JP2001216394A - 債権保全方法、債権流動化方法およびシステム - Google Patents

債権保全方法、債権流動化方法およびシステム

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JP2001216394A
JP2001216394A JP2000026805A JP2000026805A JP2001216394A JP 2001216394 A JP2001216394 A JP 2001216394A JP 2000026805 A JP2000026805 A JP 2000026805A JP 2000026805 A JP2000026805 A JP 2000026805A JP 2001216394 A JP2001216394 A JP 2001216394A
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intermediary
receivables
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Hideo Ishikura
秀夫 石倉
Hirokuni Ishikura
啓邦 石倉
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JUJI UNIMEX CO Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】全ての企業間の取引に適用できる債権流動化方
法およびシステムを提供する。 【解決手段】債権者3が有する債務者2に対する期限付
き金銭債権である売掛債権を譲渡することなく流動化さ
せる債権流動化システム20。売掛債権に対応する集計
データに基づいて仲介業者23が金融機関24と共に売
掛債権に基づく金額を債権者32に支払って債権者32
に対する売掛債権とは別個の請求権を発生させる手段
を、図4に示す端末31〜36および通信ネットワーク
37を用いて構成している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、売掛債権や貸付債
権等の債権を流動化させる際の債権保全方法、債権流動
化方法およびシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】戦後の日本経済は、不動産担保を中心と
して金融機関から低利な資金を借り入れて発展を続けて
きた。しかしながら、バブル経済の崩壊により、銀行等
の金融機関は不良債権の処理という大きな課題を解決で
きぬまま、企業に対する融資に消極的になっており(い
わゆる「貸し渋り」)、企業は、金融機関からの借入だ
けではなく、資本市場からの資金調達によって自らの資
金パイプを強化していく必要が生じている。
【0003】また、自己資本比率規制や時価会計導入等
により、上述した不動産等の含み資産に依存していた企
業自身も信用リスクにさらされることになり、自らの資
産をオフバランス化して資金調達を行なって信用リスク
を回避することが要求されている。
【0004】このような背景に基づいて、企業は、自ら
が有する売掛債権や貸付債権等の債権を流動化させるこ
とにより、企業の財務体質の向上および資金繰りの改善
等を実現している。
【0005】図16は、特別目的会社(Special
Purpose Company;以下、単にSPC
と記載する)を利用して売掛債権を流動化(証券化)す
る方法の仕組み(スキーム)を示している。
【0006】すなわち、取引により発生した取引先70
に対する売掛債権{指名債権;例えば、毎月20日締め
の翌月末払いのように、所定期間(与信期間)の信用供
与に基づく金銭債権}を有する売主企業71は、銀行7
2の子会社であるSPC73との間で指名債権(売掛債
権)の代金回収事務委託契約を締結してその売掛債権を
銀行72の子会社であるSPC73に譲渡し(図中
)、その債権譲渡の確定日付による証書に基づく通知
・承諾を債務者(取引先)70に対して行なう(債務者
に対する対抗要件:民法467条;図中)。
【0007】SPC73は、譲渡された売掛債権を証券
化して投資家74に販売することにより低利資金調達を
実施し(図中)、投資家から資金(販売代金)の提供
を受ける(図中)。次いで、SPC73は、投資家か
ら提供された資金を売主企業71に指名債権譲渡の代金
として支払う(図中)。そして、売掛債権の支払い期
日に取引先70から代金が支払われると(図中)、売
主企業71は、支払われた代金を、SPC73との代金
回収事務委託契約に基づいてSPC73に渡す(図中
)。
【0008】この結果、売主企業71は、与信期間にお
いて売掛債権を流動化・証券化して流動資産を資金化す
ることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記S
PCを利用した売掛債権流動化(証券化)方法において
は、証券を発行する以上、投資家保護の観点、すなわち
投資家の信用リスクを考慮すると、売掛債権に関する取
引企業(取引先および売主企業)が共に超優良企業であ
ることが要求され、全ての企業間の取引に適用できる方
法ではなかった。
【0010】また、SPCを利用した売掛債権流動化方
法は、売掛債権をSPCに譲渡して当該売掛債権の流動
化を図る、いわゆる債権譲渡方式の流動化方法であるた
め、債務者(取引先)に対抗するには対抗要件(債務者
に対する債権譲渡の通知、あるいは債務者の債権譲渡の
承諾)が必要である。
【0011】しかしながら、債権譲渡の対抗要件取得手
続き(債権譲渡の通知および承諾に関する手続き)は費
用および時間がかかるため非常に面倒であった。
【0012】本発明は上述した事情に鑑みてなされたも
ので、超優良企業間の取引に限定されず、全ての企業間
の取引に適用できる売掛債権流動化方法およびシステム
を提供することにより、各企業の資金調達手段の多様
化、資金調達コスト低減、資産のオフ・バランス化によ
る財務体質の向上等を実現して経済発展に寄与すること
をその第1の目的とする。
【0013】また、本発明は上述した事情に鑑みてなさ
れたもので、債権譲渡の対抗要件取得手続き(債権譲渡
の通知および承諾に関する手続き)を行なうことなく売
掛債権を流動化することをその第2の目的とする。
【0014】さらに、本発明は上述した事情に鑑みてな
されたもので、売掛債権流動化方法およびシステムにお
いて、売掛債権を確実に保全することにより、流動化方
法およびシステムの信頼性を向上させることをその第3
の目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ための第1の発明によれば、債権者が有する債務者に対
する期限付き金銭債権を譲渡することなく流動化させる
債権流動化方法であって、前記期限付き金銭債権に対応
する集計データに基づいて、仲介業者が金融機関と共に
前記期限付き金銭債権に基づく金額を前記債権者に支払
って当該債権者に対する前記期限付き金銭債権とは別個
