JPH1123596A - 回転速度検出装置付転がり軸受ユニット - Google Patents

回転速度検出装置付転がり軸受ユニット

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JPH1123596A
JPH1123596A JP19697497A JP19697497A JPH1123596A JP H1123596 A JPH1123596 A JP H1123596A JP 19697497 A JP19697497 A JP 19697497A JP 19697497 A JP19697497 A JP 19697497A JP H1123596 A JPH1123596 A JP H1123596A
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英男 大内
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耕一 森田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外輪1に固定したカバー18aに対するセン
サユニット39の着脱を、容易且つ迅速に行なえる様に
する。 【解決手段】 カバー18aに設けた挿入孔38にセン
サユニット39の挿入部40を挿入し、鍔部41と係止
筒44の先端面とを当接させる。この状態で、これら鍔
部41と係止筒44とを、結合ばね47により結合す
る。この結合ばね47は、上記鍔部41を係止筒44の
先端面に押し付ける方向の弾力を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係る回転速度検出
装置付転がり軸受ユニットは、自動車の車輪を懸架装置
に対して回転自在に支持すると共に、この車輪の回転速
度を検出する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】自動車の車輪を懸架装置に対して回転自
在に支持するのに、転がり軸受ユニットを使用する。
又、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラク
ションコントロールシステム(TCS)を制御する為に
は、上記車輪の回転速度を検出する必要がある。この
為、上記転がり軸受ユニットに回転速度検出装置を組み
込んだ回転速度検出装置付転がり軸受ユニットにより、
上記車輪を懸架装置に対して回転自在に支持すると共
に、この車輪の回転速度を検出する事が、近年広く行な
われる様になっている。
【0003】図59〜60は、この様な目的で使用され
る回転速度検出装置の従来構造の1例として、実開平7
−31539号公報に記載されたものを示している。こ
の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットは、使用時に
も回転しない静止輪である外輪1の内側に、使用時に回
転する回転輪であるハブ2を回転自在に支持している。
そして、このハブ2の一部に固定したエンコーダ3の回
転速度を、上記外輪1に支持したセンサ4により検出自
在としている。即ち、静止側周面である、上記外輪1の
内周面には、それぞれが静止側軌道である、複列の外輪
軌道5、5を設けている。又、それぞれが回転側周面で
ある、上記ハブ2の外周面、及びこのハブ2に外嵌して
ナット6によりこのハブ2に対し結合固定した状態で上
記ハブ2と共に上記回転輪を構成する内輪7の外周面に
は、それぞれが回転側軌道である、内輪軌道8、8を設
けている。そして、これら各内輪軌道8、8と上記各外
輪軌道5、5との間にそれぞれ複数個ずつの転動体9、
9を、それぞれ保持器10、10により保持した状態で
転動自在に設け、上記外輪1の内側に上記ハブ2及び内
輪7を、回転自在に支持している。
【0004】又、上記ハブ2の外端部(自動車への組み
付け状態で幅方向外側となる端部を言い、図59の右端
部)で上記外輪1の外端部から軸方向外方に突出した部
分には、車輪を取り付ける為のフランジ11を設けてい
る。又、上記外輪1の内端部(自動車への組み付け状態
で幅方向中央側となる端部を言い、図59の左端部)に
は、この外輪1を懸架装置に取り付ける為の取付部12
を設けている。又、上記外輪1の外端開口部と上記ハブ
2の中間部外周面との間の隙間は、シールリング13に
より塞いでいる。尚、重量の嵩む自動車用の転がり軸受
ユニットの場合には、上記複数個の転動体9、9とし
て、図示の様な玉に代えて、テーパころを使用する場合
もある。
【0005】上述の様な転がり軸受ユニットに回転速度
検出装置を組み込むべく、上記内輪7の内端部で上記内
輪軌道8から外れた部分の外周面には、前記エンコーダ
3を外嵌固定している。このエンコーダ3は、軟鋼板等
の磁性金属板に塑性加工を施す事により、断面L字形で
全体を円環状に形成したもので、円筒部15と円輪部1
6とを備え、このうちの円筒部15を上記内輪7の内端
部に締まり嵌めで外嵌する事により、この内輪7の内端
部に固定している。又、上記円輪部16には、それぞれ
がこの円輪部16の直径方向に長いスリット状の透孔1
7、17を多数、放射状に、円周方向に亙り等間隔で形
成する事により、上記円輪部16の磁気特性を、円周方
向に亙って交互に且つ等間隔で変化させている。
【0006】更に、上記外輪1の内端開口部にはカバー
18を、上記エンコーダ3の円輪部16の内側面に対向
する状態で、嵌合固定している。金属板を塑性加工して
成る、このカバー18は、上記外輪1の内端開口部に内
嵌固定自在な嵌合筒部19と、この内端開口部を塞ぐ塞
ぎ板部20とを有する。この塞ぎ板部20の中央部に
は、有底円筒状の膨出部21を形成して、この塞ぎ板部
20と前記ナット6との干渉を防止している。又、この
塞ぎ板部20の外周寄り部分で、この膨出部21よりも
直径方向外側部分には透孔22を形成し、この透孔22
を通じて上記センサ4の検知部24を、上記カバー18
の内側に挿入している。又、上記センサ4の中間部外周
面には取付フランジ25を固設しており、この取付フラ
ンジ25を上記カバー18の塞ぎ板部20に、止めねじ
26、26で固定する事により、上記センサ4を上記カ
バー18に、所定の位置関係で結合固定している。この
様にセンサ4をカバー18に結合固定した状態で、上記
検知部24の先端面は、上記エンコーダ3を構成する円
輪部16の内側面に、微小隙間を介して対向する。
【0007】上述の様な回転速度検出装置付転がり軸受
ユニットの使用時には、前記外輪1の外周面に固設した
取付部12を懸架装置に対して、図示しないボルトによ
り結合固定すると共に、前記ハブ2の外周面に固設した
フランジ11に車輪を、このフランジ11に設けたスタ
ッド27により固定する事で、上記懸架装置に対して上
記車輪を回転自在に支持する。この状態で車輪が回転す
ると、上記センサ4の検知部24の端面近傍を、上記円
輪部16に形成した透孔17、17と、円周方向に隣り
合う透孔17、17同士の間に存在する柱部とが交互に
通過する。この結果、上記センサ4内を流れる磁束の密
度が変化し、このセンサ4の出力が変化する。この様に
してセンサ4の出力が変化する周波数は、上記車輪の回
転数に比例する。従って、上記センサ4の出力を図示し
ない制御器に送れば、ABSやTCSを適切に制御でき
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図59〜60に示した
従来構造の場合には、1対の止めねじ26、26によ
り、センサ4をカバー18に結合固定している。従っ
て、回転速度検出装置付転がり軸受ユニットの組立工場
で上記センサ4をカバー18に取り付ける作業は面倒で
あり、作業時間を要する為、回転速度検出装置付転がり
軸受ユニットのコストが嵩む原因となる。又、修理等の
為、上記センサ4を上記カバー18から取り外し、再び
装着する作業も面倒で、その分、修理に要するコストを
高くする原因となる。本発明は、この様な事情に鑑み
て、センサをカバーに着脱する作業を容易且つ迅速に行
なえて、コスト低減を図れる、回転速度検出装置付転が
り軸受ユニットの構造を実現すべく考えたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の回転速度検出装
置付転がり軸受ユニットは、前述した従来の回転速度検
出装置付転がり軸受ユニットと同様に、静止側周面に静
止側軌道を有し、使用時にも回転しない静止輪と、上記
静止側周面と対向する回転側周面に回転側軌道を有し、
使用時に回転する回転輪と、上記静止側軌道と上記回転
側軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体
と、上記回転輪の一部にこの回転輪と同心に固定され
た、円周方向に亙る特性を交互に且つ等間隔に変化させ
たエンコーダと、このエンコーダに対向する状態で上記
静止輪の一部に固定されたカバーと、検知部を有し、こ
の検知部を上記エンコーダの一部に対向させた状態で上
記カバーの一部に支持され、上記エンコーダの特性の変
化に対応して出力信号を変化させるセンサとを備える。
【0010】特に、本発明の回転速度検出装置付転がり
軸受ユニットに於いては、上記カバーの一部で上記エン
コーダの一部と対向する部分には、上記センサ若しくは
このセンサを保持したホルダの少なくとも先端寄り部分
を挿入自在な挿入孔を設けている。又、上記センサ若し
くはこのセンサを保持したホルダの一部で少なくとも上
記先端寄り部分から外れた部分には、上記挿入孔の開口
周縁部に当接する事により、上記センサ若しくはこのセ
ンサを保持したホルダの上記挿入孔の軸方向に亙る位置
決めを図る位置決め部を設けている。そして、上記カバ
ーと上記センサ若しくはこのセンサを保持したホルダと
の間に、上記位置決め部を上記挿入孔の開口周縁部に押
圧する弾性部材を設ける事により、上記センサを上記カ
バーに対し着脱自在に装着している。
【0011】更に、請求項2に記載した回転速度検出装
置付転がり軸受ユニットに於いては、上記弾性部材を、
弾性を有する線材を曲げ形成して成る結合ばねとし、こ
の結合ばねの両端部に1対の枢支部を互いに同心に、中
間部に上記位置決め部を上記挿入孔の開口周縁部に押圧
する抑え部を、それぞれ設けている。そして、上記1対
の枢支部を、上記カバーの一部に設けた1対の枢支孔に
揺動自在に挿入している。更に、上記カバーと上記結合
ばねの両端部近傍部分との間には、少なくとも上記抑え
部が上記位置決め部を上記挿入孔の開口周縁部に押圧し
た状態で、上記各枢支部が上記各枢支孔から抜け出る方
向に変位する事を阻止する為の抜け止め手段を設けてい
る。
【0012】又、請求項3に記載した回転速度検出装置
付転がり軸受ユニットに於いては、請求項2に記載した
回転速度検出装置付転がり軸受ユニットと同様、上記弾
性部材を、弾性を有する線材を曲げ形成して成る結合ば
ねとし、この結合ばねの両端部に1対の枢支部を互いに
同心に、中間部に上記位置決め部を上記挿入孔の開口周
縁部に押圧する抑え部を、それぞれ設けている。そし
て、上記1対の枢支部を、上記カバーの一部に設けた1
対の枢支孔に揺動自在に挿入している。更に、上記1対
の枢支部と抑え部とを連結する1対の連結部を、上記抑
え部が上記位置決め部を上記挿入孔の開口周縁部に押圧
した状態で、上記1対の枢支孔を含み、且つ上記1対の
連結部と対向する上記カバーの底板部の側面と平行な仮
想平面よりも、上記挿入孔の開口側に位置させている。
そして、センサ若しくはこのセンサを保持したホルダ
を、上記カバーに設けた挿入孔に抜き差しする作業の妨
げとならない状態にまで、上記結合ばねを揺動自在とし
ている。
【0013】又、請求項4に記載した回転速度検出装置
付転がり軸受ユニットに於いては、上記弾性部材を、金
属製の弾性を有する線材を曲げ形成して成る結合ばねと
する。そして、この結合ばねの一部に設けた抑え部と位
置決め部とが係合する部分を、防水機能を有する被覆部
材により覆っている。
【0014】
【作用】上述の様に構成する本発明の回転速度検出装置
付転がり軸受ユニットが、自動車の懸架装置に対して車
輪を回転自在に支持すると共に、この車輪の回転速度を
検出する際の作用自体は、前述した従来構造の場合と同
様である。特に、本発明の回転速度検出装置付転がり軸
受ユニットの場合には、センサをカバーに着脱する作業
を容易且つ迅速に行なえる。先ず、センサをカバーに装
着する際には、センサ若しくはこのセンサを保持したホ
ルダの先端寄り部分を挿入孔に挿入し、位置決め部をこ
の挿入孔の開口周縁部に当接させる。次いで、弾性部材
を上記カバーと上記センサ若しくはこのセンサを保持し
たホルダとの間に装着し、上記位置決め部を上記挿入孔
の開口周縁部に押圧する。センサをカバーから取り外す
際には、これとは逆に、弾性部材を上記カバーと上記セ
ンサ若しくはこのセンサを保持したホルダとの間から取
り外した後、センサ若しくはこのセンサを保持したホル
ダの先端寄り部分を挿入孔から抜き取る。弾性部材を上
記カバーと上記センサ若しくはこのセンサを保持したホ
ルダとの間に着脱する作業は、止めねじを緊締したり弛
めたりする作業に比べて、容易且つ迅速に行なえる。従
って、上記センサ若しくはこのセンサを保持したホルダ
を、上記カバーに着脱する作業に要する手間を軽減し
て、回転速度検出装置付転がり軸受ユニット自体のコス
ト、並びに修理に要するコストの低減を図れる。
【0015】更に、請求項2に記載した回転速度検出装
