りである。
試料分散液は、フラットで扁平なフローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。それぞれの粒子の2次元画像の投影面積及び投影像の周囲長から上記の円形度算出式を用いて各粒子の円形度を算出する。
次に、本発明の特徴とするトナー粒子を得るための好ましい方法として、表面改質工程を用いたトナー粒子製造方法について説明する。以下に、表面改質工程で使用される表面改質装置及び表面改質装置を利用したトナー粒子の製造方法について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明に使用する表面改質装置の一例を示し、図2は図1において高速回転する回転子の上面図の一例を示す。
図1に示す表面改質装置では、ケーシング、冷却水或いは不凍液を通水できるジャケット(図示しない)、表面改質手段である、ケーシング内にあって中心回転軸に取り付けられた、上面に角型のディスク或いは円筒型のピン40を複数個有し、高速で回転する円盤上の回転体である分散ローター36、分散ローター36の外周に一定間隔を保持して配置されている表面に多数の溝が設けられているライナー34(尚、ライナー表面上の溝はなくても構わない)、更に、表面改質された原料を所定粒径に分級するための手段である分級ローター31、更に、冷風を導入するための冷風導入口35、被処理原料を導入するための原料供給口33、更に、表面改質時間を自在に調整可能となるように、開閉可能なように設置された排出弁38、処理後の粉体を排出するための粉体排出口37、更に、分級手段である分級ローター31と表面改質手段である分散ローター36−ライナー34との間の空間を、分級手段へ導入される前の第一の空間41と、分級手段により微粉を分級除去された粒子を表面改質手段へ導入するための第二の空間42に仕切る案内手段である円筒形のガイドリング39とから構成されている。分散ローター36とライナー34との間隙部分が表面改質ゾーンであり、分級ローター31及びローター周辺部分が分級ゾーンである。
尚、分級ローター31の設置方向は図1に示したように縦型でも構わないし、横型でも構わない。また、分級ローター31の個数は図1に示したように単体でも構わないし、複数でも構わない。
以上のように構成してなる表面改質装置では、排出弁38を閉とした状態で原料供給口33から原料トナー粒子を投入すると、投入された原料トナー粒子は、まずブロワー(図示しない)により吸引され、分級ローター31で分級される。
その際、分級された所定粒径以下の微粉は装置外へ連続的に排出除去され、所定粒径以上の粗粉は遠心力によりガイドリング39の内周(第二の空間42)に沿いながら分散ローター36により発生する循環流にのり表面改質ゾーンへ導かれる。表面改質ゾーンに導かれた原料は分散ローター36とライナー34間で機械式衝撃力を受け、表面改質処理される。表面改質された表面改質粒子は、機内を通過する冷風にのって、ガイドリング39の外周(第一の空間41)に沿いながら分級ゾーンに導かれ、分級ローター31により、再度微粉は機外へ排出され、粗粉は、循環流にのり、再度表面改質ゾーンに戻され、繰り返し表面改質作用を受ける。一定時間経過後、排出弁38を開とし、排出口37より表面改質粒子を回収する。
本発明においては、トナー粒子表面改質工程において、トナー粒子の表面改質と同時に微粉成分を除去できることを特徴とする。それにより、トナー粒子中に存在する超微粒子がトナー粒子表面に固着することがなく、所望の円形度、平均面粗さ及び超微粒子量を有するトナー粒子を効果的に得ることができる。表面改質と同時に微粉を除去することができない場合、表面改質後のトナー粒子中の超微粒子量が多く存在してしまう上に、トナー粒子表面改質工程において、機械的、熱的な影響により、適正な粒径を有するトナー粒子の表面に超微粒子成分が固着してしまう。その結果、トナー粒子の表面に、固着した微粉成分による突起が生成し、所望の円形度及び平均面粗さを有するトナー粒子が得られない。
本発明者が検討した結果、表面改質装置における表面改質時間(=サイクルタイム)としては、5秒以上180秒以下、更に好ましくは、15秒以上120秒以下であることが好ましい。表面改質時間が5秒未満の場合、改質時間が短時間過ぎるため、表面改質トナー粒子が十分に得られない場合がある。また、改質時間が180秒を超えると、改質時間が長時間過ぎるため、表面改質時に発生する熱による機内融着の発生、及び処理能力の低下を招く場合がある。
更に、本発明のトナー粒子の製造方法においては、該表面改質装置内に導入する冷風温度T1を5℃以下とすることが好ましい。該表面改質装置内に導入する冷風温度T1を5℃以下、より好ましくは、0℃以下、更に好ましくは、−5℃以下とすることにより、表面改質時に発生する熱による機内融着を防止することができる。該表面改質装置内に導入する冷風温度T1が5℃を超えると、表面改質時に発生する熱による機内融着を起こす場合がある。
尚、該表面改質装置内に導入する冷風は、装置内の結露防止という面から、除湿したものであることが好ましい。除湿装置としては公知のものが使用できる。
給気露点温度としては、−15℃以下が好ましく、更には−20℃以下が好ましい。
給気露点温度としては、−15℃以下が好ましく、更には−20℃以下が好ましい。