の請求権を発生させる。
【0016】第1の発明において、前記債権に基づく金
額支払ワークは、前記債務者と前記金融機関との間にお
いて前記仲介業者を介して前記立替払の委任契約を締結
し、前記債権者に前記金融機関に対する前記期限付き金
銭債権の立替払請求権を取得させ、前記債権者の前記立
替払請求権行使により前記金融機関が前記期限付き金銭
債権に対応する金額を前記債権者に支払うようになって
おり、前記期限付き金銭債権の支払期日に前記支払によ
り作成された請求権を前記金融機関が前記債務者に行使
する。
【0017】第1の発明において、前記期限付き金銭債
権は、前記債権者および債務者間の取引物売買により生
じた債権であり、前記期限付き金銭債権に基づく金額支
払ワークは、前記債権者から前記期限付き金銭債権の元
となる取引物を前記仲介業者が買取り、前記期限付き金
銭債権に対応する資金を前記金融機関から前記仲介業者
が調達し、調達した資金に基づいて前記取引物買取り代
金を前記仲介業者が前記債権者へ支払い、前記買取った
取引物を前記債権者へ売り戻して当該債権者に対する新
たな債権を取得するようになっており、前記新たな債権
に対する保証契約を保険会社が付保し、前記保証契約に
基づく保険金請求権に前記仲介業者が前記金融機関のた
めに質権を設定し、前記債権者に対する新たな債権に前
記金融機関のために前記仲介業者が質権を設定する。
【0018】上述した目的を達成するための第2の発明
によれば、債権者が有する債務者に対する期限付き金銭
債権を流動化させる債権流動化方法であって、前記期限
付き金銭債権を買戻特約付きで仲介業者に譲渡し、保険
会社が前記買戻特約に保証契約を付保し、前記譲渡され
た期限付き金銭債権を前記仲介業者が前記金融機関に信
託し、前記信託された金銭債権に対応する受益権を前記
金融機関が投資家に販売し、それによって得られた資金
を前記期限付き金銭債権に対応する資金として前記仲介
業者が金融機関経由で受領し、その受領資金に基づいて
前記仲介業者が前記売掛債権譲渡代金を前記債権者へ支
払う。
【0019】上述した目的を達成するための第3の発明
によれば、債権者が有する債務者に対する期限付き金銭
債権を譲渡することなく流動化させる債権流動化システ
ムであって、前記期限付き金銭債権に対応する集計デー
タに基づいて、仲介業者が金融機関と共に前記債権に基
づく金額を前記債権者に支払って当該債権者に対する前
記債権とは別個の請求権を発生させる手段を、端末およ
び通信ラインを用いて構成している。
【0020】第3の発明において、前記期限付き金銭債
権は、前記債権者および債務者間の取引物売買により生
じた債権であり、前記請求権発生手段は、前記債権者か
ら前記売掛債権の元となる取引物を前記仲介業者が買取
るための処理を実行する手段と、前記期限付き金銭債権
に対応する資金を前記金融機関から前記仲介業者が調達
するための処理を実行する手段と、調達した資金に基づ
いて前記取引物買取り代金を前記仲介業者が前記債権者
へ支払うための処理を実行する手段と、前記買取った取
引物を前記債権者に対して売り戻すための処理を実行す
ることにより当該債権者に対する新たな債権を取得する
手段と、前記新たな債権に対する保証契約を保険会社が
付保するための処理を実行する手段と、前記保証契約に
基づく保険金請求権に前記金融機関のために前記仲介業
者が質権を設定するための処理を実行する手段と、前記
債権者に対する新たな債権に前記金融機関のために前記
仲介業者が質権を設定するための処理を実行する手段と
を備えている。
【0021】上述した目的を達成するための第4の発明
によれば、債権者が有する債務者に対する期限付き金銭
債権に対応する金額を仲介業者が金融機関と共に前記債
権者へ支払うことにより当該債権者に対する前記期限付
き金銭債権とは別個の債権を取得し、取得した債権に対
する保証契約を保険会社が付保して当該債権を保全す
る。
【0022】第4の発明において、前記金融機関から前
記期限付き債権に対応する金額を前記仲介業者が調達
し、前記仲介業者が前記保証契約に基づく保険金請求権
に対して前記金融機関のために質権を設定し、前記仲介
業者が前記取得債権に対して前記金融機関のために質権
を設定する。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図面を
参照して説明する。
【0024】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第
1の実施形態に係る債権流動化方法およびシステムの概
略構成を示すブロック図である。
【0025】図1に示すように、第1実施形態に係る債
権流動化システム1は、薬局、医院等の取引先(買主企
業2、以下、単に買主ともいう)と取引物卸会社等の売
主企業3(以下、単に売主ともいう)との間で医薬品等
の物品(取引物)を継続して売買取引する際に発生する
期限付き金銭債権である売掛債権を流動化させるための
システムである。
【0026】本システム1は、上記買主2および売主3
に加えて、売主企業と基本加盟契約を締結している仲介
業者4、この仲介業者4との間で業務提携契約を締結
し、かつ買主2との間で売掛債権(売掛金)立替払の委
任契約(民法第643条)を締結している信販会社等の
金融機関の一つである金融会社5および買主2の口座を
有する郵便局や銀行等の金融機関6により構築されるシ
ステムであり、売主3は金融会社5に対して加盟申込書
を提出して黙示的承諾を受けることにより、金融会社5
は、買主2と共に売主3に対する併存的債務引受の関係
に立っている。
【0027】すなわち、債権流動化システム1は、買主
企業2に設置された買主(債務者)側端末10と、売主
企業3に設置された売主(債権者、オリジネータ)側端
末11と、仲介業者4に設置された仲介業者側端末12
と、金融会社5側に設置された金融会社側端末13と、
金融機関6に設置された金融機関側端末14とを備えて
おり、これら各端末10〜14は、一般公衆回線(電話
回線)、ISDN、インターネット等を単独あるいは複
数個組み合わせて構成された通信回線(通信ネットワー
ク)15を介して互いに情報通信可能に接続されてい
る。
【0028】各端末10〜14は、自端末および他端末
間の通信ネットワーク15を介した情報通信に関するイ
ンタフェース処理を行なう通信I/F10a〜14a
と、各端末10〜14のユーザが操作可能な操作入力部
を含み、各通信I/F10a〜14aを介して他端末か
ら送信されてきた情報を受信する処理および他端末に対
して通信I/F10a〜14aを介して情報を送信する
処理を行なうコンピュータ10b〜14bと、各コンピ
ュータ10b〜14bの処理に必要なプログラムやデー
タを予め記憶するとともに、各コンピュータ10b〜1
4bの処理内容・処理結果(例えば、売上集計表や請求
書等)を必要に応じて記憶するためのメモリ10c〜1
4cと、各コンピュータ10b〜14bの処理内容・処
理結果を必要に応じて印字出力するためのプリンタ10
d〜14dとを備えている。
【0029】各端末10〜14は、売掛債権流動化に必
