JPWO2005109964A1 - 有機エレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス表示装置 Download PDF

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Abstract

第一の有機エレクトロルミネッセンス素子(10)において、第一の光反射手段(12)と第二の光反射手段(14)の間の光学的距離が、第一の色の光を選択するように設定され、第二の有機エレクトロルミネッセンス素子(20)において、第一の光反射手段(12)と第二の光反射手段(14)の間の光学的距離が、第二の色の光を選択するように設定され、第三の有機エレクトロルミネッセンス素子(30)において、第一の光反射手段(12)と第二の光反射手段(14)の間の光学的距離が、第三の色の光を選択するように設定され、第一の光反射手段(12)の波長400nm〜700nmにおける反射率の平均値が65%以上である有機エレクトロルミネッセンス表示装置。

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、特に白色有機発光媒体層を用いたフルカラー有機EL表示装置に関する。
有機ELを用いたフルカラー化技術としては、三色塗分け法、白色ELにカラーフィルタを組み合わせる方法、ELに色変換膜を組み合わせる色変換法等がある。
三色塗分け法においては、材料のバランスを整えることと円偏光板のロスを小さくすることで、高効率化できる可能性がある。しかしながら、その塗分け技術が困難であることから、高精細なディスプレイの実現は難しく、大面積化は困難とされている。
一方、有機EL発光層を共有化できるために、大面積化、高精細化が容易にできることから白色カラーフィルタ法又は色変換法が期待されている。
有機EL表示装置のフルカラーディスプレイの方式としては、ボトムエミッション構造とトップエミッション構造に分けられる。トップエミッション構造とは、従来、有機EL素子構造を支持するガラス基板側から光を取り出していたものを、基板とは反対側の上部から光を取り出す構造としたものである。これにより、発光部に対する開口率を向上させることが可能となり、高輝度化を可能としている。
ところで、上部電極に半透明の陰極を採用し、多重干渉効果によって、特定の波長の光のみをEL素子の外部に取出し、高い色再現性を実現することが検討されている。例えば、特許文献1には、光反射材料からなる第1電極、有機発光媒体層を含む有機層、半透明反射層及び透明材料からなる第2電極が順次積層され、有機層が共振部となるように構成された有機EL素子において、取り出したい光のスペクトルのピーク波長をλとした場合、以下の式を満たすように構成した有機EL素子が開示されている。
(2L)/λ+Φ/(2π)=m
(Lは光学的距離、λは取り出したい光の波長、mは整数、Φは電極における位相シフトであり、光学的距離Lが最小となるように構成)
光反射性材料からなる第1電極の具体例としては、特許文献2に、周期律表の5族又は6族に属する金属、さらに具体的にはクロム、モリブデン、タングステン、タンタル及びニオブ等仕事関数が4.8eV以下であるような金属が開示されている。
また、特許文献3には、R、G、Bの各画素において、有機EL素子が反射層と透明層の間に有機発光媒体層が挟まれた構造であり、カラーフィルタを透明層の光出力側又は外光入射側に配置している表示装置が開示されている。
国際公開第WO01/39554号パンフレット 特開2001−43980号公報 特開2002−373776号公報
しかしながら、これらの有機EL素子又は有機EL表示装置には以下に示す問題があった。
光反射性電極に使用されるクロム、モリブデン、タングステン、タンタル及びニオブ等の金属では充分な光共振器効果が得られず、表示装置の高効率化に改善の余地があった。
また、特許文献1に示される上記式を満たす有機層の光学膜厚は、一種類であり、三色の異なる波長の光を取り出ずフルカラーの表示装置へ効率的に適用しにくい。
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、高い効率のフルカラー表示が可能な有機EL表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究したところ、特定の反射率の高い金属電極と、異なる発光色を示す三種類の発光材料を含む有機EL素子と、対向する三種類のカラーフィルタを組み合わせることによって、高効率な多色発光が可能となることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、以下の有機EL表示装置が提供される。
1.第一の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第一の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第一の色の光を透過させる第一のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第一の画素と、
第二の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第二の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第二の色の光を透過させる第二のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第二の画素と、
第三の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第三の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第三の色の光を透過させる第二のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第三の画素とを有し、
前記第一の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも第一の光反射手段と第二の光反射手段を、光取出方向にこの順に保有し、かつ、前記第一及び第二の光反射手段の間に、少なくとも第一の電極と第二の電極と、前記電極間に位置する有機発光媒体層とを有し、第一の光反射手段と第二の光反射手段の間の光学的距離が、第一の色の光を選択するように設定され、
前記第二の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも第一の光反射手段と第二の光反射手段を、光取出方向にこの順に保有し、かつ、前記第一及び第二の光反射手段の間に、少なくとも第一の電極と第二の電極と、前記電極間に位置する有機発光媒体層とを有し、第一の光反射手段と第二の光反射手段の間の光学的距離が、第二の色の光を選択するように設定され、
前記第三の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも第一の光反射手段と第二の光反射手段を、光取出方向にこの順に保有し、かつ、前記第一及び第二の光反射手段の間に、少なくとも第一の電極と第二の電極と、前記電極間に位置する有機発光媒体層とを有し、第一の光反射手段と第二の光反射手段の間の光学的距離が、第三の色の光を選択するように設定され、
前記第一の光反射手段の波長400nm〜700nmにおける反射率の平均値が65%以上であり、
前記有機発光媒体層が、少なくとも第一の色、第二の色及び第三の色の光を発する、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
2.前記第一及び第二の光反射手段が、それぞれ第一の電極及び第二の電極であるか、
前記第一及び第二の光反射手段の間に、第一の電極と第二の電極が有って、前記有機発光媒体層が前記第一及び第二の電極間に位置する1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
3.第一の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第一の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第一の色の光を透過させる第一のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第一の画素と、
第二の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第二の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第二の色の光を透過させる第二のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第二の画素と、
第三の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第三の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第三の色の光を透過させる第三のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第三の画素とを有し、
前記第一の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも光反射性電極、有機発光媒体層、金属層及び透明電極層を光取出方向にこの順に積層した素子であり、
前記第二の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも光反射性電極、第一の光学膜厚調整層、有機発光媒体層、金属層及び透明電極層を光取出方向にこの順に積層した素子であり、
前記第三の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも光反射性電極、第二の光学膜厚調整層、有機発光媒体層、金属層及び透明電極層を光取出方向にこの順に積層した素子であり、
前記光反射性電極の波長400nm〜700nmにおける反射率の平均値が65%以上であり、
前記有機発光媒体層が、少なくとも第一の色、第二の色及び第三の色の光を発する、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
4.前記有機発光媒体層が、第一の色の光を発する第一の発光材料、第二の色の光を発する第二の発光材料、及び第三の色の光を発する第三の発光材料とを含む、3に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
5.前記第一の光学膜厚調整層が第一の無機化合物層からなり、前記第二の光学膜厚調整層が前記第一の無機化合物層及び第二の無機化合物層からなる3又は4に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
6.第一の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第一の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第一の色の光を透過させる第一のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第一の画素と、