更に、本発明のトナー粒子の製造方法においては、該表面改質装置内は、機内冷却用のジャケットを具備しており、該ジャケットに冷媒(好ましくは冷却水、更に好ましくはエチレングリコール等の不凍液)を通しながら表面改質処理することが好ましい。該ジャケットによる機内冷却により、トナー粒子表面改質時における熱による機内融着を防止することができる。
尚、表面改質装置の該ジャケット内に通す冷媒の温度は5℃以下とすることが好ましい。表面改質装置内の該ジャケット内に通す冷媒の温度を5℃以下、より好ましくは、0℃以下、更に好ましくは、−5℃以下とすることにより、表面改質時に発生する熱による機内融着を防止することができる。該ジャケット内に導入する冷媒の温度が5℃を超えると、表面改質時に発生する熱による機内融着を起こす場合がある。
更に、本発明のトナー粒子の製造方法においては、該表面改質装置内の分級ローター後方の温度T2を60℃以下とすることが好ましい。該表面改質装置内の分級ローター後方の温度T2を60℃以下、好ましくは50℃以下とすることにより、表面改質時に発生する熱による機内融着を防止することができる。該表面改質装置内の分級ローター後方の温度T2が60℃を超えると、表面改質ゾーンにおいては、それ以上の温度が影響するため、表面改質時に発生する熱による機内融着を起こす場合がある。
更に、本発明のトナー粒子の製造方法においては、表面改質装置内の該分散ローターとライナーとの間の最小間隔が0.5mm乃至15.0mmとすることが好ましく、更には、1.0mm乃至10.0mmとすることが好ましい。また、該分散ローターの回転周速は75m/sec乃至200m/secとすることが好ましく、更には、85m/sec乃至180m/secとすることが好ましい。更に、表面改質装置内の該分散ローター上面に設置されている角型のディスク或いは円筒形のピンの上部と、該円筒型のガイドリングの下部との間の最小間隔が2.0mm乃至50.0mmとすることが好ましく、更には、5.0mm乃至45.0mmとすることが好ましい。
本発明において、該表面改質装置内の分散ローター及びライナーの粉砕面は耐摩耗処理されていることがトナー粒子の生産性上好ましい。尚、耐摩耗処理方法は何ら限定されるものではない。また、該表面改質装置内の分散ローター及びライナーの刃形状に関しても、何ら限定されるものではない。
本発明のトナー粒子製造方法としては、あらかじめ所望の粒径付近に微粒子化された原料トナー粒子を、気流式分級機を用いて微粉及び粗粉をある程度除去した上で、表面改質装置によってトナー粒子の表面改質及び超微粉成分の除去を行うことが好ましい。あらかじめ微粉を除去しておくことにより、表面改質装置内でのトナー粒子の分散が良好になる。特に、トナー粒子中の微粉成分は、比表面積が大きく、他の大きなトナー粒子と比較して相対的に帯電量が高いために他のトナー粒子からの分離がされにくく、分級ローターで適正に超微粉成分が分級されない場合があるが、あらかじめトナー粒子中の微粉成分を除去しておくことによって、表面改質装置内で個々のトナー粒子が分散しやすくなり、超微粉成分が適正に分級ローターによって分級され、所望の粒度分布を有するトナー粒子を得ることができる。気流式分級機によって微粉を除去されたトナーは、コールターカウンター法を用いて測定される粒度分布において、4μm未満のトナー粒子の個数平均分布の累積値が10%以上50%未満、好ましくは15%以上45%未満、より好ましくは15%以上40%未満であることが好ましく、本発明の表面改質装置によって効果的に超微粉成分を除去することができる。本発明で用いられる気流式分級機としては、エルボージェット(日鉄工業社製)等があげられる。
更に本発明においては、該表面改質装置内の分散ローター及び分級ローターの回転数等を制御することにより、トナー粒子の円形度、及び平均面粗さをより適正な値に制御することができる。
本発明のトナーは、ワックスを含有していても良い。
本発明に用いられるワックスとしては様々なワックスが挙げられ、例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;又は、それらのブロック共重合物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの如き脂肪族エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪族エステルを一部又は全部を脱酸化したものが挙げられる。
さらに前記ワックスとしては、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、或いはさらに長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カウナビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、或いはさらに長鎖のアルキル基を有するアルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪族アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪族ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物等が挙げられる。
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