要な各種の情報{各会社(各端末10〜14)のID、
パスワード等}を各メモリ10c〜14cにそれぞれ記
憶して管理しており、各コンピュータ10b〜14b
は、対応する各通信I/F10a〜14aと協調して動
作することにより、売掛債権流動化に関する処理(債権
流動化に係る情報の送受信処理を含む)を、各メモリ1
0c〜14cを参照して正確に認証しながら実行するよ
うになっている。
【0030】次に、図1に示す債権流動化システムの債
権流動化処理方法について、図2および図3を用いて説
明する。なお、債権流動化方法をより具体的に説明する
ため、買主2が薬局、医院等(以下の説明では、代表し
て医院とする)および売主3が医薬品卸会社(以下、単
に卸会社とする)である場合における医院2および卸会
社3間の例えば約1ヶ月単位(与信期間:約1ヶ月)で
の医薬品売買取引(例えば、毎月末日日締め)により発
生する売掛債権を流動化する場合について説明する。
【0031】すなわち、卸会社3は、毎月の所定日に締
められた医院2との間の1ヶ月単位の医薬品の売上代金
(売掛金、買主2に対する売掛債権)を、例えばコンピ
ュータ11bを介して売上集計表として集計し、集計し
た売上集計表(売上集計表データ)Tを、売掛代金立替
払請求として例えばコンピュータ11bを介して仲介業
者4に送る(図2、図3、ステップS1)。
【0032】仲介業者4は、通信ネットワーク7を介し
て送られた売上集計表Tを例えばコンピュータ12bを
介して受け取り、受け取った売上集計表Tに必要に応じ
た処理を加えた後、その売上集計表T1を例えばコンピ
ュータ12bを介して金融会社5へ送る(ステップS
2)。
【0033】この卸会社3の仲介業者4を介した金融会
社5への売上集計表T1送付行為は、基本加盟契約に基
づく売掛金立替払請求の行使となる。
【0034】金融会社5は、送られてきた売上集計表T
1を例えばコンピュータ12bを介して受け取り、受け
取った売上集計表T1、すなわち卸会社3の立替払請求
権行使に応じて、債務の履行として上記売上集計表上の
請求金P1を例えばコンピュータ13bを介した振り込
み処理により卸会社3に対して立替払する(ステップS
3)。
【0035】この金融会社5による立替払は、医院2か
ら見れば、委任契約の受任者たる金融会社5が委任事務
の処理として行なった行為であり、したがって、金融会
社5が立替払を行なえば、金融会社5は医院2に対して
委任事務処理費用の償還請求権(民法第650条1項)
を取得する。
【0036】次いで、金融会社5は、上述した立替払に
より生じた償還請求権に基づく請求書(請求書データ)
Aを例えばコンピュータ13bを介して医院2に送る
(ステップS4)。
【0037】医院2は、送られてきた請求書Aを例えば
コンピュータ10bを介して受け取り、受け取った請求
書Aに応じた金額P2を金融機関6における自らの口座
に例えばコンピュータ10bを介して入金する(ステッ
プS5)。
【0038】金融会社6は、売掛金支払日にあたる約定
日(例えば毎月の27日)に請求書Aに基づく請求権を
行使して、例えばコンピュータ13bおよび金融機関6
のコンピュータ14bを介してその金融機関6における
医院2の口座から請求書Aに基づく金額P3を引き落と
して(ステップS6)、立替払した金額を回収すること
ができる。
【0039】以上述べたように、本実施形態によれば、
金融会社5は、卸会社3から売掛債権の譲渡(民法第4
66条)を受けているのではない。
【0040】すなわち、売掛債権を卸会社3から金融会
社5に譲渡すれば、従来のSPCを用いた流動化スキー
ムで述べたように、確定日付による証書に基づく債権譲
渡の通知・承諾を医院2に対して行なわなければならず
(民法第467条)、費用および時間がかかるため手続
き上非常に面倒である。
【0041】しかしながら、本実施形態においては、金
融会社5は、債権譲渡ではなく、上記売掛債権に対応す
る金額を立替払することにより売掛債権を流動化させて
おり、この立替払は第三者弁済(民法第474条)の一
形態である。
【0042】すなわち、金融会社5が卸会社3に対して
立替払を行なうことにより、委任事務処理費用の償還請
求権(民法第650条第1項)を取得し、併せて、金融
会社5は、弁済者による代位として卸会社3が有してい
た担保権等が存在すればこれも取得する(民法500条
・501条)。
【0043】したがって、金融会社5は、取得した償還
請求権を行使して立替払に対応する金額を請求すること
ができる。
【0044】この結果、本実施形態では、売掛債権を譲
渡して証券化する手法を用いることなく、売掛債権を流
動化させることができるため、超優良企業間に限定され
ていた売掛債権流動化を、企業の規模を問わず全ての企
業間の取引に拡大することができる。この結果、本実施
形態の売掛債権流動化手法を用いた各企業の資金調達手
段を多様化し、資金調達コストを低減させ、さらに各企
業の資産のオフ・バランス化による財務体質の向上を図
ることができる。したがって、各企業の財務指標および
格付けをそれぞれ向上させ且つ各企業のキャッシュフロ
ー経営に資し、延いては経済発展に寄与することができ
る。
【0045】(第2の実施の形態)図3は、本発明の第
2の実施形態に係る債権流動化方法およびシステムの概
略構成を示すブロック図である。
【0046】図3に示すように、第2実施形態に係る債
権流動化システム20は、第1実施形態と同様に、取引
先(買主21)と売主22との間で医薬品等の取引物を
継続して売買取引する際に発生する期限付き金銭債権で
ある売掛債権を、仲介業者23、売主22および仲介業
者23それぞれの口座を有する銀行等の金融機関24、
保険会社25および口座振替会社26の処理により流動
化させるためのシステムである。
【0047】すなわち、債権流動化システム20は、医
療機関等の買主21側に設置された買主(債務者)側端
末31と、取引物卸会社等の売主22側に設置された売
主(オリジネータ)側端末32と、仲介業者23側に設
置された仲介業者側端末33と、金融機関24に設置さ
れた金融機関側端末34と、保険会社25に設置された
保険会社側端末35と、口座振替会社26に設置された
口座振替会社側端末36とを備えており、これら各端末
31〜36は、第1実施形態と同様に、一般公衆回線等
の通信ネットワーク37を介して互いに情報通信可能に
接続されている。
【0048】各端末31〜36は、第1実施形態と同様
に、端末間の情報通信に関するインタフェース処理用の
通信I/F31a〜36aと、自端末に対する情報受信
処理および他端末に対する情報送信処理用のコンピュー
タ31b〜36bと、各コンピュータ31b〜36bの
処理に関するデータ記憶用のメモリ31c〜36cと、
各コンピュータ31b〜36bの処理結果印字出力用の
プリンタ31d〜36dとを備えている。
【0049】第1実施形態と同様に、各端末31〜36
は、売掛債権流動化に必要な各種の情報{各会社21〜
26のID、パスワード等}を各メモリ31c〜36c
にそれぞれ記憶して管理しており、各コンピュータ31