第二の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第二の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第二の色の光を透過させる第二のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第二の画素と、
第三の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第三の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第三の色の光を透過させる第三のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第三の画素とを有し、
前記第一の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも光反射性電極、第一の光学膜厚調整層、有機発光媒体層、金属層及び透明電極層を光取出方向にこの順に積層した素子であり、
前記第二の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも光反射性電極、第二の光学膜厚調整層、有機発光媒体層、金属層及び透明電極層を光取出方向にこの順に積層した素子であり、
前記第三の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも光反射性電極、第三の光学膜厚調整層、有機発光媒体層、金属層及び透明電極層を光取出方向にこの順に積層した素子であり、
前記光反射性電極の波長400nm〜700nmにおける反射率の平均値が65%以上であり、
前記有機発光媒体層が、少なくとも第一の色、第二の色及び第三の色の光を発する、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
7.前記有機発光媒体層が、第一の色の光を発する第一の発光材料、第二の色の光を発する第二の発光材料、及び第三の色の光を発する第三の発光材料を含む、6に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
8.前記第一の光学膜厚調整層が第一の無機化合物層からなり、前記第二の光学膜厚調整層が前記第一の無機化合物層及び第二の無機化合物層からなり、前記第三の光学膜厚調整層が前記第一の無機化合物層、前記第二の無機化合物層及び第三の無機化合物層からなる6又は7に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
9.前記有機発光媒体層が、ホスト材料と青色系ドーパントを含む青色系発光層、青色系発光層と同一のホスト材料と緑系ドーパントを含む緑系発光層、及び青色系発光層と同一のホスト材料と橙〜赤系ドーパントを含む橙〜赤系発光層を積層して含む、1〜8のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
10.前記有機発光媒体層に用いられるホスト材料が、非対称アントラセン系化合物である9に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
11.前記有機発光媒体に用いられる青色系ドーパントが、スチリルアミン、アミン置換スチリル化合物、アミン置換縮合芳香族及び縮合芳香族環含有化合物より選択される少なくとも一種類の化合物である9又は10に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
12.前記有機発光媒体に用いられる橙〜赤色系ドーパントが、フルオランテン骨格を複数有する化合物より選択される少なくとも一種類の化合物である9〜11のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
本発明によれば、高い効率のフルカラー表示が可能な有機EL表示装置を提供できる。
実施形態1の有機EL表示装置を示す図である。 実施形態1の有機EL表示装置の有機EL素子基板の製造方法を示す工程図である。 実施形態1の有機EL表示装置の有機EL素子基板の製造方法を示す工程図である。 実施形態1の有機EL表示装置の有機EL素子基板の製造方法を示す工程図である。 実施形態1の有機EL表示装置の有機EL素子基板の製造方法を示す工程図である。 実施形態1の有機EL表示装置の有機EL素子基板の製造方法を示す工程図である。 実施形態1の有機EL表示装置の有機EL素子基板の製造方法を示す工程図である。 実施形態1の有機EL表示装置の有機EL素子基板の製造方法を示す工程図である。 実施形態1の有機EL表示装置の有機EL素子基板の製造方法を示す工程図である。 実施形態1の有機EL表示装置の有機EL素子基板の製造方法を示す工程図である。 実施形態2の有機EL表示装置を示す図である。 実施例と比較例の光反射性電極の反射率を示す図である。 実施例と比較例の青画素の発光スペクトルを示す図である。 実施例と比較例の緑画素の発光スペクトルを示す図である。 実施例と比較例の赤画素の発光スペクトルを示す図である。
[実施形態1]
図1は、本発明の第1の実施形態である有機EL表示装置を示す図である。
この有機EL表示装置1には、異なる有機EL素子10,20,30が並置されている。
有機EL素子10は、光取出し方向に、第一の光反射手段と第一の電極を兼ね備えた光反射性電極12、有機発光媒体層13、第二の光反射手段と第二の電極を兼ね備えた、金属層14と透明電極15の積層膜を、この順に積層された構造を有している。
光反射性電極12は、正孔又は電子を供給する電極として機能するとともに、有機発光媒体層13で発生した光を、光取出し方向に反射する層である。光反射性電極は、波長400nm〜700nmにおける反射率の平均値が65%以上であり、好ましくは70%以上であり、より好ましくは85%以上である。
有機発光媒体層13は、電子と正孔の再結合により光を発生する層である。有機発光媒体層13は、少なくとも第一の色、第二の色及び第三の色の光を発する。有機発光媒体層13は、少なくとも第一の色の光を発する第一の発光材料及び第二の色の光を発する第二の発光材料を含んでおり、好ましくは、第一の色の光を発する第一の発光材料、第二の色の光を発する第二の発光材料及び第三の色の光を発する第三の発光材料を含む。含まれる発光材料の数が二つの場合は、第一の発光材料が第一の色の光と第二の色の光を同時に発してもよいし、第二の発光材料が第二の色の光と第三の色の光を発してもよい。いずれにしても、有機EL素子の外へ出る光は、第一、第二及び第三の光を含んでいる。また、有機発光媒体層13は、第一、第二、第三の色以外の色も合わせて発することができる。
第一、第二、第三の色は、好ましくは、波長400nm〜500nmの青色、波長500nm〜570nmの緑色、波長570nm〜700nmの赤色である。しかしながら、これらの色には限定されず、様々な三色を組合わせて微妙な発色を実現できる。
金属層14と透明電極15の積層膜は、正孔又は電子を供給する第二の電極として機能するとともに、有機発光媒体層13で発生した光を反射及び透過する第二の光反射層としても機能する。
さらに、矢印で示す光取出し方向に、有機EL素子10に対向して第一のカラーフィルタ16が設けられている。第一のカラーフィルタは、第一の色の光を透過させる。
有機EL素子10と第一のカラーフィルタ16から第一の画素Iが構成される。
有機EL素子20は、光取出し方向に、第一の光反射手段と第一の電極を兼ね備えた光反射性電極12、第一の無機化合物層27が形成され、その上に、有機発光媒体層13、第二の光反射手段と第二の電極を兼ね備えた、金属層14と透明電極15の積層膜を、この順に積層された構造を有している。ここで、第一の無機化合物層27が第一の光学膜厚調整層に相当する。
さらに、矢印で示す光取出し方向に、有機EL素子20に対向して第二のカラーフィルタ26が設けられている。第二のカラーフィルタは、第二の色の光を透過させる。
有機EL素子20と第二のカラーフィルタ26から第二の画素IIが構成される。
有機EL素子30は、光取出し方向に、第一の光反射手段と第一の電極を兼ね備えた光反射性電極12、第一の無機化合物層27、第二の無機化合物層38が形成され、その上に、有機発光媒体層13、第二の光反射手段と第二の電極を兼ね備えた、金属層14と透明電極15の積層膜を、この順に積層された構造を有している。ここで、第一の無機化合物層27と第二の無機化合物層38が合わせて第二の光学膜厚調整層に相当する。
さらに、矢印で示す光取出し方向に、有機EL素子30に対向して第三のカラーフィルタ36が設けられている。第三のカラーフィルタは、第三の色の光を透過させる。
有機EL素子30と第三のカラーフィルタ36から第三の画素IIIが構成される。
尚、第一の光反射手段と第一の電極が同一である必要はなく、光取出し方向に、この順に分離していてもよく、光取出し方向に、絶縁性光反射層/電極の順で積層されていてもよい。絶縁性光反射層の具体例としては、金属膜からなる光反射層/絶縁性光学膜圧調整層の積層であってもよいし、誘電体レーザミラーで知られる、高屈折率誘電層と低屈折率誘電層の多層積層膜を挙げることができる。高屈折率誘電層を形成する材料としては例えば、ZrO、CeO、Ta等の金属酸化物や、ZnS、CdS等のII−VI族化合物を挙げることができる。低屈折率誘電層を形成する材料としては例えば、CaF、AlF等の金属フッ化物を挙げることができる。
また、第二の光反射手段は、金属層と透明電極の積層膜に限定されることはなく、順序はこの逆でもよい。また金属膜である必要はなく、先に例示した誘電体多層膜のような絶縁性膜であっても構わない。
尚、図1において、発明を理解し易くするために、二つの電極12,15に挟まれているのは、有機発光媒体13だけであるが、後述するように、通常、電子注入層、電子輸送層、正孔注入層、正孔輸送層等をさらに含む。
透明電極層15とカラーフィルタ16,26,36の間に、有機EL素子10が環境やカラーフィルタ16,26,36に含まれる酸素、水分、その他揮発成分により劣化することを防止するために、封止層等を設けてもよい。具体例としては、SiO、AlO、SiAlO等の透明無機化合物層、及びこれらの透明無機化合物層と透明樹脂、あるいは封止液と積層したもの等を用いることができる。
次に、この有機EL表示装置1の動作について説明する。
有機EL素子10,20,30は、いずれも、第一の光反射手段(光反射性電極12)と第二の光反射手段(金属層14)の間を共振部とする光共振器構造となっている。このような共振器構造により、有機発光媒体13で発生した光は、二つの光反射面(光反射性電極12と金属層14)の間で反射を繰り返し、下記式を満たす波長付近の光が選択的に強く素子の外に放出される。
(2L)/λ+Φ/(2π)=m
(Lは、共振部の光学的距離、λは光の波長、Φは二つの光反射手段界面における位相シフトの和、mは0以上の整数を示す。)
尚、光学的距離Lは、光の通過する媒体の屈折率nと実際の幾何学的距離Lとの積である。
すなわち、有機発光媒体13で発生した光のうち、上記式を満たす波長λ付近の光が選択的に強められ、金属層14、透明電極15を通って、素子の外に放出される。
図1において、Lは、第一の有機EL素子10の光学的距離を、Lは、第二の有機EL素子20の光学的距離を、Lは、第三の有機EL素子30の光学的距離を、模式的に示している。