また、本発明の磁性トナーには、磁性トナー粒子に外添剤として疎水性無機微粒子を添加することが好ましい。
本発明で用いられる疎水性無機微粒子としては、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズの如き酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムの如き複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩化合物等があるが、現像性、流動性向上のために、シリカ、酸化チタン、アルミナ、あるいはそれらの副酸化物から選ばれることが好ましい。
特に好ましいのは、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉末であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。
例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、本発明に用いられるシリカとしてはそれらも包含する。
本発明に用いられる疎水性無機微粒子は、無機微粒子と反応或いは物理吸着する、シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤の一種又は二種以上により疎水化処理されていることが好ましい。
特にシラン化合物,シリコーンオイルで処理されたものが好ましく、中でも両者で処理されたものが特に好ましい。すなわち、この2つのタイプの処理剤で表面処理することで疎水化度分布を高疎水性のものに揃え、しかも均質に処理でき、優れた流動性,均一帯電性,耐湿性を付与できるようになり、トナーに良好な現像性、特に高湿下での現像性,耐久安定性を与えることができる。
シラン化合物としては、メトキシシラン,エトキシシラン,プロポキシシラン等のアルコキシシラン類、クロルシラン,ブロモシラン,ヨードシラン等のハロシラン類、シラザン類、ハイドロシラン類、アルキルシラン類、アリールシラン類、ビニルシラン類、アクリルシラン類、エポキシシラン類、シリル化合物類、シロキサン類、シリルウレア類、シリルアセトアミド類、及びこれらのシラン化合物類が有する異種の置換基を同時に有するシラン化合物類があげられる。これらのシラン化合物を用いることにより、流動性,転写性,帯電安定化が得られる。これらのシラン化合物は複数用いても良い。
具体例として、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは1種或いは2種以上の混合物として用いても良い。
本発明に好ましく用いられるシリコーンオイルとしてはアミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、異種官能基変性の如き反応性シリコーン;ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、脂肪酸変性、アルコキシ変性、フッ素変性の如き非反応性シリコーン;ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、ジフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーンの如きストレートシリコーンがあげられる。
これらのシリコーンオイルの中でも、置換基として、アルキル基、アリール基、水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されたアルキル基、水素を置換基として有するシリコーンオイルが好ましい。具体的には、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルである。
これらのシリコーンオイルは、25℃における粘度が5〜2,000mm2/sであることが好ましく、より好ましくは10〜1,000mm2/s、さらに好ましくは30〜100mm2/sである。5mm2/s未満では十分な疎水性が得られないことがあり、2,000mm2/sを超える場合には無機微粒子処理時に均一に処理しずらくなったり、凝集物ができやすく十分な流動性が得られないことがある。
これらのシリコーンオイルは1種あるいは2種以上の混合物あるいは併用や多重処理して用いられる。また、シラン化合物による処理と併用しても構わない。
上記無機微粒子のシラン化合物処理は、無機微粒子を撹拌等によりクラウド状としたものに気化したシラン化合物を反応させる乾式処理又は、無機微粒子を溶媒中に分散させ、シラン化合物を滴下反応させる湿式法等、一般に知られた方法で処理することができる。
無機微粒子のシラン化合物処理は、無機微粒子原体100質量部に対し、処理剤を5〜40質量部、好ましくは5〜35質量部、より好ましくは10〜30質量部添加して処理することが好ましい。
オイルによる処理量としては、無機微粒子100質量部に対し3〜35質量部である場合に、高温高湿での現像性に優れるために好ましい。
特に本発明では、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理後に、さらにシリコーンオイルで処理された疎水性シリカが好ましく用いられる。ヘキサメチルジシラザンによる処理は、処理の均一性に優れ、流動性の良いトナーが得られるが、ヘキサメチルジシラザンによる処理だけでは高温高湿環境での帯電が安定しにくい。逆にシリコーンオイルによる処理は、高温高湿環境での帯電は高く保てるが、均一な処理が難しく、均一に処理しようとすると処理に必要なシリコーンオイルの量が多くなり、流動性が悪化しやすくなる。ヘキサメチルジシラザンで処理後にシリコーンオイルで処理を行なうと、少ないオイルの量で均一な処理が可能になる為、高い流動性と高温高湿環境での帯電安定性の両立が可能になる。