b〜36bは、対応する各通信I/F31a〜36aと
協調して動作することにより、売掛債権流動化に関する
処理を、各メモリ31c〜36cを参照して正確に認証
しながら実行するようになっている。
【0050】さらに、売主側端末32および仲介業者側
端末33のメモリ32cおよび33cには、売主22お
よび仲介業者23それぞれの取引に応じて、その取引内
容を貸方および借方に分けて管理するための仕訳ファイ
ルF1およびF2が予め記憶されており、売主側および
仲介業者側のコンピュータ32bおよび33bは、仕訳
ファイルF1およびF2に基づいて売上管理を含む会計
処理を行なうようになっている。
【0051】次に、図4に示す債権流動化システムの債
権流動化処理方法について、図5〜図13を用いて詳細
に説明する。なお、本実施形態の債権流動化方法をより
具体的に説明するため、買主21が医療機関および売主
22が医薬品卸会社(以下、単に卸会社とする)とした
場合における医療機関21および卸会社22間の例えば
約数ヶ月単位での医薬品売買取引により発生する売掛債
権を流動化する場合について説明する。
【0052】すなわち、卸会社22は、数ヶ月単位で医
療機関21に対して医薬品Aを売ったことにより発生し
た売上代金(売掛金、医療機関21に対する売掛債権、
図5のT1および図6のステップS10参照)を、例え
ばコンピュータ32bを介して集計し、集計した売掛金
(例えば、1000万円とする)に対応する仕訳情報
(借方情報および貸方情報)を仕訳ファイルF1に入力
する。
【0053】すなわち、仕訳ファイルF1には、借方情
報として医薬品に対応する売掛金A(1000万円)が
格納され、貸方情報として、売った医薬品に相当する1
000万円分の売上Aが格納される(図7のT1に対応
する仕訳情報J1参照)。
【0054】次いで、卸会社22は、集計した売上に対
応する売上伝票(伝票データ)Vを例えばコンピュータ
32bを介して仲介業者23に送ることにより、売掛金
(1000万円)に対応する医薬品を仲介業者23へ売
り(図5のT2および図6のステップS11参照)、売
った医薬品(売上伝票V1)に対応する仕訳情報を仕訳
ファイルF1に入力する。
【0055】すなわち、仕訳ファイルF1には、借方情
報として、売った医薬品に対応する売掛金A’(100
0万円)が格納され、貸方情報として、1000万円分
の売上A’が格納される(図7のT2に対応する仕訳情
報J2参照)。
【0056】一方、仲介業者23は、送られた売上伝票
V1を例えばコンピュータ33bを介して受け取ること
により売掛金Bに対応する医薬品を購入し、受け取った
売上伝票V、すなわち売上伝票Vに対応する医薬品の購
入に対応する仕訳情報を仕訳ファイルF2に入力する
(図8のステップS20)。
【0057】すなわち、仕訳ファイルF2には、借方情
報として医薬品に対応する1000万円分の商品仕入が
格納され、貸方情報として、買掛金(1000万円)が
格納される(図9のT2に対応する仕訳情報J10参
照)。
【0058】次いで、仲介業者23は、受け取った売上
伝票V1に対応する資金(1000万円)の短期借入要
求を例えばコンピュータ33bを介して金融機関24に
送り、この借入要求に応じて金融機関24が資金を仲介
業者23の口座に例えばコンピュータ34bを介して振
り込むことにより資金調達を実施し(図5のT3参
照)、調達した資金(1000万円)に対応する仕訳情
報を仕訳ファイルF2に入力する(図8のステップS2
1)。
【0059】すなわち、仕訳ファイルF2には、借方情
報として口座に振り込まれた現預金1000万円が格納
され、貸方情報として、短期借入金(1000万円)が
格納される(図9のT3に対応する仕訳情報J11参
照)。
【0060】続いて、仲介業者23は、調達した資金1
000万円を用いて、卸会社22から送られた売上伝票
V、すなわち卸会社22から買い取った医薬品の代金
(売掛金A’に対応する1000万円)を例えばコンピ
ュータ33bを介して卸会社22に支払い(例えば、卸
会社22の口座に振込み;図5のT4および図8のステ
ップS22参照)、支払った金額(1000万円)に対
応する仕訳情報を仕訳ファイルF2に入力する。
【0061】すなわち、卸会社22へ売掛金A’に対応
する1000万円を支払ったことにより、仕訳ファイル
F2の借方情報として医薬品に対応する買掛金(100
0万円)が格納され、貸方情報として、仲介業者23の
手数料{例えば支払金額1000万円の1.0%(10
万円)}が控除された現預金額990万円および上記手
数料10万円がそれぞれ格納される(図9のT4に対応
する仕訳情報J12参照)。
【0062】この結果、卸会社22は、医療機関21へ
の売掛債権に対応する資金1000万円を、支払期日よ
りも前に調達することができる。さらに、卸会社22
は、売掛債権に対応する資金1000万円の調達によ
り、医療機関21に対する売掛債権をバランスシートか
ら落とすことができ、オフバランス効果を得ることがで
きる。
【0063】また、仲介業者23は、実質的には卸会社
22の医療機関21に対する売掛債権を弁済(立替払)
したことになり、これは法律上、仲介業者23による第
三者弁済を構成する(民法第474条)。したがって、
弁済である以上オフバランス効果は完全である。
【0064】仲介業者23からの1000万円支払に応
じて、卸会社22は、その支払に対応する仕訳情報を仕
訳ファイルF1に入力する。
【0065】すなわち、仕訳ファイルF1の借方情報と
して、支払額1000万円から手数料10万円が控除さ
れた現預金額990万円および手数料10万円がそれぞ
れ格納され、貸方情報として、売掛金B(1000万
円)が格納される(図7のT4に対応する仕訳情報J3
参照)。
【0066】そして、仲介業者23は、ステップS22
の代金支払処理と同時に、ステップS20の処理により
卸会社22から買い取った医薬品の売上伝票V2を例え
ばコンピュータ33bを介して卸会社22に送ることに
より医薬品を卸会社22へ売り戻し(図5のT5参
照)、売り戻した医薬品に基づく売掛債権を取得する。
次いで、仲介業者23は、売戻処理に対応する仕訳情報
を仕訳ファイルF2に入力する(図8のステップS2
3)。
【0067】すなわち、卸会社22へ1000万円分の
医薬品を売ったことにより、仕訳ファイルF2の借方情
報として、売り戻した医薬品に対応する売掛金(100
0万円)が格納され、貸方情報として、売上(1000
万円)が格納される(図9のT5に対応する仕訳情報J
13参照)。
【0068】卸会社22は、送られた売上伝票V2を例
えばコンピュータ32bを介して受け取ることにより売
り戻された医薬品を買取り、受け取った売上伝票V2、
すなわち医薬品買取に応じた仕訳情報を仕訳ファイルF
1に入力する(図6のステップS12)。
【0069】すなわち、仕訳ファイルF1の借方情報と
して、購入した1000万円分の医薬品に対応する仕入
(1000万円)が格納され、貸方情報として、買掛金
(1000万円)が格納される(図7のT5に対応する