とLでは、第一の無機化合物層27の光学的距離に相当する分だけ、LとLでは、第二の無機化合物層38の光学的距離に相当する分だけ光学的距離が異なっている。
即ち、無機化合物層27,38の屈折率又は厚みを調節することにより、第一の有機EL素子10では、ある波長λを強調して素子の外部に光を取り出すように設定でき、第二の有機EL素子20では、ある波長λを強調して素子の外部に光を取り出すように設定でき、第三の有機EL素子30では、ある波長λを強調して素子の外部に光を取り出すように設定できる。これにより、所望の波長の光をそれぞれ強調させて3つの素子から取り出せるので、効果的な多色発光が可能となる。
次に、本実施形態の有機EL素子基板の製造方法について図2を用いて説明する。ここでは、ウェットエッチング法を含む方法にて製造した例を説明するが、下記の方法に限定されるものではない。
基板11上に、光反射導電層12を形成する材料をスパッタリングし、製膜した後(図2a)、フォトリソグラフィ等によって、所望の形状のパターンにエッチングする(図2b)。
続いて、第一の無機化合物層27を形成する材料をスパッタリングし、製膜した後(図2c)、上記と同様にエッチング液によって不用部をエッチングし、第二及び第三の有機EL素子20,30の光反射導電層12上に第一の無機化合物層27を形成する(図2d)。
光反射導電層12、第一の無機化合物層27、第二の無機化合物層38の順に、エッチングがされやすい材料を選択することにより、先に形成した光反射導電層12をエッチングすることなく、第一の無機化合物層27を形成することができる。
さらに、第二の無機化合物層38を形成する材料をスパッタリングし、製膜した後(図2e)、エッチング液によって不用部をエッチングし、第二の無機化合物層38を第三の有機EL素子30の第一の無機化合物層27上に形成する(図2f)。
この光反射導電層12及び各無機化合物層を形成した基板上に、有機発光媒体層13(図2g)、金属層14(図2h)及び透明電極層15(図2i)をこの順に製膜して、有機EL素子を製造できる。
この方法によれば、容易に有機EL素子基板を製造できる。
有機EL素子の各層の形成方法は特に限定されず、従来公知のスパッタリング法、真空蒸着法、分子線蒸着法(MBE法)あるいは溶媒に解かした溶液のディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等の塗布法によって形成することができる。
本実施例では、高反射率電極を使用し、さらに画素毎に光学的距離を変えることにより、画素毎に効果的な光共振器効果を発揮させるため、画素毎の光取出し効率が高まる。そのため、ディスプレイの発光効率が高まり、また色純度を向上できる。
また、本実施例では、3原色を含む白色発光有機EL素子とカラーフィルタの組合せにより、ディスプレイの色純度をさらに向上させることができる。
また、この有機EL表示装置において、有機発光媒体層13、金属層14及び透明電極層15は、共通した同一の膜として形成することができる。このため、製造工程が簡略化でき、工業生産上、極めて有利である。
[実施形態2]
図3は、本発明の実施形態2である有機EL表示装置を示す図である。
実施形態2は、第一の画素Iの有機EL素子10において、光反射性電極12の上に、第三の無機化合物層19が形成され、第二の画素IIの有機EL素子20において、光反射性電極12の上に、第三の無機化合物層19及び第一の無機化合物層27が形成され、第三の画素IIIの有機EL素子30において、光反射性電極12の上に、第一の無機化合物層27、第二の無機化合物層38及び第三の無機化合物層19が形成されていることが、実施形態1と異なる。
ここで、第三の無機化合物層19が第一の光学膜厚調整層に、第一の無機化合物層27及び第三の無機化合物層19が合わせて第二の光学膜厚調整層に、第一の無機化合物層27、第二の無機化合物層38及び第三の無機化合物層19が合わせて第三の光学膜厚調整層に相当する。
第三の無機化合物層19は、光学膜厚調整の目的の他、有機発光媒体層13と光反射電極12との間の付着性を改善し、有機発光媒体への電荷注入性を改善することを目的として設けられている。この無機化合物層に使用される好ましい無機化合物としては、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物、希土類酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類ハロゲン化物、希土類ハロゲン化物、SiO、AlO、SiN、SiO、AlON、GeO、LiO、LiON、TiO、TiON、TaO、TaON、TaN、C等各種酸化物、窒化物、酸化窒化物である。
特に光反射電極12が陽極として機能する場合には、SiO、AlO、SiN、SiON、AlON、GeO、C、ITO、IZO、InO、ZnO、ICO(酸化セリウム)が安定な注入界面層を形成して好ましい。第三の無機化合物層19の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは、0.1nm〜100nmである。
図3において、図1と同様に、Lは、第一の有機EL素子10の光学的距離(光学膜厚、屈折率と実際の膜厚をかけたもの)を、Lは、第二の有機EL素子20の光学的距離を、Lは、第三の有機EL素子30の光学的距離を、模式的に示している。
とLでは、第一の無機化合物層27の光学的距離に相当する分だけ、LとLでは、第二の無機化合物層38の光学的距離に相当する分だけ光学的距離が異なっている。
即ち、無機化合物層19,27,38の屈折率又は厚みを調節することにより、第一の有機EL素子10では、ある波長λを強調して素子の外部に光を取り出すように設定でき、第二の有機EL素子20では、ある波長λを強調して素子の外部に光を取り出すように設定でき、第三の有機EL素子30では、ある波長λを強調して素子の外部に光を取り出すように設定できる。これにより、所望の波長の光をそれぞれ強調させて3つの素子から取り出せるので、効果的な多色発光が可能となる。
尚、実施形態1,3において、光学膜厚調整層は、単層又は2〜3層の積層体であるが、所望の光学膜厚が得られる限り、適当な数の層により形成してもよい。
続いて、本発明の有機EL表示装置の部材について説明する。
(1)光反射性電極
光反射性電極の材質としては、好ましくは波長400nm〜700nmにおける反射率の平均値が65%以上である金属膜が選択される。金属膜の反射率は、その膜厚d、複素屈折率n−iκ、表面粗さ(RMS粗さ)σで決まる。好ましい金属膜の材料としては、複素屈折率の実部n、虚部κ(光吸収係数に相当)ともに、小さいものが好ましく、具体的には、Au、Ag、Cu、Mg、Al、Ni、Pd等の単体金属膜、及び合金膜を挙げることができる。
膜厚dが薄い場合、光が透過してしまい反射率が小さくなる。使用する金属種の複素屈折率虚部κの値にもよるが、膜厚としては50nm以上であることが好ましい。
表面粗さσが大きい場合、光が乱反射し有機EL素子の発光平面と垂直な方向へ反射される成分が少なくなる。そのため、表面粗さσとしては、10nm未満であることが好ましく、5nm未満であることがより好ましい。
(2)無機化合物層
無機化合物層は、その可視光の波長領域(380nm〜780nm)における光透過率が50%以上のものであれば特に限定なく使用できる。好ましくは、光透過率が80%以上の透過率を有するものがよい。
無機化合物の具体例としては、無機酸化物が挙げられ、例えば、In,Sn,Zn,Ce,Sm,Pr,Nb,Tb,Cd,Ga,Al,Mo及びW等の酸化物が挙げられ、好ましくは、In,Sn,Zn,Ceを含む酸化物である。
表示装置の製造を容易にするために、光反射導電層、第一の無機化合物層、第二の無機化合物層及び第三の無機化合物層に使用する材料は、そのエッチング特性に差があることが好ましい。即ち、光反射導電層、第一の無機化合物層、第二の無機化合物層、第三の無機化合物層の順に、エッチングがされやすい材料を選択することが好ましい。
例えば、第一の無機化合物層に、光反射導電層よりも弱酸でエッチングされやすい材料を選択し、第二の無機化合物層には、第一の無機化合物層よりも、さらに弱酸でエッチングされやすい材料を選択し、第三の無機化合物層には、第二の無機化合物層よりも、さらに弱酸でエッチングされやすい材料を選択する。
尚、各層を選択的にエッチングできる、エッチング液を有する材料を選択することも考えられる。
無機化合物層のエッチング特性を異なるものとするには、両化合物層を形成する無機酸化物の結晶化度を調整する方法がある。結晶化度が高いほど、酸によるエッチングがされにくくなる傾向がある。
本発明においては、無機化合物層の結晶化度に差を設けることで、両化合物層のエッチング特性に差を設けることができる。
エッチング特性の違いを利用して第一及び第二の無機化合物層を製造する例として、以下のようにウェットエッチング法で行なう例がある。
ガラス基板上にCrをスパッタリング製膜し、光反射導電層を形成する。この基板を硝酸セリウムアンモニウム塩−過酸化水素水(CAN)の混合液にてエッチングし、所望のパターンの光反射導電層付き基板を得る。
次に、ITOをスパッタリング製膜し、蓚酸水溶液によりエッチングし、所望のパターンのアモルファス(非結晶性)ITO膜付基板を得る。
この基板を230℃で30分間加熱処理することで、第一の無機化合物層である結晶性ITO膜付基板を得ることができる。結晶性ITO膜とすることで、蓚酸水溶液でエッチングされない層を形成できる。
さらに、その上にIZOをスパッタリング製膜し、蓚酸水溶液でエッチングして所望のパターンの第二の無機化合物層付基板を得る。尚、第二の無機化合物層として、非結晶性ITOを用いることもできる。
尚、結晶化度は、X線回折測定によって測定できる。即ち、試料表面にX線を照射し、回折線の角度(2θ)と強度を測定して、回折ピークの積分強度比から結晶化度を求める。
第一の無機化合物層が結晶質であり、第二の無機化合物層が非結晶質であることも好ましい。これにより、第二の無機化合物層を第一の無機化合物層よりも弱酸でエッチングされやすくできる。
最も弱酸でエッチングされやすい無機化合物の例としては、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)、IZOにランタノイド系金属酸化物を添加したもの等が挙げられる。ランタノイド系金属酸化物としては、例えば、酸化セリウム、酸化プラセオジウム、酸化ネオジウム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、及び酸化ルテチウム等が挙げられる。
尚、ランタノイド系金属酸化物の含有割合は、金属酸化物層における金属酸化物の全金属原子に対して0.1〜10原子%とするのが好ましい。
また、水素等の存在下で、酸化インジウム−酸化錫(ITO)をスパッタリングして得られる非結晶性のITOも好適である。
光反射導電層よりも弱酸でエッチングでき、上記の無機化合物よりもエッチングされにくいものとしては、ITO、酸化インジウム−酸化セリウム化合物(ICO)、酸化インジウム−酸化タングステン化合物、酸化インジウム−酸化モリブデン化合物等が挙げられる。非結晶性ITO及び上記化合物の非結晶性物質も好ましい。上述したように、非結晶性ITO及び上記化合物の非結晶性物質は、熱アニールにより結晶性化合物にできるため、第一の無機化合物層上に第二の無機化合物層を製膜する場合には特に好適である。
第一の無機化合物層をITO、第二の無機化合物層をIZOとすることが、エッチング時に下地となる層のダメージを低減できるため好ましい。