置付転がり軸受ユニットの場合には、弾性部材である結
合ばねの抑え部により、上記位置決め部を上記挿入孔の
開口周縁部に押圧した状態で、抜け止め手段が、上記結
合ばねの各枢支部が各枢支孔から抜け出る方向に変位す
る事を阻止する。この為、上記カバーに対するセンサの
装着部に自動車の走行時に石等が勢い良くぶつかって
も、上記結合ばねが上記カバーとセンサ若しくはこのセ
ンサを保持したホルダとの間から不用意に外れる事がな
くなる。この結果、上記カバーからセンサが脱落する事
を防止し、回転速度検出装置の信頼性向上を図れる。
【0016】又、請求項3に記載した回転速度検出装置
付転がり軸受ユニットの場合には、弾性部材である結合
ばねを、センサ若しくはこのセンサを保持したホルダを
上記カバーに設けた挿入孔に抜き差しする作業の妨げと
ならない状態にまで、揺動自在としている。この為に上
記結合ばねを構成する1対の連結部の形状を工夫して、
上記結合ばねの全長を長くした場合でも、カバーに対す
るセンサ若しくはこのセンサを保持したホルダの着脱性
を確保できる様にしている。この為、上記結合ばねの抑
え部が、位置決め部を挿入孔の開口周縁部に押し付ける
力を、適正値に規制し易くなる。
【0017】更に、請求項4に記載した回転速度検出装
置付転がり軸受ユニットの場合には、回転速度検出装置
付転がり軸受ユニットの使用時に、結合ばねの抑え部と
センサ若しくはこのセンサを保持したホルダの位置決め
部との係合部分に外部から泥水等がかかるのを防止し
て、上記結合ばねが早期に錆びる事を防止できる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1〜5は、本発明の実施の形態
の第1例を示している。尚、本発明の特徴は、転がり軸
受ユニットを構成する静止輪の端部に固定したカバーに
センサを装着する部分の構造にある。静止輪に対して回
転輪を回転自在に支持して成る、転がり軸受ユニットの
構造及び作用は、基本的には前述の図59〜60に示し
た従来構造と同様であるので、同等部分には同一符号を
付して重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本
発明の特徴部分並びに前述した従来構造と異なる部分を
中心に説明する。尚、本発明の実施の形態を表す図は、
前述の従来構造を表した図59とは、車両の幅方向に関
する内外方向が左右逆になっている。
【0019】静止輪である外輪1の内端(図1の右端)
開口部は、カバー18aにより塞いでいる。このカバー
18aは、合成樹脂を射出成形して成る有底円筒状の本
体28と、この本体28の開口部に結合した嵌合筒29
とから成る。この嵌合筒29は、ステンレス鋼板等の耐
食性を有する金属板を塑性変形させて成るもので、断面
L字形で全体を円環状とし、嵌合筒部30と、この嵌合
筒部30の基端縁(図1の右端縁)から直径方向内方に
折れ曲がった内向鍔部31とを備える。この様な嵌合筒
29は、この内向鍔部31を上記本体28の射出成形時
にモールドする事により、この本体28の開口部に結合
している。尚、上記内向鍔部31には、多数の透孔3
2、32を、円周方向に亙って間欠的に形成している。
これら各透孔32、32の内側には上記本体28を構成
する合成樹脂が、この本体28の射出成形時に流入し
て、この本体28と上記嵌合筒29との結合強度を高め
る。
【0020】上述の様に構成するカバー18aは、上記
嵌合筒29の嵌合筒部30を上記外輪1の内端部に、締
まり嵌めで外嵌固定する事により、この外輪1の内端開
口部を塞いでいる。又、この状態で上記本体28の開口
部端面、即ち、この本体28の外周縁部に形成した円筒
壁部36の先端面は、上記外輪1の内端面に当接させ
る。上記円筒壁部36の先端面には全周に亙って係止溝
を形成すると共に、この係止溝内にOリング33を係止
している。上記円筒壁部36の先端面と上記外輪1の内
端面とを当接させた状態では、上記Oリング33がこの
内端面と上記係止溝の底面との間で弾性的に圧縮され
て、上記カバー18aと外輪1との結合部をシールし、
泥水等の異物が上記カバー18a内に進入するのを防止
する。
【0021】一方、ハブ2と共に回転輪を構成する内輪
7の内端部(図1の右端部)には、エンコーダ3aを外
嵌固定している。このエンコーダ3aは、支持環34と
永久磁石35とから成る。このうちの支持環34は、S
PCC等の磁性金属板を折り曲げる事により、断面L字
形で全体を円環状に形成し、上記内輪7の内端部に締ま
り嵌めで外嵌固定している。又、上記永久磁石35は、
例えばフェライト粉末を混入したゴムを上記支持環34
を構成する円輪部の内側面に、焼き付け等により添着し
て成る。この永久磁石35は、例えば軸方向(図1の左
右方向)に亙って着磁すると共に、着磁方向を円周方向
に亙り交互に且つ等間隔で変化させている。従って、上
記エンコーダ3aの内側面には、S極とN極とが円周方
向に亙り交互に且つ等間隔で配置されている。
【0022】又、上記カバー18aを構成する本体28
の底板部37の一部で上記エンコーダ3aを構成する永
久磁石35の内側面と対向する部分には、挿入孔38
を、上記底板部37を貫通させる状態で、上記外輪1の
軸方向に亙り形成している。そして、この挿入孔38内
に、センサ若しくはこのセンサを保持したホルダに相当
する、センサユニット39の先端寄り部分を挿入してい
る。このセンサユニット39は、ホール素子、磁気抵抗
素子(MR素子)等、磁束の流れ方向に応じて特性を変
化させる磁気検出素子並びにこの磁気検出素子の出力波
形を整える為の波形整形回路を組み込んだICと、上記
永久磁石35から出る(或は上記永久磁石35に流れ込
む)磁束を上記磁気検出素子に導く為の、磁性材製のポ
ールピース等とを、合成樹脂中に包埋して成る。又、上
記ICから整形された波形として出る出力信号を図示し
ない制御器に送る為のハーネス46の端部を、(コネク
タ等を介する事なく)直接上記センサユニット39に接
続している。従って、コネクタを省略して、その分、回
転速度検出装置付転がり軸受ユニットのコスト低減を図
れる。
【0023】この様なセンサユニット39は、先端(図
1の左端)寄り部分に設けられ、上記挿入孔38をがた
つきなく挿通自在な円柱状の挿入部40と、この挿入部
40の基端部(図1の右端部)に形成した、位置決め部
である、外向フランジ状の鍔部41とを備える。上記挿
入部40の中間部外周面には係止溝を形成すると共に、
この係止溝にOリング42を係止している。上記挿入部
40を上記挿入孔38に挿通した状態では、上記Oリン
グ42がこの挿入孔38の内周面と上記係止溝の底面と
の間で弾性的に圧縮されて、上記挿入部40の外周面と
上記挿入孔38の内周面との間をシールする。即ち、上
記Oリング42は、泥水等の異物がこの挿入孔38を通
じて上記カバー18a及び外輪1の内側に進入するのを
防止する。この様に、前記Oリング33により、静止輪
である外輪1とカバー18aとの結合部を、上記Oリン
グ42によりこのカバー18aに対する上記センサユニ
ット39の挿通部を、それぞれシールする事により、転
がり軸受ユニット中への異物混入防止により、この転が
り軸受ユニットの耐久性を確保すると共に、磁性粉等の
異物が前記エンコーダ3aを構成する永久磁石35の側
面に付着する事を防止し、回転速度検出の精度が悪化す
る事を防止している。尚、上記カバー18aに対する上
記センサユニット39の挿通部をシールする為のシール
リングとして、上述の様なOリング42に代えて、断面
形状がX字形であるXリング等、他のシールリングを使
用すれば、上記挿入孔38に上記センサユニット39の
挿入部40を挿入する為に要する力を低減して、このセ
ンサユニット39の装着作業の容易化を図る事もでき
る。
【0024】一方、上記カバー18aを構成する前記底
板部37の外面(このカバー18aにより塞ぐべき、転
動体9、9を設置した空間43と反対側の側面で、図1
の右側面)の一部で、上記挿入孔38の開口周囲部分に
は、係止筒44を設けている。この係止筒44の内周面
は、上記挿入孔38の内周面と共に、単一円筒面を構成
している。従って、本例の場合には、上記係止筒44の
開口端面が、上記挿入孔38の開口周縁部に相当する。
又、上記係止筒44の外周面で直径方向反対側2個所位
置には、それぞれ係止凹部45、45を設けている。こ
れら各係止凹部45、45は、それぞれ次述する結合ば
ね47を構成する線材の外径よりも十分に大きな幅を有
する。そして、それぞれの片側面で上記係止筒44の先
端側(図1、4の右側)内側面に、断面円弧状の係止溝
48、48を、上記各係止凹部45、45の全幅に亙っ
て形成している。これら各係止溝48、48の断面の曲
率半径は、上記結合ばね47を構成する線材の外周面の
曲率半径と同じか、これよりも僅かに大きくしている。
【0025】上記センサユニット39の基端部に設け
た、位置決め部として機能する前記鍔部41は、上述の
様に形成した係止筒44の先端面(図1、4の右端面)
に当接させ、次述する結合ばね47により、上記係止筒
44に結合固定する。弾性部材である、この結合ばね4
7は、ステンレスのばね鋼、クロムメッキ若しくは亜鉛
メッキを施したばね鋼等、弾性及び耐食性を有する線材
を曲げ形成して成る。尚、メッキ処理を施した線材を使
用する場合は、遅れ破壊を防止する為、脱水素処理を施
す。この結合ばね47は、少なくとも上記係止筒44へ
の組み付け状態で互いに平行になる1対の係止脚部4
9、49と、上記鍔部41を上記係止筒44の先端面に
向け抑え付ける為の抑え部50と、この抑え部50の両
端部と上記各係止脚部49、49の基端部(図5の右上
端部)とを連結する為の、1対の連結部51、51とか
ら成る。上記抑え部50は、中間部にU字形の湾曲部5
2を、両端部にこの湾曲部の両端から反対方向に折れ曲
がった直線部53、53を、それぞれ有する。上記各連
結部51、51の一端は、これら各直線部53、53の
端部から同一方向に折れ曲がっている。
【0026】この様な結合ばね47は、少なくとも使用
状態では、上記1対の係止脚部49、49を含む平面
と、上記抑え部50を含む平面とが互いに平行になる。
但し、上記結合ばね47の自由状態ではこれら各平面同
士の間隔が縮まる様に、上記各連結部51、51の一端
と上記各係止脚部49、49の基端部との連続部の角度
を小さくする方向の弾力を付与している。又、上記1対
の係止脚部49、49の本体部分同士の自由状態での間
隔D49(図5)は、前記係止凹部45、45同士の間隔
45(図4)よりも少し小さく(D49<D45)してい
る。更に、上記1対の係止脚部49、49の先端部は、
互いに逆方向に向け折り曲げて、これら両係止脚部4
9、49の先端部同士の間隔が、端部に向かう程大きく
なる様にしている。
【0027】一方、前記センサユニット39に設けた鍔
部41の基端面(挿入部40と反対側の面で、図1の右
端面、図3の手前面)には、上記結合ばね47の抑え部
50をがたつきなく係合させる為の、抑え溝54を形成
している。この抑え溝54は、前記ハーネス46の基端
部を囲む状態で設けた湾曲部55と、この湾曲部55の
両端から互いに逆方向に折れ曲がり、上記鍔部41の外
周縁に開口した直線部56、56とから成る。又、上記
鍔部41の基端面の一部で、上記湾曲部55の凸側に対
向する部分には、傾斜面57を形成している。この傾斜
面57は、上記鍔部41の厚さが、この鍔部41の端縁
に向かう程小さくなる方向に傾斜している。
【0028】それぞれが上述の様に構成される各部材を
組み合わせて、本発明の回転速度検出装置付転がり軸受
ユニットを構成すべく、上記センサユニット39を前記
カバー18aに装着する作業は、次の様にして行なう。
先ず、センサユニット39の先端寄り部分である挿入部
40を、前記係止筒44及び挿入孔38に挿入し、鍔部
41を上記係止筒44の先端面に当接させる。この状態
で、上記センサユニット39を構成する挿入部40の先
端面に設けた検出部と前記エンコーダ3aを構成する永
久磁石35の内側面との間に、所望の厚さ寸法(例えば
0.5mm程度)の微小隙間が存在する様に、各部の寸法
を規制している。次いで、結合ばね47を上記カバー1
8aに設けた上記係止筒44と上記センサユニット39
との間に装着し、上記鍔部41を上記係止筒44の先端
面に押圧する。
【0029】上述の様に、結合ばね47を上記カバー1
8aに設けた上記係止筒44と上記センサユニット39
との間に装着する作業は、上記結合ばね47を構成する
1対の係止脚部49、49を上記係止筒44の係止凹部
45、45に、これら係止脚部49、49の先端側から
挿入する事により行なう。これら両係止脚部49、49
の先端部同士の間隔は、端部に向かう程大きくなってい
る為、この挿入作業は容易に行なえる。この挿入作業の
進行に伴い、前記抑え部50の直線部53、53が上記
鍔部41に形成した前記傾斜面57に乗り上げる。この
状態から更に上記挿入作業を継続すれば、上記抑え部5
0が上記鍔部41の基端面に形成した抑え溝54に係合
する。尚、この挿入作業の際、前記1対の連結部51、
51の一部で上記鍔部41の外周縁に対向する部分が、
この鍔部41の外周縁と干渉しない様に、これら1対の
連結部51、51の一部で上記抑え部50に近い部分の
間隔は、上記鍔部41の外径よりも少し大きくしてお
く。
【0030】上述の様に、上記抑え部50が抑え溝54
に係合した状態では、上記結合ばね47が上記鍔部41