仕訳情報J4参照)。そして、借方情報としての仕入と
貸方情報としての売上A’とが相殺仕訳される(図7の
仕訳情報J5参照)。
【0070】一方、保険会社25は、例えばコンピュー
タ35bおよびプリンタ35d等を介して作成された契
約書を当該保険会社25、仲介業者22および卸会社2
3等との間で送受することにより、保証保険契約、例え
ば、売掛債権の履行がなされずに卸会社23が倒産ある
いはそれに準じる事態(銀行取引停止等)が発生した場
合に保険金が仲介業者23へ支払われることを契約内容
とする保険契約を付保し(図5のT6参照)、仲介業者
23は、例えばコンピュータ33bおよびプリンタ33
d等を介して作成された契約書を、例えば自仲介業者2
2、卸会社23および金融期間24間で送受することに
より、上記保証保険契約に基づく保険金請求権に対して
金融機関24のために質権を設定する(図5のT7参
照)。
【0071】そして、仲介業者23は、例えばコンピュ
ータ33bおよびプリンタ33d等を介して作成された
契約書を、例えば自仲介業者22、卸会社23および金
融機関24間において送受することにより、卸会社22
への売掛債権に対して金融機関24のために質権を設定
する図5のT8参照)。
【0072】一方、医療機関21は、卸会社22との間
の医薬品売買取引契約に定められた支払期日(口座振替
日)において、例えばコンピュータ31bを介して卸会
社22の口座に売掛金(1000万円)を振り込む(図
5のT9参照)。
【0073】卸会社22は、上記取引T9に対応する仕
訳情報を仕訳ファイルF1に入力する(図6、ステップ
S13)。
【0074】すなわち、仕訳ファイルF1には、借方情
報として、買掛金(1000万円)が格納され、貸方情
報として、売掛金(1000万円)が格納される(仕訳
情報J6参照)。
【0075】このとき、仲介業者23は、医療機関21
から卸会社22に支払われた売掛金代金につき、これを
口座振替会社26による口座引き落としを介して回収す
る場合、その引落済金員引渡し請求権を予め金融機関2
4に債権譲渡しておくことにより、口座振替会社26
は、上記口座振替日において、例えばコンピュータ36
bを介して卸会社22の口座から売掛代金を自動的に引
き落として金融機関24に直接入金する。この結果、金
融機関24は、短期融資した金額100万円を回収する
ことができる。また、口座振替会社26を介さずに卸会
社22の口座からの振込みによる場合は、振込先を仲介
業者23ではなく、金融機関24に指定することによ
り、同様の結果を導くことができる。
【0076】なお、この回収方法は、医療機関21の預
金口座からの引落をもってすることも可能である(口座
振替型)、その場合においても、仲介業者23は、口座
振替会社26に対して有する引落済金員引渡請求権を予
め金融機関24に債権譲渡しておくことにより、口座振
替会社26は、直接金融機関24の口座に入金すること
になる。このとき、仕訳ファイルF2には、仕訳情報J
14およびJ15がlそれぞれ格納される。
【0077】以上述べたように、本実施形態によれば、
卸会社22は、医療機関21に対する売掛債権を仲介業
者23に譲渡することなく、その売掛債権に対応する資
金を金融機関24から仲介業者23を介して調達するこ
とにより売掛債権を流動化させることができるため、第
1実施形態と同様に、売掛債権流動化を全ての企業間の
取引に拡大することができる。この結果、本実施形態の
売掛債権流動化手法を用いた各企業の資金調達手段の多
様化、資金調達コストの低減および各企業の資産のオフ
・バランス化による財務体質の向上に寄与することがで
き、各企業の財務指標および格付けの向上等に寄与する
ことができる。
【0078】さらに、本実施形態においては、医療機関
21に対する売掛債権を流動化させて卸会社22に対す
る別個の売掛債権を作成することにより、金融機関24
から仲介業者23を介して卸会社22に資金を調達して
いるため、卸会社22に対する売掛債権を保全すること
がこの売掛債権流動化手法では重要である。
【0079】この点、本実施形態では、卸会社22に対
する売掛債権の保全を確実に行なうことができる。
【0080】例えば、売掛債権保全危機に関する第1の
ケースとして、医療機関21の何らかの原因により医療
機関21が支払に応じない場合(例えば、医療機関21
の口座から自動引き落としができない場合)には(図1
0、ステップS30→YES;図中Y)、金融機関24
は、卸会社22に代位弁済を請求して卸会社22が代位
弁済を任意に行なうか否か判断し(ステップS31)、
この判断の結果、卸会社22が任意に自己の口座預金か
ら医療機関支払不能金額を引き出して金融機関24へ代
位弁済した場合には(ステップS31→YES)、金融
機関24は、弁済された医療機関支払不能金額(口座振
替不能金額;例えば1000万円全額)を受け取ること
により、融資金額を回収する(ステップS32)。
【0081】一方、卸会社22が任意の代位弁済を拒否
した場合には(ステップS31→NO)、金融機関24
は、卸会社22に対する仲介業者23の売掛債権に設定
された質権を実行することにより融資金額を回収する
(ステップS33)。なお、このステップS32あるい
はステップS33の処理により、仕訳ファイルF1に
は、上記医療機関支払不能金額である1000万円支払
に対応する借方情報および貸方情報(借方情報→支払金
額である売掛金A(1000万円)、貸方情報→現預金
額1000万円が格納される(図7の仕訳情報J7参
照)。
【0082】この結果、医療機関24の口座から自動引
き落としができない場合であっても、卸会社22に対す
る売掛債権に設定された質権を実行することにより、卸
会社22から弁済を受けることができるため、金融機関
24は融資した金額を確実に回収することができる。
【0083】また、売掛債権保全危機に関する第2のケ
ースとして、医療機関21の何らかの原因により医療機
関21の口座振替ができず、かつ卸会社22も倒産や銀
行取引停止等により代位弁済不能である場合には(図1
1、ステップS40→NO)、卸会社22の代位弁済が
履行不能となるため、保険会社25の保証契約が適用さ
れて保険会社25から100%の保険金が降り、仲介業
者23の保険金請求権に質権が設定されている結果、保
険金が保険会社25から金融機関24へ直接支払われる
(ステップS41)。
【0084】したがって、金融機関24は、医療機関2
1からの自動引き落としおよび卸会社22からの代位弁
済の何れも履行不能である場合でも、卸会社に対する保
険金請求権に質権が設定されている結果、金融機関24
は融資した金額を保険金として確実に回収することがで
きる。
【0085】さらに、売掛債権保全危機に関する第3の
ケースとして、医療機関21の口座振替ができず、かつ
卸会社22がその卸会社22側の何らかの原因で代位弁
済を遅らせている場合(代位弁済履行遅滞)や、医療機
関21が誤って代金を直接卸会社22に対して支払う
か、あるいは卸会社22が誤って仲介業者23に対して