第一の無機化合物層及び第二の無機化合物層の膜厚は、各EL素子部の共振部において、所望の波長の光が共振されるように適宜調整すればよい。好ましくは、5nm〜1000nmの範囲とする。
(3)発光層の構成
発光層は、光反射性電極と、金属層と透明電極層の間に挟持される層であり、少なくとも有機発光媒体層を含む。
有機発光媒体層は、有機EL表示装置をフルカラーディスプレイとして用いる際に重要視される色純度向上のため、好ましくは、第一のカラーフィルタの透過色に相当する発光色を示す第一の発光材料と、第二のカラーフィルタの透過色に相当する発光色を示す第二の発光材料と、第三のカラーフィルタの透過色に相当する発光色を示す第三の発光材料とを含む。
構成としては、発光色の異なる3種類の発光材料を含んでいればよいが、有機発光媒体層が3種類の層(青色系発光層、緑色系発光層、橙色〜赤色系発光層)を積層する場合には、光反射性電極としての陽極層上に、次の構成を積層したものを挙げることができる。
(i)青色系発光層/緑色系発光層/橙色〜赤色系発光層
(ii)正孔輸送層/青色系発光層/緑色系発光層/橙色〜赤色系発光層
(iii)青色系発光層/緑色系発光層/橙色〜赤色系発光層/電子輸送層
(iv)正孔輸送層/青色系発光層/緑色系発光層/橙色〜赤色系発光層/電子輸送層
(v)正孔注入層/正孔輸送層/青色系発光層/緑色系発光層/橙色〜赤色系発光層/電子輸送層
(vi)正孔注入層/正孔輸送層/青色系発光層/緑色系発光層/橙色〜赤色系発光層/電子輸送層/電子注入層
(vii)正孔注入補助層/正孔注入層/正孔輸送層/青色系発光層/緑色系発光層/橙色〜赤色系発光層/電子輸送層/電子注入層
(viii)正孔注入層/正孔輸送層/青色−緑色混合発光層/橙色〜赤色系発光層/電子輸送層/電子注入層
(ix)正孔注入層/正孔輸送層/青色発光層/緑色−橙色〜赤色系混合発光層/電子輸送層/電子注入層
(x)正孔注入層/正孔輸送層/青色−緑色混合発光層/青色−橙色〜赤色系混合発光層/電子輸送層/電子注入層
これらの中で、(vi)、(vii)の構成が、より発光効率が高く、耐久性にも優れていることから通常好ましく用いられる。なお、青色系発光層、緑色系発光層、橙色〜赤色系発光層は、発光色を示すドーパント材料をドープしたホスト材料からなる。
尚、(viii),(x)中の青色−緑色混合発光層は、青色から緑色にかけてブロードな発光スペクトルを有するドーパント材料をドープしたホスト材料からなってもよいし、青色発光を示すホスト材料に、緑色発光を示すドーパント材料を微量ドープした材料からなってもよい。
また、(ix)中の緑色−橙色〜赤色系混合発光層は、緑色から橙色〜赤色にかけてブロードな発光スペクトルを有するドーパント材料をドープしたホスト材料からなってもよいし、緑色発光を示すホスト材料に、橙色〜赤色発光を示すドーパント材料を微量ドープした材料からなってもよい。
また、(x)中の青色−橙色〜赤色系混合発光層は、青色発光を示すホスト材料に、橙色〜赤色発光を示すドーパント材料を微量ドープした材料からなってもよい。
上記(i)〜(x)では、青色系発光層/緑色系発光層/橙色〜赤色系発光層という順序で記載した。この順序では陽極側が青色系発光層であるため、発光色が緑色や赤色に偏りがちな傾向を打ち消すことができる。従って、フルカラーディスプレイとしての理想的な白色を得るために緑色や橙色〜赤色系発光を押さえる必要がなく、緑色や橙色〜赤色系発光層を青色系発光層に比べて、膜厚を薄くしたり、ドープ濃度を薄くする必要がない。その結果、緑色や黄色〜赤色系発光層の膜厚を従来より厚くできるため、色度変化が少ない。また、青色系発光層と緑色系発光層及び橙〜赤色系発光層のホスト材料を同一物質とすることができるため、青色発光領域が界面に発光が集中しにくく、界面の変動による影響を受け難い。さらに、橙色〜赤色系発光層の膜厚が十分大きいので、界面の変動による影響を受け難い。
ただし、本発明では、青系発光層/緑系発光層/橙色〜赤色系発光層の順序に限定する必要はなく、これ以外の順序でもよい。また、ドーパント材料は、正孔輸送層や電子輸送層にドープされていてもよい。
青色系発光層の膜厚は、好ましくは5〜30nm、より好ましくは5〜20nmである。5nm未満では発光層形成が困難となり、色度の調整が困難となる恐れがあり、30nmを超えると駆動電圧が上昇する恐れがある。
緑色系発光層の膜厚は、好ましくは5〜30nm、より好ましくは5〜20nmである。5nm未満では発光効率が低下する恐れがあり、30nmを超えると駆動電圧が上昇する恐れがある。
橙色〜赤色系発光層の膜厚は、好ましくは5〜40nm、より好ましくは10〜30nmである。5nm未満では発光効率が低下する恐れがあり、30nmを超えると駆動電圧が上昇する恐れがある。
(4)青色系発光層
青系発光層はホスト材料と青色系ドーパントを含む。
ホスト材料は、スチリル誘導体、アントラセン誘導体又は芳香族アミンであることが好ましい。スチリル誘導体は、ジスチリル誘導体、トリスチリル誘導体、テトラスチリル誘導体及びスチリルアミン誘導体の中から選ばれる少なくとも一種類であることが特に好ましい。アントラセン誘導体は、非対称アントラセン系化合物であることが好ましい。芳香族アミンは、芳香族置換された窒素原子を2〜4個有する化合物であることが好ましく、芳香族置換された窒素原子を2〜4個有し、かつアルケニル基を少なくとも一つ有する化合物が特に好ましい。
好適な非対称アントラセン系化合物として以下の式に示される化合物が挙げられる。これらの化合物の製造方法等は特願2004−042694に記載されている。
Figure 2005109964
[式中、Arは置換もしくは無置換の核炭素数10〜50の縮合芳香族基である。
Ar’は置換もしくは無置換の核炭素数6〜50のアリール基である。
Xは、置換もしくは無置換の核炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、又はヒドロキシル基である。
a、b及びcは、それぞれ0〜4の整数であり、nは1〜3の整数である。]
上記の式におけるArの置換もしくは無置換の縮合芳香族基の例としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナンスリル基、2−フェナンスリル基、3−フェナンスリル基、4−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基等が挙げられる。
上記の式におけるAr’の、置換もしくは無置換の、アリール基、Xのアリール基、芳香族複素環基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基及びアルコキシカルボニル基の例としては、それぞれ以下の例が挙げられる。
置換もしくは無置換のアリール基の例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基等が挙げられる。
置換もしくは無置換の芳香族複素環基の例としては、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル−1−インドリル基、4−t−ブチル−1−インドリル基、2−t−ブチル−3−インドリル基、4−t−ブチル−3−インドリル基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルコキシ基は−OYと表され、Yの例としては、前記置換もしくは無置換のアルキル基と同様のものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアラルキル基の例としては、前記置換もしくは無置換のアルキル基で置換された前記置換もしくは無置換のアリール基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアリールオキシ基は−OY’と表され、Y’の例としては、前記置換もしくは無置換のアリール基と同様のものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアリールチオ基は−SY’と表され、Y’の例としては、前記置換もしくは無置換のアリール基と同様のものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基は−COOYと表され、Yの例としては、前記置換もしくは無置換のアルキル基と同様のものが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
Figure 2005109964
[式中、A1及びA2は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の核炭素数10〜20の縮合芳香族環基である。
Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換もしくは無置換の核炭素数6〜50のアリール基である。
1 〜R10は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の核炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、又はヒドロキシル基である。
ただし、中心のアントラセンの9位及び10位に、対称型となる基が結合する場合はない。]
上記の式におけるA1 及びA2
の置換もしくは無置換の縮合芳香族基の例としては、前記と同様の例が挙げられる。
上記の式におけるAr1 及びAr2 の置換もしくは無置換のアリール基の例としては、それぞれ前記と同様の例が挙げられる。
上記の式におけるR1 〜R10の、置換もしくは無置換の、アリール基、芳香族複素環基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基及びアルコキシカルボニル基の例としては、それぞれ前記と同様の例が挙げられる。
Figure 2005109964
[式中、Ar1'及びAr2'は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の核炭素数6〜50のアリール基である。
1〜R10は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の核炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の核原子数5〜50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、又はヒドロキシル基である。]
上記の式におけるAr1'及びAr2'の置換もしくは無置換のアリール基の例としては、それぞれ前記と同様の例が挙げられる。
上記の式におけるR1 〜R10の、置換もしくは無置換の、アリール基、芳香族複素環基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基及びアルコキシカルボニル基の例としては、それぞれ前記と同様の例が挙げられる。
また、上記の3つの式における、各基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、芳香族複素環基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキシル基等が挙げられる。