を上記係止筒44の端面に向け、十分に大きな力(例え
ば10kgf 程度)で押し付けて、上記センサユニット3
9を上記カバー18aに結合する。又、この状態では、
上記各係止脚部49、49と前記各係止溝48、48と
の係合、並びに上記抑え部50と上記抑え溝54との係
合に基づき、上記結合ばね47が上記センサユニット3
9及び係止筒44から不用意に外れる事がなくなる。こ
の結果、上記センサユニット39が、上記カバー18a
から不用意に外れる事がなくなる。
【0031】上記センサユニット39を上記カバー18
aから取り外す際には、上述した装着作業とは逆に、先
ず、上記結合ばね47を上記カバー18aと上記センサ
ユニット39との間から取り外す。この取り外し作業
は、先ず上記抑え部50を上記鍔部41の基端面から浮
かせた後、上記1対の係止脚部49、49を上記係止凹
部45、45から抜き取る事により行なう。この様にし
て上記結合ばね47を取り外した後、上記センサユニッ
ト39の挿入部40を、前記挿入孔38及び係止筒44
の内側から抜き取る。
【0032】上記結合ばね47を、上記カバー18aに
設けた係止筒44と上記センサユニット39との間に着
脱する作業は、止めねじを緊締したり弛めたりする作業
に比べて容易且つ迅速に行なえる。従って、本例を含め
て本発明によれば、上記センサユニット39を上記カバ
ー18aに着脱する作業に要する手間を軽減して、回転
速度検出装置付転がり軸受ユニット自体のコスト、並び
に修理に要するコストの低減を図れる。
【0033】尚、上述の説明では、結合ばね47を構成
する1対の係止脚部49、49の自由状態での間隔D49
を係止筒44の外周面に設けた1対の係止凹部45、4
5の間隔D45よりも小さくすると共に、これら各係止凹
部45、45に係止溝48、48を形成している。但
し、上記間隔D49を上記間隔D45よりも小さくすれば、
必ずしも上記各係止溝48、48を設けなくても良い。
例えば、図1に示す様に、上記各係止凹部45、45
を、上記各係止脚部49、49をがたつきなく嵌合でき
るだけの溝状に形成しても、これら各係止脚部49、4
9が上記各係止凹部45、45から不用意に外れる事を
防止できる。反対に、上記各係止溝48、48を設けれ
ば、必ずしも上記間隔D49を上記間隔D45よりも小さく
しなくても、上記各係止脚部49、49が上記各係止凹
部45、45から不用意に外れる事を防止できる。但
し、結合ばね47によるカバー18aとセンサユニット
39との結合強度を十分に確保し、上記結合ばね47の
着脱作業をより容易に行なえる様にする為には、図4〜
5に示した形状及び寸法の組み合わせが好ましい。
【0034】次に、図6〜8は、本発明の実施の形態の
第2例を示している。本例の場合には、カバー18bの
外面に形成した係止筒44aを、基端寄り(図7の左寄
り)の大径部60と、先端寄り(図7の右寄り)の小径
部61とから構成している。このうち、大径部60の基
端側半部外周面の直径方向反対側2個所位置に、それぞ
れ係止凹部45a、45aを形成している。これら各係
止凹部45a、45aの幅(図7の左右方向寸法)は、
結合ばね47aを構成する線材の外径よりも十分に大き
くしている。一方、上記結合ばね47aを構成する1対
の係止脚部49、49の先端部及び基端部には、それぞ
れ上記係止筒44aの先端側に向け折れ曲がった、先端
側折れ曲がり部58、58と基端側折れ曲がり部59、
59とを設けている。又、上記各係止脚部49、49の
基端側には、それぞれ連結部51a、51aの一端部を
連結し、これら各連結部51a、51aの他端部に抑え
部50を、上記各係止脚部49、49と同じ方向に折り
曲げた状態で設けている。
【0035】上述の様な結合ばね47aは、上記各係止
脚部49、49を上記各係止凹部45a、45aの内側
に緩く係合させると共に、上記各先端側折れ曲がり部5
8、58を、上記大径部60の先端側半部外周面の一部
で上記各係止凹部45a、45aの一端部(図6〜7の
上端部)に整合する位置に形成した切り欠き部62、6
2に係合させている。尚、上記各先端折れ曲がり部5
8、58の先端部は上記係止脚部49、49の側に少し
折り曲げており、この折り曲げ部分を、上記大径部60
の先端面に係止している。この状態で上記結合ばね47
aは上記係止筒44aの側部に、揺動自在に支持され
る。又、上記抑え部50は、この揺動に伴って、挿入孔
38の開口部ともなる、上記係止筒44aの開口部に向
け進退自在となる。尚、実際に自動車に組み付け、セン
サユニット39(図1、3参照)を未装着の状態で上記
結合ばね47aは、自重により、図6〜7に鎖線で示し
た状態に揺動し、上記抑え部50が上記係止筒44aの
開口部から退避する。
【0036】前述の様に構成する係止筒44aに、上述
の様に構成する結合ばね47aを使用して結合するセン
サユニット39は、前述の図1〜5に示した第1例の場
合と同様に構成している。この様なセンサユニット39
を上記係止筒44aの内側に保持固定するには、図6〜
7に鎖線で示す様に、上記抑え部50が上記係止筒44
aの開口部から退避した状態で、上記センサユニット3
9の挿入部40を上記係止筒44aの内側並びに挿入孔
38内に挿入し、鍔部41を上記係止筒44aの先端面
に当接させる。次いで、上記抑え部50を、図6〜7に
矢印αで示す様に上方に押圧し、この抑え部50と、上
記鍔部41の基端面に形成した抑え溝54とを係合させ
る(センサユニット39の構成各部に就いては、図1、
3参照)。反対に、上記カバー18bから上記センサユ
ニット39を取り外す際には、上記抑え部50を上記矢
印αと反対方向に変位させ、この抑え部50を上記係止
筒44aの開口部より退避させてから、上記センサユニ
ット39の挿入部40を上記係止筒44aの内側並びに
挿入孔38内から抜き取る。以上に述べた通り構成し作
用する本例の場合も、上記センサユニット39を、上記
カバー18aに着脱する作業に要する手間を軽減して、
回転速度検出装置付転がり軸受ユニット自体のコスト、
並びに修理に要するコストの低減を図れる。
【0037】次に、図9〜11は、本発明の実施の形態
の第3例を示している。本例の場合には、カバー18c
の外面に設けた係止筒44bの先端部外周縁に、互いに
平行な1対の直線辺部63、63を有する鍔部64を形
成している。本例の場合、上記カバー18cの外面とこ
の鍔部64の片面との間部分が、後述する結合ばね47
bの係止脚部49、49を係合させる為の係止凹部45
b、45bとなる。又、上記鍔部64の一端部(図9の
左端部)には1対の傾斜辺部65、65を形成して、こ
の鍔部64の幅が一端縁に向かう程小さくなる様にして
いる。又、上記直線辺部63、63のそれぞれ2個所位
置には、第一の係止切り欠き66、66と第二の係止切
り欠き67、67とを、互いに整合する状態で形成して
いる。このうち、上記傾斜辺部65、65側に設けた第
一の係止切り欠き66、66の上記第二の係止切り欠き
67、67側の片側縁は、上記鍔部64の端縁に向かう
程これら第二の係止切り欠き67、67に向かう方向に
傾斜させている。又、上記鍔部64の他端部(図9の右
端部)で上記第二の係止切り欠き67、67の一側面
(図9の右側面)を仕切る部分の幅は、隣り合う第一、
第二の係止切り欠き66、67同士の間部分の幅よりも
大きくしている。
【0038】一方、上述の様なカバー18bにセンサユ
ニット39(図1、3参照)を結合固定する為の結合ば
ね47bは、1対の係止脚部49、49と、これら1対
の係止脚部49、49同士の間に掛け渡す様にして設け
た抑え部50とを備える。この抑え部50の両端部と上
記1対の係止脚部49、49の先端部(図9の左端部、
図11の左下端部)とは、湾曲した連結部51b、51
bにより連結している。これら各連結部51b、51b
は、自由状態で上記抑え部50の両端部と上記1対の係
止脚部49、49とを近づけ合う方向の弾力を有する。
【0039】更に、上記各係止脚部49、49の基端部
(図9の右端部、図11の右上端部)には、上記鍔部6
4に向けて折れ曲がった、折れ曲がり係止部68、68
を形成している。図示の例ではこれら1対の折れ曲がり
係止部68、68同士の間隔を、上記1対の係止脚部4
9、49の間隔よりも大きくしている。この理由は、こ
れら各係止脚部49、49と前記係止凹部45b、45
bとの係合深さを確保して、上記結合ばね47bによる
上記センサユニット39の結合強度を確保する一方、上
記各折れ曲がり係止部68、68と前記第一、第二の係
止切り欠き66、67との係止力が過度に大きくなる事
を防止する為である。
【0040】上述の様な形状を有する結合ばね47bは
前記係止筒44bに、前記直線辺部63、63に沿った
平行移動自在に支持する。この状態で前記抑え部50
は、この平行移動に伴って、挿入孔38の開口部ともな
る、上記係止筒44bの開口部に向け進退自在となる。
尚、実際に自動車に組み付け、前記センサユニット39
を未装着の状態で上記結合ばね47bは、図9に鎖線で
示す様に、上記各折れ曲がり係止部68、68と上記第
一の係止切り欠き66、66とを係合させた状態とし
て、上記抑え部50を上記係止筒44bの開口部から退
避させておく。回転速度検出装置付転がり軸受ユニット
を造るメーカーから、自動車の組立工場へは、この様
に、上記各折れ曲がり係止部68、68と上記第一の係
止切り欠き66、66とを係合させた状態で納入する。
この様な状態で上記結合ばね47bは、上記カバー18
cの外周面から直径方向外方に突出する事がない。この
為、この結合ばね47bが、上記カバー18cを図示し
ないナックルの支持孔に挿入しつつ、回転速度検出装置
付転がり軸受ユニットを自動車の懸架装置に支持する作
業の妨げとなる事はない。
【0041】前述の様に構成する係止筒44bに、やは
り前述の様に構成する結合ばね47bを使用して結合す
るセンサユニット39は、前述の図1〜5に示した第1
例の場合と同様に構成している。この様なセンサユニッ
ト39を上記係止筒44bの内側に保持固定するには、
図9に鎖線で示す様に上記抑え部50を上記係止筒44
bの開口部から退避させた状態で、上記センサユニット
39の挿入部40を上記係止筒44bの内側並びに挿入
孔38内に挿入し、上記センサユニット39の鍔部41
を上記係止筒44bの先端面に当接させる。次いで、上
記抑え部50を、図9の右方(直径方向外方)に押圧
し、この抑え部50と、上記鍔部41の基端面に形成し
た抑え溝54とを係合させる(センサユニット39の構
成各部に就いては、図1、3参照)。この様に抑え部5
0と抑え溝54とを係合させた状態で、上記各折れ曲が
り係止部68、68と上記各第二の係止切り欠き67、
67とが係合する。
【0042】尚、この様に上記結合ばね47bにより上
記センサユニット39を前記カバー18cに結合固定す
る際、上記各折れ曲がり係止部68、68は、上記各第
一の係止切り欠き66、66から上記各第二の係止切り
欠き67、67に移動する。本例の構造の場合には、こ
の移動は、上記各第一の係止切り欠き66、66の片側
縁が傾斜している為、容易に行なえる。又、上記鍔部6
4の他端部の幅は、隣り合う第一、第二の係止切り欠き
66、67同士の間部分の幅よりも大きくしている為、
上記各折れ曲がり係止部68、68が上記各第二の係止
切り欠き67、67を行き過ぎる事もない。
【0043】又、上記カバー18cから上記センサユニ
ット39を取り外す際には、上記装着作業時とは反対
に、上記結合ばね47bを図9に鎖線で示した状態ま
で、同図の左方に変位させる。この様に結合ばね47を
変位させる作業は、上記抑え部50を上記鍔部41の基
端面から浮かせると共に、上記各折れ曲がり係止部6
8、68同士の間隔を広げつつ行なう。この様にして上
記抑え部50を上記係止筒44bの開口部から退避させ
てから、上記センサユニット39の挿入部40を上記係
止筒44bの内側並びに挿入孔38内から抜き取る。以
上に述べた通り構成し作用する本例の場合も、上記セン
サユニット39を、上記カバー18cに着脱する作業に
要する手間を軽減して、回転速度検出装置付転がり軸受
ユニット自体のコスト、並びに修理に要するコストの低
減を図れる。
【0044】次に、図12〜16は、本発明の実施の形
態の第4例を示している。本例の場合には、カバー18
dに形成した係止筒44cにセンサユニット39aを、
1対の結合ばね47c、47cにより結合固定する様に
している。この為に、上記係止筒44cの外周面の一部
で直径方向反対側2個所位置には、それぞれ2個1組の
枢支片72、72を、各組毎に間隔をあけて形成してい
る。これら各枢支片72、72は、アーチ状に形成した
もので、それぞれの内側に、次述する各結合ばね47c
の両端部に形成した枢支部73、73を、揺動自在に枢
支自在としている。尚、上記各枢支片72、72の組
は、これら各組の枢支片72、72に枢支した1対の結
合ばね47c、47cが、揺動に伴って他の構成部品と
干渉する事がない様に、上記係止筒44cの外周面のう
ち、この係止筒44cの円周方向反対側面に設けてい
る。
【0045】上記1対の結合ばね47c、47cは、そ
れぞれ図15に示す様に、直線状の抑え部50aと上記
1対の枢支部73、73とを、それぞれが「く」字形に
折れ曲がった弾性脚部74、74により連結して成る。
これら弾性脚部74、74は、引っ張り方向の力が加わ
った場合に伸長方向に弾性変形して、上記抑え部50a
と上記各枢支部73、73とが互いに離れる事を許容す