代位弁済を行なった場合(過誤による支払)(図12、
ステップS50→YES)、第1のケースと同様に、金
融機関24は、卸会社22に対する仲介業者23の売掛
債権に設定された質権を直接実行することにより融資金
額を回収する(ステップS51)。
【0086】すなわち、第1および第3のケース(質権
設定)において、第三債務者の異議無き承諾について
は、民法第468条が準用されることは判例・学説上争
いがなく、卸会社22は、質権者たる金融機関24に対
する関係で一切の抗弁権を失うため、卸会社22の代位
弁済履行遅滞に関する何れの原因や医療機関の過誤によ
る支払も全く抗弁とはならず、卸会社22は金融機関2
4に対する弁済を免れることができない(支払を拒んで
も、卸会社22の財産が差し押さえられ、強制執行され
る)。
【0087】また、入質された債権については民法第4
81条が類推されるため(判例・学説上争いなし)、入
質後、卸会社22は「支払の差止めを受けた第三債務
者」の立場に立ち、質権者たる金融機関24以外に支払
はできないし、仮に支払っても金融機関24に対抗する
ことはできない。したがって、卸会社22の仲介業者2
3に対する支払をもって金融機関24に対抗することは
できず、卸会社22は金融機関24に対する弁済を免れ
ることはできない。
【0088】以上述べたように、本実施形態によれば、
上述した第1〜第3のケースが生じても、金融機関24
は確実に融資金額を回収することができるため、債権流
動化方法の信頼性を高く維持し、その実用性を大きく向
上させることができる。
【0089】さらに、本実施形態において、医療機関2
1に対する売掛債権を、譲渡することなく流動化させる
ことができるため、債務者である医療機関21に対する
債権譲渡に関する対抗要件の具備は全く問題にはなら
ず、したがって、医療機関21に対するサイレント性を
完全に確保することができる。なお、このようなサイレ
ント方式ではなく、医療機関21に前もって売掛債権を
流動化させることを通知しておき、医療機関21側から
口座振替会社26を介して金融機関24に対する入金を
行なうことも当然可能である。
【0090】なお、本実施形態では、卸会社22は、図
7に示す仕訳情報J1〜J7を仕訳ファイルF1に入力
することにより仕訳処理を行なったが、本発明はこれに
限定されるものではない。
【0091】すなわち、卸会社22は、医療機関21に
対する売掛債権に対応する医薬品を仲介業者23に対し
て売り、仲介業者23からその代金の支払を受け、再度
同内容の医薬品を買い戻しているが、この一連の取引
は、実質的には、卸会社22が医療機関21に対する売
掛債権(売掛金)を仲介業者23から立替払されている
ことと同等であるため、図13に示すように、図7にお
ける仕訳情報J1およびJ3のみを仕訳ファイルF1に
入力してもよい。なお、卸会社22が代位弁済する場合
においては、その仕訳情報J7を仕訳ファイルF1に格
納する。
【0092】すなわち、本変形例によれば、卸会社22
側での仕訳に基づく会計処理を単純化して会計処理時間
および処理速度を短縮させることができ、卸会社22の
会計業務効率化に寄与することができる。
【0093】なお、上記第3のケースにおいて、さらに
売掛債権の保全性を高めるために、卸会社22は、仲介
業者23から売掛債権に対応する資金が支払われると
(図8、ステップS23参照)、その支払金と同一額面
の手形、小切手類(以下、単に小切手と記載する)およ
び遅延分の利息に対応する額面の小切手を仲介業者23
に対して発行し(図14、ステップS55)、仲介業者
23は発行された2枚の小切手を金融機関24に委託す
る(ステップS56)。
【0094】このように構成すれば、上記ケース3が発
生した際に(図12、ステップS50参照)、金融機関
24は、即座に2枚の小切手を卸会社22に対して取り
立てて不渡りにさせることにより保険事故(倒産、ある
いはそれに準ずる事故)を発生させ、金融機関24は、
保険会社25からの保険金により融資資金を確実に回収
することができる。
【0095】すなわち、本変形例によれば、金融機関2
4は、差し押さえに基づく強制執行手続きを行なうこと
なく、迅速かつ確実に融資資金を回収することができる
ため、金融機関24の業務効率の向上に寄与できる。
【0096】(第3の実施の形態)図14は、本発明の
第3の実施形態に係る債権流動化方法およびシステムの
概略構成を示すブロック図である。
【0097】図14に示すように、第3実施形態に係る
債権流動化システム40は、第1および第2実施形態と
同様に、取引先(買主41)と売主42との間で医薬品
等の取引物を継続して売買取引する際に発生する売掛債
権を、仲介業者43、買主41および仲介業者43それ
ぞれの口座を有する銀行等の金融機関44、投資家45
および保険会社46の処理により流動化させるためのシ
ステムである。
【0098】すなわち、債権流動化システム40は、医
療機関等の買主41側に設置された買主(債務者)側端
末51と、取引物卸会社等の売主42側に設置された売
主(オリジネータ)側端末52と、仲介業者43側に設
置された仲介業者側端末53と、金融機関44に設置さ
れた金融機関側端末54と、投資家45の例えば自宅や
証券会社等に設置された投資家側端末55と、保険会社
46に設置された保険会社側端末56とを備えており、
これら各端末51〜56は、第1および第2実施形態と
同様に、一般公衆回線(電話回線)、ISDN、インタ
ーネット等を単独あるいは複数個組み合わせて構成され
た通信回線(通信ネットワーク)57を介して互いに情
報通信可能に接続されている。
【0099】各端末51〜56は、第1および第2実施
形態と同様に、通信I/F51a〜36a、コンピュー
タ51b〜56b、メモリ51c〜56cおよびプリン
タ51d〜56dをそれぞれ備えている。そして、各端
末51〜56は、売掛債権流動化に必要な各種の情報
{各会社41〜46のID、パスワード等}を各メモリ
51c〜56cにそれぞれ記憶して管理しており、各コ
ンピュータ51b〜56bは、対応する各通信I/F5
1a〜56aと協調して動作することにより、売掛債権
流動化に関する処理を、各メモリ51c〜56cを参照
して正確に認証しながら実行するようになっている。
【0100】次に、図14に示す債権流動化システムの
債権流動化処理方法について、図15を用いて説明す
る。なお、第2実施形態と同様に、買主41を医療機
関、売主42を卸会社とした場合における医療機関41
および卸会社42間の例えば約数ヶ月単位での医薬品売
買取引により発生する売掛債権を流動化する場合につい
て説明する。
【0101】すなわち、卸会社42は、数ヶ月単位で医
療機関41に対して取引物を売ったことにより発生した
売上代金(売掛金、医療機関41に対する売掛債権)
を、例えばコンピュータ52bを介して集計し(図15
のT20参照)、集計した売掛債権(例えば、1000
万円とする)を買戻特約付きで仲介業者43に譲渡する
(図15のT21参照)。
【0102】この買戻し特約の内容としては、卸会社4