本発明の疎水性シリカは、たとえば以下のようにして疎水化処理を行なうことができる。
シリカの原体を処理槽に投入して、処理槽内を攪拌翼等で攪拌しながら、ヘキサメチルジシラザンを所定量滴下或いは噴霧して充分に混合する。このとき、ヘキサメチルジシラザンをアルコールの如き溶媒で希釈して処理することも出来る。混合分散した処理剤を含むシリカ原体はパウダーリキッドを形成しており、このパウダーリキッドを窒素雰囲気中でヘキサメチルジシラザンの沸点以上の温度(好ましくは、150乃至250℃)に加熱し、0.5乃至5時間、撹拌しながら還流する。その後、必要に応じて余剰の処理剤等を除去することも可能である。
シリコーンオイルによる原体シリカ表面の疎水化処理方法には、公知の技術が用いられ、例えば、ヘキサメチルジシラザン処理と同様に、シリカ粒子の原体を処理槽に投入して、処理槽内を攪拌翼等で攪拌しながら、シリカ粒子とシリコーンオイルとを混合する。シリコーンオイルとの混合はヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合させてもよいし、原体シリカ粒子へシリコーンオイルを噴霧する方法によってもよい。或いは、適当な溶剤に、シリコーンオイルを溶解或いは分散せしめた後、ベースのシリカ粒子と混合し、その後、溶剤を除去して作製してもよい。
シラン化合物及びシリコーンオイルで処理する場合には、原体シリカ粒子をシラン化合物で処理後、シリコーンオイルを噴霧し、その後、200℃以上で加熱処理する方法が好適に用いられる。
本発明に係る疎水性シリカの疎水化処理方法としては、シリカ粒子の原体を所定量バッチ内に仕込み、高速で攪拌しながら処理をバッチ内で行なうバッチ式処理方法が好ましく、バッチ式処理方法によって得られた疎水性シリカ粒子は、均一に処理が施され、品質的にも安定したものが再現性良く得られる。
疎水性シリカ粒子の添加量は、その種類や機能等によっても異なるが、トナー粒子100質量部に対して0.1〜5質量部(好ましくは、0.1〜3質量部)であることが好ましい。
本発明の磁性トナーには、シリカ微粒子以外の外添剤を必要に応じて添加してもよい。このような他の外添剤としては、例えば帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子である。
より具体的には、例えばフッ素系樹脂、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンの如き滑剤、中でもポリフッ化ビニリデンが好ましい。或いは酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい。或いは例えば酸化チタン、酸化アルミニウム等の流動性付与剤、中でも特に疎水性のものが好ましい。ケーキング防止剤、或いは例えばカーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ等の導電性付与剤、また逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
本発明の磁性トナーは、静電荷像を現像する為に使用されるトナー粒子を生成する通常の方法を用いて製造することが可能である。本発明の磁性トナーの材料としては、前述した結着樹脂、及び磁性酸化鉄を少なくとも用い、さらに必要に応じて着色剤、ワックス、荷電制御剤等の他の材料が用いられる。
本発明に係るトナーを作製するには、上述したようなトナー構成材料をボールミルその他の混合機により十分混合した後、熱ロール,ニーダー,エクストルーダーの如き熱混練機を用いてよく混練し、冷却固化後粗粉砕を行った後に微粉砕、分級を行った後に表面改質装置を用いてトナー粒子の表面改質を行う方法が好ましい。あるいは、微粉砕工程の後に表面改質を行い、その後分級を行う方法も好ましい。さらに必要に応じ所望の添加剤をヘンシェルミキサーの如き混合機により十分混合し、本発明に係るトナーを製造することができる。
本発明の磁性トナーの製造には、公知の装置を用いることができ、例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられる。
また混練機としては、例えばKRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられる。
また粉砕機としては、例えばカウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング)が挙げられる。
また分級機としては、例えばクラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられる。
また粗粒等をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、例えばウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
