USBとは、
- USB(Universal Serial Bus) - コンピュータと周辺機器をつなぐためのバス規格。本項で記述する。
- USB(生放送主) - ユーザー生放送を配信している生放送主。
- USB(特殊能力) - 中野TRFの修羅、K.Iが持つとされる特殊能力。
Universal Serial Bus
USBは、電子機器どうしをつなぐ方法(通信規格)のひとつ。
概要
フルネームはUniversal Serial Bus。直訳すると「全世界的・シリアル・バス」。あらゆる機械を1本の線ごとに1つの機器とつなげるようにしましょう、的な意味である。
昔のパソコンは周辺機器ごとに通信のしかたがバラバラで、プリンタ専用端子、キーボード専用端子、ハードディスク用端子、など細分化された端子が用意されていたうえ、繋ぎ変えるときは必ず電源を切らなければならないなど制約がとても多く非常に不便だった。これを、全部同じ種類の端子で誰でも簡単に使えるようにしようと考案された規格がUSBである。
20年以上かけて統一と普及が進み、今や機器同士の接続手段として最も普及している規格の一つであり、我々の日常生活にも欠かせないものになっている。
普及の状況
簡単に使えてとても便利なため、電子機器の世界でとても幅広く普及している。
マウス、キーボードといった必要不可欠な周辺機器はもちろん、プリンタ、デジタルカメラ、携帯電話、USBメモリ、外付けHDDなどあらゆる機器の接続に利用できるほか、挙句の果てには扇風機、冷蔵庫、クリスマスツリーなど、それ本当に要るの?と疑問符が付くようなものまでUSBに対応するようになっている。
おそらく今動いているほとんどのパソコンに設置されている。あらゆる機器がUSBでつながるようになったためUSB接続口が不足して困るという人も多い。そういう人はUSBハブという機器をつなげば端子を増やすことができる(ただしPCに直接差す方が安定することが多い)。
またiPhone以外のスマートフォンに採用されているケーブル接続の規格はほぼすべてUSBのため、USBという概念を知らなくても充電などで日常的に使用している人は多いだろう。iPhoneもEUの圧力によりiPhone14以降は一部機種はUSB2.0ながらUSBになった模様
最近では鉄道車両にも充電用コネクタを装備しており、大阪メトロ400系(通称バトルドーム)にも車端部に設置されている。
なおUSBメモリはUSB普及当初から多様されてきたため「USBメモリ」のことを略して「USB」と呼ぶ人は少なからずいて、たとえば「このUSBにデータ入れといて」などという会話がしばしば繰り広げられる。大半の家庭や職場ではこれで問題ないが、ITに詳しい相手に言うと「『USB』はあくまで通信規格の名前であって記憶装置の名称は『USBメモリ』だ!」とかいういちゃもん正論を言われる可能性があるので注意。
端子
USBの端子にもいろいろあるが、2020年現在も広く多く使われているのは次の4つと思われる。
- タイプA(長方形・PC側)
パソコンの前面や側面に設置された長方形の端子がタイプA端子である。見た目が普及当初から変わっておらず、「USB端子」と言ってすぐイメージされるのがこれ。
どっちが上かわからなくなり、「刺さらない→反対にする→また刺さらない→元に戻す→刺さる」…なんてことがとてもよくある。端子の金属部分を顔に見立てて、マイペース気味でかわいい方が上、目が死んでる悪人面の方が下とされることが多い。差込口が縦でどっちがどっちかわからない場合はお手上げである。(黒以外の場合は上面を油性ペンとかでライン状に塗っておくのも・・・いや下向きが正解の時めんどくさくなるな・・・)
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https://twitter.com/KAZE/status/515086301561769984 - タイプB
プリンタ、スキャナなどの大き目な周辺機器についている正方形に台形をくっつけたような形の端子。タイプAと違って向きがわかりやすいので刺し間違えが起こりにくく気持ちよい。 - microタイプB
少し古めのスマホなどに主に搭載されている、細長い端子。 - タイプC
細長く丸みを帯びた端子。悲願であった裏表を問わずに差せる両面端子である。また機器側もパソコン側もこの形が使える。
先ほど書いたようなどっちがどっち問題がなくなりとても便利である。その代わり、従来のUSBタイプA、microなどとつなぐ場合には変換ケーブルを使う必要が出てくる。(実はこの規格も表裏があり水没などさせて劣化が進むと断線などで片面しか認識しなくなる)
映像出力、充電、機器同士の接続などとても多彩な目的で使え、USBの便利さを一段階引き上げた。
用途
機器どうしの接続
本来の用途である。非常に高速な通信が可能になってきており、また最近はHDMI、DisplayPortなどの映像出力にも使えるようになるなど、便利さは飛躍的に上がっている。
給電・充電端子として
電源の入っているパソコンさえあれば、デスクサイドにおいてコンセントをACアダプタで塞がず、手軽に5V/500mAの直流電源を得られるということで、扇風機やライト、ヒーター、おもちゃなど、USBから電力は貰うがパソコンとは通信しない様々なUSBアクセサリーが売られている。