2が仲介業者43に譲渡した債権について、債務者であ
る医療機関41が約定に従った弁済をしない場合に、卸
会社42は、仲介業者43に対して譲渡した売掛債権を
買い戻さなければならないことを契約条項として含むも
のである。
【0103】このとき、保険会社46は、仲介業者42
および卸会社43間の買戻し特約に対して保証契約(履
行保証保険またはボンド)、すなわち、買戻しが履行さ
れない場合に保険金が仲介業者43へ支払われる内容の
保証を付保する(図15のT22参照)。
【0104】一方、仲介業者43は、譲渡された売掛債
権を金融機関44に信託し(図15のT23参照)、金
融機関44は、信託された売掛債権信託受益権を投資家
45に販売し(図15のT24参照)、その代金が投資
家46から金融機関44に支払われる。金融機関44
は、支払われた代金を資金として仲介業者43の口座に
例えばコンピュータ54bを介して振り込むことによ
り、仲介業者43は資金調達を実施する(図15のT2
5参照)。
【0105】続いて、仲介業者43は、調達した資金1
000万円を用いて、譲渡された売掛債権の代金を例え
ばコンピュータ53bを介して卸会社42に支払う(例
えば、卸会社42の口座に振込む;図15のT26参
照)。
【0106】この結果、卸会社42は、医療機関41へ
の売掛債権に対応する資金1000万円を、支払期日よ
りも前に調達することができ、さらに、売掛債権に対応
する資金1000万円の調達により、医療機関41に対
する売掛債権を消滅させる(バランスシートから落と
す)ことができ、オフバランス効果を得ることができる
(図15、T27参照)。
【0107】以上述べたように、本実施形態によれば、
第1および第2実施形態と同様に、売掛債権流動化を全
ての企業間の取引に拡大することができる。この結果、
各企業の資金調達手段の多様化、資金調達コストの低減
および各企業の資産のオフ・バランス化による財務体質
の向上に寄与することができ、各企業の財務指標および
格付けの向上等に寄与することができる。
【0108】さらに、本実施形態によれば、卸会社42
から仲介業者43へ売掛債権を譲渡する債権譲渡方式の
流動化方法を用いているが、仲介業者43への譲渡の際
に買戻特約を付け、この買戻特約に保証契約を付保して
いるため、買主41に対する通知・承諾なしに債権譲
渡、すなわちサイレント方式で売掛債権流動化を行なっ
た場合においても、流動化した売掛債権を確実に保全す
ることができる。この結果、従来の債権譲渡方式の流動
化方法と比べて、債権譲渡の対抗要件を取得する手続き
に要する費用・時間が不要になり、売掛債権流動化の実
用性を高めることができる。
【0109】なお、本実施形態においても、買主41に
対する通知・承諾を行なって債権譲渡を行なうことも可
能である。
【0110】また、本実施形態においては、各企業(買
主、売主、仲介業者、金融機関等)や投資家の間の取引
の少なくとも一部を、各企業や投資家に設置された各端
末の処理を用いて構成したが、その応用展開例として、
電話、FAX等の通信機器を用いた処理や、書類等の郵
送処理等を用いることも可能である。
【0111】ところで、上述した各実施形態において
は、買主を医院や医療機関等の医療関係企業、売主を医
薬品卸等の医薬品会社とし、これら医療関係企業および
医薬品会社間の医薬品取引において発生した期限付き金
銭債権である売掛債権を流動化させる場合について、本
発明の債権保全方法、債権流動化方法およびシステムを
適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
他の様々な業種の企業間での取引により生じた売掛債権
を流動化させる際に適用可能である。
【0112】また、上述した各実施形態においては、売
主および買主間の取引物売買により生じた売掛債権を流
動化させる場合について本発明を適用したが、本発明
は、売掛債権以外の期限付き金銭債権に対しても適用可
能である。
【0113】例えば、貸付債権、工事等の未収代金債
権、不動産に基づく各種債権(不動産資産自体から生じ
た債権、敷金返還請求権、保証金返還請求権等)等の他
の期限付き金銭債権を流動化させる際にも適用可能であ
る。
【0114】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の債権保全方
法、債権流動化方法およびシステムによれば、期限付き
金銭債権を譲渡して証券化する手法を用いることなく、
流動化させることができるため、企業の規模を問わず全
ての企業間の取引に債権流動化を適用することができ
る。したがって、各企業の資金調達手段を多様化し、資
金調達コストを低減させ、さらに各企業の資産のオフ・
バランス化による財務体質の向上を図ることができる。
この結果、各企業の財務指標および格付けをそれぞれ向
上させ且つ各企業のキャッシュフロー経営に資し、延い
ては経済発展に寄与することができる。
【0115】また、本発明によれば、債権者および債務
者における何らかの原因により債務者からの弁済あるい
は債権者からの代位弁済が不能になる等の自体が生じて
も、仲介業者が債権者に対して有する債権に保証契約を
付保し、この保証契約に基づく保険金請求権あるいは債
権自体に金融機関のために質権を設定することができる
ため、仲介業者が債権者に対して有する債権を確実に保
全し、金融機関は仲介業者に融資した資金を確実に回収
することができる。したがって、債権流動化方法および
システムの信頼性を高く維持し、その実用性を大きく向
上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る債権流動化シ
ステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】図1における債権流動化システム全体の債権流
動化ワークの一例を説明するためのワークフローチャー
ト。
【図3】図1における債権流動化システム全体の債権流
動化処理の一例を示す概略フローチャート。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る債権流動化シ
ステムの概略構成を示すブロック図。
【図5】図4における債権流動化システム全体の債権流
動化ワークの一例を説明するためのワークフローチャー
ト。
【図6】図4における債権流動化システムの卸会社側の
処理の一例を説明するための概略フローチャート。
【図7】卸会社側の仕訳を示す図。
【図8】図4における債権流動化システムの仲介業者側
の処理の一例を説明するための概略フローチャート。
【図9】仲介業者側の仕訳を示す図。
【図10】債権保全危機に関する第1のケースにおける
債権保全処理を説明するための概略フローチャート。
【図11】債権保全危機に関する第2のケースにおける
債権保全処理を説明するための概略フローチャート。
【図12】債権保全危機に関する第3のケースにおける
債権保全処理を説明するための概略フローチャート。
【図13】卸会社側の仕訳の他の例を示す図。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る債権流動化