る。尚、上記各結合ばね47c、47cの両端部に設け
た1対の枢支部73、73の方向は、これら両枢支部7
3、73を枢支すべき上記各枢支片72、72の方向に
合わせて、互いに傾斜させている。又、これら1対の枢
支部73、73の先端部同士の自由状態での間隔D
73は、1組となる上記1対の枢支片72、72同士の間
隔D72よりも十分に大きく(D73>D72)している。
【0046】一方、前記センサユニット39aを構成す
る鍔部41aの基端面には、互いに平行な抑え溝54
a、54aを、ハーネス46を挟む状態で形成してい
る。これら両抑え溝54a、54aには、それぞれ上記
結合ばね47c、47cの抑え部50a、50aを、が
たつきなく係合自在である。又、上記鍔部41aの基端
面の直径方向反対位置で上記各抑え溝54a、54aよ
りも外周縁寄り部分には、それぞれ傾斜面57a、57
aを形成して、上記鍔部41aの厚さを、上記各抑え溝
54a、54aからこの鍔部41aの端縁に向かう程小
さくしている。
【0047】上述の様なセンサユニット39aを、前記
係止筒44cの内側に保持固定するには、予め上記1対
の結合ばね47c、47cの枢支部73、73をそれぞ
れ上記1組ずつの枢支片72、72に係合させておく。
この係合作業は、広い空間で容易に行なえる。そして、
上記1対の結合ばね47c、47cを上記係止筒44c
の側方に揺動変位させ、これら各結合ばね47c、47
cの抑え部50a、50aを上記係止筒44cの開口部
から退避させた状態で、上記センサユニット39aの挿
入部40を上記係止筒44cの内側並びに挿入孔38内
に挿入し、上記鍔部41aを上記係止筒44cの先端面
に当接させる。この状態で、上記センサユニット39a
を構成する挿入部40の先端面に設けた検出部と前記エ
ンコーダ3を構成する円輪部16の内側面との間に、所
望寸法の微小隙間が存在する様に、各部の寸法を規制し
ている。次いで、上記1対の結合ばね47c、47c
を、それぞれの抑え部50a、50aを上記鍔部41a
に向け近づける方向に揺動変位させて、これら各抑え部
50a、50aと、上記鍔部41aの基端面に形成した
1対の抑え溝54a、54aとを係合させる。この際、
上記各抑え部50a、50aと上記各傾斜面57a、5
7aとの係合に基づいて、前記各弾性脚部74、74が
弾性的に伸びる。そして、上記各抑え部50a、50a
と抑え溝54a、54aとが整合した状態では、上記各
各弾性脚部74、74の全長が弾性的に縮まり、上記各
抑え部50a、50aと抑え溝54a、54aとが係合
したままの状態となる。
【0048】又、上記カバー18dから上記センサユニ
ット39aを取り外す際には、上記装着作業時とは反対
に、上記各結合ばね47c、47cを、上記係止筒44
cの側方に揺動変位させ、これら各結合ばね47c、4
7cの抑え部50a、50aを上記各抑え溝54a、5
4aから外す。この様にして上記各抑え部50a、50
aを上記各抑え溝54a、54aから外すと共に、これ
ら各抑え部50a、50aを上記係止筒44cの開口部
から退避させてから、上記センサユニット39aの挿入
部40を上記係止筒44cの内側並びに挿入孔38内か
ら抜き取る。以上に述べた通り構成し作用する本例の場
合も、上記センサユニット39bを、上記カバー18d
に着脱する作業に要する手間を軽減して、回転速度検出
装置付転がり軸受ユニット自体のコスト、並びに修理に
要するコストの低減を図れる。
【0049】尚、本例の場合には、ハブ2aと共に回転
輪を構成する内輪7aの内端部に、前述の図58に示し
た従来構造に組み込んだものと同様のエンコーダ3を外
嵌固定している。特に、本例の構造の場合には、上記内
輪7aの内端部で内輪軌道8から軸方向に外れた部分
に、小径の段部69を、全周に亙り上記内輪7aと同心
に形成している。そして、この段部69に、上記エンコ
ーダ3を構成する円筒部15を外嵌固定している。この
様な段部69を形成する理由は、カバー18dの直径を
大きくする事なく、上記エンコーダ3とセンサユニット
39aを構成する挿入部40の先端面とを対向させる為
である。
【0050】即ち、転がり軸受ユニットに大きなスラス
ト荷重或はモーメント荷重が加わった場合にも、転動体
9、9が上記内輪7aの外周面に設けた内輪軌道8から
外れない様にする為、上記内輪7aの内端部で内輪軌道
8から軸方向に外れた部分には、十分に大きな外径を有
する肩部70を形成する必要がある。一方、上記内輪7
aを含む回転輪の回転速度を検出する為には、上記エン
コーダ3を構成する円輪部16と挿入部40の先端面と
を対向させる必要がある。上記エンコーダを構成する円
筒部15を上記肩部70自体に外嵌すると、上記円輪部
16の直径が必要以上に大きくなり、この円輪部16と
対向するセンサユニット39aを支持固定するカバー1
8dの直径も必要以上に大きくなる場合がある。これに
対して、上述の様な段部69を設け、この段部69に上
記エンコーダ3を外嵌固定すれば、このエンコーダ3や
カバー18dの直径が必要以上に大きくなる事を防止で
きて、小型の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットの
実現に寄与できる。この様な構造は、本例に限らず、他
の実施の形態にも適用できる事は勿論である。
【0051】更に、図示の例の場合には、前記ハブ2a
の内端部に円筒部71を形成し、この円筒部71の先端
部で上記内輪7aの内端面から突出した部分を直径方向
外方にかしめ広げる事により、上記内輪7aを上記ハブ
2aに対し結合固定している。この様な構造を採用すれ
ば、前述の図59に示した従来構造、或は図1に示した
実施の形態の第1例の様に、ナットにより内輪とハブと
を結合固定する構造に比べて、部品点数の減少と組立の
手間の軽減とにより、コスト削減を図れる。尚、上記円
筒部71の先端部を直径方向外方にかしめ広げる際、上
記内輪7aの一部には直径方向外方に向いた力が加わ
る。この荷重が大きい場合、上記内輪軌道8の直径が変
化し、転動体9、9に付与した予圧が変化する事が考え
られる。但し、本例の場合には、上記かしめ広げに伴う
力は、上記段部69が受け、上記内輪軌道8部分にはこ
の力は殆ど加わらない。従って、上記予圧が変化する事
は殆どない。この様な構造も、他の実施の形態にも適用
できる。
【0052】尚、本例の場合には、エンコーダ3として
磁性材製で円輪部16に複数のスリット状の透孔17を
形成したものを使用した例に就いて説明した。従って、
前記センサユニット39aに組み込むセンサの構造も、
エンコーダとして永久磁石を使用するものとは異ならせ
ている。但し、この様なセンサの構造及び作用に関して
は、従来から周知であり、本発明の要旨とも関係しない
ので、詳しい説明は省略する。尚、上記センサにMR素
子を使用する場合には、このMR素子の配列方向を、上
記透孔17の長手方向(上記円輪部16の直径方向)と
の関係で規制する必要がある。本例の場合には、前記各
抑え部50a、50aと前記各抑え溝54a、54aと
の係合により、前記カバー18dに対する上記センサユ
ニット39aの方向を規制できるので、特に別途位置決
め手段を設けなくても、上記MR素子の配列方向を上記
透孔17の長手方向との関係で規制できる。
【0053】次に、図17〜20は、本発明の実施の形
態の第5例を示している。本例の場合には、カバー18
eに設けた係止筒44dの一部で直径方向反対側位置
に、それぞれがスリット状で上記係止筒44dの内外両
周面同士を連通させる1対の係止孔75、75を形成し
ている。一方、センサユニット39bを構成する挿入部
40の一部で直径方向反対側位置には係止溝76、76
を、それぞれ設けている。そして、上記センサユニット
39bの基端部(図17、19の右端部)に設けた鍔部
41bと上記係止筒44dの先端面とを当接させた状態
で、上記各係止孔75、75と係止溝76、76とが、
軸方向に亙り少しだけずれた状態で、互いにほぼ整合す
る様にしている。即ち、この状態では、上記各係止溝7
6、76が上記各係止孔75、75よりも少しだけ上記
係止筒44dの先端面寄り(図17〜18の右寄り)に
存在する様に、各部の寸法を規制している。
【0054】上述の様なカバー18eに形成した係止筒
44dにセンサユニット39bを結合固定する為の結合
ばね47dは、図20に示す様な、全体がU字形、コ字
形、若しくは欠円環状で波形の板ばねとしている。上記
係止筒44dにセンサユニット39bを結合固定する際
には、先ず、上記センサユニット39bを構成する挿入
部40を上記係止筒44dに挿入し、この係止筒44d
の先端面と上記鍔部41bとを当接させると共に、上記
各係止孔75、75と係止溝76、76とを部分的に整
合させる。そして、この状態で、これら各係止孔75、
75と係止溝76、76との間に上記結合ばね47d
を、この結合ばね47dの厚さ寸法を弾性的に縮めつつ
挿入する。これら各係止孔75、75と係止溝76、7
6との間に挿入された上記結合ばね47dは、上記各係
止孔75、75の先端側内側面77、77と、上記各係
止溝76、76の先端側内側面78、78との間で突っ
張り、上記センサユニット39bの挿入部40に、上記
係止筒44dの内側に引き込む方向の弾力を付与する。
この様な本例の構造の場合も、センサユニット39b
を、上記カバー18eに着脱する作業に要する手間を軽
減して、回転速度検出装置付転がり軸受ユニット自体の
コスト、並びに修理に要するコストの低減を図れる。
【0055】次に、図21〜24は、本発明の実施の形
態の第6例を示している。上述した各例が何れも、非駆
動輪(FF車の後輪、FR車の前輪)を支持する為の転
がり軸受ユニットに本発明を適用していたのに対して、
本例並びに後述する第7例の場合には、駆動輪(FF車
の前輪、FR車の後輪、4WD車の全輪)を支持する為
の転がり軸受ユニットに本発明を適用している。この為
に本例の場合には、ハブ2bとして、内側に等速ジョイ
ントの軸を挿通自在なスプライン孔79を有する円筒状
のものを使用している。又、上記等速ジョイントとの干
渉を防止する為、カバー18fを円環状に形成し、セン
サユニット39cを、このカバー18fの直径方向に配
置している。
【0056】この為に本例の場合には、上記カバー18
fの外面の一部に庇状の取付フランジ部80を形成し、
この取付フランジ部80に挿入孔38aを、上記カバー
18fの直径方向に亙り形成している。本例の場合、こ
の挿入孔38aの断面形状は四角形としている。又、上
記取付フランジ部80の先端部内周側面には係止溝48
aを、上記取付フランジ80の基端部には係止孔81
を、それぞれ上記カバー18fの円周方向に亙り形成し
ている。又、上記センサユニット39cは、上記挿入孔
38a内にがたつきなく挿入自在とすべく、断面形状を
四角形とした挿入部40aと、この挿入部40aの基端
部に設けた外向フランジ状の鍔部41とを備える。そし
て、この鍔部41の基端面に、前述した第1例の場合と
同様の、抑え溝54及び傾斜面57を形成している。エ
ンコーダ3aを構成する永久磁石35の内側面と対向す
る検出部は、上記挿入部40aの先端部外側面(図21
の下端部左側面)に設けている。
【0057】一方、上記取付フランジ部80に上記セン
サユニット39cを結合固定する為の結合ばね47e
は、1対の係止脚部49、49と、これら1対の係止脚
部49、49同士の間に掛け渡す様にして設けた抑え部
50とを備える。この抑え部50の両端部と上記1対の
係止脚部49、49の一端部とは、湾曲した連結部51
c、51cにより連結している。これら各連結部51
c、51cは、自由状態で上記抑え部50の両端部と上
記1対の係止脚部49、49とを近づけ合う方向の弾力
を有する。又、上記各係止脚部49、49は、それぞれ
の先端部まで直線状に形成している。
【0058】上述の様に構成する取付フランジ部80に
上記センサユニット39cを、やはり上述した様に構成
する結合ばね47eを使用して保持固定するには、この
結合ばね47eを外した状態で、上記センサユニット3
9cの挿入部40aを上記取付フランジ部80の挿入孔
38a内に、直径方向外方から内方に挿入する。そし
て、上記鍔部41を上記取付フランジ部80の外周側面
に当接させる。次いで、上記結合ばね47eを構成する
1対の係止脚部49、49と抑え部50との間隔を広げ
つつ、これら係止脚部49、49を前記係止溝48a及
び係止孔81に係合若しくは挿入すると共に、抑え部5
0を上記鍔部41の基端面に乗り上げさせる。そして、
この抑え部50と、上記鍔部41の基端面に形成した抑
え溝54とを係合させる。
【0059】この様な本例の構造の場合も、上記センサ
ユニット39cを、上記カバー18fに着脱する作業に
要する手間を軽減して、回転速度検出装置付転がり軸受
ユニット自体のコスト、並びに修理に要するコストの低
減を図れる。尚、本例の構造の場合には、外輪1の内端
部内周面にシールリング82を内嵌固定し、このシール
リング82と前記エンコーダ3aを構成する支持環34
とにより組み合わせシールリングを構成し、転動体9、
9を設置した空間43内への異物進入防止を図ってい
る。
【0060】次に、図25〜30は、本発明の実施の形
態の第7例を示している。本例の場合には、カバー18
gを構成する合成樹脂製の本体28aを、全周に亙って
断面L字形に形成している。そして、このカバー18g
を構成する円筒壁部36aの一部を厚肉にして、この厚