青色系ドーパントとしては、青色系ドーパントは、スチリルアミン、アミン置換スチリル化合物、アミン置換縮合芳香族環及び縮合芳香族環含有化合物の中から選ばれる少なくとも一種類であることが好ましい。そのとき、青色系ドーパントは異なる複数の化合物から構成されていてもよい。上記スチリルアミン及びアミン置換スチリル化合物としては、例えば下記式(1),(2)で示される化合物が、上記縮合芳香族環含有化合物としては、例えば下記一般式(3)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2005109964
〔式中、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、炭素原子数6〜40の置換もしくは無置換の芳香族基を示し、それらの中の少なくとも一つはスチリル基を含み、pは1〜3の整数を示す。〕
Figure 2005109964
〔式中、Ar15及びAr16は、それぞれ独立に、炭素原子数6〜30のアリーレン基、E及びEは、それぞれ独立に、炭素原子数6〜30のアリール基もしくはアルキル基、水素原子又はシアノ基を示し、qは1〜3の整数を示す。U及び/又はVはアミノ基を含む置換基であり、該アミノ基がアリールアミノ基であると好ましい。〕
Figure 2005109964
〔式中、Aは炭素原子数1〜16のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素原子数6〜30の置換もしくは未置換のアリール基、炭素原子数6〜30の置換もしくは未置換のアルキルアミノ基、又は炭素原子数6〜30の置換もしくは未置換のアリールアミノ基、Bは炭素原子数10〜40の縮合芳香族環基を示し、rは1〜4の整数を示す。〕
(5)緑色系発光層
緑色系発光層はホスト材料と緑色系ドーパントを含む。
連続点灯時の色変化を抑えるという観点で、ホスト材料としては、青色系発光層で使用するホスト材料と同一のものを使用することが好ましい。
ドーパントとしては、特に制限はないが、例えばヨーロッパ公開特許第0281381号公報、公開公報2003−249372号公報などに開示されているクマリン誘導体や、置換アントラセン構造とアミン構造が連結した芳香族アミン誘導体などを用いることができる。
(6)橙色〜赤色系発光層
橙色〜赤色系発光層はホスト材料と橙色〜赤色系ドーパントを含む。
連続点灯時の色変化を抑えるという観点で、ホスト材料としては、青色系発光層で使用するホスト材料と同一のものを使用することが好ましい。
ドーパントとしては、少なくとも一つのフルオランテン骨格又はペリレン骨格を有する蛍光性化合物が使用でき、例えば下記式(4)
Figure 2005109964
〔式中、X21〜X24は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリール基であり、X21とX22及び/又はX23とX24は、炭素−炭素結合、−O−、又は−S−を介して結合していてもよい。X25〜X36は、水素原子、直鎖、分岐もしくは環状の炭素原子数1〜20のアルキル基、直鎖、分岐もしくは環状の炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリールアミノ基、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜30のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換の炭素原子数7〜30のアリールアルキルアミノ基又は置換もしくは無置換炭素原子数8〜30のアルケニル基であり、隣接する置換基及びX25〜X36は結合して環状構造を形成していてもよい。各式中の置換基X25〜X36の少なくとも一つがアミン又はアルケニル基を含有すると好ましい。〕
(7)正孔輸送層
本発明では、有機発光媒体層と正孔注入層の間に正孔輸送層を設けることができる。
正孔輸送層は、より低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好ましい。即ち、正孔の移動度が、10〜10V/cmの電界印加時に、10−4cm/V・秒以上であると好ましい。
正孔輸送層を形成する材料としては、光導伝材料において正孔の電荷輸送材料として慣用されているものや、EL素子の正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
具体例としては、トリアゾール誘導体(米国特許3,112,197号明細書等参照)、オキサジアゾール誘導体(米国特許3,189,447号明細書等参照)、イミダゾール誘導体(特公昭37−16096号公報等参照)、ポリアリールアルカン誘導体(米国特許3,615,402号明細書、同第3,820,989号明細書、同第3,542,544号明細書、特公昭45−555号公報、同51−10983号公報、特開昭51−93224号公報、同55−17105号公報、同56−4148号公報、同55−108667号公報、同55−156953号公報、同56−36656号公報等参照)、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体(米国特許第3,180,729号明細書、同第4,278,746号明細書、特開昭55−88064号公報、同55−88065号公報、同49−105537号公報、同55−51086号公報、同56−80051号公報、同56−88141号公報、同57−45545号公報、同54−112637号公報、同55−74546号公報等参照)、フェニレンジアミン誘導体(米国特許第3,615,404号明細書、特公昭51−10105号公報、同46−3712号公報、同47−25336号公報、特開昭54−53435号公報、同54−110536号公報、同54−119925号公報等参照)、アリールアミン誘導体(米国特許第3,567,450号明細書、同第3,180,703号明細書、同第3,240,597号明細書、同第3,658,520号明細書、同第4,232,103号明細書、同第4,175,961号明細書、同第4,012,376号明細書、特公昭49−35702号公報、同39−27577号公報、特開昭55−144250号公報、同56−119132号公報、同56−22437号公報、西独特許第1,110,518号明細書等参照)、アミノ置換カルコン誘導体(米国特許第3,526,501号明細書等参照)、オキサゾール誘導体(米国特許第3,257,203号明細書等に開示のもの)、スチリルアントラセン誘導体(特開昭56−46234号公報等参照)、フルオレノン誘導体(特開昭54−110837号公報等参照)、ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,717,462号明細書、特開昭54−59143号公報、同55−52063号公報、同55−52064号公報、同55−46760号公報、同55−85495号公報、同57−11350号公報、同57−148749号公報、特開平2−311591号公報等参照)、スチルベン誘導体(特開昭61−210363号公報、同第61−228451号公報、同61−14642号公報、同61−72255号公報、同62−47646号公報、同62−36674号公報、同62−10652号公報、同62−30255号公報、同60−93455号公報、同60−94462号公報、同60−174749号公報、同60−175052号公報等参照)、シラザン誘導体(米国特許第4,950,950号明細書)、ポリシラン系(特開平2−204996号公報)、アニリン系共重合体(特開平2−282263号公報)、特開平1−211399号公報に開示されている導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)等を挙げることができる。
正孔輸送層は上述した化合物を、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の方法により形成することができる。正孔輸送層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは5nm〜5μm、特に好ましくは5〜40nmである。正孔輸送層は上述した材料の一種又は二種以上からなる一層で構成されてもよい。また、別種の化合物からなる正孔輸送層を積層したものであってもよい。
(8)正孔注入層
正孔注入層の材料としては正孔輸送層と同様の材料を使用することができるが、ポルフィリン化合物(特開昭63−2956965号公報等に開示のもの)、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物(米国特許第4,127,412号明細書、特開昭53−27033号公報、同54−58445号公報、同54−149634号公報、同54−64299号公報、同55−79450号公報、同55−144250号公報、同56−119132号公報、同61−295558号公報、同61−98353号公報、同63−295695号公報等参照)、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
また米国特許第5,061,569号に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有する、例えば4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(以下NPDと略記する)、また特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(以下MTDATAと略記する)等を挙げることができる。
また芳香族ジメチリディン系化合物の他、p型Si、p型SiC等の無機化合物も正孔注入層の材料として使用することができる。また有機半導体層も正孔注入層の一部であるが、これは発光層への正孔注入又は電子注入を助ける層であって、10−10S/cm以上の導電率を有するものが好適である。このような有機半導体層の材料としては、含チオフェンオリゴマーや特開平8−193191号公報に開示してある含アリールアミンオリゴマー等の導電性オリゴマー、含アリールアミンデンドリマー等の導電性デンドリマー等を用いることができる。
正孔注入層は上述した化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の方法により形成することができる。
正孔注入層は上述した材料の一種又は二種以上からなる一層で構成されてもよい。又は、前記正孔注入層とは別種の化合物からなる正孔注入層を積層したものであってもよい。
(9)電子輸送層
本発明では、陰極と有機発光媒体層の間に電子輸送層を設けることができる。
電子輸送層は、通常、数nm〜数μmの膜厚で適宜選ばれるが、10〜10V/cmの電界印加時に電子移動度が10−5cm/Vs以上であるものが好ましい。
電子輸送層に用いられる材料としては、8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体が好適である。
上記8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体の具体例としては、オキシン(一般に8−キノリノール又は8−ヒドロキシキノリン)のキレートを含む金属キレートオキシノイド化合物が挙げられる。
例えば、発光材料の項で記載したAlqを電子注入層として用いることができる。
一方、オキサジアゾール誘導体としては、下記の式で表される電子伝達化合物が挙げられる。
Figure 2005109964