システムの概略構成を示すブロック図。
【図15】図14における債権流動化システムの全体の
債権流動化ワークの一例を説明するためのワークフロー
チャート。
【図16】従来のSPCを利用した売掛債権証券化スキ
ームの一例を示す図。
【符号の説明】
1、20、40 債権流動化システム 2、21、41 買主(債務者) 3、22、42 売主(債権者) 4、23、43 仲介業者 5 金融会社 6、24、44 金融機関 10、31、51 買主側端末 11、32、52 売主側端末 12、33、53 仲介業者側端末 13 金融会社側端末 14、34、54 金融機関側端末 15、37、57 通信ネットワーク 10a〜14a、31a〜36a、51a〜56a 通
信I/F 10b〜14b、31b〜36b、51b〜56b コ
ンピュータ 10c〜14c、31c〜36c、51c〜56c メ
モリ 10d〜14d、31d〜36d、51d〜56d プ
リンタ 25、56 保険会社 26 口座振替会社 35、56 保険会社側端末 36 口座振替会社側端末 45 投資家 55 投資家側端末
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5B049 AA00 BB41 BB46 CC00 CC36 EE02 EE23 FF07 GG02 GG04 5B055 CB09 EE02 EE05 EE12 EE21 HA01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 債権者が有する債務者に対する期限付き
    金銭債権を譲渡することなく流動化させる債権流動化方
    法であって、 前記期限付き金銭債権に対応する集計データに基づい
    て、仲介業者が金融機関と共に前記期限付き金銭債権に
    基づく金額を前記債権者に支払って当該債権者に対する
    前記期限付き金銭債権とは別個の請求権を発生させるこ
    とを特徴とする債権流動化方法。
  2. 【請求項2】 前記期限付き金銭債権に基づく金額支払
    ワークは、前記債務者と前記金融機関との間において前
    記仲介業者を介して前記立替払の委任契約を締結し、前
    記債権者に前記金融機関に対する前記期限付き金銭債権
    の立替払請求権を取得させ、前記債権者の前記立替払請
    求権行使により前記金融機関が前記期限付き金銭債権に
    対応する金額を前記債権者に支払うようになっており、 前記期限付き金銭債権の支払期日に前記支払により作成
    された請求権を前記金融機関が前記債務者に行使するこ
    とを特徴とする請求項1記載の債権流動化方法。
  3. 【請求項3】 前記期限付き金銭債権は、前記債権者お
    よび債務者間の取引物売買により生じた債権であり、 前記期限付き金銭債権に基づく金額支払ワークは、前記
    債権者から前記期限付き金銭債権の元となる取引物を前
    記仲介業者が買取り、前記期限付き金銭債権に対応する
    資金を前記金融機関から前記仲介業者が調達し、調達し
    た資金に基づいて前記取引物買取り代金を前記仲介業者
    が前記債権者へ支払い、前記買取った取引物を前記債権
    者へ売り戻して当該債権者に対する新たな債権を取得す
    るようになっており、 前記新たな債権に対する保証契約を保険会社が付保し、
    前記保証契約に基づく保険金請求権に前記仲介業者が前
    記金融機関のために質権を設定し、前記債権者に対する
    新たな債権に前記金融機関のために前記仲介業者が質権
    を設定することを特徴とする請求項1記載の債権流動化
    方法。
  4. 【請求項4】 債権者が有する債務者に対する期限付き
    金銭債権を流動化させる債権流動化方法であって、 前記期限付き金銭債権を買戻特約付きで仲介業者に譲渡
    し、保険会社が前記買戻特約に保証契約を付保し、前記
    譲渡された債権を前記仲介業者が前記金融機関に信託
    し、前記信託された債権に対応する受益権を前記金融機
    関が投資家に販売し、それによって得られた資金を前記
    期限付き金銭債権に対応する資金として前記仲介業者が
    金融機関経由で受領し、その受領資金に基づいて前記仲
    介業者が前記売掛債権譲渡代金を前記債権者へ支払うこ
    とを特徴とする債権流動化方法。
  5. 【請求項5】 債権者が有する債務者に対する期限付き
    金銭債権を譲渡することなく流動化させる債権流動化シ
    ステムであって、 前記期限付き金銭債権に対応する集計データに基づいて
    仲介業者が金融機関と共に前記債権に基づく金額を前記
    債権者に支払って当該債権者に対する前記債権とは別個
    の請求権を発生させる手段を、端末および通信ラインを
    用いて構成したことを特徴とする債権流動化システム。
  6. 【請求項6】 前記期限付き金銭債権は、前記債権者お
    よび債務者間の取引物売買により生じた債権であり、 前記請求権発生手段は、前記債権者から前記売掛債権の
    元となる取引物を前記仲介業者が買取るための処理を実
    行する手段と、前記期限付き金銭債権に対応する資金を
    前記金融機関から前記仲介業者が調達するための処理を
    実行する手段と、調達した資金に基づいて前記取引物買
    取り代金を前記仲介業者が前記債権者へ支払うための処
    理を実行する手段と、前記買取った取引物を前記債権者
    に対して売り戻すための処理を実行することにより当該
    債権者に対する新たな債権を取得する手段と、前記新た
    な債権に対する保証契約を保険会社が付保するための処
    理を実行する手段と、前記保証契約に基づく保険金請求
    権に前記金融機関のために前記仲介業者が質権を設定す
    るための処理を実行する手段と、前記債権者に対する新
    たな債権に前記金融機関のために前記仲介業者が質権を
    設定するための処理を実行する手段とを備えたことを特
    徴とする請求項5記載の債権流動化システム。
  7. 【請求項7】 債権者が有する債務者に対する期限付き
    金銭債権に対応する金額を仲介業者が金融機関と共に前
    記債権者へ支払うことにより当該債権者に対する前記期
    限付き金銭債権とは別個の債権を取得し、取得した債権
    に対する保証契約を保険会社が付保して当該債権を保全
    することを特徴とする債権保全方法。
  8. 【請求項8】 前記金融機関から前記期限付き債権に対
    応する金額を前記仲介業者が調達し、前記仲介業者が前
    記保証契約に基づく保険金請求権に対して前記金融機関
    のために質権を設定し、前記仲介業者が前記取得債権に
    対して前記金融機関のために質権を設定することを特徴
    とする請求項7記載の債権保全方法。
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