肉部分に挿入孔38bを、上記カバー18gの直径方向
に亙り形成している。本例の場合、この挿入孔38b、
及び、センサユニット39dを構成してこの挿入孔38
b内に挿入される挿入部40bの断面形状は、それぞれ
円形としている。
【0061】この様に、挿入孔38b及び挿入部40b
の断面形状を円形とする代わりに、本例の場合には、上
記センサユニット39dの基端部に設けた鍔部41c
と、上記カバー18gの円筒壁部36aの中間部に形成
した段部87との係合により、上記センサユニット39
dの回り止めを図っている。即ち、上記鍔部41cの形
状を略D字形にして、この鍔部41cの外周縁の一部に
平坦面83を形成すると共に、上記挿入部40bを上記
挿入孔38b内に挿入した状態で、上記段部87と上記
平坦面83とを密接若しくは近接させている。本例の場
合、この様な平坦面83を設ける事により、上記センサ
ユニット39dの回り止めを図ると同時に、このセンサ
ユニット39dを設置する為に必要な軸方向(図25の
左右方向)寸法の節減図っている。又、上述の様な鍔部
41cの基端面には、前述した第1〜3例及び上述した
第6例の場合と同様の抑え溝54及び傾斜面57を形成
している。上記センサユニット39dを上記カバー18
gに結合固定した状態では、次述する結合ばね47fの
抑え部50bが上記抑え溝54と係合し、上記鍔部41
cを上記円筒壁部36aの外周面に抑え付ける。
【0062】本例に使用する結合ばね47fは、中央部
に設けた上記抑え部50bと、両端部に設けた枢軸状の
係止脚部49a、49aとを、略四分円状の連結部51
d、51dにより連結して成る。上記各係止脚部49
a、49aは、上記結合ばね47fの両端部である上記
各連結部51d、51dの端部から、互いに逆方向に折
れ曲がったもので、互いに同軸上に配置している。この
様な上記各係止脚部49a、49aを枢支すべく、上記
カバー18gの段部87の外面の一部で、上記挿入孔3
8bを中心として直径方向反対側2個所位置には、それ
ぞれ鉤状の枢支部84を形成している。上記結合ばね4
7fの自由状態での、上記各係止脚部49a、49aの
先端同士の間隔D49a は、上記1対の枢支部84同士の
間隔D84(図示せず)よりも十分に大きく(D49a >D
84)している。又、これら各枢支部84は、上記挿入孔
38bと反対側のみが開口している。従って上記各係止
脚部49a、49aを上記各枢支部84に係止した状態
では、これら各係止脚部49a、49aが上記挿入孔3
8b側にずれる事はない。尚、上記各係止脚部49a、
49aを枢支する為の枢支部は、図示の様な鉤形に限ら
ず、門形、孔形等にする事もできる。
【0063】又、上記カバー18gの底板部37aの一
部外面で上記挿入孔38bに整合する部分には、上記抑
え部50bを係止しておく為の係止フック85を、上記
カバー18gを合成樹脂により射出成形する際、一体に
形成している。上記結合ばね47fは、転がり軸受ユニ
ットを造るメーカーで、図29に示した状態に、上記カ
バー18gに装着しておく。即ち、上記各係止脚部49
a、49aを上記各枢支部84に係止すると共に、上記
抑え部50bを係止フック85に係止しておく。この状
態で上記抑え部50bは、上記挿入孔38bの開口部か
ら退避して、前記センサユニット39dを構成する挿入
部40bをこの挿入孔38b内に挿入する事に対する妨
げとはならない。又、この様な状態で、上記結合ばね4
7fは、上記カバー18gの外周面から直径方向外方に
突出する事がない。この為、この結合ばね47fが、上
記カバー18gを図示しないナックルの支持孔に挿入し
つつ、回転速度検出装置付転がり軸受ユニットを自動車
の懸架装置に支持する作業の妨げとなる事もない。尚、
上記係止フック85の一部には傾斜縁86を形成して、
上記抑え部50bをこの係止フック85に係止する作業
を容易に行なえる様にしている。尚、図示の例では、上
記係止フック85と上記結合ばね47fのU字形の湾曲
部52aとを係合させる様にしている。但し、係止フッ
クには、上記湾曲部52aを挟む状態で設けた、1対の
直線部53a、53aを係合させる様にする事も可能で
ある。この場合、係止フックを、間隔をあけて1対設け
る。
【0064】前述の様に構成するカバー18gを構成す
る円筒壁部36aに上記センサユニット39dを、やは
り上述した様に構成する結合ばね47fを使用して保持
固定する際には、この結合ばね47fの抑え部50bを
図29に示す様に、上記挿入孔38bから退避させてお
く。そして、この状態で、上記センサユニット39dの
挿入部40bを上記円筒壁部36aに形成した挿入孔3
8bに、直径方向外方から内方に挿通する。そして、前
記鍔部41cを上記円筒壁部36aの厚肉部分の外周面
に当接させると共に、前記段部87と前記平坦面83と
を密接若しくは近接させる。次いで、上記結合ばね47
fの抑え部50bを上記係止フック85から外し、この
結合ばね47fを上記各係止脚部49a、49aを中心
として、図29の反時計方向に揺動させ、上記抑え部5
0bを前記鍔部41cの基端面に乗り上げさせる。そし
て、この抑え部50bと、上記鍔部41cの基端面に形
成した抑え溝54とを係合させる。
【0065】この様な本例の構造の場合も、上記センサ
ユニット39dを、上記カバー18gに着脱する作業に
要する手間を軽減して、回転速度検出装置付転がり軸受
ユニット自体のコスト、並びに修理に要するコストの低
減を図れる。尚、本例の構造の場合には、上記カバー1
8gを構成する円輪状の底板部37aの内周縁にシール
リング82aを構成する芯金88の外径側半部を包埋
し、この芯金88の内周縁部に全周に亙って添着したシ
ールリップ89の先端縁を、等速ジョイント90の外周
面に摺接させている。本例の場合には、このシールリッ
プ89が、転動体9、9を設置した空間43内への異物
進入防止を図っている。従って、エンコーダ3a部分に
も、異物が入り込む事はない。
【0066】次に、図31〜32は、本発明の実施の形
態の第8例を示している。本例の場合には、結合ばね4
7gの各係止脚部49b、49bを枢支する為の枢支部
84aを、カバー18hの段部87の直径方向反対側2
個所位置に設けた突出部91により構成している。そし
て、これら各突出部91同士の互いに反対側の面に、上
記カバー18hの内周面にまで貫通しない(有底の)凹
孔92を、互いに同心に設けている。又、本例に使用す
る上記結合ばね47bは、図32に示す様に、抑え部5
0bの両端から連続した連結部51e、51eの先端部
に設けた1対の係止脚部49b、49b同士を、互いに
近づく方向に折り曲げて成る。これら1対の係止脚部4
9b、49bは、互いに同軸上に配置している。そし
て、上記各枢支部84aの凹孔92に上記各係止脚部4
9b、49bを係止し、上記カバー18hに対して上記
結合ばね47fを、上記1対の係止脚部49b、49b
を中心とする揺動自在に支持する。上記各係止脚部49
b、49bが上記各枢支部84aから外れない様にする
為、上記結合ばね47fの自由状態での、上記各係止脚
部49b、49bの先端同士の間隔D49b は、上記1対
の枢支部84a同士の間隔D84a (図示せず)よりも十
分に小さく(D49b <D84a )している。又、上記結合
ばね47fの連結部51e、51eは、短い全長でも必
要な弾力を持たせる為、蛇行した形状としている。その
他の構成及び作用に就いては、上述した第7例と同様で
ある為、同等部分には同一符号を付して、重複する図示
並びに説明は省略する。
【0067】次に、図33〜39は、請求項2に対応す
る、本発明の実施の形態の第9例を示している。静止輪
である外輪1の内端(図33の右端)開口部は、カバー
18iにより塞いでいる。このカバー18iは、前述し
た第1例の構造に組み込んだカバー18aと同様に、合
成樹脂を射出成形して成る有底円筒状の本体28bと、
この本体28bの開口部に結合した嵌合筒29とから成
る。又、ハブ2aと共に回転輪を構成する内輪7aは、
前述の図12に示した第4例と同様に、このハブ2aの
内端部に外嵌し、更にこのハブ2aの一部を直径方向外
方にかしめ広げる事により、このハブ2aに対し固定し
ている。この様な内輪7aの内端部(図33の右端部)
に形成した段部69には、前述の図59〜60に示した
従来構造の場合と同様のエンコーダ3を外嵌固定してい
る。
【0068】又、上記カバー18iを構成する本体28
bの底板部37bの一部で、上記エンコーダ3を構成す
る円輪部16の内側面と対向する部分には挿入孔38
を、上記底板部37bを貫通させる状態で、上記外輪1
の軸方向に亙り形成している。又、上記底板部37bの
外面(上記カバー18iにより塞ぐべき、転動体9、9
を設置した空間43と反対側の側面で、図33の右側
面)の一部で、上記挿入孔38の開口周囲部分には、係
止筒44eを設けて、上記挿入孔38の内周面と共に、
単一円筒面を構成している。そして、これら挿入孔38
及び係止筒44e内に、前述の第1例に組み込んだセン
サユニット39(図1、3)と同様のセンサユニット3
9eの先端寄り部分を挿入している。
【0069】一方、上記係止筒44eの基端寄り(図3
4、37、38、39の左端寄り)部分で、この係止筒
44eの直径方向ほぼ反対側位置には1対の枢支孔93
を、互いに同心に形成している。これら各枢支孔93
は、上記係止筒44eの内周面にまでは貫通させていな
い。この理由は、これら各枢支孔93を通じて、上記係
止筒44e内に異物が入り込むのを防止する為である。
更に、前記底板部37bの外面で上記係止筒44eの外
周面の近傍位置には、抜け止め手段を構成する1対のス
トッパプレート94を、前記カバー18iと一体に設け
ている。尚、これら両ストッパプレート94、94の形
成位置は、上記各枢支孔93の延長上から外れた位置と
している。図示の例では、これら両枢支孔93を、上記
係止筒44eの直径方向反対位置よりも少しカバー18
iの直径方向外方(図34、37、38、39の上方)
に少しだけずれた位置に形成している。これに対して、
上記両ストッパプレート94を、上記係止筒44eの直
径方向反対位置に設けている。又、上記両ストッパプレ
ート94の互いに対向する側の端縁と、上記係止筒44
eの外周面との間には、次述する結合ばね95の基端寄
り部分を挿入自在な隙間を設けている。
【0070】上記カバー18iに対して上記センサユニ
ット39eを結合する為の結合ばね95の両端部には1
対の枢支部96、96を、互いに同心に、それぞれの先
端面同士を互いに対向させた状態で設けている。又、上
記結合ばね95の中間部には、前記センサユニット39
eに設けた鍔部41dを、上記係止筒44eの開口端面
に向け押圧する為の抑え部97を設けている。この抑え
部97は、上記結合ばね95を構成する線材を曲げ形成
して成り、両端に設けた互いに同心の直線部98、98
と、これら両直線部98、98同士の間に存在する、略
半円弧形の湾曲部99とを備える。又、この湾曲部99
の中間部には、上記枢支部96、96とは反対側に向け
折れ曲がった摘み部100を設けている。この摘み部1
00は、後述するカバー18iへのセンサユニット39
eの着脱作業の為、上記抑え部97を上記鍔部41dに
対して進退させる際に、手指を掛ける為の手掛かりとし
て利用する。この為に上記摘み部100の幅W100 (図
36)は、手の親指を掛け易い大きさ(例えば15mm以
下)に規制している。更に、上記抑え部97の両端部と
上記各枢支部96、96とは、それぞれ弾性変形部10
1、101により互いに連続させている。これら両弾性
変形部101、101は、上記線材を曲げる事により、
「く」字形或は円弧形に形成したもので、全長を縮める
方向の弾性を有する。
【0071】一方、前記センサユニット39eに設けた
上記鍔部41dの基端面(挿入部40cと反対側の面
で、図33、34、39の右端面)には、上記結合ばね
95の抑え部97をがたつきなく係合させる為、前述し
た第1例の場合と同様の抑え溝54と傾斜面57とを形
成している。
【0072】それぞれが上述の様に構成される各部材を
組み合わせて、本例の回転速度検出装置付転がり軸受ユ
ニットを構成すべく、上記センサユニット39eを前記
カバー18iに装着する作業は、次の様にして行なう。
先ず、これらセンサユニット39eとカバー18iとを
組み合わせるのに先立って、このカバー18iに設けた
係止筒44eに、上記結合ばね95を装着しておく。こ
の装着作業は、先ず、図37に示す様に、結合ばね95
全体を、上記カバー18iの直径方向外方寄りで前記両
ストッパプレート94よりも直径方向外側部分に位置さ
せた状態で行なう。この状態で、前記1対の枢支部9
6、96同士の間隔を弾性的に広げて、これら両枢支部
96、96と前記両枢支孔93とを整合させ、これら両
枢支部96、96を両枢支孔93内に挿入する。この
際、上記両ストッパプレート94は、上記両枢支部9
6、96を両枢支孔93内に挿入する作業の妨げとはな
らない。
【0073】上述の様にして、上記結合ばね95の基端
部(上記両枢支部96、96を設置した端部)を上記係
止筒44eに枢支したならば、上記結合ばね95を上記
両枢支部96、96を中心に、図38に示す状態にまで
揺動させる。即ち、上記結合ばね95を構成する弾性変
形部101、101の一部が上記カバー18iを構成す
る本体28bの底板部37bの外面に当たるまで上記結
合ばね95を揺動させ、上記両弾性変形部101、10
1の基端寄り部分を、上記係止筒44eの外周面と上記