(式中、Ar,Ar,Ar,Ar,Ar10,Ar13はそれぞれ置換又は無置換のアリール基を示し、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。またAr,Ar11,Ar12は置換又は無置換のアリーレン基を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい)
ここでアリール基としてはフェニル基、ビフェニル基、アントラニル基、ペリレニル基、ピレニル基が挙げられる。またアリーレン基としてはフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントラニレン基、ペリレニレン基、ピレニレン基等が挙げられる。また置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はシアノ基等が挙げられる。この電子伝達化合物は薄膜形成性のものが好ましい。
上記電子伝達性化合物の具体例としては下記のものを挙げることができる。
Figure 2005109964
tBuはt−ブチル基、Meはメチル基を表す。
下記式で表される含窒素複素環誘導体
Figure 2005109964
(式中、A〜Aは、窒素原子又は炭素原子である。
Rは、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜60のヘテロアリール基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、又は炭素数1〜20のアルコキシ基であり、nは0から5の整数であり、nが2以上の整数であるとき、複数のRは互いに同一又は異なっていてもよい。
また、隣接する複数のR基同士で互いに結合して、置換又は未置換の炭素環式脂肪族環、あるいは、置換又は未置換の炭素環式芳香族環を形成していてもよい。
Ar14は、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜60のヘテロアリール基である。
Ar15は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜60のヘテロアリール基である。
ただし、Ar14、Ar15のいずれか一方は置換基を有していてもよい炭素数10〜60の縮合環基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜60のヘテロ縮合環基である。
、Lは、それぞれ単結合、置換基を有していてもよい炭素数6〜60の縮合環、置換基を有していてもよい炭素数3〜60のヘテロ縮合環又は置換基を有していてもよいフルオレニレン基である。)
下記式で表される含窒素複素環誘導体
HAr−L−Ar16−Ar17
(式中、HArは、置換基を有していても良い炭素数3〜40の含窒素複素環であり、
は、単結合、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数3〜60のヘテロアリーレン基又は置換基を有していてもよいフルオレニレン基であり、
Ar16は、置換基を有していてもよい炭素数6〜60の2価の芳香族炭化水素基であり、
Ar17は、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基又は、置換基を有していてもよい炭素数3〜60のヘテロアリール基である。)
(10)電子注入層
本発明においては陰極と電子注入層の間又は陰極と発光層の間に絶縁体や半導体からなる電子注入層を設けることができる。このような電子注入層を設けることで、電流のリークを有効に防止して、電子注入性の向上が図られる。
絶縁体としては、アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、酸化ゲルマニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化バナジウム等の金属化合物を単独又は組み合わせて使用するのが好ましい。これらの金属化合物の中でもアルカリ金属カルコゲナイドやアルカリ土類金属のカルコゲナイドが電子注入性の点で好ましい。好ましいアルカリ金属カルコゲナイドとしては、LiO、LiO、NaS、NaSe及びNaOが挙げられる。好ましいアルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、及びCaSeが挙げられる。アルカリ金属のハロゲン化物としては、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl及びNaCl等を挙げることができる。アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、CaF、BaF、SrF、MgF及びBeF等のフッ化物や、フッ化物以外のハロゲン化物が挙げられる。
電子注入層を構成する半導体としては、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Li、Na、Cd、Mg、Si、Ta、Sb及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む酸化物、窒化物又は酸化窒化物等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
電子注入層は、微結晶又は非結晶質であることが好ましい。均質な薄膜が形成されるために、ダークスポット等の画素欠陥を減少させることができるからである。
尚、2種以上の電子注入層を積層して使用してもよい。
上述した発光層を形成する各有機層の膜厚は特に制限されないが、一般に膜厚が薄すぎるとピンホール等の欠陥が生じやすく、逆に厚すぎると高い印加電圧が必要となり効率が悪くなるため、通常は数nmから1μmの範囲が好ましい。
(11)金属層/第二の反射手段
第二の反射手段は、有機発光媒体層で発生した光の反射・透過し、前記した光反射電極とともに光共振器を形成することのできる金属を使用することが好ましい。このような金属としては、Ag、Mg、Al、Au、Pt、Cu、Cr、Mo、W、Ta、Nb、Li、Mn、Ca、Yb、Ti、Ir、Be、Hf、Eu、Sr、Ba、Cs、Na及びK等の金属又はこれら金属からなる合金を挙げることができる。この金属層を有機発光媒体と接する陰極として用いる場合には、仕事関数が低い(例えば4.0eV以下)という観点で、これらのうちで、Al、Ag、Mg、Ce、Na、K、Cs、Li及びこれらの合金が好ましい。金属層の膜厚は、2nm〜100nmとすることが好ましい。2nmより薄いと陰極として用いたときに電子注入性が低下するために素子の発光効率が低下したり、透過率が高すぎて充分な光共振器効果が得られず、また、のちに透明電極層をスパッタリング等の方法で成膜するさいに、その下部に位置する有機発光媒体層へのダメージを防ぐことができない恐れがある、という観点で好ましくない。100nmより厚いと、光線透過率が低下するため光の取出し効率が低下する恐れがある。
透明電極としては、ITO、IZO、酸化錫、酸化亜鉛等を挙げることができる。発光を取り出すため、透過率は30%以上であることが好ましい。
(12)カラーフィルタ
本発明に用いられるカラーフィルタとしては、たとえば、下記の色素のみ又は、色素をバインダー樹脂中に溶解又は分散させた固体状態のものを挙げることができる。
赤色(R)色素:ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、等。
緑色(G)色素:ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料、ハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料、トリフェルメタン系塩基性染料、等。
青色(B)色素:銅フタロシアニン系顔料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料等。
一方、バインダー樹脂は、透明な(可視光透過率50%以上)材料が好ましい。たとえば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の透明樹脂(高分子)や、フォトリソグラフィー法が適用できる感光性樹脂として、アクリル酸系、メタクリル酸系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト材料が挙げられる。また、印刷法を用いる場合には、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等の透明な樹脂を用いた印刷インキ(メジウム)が選ばれる。
カラーフィルタが主に色素からなる場合は、所望のカラーフィルタパターンのマスクを介して真空蒸着又はスパッタリング法で成膜され、一方、色素とバインダー樹脂からなる場合は、色素と上記樹脂及びレジストを混合、分散又は可溶化させ、スピンコート、ロールコート、キャスト法等の方法で製膜し、フォトリソグラフィー法で所望のカラーフィルタパターンでパターニングしたり、印刷等の方法で所望のカラーフィルタのパターンでパターニングするのが一般的である。
それぞれのカラーフィルタの膜厚と透過率は、下記とすることが好ましい。R:膜厚0.5〜5.0μm(透過率50%以上/610nm)、G:膜厚0.5〜5.0μm(透過率50%以上/545nm)、B:膜厚0.2〜5.0μm(透過率50%以上/460nm)。
また、本発明において、赤、緑、青の3原色発光を呈するフルカラー表示装置を提供する場合には、コントラスト比向上のためブラックマトリックスを用いることができる。
[実施例]
実施例:
1.有機EL素子基板の作製
(光反射性電極及び光学膜厚調整層の形成)
150mm×150mm×1.1mmの支持基板(OA2ガラス:日本電気硝子社製)上に、アルミニウムをスパッタリングにより300nmの厚みになるように成膜した。その上にポジ型レジスト(HPR204:富士オーリン製)をスピンコートで成膜した。続いて、このレジスト膜を、20μmライン幅でストライプ状のパターンとなるようなフォトマスクを介して紫外線で露光する。そして、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)の現像液で現像し、130℃でベークした。リン酸/硝酸/酢酸溶液からなるアルミニウムエッチャントで、露出しているアルミニウム層部分をエッチングした。その後、レジスト膜をエタノールアミンを主成分とする剥離液(N303:長瀬産業製)で処理して、80μm幅、20μmギャップの下部電極を形成した。
次に、下部電極上に、ICO(酸化インジウム−酸化セリウム)をスパッタリングにより20nmの厚みになるように成膜した。その上にポジ型レジスト(HPR204:富士オーリン製)をスピンコートで成膜した。続いて、このレジスト膜を、所望の20μmライン幅でストライプ状のパターンとなるようなフォトマスクを介して下部電極のストライプパターンに位置合わせしながら紫外線で露光する。そして、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)の現像液で現像し、130℃でベークした。47%臭化水素酸からなるICOエッチャントにて、露出している部分のICOをエッチングし、80μm幅、20μmギャップ、80μm幅、120μmギャップ、というパターンが周期的に繰り返されるようなICO層を形成した。