以上本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下実施例にもとづいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、これによって本発明の実施の態様がなんら限定されるものではない。
本発明で用いられるTiキレート化合物を以下の表1に示す。
<結着樹脂製造例1>
・テレフタル酸: 18質量部
・イソフタル酸: 3質量部
・無水トリメリット酸: 7質量部
・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y=2.2):
70質量部
・ノボラック型フェノール樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物:
2質量部
これらに、触媒としてTiキレート化合物1を0.5質量部とTiキレート化合物2を0.5質量部添加し、230℃で縮合重合して、ポリエステル成分を有する結着樹脂1(Tg=59℃、ピーク分子量Mp=8600、THF不溶分=28質量%)を得た。該結着樹脂中のポリエステル成分は100質量%である。
・テレフタル酸: 18質量部
・イソフタル酸: 3質量部
・無水トリメリット酸: 7質量部
・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y=2.2):
70質量部
・ノボラック型フェノール樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物:
2質量部
これらに、触媒としてTiキレート化合物1を0.5質量部とTiキレート化合物2を0.5質量部添加し、230℃で縮合重合して、ポリエステル成分を有する結着樹脂1(Tg=59℃、ピーク分子量Mp=8600、THF不溶分=28質量%)を得た。該結着樹脂中のポリエステル成分は100質量%である。
<結着樹脂製造例2>
4つ口フラスコ内にキシレン300質量部を投入し、攪拌しながら容器内を充分に窒素で置換した後、昇温して還流させる。この還流下で、スチレン75質量部、2−エチルヘキシルアクリレート18質量部、アクリル酸7質量部及びジ−tert−ブチルパーオキサイド2質量部の混合液を4時間かけて滴下した後、2時間保持し重合を完了し、ビニル系共重合体ユニット成分を有する樹脂溶液を得た。その後、有機溶剤を留去し、得られた樹脂を冷却、固化後粉砕してビニル系共重合体ユニット成分を有する樹脂(Tg=58℃、ピーク分子量(Mp)=9200、THF不溶分=0質量%)を得た。
4つ口フラスコ内にキシレン300質量部を投入し、攪拌しながら容器内を充分に窒素で置換した後、昇温して還流させる。この還流下で、スチレン75質量部、2−エチルヘキシルアクリレート18質量部、アクリル酸7質量部及びジ−tert−ブチルパーオキサイド2質量部の混合液を4時間かけて滴下した後、2時間保持し重合を完了し、ビニル系共重合体ユニット成分を有する樹脂溶液を得た。その後、有機溶剤を留去し、得られた樹脂を冷却、固化後粉砕してビニル系共重合体ユニット成分を有する樹脂(Tg=58℃、ピーク分子量(Mp)=9200、THF不溶分=0質量%)を得た。
・上記ビニル系共重合体ユニット成分を有する樹脂: 10質量部
・テレフタル酸: 20質量部
・イソフタル酸: 5質量部
・無水トリメリット酸: 3質量部
・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y=2.2): 70質量部
・ノボラック型フェノール樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物:
2質量部
次に、上記材料に触媒としてTiキレート化合物2を1.0質量部添加し、230℃で縮合重合して、ポリエステル成分を有する結着樹脂2(Tg=58℃、ピーク分子量Mp=9100、THF不溶分=16質量%)を得た。該結着樹脂中のポリエステル成分は約87質量%である。
・テレフタル酸: 20質量部
・イソフタル酸: 5質量部
・無水トリメリット酸: 3質量部
・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y=2.2): 70質量部
・ノボラック型フェノール樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物:
2質量部
次に、上記材料に触媒としてTiキレート化合物2を1.0質量部添加し、230℃で縮合重合して、ポリエステル成分を有する結着樹脂2(Tg=58℃、ピーク分子量Mp=9100、THF不溶分=16質量%)を得た。該結着樹脂中のポリエステル成分は約87質量%である。
<結着樹脂製造例3>
・テレフタル酸: 20質量部
・ドデセニルコハク酸: 5質量部
・無水トリメリット酸: 8質量部
・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y=2.2):
50質量部
・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:エチレン基でx+y=2.2):
15質量部
・ノボラック型フェノール樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物:
2質量部