デスクサイドのみならず、モバイル機器においてもパソコンからのデータ転送とバッテリーへの充電が一つの端子で両立できるため、電源端子としてデファクトスタンダートとなりつつあり、スマートフォン、タブレットPC、デジタルオーディオプレーヤー、携帯型ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラなど様々な機器がUSBで充電できるようになってきている。
また、パソコンのUSB2.0端子から供給できる電力は5V/500mA(2.5W)と少ないこと、パソコンを起動せずに充電したい、外でも充電したいといった要望に応えるように、USB端子を備えたACアダプタや電源タップ、車のシガーライターソケット用の変換端子、モバイルバッテリーなどの給電用機器も無数に出ている。この充電規格については、USBの正式の規格をはずれた独自仕様の製品も多数存在する(後述)。
最近はタイプC端子を使ったUSB PD (USB Power Delivery)という充電規格が定められ、大容量の高速充電が簡単にできるようになった。パソコンのUSBタイプC端子が充電用端子を兼ねるようになった製品も普及してきており、スマホとノートPCでACアダプタを一本化できる、ディスプレイとケーブル1本つなげば映像出力と充電を一度にできる、モバイルバッテリーからPCを充電など、多彩な運用が可能になり、本当に便利になっている。
世代と通信規格
USBの通信規格は、USB1.0、USB1.1、USB2.0、USB3.0など時代とともにどんどん進歩している。
USB1.1までは転送速度、配給電力ともに弱くマウスやキーボード、ごく低用量のUSBメモリ程度しかまともに使えなかった。
USB2.0では通信速度と供給できる電力が大幅に上がったことでプリンタ、ハードディスクなどいろいろな機器で実用できるようになった。この規格はとても安定しているため、大した速度のいらない機器では現在も幅広く使用されている。
USB3.0は2008年に規格が決められ、2009年の11月から普及が始まった。USBメモリやハードディスクなどの通信を飛躍的に速めた。現在売られているほとんどのPCは対応した端子を装備している。
2019年には最新のUSB4という規格が発表され、その通信速度はUSB3.0の8倍にまで伸びている。今後もUSB規格はさらに発展していくと思われる。
通信規格とタイプCに関する問題
これは少々ややこしい話なので小難しいのが嫌いな人はこの項をスルー推奨。
実はUSBの規格にはかなりの混乱が生じている。
USB3.0が作られた後で、技術の進歩に伴ってUSB3.1、USB3.2など新たな企画が発表されていった。それにより最大通信速度はどんどん上がっていったが、同時に新たな規格を採用した機器でも過去の機器とちゃんとつながるようにしなければならない、つまり「後方互換性を保つ」必要性が出てきた。
そして新しい技術が登場するたびに、過去の技術の名前が「後方互換性がある」ことを明示するための新名称へと変わっていったが、新技術が普及するかどうかの時期に新しい規格名が次々定められていったことで、一般ユーザーの理解が追いつかない事態となった。何よりも事態を非常にややこしくしたのが、既にある規格を、中身はそのままに名前だけ新しく変えていったことだった。たとえばUSB3.0という規格はUSB3.1に、さらにUSB3.2 Gen1にと、一見同じ規格とは思えないような名前に次々移り変わっていった。これによってユーザーはおろか、開発者の間ですら規格の名前と内容の理解に大きな混乱が生じた。
以下に規格の名前をまとめるが、同じ行に書かれた規格は名前が違っても実際は全て同じものである。2020年現在、一般に市販品などで名称に用いられている名称は太字にしている。
登場当初の規格名 | 別名(登場後、一時的に 運用された規格名) |
最終的な確定規格名 | 消費者向け ブランド名 |
通信速度 | 備考 | ||
USB 1.0 | USB 1.1(1.0の 仕様を明確化) |
12Mbps | もうほぼ 使われない |
||||
USB 2.0 | USB 2.0 | High speed | 480Mbps | ||||
USB 3.0 | USB 3.1 | USB 3.1 Gen1 |
USB 3.2 Gen1 |
USB 3.2 Gen1x1 | SuperSpeed 5.0Gbps ※「SS→」ロゴ |
5Gbps (USB2.0の約10倍) |
|
USB 3.1 Gen2 | USB 3.2 Gen2 |
USB 3.2 Gen2x1 | SuperSpeed 10Gbps ※「SS→10」ロゴ |
10Gbps (USB3.0の約2倍) |
|||
USB 3.2 Gen1x2 | USB 3.2 Gen1x2 | 10Gbps | あまり普及 していない |
||||
USB 3.2 Gen2x2 | USB 3.2 Gen2x2 | SuperSpeed 20Gpbs |
20Gbps | あまり普及 していない |
|||
USB 4.0 | USB 4.0 20Gbps | 20Gbps | これから 普及予定 |
||||
USB 4.0 40Gbps | 40Gbps |
…正直ワケが分からない。要するに「USB 3.0」として世に出てきたものを指す表現なんて5種類もある。マジで意味が分からない。どうしてこうなった。