次に、この基板を230℃の加熱炉にて30分間熱処理して、ICOを結晶化させたのち、ICO層上にIZO(酸化亜鉛10wt%含有の酸化インジウム)をスパッタリングにより20nmの厚みになるように成膜した。その上にポジ型レジスト(HPR204:富士オーリン製)をスピンコートで成膜した。続いて、このレジスト膜を、下部電極のストライプパターンに位置合わせしながら、所望の20μmライン幅でストライプ状のパターンとなるようなフォトマスクを介して紫外線で露光する。そして、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)の現像液で現像し、130℃でベークした。3.5%蓚酸水溶液からなるIZOエッチャントにて、露出している部分のIZOをエッチングし、80μm幅、220μmギャップというパターンが周期的に繰り返されるようなIZO層を形成した。
次に、層間絶縁膜として、ネガ型レジスト(V259BK:新日鉄化学社製)をスピンコートし、紫外線露光し、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)の現像液で現像した。次に、200℃でベークして、アルミニウム下部電極のエッジを被覆した(開口部が70μm×270μm)有機膜の層間絶縁膜を形成した。
顕微分光測定装置を用い、アルミニウムが露出している部分の垂直入射光に対する垂直方向の反射率を測定したところ、波長400nm〜700nmの範囲の平均値は91.8%という65%を超える値であった。測定した反射率を図4に示す。
(3波長型有機EL発光部の形成)
上記の基板をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行った後、UVオゾン洗浄を30分間行った。洗浄後の下部電極付き基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着した。尚、予め、それぞれのモリブテン製の加熱ボートに、正孔注入材料として、下記化合物(HI)(以下「HI膜」と略記する)、正孔輸送材料として、下記化合物(HT)(以下「HT膜」と略記する)、発光材料のホストとして、下記化合物(BH)、青色発光ドーパントとして下記化合物(BD)、緑色発光ドーパントとして下記化合物(GD)、赤色発光ドーパントとして下記化合物(RD)、電子輸送材料として、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、電子注入材料としてLiF、陰極材料として、Mg及びAgをそれぞれ仕込み、さらに正孔注入補助材料及び陰極の取出し電極としてIZOターゲットを別のスパッタリング槽に装着した。
まず上記基板を覆うようにして、正孔注入補助層としてIZOを1nmスパッタリングした。次に、正孔注入層として機能するHI膜を膜厚25nmで蒸着した。HI膜の成膜に続けて、正孔輸送層として機能するHT膜を膜厚10nmで蒸着した。HT膜の成膜に続けて、青色発光層として、化合物BHと化合物BDを10:0.5の膜厚比になるように膜厚10nmで共蒸着した。次に、緑色発光層として、化合物BHと化合物GDを10:0.8の膜厚比になるように膜厚10nmで共蒸着した。さらに、赤色発光層として、化合物BHと化合物RDを20:0.5の膜厚比になるように膜厚20nmで共蒸着した。この膜上に、電子輸送層として、Alq膜を膜厚10nmで蒸着した。この後、電子注入層として、LiFを膜厚1nmで蒸着し、この膜上に、陰極(金属層)としてAgとMgを成膜速度比1:9として10nm蒸着した。さらに、上部透明電極として、IZOを90nmスパッタリング成膜した。
Figure 2005109964
Figure 2005109964
(固体封止膜の形成)
次に、有機EL発光部全体を覆うように、封止層として、有機EL素子の上部電極上に透明無機膜としてSiOxNy(O/O+N=50%:Atomic ratio)を低温CVDにより300nmの厚さで成膜した。
2.カラーフィルタ基板の作製
(遮光層の形成)
112mm×143mm×1.1mmの支持基板(OA2ガラス:日本電気硝子社製)上に、遮光層パターンを形成した。ここでは、遮光層として、酸化クロムを50nm、クロムを300nmずつスパッタリングにより順次積層した。
次に、遮光層上に、ポジ型レジスト(HPR204:富士オーリン製)をスピンコートで成膜した。続いて、このレジスト膜を、フォトマスクを介して紫外線で露光する。そして、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)の現像液で現像し、130℃でベークした。次に、硝酸セリウムアンモニウム/過塩素酸水溶液からなるクロムエッチャントで、露出しているクロム層及び酸化クロム層部分をエッチングした。続いて、エタノールアミンを主成分とする剥離液(N303:長瀬産業製)でレジストを除去して、開口部が70μm×270μmであるような30μm幅の格子状の遮光層パターンを得た。
(カラーフィルタ層の形成)
青色用(B)のカラーフィルタ層パターンの材料として、V259(新日鉄化学社製)を支持基板上にスピンコートして成膜した。続いて、長方形(90μm×290μm)の色配列がストライプでドット状のパターンが76800個得られるようなフォトマスクを介して、遮光層に位置合わせして紫外線で露光した。そして、2%炭酸ナトリウム水溶液で現像後、200℃でベークし、青色用のカラーフィルタ層パターン(膜厚1.5μm)を形成した。
次に、緑色用(G)のカラーフィルタ層パターンの材料として、顔料系緑色カラーフィルタ材料(CG−8510L:富士フィルムアーチ製)をスピンコートし、青色用で用いたフォトマスクを、青色用のカラーフィルタ層パターンの位置から100μmピッチ、ストライプ状色配列に対して垂直方向へずらし、このフォトマスクを介して紫外線で露光した。その後、200℃でベークして、緑色カラーフィルタ層パターン(膜厚1.0μm)を形成した。
次に、赤色用(R)のカラーフィルタ層パターンの材料として、顔料系赤色カラーフィルタ材料(CRY−S840B:富士フィルムアーチ製)をスピンコートし、青色用で用いたフォトマスクを、青色用のカラーフィルタ層パターンの位置から200μmピッチ、ストライプ状色配列に対して垂直方向へずらし、このフォトマスクを介して紫外線で露光した。その後、200℃でベークして、赤色カラーフィルタ層パターン(膜厚1.2μm)基板を得た。
3.有機EL素子基板とカラーフィルタ基板の貼り合せ
カラーフィルタ基板上に液状シリコーンゴム(XE14−128:東芝シリコーン社製)をスピンコーターを用いて塗布し、その上に、上記有機EL素子基板を位置合せマークに合せて貼り合わせた。
4.有機EL表示装置の特性評価
(青色性能)
青色カラーフィルタに対応する下部電極と上部透明電極との間に、7.2Vの直流電圧を印加したところ、青く発光した。分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)にて測定したところ、輝度45nit、色度(0.135,0.078)であった。両電極間に流れる電流値を測定し、発光効率を算出したところ、1.78cd/Aであった。
(緑色性能)
緑色カラーフィルタに対応する下部電極と上部透明電極との間に、7.2Vの直流電圧を印加したところ、緑色に発光した。分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)にて測定したところ、輝度331nit、色度(0.224,0.639)であった。両電極間に流れる電流値を測定し、発光効率を算出したところ、13.2cd/Aであった。
(赤色性能)
赤色カラーフィルタに対応する下部電極と上部透明電極との間に、7.2Vの直流電圧を印加したところ、赤色に発光した。分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)にて測定したところ、輝度83nit、色度(0.629,0.370)であった。両電極間に流れる電流値を測定し、発光効率を算出したところ、3.34cd/Aであった。
(全面点灯)
全ての下部電極と上部透明電極との間に、7.2Vの直流電圧を印加したところ、白色発光を示した。分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)にて測定したところ、輝度459nit、色度(0.255,0.350)であった。両電極間に流れる電流値を測定し、発光効率を算出したところ、6.11cd/Aであり、非常に高効率であった。後に述べるように、下部電極としてCrを用いた比較例での反射率56%に対して本実施例での反射率は91%という1.6倍の値にも関わらず、効率としては4倍以上の値が得られた。また、青色色度、緑色色度、赤色色度から計算したNTSC(National Television Standards Committee)比は79.3%という良好な値を示した。
(コントラスト比の評価)
1000ルクスの蛍光灯照明下で、非点灯状態の画面輝度を測定したところ、5.8nitであった。全面点灯時の輝度459nitと非点灯時の輝度5.8nitという値からコントラスト比を算出したところ、79であり、反射性の高い下部電極を用いているにも関わらず、実用的なコントラストが予期せず得られた。
比較例:
下部電極としてアルミニウムの代わりにクロムとしたこと以外は、実施例と同様な構成の有機EL表示装置を作製した。電極パターンを形成する際に使用するクロムエッチャントとしては、硝酸セリウムアンモニウム/過塩素酸水溶液(HCE:長瀬産業製)を使用した。
顕微分光測定装置を用い、クロムが露出している部分の反射率を測定したところ、波長400nm〜700nmにおける平均値は56%という65%より小さな値であった。測定した反射率を図4に示す。
青色カラーフィルタに対応する下部電極と上部透明電極との間に、7.2Vの直流電圧を印加したところ、青く発光した。分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)にて測定したところ、輝度19nit、色度(0.134,0.090)であった。両電極間に流れる電流値を測定し、発光効率を算出したところ、0.76cd/Aであった。
(緑色性能)
緑色カラーフィルタに対応する下部電極と上部透明電極との間に、7.2Vの直流電圧を印加したところ、緑色に発光した。分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)にて測定したところ、輝度135nit、色度(0.236,0.612)であった。両電極間に流れる電流値を測定し、発光効率を算出したところ、5.41cd/Aであった。
(赤色性能)
赤色カラーフィルタに対応する下部電極と上部透明電極との間に、7.2Vの直流電圧を印加したところ、赤色に発光した。分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)にて測定したところ、輝度38nit、色度(0.630,0.368)であった。両電極間に流れる電流値を測定し、発光効率を算出したところ、1.51cd/Aであった。
(全面点灯)
全ての下部電極と上部透明電極との間に、7.2Vの直流電圧を印加したところ、白色発光を示した。分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)にて測定したところ、輝度192nit、色度(0.271,0.359)であった。両電極間に流れる電流値を測定し、発光効率を算出したところ、2.56cd/Aであり、実施例に比べて半分以下の値であった。NTSC比は72.9%であり、実施例に比べ劣っていた。