これらに、触媒としてTiキレート化合物2を1.0量部添加し、230℃で縮合重合して、ポリエステル成分を有する結着樹脂3(Tg=57℃、ピーク分子量(Mp)=7600、THF不溶分=36質量%)を得た。該結着樹脂中のポリエステル成分は100質量%である。
・テレフタル酸: 20質量部
・ドデセニルコハク酸: 5質量部
・無水トリメリット酸: 8質量部
・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y=2.2):
50質量部
・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:エチレン基でx+y=2.2):
15質量部
・ノボラック型フェノール樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物:
2質量部
これらに、触媒としてTiキレート化合物2を1.0量部添加し、230℃で縮合重合して、ポリエステル成分を有する結着樹脂3(Tg=57℃、ピーク分子量(Mp)=7600、THF不溶分=36質量%)を得た。該結着樹脂中のポリエステル成分は100質量%である。
<結着樹脂製造例4>
・テレフタル酸: 15質量部
・ドデセニルコハク酸: 5質量部
・無水トリメリット酸: 8質量部
・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y=2.2): 50質量部
・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:エチレン基でx+y=2.2):
20質量部
・ノボラック型フェノール樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物:
2質量部
これらに、触媒としてTiキレート化合物1を1.0質量部添加し、230℃で縮合重合して、ポリエステル成分を有する結着樹脂4(Tg=56℃、ピーク分子量Mp=8100、THF不溶分=11質量%)を得た。該結着樹脂中のポリエステル成分は100質量%である。
・テレフタル酸: 15質量部
・ドデセニルコハク酸: 5質量部
・無水トリメリット酸: 8質量部
・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y=2.2): 50質量部
・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:エチレン基でx+y=2.2):
20質量部
・ノボラック型フェノール樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物:
2質量部
これらに、触媒としてTiキレート化合物1を1.0質量部添加し、230℃で縮合重合して、ポリエステル成分を有する結着樹脂4(Tg=56℃、ピーク分子量Mp=8100、THF不溶分=11質量%)を得た。該結着樹脂中のポリエステル成分は100質量%である。
<結着樹脂製造例5>
結着樹脂製造例4において、Tiキレート化合物1の代わりに、テトラメチルチタネートを使用する以外は同様にして、ポリエステル成分を有する結着樹脂5を得た。該樹脂中のポリエステル成分は100質量%である。
結着樹脂製造例4において、Tiキレート化合物1の代わりに、テトラメチルチタネートを使用する以外は同様にして、ポリエステル成分を有する結着樹脂5を得た。該樹脂中のポリエステル成分は100質量%である。
<結着樹脂製造例6>
・テレフタル酸: 18質量部
・イソフタル酸: 3質量部
・無水トリメリット酸: 7質量部
・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y=2.2):
70質量部
・ノボラック型フェノール樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物:
2質量部
これらに、触媒としてTiキレート化合物9の2水和物を1質量部添加し、230℃で縮合重合して、ポリエステル成分を有する結着樹脂6(Tg=60℃、ピーク分子量Mp=8800、THF不溶分=31質量%)を得た。該結着樹脂中のポリエステル成分は100質量%である。
・テレフタル酸: 18質量部
・イソフタル酸: 3質量部
・無水トリメリット酸: 7質量部
・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y=2.2):
70質量部
・ノボラック型フェノール樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物:
2質量部
これらに、触媒としてTiキレート化合物9の2水和物を1質量部添加し、230℃で縮合重合して、ポリエステル成分を有する結着樹脂6(Tg=60℃、ピーク分子量Mp=8800、THF不溶分=31質量%)を得た。該結着樹脂中のポリエステル成分は100質量%である。
<磁性酸化鉄の製造例1>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対しSi元素の含有量が0.50%となるようにケイ酸ソーダを添加した後、苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを10に調整しながら空気を吹き込み、80乃至90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対しSi元素の含有量が0.50%となるようにケイ酸ソーダを添加した後、苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを10に調整しながら空気を吹き込み、80乃至90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