両ストッパプレート94の端縁との間に位置させる。こ
の状態で、上記抑え部97は、上記係止筒44eの先端
開口周囲部分から完全に退避して、次述するセンサユニ
ット39eとカバー18iとの組み合わせ作業時に、上
記センサユニット39eの一部と上記抑え部97とが干
渉する事を防止する。尚、上記係止筒44eは、上記カ
バー18iの上端寄り部分に設ける為、結合ばね95
は、重力により図38に示した状態で安定する。この状
態では、上記結合ばね95が、ナックルの一部と干渉す
る事はなく、上記カバー18i及び結合ばね95を装着
した外輪1を、このナックルに設けた取付孔に挿入可能
になる。従って、上記カバー18iに結合ばね95を装
着した状態で自動車の組立メーカーに納入すれば、この
組立メーカーで、上記結合ばね95をカバー18iに装
着する作業を省略できる。
【0074】上記カバー18iに上記センサユニット3
9eを結合固定するには、上述の様にして上記結合ばね
95を上記係止筒44eに装着し、この結合ばね95を
図38に示した位置にまで揺動させた状態で、上記セン
サユニット39eの先端寄り部分である挿入部40c
を、上記係止筒44e及び前記挿入孔38に挿入する。
そして、前記鍔部41dを上記係止筒44eの先端面に
当接させる。この状態で、上記センサユニット39eを
構成する挿入部40cの先端面に設けた検知部24と前
記エンコーダ3を構成する円輪部16の内側面との間
に、所望の厚さ寸法(例えば0.5mm程度)の微小隙間
が存在する。次いで、上記結合ばね95を、上記1対の
枢支部96、96を中心に、上記抑え部97を上記鍔部
41dに近づける方向に揺動させる。そして、上記抑え
部97を、図39に示す状態を経て、図33〜34に示
す様に、上記鍔部41dの基端面に乗り上げさせ、上記
鍔部41dを上記係止筒44eの先端面に押圧する。こ
の状態で、上記抑え部97が、上記鍔部41dの基端面
に形成した抑え溝54に係合する。
【0075】上述の様に、上記結合ばね95の抑え部9
7を上記鍔部41dの基端面に乗り上げさせる作業は、
前記摘み部100を手指により押圧する事により行な
う。この摘み部100を上記鍔部41dに向け押圧する
事に伴い、上記抑え部97の両端部に設けた直線部9
8、98が、上記鍔部41dに形成した前記傾斜面57
に乗り上げる。この状態から更に上記摘み部100を押
圧する作業を継続すれば、上記抑え部97が上記鍔部4
1dの基端面に形成した抑え溝54に係合する。この様
に抑え部97と抑え溝54とが係合した状態で、前記1
対の弾性変形部101、101は、弾性的に全長が伸ば
された状態となる。従って、上記抑え部97は、これら
1対の弾性変形部101、101の弾性復元力に基づ
き、上記鍔部41dを上記係止筒44eの先端面に向け
弾性的に押圧する。尚、この作業を容易に行なえる様に
すべく、上記結合ばね95を自由状態のまま上記各枢支
部96、96を中心に回動させた場合に、上記各直線部
98、98が上記傾斜面57に当接する様に、上記結合
ばね95の寸法を規制している。又、上述の様に、結合
ばね95を係止筒44eに対して揺動変位させる際に、
上記各弾性変形部101、101とこの係止筒44eの
外周面及び上記鍔部41dの外周縁とが干渉しない様
に、これら1対の弾性変形部101、101の間隔は、
上記係止筒44e及び鍔部41dの外径よりも少し大き
くしておく。
【0076】上述の様にして、上記抑え部97が抑え溝
54に係合した状態では、上記結合ばね95が上記鍔部
41dを上記係止筒44eの先端面に向け、十分に大き
な力で押し付けて、上記センサユニット39eを上記カ
バー18iに結合する。又、この状態では、上記各弾性
変形部101、101の一部で前記各枢支部96、96
の近傍部分が、前記1対のストッパプレート94の端縁
に当接若しくは近接する。従って、上記各弾性変形部1
01、101の基端部同士の間隔が広がる方向に弾性変
形する事は殆どなく、上記各枢支部96、96が前記各
枢支孔93から抜け出る事はなくなる。この結果、走行
時の飛び石等が上記結合ばね95に勢い良く衝突した場
合等、上記各弾性変形部101、101に外力が作用し
た場合でも、上記各枢支部96、96が上記各枢支孔9
3から抜け出る事はなくなり、上記センサユニット39
eが上記カバー18iとの結合部から不用意に外れる事
がなくなる。
【0077】上記センサユニット39eを上記カバー1
8iから取り外す際には、上述した装着作業の場合とは
逆に、先ず、前記摘み部100に手指を掛けて、上記結
合ばね95の抑え部97を上記鍔部41dの基端面から
退避させる。この様にして上記抑え部97を鍔部41d
から退避させた後、上記センサユニット39eの挿入部
40cを、前記挿入孔38及び係止筒44eの内側から
抜き取る。
【0078】次に、図40は、同じく請求項2に対応す
る、本発明の実施の形態の第10例を示している。本例
の場合には、ストッパプレート94、94の互いに対向
する端縁で、カバー18iを構成する本体28bの底板
部37bの外面(図40の上面)から少し離れた部分
に、それぞれ係止突起102、102を形成している。
そして、これら各係止突起102、102の先端同士の
間隔D102 を、自由状態に於ける結合ばね95の弾性変
形部101、101の外側縁同士の間隔D101 よりも小
さく(D102 <D101 )している。従って、本例の場合
には、前述の図38に示す様に、抑え部97を係止筒4
4eの先端開口部分から退避する方向に揺動させた状態
で、上記カバー18iの姿勢に関係なく、上記結合ばね
95とカバー18iとの位置関係を一定にできる。この
為、カバー18iを装着した転がり軸受ユニットを組み
立てたメーカーから、センサユニットを装着する自動車
の組立メーカーに納入する過程で、上記結合ばね95の
位置関係がずれ動かない様にして、自動車の組立メーカ
ーでの組立作業の能率化を図れる。
【0079】次に、図41は、同じく請求項2に対応す
る、本発明の実施の形態の第11例を示している。本例
の場合には、結合ばね95aを構成する線材の径を太く
しても必要とする弾性を得られる様に、1対の弾性変形
部101a、101aの全長を長くして、これら各弾性
変形部101a、101aの曲がり量を多くしている。
即ち、本発明の回転速度検出装置付転がり軸受ユニット
に組み付ける結合ばね95aは、泥水や融雪剤等が付着
する可能性が高い為、錆び易い状況にある。ステンレス
のばね鋼により造る場合には、特に上記線材の径を太く
しなくても必要とする耐久性を確保する事は容易である
が、比較的安価な非ステンレス鋼である、通常のばね鋼
を使用した場合には、表面に亜鉛メッキやクロムメッキ
を施したとしても、必要とする耐久性を確保する為に
は、上記線材の径を太くする必要が生じる。これに対
し、この径を太くすると、結合ばね95aの剛性が高く
(ばね常数が大きく)なり過ぎて、抑え部97を鍔部4
1d(図39参照)に乗り上げさせる事が困難になる。
これらの事を考慮すると、上記結合ばね95aを構成す
る線材の径は1〜2mm程度が適当である。但し、この径
を2mm程度にした場合には、前述の図35に示した様な
結合ばね95の形状では、この結合ばね95の剛性が高
くなり過ぎる。そこで、上記径を太くした場合には、本
例の様に、1対の弾性変形部101a、101aの全長
を長くして曲がり量を多くし、必要とする弾性を確保す
る。
【0080】尚、前述した第9〜11例の回転速度検出
装置自体の構造に関しては、図示の様なパッシブ型磁気
センサを使用したものに限らず、アクティブ型磁気セン
サを使用するものや、渦電流式、光電式のセンサを使用
するものを採用する事もできる。尚、アクティブ型磁気
センサを用いたものは、センサユニット全体を小型且つ
軽量にできる。従って、慣性質量が小さく、自動車走行
に伴う振動による運動エネルギも小さくて済む。この結
果、結合ばね95に要求される抑え荷重を小さくするこ
とができて、上述の様な細い(1〜2mm程度)線材を用
いた結合ばね95の使用が可能になる。
【0081】次に、図46〜50は、請求項3に対応す
る、本発明の実施の形態の第12例を示している。本例
は、前述した第11例の構造に於いて新たに生じる問題
を解消すべく考えたものである。即ち、前述した第11
例で示した結合ばね95aは、錆び易い状況にある結合
ばね95aの耐久性を確保する為、線材の径を太くする
代りに、この結合ばね95aを構成する1対の弾性変形
部101a、101aの全長を長くして曲がり量を多く
している。
【0082】又、上記結合ばね95aを構成する線材の
径を太くしたり、この線材の材料を変更したりする等に
より剛性を上げると共に、上記1対の弾性変形部101
a、101aの全長を長くすれば、上記結合ばね95a
と、この結合ばね95aと係合するカバー18i又はセ
ンサユニット39eとの係合部分に寸法誤差があった場
合に、この寸法誤差を有効に吸収する事ができる。即
ち、結合ばね95aを、剛性の高い材料により造ると共
に弾性変形部101a、101aの全長を長くすれば、
この結合ばね95aにより上記センサユニット39eを
抑え付ける荷重を適正範囲に保持すると共に、この結合
ばね95aに加わる応力を許容値内に収めつつ、上記寸
法誤差を吸収できる。これに対して、上記1対の弾性変
形部101a、101aの全長を短くしたまま、上記線
材の剛性を下げて所定の弾性変形量を確保する事によ
り、上記寸法誤差を吸収する事もできるが、上記係合部
分の寸法誤差に拘らず、上記結合ばね95aにより上記
センサユニット95aを抑え付ける荷重を適正に保持し
たり、この結合ばね95aに加わる応力を許容値内に収
める事が難しくなる。従って、この様な理由からも、上
記1対の弾性変形部101a、101aの全長を長くす
る事が好ましい場合が生じる。
【0083】ところが、単にこれら1対の弾性変形部1
01a、101aを長くすると、図42〜43に示す様
に、センサユニット95aを係止筒44eに抜き差しす
べく、1対の枢支孔93に枢支した1対の枢支部96を
中心として、上記結合ばね95aを揺動させても、上記
1対の弾性変形部101a、101aの一部が上記カバ
ー18jの底板部37bの側面に当接して、この結合ば
ね95aの揺動が制限され、この結合ばね95の抑え部
97が上記係止筒44eの開口部から退避し切れない場
合が生じる。この様に抑え部97が係止筒44eの開口
部から退避し切れなかった場合に、この抑え部97が、
上記センサユニット95aを上記カバー18jに着脱す
る妨げとなる。
【0084】一方、この様な弊害をなくすべく、図44
〜45に示す様に、枢支孔93とカバー18kの底板部
37bの側面との間の軸方向距離L93を十分に確保し
て、上記抑え部97が係止筒44fの開口部から退避し
切るまで、上記結合ばね95aを揺動自在とする構造も
考えられる。但し、この様な構造では、上記枢支孔93
を設けた係止筒44fの軸方向長さが大きくなり、回転
速度検出装置付転がり軸受ユニットの小型化を図りにく
くなる。図46〜50に示した第12例の回転速度検出
装置付転がり軸受ユニットは、上述の様な不都合を解消
すべく、結合ばねの全長を十分に長くしても、カバーに
対するセンサユニットの着脱性を良好なままにできる構
造を実現すべく考えたものである。
【0085】本例の回転速度検出装置付転がり軸受ユニ
ットの特徴は、結合ばね95bの全長を十分に長くして
も、カバー18jに対するセンサユニット39eの着脱
性を良好なままにできる構造にある。その他の部分の構
成及び作用に就いては、前述した図33〜39、41に
示した第9、11例と同様である為、同等部分に関する
説明並びに図示は、省略若しくは簡略にする。尚、本例
では第9、11例の様に、結合ばね95aの枢支部96
がカバー18jに設けた枢支孔93から抜け出すのを防
止する為のストッパプレート94(図34、37、3
8、39)は設けていないが、必要とすれば設ける事も
できる。
【0086】外輪1(図33参照)の内端開口部を塞ぐ
カバー18jの底板部37bの側面の一部には、軸方向
(図46、47の左右方向)に突出する状態で係止筒4
4eを設けている。そして、この係止筒44eの外周面
で直径方向ほぼ反対側2箇所位置に、内周面にまで貫通
しない1対の枢支孔93を互いに同心に設け、これら各
枢支孔93に、弾性部材である結合ばね95bの両端部
に設けた1対の枢支部96を枢支自在としている。上記
結合ばね95aは、図48〜50に示す様に、両端部に
互いに同心である1対の枢支部96、96を、中間部に
上記センサユニット39eの基端部に設けた鍔部41d
を上記係止筒44eの開口周縁部に押圧する抑え部97
を、これら1対の枢支部96、96の一端と抑え部97
の両端との間に、連結部である1対の弾性変形部101
b、101bをそれぞれ設けている。これら1対の弾性
変形部101b、101bは、上記枢支部96、96の
一端から連続した1対の第一の直線部103、103
と、上記抑え部97の両端から連続した1対の第二の直
線部104、104と、これら第一、第二の直線部10
3、104同士を連結する1対の曲線部105、105
とから成る。上記1対の弾性変形部101b、101b
の全長は、前述した理由、即ち、上記結合ばね95bの
耐久性を確保すると共に、この結合ばね95bと係合す
る各部材との寸法誤差を有効に吸収する為、十分に長く
している。
【0087】特に、本例の場合には、上記1対の弾性変
形部101b、101bを、上記抑え部97が上記セン
