自家受粉
自家受精
自家受粉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 08:29 UTC 版)
花の受粉様式の中には、自殖といって同一個体の中で自身が生成した花粉を自身で受粉するものがある。これが自家受粉である。一般に植物は自分で移動できないから別個体同士で受粉するには、外部の何らかの手段に頼って花粉を移動させる必要がある。しかしそれには不確実性があるため、自殖するほうが確実である。また新しい領域に侵入する場合、自殖が可能であれば単一の個体で繁殖できるが、そうでなければ同時に複数の個体が進出しない限り次の世代を残せない。そのため自殖を行う植物も一定数存在する。特に、繁殖機会が1回しかない1年草では、同じ花の中で自家受粉を行う同花受粉の道を選択しているものがある。一方で、遺伝的多様性を維持し、近交弱勢を避けるためには他家受粉が有利である。特に基本的に片方の性のみを持つ動物の近親交配と異なり、植物においては同一個体内での近親交配であるから、自殖により適応度が下がる可能性は高い。したがって進化によってそうした特徴を排除し、自殖を避け他植を促進するものも多い。 日本のスミレ属 Viola では、通常の虫媒花を開花させた後に閉鎖花を着け、花弁を開くことなく同花受粉で種子を形成することが知られており、また、オニバスは水中で自己受粉をして身をむすぶ閉鎖花と水面に浮かんで通常の花を咲かせる開放花をともに咲かせるが、種子の結実率は閉鎖花のほうが高いことが報告されている。開放花であっても同花受粉の機構を持つ植物がある。それらを田中 (1993)は、雄動同花受粉(雄蕊が動いて受粉:タチイヌノフグリ)・雌動同花受粉(雌蕊が動いて受粉:アキノノゲシ)・両動同花受粉(雄蕊も雌蕊も動いて受粉:オシロイバナ)・不動同花受粉(雄蕊と雌蕊が開花のときに動いた状態で受粉:メヒシバ)に分類している。
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