種晶の生成が確認されたら、このスラリー液にさらに硫酸第一鉄水溶液を適宜加え、スラリー液のpHを10に調整しながら空気を吹き込み酸化反応を進めた。その間に、未反応の水酸化第一鉄濃度を調べながら反応の進行率を調べつつ、水溶液のpHを酸化反応の初期はpHを9に、反応中期にはpHを8に、反応後期にはpHを6にというように段階的に調整することで磁性酸化鉄内でのSi元素の分布を制御し、酸化反応を完結させた。
次いで、該Si元素を含有する磁性酸化鉄粒子が生成しているアルカリ性懸濁液中に水可溶性アルミニウム塩を生成粒子に対してアルミ元素換算で0.20%になるように添加した後、pHを6〜8の範囲に調整して、磁性酸化鉄表面にアルミ水酸化物として析出させた。次いでロ過、水洗、乾燥、解砕することにより、磁性酸化鉄表面にアルミニウム元素を有する磁性酸化鉄を得た。生成した磁性酸化鉄粒子を常法により洗浄、ろ過乾燥した。
得られた磁性酸化鉄粒子の一次粒子は、凝集して凝集体を形成しているので、ミックスマーラーを使用して磁性酸化鉄粒子の凝集体に圧縮力及びせん断力を付与して、前記凝集体を解砕して磁性酸化鉄粒子を一次粒子にすると共に、磁性酸化鉄粒子の表面を平滑にし、表2に示すような特性を有する磁性酸化鉄1を得た。
<磁性酸化鉄粒子の製造例2〜3>
ケイ酸ソーダ、水可溶性アルミニウム塩の添加量、添加時期、及び水溶液のpH等を変化させて、表2に示す物性を有する磁性酸化鉄2〜4を得た。
ケイ酸ソーダ、水可溶性アルミニウム塩の添加量、添加時期、及び水溶液のpH等を変化させて、表2に示す物性を有する磁性酸化鉄2〜4を得た。
[トナー1の調製]
・結着樹脂1 100質量部
・磁性酸化鉄1 100質量部
・モノアゾ鉄化合物(1)(カウンターイオンがNH4+とNa+の混合物であり、NH4+とNa+の混合比NH4+/Na+=7/3) 2質量部
・サリチル酸Al化合物(1) 1質量部
・フィッシャートロプシュワックス(DSCピークトップ温度=104℃、
Mw/Mn=1.8) 4質量部
上記混合物をヘンシェルミキサーで前混合した後、130℃に加熱された2軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミル(ターボ工業社製;回転子および固定子の表面に炭化クロムを含有したクロム合金めっきでコーティング(めっき厚150μm、表面硬さHV1050))を用いて、粉砕機入り口エアー温度を−15℃、出口エアー温度を48℃、粉砕ローター及びライナーを冷却する冷媒の温度を−5℃に調整して機械式粉砕させて微粉砕し、得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に厳密に分級除去した。
・結着樹脂1 100質量部
・磁性酸化鉄1 100質量部
・モノアゾ鉄化合物(1)(カウンターイオンがNH4+とNa+の混合物であり、NH4+とNa+の混合比NH4+/Na+=7/3) 2質量部
・サリチル酸Al化合物(1) 1質量部
・フィッシャートロプシュワックス(DSCピークトップ温度=104℃、
Mw/Mn=1.8) 4質量部
上記混合物をヘンシェルミキサーで前混合した後、130℃に加熱された2軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミル(ターボ工業社製;回転子および固定子の表面に炭化クロムを含有したクロム合金めっきでコーティング(めっき厚150μm、表面硬さHV1050))を用いて、粉砕機入り口エアー温度を−15℃、出口エアー温度を48℃、粉砕ローター及びライナーを冷却する冷媒の温度を−5℃に調整して機械式粉砕させて微粉砕し、得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に厳密に分級除去した。
この分級品を、図1に示す表面改質装置で表面改質した。その際、本実施例においては、分散ローター上部に角型のディスクを8個設置し、ガイドリングと分散ローター上角型ディスクの間隔を30mm、分散ローターとライナーとの間隔を5mmとした。また分散ローターの回転周速を100m/secとし、ブロワー風量を15m3/minとした。また微粉砕品の投入量を20kgとし、サイクルタイムを60secとした。またジャケットに通す冷媒の温度を0℃、冷風温度T1を−20℃とした。また、分級ローターの回転数の制御をすることにより、重量平均粒径(D4)6.2μmの負帯電性トナー粒子を得た。
このトナー粒子100質量部と、BET200m2/gの乾式シリカにヘキサメチルジシラザンで処理後にジメチルシリコーンオイルで処理した疎水性シリカ粒子1.0質量部とを、ヘンシェルミキサーで混合して負帯電性トナー1を調製した。トナー1のFPIA2100で測定された物性値を表4に示す。
[トナー2〜6、8の調製]
表3に示したように、結着樹脂及び磁性酸化鉄を変更し、また機械式粉砕機及び表面改質装置の運転条件を微調整する以外はトナー1と同様にして、表3に示すような物性のトナー2〜6、及びトナー8を得た。