(コントラスト比の評価)
1000ルクスの蛍光灯照明下で、非点灯状態の画面輝度を測定したところ、1.4nitであった。全面点灯時の輝度192nitと非点灯時の輝度1.4nitという値からコントラスト比を算出したところ、138であった。
実施例及び比較例の評価結果を表及び図5〜8に示す。図5は、実施例(Al電極)と比較例(Cr電極)の青画素の発光スペクトルを示す図である。図6は、実施例(Al電極)と比較例(Cr電極)の緑画素の発光スペクトルを示す図である。図7は、実実施例(Al電極)と比較例(Cr電極)の赤画素の発光スペクトルを示す図である。
本発明の有機EL表示装置は、民生用TV、大型表示ディスプレイ、携帯電話用表示画面等の各種表示装置に用いることができる。

Claims (12)

  1. 第一の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第一の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第一の色の光を透過させる第一のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第一の画素と、
    第二の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第二の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第二の色の光を透過させる第二のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第二の画素と、
    第三の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第三の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第三の色の光を透過させる第三のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第三の画素とを有し、
    前記第一の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも第一の光反射手段と第二の光反射手段を、光取出方向にこの順に保有し、かつ、前記第一及び第二の光反射手段の間に、有機発光媒体層とを有し、第一の光反射手段と第二の光反射手段の間の光学的距離が、第一の色の光を選択するように設定され、
    前記第二の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも第一の光反射手段と第二の光反射手段を、光取出方向にこの順に保有し、かつ、前記第一及び第二の光反射手段の間に、有機発光媒体層とを有し、第一の光反射手段と第二の光反射手段の間の光学的距離が、第二の色の光を選択するように設定され、
    前記第三の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも第一の光反射手段と第二の光反射手段を、光取出方向にこの順に保有し、かつ、前記第一及び第二の光反射手段の間に、有機発光媒体層とを有し、第一の光反射手段と第二の光反射手段の間の光学的距離が、第三の色の光を選択するように設定され、
    前記第一の光反射手段の波長400nm〜700nmにおける反射率の平均値が65%以上であり、
    前記有機発光媒体層が、少なくとも第一の色、第二の色及び第三の色の光を発する、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  2. 前記第一及び第二の光反射手段が、それぞれ第一の電極及び第二の電極であるか、
    前記第一及び第二の光反射手段の間に、第一の電極と第二の電極が有って、前記有機発光媒体層が前記第一及び第二の電極間に位置する請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  3. 第一の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第一の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第一の色の光を透過させる第一のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第一の画素と、
    第二の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第二の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第二の色の光を透過させる第二のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第二の画素と、
    第三の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第三の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第三の色の光を透過させる第三のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第三の画素とを有し、
    前記第一の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも光反射性電極、有機発光媒体層、金属層及び透明電極層を光取出方向にこの順に積層した素子であり、
    前記第二の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも光反射性電極、第一の光学膜厚調整層、有機発光媒体層、金属層及び透明電極層を光取出方向にこの順に積層した素子であり、
    前記第三の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも光反射性電極、第二の光学膜厚調整層、有機発光媒体層、金属層及び透明電極層を光取出方向にこの順に積層した素子であり、
    前記光反射性電極の波長400nm〜700nmにおける反射率の平均値が65%以上であり、
    前記有機発光媒体層が、少なくとも第一の色、第二の色及び第三の色の光を発する、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  4. 前記有機発光媒体層が、第一の色の光を発する第一の発光材料、第二の色の光を発する第二の発光材料、及び第三の色の光を発する第三の発光材料とを含む請求項3記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  5. 前記第一の光学膜厚調整層が第一の無機化合物層からなり、前記第二の光学膜厚調整層が前記第一の無機化合物層及び第二の無機化合物層からなる請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  6. 第一の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第一の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第一の色の光を透過させる第一のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第一の画素と、
    第二の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第二の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第二の色の光を透過させる第二のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第二の画素と、
    第三の有機エレクトロルミネッセンス素子、及び前記第三の有機エレクトロルミネッセンス素子が発する第三の色の光を透過させる第三のカラーフィルタを、光取出方向にこの順に設けた第三の画素とを有し、
    前記第一の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも光反射性電極、第一の光学膜厚調整層、有機発光媒体層、金属層及び透明電極層を光取出方向にこの順に積層した素子であり、
    前記第二の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも光反射性電極、第二の光学膜厚調整層、有機発光媒体層、金属層及び透明電極層を光取出方向にこの順に積層した素子であり、
    前記第三の有機エレクトロルミネッセンス素子が、少なくとも光反射性電極、第三の光学膜厚調整層、有機発光媒体層、金属層及び透明電極層を光取出方向にこの順に積層した素子であり、
    前記光反射性電極の波長400nm〜700nmにおける反射率の平均値が65%以上であり、
    前記有機発光媒体層が、少なくとも第一の色、第二の色及び第三の色の光を発する、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  7. 前記有機発光媒体層が、第一の色の光を発する第一の発光材料、第二の色の光を発する第二の発光材料、及び第三の色の光を発する第三の発光材料とを含む請求項6記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  8. 前記第一の光学膜厚調整層が第一の無機化合物層からなり、前記第二の光学膜厚調整層が前記第一の無機化合物層及び第二の無機化合物層からなり、前記第三の光学膜厚調整層が前記第一の無機化合物層、前記第二の無機化合物層及び第三の無機化合物層からなる請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  9. 前記有機発光媒体層が、ホスト材料と青色系ドーパントを含む青色系発光層、青色系発光層と同一のホスト材料と緑系ドーパントを含む緑系発光層、及び青色系発光層と同一のホスト材料と橙〜赤系ドーパントを含む橙〜赤系発光層を積層して含む、請求項1,3又は6に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  10. 前記有機発光媒体層に用いられるホスト材料が、非対称アントラセン系化合物である請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  11. 前記有機発光媒体に用いられる青色系ドーパントが、スチリルアミン、アミン置換スチリル化合物、アミン置換縮合芳香族及び縮合芳香族環含有化合物より選択される少なくとも一種類の化合物である請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  12. 前記有機発光媒体に用いられる橙〜赤色系ドーパントが、フルオランテン骨格を複数有する化合物より選択される少なくとも一種類の化合物である請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
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