そしてこの混乱に拍車をかけたのがタイプC端子の普及である。端子の裏表がなくなり、またPC側と機器側とで同じ端子を採用できるようになり、格段に便利になったのは間違いないが、タイプCは通信規格ごとに端子の形が違っていたタイプAやBなどと異なり通信規格に関係なくすべての端子が同じ形である。
そしてAppleがかつて推し進めたUSBの競合「IEEE1394」に互換性がある、AppleとIntelの共同作成規格「Thunderbolt」を基礎に持つ、Intelの「Thunderbolt3」規格の端子としてUSBタイプCが採用されたものの対応ケーブルは限られていたり、USB PDのような充電規格はこれまでに述べた通信速度とは全く関係がなく製品ごとに違っていたり…と、事態は混迷を極めている。ああややこしい。
そのため、ケーブルや機器がどの通信規格に対応したものなのか、充電速度がどうなのか、ぱっと見では物凄くわかりにくくなっている。「USB3.2 Gen1規格用のタイプA-タイプCケーブル」「USB2.0規格、端子形状タイプC-タイプCケーブル」「Thunderbolt3に対応したケーブル」などなど、ありとあらゆる製品があふれかえってしまっている。「形が同じだから」と買ったケーブルでうまく通信できない、通信や充電が異様に遅いといった事態も頻繁に起こるようになっている。
USB4
2019年9月3日、次世代USBとなるUSB4.0が正式発表された。最大転送速度は40Gbpsで、従来のUSB 3.2 Gen1(=USB3.0)の8倍。端子形状はタイプCで、先述のThunderbolt3の技術を使った規格で、いわばUSB側が技術を逆輸入した格好となっている。
USBの中身を決める偉い方々も規格の混迷に危機感を覚えたようで、この規格をしっかり普及させ事態を収束させることを目指しているとのこと。2020年10月に対応PCが少し出はじめたばかりで、この規格がなければできないことはあまりないのが現状ではあるが、超高速かつ統一された、これまでで最も便利な規格になることが期待されている。
独自拡張による大電流化による急速充電
ここでは、厳密にUSB規格ではないが各社が独自で拡張した充電について解説している。
先述したように、もっとも普及しているUSB2.0端子は5V/500mAの給電能力しかない。これではバッテリーの大容量化が著しいスマートフォンなどでは10時間超の時間がかかり、夜寝ている間に充電が終わらないなどといったことになってしまう。そのため、パソコンでなくACアダプタが繋がっていると判断したときだけ1A、1.5A、2Aなどといった大電流で急速充電できるようになっている機器類がある。
近年は先述の通りUSB PDという統一規格もあるが、多くのスマホなどでは独自拡張の末にできた規格が採用されており、どの機器を使えばいいのかこれまた分かりづらくなっている。
機器がACアダプタと判断する方法は3種類に分けられる。
- Androidタイプ
Apple製品以外の多くのスマートフォンやタブレット、その他多くのAndroidでもなんでもないモバイル機器でも採用されている方法。USBのデータ線のD+とD-が短絡させてあるのを検知した場合にACアダプタと判断する。機器から電源までの間の経路のどこかで短絡させてあればいいので、ACアダプタやモバイルバッテリー内部でやってある場合もあるし(その場合ケーブルはデータ通信用のものが使える)、ケーブル自体に施されてる物、USB端子にかませるアダプタや切り替えスイッチ式のものなどがある。Android用などの表記の他には、「Xperia充電」などと銘打ってあるケーブルやアダプタも同様に短絡させてあるものを指している(国内ではXperiaシリーズが採用した影響が大きかったため)。 - Appleタイプ
AppleのiPod、iPhone、iPadなどに採用されている方式。ショートさせるだけのAndroidタイプよりもう少し複雑なことが必要なため割愛。とりあえずApple公認のアクセサリを使っとけばいい。 - GalaxyTabタイプ
SamsungのGalaxyTabに採用されている方式。そもそも日本ではドコモが一時期売ってただけであまりGalaxyTabのシェアは大きくないが、海外ではそれなりに普及しているため、国内でも売られているACアダプタに専用端子があったりアダプタが付いてくることも珍しくない。
このようなもので、急速充電をする場合は純正品や対応が明記されている製品を使うか、消費者自身が機器に見合った電力を供給できるアダプタやケーブルを選定できなければ、急速充電できなかったり、過電流防止装置が働いて止まることなども多く、最悪の場合は過電流などで発熱、故障、火災を起こす可能性がある。
USBに機器が要求する電流を流せるACアダプタも当然必要だが、実はケーブルも大事であり、5Vという低電圧で1.5A~2Aという大電流を流すのはなかなか厳しく、抵抗値の大きいケーブルでは電圧降下で電流が少ししか流れなかったり、最悪発熱してしまうことがある。抵抗値は電線の質と長さと太さによって決まるため、長いケーブルやスリムケーブルなどの細いケーブルでの急速充電は難しい。最近は許容電流が明記してあるケーブルもある。そういう面倒を避けるためか、純正品のみならずサードパーティの製品でもケーブル一体型のACアダプタも多い。
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