サユニット39eを上記挿入孔38の開口周縁部に押圧
した状態で、前記カバー18jの底板部37bに対し
て、上記各曲線部105、105に向う程この底板部3
7bから離れる方向に傾斜させている。即ち、上記弾性
変形部101b、101b全体を、上記1対の枢支孔9
3を含み、且つ上記カバー18jの底板部37bの側面
と平行な仮想平面β(図47)よりも、上記挿入孔38
の開口側(図46、47の右側)に位置させ、且つ、上
記枢支孔93から離れる程、上記仮想平面βから離れる
方向に傾斜させている。この構成により、センサユニッ
ト39eを上記係止筒44eに抜き差しする事に対し
て、上記抑え部97が妨げとならない状態にまで、上記
結合ばね95bを揺動自在としている。この為に、この
結合ばね95bの抑え部97を上記センサユニット39
eの鍔部41dに係合した状態で、上記各弾性変形部1
01b、101bを構成する、上記底板部37b寄り部
分である第一の直線部103、103と、上記仮想平面
βとのなす角度γを、設計的に定まる所定値以上として
いる。即ち、この角度γは、上記結合ばね95bを上記
枢支部96、96を中心として図47の時計方向に揺動
させて、上記各弾性変形部101b、101bの一部を
上記底板部37bの一部に当接させた場合に、上記抑え
部97が、上記係止筒44eの開口部から退避し切って
(前記係止筒44eの外周面を延長して得られる仮想空
間外に退避させて)、この抑え部97が上記センサユニ
ット39eを上記係止筒44eに抜き差しする作業の妨
げとならない角度以上としている。
【0088】上述の様に構成する本例の回転速度検出装
置付転がり軸受ユニットの場合も、前述した各例と同様
に、上記センサユニット39eを上記カバー18jに着
脱する作業に要する手間を軽減して、回転速度検出装置
付転がり軸受ユニット自体のコスト、並びに修理に要す
るコストの低減を図れる。特に、本例の場合、結合ばね
95bを構成する1対の弾性変形部101b、101b
を傾斜させている。この為、前記各枢支孔93を上記底
板部37bの近くに設けても、上記カバー18jに対し
てセンサユニット39eを着脱すべく、上記結合ばね9
5bを、上記弾性変形部101b、101bが上記挿入
孔38の開口から遠ざかる方向に揺動させた際に、上記
結合ばね95bが揺動できる角度を確保できる。従っ
て、この結合ばね95bに設けた抑え部97が、上記セ
ンサユニット39eを上記カバー18jに対して着脱す
る作業の妨げとはならない。この結果、上記結合ばね9
5bの耐久性を確保すると共に、この結合ばね95bと
係合する各部材との寸法誤差を有効に吸収すべく、この
結合ばね95bの全長を十分に長くしても、上記係止筒
44eの軸方向長さを徒に大きくする事なく、カバー1
8jに対するセンサユニット39eの着脱性を良好にし
たままにできる。
【0089】尚、本例の場合、上記結合ばね95bに設
けた抑え部97の中間部に、この抑え部97を上記セン
サユニット39eの鍔部41dに係合させた状態で、こ
の鍔部41dからほぼ垂直な方向に突出する摘み部10
6を設けている。カバー18jに対してセンサユニット
39eを着脱する場合には、この摘み部106を摘む事
により、上記結合ばね95bを容易に揺動させる事がで
きる。尚、この抑え部95bが上記センサユニット39
eの抑え溝54に係合した状態では、この結合ばね95
bの抑え部97が、上記鍔部41dを上記係止筒44e
の端面に向け、十分に大きな力で押し付ける。この為、
上記枢支部96と抑え部97の基端部との距離L97に対
する、上記枢支部96と摘み部106の先端部との距離
106 の比(レバー比)は、ある程度大きく{例えばレ
バー比が2以上(L106 /L97≧2)に}する事が、上
記結合ばね95bの揺動し易さを確保する点から好まし
い。
【0090】次に、図51〜53は、同じく請求項3に
対応する、本発明の実施の形態の第13例を示してい
る。本例の場合には、結合ばね95cの両端部に設けた
1対の枢支部96、96と中間部に設けた抑え部97と
を連結する、1対の弾性変形部101c、101cを、
上記結合ばね95cに作用する曲げモーメントが最大と
なる部分で湾曲させて、これら各弾性変形部101c、
101cの全長を長くしている。この様に各弾性変形部
101c、101cの所定部位を長くしたのは、次の様
な理由による。
【0091】カスティリアーノの定理(Castigliano's
theorem )によると、弾性体に作用する曲げモーメント
が大きい断面部分の長さを長くすれば、この弾性体のた
わみ量が大きくなる事が知られている。又、弾性体に作
用する曲げモーメントを大きくし過ぎると、断面部分に
作用する応力が許容応力を越えて、この弾性体が折れる
可能性がある。従って、弾性体である、上記結合ばね9
5cに於いて、作用する曲げモーメントが最大になる部
分の長さを長くすれば、より変形し易く、より折れにく
い結合ばね95cを得る事ができる。本例の場合、結合
ばね95cを揺動させる為に引っ張り荷重Pが働く部分
は、結合ばね95cがカバー18j及びセンサユニット
39eと係合する部分である、図53に示す点X、Yで
ある。そして、上記結合ばね95cの曲げモーメントが
最大に作用する部分は、点Xから最も離れた、距離L95
部分、即ち、各弾性変形部101c、101cをそれぞ
れ構成する、第一の湾曲部107、107部分と第二の
湾曲部108、108部分とである。従って、これら各
湾曲部107、108の長さを長くする事により、より
変形し易く、より折れにくい結合ばね95cを得る事が
できる。尚、図示の例の様に、上記第一の湾曲部10
7、107と第二の湾曲部108、108とを、上記荷
重Pの作用線の両側に配置したのは、上記結合ばね95
cを上記カバー18jの外周縁よりも直径方向外方に突
出させる事なく、上記第一、第二の湾曲部107、10
8の必要とする長さを確保する為である。その他の構成
及び作用は、前述した第12例の場合と同様である。
【0092】次に、図54〜58は、請求項4に対応す
る、本発明の実施の形態の第14例を示している。回転
速度検出装置付転がり軸受ユニットの使用時には、自動
車の走行に伴って、センサユニットをカバーに結合支持
する結合ばねには、泥水や融雪剤等が付着する可能性が
高い。そして、この結合ばねは金属製である為、上述の
様に結合ばねに泥水等が付着すると、ばねの材質が、安
価な非ステンレス鋼の場合には、早期に錆びる可能性が
ある。特に、この結合ばねの中間部に設けた抑え部がセ
ンサユニットの鍔部と係合する部分に、上記泥水等が溜
り易く、上記部分が特に早期に錆びる可能性がある。本
例の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットは、上述の
様な事情に鑑みて、結合ばねの材質を安価な非ステンレ
ス鋼とした場合でも、この結合ばねが錆びる事を防止す
べく考えたものである。
【0093】この様に、本例の回転速度検出装置付転が
り軸受ユニットの特徴は、結合ばねがセンサユニットと
係合する部分を覆う構造にある。その他の部分の構成及
び作用に就いては、前述した図46〜50に示した第1
2例と同様である為、同等部分には同一符号を付して、
重複する説明並びに図示を省略若しくは簡略にする。
尚、本例では、前述の第9〜10例の様に結合ばね95
bの枢支部96がカバー18jに設けた枢支孔93から
抜け出すのを防止する為のストッパプレート94(図3
4、37、38、39、40)は設けていない。但し、
次述する被覆部材109との干渉を防止できる限り、上
記ストッパプレート94を設けても良い。
【0094】センサユニット39eの基端部中央に設け
た円杆状の突部111の中間部外周面に、防水機能を有
する被覆部材109を支持している。この被覆部材10
9は、ゴム、或はハイトレル等の合成樹脂等の弾性材か
ら成る。又、この被覆部材109は、開口部を逆方向に
すべく、反転自在な袋状としている。又、この被覆部材
109の底部中央には、軸方向に貫通した貫通孔110
を設けている。そして、上記突部111の中間部外周面
に全周に亙り設けた係止溝112に、上記貫通孔110
の内周縁部を係止している。又、上記センサユニット3
9eの内部に包埋したセンサ(図示せず)と連結したハ
ーネス46は、上記突部111の先端面から導出してい
る。
【0095】又、上記センサユニット39eを上記カバ
ー18jに対して着脱自在とすべく、上記センサユニッ
ト39eの鍔部41dを上記挿入孔38の開口周縁部に
押圧する結合ばね95bは、図58に示す様に、両端部
に設けた1対の枢支部96、96と、中間部に設けた抑
え部97と、これら枢支部96、96と抑え部97とを
連結する1対の弾性変形部101b、101bとから成
る。これら1対の弾性変形部101b、101bは、上
記枢支部96、96の一端から連続した1対の第一の直
線部103、103と、上記抑え部97の両端から連続
した1対の第三の直線部113、113と、これら1対
の第三の直線部113、113の一端から連続した、上
記第一の直線部103、103とほぼ平行な第二の直線
部104、104と、これら第一、第二の直線部10
3、104同士を連結する1対の曲線部105、105
とから成る。
【0096】上述の様な被覆部材109を備えた本例の
場合、この被覆部材109により、上記結合ばね95b
の抑え部97と上記センサユニット39eとが係合する
部分を覆っている。上記センサユニット39eをカバー
18jに着脱する場合には、図55に示す様に、予め上
記センサユニット39eに係止した被覆部材109を上
記鍔部41dと反対側に開口させた状態にして、上記セ
ンサユニット39eと結合ばね95bとの係合作業の邪
魔にならない様にしておく。この状態で、図56に示す
様に、上記カバー18jに設けた係止筒44eの内側に
上記センサユニット39eの挿入部40cを挿入する。
そして、結合ばね95bを、上記係止筒44eに設けた
枢支孔93に枢支した枢支部96、96を中心として揺
動させて、この結合ばね95bに設けた抑え部97を、
上記センサユニット39eの鍔部41dに設けた抑え溝
54に係合させる。この部分の構成及び作用は、前述の
図46〜50に示した第12例の場合とほぼ同様であ
る。上記抑え部97と抑え溝54とを係合させた後、図
54、57に示す様に、上記被覆部材109を反転させ
て、この被覆部材109の開口部を逆方向に向け、この
被覆部材109の開口周縁部を上記係止筒44eの外周
面に弾性的に当接させる。この状態で上記被覆部材10
9が、上記結合ばね95bに設けた抑え部97と上記セ
ンサユニット39eとが係合する部分を覆う。
【0097】上述の様に構成する本例の回転速度検出装
置付転がり軸受ユニットによれば、この回転速度検出装
置付転がり軸受ユニットの使用時に、上記結合ばね95
bと上記センサユニット39eとが係合する部分に、直
接外部から泥水等がかかるのを防止して、上記結合ばね
95bが錆びる事を防止できる。又、この様に上記結合
ばね95bの一部を、被覆部材109により覆った状態
では、上記被覆部材109を反転させない限り、上記結
合ばね95bを上記センサユニット39eから外す事が
できない。従って、前述の様なストッパプレート94
(図37〜40)を設けなくても、上記センサユニット
39eが上記カバー18jから不用意に外れる事を防止
できる。
【0098】尚、上記結合ばね95bを構成する第三の
直線部113、113同士の間隔L113 (図58)は、
これら第三の直線部113、113の自由状態で、上記
係止筒44eの外径d44(図54)とほぼ等しいか、若
干小さくしている。この理由は、上記被覆部材109に
より、上記結合ばね95bが上記センサユニット39e
と係合する部分を覆った状態で、上記第三の直線部11
3、113が上記被覆部材109の開口部を内側から押
し広げて、上記係合部分付近に泥水等が侵入し易くなる
のを防止する為である。
【0099】又、上記被覆部材109の開口周縁部は、
上記係止筒44eの外周面に向け弾性的に当接させてい
るが、上記結合ばね95bを構成する第三の直線部11
3、113の存在により、上記係止筒44eの外周面と
上記被覆部材109との間には、互いに密接できない隙
間が生じて、完全な密封状態とはできない。但し、車両
への設置状態では、上記結合ばね95bが上記センサユ
ニット39eを上記挿入孔38の開口周縁部に押圧した
状態で、上記結合ばね95bを構成する第一、第二の直
線部103、104と、上記曲線部105、105と
を、上記抑え部97より下側に位置させる。言い換えれ
ば、上記第三の直線部113、113を、上記抑え部9
7よりも上側に位置させない様にしている。これにより
上記隙間の開口部は下方に向き、この隙間を通じて泥水
等が侵入し、上記被覆部材109と係止筒44eの間部
分に泥水等が溜る事を防止している。
【0100】更に、本例の場合、上記係止筒44eに設
けた枢支孔93の開口周辺部で、回転速度検出装置付転
がり軸受ユニットの使用時に上側に位置する部分に、1
対の庇部114を設け、この底部114により、上記枢
支部96、96と枢支孔93との間部分に泥水等が侵入
する事を防止している。尚、上記庇部114を上記上側
部分にのみ設けたのは、この底部114が上記結合ばね
95bの揺動を妨げない様にする為である。尚、上記庇
部114は、カバー18jを射出成形する際に、一体モ
ールド成形により製造する事ができる為、その形成作業
は容易である。
【0101】尚、図示の例の場合、図54に示した様