表3に示したように、結着樹脂及び磁性酸化鉄を変更し、また機械式粉砕機及び表面改質装置の運転条件を微調整する以外はトナー1と同様にして、表3に示すような物性のトナー2〜6、及びトナー8を得た。
[トナー7の調製]
表3に示す結着樹脂と磁性酸化鉄を使用し、サリチル酸Al化合物は添加せず、モノアゾ鉄化合物の代わりにモノアゾクロム化合物を1質量部添加し、機械式粉砕機を用いずにジェット気流式粉砕機を用い、且つ表面改質装置による表面改質を行わず、疎水性シリカとしてヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカを用いる以外はトナー1と同様にして表4に示すような物性のトナー7を得た。
表3に示す結着樹脂と磁性酸化鉄を使用し、サリチル酸Al化合物は添加せず、モノアゾ鉄化合物の代わりにモノアゾクロム化合物を1質量部添加し、機械式粉砕機を用いずにジェット気流式粉砕機を用い、且つ表面改質装置による表面改質を行わず、疎水性シリカとしてヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカを用いる以外はトナー1と同様にして表4に示すような物性のトナー7を得た。
[実施例1〜7、比較例1]
次に、調製されたトナーを用いて、以下に示すような方法によって評価を行った。評価結果を表4に示す。
次に、調製されたトナーを用いて、以下に示すような方法によって評価を行った。評価結果を表4に示す。
Hewlett−Packard社製レーザービームプリンターLaserJet4300を改造して55ppm(A4タテ、プロセススピード=約325mm/秒)にしたマシンを用いて以下の評価を行った。
(1)画像濃度
常温常湿環境下(23℃,60%RH)、低温低湿環境下(15℃,10%RH)、高温高湿環境下(32.5℃,80%RH)の各環境下で、2枚間欠、印字比率2%で複写機用普通紙(75g/m2)に20000枚の画出し試験を行った。但し、トナー8は25000枚の画出し試験を行なった。結果を表4に示す。
常温常湿環境下(23℃,60%RH)、低温低湿環境下(15℃,10%RH)、高温高湿環境下(32.5℃,80%RH)の各環境下で、2枚間欠、印字比率2%で複写機用普通紙(75g/m2)に20000枚の画出し試験を行った。但し、トナー8は25000枚の画出し試験を行なった。結果を表4に示す。
画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
(2)トナー消費量
常温常湿環境下(23℃,60%RH)で、2ドットラインのライン幅が190μmになるように現像条件を設定し、複写機用普通紙(75g/m2)に印字比率4%で連続通紙し、5000枚の画出し試験を行い、画出し試験前後の現像機の重量を測定して画像1枚あたりのトナー消費量を算出した。
(2)トナー消費量
常温常湿環境下(23℃,60%RH)で、2ドットラインのライン幅が190μmになるように現像条件を設定し、複写機用普通紙(75g/m2)に印字比率4%で連続通紙し、5000枚の画出し試験を行い、画出し試験前後の現像機の重量を測定して画像1枚あたりのトナー消費量を算出した。
31:分級ローター
32:微粉回収
33:原料供給口
34:ライナー
35:冷風導入口
36:分散ローター
37:製品排出口
38:排出弁
39:ガイドリング
40:角型ディスク
41:第一の空間
42:第二の空間
32:微粉回収
33:原料供給口
34:ライナー
35:冷風導入口
36:分散ローター
37:製品排出口
38:排出弁
39:ガイドリング
40:角型ディスク
41:第一の空間
42:第二の空間
Claims (6)
- 結着樹脂及び磁性酸化鉄を少なくとも含有する磁性トナー粒子を有する磁性トナーであり、
該磁性トナーの測定磁場795.8kA/mでの飽和磁化σsが5〜60Am2/kg、残留磁化σrが0.1〜10.0Am2/kgであり、
該結着樹脂は触媒としてTiキレート化合物を使用して重合されたポリエステル成分を有することを特徴とする磁性トナー。 - 該Tiキレート化合物は、配位子がジオール、ジカルボン酸、オキシカルボン酸のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の磁性トナー。
- 該Tiキレート化合物が下記一般式(I)乃至(VIII)或いはそれらの水和物のいずれかで表されることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性トナー。
- 該磁性酸化鉄は、Si元素を0.1〜2.0質量%含有する磁性酸化鉄であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性トナー。
- 該磁性トナーは、ヘキサメチルジシラザン及びシリコーンオイルにより処理された疎水性シリカを含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁性トナー。
- 該磁性トナーのフロー式粒子像測定装置で計測される円相当径3μm以上400μm以下のトナー粒子における平均円形度が0.930以上0.970未満であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の磁性トナー。
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