堤体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 05:28 UTC 版)
砂防堰堤の形は多くで中央部が低くくびれたTシャツのようになっており、中央の低くなった所を水通し(Tシャツでいう首を通す部分、放水路とも呼ばれる)という。水通しの左右はやや高くなっており、これをダムの袖部という(Tシャツでも袖の部分)。袖部には流水を水通しに集める働きがある。また、渓流部に設けられるダムの多くは、袖部の上部(天端部分)は水通しに向かって勾配を付ける。これは水通しの処理能力を超えた流水があった時にも、極力堤体中央部に流水を集めることで袖を打ち込んでいる両岸斜面を流水で浸食されて決壊するという致命的な事故を防ぐ構造上の工夫である。 堤体の横断面は台形であるが、水通しから土石が流れ落ちることでコンクリートや鋼材といった部材が損傷するため、安定計算の許す限り垂直に近い急傾斜に作ることで土石の衝突による損傷を減らすように設計する。安定計算では堤高や重量、完成時点での堤体にかかる土圧と水圧のバランスなどが考慮される。 堤体の高さはダムの貯砂容量に直結する。渓流内に堆積する土砂を受け止め切れるか、土石で満杯になったときに上流側の渓流の勾配を十分緩和することができるかなどで決定する。堤体の厚みは水通しの高さにおける厚みで評価され、渓流内に堆積する転石の大きさを根拠に決定される。土石流の直撃を受けないと判断される場合は堤体の厚みを薄くする場合があり、副堤などではこの考え方で作ることも多い。 天端部分に傾斜を設けることが多い 砂防堰堤の堤体は垂直に近い急傾斜で作られる。 砂防堰堤の上流は堆砂により勾配が緩和される 堆砂敷に森林が成立し山と同化した砂防堰堤(治山ダム、京都府)
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