に、ハブ2の端部をかしめ広げる事により内輪7をハブ
2に固定した、従動輪を支持する転がり軸受ユニットの
構造に就いて適用した構造に就いて示したが、本例の回
転速度検出装置付転がり軸受ユニットはこの様な構造に
限定するものでなく、駆動輪を支持する転がり軸受ユニ
ット等、他の構造に就いても適用できる。又、本例の回
転速度検出装置付転がり軸受ユニットは、図示の例の様
にセンサユニット39eの挿入方向をハブ2のアキシャ
ル方向とした構造のみならず、ラジアル方向とした構造
にも適用できる。
【0102】又、本発明の特徴は、カバーにセンサ若し
くはセンサを保持したホルダを装着する部分の構造にあ
る。センサとエンコーダとから成る回転速度検出装置の
構造は、図示した各例の様な磁気検知式のものに限ら
ず、渦電流式、光電式等、従来から知られている各種構
造のものを採用できる。
【0103】
【発明の効果】本発明の回転速度検出装置付転がり軸受
ユニットは、以上に述べた通り構成され作用し、センサ
若しくはこのセンサを保持したホルダのみを容易に着脱
できるので、回転速度検出装置の保守・点検が容易にな
る。又、カバーに対してセンサ若しくはこのセンサを保
持したホルダを後から容易に装着できるので、例えばセ
ンサの検出信号を取り出す為のハーネスを、転がり軸受
ユニットを懸架装置に取り付ける以前でスペース的に余
裕のある状態で車体に取り付ける事ができる。上記セン
サ若しくはこのセンサを保持したホルダは、上記転がり
軸受ユニットを懸架装置に取り付けた後、この転がり軸
受ユニットに付属のカバーに対して装着できる。従っ
て、上記センサ若しくはこのセンサを保持したホルダと
ハーネスとを接続したままにしておいても、転がり軸受
ユニット及びセンサの装着作業を容易に行える。この結
果、センサとハーネスとを接続する為のコネクタを省略
する事も可能になって、この面からのコスト削減も可能
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す断面図。
【図2】カバーのみを取り出して示す斜視図。
【図3】ハーネスの端部及びセンサユニットのみを取り
出して示す斜視図。
【図4】図1のA部を、カバーのみを取り出して示す断
面図。
【図5】センサユニットとカバーとを結合する為の結合
ばねの斜視図。
【図6】本発明の実施の形態の第2例を示す、カバーの
みを取り出して見た正面図。
【図7】同じく図6の左方から見た図。
【図8】本発明の実施の形態の第2例に使用する結合ば
ねの斜視図。
【図9】本発明の実施の形態の第3例を示す、カバーの
みを取り出して見た正面図。
【図10】同じく図9の左方から見た図。
【図11】本発明の実施の形態の第3例に使用する結合
ばねの斜視図。
【図12】本発明の実施の形態の第4例を示す、図1の
右部に相当する部分断面図。
【図13】同第4例に使用するカバーのみを取り出して
示す斜視図。
【図14】同じくハーネスの端部及びセンサユニットの
みを取り出して示す斜視図。
【図15】同じく1対の結合ばねのうちの一方の結合ば
ねのみを取り出して示す斜視図。
【図16】同じくカバーとセンサユニットとの結合部の
みを示す拡大斜視図。
【図17】本発明の実施の形態の第5例を示す、図1の
右部に相当する部分断面図。
【図18】同第5例に使用するカバーのみを取り出して
示す部分斜視図。
【図19】同じくハーネスの端部及びセンサユニットの
みを取り出して示す斜視図。
【図20】同じく結合ばねのみを取り出して示す斜視
図。
【図21】本発明の実施の形態の第6例を示す断面図。
【図22】同じく第6例に使用するカバーのみを取り出
して示す斜視図。
【図23】同じくハーネスの端部及びセンサユニットの
みを取り出して示す斜視図。
【図24】同じく結合ばねのみを取り出して示す斜視
図。
【図25】本発明の実施の形態の第7例を示す、回転速
度検出装置付転がり軸受ユニットの内半部の断面図。
【図26】同第7例に使用するカバーのみを取り出して
示す斜視図。
【図27】同じくハーネスの端部及びセンサユニットの
みを取り出して示す斜視図。
【図28】同じく結合ばねのみを取り出して示す斜視
図。
【図29】同じくセンサユニットを未装着のカバーを、
搬送する為の状態のまま外輪の端部に装着した状態で示
す側面図。
【図30】図29のB部拡大図。
【図31】本発明の実施の形態の第8例に使用するカバ
ーのみを取り出して示す斜視図。
【図32】同じく結合ばねのみを取り出して示す斜視
図。
【図33】本発明の実施の形態の第9例を示す、図1の
右部に相当する図。
【図34】センサユニットを取り付けたカバーを取り出
して示す斜視図。
【図35】結合ばねのみを取り出して示す斜視図。
【図36】結合ばねの摘み部を示す、図35のC矢示図
【図37】カバーに結合ばねを装着する状態を示す部分
斜視図。
【図38】カバーに結合ばねを装着した状態を示す部分
斜視図。
【図39】結合ばねによりセンサユニットをカバーに抑
え付ける作業の途中の状態を示す部分斜視図。
【図40】本発明の実施の形態の第10例を示す、図3
8のD−D断面に相当する図。
【図41】本発明の実施の形態の第11例を示す、結合
ばねの斜視図。
【図42】同例の構造に於いて新たに生じる問題に就い
て説明する為、センサユニットを取り付けたカバーを取
り出した状態で示す斜視図。
【図43】同じくセンサユニットをカバーに着脱する
為、カバーに枢支した結合ばねを揺動させた状態で示す
斜視図。
【図44】同じく解決方法の1例を示す、図42と同様
の図。
【図45】同じく、図43と同様の図。
【図46】本発明の実施の形態の第12例を示す、セン
サユニットを取り付けたカバーを取り出した状態で示す
斜視図。
【図47】図46の手前側から見た側面図。
【図48】結合ばねのみを取り出して示す斜視図。
【図49】図48のE矢視図。
【図50】同F矢視図。
【図51】本発明の実施の形態の第13例を、結合ばね
のみを取り出して示す斜視図。
【図52】図51の下方から見た図。
【図53】図51のG矢視図。
【図54】本発明の実施の形態の第14例を示す、図1
の右部に相当する図。
【図55】被覆部材を係止した状態で示す、センサユニ
ットの略断面図
【図56】結合ばねによりセンサユニットをカバーに抑
え付け、被覆部材により結合ばねとセンサユニットとの
係合部を覆う前の状態で示す部分斜視図。
【図57】同じく被覆部材により結合ばねとセンサユニ
ットとの係合部を覆った後の状態で示す部分斜視図。
【図58】結合ばねのみを取り出して示す斜視図。
【図59】従来構造の1例を示す、図60のH−O−I
断面図。
【図60】図59の左方から見た図。
【符号の説明】
1 外輪 2、2a、2b ハブ 3、3a エンコーダ 4 センサ 5 外輪軌道 6 ナット 7、7a 内輪 8 内輪軌道 9 転動体 10 保持器 11 フランジ 12 取付部 13 シールリング 15 円筒部 16 円輪部 17 透孔 18、18a、18b、18c、18d、18e、18
f、18g、18h、18i、18j、18k カバー 19 嵌合筒部 20 塞ぎ板部 21 膨出部 22 透孔 24 検知部 25 取付フランジ 26 止めねじ 27 スタッド 28、28a、28b 本体 29 嵌合筒 30 嵌合筒部 31 内向鍔部 32 透孔 33 Oリング 34 支持環 35 永久磁石 36、36a 円筒壁部 37、37a、37b 底板部 38、38a、38b 挿入孔 39、39a、39b、39c、39d、39e セン
サユニット 40、40a、40b、40c 挿入部 41、41a、41b、41c、41d 鍔部 42 Oリング 43 空間 44、44a、44b、44c、44d、44e、44
f 係止筒 45、45a、45b 係止凹部 46 ハーネス 47、47a、47b、47c、47d、47e、47
f、47g 結合ばね 48、48a、48b 係止溝 49、49a 係止脚部 50、50a、50b 抑え部 51、51a、51b、51c、51d、51e 連結
部 52、52a 湾曲部 53、53a 直線部 54、54a 抑え溝 55 湾曲部 56 直線部 57、57a 傾斜面 58 先端側折れ曲がり部 59 基端側折れ曲がり部 60 大径部 61 小径部 62 切り欠き部 63 直線辺部 64 鍔部 65 傾斜辺部 66 第一の係止切り欠き 67 第二の係止切り欠き 68 折れ曲がり係止部 69 段部 70 肩部 71 円筒部 72 枢支片 73 枢支部 74 弾性脚部 75 係止孔 76 係止溝 77 先端側内側面 78 先端側内側面 79 スプライン孔 80 取付フランジ部 81 係止溝 82、82a シールリング 83 平坦部 84、84a 枢支部 85 係止フック 86 傾斜縁 87 段部 88 芯金 89 シールリップ 90 等速ジョイント 91 突出部 92 凹孔 93 枢支孔 94 ストッパプレート 95、95a、95b 結合ばね 96 枢支部 97 抑え部 98 直線部 99 湾曲部 100 摘み部 101、101a、101b、101c 弾性変形部 102 係止突起 103 第一の直線部 104 第二の直線部 105 曲線部 106 摘み部 107 第一の湾曲部 108 第二の湾曲部 109 被覆部材 110 貫通孔 111 突部 112 係止溝 113 第三の直線部 114 庇部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静止側周面に静止側軌道を有し、使用時
    にも回転しない静止輪と、上記静止側周面と対向する回
    転側周面に回転側軌道を有し、使用時に回転する回転輪
    と、上記静止側軌道と上記回転側軌道との間に転動自在
    に設けられた複数個の転動体と、上記回転輪の一部にこ
    の回転輪と同心に固定された、円周方向に亙る特性を交
    互に且つ等間隔に変化させたエンコーダと、このエンコ
    ーダに対向する状態で上記静止輪の一部に固定されたカ
    バーと、検知部を有し、この検知部を上記エンコーダの
    一部に対向させた状態で上記カバーの一部に支持され、
    上記エンコーダの特性の変化に対応して出力信号を変化
    させるセンサとを備えた回転速度検出装置付転がり軸受
    ユニットに於いて、上記カバーの一部で上記エンコーダ
    の一部と対向する部分には、上記センサ若しくはこのセ
    ンサを保持したホルダの少なくとも先端寄り部分を挿入
    自在な挿入孔が設けられており、上記センサ若しくはこ
    のセンサを保持したホルダの一部で少なくとも上記先端
    寄り部分から外れた部分には、上記挿入孔の開口周縁部
    に当接する事により、上記センサ若しくはこのセンサを
    保持したホルダの上記挿入孔の軸方向に亙る位置決めを
    図る位置決め部が設けられており、上記カバーと上記セ
    ンサ若しくはこのセンサを保持したホルダとの間に、上
    記位置決め部を上記挿入孔の開口周縁部に押圧する弾性
    部材を設ける事により、上記センサを上記カバーに対し
    着脱自在に装着している事を特徴とする回転速度検出装
    置付転がり軸受ユニット。
  2. 【請求項2】 弾性部材が、弾性を有する線材を曲げ形
    成して成る結合ばねであり、この結合ばねの両端部には
    1対の枢支部が互いに同心に、中間部には位置決め部を
    挿入孔の開口周縁部に押圧する抑え部が、それぞれ設け
    られており、上記1対の枢支部がカバーの一部に設けた
    1対の枢支孔に揺動自在に挿入されており、上記カバー
    と上記結合ばねの両端部近傍部分との間には、少なくと
    も上記抑え部が上記位置決め部を上記挿入孔の開口周縁
    部に押圧した状態で、上記各枢支部が上記各枢支孔から
    抜け出る方向に変位する事を阻止する為の抜け止め手段
    が設けられている、請求項1に記載した回転速度検出装
    置付転がり軸受ユニット。
  3. 【請求項3】 弾性部材が、弾性を有する線材を曲げ形
    成して成る結合ばねであり、この結合ばねの両端部には
    1対の枢支部が互いに同心に、中間部には位置決め部を
    挿入孔の開口周縁部に押圧する抑え部が、それぞれ設け
    られており、上記1対の枢支部がカバーの一部に設けた
    1対の枢支孔に揺動自在に挿入されており、上記1対の
    枢支部と抑え部とを連結する1対の連結部を、上記抑え
    部が上記位置決め部を上記挿入孔の開口周縁部に押圧し
    た状態で、上記1対の枢支孔を含み、且つ上記1対の連
    結部と対向する上記カバーの底板部の側面と平行な仮想
    平面よりも、上記挿入孔の開口側に位置させる事によ
    り、センサ若しくはこのセンサを保持したホルダを、上
    記カバーに設けた挿入孔に抜き差しする作業の妨げとな
    らない状態にまで、上記結合ばねを揺動自在としてい
    る、請求項1〜2の何れかに記載した回転速度検出装置
    付転がり軸受ユニット。
  4. 【請求項4】 弾性部材が、弾性を有する金属製の線材
    を曲げ形成して成る結合ばねであり、この結合ばねの一
    部に設けられた抑え部と位置決め部とが係合する部分
    を、防水機能を有する被覆部材により覆っている、請求
    項1〜3の何れかに記載した回転速度検出装置付転がり
    軸受ユニット。
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